以下、本発明の具体的な実施の形態について図面を参照しつつ詳細に説明する。
図1は本発明が適用されるデジタルカラー画像形成装置の全体構成を示す概略図である。図示したデジタルカラー画像形成装置1は、複数(4つ)の感光体ドラムを用いて画像形成を行うタンデム方式のデジタルカラー複写機からなるもので、大きくは、画像読み取り部2、画像形成部3及び用紙搬送装置4を備えた構成となっている。
画像読み取り部2は、透明な原稿台(プラテンガラス)にセットされた原稿の画像を光学的に読み取るものである。この画像読み取り部2は、例えばランプ、ミラー及びキャリッジ等からなる光学走査系と、この光学走査系で読み取り走査された光学像を結像されるレンズ系と、このレンズ系で結像された光学像を受光して電気信号に変換する画像読み取りセンサ(例えば、CCDラインセンサ)とを備えて構成されている。
画像形成部3は、K(ブラック)、Y(イエロー)、M(マゼンタ)、C(シアン)の各色に対応する4つの感光体ドラム5,6,7,8と、各々の感光体ドラムに対応する4つの一次転写ローラ9,10,11,12と、中間転写ベルト13と、二次転写ローラ14と、バキューム搬送部15と、定着器16とを備えた4連タンデム式のメカ構成となっている。
各々の感光体ドラム5,6,7,8の周囲には、それぞれ帯電器、露光用の像書き込み装置(レーザROS;Laser Raster Output Scanner)、現像器、クリーナー等が配置されている。帯電器は、感光体ドラムの表面を一様に帯電するものである。像書き込み装置は、帯電器によって帯電された感光体ドラムの表面に光ビームとしてレーザ光を照射するとともに、このレーザ光で感光体ドラムの表面を主走査方向(ドラム軸方向)に露光走査することにより、感光体ドラムの表面に静電潜像を形成するものである。現像器は、現像剤としてのトナーを感光体ドラムの表面に供給することにより静電潜像を可視化(現像)してトナー像を形成するものである。クリーナーは、感光体ドラムに残留する不要なトナーを除去するものである。
これに対して、各々の一次転写ローラ9,10,11,12は、それぞれに対応する感光体ドラム5,6,7,8の近傍に中間転写ベルト13を介して対向状態に配置されている。これらの一次転写ローラ9,10,11,12は、上述のように感光体ドラム5,6,7,8に形成されたトナー像を中間転写ベルト13に転写(一次転写)するものである。中間転写ベルト13は、複数(図例では5つ)のベルト支持ローラによってループ状に張設されている。
二次転写ローラ14は、中間転写ベルト13と対向状態に配置されている。この二次転写ローラ14は、上述のように中間転写ベルト13に転写されたトナー像を用紙(用紙)に転写(二次転写)するものである。バキューム搬送部15は、二次転写ローラ14によってトナー像が転写された用紙を定着器16へと搬送するものである。定着器16は、加熱加圧等によって用紙にトナー像を定着させるものである。
一方、用紙搬送装置4は、第1のトレイ17、第2のトレイ18及び第3のトレイ19に収容された各々の用紙の中で、ユーザー操作により選択された用紙或いは自動用紙選択機能により選択された用紙を、それぞれ所定の経路で搬送するものである。各トレイ17,18,19の近傍には、それぞれに対応する送り出しローラ20,21,22が配設されている。各々の送り出しローラ20,21,22は、それぞれ対応するトレイ17,18,19から一枚ずつ分離して呼び出された用紙をニップして用紙搬送路上に一時停止させるとともに、所定のスタート信号に基づくタイミングで用紙搬送方向の下流側に用紙を送り出すものである。また、画像読み取り部2の近傍には、ユーザーによって操作される操作パネル23が設けられている。
ここで、各々の送り出しローラ20,21,22による用紙の送り出し位置から、上記画像形成部3の二次転写位置(中間転写ベルト13と二次転写ローラ14のニップ位置)を経由して排出トレイ24に至る一連の用紙搬送路R1〜R5には、それぞれ用紙搬送のためのローラが適宜配設されている。第1のトレイ17に収容された用紙は、送り出しローラ20により送り出された後、第1の用紙搬送路R1を経由して合流搬送部25へと送り込まれる。また、第2のトレイ18に収容された用紙は、送り出しローラ21により送り出された後、第1の用紙搬送路R1を経由して合流搬送部25へと送り込まれる。一方、第3のトレイ19に収容された用紙は、送り出しローラ22によって合流搬送部25へと直接送り込まれる。
また、合流搬送部25に送り込まれた用紙は、第2の用紙搬送路R2を経由して、画像形成部3の二次転写位置へと送り込まれる。さらに、二次転写位置を通過した用紙は、バキューム搬送部15により定着器16に送り込まれた後、第3の用紙搬送路R3を経由して排出トレイ24へと排出される。これに対して両面(第1面と第2面)に画像が形成される用紙は、定着器16を通過した後、第4の用紙搬送路R4を経由して両面用反転部28に送り込まれ、そこでスイッチバック方式により表裏反転された後、第5の用紙搬送路R5を経由して再び合流搬送部25へと送り込まれる。
このような用紙搬送路R1〜R5において、第2の用紙搬送路R2には姿勢矯正部26とレジストローラ27とが配設されている。姿勢矯正部26は、第2の用紙搬送路R2を搬送される用紙の姿勢を矯正(スキュー補正など)する部分である。レジストローら27は、互いに圧接状態に保持された一対のローラによって構成されたもので、それら一対のローラ間で用紙をニップ(挟持)しつつ、当該ローラの回転によって二次転写位置に用紙を送り込むものである。
レジストローラ27による用紙の送り込みに際しては、図示しないタイミング調整手段によって二次転写位置に対する用紙の到達タイミングが調整される。タイミング調整手段は、レジストローラ27の手前(上流側)に設けられたレジセンサ(不図示)が用紙の通過を検知したタイミングに基づいて、レジストローラ27による用紙の搬送速度を可変することにより、二次転写位置へのトナー像の到達タイミングに合わせて、当該二次転写位置に対する用紙の到達タイミングを調整する。
また、用紙搬送路R3,R5には、それぞれカール補正部29,30が設けられている。各々のカール補正部29,30は、定着器16でトナー像を定着させるときに生じる用紙のカールを補正するためのものである。
続いて、上記構成からなるデジタルカラー画像形成装置1の動作について説明する。先ず、画像読み取り部2によって原稿の画像が読み取られると、これによって得られた画像データに基づいて画像形成部3でトナー像が形成される。この画像形成部3では、4つの感光体ドラム3,4,5,6を回転駆動しつつ、それぞれに対応する帯電器、像書き込み装置(レーザROS)、現像器によって各感光体ドラム5,6,7,8の表面にK,Y,M,Cのトナー像が形成される。このように形成された各色のトナー像は、一次転写ローラ9,10,11,12によって順に中間転写ベルト13に重ね転写される。これにより、中間転写ベルト13には、4色トナーを重ね合わせた多色(フルカラー)のトナー像が形成される。このように中間転写ベルト13に形成されたトナー像は、当該中間転写ベルト13に担持されて二次転写位置へと送り込まれる。
一方、操作パネル23を用いてユーザーにより選択されたトレイの用紙、或いは自動選択機能によって選択されたトレイの用紙は、二次転写位置にトナー像が到達するタイミングに合わせてレジローラ27により送り込まれる。例えば、上述のように選択されたトレイが第1のトレイ17であるとすると、送り出しローラ20によって送り出された用紙が第1の用紙搬送路R1を経由して合流搬送部25に送り込まれ、さらに第2の用紙搬送路R2を経由してレジストローラ27により二次転写位置へと送り込まれる。
これにより、画像形成部3の二次転写位置では、中間転写ベルト13に担持されたトナー像(フルカラー画像)が二次転写ローラ14によって用紙に一括転写(二次転写)される。その後、用紙はバキューム搬送部15によって定着器16に送られ、そこでトナー像の定着処理が施された後、第3の用紙搬送路R3を経由して排出トレイ24に排出される。
また、両面に画像形成が行われる用紙は、第4の用紙搬送路R4を経由して両面用反転部28に送られ、そこで表裏反転されて第5の用紙搬送路R5に送られる。その後、両面コピー用の用紙は、第5の用紙搬送路R5に沿って搬送された後、当該用紙搬送路R5の終端近傍に設けられた送り出しローラ31に突き当てられて(又はニップされて)一時停止する。そして、所定の再スタート信号に基づく送り出しローラ31の回転により両面コピー用の用紙がタイミング調整されて合流搬送部25に再度送り込まれる。以降は、上記同様にトナー像が用紙に転写、定着された後、第3の用紙搬送路R3を経由して用紙が排出トレイ24に排出される。
図2は像書き込み装置の構成例を示す概略図である。図示した像書き込み装置は、各々の感光体ドラム5,6,7,8に対応したかたちでK,Y,M,Cの各色ごとに設けられるもので、半導体レーザ等からなるレーザ発光器101と、コリメータレンズ102と、ポリゴンミラー(回転多面鏡)103と、fθレンズ等からなるレンズ系104と、ビームディテクトセンサ(以下、「BDセンサ」)105とを備えた構成となっている。
レーザ発光器101が発生するレーザ光は、コリメータレンズ102でビーム形状を整形された後、図中B方向に定速回転するポリゴンミラー103に照射される。このとき、ポリゴンミラー103の一面でレーザ光が反射され、かつその反射したレーザ光がポリゴンミラー103の回転にしたがって偏向される。これにより、ポリゴンミラー103の一面で反射したレーザ光は、レンズ系104を介して感光体ドラム(5,6,7,8)の表面を図中A方向に走査される。レンズ系104は、ポリゴンミラー103によって偏向されたレーザ光を感光体ドラム(5,6,7,8)上で等速直線運動できるように偏向する役割を果たす。
BDセンサ105は、感光体ドラム(5,6,7,8)の軸方向に沿う主走査方向で、レーザ光による画像の書き込み開始位置P1よりも手前(端)の位置P0に配置され、そこでレーザ光の受光を感知したときにBD信号を出力するものである。このBDセンサ105が出力するBD信号は、感光体ドラム上にレーザ光のライン走査によって画像を書き込むときに、各々のラインで画像の書き込み開始位置P1を揃えるための基準となる主走査方向の同期信号(以下、「主走査同期信号」)となる。
上記構成からなる像書き込み装置においては、レーザ発光器101からコリメータレンズ102を介してポリゴンミラー103に照射されたレーザ光が、ポリゴンミラー103の回転によって感光体ドラム(5,6,7,8)の軸方向(主走査方向)にライン走査される。このライン走査をポリゴンミラー103の回転と感光体ドラムの回転により1ラインごとに繰り返すことにより、感光体ドラム(5,6,7,8)の表面に二次元の画像(静電潜像)が形成される。
このとき、感光体ドラム(5,6,7,8)の軸方向で、実際にドラム表面にレーザ光の走査によって画像(静電潜像)を書き込み可能な領域を有効領域とすると、この有効領域は画像の書き込み開始位置P1と書き込み終了位置P2との間で規定される。これに対して、BDセンサ105がレーザ光を感知する位置P0と画像の書き込み開始位置P1との間では、感光体ドラムに対してレーザ光による画像の書き込み動作が行われないことから、このP0−P1間の領域は実質的に無効領域となる。また、感光体ドラムの有効領域をレーザ光で露光走査するときは、各色ごとに分解された画像データに応じてレーザ光が変調(点滅)される。
図3は像書き込み装置でレーザ光を変調するための制御回路の構成例を示すブロック図である。この制御回路は、像書き込み装置と同様に、KYMCの各色ごとに設けられるものである。
サブ画素クロック生成部32は、画素クロックの周期よりも短い一定周期のサブ画素クロックを生成するものである。画素クロック生成部33は、サブ画素クロック生成部32で生成されたサブ画素クロックを用いて、主走査方向の画素幅を規定する画素クロックを生成するとともに、KYMCのうちのいずれか1色に該当する画像データを当該画素クロックに同期したパルスデータに変換するものである。
したがって、像書き込み装置による画像(潜像)の書き込み周期は画素クロックの周期に一致したものとなり、主走査方向の画素幅は画素クロックの周期に対応(比例)したものとなる。また、像書き込み装置によるレーザ光の変調(点滅)は、上記パルスデータに基づいて制御される。すなわち、上述した有効領域において、パルスデータがオンとなる期間ではレーザ光が点灯し、パルスデータがオフとなる期間ではレーザ光が消灯するように、像書き込み装置による静電潜像の書き込み動作(スキャン動作)が制御される。よって、像書き込み装置による光ビーム(レーザ光)の変調は、画素クロック生成部33で生成される画素クロックに同期して行われることになる。
誤差算出部34は、主走査方向の各画素位置において、カラーレジストレーションの補正(特に、本発明では主走査倍率ずれの補正)で要求される理想的な画素クロックの周期(基準クロックの周期)と、画素クロック生成部33で生成される画素クロックの周期との誤差(以下、「クロック周期誤差」とも記す)を算出するものである。基準クロックの周期とは、実際のマシンで主走査倍率ずれ(全倍率ずれ、左右倍率ずれ)のずれ量を測定し、この測定結果に基づいて、当該倍率ずれを補正するために最適とされる画素クロックの周期を、主走査方向の画素位置ごとに演算によって求めたものである。
例えば、全倍率ずれに関しては、図4(A),(B)に示すように、ある倍率(周波数f1)で画像を書き込んだときに得られる基準の書き込み長さL1に対して、実際のマシン特性に対応する倍率(周波数f2)で画像を書き込んだときの書き込み長さL2が長い場合は、その差分(L2−L1)が補正によって解消されるように、主走査方向の各画素位置に適用する基準クロックの周期を演算によって求める。
また、左右倍率ずれに関しては、図4(C),(D)に示すように、ある倍率(周波数f3)で画像を書き込んだときに左右倍率が均等になるのに対して、実際のマシン特性に対応する倍率(周波数f4)で画像を書き込んだときに左右倍率が不均一になる場合、すなわち図例のように主走査方向で画像の書き始め側(左側)が書き終わり側(右側)よりも倍率が高くなる場合(周波数f4が低くなる場合)は、図4(E)に示すように、画像の周波数特性が補正によって反転(破線で示す特性から実線で示す特性に変換)するように、主走査方向の各画素位置に適用する基準クロックの周期を演算によって求める。
したがって、原理的には、画素クロック生成部33で生成される画素クロックの周期を、予めマシン特性に応じて求めた基準クロックの周期に一致させることにより、主走査倍率ずれを最適な条件で補正することができる。ただし、画素クロック生成部33で生成される画素クロックは、サブ画素クロック生成部32で生成される一定周期のサブ画素クロックを用いて生成されるものである。具体的には、サブ画素クロックの個数をカウントし、このカウント値に基づいて画素クロックを生成している。このため、画素クロックの周期は、サブ画素クロックの周期の整数倍でしか設定することができない。
これに対して、基準クロックの周期は演算によって求められる理想的なクロック周期である。また、左右倍率ずれを補正する場合は、画像の周波数が主走査方向で連続的に変化するため、これに合わせて基準クロックの周期を変調する必要がある。このため、基準クロックの周期がサブ画素クロックの周期の整数倍にならないケースが発生する。したがって、主走査倍率ずれを補正する場合は、各々の画素位置において、基準クロックと画素クロックの周期誤差が極力小さくなるように、サブ画素クロックの整数倍となる条件で画素クロックの周期を設定し、この設定周期に合わせてサブ画素クロックの基準個数を設定している。そして、画素クロック生成部33では、画素クロックの周期を補正しない画素位置では、予め設定された基準個数のサブ画素クロックを用いて1つの画素クロックを生成し、画素クロックの周期を補正する画素位置では、後述するクロック周期補正部36から与えられる補正指示にしたがって、基準個数よりも多い又は少ないサブ画素クロックを用いて1つの画素クロックを生成するものとなっている。
また、主走査方向の画素位置を変数nの値で表すものとすると、例えば、n画素位置において、図5に示すように、理想とする基準クロックの周期Tに対して、W個のサブ画素クロックを用いて生成可能な第1の画素クロックの周期C(n)1、又はW+1個のサブ画素クロックを用いて生成可能な第2の画素クロックの周期C(n)2が、いずれも基準クロックの周期Tに一致しないケースが発生する。この場合、基準クロックの周期Tよりも周期が短い第1の画素クロックC(n)1を適用した場合は、双方のクロック周期にΔE(n)=T−C(n)1で算出されるプラスの誤差が生じる。また、基準クロックの周期Tよりも周期が長い第2の画素クロックC(n)2を適用した場合は、双方のクロック周期にΔE(n)=T−C(n)2で算出されるマイナスの誤差が生じる。こうしたクロック周期誤差を算出する機能部が誤差算出部34である。
累積誤差算出部35は、誤差算出部34で算出されるクロック周期誤差を累積した累積誤差を算出するものである。また、累積誤差算出部35は、基準個数に対するサブ画素クロックの増減(挿入又は削除)によって画素クロックの周期が補正された場合に、サブ画素クロックの挿入後又は削除後の累積誤差を算出するものである。
クロック周期補正部36は、累積誤差算出部35で算出された累積誤差の値と予め設定された累積誤差閾値とを比較し、この比較結果に基づいて、クロック周期の補正対象となる画素位置を特定するものである。具体的には、累積誤差の値が累積誤差閾値以下であれば、その画素位置で画素クロックの周期を補正しないと判断し、累積誤差の値が累積誤差閾値よりも大きければ、その画素位置で画素クロックの周期を補正すると判断する。累積誤差閾値は、サブ画素クロックの周期のJ倍(Jは自然数)以上となる条件で、任意の値に設定されるものである。したがって、累積誤差閾値がサブ画素クロックの周期のちょうどJ倍(Jは自然数)に設定されている場合は、累積誤差算出部35で算出した累積誤差の値がサブ画素クロックの周期のJ倍を超えた画素位置で、クロック周期補正部36が画素クロックの周期を補正すると判断することになる。
また、累積誤差閾値は、主走査方向で画像の書き込みが行われる有効領域(図2参照)を複数(例えば3つ、4つ、5つなど)の領域に区分した場合に、各々の領域ごとに個別に設定されるものである。このため、累積誤差閾値の設定は、次のような条件で行うことが可能である。すなわち、左右倍率ずれを補正する場合は、主走査方向の中間領域に比較して、書き始め側の領域と書き終わり側の領域で倍率ずれの補正量が多くなる。このため、主走査方向の中間領域に適用する累積誤差閾値に比較して、補正の間隔を広げたい書き始め側と書き終わり側の領域では、より大きな値で累積誤差閾値を設定することが可能である。具体的には、主走査方向の中間領域に適用する累積誤差閾値をサブ画素クロックの周期の1倍〜2倍の範囲内で設定するとともに、書き始め側と書き終わり側の領域に適用する累積誤差閾値をサブ画素クロックの周期の3倍〜4倍の範囲内で設定することが可能である。
また、クロック周期補正部36は、画素クロックの周期補正を行う画素位置を特定した場合に、その特定した画素位置で画素クロックの周期を補正するために、予め設定された基準個数に対して増減すべきサブ画素クロックの個数(挿入数、削除数)を算出し、この算出結果に基づく補正指示を画素クロック生成部33に与えることにより、当該画素クロック生成部33で生成される画素クロックの周期を補正するものである。さらに、クロック周期補正部36は、画素クロック生成部33への補正指示と同様の補正指示を累積誤差算出部35にも与える。
これに対して、画素クロック生成部33は、クロック周期補正部36からサブ画素クロックの増減数(挿入数、削除数)を含む補正指示を受けると、その補正指示にしたがって、画素クロックの生成に適用するサブ画素クロックの個数(カウント数)を増減することにより、画素クロックの周期を変化させる。サブ画素クロックの増減は予め設定された基準個数に対して行われるものである。例えば、基準となるサブ画素クロックの個数が64個に設定されている場合は、この基準個数に対して上記累積誤差閾値(自然数J)で規定される任意の数のサブ画素クロックを加算又は減算することにより、サブ画素クロックの増減が行われる。また、累積誤差算出部35では、クロック周期補正部36からの補正指示に含まれるサブ画素クロックの増減数に応じて、クロック周期補正後(サブ画素クロックの挿入後又は削除後)の累積誤差を算出する。
図6は上記制御回路によるレジずれ補正処理の手順を示すフローチャートである。このフローチャートにおいて、“n”の値は、主走査方向の画素位置を表す。“T”の値は、主走査倍率ずれを補正するための基準となる基準クロックの周期を表す。“C(n)”の値は、n画素位置の変調要求に応じて生成される画素クロックの周期を表す。“ΔE(n)”の値は、n画素位置で生じる基準クロックの周期Tと画素クロックの周期C(n)の誤差(クロック周期誤差)を表す。“Sum”の値は、累積誤差を表す。“p”の値は、サブ画素クロックの周期を表す。“Eth”の値は、累積誤差閾値を表す。“M”の値は、画素クロックの周期補正に適用されるサブ画素クロックの増減数を表す。
まず、ライン単位の初期化処理として、画素位置nの値と累積誤差Sumの値をそれぞれ零(ゼロ)にリセットする(ステップS1)。画素位置nの値は、画素クロック生成部33、誤差算出部34、累積誤差算出部35及びクロック周期補正部36で管理され、それぞれ同時にリセットされる。累積誤差Sumの値は、累積誤差算出部35でリセットされる。
次に、クロック周期誤差ΔE(n)の値を下記の(1)式に基づいて算出する(ステップS2)。クロック周期誤差ΔE(n)の算出は誤差算出部34で行われる。
ΔE(n)=T−C(n) …(1)
次に、累積誤差Sumの値を下記の(2)式に基づいて算出する(ステップS3)。累積誤差Sumの算出は累積誤差算出部35で行われ、その算出結果(累積誤差Sumの算出値)がクロック周期補正部36に通知される。
Sum=Sum+ΔE(n) …(2)
次いで、累積誤差Sumの絶対値が累積誤差閾値Ethよりも大きいかどうかを判断する(ステップS4)。ここで、累積誤差Sumの絶対値が累積誤差閾値Eth以下である場合は、後述するステップS11に移行する。また、累積誤差Sumの絶対値が累積誤差閾値Ethよりも大きい場合は、1つの画素クロックに対して当該クロック周期を補正するために増減すべきサブ画素クロックの個数Mを下記の(3)式に基づいて算出した後(ステップS5)、累積誤差Sumの値が零以上であるかどうかを判断する(ステップS6)。
M=int(|Sum|÷p) …(3)
ここで、累積誤差Sumの値が零以上である場合とは、主走査方向の各画素位置で基準クロックの周期Tよりも画素クロックの周期C(n)が短い状況が連続又は頻発した場合に相当する。このため、累積誤差Sumを小さくするには、画素クロックの周期が長くなるように補正する必要がある。また、累積誤差Sumの値が零未満である場合とは、主走査方向の各画素位置で基準クロックの周期Tよりも画素クロックの周期C(n)が長い状況が連続又は頻発した場合に相当する。このため、累積誤差Sumを小さくするには、画素クロックの周期が短くなるように補正する必要がある。
したがって、上記ステップS6で累積誤差Sumの値が零以上であれば、画素クロックの周期が長くなるように、n画素位置でサブ画素クロックをM個挿入した後(ステップS7)、当該挿入後の累積誤差Sumの値を以下の(4)式に基づいて算出する(ステップS8)。
Sum=Sum−(M×p) …(4)
また、上記ステップS6で累積誤差Sumの値が零未満であれば、画素クロックの周期が短くなるように、n画素位置でサブ画素クロックをM個削除した後(ステップS9)、当該削除後の累積誤差Sumの値を以下の(5)式に基づいて算出する(ステップS10)。ちなみに、ステップS4〜S7、S9の処理は、クロック周期補正部36で行われ、ステップS8,S10の処理は、累積誤差算出部35によって行われる。
Sum=Sum+(M×p) …(5)
ここで、クロック周期補正部36では、サブ画素クロックの増減数を規定する累積誤差閾値Ethを任意の値で設定することが可能である。したがって、例えば累積誤差閾値Ethをサブ画素クロック周期pの2以上の整数倍に設定した場合は、クロック周期を補正するために増減(挿入又は削除)すべきサブ画素クロックの個数Mも2以上の整数で算出される。また、上記ステップS4で累積誤差Sumの絶対値が累積誤差閾値Eth以下であった場合(No判定の場合)は、そこからステップS11に移行するため、n画素位置でサブ画素クロックの挿入や削除が行われない。したがって、画素クロック生成部33では、予め設定された基準個数、例えば64個のサブ画素クロックを用いて1つの画素クロックを生成することになる。
これに対して、ステップS7においては、n画素位置でサブ画素クロックをM個挿入する。このため、画素クロック生成部33では、上述した基準個数(本例では64個)に対して、挿入分を足し合わせた64+M個のサブ画素クロックを用いて1つの画素クロックを生成する。したがって、画素クロック生成部33で生成される画素クロックの周期は基準クロックの周期よりも長くなる。また、ステップS9においては、n画素位置でサブ画素クロックをM個削除する。このため、画素クロック生成部33では、上述した基準個数(本例では64個)に対して、削除分を差し引いた64−M個のサブ画素クロックを用いて1つの画素クロックを生成する。したがって、画素クロック生成部33で生成される画素クロックの周期は基準クロックの周期よりも短くなる。
その後、nの値を1インクリメントする(ステップS11)。これにより、主走査方向で注目する画素の位置が1つずれる。次いで、1ライン分の処理を終了したかどうかを判断し(ステップS12)、終了していない場合は上記ステップS2に戻る。また、1ライン分の処理を終了した場合は、1ページ分の処理を終了したかどうか判断する(ステップS13)。そして、1ページ分の処理を終了していない場合は上記ステップS1に戻り、終了した場合はその時点で一連の処理を終える。
以上のレジずれ補正処理においては、画素クロックの周期を補正するにあたって、1つの画素位置でサブ画素クロックを複数個まとめて増減(挿入又は削除)することができる。このため、1つの画素位置でサブ画素クロックを1個ずつ増減する場合に比較して、クロック周期の補正を行う画素の間隔(補正間隔)を広げることができる。すなわち、サブ画素クロックを1個ずつ増減する場合の補正間隔を“D1”とし、サブ画素クロックをM個(複数個)ずつ増減する場合の補正間隔を“Dm”とすると、補正間隔Dmは補正周期D1のM倍に相当するものとなる。
したがって、例えば、1つの画素位置で1個ずつサブ画素クロックを増減したときに図12(A)のように狭い補正間隔になるものとすると、1つの画素位置で3個まとめてサブ画素クロックを増減した場合は図12(B)のように3倍広い補正間隔を確保することが可能となる。また、1つの画素位置で1個ずつサブ画素クロックを増減したときに図12(C)のように補正間隔が徐々に広くなるものとすると、画素位置(補正量)に応じて最大4個まとめてサブ画素クロックを増減した場合は図12(D)のようにほぼ均一に広い補正間隔を確保することが可能となる。これにより、主走査方向で倍率ずれの補正量が多い領域であっても、上述した累積誤差閾値Ethを適宜設定することにより、十分に広い間隔で画素クロックの周期を補正することができる。したがって、主走査倍率ずれの補正周期がスクリーンの周期に干渉することを有効に防止することができる。また、画像の階調性を向上させるために、より大きなスクリーンマスクを採用可能になるなど、画質の向上に柔軟に対応することができる。
また、上記図6に示すフローチャートのなかで、一点鎖線で囲んだ処理フローに置き換えて、図7の処理フローを適用することにより、クロック周期の補正が行われる画素の位置をラインごとに変更することができる。すなわち、図7の処理フローでは、ライン単位の初期化処理(ステップS1)を行った後、次のステップS14で補正開始位置の設定を行う。このステップS14においては、ライン数“line”の値を1インクリメントするとともに、ライン数lineを変数とする関数“f(line)”を主走査方向の画素位置閾値“Sth”として算出する。
次いで、ステップS15では、主走査方向の画素位置を表すnの値が画素位置閾値Sthよりも大きいかどうかを判断する。ここで、nの値が画素位置閾値Sthよりも大きい場合は、ステップS2及びステップS3でそれぞれクロック周期誤差ΔE(n)の算出と累積誤差Sumの算出を行った後、図6のステップS4に進む。また、nの値が画素位置閾値Sth以下である場合は、ステップS2及びステップS3の処理を行うことなく、図6のステップS4に移行する。
ライン数lineは、副走査方向で現在処理中のライン位置を表す値である。したがって、1ライン目であればline=1となり、2ライン目であればline=2となる。f(line)は、ライン数lineを変数とし、スクリーン周期との干渉を最小化するためにスクリーン角に応じて変更される関数である。具体的には、図8に例示するように、所定ライン周期で繰り返される閾値を算出する関数である。主走査方向の画素位置閾値Sthは、主走査方向でレジずれ補正のためにクロック周期誤差や累積誤差の算出を開始する画素位置を規定する閾値である。ライン数lineは、処理中のライン位置が変わると、その値がインクリメント処理によって変わる。このため、ライン数lineとこれを変数とする関数f(line)は、隣り合うライン間で異なる値をとる。
したがって、ステップS14で関数f(line)により算出した画素位置閾値SthをステップS15に適用し、このステップS15でnの値が画素位置閾値Sthよりも大きくなった時点で、クロック周期誤差の算出と累積誤差の算出を開始することにより、クロック周期の補正が行われる画素の位置をラインごとに変更する(主走査方向にずらす)ことができる。このため、スクリーンの周期とレジずれの補正周期との干渉をより有効に防止することが可能となる。また、上記図6に示すフローチャートのままでも、ラインごとに異なる累積誤差閾値Ethを適用することにより、クロック周期の補正位置をラインごとに変えることができる。ちなみに、ステップS14,S15の処理は、いずれもクロック周期補正部36によって行われるものである。
図9は制御回路の他の構成例を示すブロック図である。図示した制御回路の構成においては、上述したサブ画素クロック生成部32、画素クロック生成部33、誤差算出部34、累積誤差算出部35、クロック周期補正部36に加えて、干渉周期情報生成部37を備えた構成となっている。
干渉周期情報生成部37は、スクリーンの周期と干渉するレジずれの補正周期(干渉周期)を特定し、この特定した干渉周期と異なる周期でレジずれの補正(画素クロックの周期補正)が行われるように、累積誤差閾値を設定(変更)するものである。累積誤差閾値は、上述のようにクロック周期補正部36でクロック周期の補正可否を判断する際に適用されるものである。スクリーンの周期は、例えばユーザが指定した画像の種類(テキスト、イメージなど)によって決まるため、その情報を受け取って認識すればよい。また、スクリーン周期と干渉しない補正周期の目安としては、少なくとも干渉周期より大となる条件(例えば、干渉周期よりも2〜3画素以上広い間隔)で補正間隔を確保する必要がある。したがって、干渉周期情報生成部37では、そうした補正間隔の条件を満たすように、累積誤差閾値を設定することになる。
この干渉周期情報生成部37を用いたレジずれ補正処理は、上記ステップS4で適用される累積誤差閾値Ethの設定が干渉周期情報生成部37で特定される干渉周期情報に基づいて行われる以外は、上記図6に示すフローチャートと同様の手順で行われる。このレジずれ補正処理においては、干渉周期情報生成部37で特定した干渉周期と異なる周期で、画素クロックの周期補正を行うことができる。このため、レジずれの補正周期がスクリーンの周期に干渉することを確実に防止することができる。
図10は制御回路のさらに他の構成例を示すブロック図である。図示した制御回路の構成においては、上述したサブ画素クロック生成部32、画素クロック生成部33、誤差算出部34、累積誤差算出部35、クロック周期補正部36に加えて、補正間隔管理部38を備えた構成となっている。
補正間隔管理部38は、クロック周期補正部36で画素クロックの周期を補正する場合に、クロック周期の補正対象となる画素の間隔(すなわち補正間隔)を管理するものである。さらに詳述すると、補正間隔管理部38は、上述のようにサブ画素クロックの増減(挿入又は削除)によって画素クロックの周期を補正する場合に、補正対象となる画素の間隔が、予め設定された所定の間隔よりも広くなるように管理するものである。所定の間隔は、レジずれの補正周期がスクリーンの周期と干渉しない条件で設定されるものである。所定の間隔は、上述した干渉周期情報生成部37で特定される干渉周期情報に基づいて設定することも可能である。
図11は補正間隔管理部38を用いたレジずれ補正処理の手順を示すフローチャートである。このフローチャートは、上記図6に示すフローチャートのなかで、二点鎖線で囲んだ処理フローに置き換えて適用されるものである。また、このフローチャートにおいて、“Pos”は補正間隔の計数値であり、“Kth”は補正間隔閾値である。補正間隔の計数値Posは、現在処理している画素位置が、前回画素クロックの周期補正を行った画素位置からどの程度の間隔で離れているかを表すものである。また、補正間隔閾値Kthは、上述した所定の間隔を規定するものである。
上記図6に示すレジずれ補正処理の手順と比較すると、補正間隔管理部38が行う処理として、新たにステップS16,S17,S18の処理が追加されている。このうち、ステップS16の処理は、ステップS4の1つ前に行われるものである。また、ステップS17の処理は、ステップS11の1つ前に行われ、ステップS18の処理は、ステップS11の1つ後に行われるものである。
ステップS16においては、補正間隔の計数値Posが補正間隔閾値Kthよりも大きいかどうかを判断する。ここで、補正間隔の計数値Posが補正間隔閾値Kth以下である場合は、ステップS11に移行する。また、補正間隔の計数値Posが補正間隔閾値Kthよりも大きい場合は、ステップS4に進む。
一方、ステップS17においては、補正間隔管理部38で管理される補正間隔の初期化処理として、補正間隔の計数値Posを零(ゼロ)にリセットする。また、ステップS18においては、補正間隔の計数値Posを1インクリメントする。このような処理を補正間隔管理部38で行うことにより、クロック周期補正部36でクロック周期の補正を行う画素の間隔が、補正間隔閾値Kthで規定される所定の間隔よりも広くなるように管理される。このため、クロック周期の補正間隔を所定の間隔よりも広く確保したうえで、サブ画素クロックの増減により画素クロックの周期を補正することができる。したがって、倍率ずれの補正量が多くなる領域であっても、補正間隔閾値Kthを適宜設定することにより、十分に広い間隔で画素クロックの周期を補正することができる。
また、補正間隔管理部38の処理機能として、所定の間隔を規定する補正間隔閾値Kthを主走査方向の画素位置に応じて変更することも可能である。これにより、例えば、主走査方向で画像の書き込みが行われる有効領域(図2参照)を複数(例えば3つ、4つ、5つなど)の領域に区分した場合は、各々の領域で異なる補正間隔閾値Kthを適用して補正間隔を管理することが可能となる。また、画像の色ごとに異なる補正間隔閾値Kthを適用することにより、クロック周期の補正間隔を画像の色ごとに変更することができる。
さらに、ライン単位の初期化処理(図6のステップS1の処理)のなかで、補正間隔の計数値Posを初期値に設定するとともに、この初期値をラインごとに設定変更することにより、クロック周期の補正位置をラインごとに変更する(主走査方向にずらす)ことができる。このため、補正間隔の計数値Posの初期値を各ラインで適宜設定することにより、クロック周期の補正位置をラインごとに制御することが可能となる。また、補正間隔の計数値Posとして、画像の色ごとに異なる初期値を適用することにより、クロック周期の補正位置を画像の色ごとに変更することができる。
1…デジタルカラー画像形成装置、5,6,7,8…感光体ドラム、32…サブ画素クロック生成部、33…画素クロック生成部、34…誤差算出部、35…累積誤差算出部、36…クロック周期補正部、37…干渉周期情報生成部、38…補正間隔管理部