JP5005162B2 - ベナゼプリル及びその類似体の生産に有用な中間体の速度論的分離 - Google Patents

ベナゼプリル及びその類似体の生産に有用な中間体の速度論的分離 Download PDF

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Description

本発明は、高血圧、慢性心不全、及び進行性慢性腎不全の治療において有用な、アンギオテンシン変換酵素(ACE)インヒビターの調製方法に関する。特に、本発明の方法は、3−[(1’−(アルコキシカルボニル)−3’−フェニルプロピル)アミノ]−2−オキソ−[1]−ベンザゼピン、及びその誘導体の大量生産に有用である。とりわけ本発明は、一つのジアステレオマー形態R,Sから、エピマー化の方法と、化学的化合物のクラスの速度論的分離を使用することによって、ベナゼプリルの生産のために所望される形態である別のジアステレオマー形態S,Sへ、ベナゼプリルの合成における中間体化合物を変換する独特の方法を表す。
最も一般的なACEインヒビターの一つは、ベナゼプリル、3−[(1−(エトキシカルボニル)−3−フェニル−(1S)−プロピル)アミノ]−2,3,4,5−テトラヒドロ−2−オキソ−1H−10(3S)−ベンザゼピン−1−酢酸であり、これは以下に示される一般式を有し、一般的に一塩酸塩形態(ベナゼプリルHCl)として市販されており、治療上の使用において経口で投与される。
Figure 0005005162
数多くの従前の文献及び特許が、ベナゼプリルの調製方法を開示しており、それらはHelvetica Chimica Acta(337頁, vol. 71, 1988)(非特許文献1)、Journal of the Chemical Society: Perkin Transaction I(1011頁, 1986)(非特許文献2)、米国特許第4,410,520号(1983)(特許文献1)、第4,473,575号(1984)(特許文献2)、第4,575,503号(1986)(特許文献3)、第4,600,534号(1986)(特許文献4)、第4,785,089号(1988)(特許文献5)、第5,066,801号(1991)(特許文献6)、及び第5,098,841号(1992)(特許文献7)を含む。
以前の方法は、ベナゼプリルの合成のため、3−(S)−アミノ−ε−カプロラクタムと縮合している2−(R)−ヒドロキシ−4−フェニルブトナートアルキルエステルのスルホナートエステルを使用する。しかしながら、スルホナートエステルの使用は、キラルな2−(R)−ヒドロキシ−4−フェニルブタナートアルキルエステルと、置換化フェニルスルホナートエステルの形態での高価な残基を必要とする。さらに前記反応は、場合により非所望のラセミ化を導き得る。
米国特許第4,410,520号(特許文献1)及び第4,575,503号(特許文献3)は、3−アミノ−[1]−ベンザゼピン−2−オン−1−アルカン酸の調製方法を開示している。この方法は、1位のカルボニル基にキラルなアミノ基を最初に結合することによって、または二工程の反応を通じて優れた残基で3位の炭素にキラルなアミノ基を結合することによって、複雑なものとなっている。その結果、この方法は、実施するのにより費用のかかるいくつかの複雑な反応工程を必要とする。
Helvetica Chimica Acta(337頁, vol. 71, 1988) Journal of the Chemical Society: Perkin Transaction I(1011頁, 1986) 米国特許第4,410,520号(1983) 米国特許第4,473,575号(1984) 米国特許第4,575,503号(1986) 米国特許第4,600,534号(1986) 米国特許第4,785,089号(1988) 米国特許第5,066,801号(1991) 米国特許第5,098,841号(1992)
3−[(1’−(アルコキシカルボニル)−3’−フェニルプロピル)アミノ]−2−オキソ−[1]−ベンザゼピン−(1−アルキル酸)のより単純で効率的な調製方法が所望されている。本発明は、ジアステレオマーの混合物の生産のための、2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−1−ベンザゼピン−2−オン誘導体の3位の炭素に対するキラルなアミノ酸エステルの直接的結合方法、及び高収率での非所望のジアステレオマー形態R,Sの、所望のジアステレオマー形態S,Sへの変換のための新規なエピマー化方法及び分離方法を開示する。かくして、ベナゼプリルのS,S形態の生産は、非常に単純化される。
治療薬として使用される場合の特定の化学的化合物については、一つの特異的ステレオアイソマーのみが有効である。同じ化合物の他のステレオアイソマーは、あまり有効ではないか、全く効果を有さない。一般的な方法では、速度論的分離(エピマー化の間の結晶化)が、混合物から単一のジアステレオマーを立体選択的に生産するために使用されている。Marianne Langston等, Organic Process Research & Development, 4: 530-533 (2000)参照。この方法の成功は、ジアステレオマーの間の大きな溶解度の差異、及び所望の光学中心の有効なエピマー化を容易にする条件に依存している。かくして、事前に決定された溶媒に、所望のジアステレオマーは低い溶解度を有するべきであり、かくして容易に沈降する一方で、所望のジアステレオマーは、比較的高い溶解度を有し、かくして溶液中に残存する。所望のジアステレオマーが結晶を形成するため、溶液中でのその濃度は低下し、非所望のジアステレオマーから所望のものへのさらなる変換を補助する条件となる。
重要なアンギオテンシン変換酵素(ACE)インヒビターであるベナゼプリルの合成は、前記化合物のS,Sジアステレオマー形態を調製する必要性のため、困難となっている。早期の中間体を化学的に分離する必要性、またはキラルな中間体を化学的に合成する必要性は、前記合成にかなりの費用を加える。例えば、Novartis Pharmaceticalsは、結晶化法に基づく(S)−キラルアミン形態の生産方法を報告した。この方法は、良好な収率の所望のS−キラルアミン形態を生産した一方で、その後に(S)−ホモフェニルアラニン部分の生産の必要な工程は非常に高価である。さらに、この方法で使用される高価なS−フェニルエチルアミンは、プロセッシングの間で完全に失われ、されに費用を増加させている。もしS−ホモフェニルアラニンが、ラセミ化なくしてベンズラクタム部分と結合でき、次いで所望の(S)キラルティーが、前記ラクタムに対するアルファ部位で誘導できれば、かなりずっと所望されるであろう。これらの工程が、本発明において記載されている。
スキーム1は、ベンズラクタムとS−ホモフェニルアラニンの結合、エピマー化を通じて形成される二つのジアステレオマーの分離、所望のS,S形態の量を著しく増大する速度論的分離工程の本発明を説明する。
スキーム2は、(1’S,3S)−3−[(1’−(エトキシカルボニル)−3’−フェニルプロピル)アミノ]−2,3,4,5−テトラヒドロ−2−オキソ−1H−ベンザゼピンの、アンギオテンシン変換酵素(ACE)インヒビターであるベナゼプリル塩酸への変換を説明する。
本発明の一つの目的は、3−[(S)−1’−(アルコキシカルボニル)−3’−フェニルプロピル)アミノ]−2−オキソ−[1]−ベンザゼピン、及びその誘導体の有効な調製方法を示すことである。式(III)の化合物が、式(I)の化合物と式(II)の化合物[式中、Rは低級アルキル、例えばエチル、プロピル、及びブチルである]の、非プロトン性極性溶媒中の相間移動触媒の存在下での塩基性条件下での反応によって調製できる。前記反応はさらに、アルカリ金属ハライド、例えばヨウ化ナトリウムまたはカリウムの添加によって触媒できる。
Figure 0005005162
[式中、Z はハロゲンである]
Figure 0005005162
[式中、R のそれぞれは水素、低級アルキル、または水素とアルキル基の組み合わせであり;R は1から4の炭素原子を有する低級アルキル基であり;Z はハロゲンである]
好ましい実施態様では、式(II)の化合物は、S−ホモフェニルアラニンアルキルエステルである。S−ホモフェニルアラニンアルキルエステルが光学的に純粋である場合、2位でのキラル中心は、ラセミ化なくして式(I)の化合物と反応でき、良好な収率の化合物(III)を形成する。
Figure 0005005162
それ故、ここで開示される方法によって得られる最初の生産物は、二つのみのジアステレオマー(以下では「S,S/R,S」)の純粋な混合物である。
従来法によって、即ち単純な結晶化を通じて、所望のS,S形態が分離できる。しかしながら、約30%の低い収率のみが得られ、かくして約70%のこの高価な物質が廃棄されるであろう。前記物質を結晶化の工程にリサイクルする方法を有することが所望される。これは、感受性のS−ホモフェニルアラニン分子におけるキラリティーを損なわずに、ラクタムに対してアルファ中心を選択的にエピマー化する方法を必要とする。S−ホモフェニルアラニンエステルプロトンの除去、かくしてエピマー化は、使用される全ての条件の下でより容易であることが示されているため、高い収率及び光学純度で、このエピマー化を達成する方法を所望した。本発明は、所望の(R,S),Sジアステレオマー混合物に非所望のR,S形態を選択的にエピマー化し、次いでそれを結晶化工程で再利用できるそのような方法を提供する。さらに、驚くべきことに、本発明は、中間体をリサイクルする必要を除去する速度論的分離によって、R,S形態を所望のS,S形態に直接変換する方法を示す。これは、スキーム1に模式的に説明されており、以下で議論される。
経済的な方法は、ホモフェニルアラニンエステルのキラル位置が、各種のエピマー化条件の下で、ベンズラクタムキラル位置よりも不安定であるという事実によって複雑化される。間違った位置で生ずるエピマー化は、前記物質をリサイクルする可能性を完全に破壊するであろう。しかしながら本出願人は、前記エステルのカルボン酸への最初の変換が、以下の二つの所望される効果、(1)間違った位置、即ちホモフェニルアラニンのキラル位置でのエピマー化の不活性化、及び(2)所望される位置、即ちベンズラクタムキラル位置での反応の誘導、を達成できることを発見した。かくして、前記カルボン酸化合物のR,Sジアステレオマーは、ラクタム位置での選択的エピマーから由来するRS,Sジアステレオマー混合物を生ずる、塩基性または中性条件の下でエピマー化反応を受ける。さらに、エピマー化及び結晶化条件の注意深い選択により、速度論的分離が実施されて、その間でR,Sジアステレオマーが高い収率で、直接所望されるS,Sジアステレオマーに変換されることが生じる。一度R,Sカルボン酸化合物が優勢にS,Sジアステレオマーに変換されると、それはエステル化のキラリティーの損失なくしてエステル化合物に変換される。
上述のエピマー化及び速度論的分離は、所望されるS,Sジアステレオマーが媒体中にあまり可溶性でないことを条件とする各種の条件の下で達成できる。最も優れた結果は、酸塩よりもむしろ遊離酸で得られる。エピマー化は熱的に生じさせることができ、それ故十分な高温を必要とする。この高温条件は、高沸点の溶媒を使用して、または沸騰温度に増大する圧力下で反応混合物を加熱することによって達成できる。良好な結果は、可溶性及び熱的必要条件が適合する範囲で、極性溶媒システムと非極性溶媒システムの両者で達成できる。例えば、キシレンと、エチレングリコール−水システムの両者が、エピマー化及びキラル誘導方法を実施するのに適していることが見出されている。プロピオン酸及び酢酸もまた、エピマー化及びキラル誘導方法を実施するために使用されて良い。前記方法は、各種の溶媒システムで実施できることが明らかである一方で、キシレンのような芳香族炭化水素が好ましい溶媒である。25℃から150℃の間の温度が、より非極性の溶媒で必要とされるより高温で示されている。各種の有機溶媒を使用するエピマー化またはラセミ化の実験の結果が、実施例に示されている。
カルボン酸化合物は、キラリティーの損失なくして再エステル化によって所望のエチルエステル化合物に変換できる。前記エステル化は、当業者に既知の数多くの方法で実施できるが、好ましい方法は、ジメチルアセタミドのような極性溶媒において、エチルブロミド及び炭酸カリウムと反応させることによる。
本発明は、以下の実施例によってより特定的に理解され、この実施例は例示的なものであり、本発明の範囲を制限するものではない。
Figure 0005005162
実施例1
Figure 0005005162
3−ブロモ−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−1−ベンザゼピン−2−オン(17.68g)を、Helvetica Chimica Acta(337頁, vol. 71, 1988)に記載のものと類似する方法によって調製した。L−ホモフェニルアラニンエチルエステル(L−HPAEE、19.91g)を、炭酸ナトリウムの溶液(100mlのHO中に15gのNaCO)中の酢酸エチルで、L−ホモフェニルアラニンエチルエステル(L−HPAE、HCl、30g)の塩化水素塩を抽出することによって調製した。
重炭酸ナトリウム(6.84g)、テトラ−n−ブチルアンモニウムブロミド(TBAB、1.191g)、3−ブロモ−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−1−ベンザゼピン−2−オン(17.68g)、及びN,N−ジメチルアセタミド(40ml)を、窒素環境下でフラスコに連続的に加えた。L−HPAEEをN,N−ジメチルアセタミド(30ml)と混合し、次いで混合物をフラスコに加えた。混合物を攪拌し、110℃で6時間加熱した。この温度で、重炭酸ナトリウムを主に炭酸ナトリウムに変換する。
混合物をさらに抽出し、高圧液体クロマトグラフィー(HPLC)によって分析し、その結果は、39.5%の(1’S,3S)−3−[(1’−(エトキシカルボニル)−3’−フェニルプロピル)アミノ]−2,3,4,5−テトラヒドロ−2−オキソ−1H−ベンザゼピンと、40.31%の(1’S,3R)−3−[(1’−(エトキシカルボニル)−3’−フェニルプロピル)アミノ]−2,3,4,5−テトラヒドロ−2−オキソ−1H−ベンザゼピンを示した。生産物の所望のS,S形態を、25%から33%の収率で酢酸エチルとヘプタンの溶媒を使用して結晶化できた。
実施例2
ヨウ化ナトリウム(0.96g)を加えて、ハロゲンの交換の反応速度を促進し、副産物の量を減少することを除いて、実施例Aの方法を繰り返した。その結果は、40.7%の(1’S,3S)−3−[(1’−(エトキシカルボニル)−3’−フェニルプロピル)アミノ]−2,3,4,5−テトラヒドロ−2−オキソ−1H−ベンザゼピンと、41.4%の(1’S,3R)−3−[(1’−(エトキシカルボニル)−3’−フェニルプロピル)アミノ]−2,3,4,5−テトラヒドロ−2−オキソ−1H−ベンザゼピンを含む混合物を示した。
実施例3
(1’S,3R,S)−3−[(1’−カルボキシル−3’−フェニルプロピル)アミノ]−2,3,4,5−テトラヒドロ−2−オキソ−1H−ベンザゼピン(IV)
(1’S,3R,S)−3−[(1’−カルボキシル−3’−フェニルプロピル)アミノ]−2,3,4,5−テトラヒドロ−2−オキソ−1H−ベンザピンエチルエステル(III)(2.47kg)を、1リットルのメタノールに溶解した。その後、3N水性NaOH(2.4L)を反応混合物に加え、混合物を40−50℃で2時間攪拌した。スラリーを冷却し、2N塩化水素酸(3436ml)を加えて溶液を酸性化した。蒸留によりメタノールを除去して固体を生産し、それを濾過し、水で洗浄し、減圧下で乾燥し、1.86kgの粗酸(IV)を得た。
実施例4
(1’S,3,S)−3−[(1’−カルボキシル−3’−フェニルプロピル)アミノ]−2,3,4,5−テトラヒドロ−2−オキソ−1H−ベンザゼピン(V)
キシレン(30L)を1.86kgの化合物IVに加えた。スラリーを、約1.5気圧で150−155℃で8時間加熱した。反応混合物を室温に冷却した。固体を濾過によって回収し、減圧下で乾燥し、HPLCによって測定すると98:2のS,S:R,Sジアステレオマー混合物として、1.67kgの(S,S)ジアステレオマー(V)を得た。HPLCによって測定するとエナンチオマーの比は、S,S:R,R=93:7であり、化学収率は92%であった。前記化合物は以下の特徴を有した:
Figure 0005005162
実施例5
実施例4と同様な態様で、キシレン(2.76L)を化合物IV(83g)に加えた。スラリーを138−143℃に加熱し、この温度で3時間維持した。この期間の後、混合物を室温に冷却した。濾過により固体を回収し、減圧下で乾燥し、HPLCにより測定すると97:03のジアステレオマー混合物として、74.7gの化合物V(S,S)を得た。HPLCにより測定するとエナンチオマーの比は、SS:RR=95:05であり、収率は86%である。
実施例6
実施例4と同様な態様で、プロピオン酸(12ml)を化合物IV(2g)に加えた。スラリーを60℃で30分攪拌した。この期間の後、反応混合物を25℃に冷却した。濾過により固体を回収し、酢酸エチルで洗浄し、減圧下で乾燥し、HPLCにより測定すると70:30のジアステレオマー混合物として、1.5gの化合物Vを得た。HPLCにより測定するとエナンチオマーの比は、SS:RR=86:14であり、収率は75%である。
実施例7
実施例4と同様な態様で、酢酸(6ml)を化合物IV(1g)に加えた。スラリーを室温で1時間攪拌した。濾過により固体を回収し、酢酸エチルで洗浄し、減圧下で乾燥し、HPLCにより測定すると99:1のジアステレオマー混合物として、0.7gの化合物Vを得た。HPLCにより測定するとエナンチオマーの比は、SS:RR=85:15であり、収率は70%である。
実施例8
実施例4と同様な態様で、エチレングリコール(9ml)とHO(1ml)を化合物IV(1g)に加えた。スラリーを138℃に加熱し、この温度で3.5時間攪拌した。この期間の後、反応混合物を25℃に冷却した。濾過により固体を回収し、酢酸エチルで洗浄し、減圧下で乾燥し、HPLCにより測定すると99:01のジアステレオマー混合物として、0.83gの化合物Vを得た。HPLCにより測定するとエナンチオマーの比は、SS:RR=81:19であり、収率は83%である。
実施例9
(1’S,3R)−3−[(1’−カルボキシル−3’−フェニルプロピル)アミノ]−2,3,4,5−テトラヒドロ−2−オキソ−1H−ベンザゼピン(100mg)とTHF(5mL)を混合し、0℃に冷却した。次いでCH3ONa(30mg)を反応混合物に加えた。次いで反応温度を25℃で1時間維持した。3N HCl溶液によってpHを2.5から2.0に調節した。固体を濾過により回収し、減圧下で乾燥し、HPLCにより測定すると54:46のS,S:R,Sのジアステレオマー混合物として、93mgの化合物(IV)を得た。
実施例10
(1’S,3S)−3−[(1’−(エトキシカルボニル)−3’−フェニルプロピル)アミノ]−2,3,4,5−テトラヒドロ−2−オキソ−1H−ベンザゼピン(VI)
化合物V(450g)、N,N−ジメチルアセチルアミド(2L)、ブロモエタン(115ml)、及び炭酸カリウム(65g)を、反応フラスコに加えた。反応混合物を60−70℃に加熱し、この温度で2時間攪拌した。混合物を冷却し、3.5Lの水を10℃で混合物に加えた。生成した沈降物を濾過により回収し、さらに2Lの水で洗浄し、減圧下で乾燥し、520gの粗固体を得た。この固体を、0.6Lの酢酸エチルと1.2Lのヘプタンの混合物に40−50℃で溶解した。溶液を30℃に冷却し、生産物を濾過により単離し、HPLCにより測定すると>99:1のジアステレオマー混合物として390gのVI(S,S)を得た。HPLCにより測定したエナンチオマーの比は、SS:RRが>99.5:0.5であり、収率は80%である。この化合物は以下のような特徴を有する:
Figure 0005005162
Figure 0005005162
本発明は、実施例として提供された上述の実施態様のみに制限されるものではなく、添付した特許請求の範囲によって規定された保護の範囲内で各種の方法で変更できる。
かくして、本発明の好ましい実施態様に適用される、本発明の基本的な新規な特徴が示され、記載され、指摘される一方で、説明されたデバイスの形態及び詳細において、及びそれらの操作において、各種の省略、及び置換、及び変更が、本発明の精神から離れることなく当業者により実施され得ることが理解されるであろう。例えば、本発明のエレメントの全ての組合せ、及び/または同じ結果を達成する実質的に同様な方法で、実質的に同じ機能を実施する方法工程が、本発明の範囲内に存在することが明らかに企図される。さらに、本発明の開示された形態または実施態様と関連して示された、及び/または記載されたエレメント、及び/または方法工程は、デザインの選択の一般的な態様として、いずれかの他の開示された、または記載された、または提案された形態または実施態様に取り込まれて良い。それ故、ここに添付された特許請求の範囲によって示されたもののみが本発明を制限するものである。ここで引用された全ての参考文献は、参考として完全にここに取り込まれる。

Claims (8)

  1. 下式(III):
    Figure 0005005162
    の化合物の調製方法であって、下式(I):
    Figure 0005005162
    [式中、Zはハロゲンである]
    の化合物を、下式(II):
    Figure 0005005162
    [式中、Rのそれぞれは水素、低級アルキル、または水素とアルキル基の組み合わせであり;Rは1から4の炭素原子を有する低級アルキル基であり;Zはハロゲンである]
    の化合物と、相間移動触媒によって触媒される非プロトン性極性溶媒において反応させる工程を含む方法。
  2. 相間移動触媒が、テトラ−アルキルアンモニウムハライド、N−ドデシル−N−メチル−エフェドリニウムハライド、フェニルトリメチルアンモニウムハライド、フェニルトリメチルアンモニウムメトスルファート、ベンジルトリメチルアンモニウムハライド、N−ベンジルシンコニニウムハライド、ベンジルジメチルドデシルアンモニウムハライド、及びベンゼトニウムハライドからなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
  3. 前記反応が、アルカリ金属ハライド塩によってさらに触媒される、請求項1に記載の方法。
  4. 前記塩が、ヨウ化ナトリウムまたはヨウ化リチウムである、請求項3に記載の方法。
  5. 前記反応が、塩基性条件下で実施される、請求項1に記載の方法。
  6. 前記塩基性条件が、重炭酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、重炭酸カリウム、炭酸カリウム、炭酸リチウム、及び炭酸バリウムからなる群から選択される塩基を添加することによって提供される、請求項5に記載の方法。
  7. 前記反応温度が60℃から140℃の間である、請求項1に記載の方法。
  8. 式(III)の化合物が塩酸ベナゼプリルに更に変換される、請求項1に記載の方法。
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