JP5000584B2 - 電流センサ - Google Patents

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本発明は、第1ホール素子および第2ホール素子を用いた電流センサに関する。
従来より、ホール素子を利用した電流センサを用いて、各種電気機器のライン電流の電流値を検出することが行われている。
この電流センサでは、具体的には、ギャップを有するコアを用意し、測定対象となるライン電流がコアの中心軸上を通過するように配置する。そして、ギャップの間にホール素子を配置し、このホール素子に制御電流を流す。
この電流センサによれば、ライン電流に比例して発生する磁力は、コアで収束されて、ホール素子を通過する。すると、このホール素子は、磁力を電圧に変換して、検出信号として出力する。
ところで、以上の電流センサを構成するホール素子には、部品較差、固体差等に伴う固有のオフセット電圧が存在する。そこで、ホール素子のオフセット電圧を予め測定しておき、この測定結果に基づいてオフセット電圧を除去する手法がある。この手法によれば、応答性を維持しつつオフセット電圧を除去できるが、このオフセット電圧は、周囲温度の変化や時間の経過に伴って変化するという特性があるため、一度設定したオフセット電圧のレベルが変化する場合があった。
この問題を解決するため、ホール素子に流す制御電流の極性を切り換えるチョッピング制御を行って、出力された電流検出信号の差分値を求めることにより、ホール素子のオフセット電圧を除去する手法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
この手法によれば、周囲温度の変化や時間の経過などによりオフセット電圧のレベルが変化しても、このオフセット電圧を動的に除去できる。
特開2005−300303号公報
しかしながら、特許文献1に示された手法では、電流の極性を切り換えるための時間や出力信号が安定するまでの時間、演算に必要な時間等が制約となり、チョッピング周波数を上げることに限界があった。よって、応答性が低くなる、という問題があった。
本発明は、オフセットを動的に除去できかつ応答性が高い電流センサを提供することを目的とする。
本発明の電流センサ(例えば、後述の電流センサ1)は、第1ホール素子(例えば、後述の第1ホール素子11)および第2ホール素子(例えば、後述の第2ホール素子21)を用いた電流センサであって、前記第1ホール素子から出力される第1センサ信号の波形に、第2ホール素子から出力される第2センサ信号の波形が一致するように、当該第2センサ信号の波形を修正するための修正値を求める修正値演算手段(例えば、後述の補正値演算回路33)と、前記第2ホール素子の電源の極性を切り換えて、極性が反転した反転第2センサ信号を前記第2ホール素子から出力させる電源切換手段(例えば、後述のシーケンス制御回路38)と、前記修正値に基づいて、前記反転第2センサ信号の波形を修正する波形修正手段(例えば、後述の波形修正回路34)と、前記修正した反転第2センサ信号および前記第1センサ信号に基づいて、オフセット量を検出するオフセット検出手段(例えば、後述のオフセット検出回路35)と、前記第1センサ信号から前記検出したオフセット量を除去するオフセット除去手段(例えば、後述の減算器37)と、を備えることを特微とする。
この場合、前記第1センサ信号および前記第2センサ信号のそれぞれの最大値および最小値を検出するピーク検出手段(例えば、後述の第1ピーク検出回路31および第2ピーク検出回路32)を備え、前記修正値演算手段は、前記ピーク検出手段で検出した最大値および最小値に基づいて、ゲインのずれ量およびピークのずれ量を前記修正値として求めることが好ましい。
この場合、前記オフセット検出手段は、前記修正した反転第2センサ信号と前記第1センサ信号との交差点または平均値を、オフセット量として検出することが好ましい。
この場合、前記オフセット検出手段と前記オフセット除去手段との間に設けられ、前記オフセット検出手段で検出したオフセット量をラッチするサンプルアンドホールド回路(例えば、後述のサンプルアンドホールド回路36)を備えることが好ましい。
この発明によれば、以下の手順で、オフセットを除去する。
まず、修正値演算手段により、第1ホール素子から出力される第1センサ信号の波形に、第2ホール素子から出力される第2センサ信号の波形が一致するように、当該第2センサ信号の波形を修正するための修正値を求める。
次に、電源切換手段により、第2ホール素子の電源の極性を切り換えて、極性が反転した反転第2センサ信号を第2ホール素子から出力させる。
次に、波形修正手段により、修正値に基づいて、反転第2センサ信号の波形を修正する。
次に、オフセット検出手段により、修正した反転第2センサ信号および第1センサ信号に基づいて、オフセット量を検出する。
次に、オフセット除去手段により、第1センサ信号から検出したオフセット量を除去する。
これにより、チョッピング制御を行わないため、応答性が高くなる。また、オフセット量が変化しても、このオフセット量の変化に追従して、動的にオフセットを除去できる。
さらに、修正値を用いるので、第1ホール素子の特性と第2ホール素子の特性とが異なっても、精度良くオフセットを除去できる。
また、オフセット量を検出している期間、第2ホール素子からの出力信号の極性を反転させるため、オフセット量の出力が途切れてしまう。
そこで、この発明によれば、オフセット検出手段とオフセット除去手段との間にサンプルアンドホールド回路を設けた。よって、オフセット量を途切れることなく連続して出力できる。
本発明によれば、チョッピング制御を行わないため、応答性が高くなる。また、オフセット量が変化しても、このオフセット量の変化に追従して、動的にオフセットを除去できる。さらに、修正値を用いるので、第1ホール素子の特性と第2ホール素子の特性とが異なっても、精度良くオフセットを除去できる。
以下、本発明の一実施形態について説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る電流センサ1の信号処理回路の構成を示す図である。
電流センサ1は、第1ホール素子回路10、第2ホール素子回路20、ピーク検出手段としての第1ピーク検出回路31、ピーク検出手段としての第2ピーク検出回路32、修正値演算手段としての補正値演算回路33、波形修正手段としての波形修正回路34、オフセット検出手段としてのオフセット検出回路35、サンプルアンドホールド回路36、オフセット除去手段としての減算器37、および、これらを制御する電源切換手段としてのシーケンス制御回路38を備える。
第1ホール素子回路10は、磁気を電気信号に変換して出力する回路である。この出力信号には、オフセットが含まれる。
この第1ホール素子回路10は、第1ホール素子11および差動増幅器12を備える。
差動増幅器12は、入力される2つの信号の差分を増幅して出力するものである。ここで、この差動増幅器12のゲインは、適切な値に設定されているものとする。
第1ホール素子11は、磁気を電気信号に変換する略十字形状の素子であり、相対向して設けられたホール端子11a、11bと、これら11a、11bの配置方向とは交差する方向に相対向して設けられたホール端子11c、11dと、を備える。
ホール端子11aは、定電流源13に接続され、ホール端子11bは、グランドに接続され、ホール端子13cは、差動増幅器12の正端子に接続され、ホール端子13dは、差動増幅器12の負端子に接続される。
第2ホール素子回路20は、磁気を電気信号に変換して出力する回路である。この出力信号には、オフセットが含まれている。
この第2ホール素子回路20は、第2ホール素子21、スイッチ回路網22、および差動増幅器23を備える。
差動増幅器23は、入力される2つの信号の差分を増幅して出力するものである。ここで、この差動増幅器23のゲインは、適切な値に設定されているものとする。
第2ホール素子21は、磁気を電気信号に変換する略十字形状の素子であり、相対向して設けられたホール端子21a、21bと、これら21a、21bの配置方向とは交差する方向に相対向して設けられたホール端子21c、21dと、を備える。
ホール端子21cは、差動増幅器23の正端子に接続され、ホール端子21dは、差動増幅器23の負端子に接続される。
スイッチ回路網22は、4つのスイッチSa、Sb、Sc、Sdからなる。スイッチSaの一端は、定電流源24に接続され、他端は、ホール端子21aに接続される。スイッチSbの一端は、グランドに接続され、他端は、ホール端子21aに接続される。スイッチScの一端は、定電流源24に接続され、他端は、ホール端子21bに接続される。スイッチSdの一端は、グランドに接続され、他端は、ホール端子21bに接続される。
スイッチ回路網22では、スイッチSa、Sdを閉じてスイッチSb、Scを開いた状態と、スイッチSa、Sdを開いてスイッチSb、Scを閉じた状態と、を切り換え可能となっている。
以上の第2ホール素子回路20によれば、スイッチ回路網22を制御することにより、定電流源24から第2ホール素子21に供給する電流の極性を切り換えて、出力信号の極性を反転できる。
第1ピーク検出回路31は、シーケンス制御回路38から初期化信号が入力されると、その後の一定期間に亘って、第1ホール素子回路10の出力信号の最大値および最小値を検出する。
第2ピーク検出回路32は、シーケンス制御回路38から初期化信号が入力されると、その後の一定期間に亘って、第2ホール素子回路20の出力信号の最大値および最小値を検出する。
補正値演算回路33は、第1ピーク検出回路31および第2ピーク検出回路32で検出した出力信号の最大値および最小値に基づいて、第1ホール素子回路10の第1センサ信号としての出力信号の波形に、第2ホール素子回路20の第2センサ信号としての出力信号の波形が一致するように、第2ホール素子回路20の出力信号の波形を修正するための修正値を求める。
波形修正回路34は、第2ホール素子回路20からの出力信号を修正値に基づいて修正する。
オフセット検出回路35は、入力される2つの信号に基づいて、オフセット量を求める。具体的には、入力される2つの信号の交差する点または平均値を求めて、オフセット量とする。
サンプルアンドホールド回路36は、入力信号を所定のサンプリング周波数でサンプリングし、サンプリングした値を一時的に保持する回路である。具体的には、オフセット検出回路35で検出したオフセット量をラッチする。
減算器37は、第1ホール素子回路10の出力信号からオフセット量を除去する。
以上の電流センサ1の動作を、図2のフローチャートを参照しながら説明する。
まず、第1ホール素子回路10から信号Sig(HE1)が出力され、第2ホール素子回路20から信号Sig(HE2)が出力されているものとする。これら信号Sig(HE1)および信号Sig(HE2)は、同時に得られる信号であるため、印加磁界に対する位相の変化が同じになっている。
ステップS1では、シーケンス制御回路38により第1ピーク検出回路31を初期化し、その後、この第1ピーク検出回路31により、図3に示すように、第1ホール素子回路10から出力される信号Sig(HE1)の最大値および最小値を検出する。
ステップS2では、シーケンス制御回路38により第2ピーク検出回路32を初期化し、その後、この第2ピーク検出回路32により、図3に示すように、第2ホール素子回路20から出力される信号Sig(HE2)の最大値および最小値を検出する。
ステップS3では、補正値演算回路33により、信号Sig(HE1)と信号Sig(HE2)とのゲインのずれ量およびピークのずれ量を修正値として求める。
具体的には、第1ピーク検出回路31および第2ピーク検出回路32から出力される最大値および最小値に基づいて、図4に示すように、ゲインおよびピークのずれ量を修正値として求める。
ステップS4では、波形修正回路34により、修正値に基づいて、図5に示すように、信号Sig(HE2)の波形を修正する。すると、この信号Sig(HE2)の波形は信号Sig(HE1)の波形に近似することになる。
ステップS5では、シーケンス制御回路38により、第2ホール素子回路20のスイッチ回路網22を切り換えて、波形の極性が反転した反転信号dSig(HE2)を第2ホール素子回路20から出力させる。すると、波形修正回路34により、この反転信号dSig(HE2)の波形は、既に求めた修正値に基づいて修正される。
ステップS6では、修正した反転信号dSig(HE2)と信号Sig(HE1)とを用いて、オフセット量を求める。
ここで、信号Sig(HE1)は、修正した信号Sig(HE2)と等しいため、修正した反転信号dSig(HE2)と、信号Sig(HE1)と、を比較して、オフセット量を求める。
具体的には、図6に示すように、修正した反転信号dSig(HE2)と信号Sig(HE1)との交差する点または平均値を求めて、オフセット量とする。
例えば、信号Sig(HE1)、信号Sig(HE2)のオフセット量をofsetとすると、
信号Sig(HE1)= Sig(HE1)+ofset
修正した反転信号dSig(HE2)=−Sig(HE2)+ofset
となる。
そこで、信号Sig(HE1)と、修正した反転信号dSig(HE2)と、を加算すると、以下のようになる。
((Sig(HE1)+ofset)+(−Sig(HE2)+ofset)
≒2・ofset
このようにして、オフセット量ofsetを求めることができる。
ステップS7では、シーケンス制御回路38により、第2ホール素子回路20のスイッチ回路網22を再び切り換えて、信号Sig(HE2)を第2ホール素子回路20から出力させる。
ステップS8では、減算器37により、信号Sig(HE1)からオフセット量を除去する。
本実施形態によれば、以下のような効果がある。
(1)チョッピング制御を行わないため、応答性が高くなる。また、オフセット量が変化しても、このオフセット量の変化に追従して、動的にオフセットを除去できる。
さらに、修正値を用いるので、第1ホール素子11の特性と第2ホール素子21の特性とが異なっても、精度良くオフセットを除去できる。
(2)オフセット検出回路35と減算器37との間にサンプルアンドホールド回路36を設けた。これにより、オフセット量を途切れることなく連続して出力できる。
(3)第1ホール素子回路10の出力信号を主信号として、この主信号の極性を反転させずにオフセット量を調整したので、第1ホール素子回路10から主信号を常時出力できる。
(4)オフセット量のドリフトは緩やかであるため、第2ホール素子回路20の出力信号の極性を頻繁に反転させずに間欠的に補正することにより、電力消費を抑えることができる。
なお、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
例えば、本実施形態では、第2ホール素子回路20の出力信号のオフセット量およびゲインの両方を調整したが、これに限らず、第1ホール素子回路10および第2ホール素子回路20からの出力信号の特性に応じて、どちらか一方のみを調整してもよい。
具体的には、第1ホール素子回路10や第2ホール素子回路20からの出力信号が緩やかに変化する信号である場合、この出力信号の最大値および最小値を検出することが困難となる。そこで、この場合、第1ピーク検出回路31および第2ピーク検出回路32を設けず、ゲインは同一であるとみなして、オフセット量を検出してもよい。
本発明の一実施形態に係る電流センサの信号処理回路の構成を示す図である。 前記実施形態に係る電流センサの動作を示すフローチャートである。 前記実施形態に係る電流センサについて、出力信号の最大値よび最小値を検出する手順を説明するための図である。 前記実施形態に係る電流センサについて、出力信号のゲインおよびピークのずれ量を検出する手順を説明するための図である。 前記実施形態に係る電流センサについて、出力信号の波形を修正する手順を説明するための図である。 前記実施形態に係る電流センサについて、オフセット量を検出する手順を説明するための図である。
符号の説明
1 電流センサ
11 第1ホール素子
21 第2ホール素子
31 第1ピーク検出回路(ピーク検出手段)
32 第2ピーク検出回路(ピーク検出手段)
33 補正値演算回路(修正値演算手段)
34 波形修正回路(波形修正手段)
35 オフセット検出回路(オフセット検出手段)
36 サンプルアンドホールド回路
37 減算器(オフセット除去手段)
38 シーケンス制御回路(電源切換手段)

Claims (4)

  1. 第1ホール素子および第2ホール素子を用いた電流センサであって、
    前記第1ホール素子から出力される第1センサ信号の波形に、第2ホール素子から出力される第2センサ信号の波形が一致するように、当該第2センサ信号の波形を修正するための修正値を求める修正値演算手段と、
    前記第2ホール素子の電源の極性を切り換えて、極性が反転した反転第2センサ信号を前記第2ホール素子から出力させる電源切換手段と、
    前記修正値に基づいて、前記反転第2センサ信号の波形を修正する波形修正手段と、
    前記修正した反転第2センサ信号および前記第1センサ信号に基づいて、オフセット量を検出するオフセット検出手段と、
    前記第1センサ信号から前記検出したオフセット量を除去するオフセット除去手段と、を備えることを特微とする電流センサ。
  2. 請求項1に記載の電流センサにおいて、
    前記第1センサ信号および前記第2センサ信号のそれぞれの最大値および最小値を検出するピーク検出手段を備え、
    前記修正値演算手段は、前記ピーク検出手段で検出した最大値および最小値に基づいて、ゲインのずれ量およびピークのずれ量を前記修正値として求めることを特徴とする電流センサ。
  3. 請求項1に記載の電流センサにおいて、
    前記オフセット検出手段は、前記修正した反転第2センサ信号と前記第1センサ信号との交差点または平均値を、オフセット量として検出することを特徴とする電流センサ。
  4. 請求項1に記載の電流センサにおいて、
    前記オフセット検出手段と前記オフセット除去手段との間に設けられ、前記オフセット検出手段で検出したオフセット量をラッチするサンプルアンドホールド回路を備えることを特徴とする電流センサ。
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