JPH07294561A - 電流計測装置 - Google Patents

電流計測装置

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JPH07294561A
JPH07294561A JP6092673A JP9267394A JPH07294561A JP H07294561 A JPH07294561 A JP H07294561A JP 6092673 A JP6092673 A JP 6092673A JP 9267394 A JP9267394 A JP 9267394A JP H07294561 A JPH07294561 A JP H07294561A
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Fumio Asakura
史生 浅倉
Michiyasu Moritsugu
通泰 森次
Takahide Kitahara
高秀 北原
Kosuke Suzui
康介 鈴井
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Toyota Motor Corp
Soken Inc
Original Assignee
Nippon Soken Inc
Toyota Motor Corp
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 構成の簡略化を図るとともに、応答性を向上
させる。 【構成】 一対のホール素子3,4は、コアに設けられ
たギャップに配置されている。ホール素子3,4は、不
平衡電圧の温度ドリフトの傾向が互いに同じであり、単
結晶シリコン基板11上において一方のホール素子3が
正規動作、他方のホール素子4が反転動作するべく配置
されている。ホール素子3,4の各ホール端子には各々
差動増幅器8,9を介して加算回路10が接続されてい
る。ホール素子3,4は、ギャップ内の磁束密度に応じ
たホール電圧を出力する。このとき、互いに同じ温度ド
リフトの傾向を有する一対のホール素子3,4が各々正
規動作・反転動作することにより、いかなる使用温度域
においても不平衡電圧が相殺される。また、本構成で
は、従来の装置とは異なりホール素子の端子切り換えが
不要であるため、構成の簡略化と応答性の向上とが実現
される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、環状の強磁性体の一
部にギャップを有するコアと、同ギャップ内に配置され
たホール素子とを用いた電流計測装置に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】この種の電流計測装置において、微小な
磁界を高精度で計測するためには、零磁界でのホール素
子の周囲温度変化による出力電圧(不平衡電圧)が問題
となる。周囲温度が変化しても不平衡電圧が許容誤差内
で変化する場合を除いて、不平衡電圧の対策が必要とな
る。そこで、ホール素子の不平衡電圧を補正する従来の
電流計測装置として、1つのホール素子を交互に正規動
作及び反転動作させ、両動作時のホール電圧の平均値に
基づいて電流計測を行うようにした装置が開示されてい
る(例えば、特開昭57−42865号公報)。
【0003】図10は、従来の電流計測装置の電気的構
成を示している。図10において、十字形をなすホール
素子21は、環状の強磁性体コアに設けられたギャップ
(図示しない)に配置される。ホール素子21の4つの
各端子21a〜21dには、切換制御回路22からの切
換信号に応じてオン・オフ動作するスイッチ23a〜2
3dが接続されている。そして、各スイッチ23a〜2
3dのオン・オフによりホール素子21の電流端子とホ
ール端子とが切り換えられ、その端子切り換えに応じて
ホール素子21が正規動作又は反転動作する。このと
き、電流端子に定電流回路24からの制御電流が供給さ
れることにより、ホール端子に前記ギャップでの磁界強
度に応じたホール電圧が発生し、このホール電圧に基づ
いて電流計測が行われる。
【0004】より具体的には、切換制御回路22からの
切換信号=オンであればホール素子21の端子21a,
21bが電流端子、端子21c,21dがホール端子と
なる(図10に示す状態)。この場合、端子21c,2
1dから出力されるホール電圧が差動増幅器25で増幅
された後、サンプルホールド回路27にてホールドされ
る。また、これとは逆に、切換信号=オフであればホー
ル素子21の端子21a,21bがホール端子、端子2
1c,21dが電流端子となり、端子21a,21bか
らのホール電圧が差動増幅器26で増幅された後、サン
プルホールド回路28にてホールドされる。そして、上
記2つの場合におけるホール電圧が加算回路29にて加
算され、電流計測装置の出力が求められる。
【0005】即ち、前記切換信号のオン・オフ動作に伴
う電流端子及びホール端子の切り換えにより、ホール素
子は正規動作と反転動作とを交互に繰り返す。このと
き、ホール素子の不平衡電圧は、同素子の正規動作・反
転動作によりその符号が反転することから、両動作時に
おけるホール電圧の加算により不平衡電圧が相殺され
る。その結果、不平衡電圧分が補正された出力が得られ
る。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】ところが、上記従来の
構成では、ホール素子21の正規動作・反転動作の切り
換え動作により応答速度が遅くなるという問題が生じ
る。即ち、制御電流をオン・オフさせる上記電流計測装
置では、ホール素子21の制御電流の立ち上がり時にお
けるホール電圧の安定に時間がかかるため、ホール電圧
を安定的に出力させるためには応答性の悪化を招く。具
体的には、磁界変化によるホール素子21の応答周波数
が数100Hzから数MHz以上であるのに対して、上
記電流計測装置の応答周波数は数10kHzが限界とな
ってしまう。
【0007】また、従来の構成では、ホール素子21を
正規・反転動作させるためには、切換制御回路22、ス
イッチ23a〜23d、サンプルホールド回路27,2
8が必要となり、構成の複雑化や高コスト化を招く原因
となっていた。
【0008】この発明は、上記問題に着目してなされた
ものであって、その目的とするところは、構成の簡略化
を図るとともに、応答性を向上させることができる電流
計測装置を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、請求項1に記載の電流計測装置は、環状の強磁性体
の一部にギャップを有し、計測電流に対応した磁束を発
生するコアと、前記ギャップ内に配置され、同ギャップ
内の磁束密度に応じた信号を出力すると共に、不平衡電
圧の温度ドリフトの傾向が互いに同じである一対のホー
ル素子と、前記一対のホール素子に対して所定の制御電
流を供給する定電流回路と、前記一対のホール素子の出
力を加算する加算回路とを備え、前記一対のホール素子
の一方を正規動作させるべく配置し、他方を反転動作さ
せるべく配置したことを要旨としている。
【0010】請求項2に記載の電流計測装置は、環状の
強磁性体の一部にギャップを有し、計測電流に対応した
磁束を発生するコアと、前記ギャップ内に配置され、同
ギャップ内の磁束密度に応じた信号を出力すると共に、
不平衡電圧の温度ドリフトの傾向が互いに反対である一
対のホール素子と、前記一対のホール素子に対して所定
の制御電流を供給する定電流回路と、前記一対のホール
素子の出力を加算する加算回路とを備え、前記一対のホ
ール素子を共に正規動作又は反転動作させるべく配置し
たことを要旨としている。
【0011】
【作用】請求項1に記載の構成によれば、コアのギャッ
プには計測電流に対応した磁束が発生する。一対のホー
ル素子には定電流回路からの所定の制御電流が供給され
ており、同ホール素子はギャップ内の磁束密度に応じた
信号(ホール電圧)を出力する。そして、その一対のホ
ール素子からの出力(ホール電圧)は加算回路にて加算
される。
【0012】この場合、一対のホール素子を用いること
で同素子の電流端子及びホール端子の切り換え動作が不
要となり、1つのホール素子を用いていた従来の電流計
測装置とは異なり端子切り換えのための構成が省略され
る。また、各ホール素子への制御電流のオン・オフ切り
換えがないため、ホール電圧が常に安定し、従来の装置
に比べて応答性が向上する。
【0013】また、一対のホール素子は、不平衡電圧の
温度ドリフトの傾向が互いに同じであり、その一方が正
規動作し他方が反転動作する。つまり、加算回路におい
て両素子によるホール電圧の不平衡電圧は相殺される。
その結果、ホール電圧の不平衡電圧分を補正した信号が
加算回路から出力され、さらに、磁束密度に比例した電
圧が2倍になるため、高精度な電流計測が実現される。
このとき、不平衡電圧の温度ドリフト特性は素子毎にば
らつきを持っているが、両素子の不平衡電圧の温度ドリ
フトが同じであるため、いかなる温度域においてもホー
ル素子の不平衡電圧の問題が解消される。なお、ホール
電圧の加算により不平衡電圧が「0」にならない場合で
あっても、加算後の不平衡電圧は温度に関係なくほぼ一
定値となり、その温度ドリフトは容易に補正される。
【0014】請求項2に記載の構成によれば、上記請求
項1の作用と同様に、従来の電流計測装置に比べて構成
の簡略化が実現される。また、一対のホール素子は、不
平衡電圧の温度ドリフトの傾向が互いに反対であり、共
に正規動作又は反転動作する。このとき、両ホール電圧
の加算によりホール電圧の不平衡電圧はいかなる温度域
においてもほぼ一定値となり、その温度ドリフトは容易
に補正される。その結果、温度域に関係なく常にホール
素子の不平衡電圧を解消した高精度な電流計測が実現さ
れる。
【0015】
【実施例】以下、この発明の電流計測装置を具体化した
一実施例を図面に従って説明する。
【0016】図3は電流計測装置の一部を構成するセン
サ部を示す構成図である。図3に示すように、C字形を
なすコア1(ここでは、方向性硅素鋼板を内側の穴から
外側へと積層している)には、電流計測の対象となる車
載バッテリの充電線2が挿通されている。同コア1は環
状の強磁性体からなりその一部にはギャップ1aが形成
されている。同ギャップ1aには、ガリウムヒ素(Ga
As)からなる一対のホール素子3,4が配置されてい
る。そして、ギャップ1aには充電線2に流れる電流量
及び電流の流れ方向に応じた磁束が発生し、ホール素子
3,4はその磁束に応じた出力電圧(ホール電圧)を発
生する。
【0017】図4を用いてホール素子3を説明する(こ
こでは、ホール素子3のみを説明するが、ホール素子4
も同様)。ホール素子3は十字形をなし、同素子の4つ
の端子3a〜3dにおいて、相対向する端子3a,3b
と、相対向する端子3c,3dとのいずれか一方に電流
端子が、他方にホール端子が設けられる。この場合、電
流端子とホール端子との設定に応じて、ホール素子3は
正規動作又は反転動作する。本実施例では、端子3a,
3bを電流端子、端子3c,3dをホール端子とした時
に、ホール素子3が正規動作し(図4に示す状態)、こ
れとは逆に、端子3c,3dを電流端子、端子3a,3
bをホール端子とした時に、ホール素子3が反転動作す
るようになっている。
【0018】また、一般にホール素子3では、制御電流
C を図4の端子3a,3bに流すと、端子3a,3b
間の内部抵抗と端子3c,3d間の出力抵抗との差がそ
の差の大きいホール素子で3〜4kΩとなる。この中
で、内部抵抗と出力抵抗との差が数百Ω(400〜50
0Ω以内)と少ないホール素子3においては、電流端子
(図4では3a,3b)間に流れる制御電流IC に対し
て垂直に磁界(磁束密度:B)が印加された場合、ホー
ル端子(図4では3c,3d)間に制御電流IC及び磁
束密度Bに応じたホール電圧VH が生じる。即ち、ホー
ル素子3が正規動作する場合、そのホール電圧VH は、 VH =K1 (t)・B・IC +K2 (t)・IC ・・・(1) で求められる。ここで、前項は感度の項を示し、後項は
不平衡電圧の項を示す。なお、K1 (t)は感度の係
数、K2 (t)は不平衡電圧の係数であり、それらは共
に使用温度tの関数となっている。
【0019】また、ホール素子3が反転動作する場合、
そのホール電圧VH は、 VH =K1 (t)・B・IC −K2 (t)・IC ・・・(2) で求められる。ここで、式(1)と式(2)とでは、不
平衡電圧の正負符号が反転しており、ホール素子3の正
規動作時におけるホール電圧VH と、反転動作時におけ
るホール電圧VH との加算により、不平衡電圧が相殺さ
れることが分かる。
【0020】図1は、上記のホール素子を用いた電流計
測装置の電気的構成を示した回路図である。図1に示す
ように、電流計測装置の定電流回路5において、バッテ
リ電源6には抵抗R1 ,R2 とツェナーダイオードDZ
とが直列に接続され、同ツェナーダイオードDZ には抵
抗R3 ,R4 よりなる直列回路が並列に接続されてい
る。ツェナーダイオードDZ は、ホール素子3,4の感
度の温度ドリフトを補正するための所定の温度係数を持
っている。つまり、前記式(1),(2)における感度
の係数K1 (t)の温度ドリフトの変化割合は材質によ
り決定され、材質毎にその温度ドリフトの特性値を有す
る。従って、ホール素子3,4(材質:GaAs)の温
度ドリフトの変化割合を−0.06%/℃としたとき、
この温度ドリフトを補正するために、ツェナーダイオー
ドDZ はこれとは逆の温度係数(+0.06%/℃)を
持っている。抵抗R3 ,R4 の中点にはコンパレータ7
が接続されている。
【0021】また、単結晶シリコン基板11上におい
て、一方のホール素子3(以下、これを第1のホール素
子という)は正規動作するべく配置され、他方のホール
素子4(以下、これを第2のホール素子という)は反転
動作するべく配置されている。両ホール素子3,4は直
列に接続されており、ホール素子上の矢印は制御電流I
C の流れ方向を示している。ここで、正規動作する第1
のホール素子3は、端子3a,3bを電流端子とし、端
子3c,3dをホール端子としている。反転動作する第
2のホール素子4は、端子4c,4dを電流端子とし、
端子4a,4bをホール端子としている。
【0022】第1及び第2のホール素子3,4の各々の
ホール端子には、高入力インピーダンスを有する差動増
幅器8,9が接続されている(それぞれを、第1の差動
増幅器8,第2の差動増幅器9とする)。これら差動増
幅器8,9には加算回路10が接続され、同加算回路1
0の出力信号が電流計測装置の計測信号として送出され
る。
【0023】このように構成された電流計測装置では、
充電線2に流れる電流に応じてコア1のギャップ1aに
磁束が発生し、ホール素子3,4は磁束密度に応じたホ
ール電圧VH を出力する。このとき、正規動作する第1
のホール素子3の出力は第1の差動増幅器8にて増幅さ
れた後、加算回路10に入力され、反転動作する第2の
ホール素子4の出力は第2の差動増幅器9にて増幅され
た後、加算回路10に入力される。そして、加算回路1
0にて2つの電圧値が加算されることにより不平衡電圧
が相殺され、不平衡電圧のない電圧値が求められる。こ
のとき、一対のホール素子3,4の出力の和を取ること
により、電流計測装置として2倍の感度が得られる。そ
の後、電流計測装置の電圧信号(加算回路10の出力信
号)は図示しない電子制御装置(ECU)に入力され、
同電子制御装置にて前記出力信号に応じた充電線2の充
電電流が算出される。
【0024】また、上記電流計測装置では、ホール素子
3,4の不平衡電圧の温度ドリフトの傾向が互いに同じ
であれば、いかなる使用温度域においても不平衡電圧の
補正が可能となる。即ち、ホール素子3,4において
は、不平衡電圧の温度ドリフトの傾向が素子毎に異な
る。上述した式(1),(2)について言えば、不平衡
電圧の係数K2 (t)は素子の使用温度tに応じて変化
し、さらに、その変化の特性は素子毎に不規則となって
いる。しかし、この不平衡電圧の温度ドリフトの傾向が
互いに同じであれば、いかなる使用温度tにおいても正
規動作時のホール電圧VH と反転動作時のホール電圧V
H との加算により常に不平衡電圧が相殺される。なお、
ホール電圧VH の加算により不平衡電圧が「0」になら
ない場合であっても、加算後の不平衡電圧は温度に関係
なくほぼ一定値となり、その温度ドリフトは容易に補正
されることになる。
【0025】次に、上記図1の電流計測装置と同様の作
用を得る別の構成について、図2を用いて説明する。つ
まり、上記図1の構成では、第1及び第2のホール素子
3,4のうち、一方を正規動作、他方を反転動作させる
べく単結晶シリコン基板11上に配置したが、これに対
して図2の構成では、第1及び第2のホール素子3,4
を共に正規動作させるべく単結晶シリコン基板11上に
配置している。詳しくは、第1のホール素子3は、端子
3a,3bを電流端子、端子3c,3dをホール端子と
しており、第2のホール素子4は、端子4a,4bを電
流端子、端子4c,4dをホール端子としている。その
他の構成は上記図1の構成と同様である。
【0026】この場合、ホール素子3,4の不平衡電圧
の温度ドリフトの傾向が互いに反対であれば、両素子
3,4のホール電圧VH の加算により、いかなる使用温
度においても常に不平衡電圧の補正が可能となる。即
ち、上述したように不平衡電圧の温度ドリフトの傾向は
素子毎に不規則にばらつくが、その温度ドリフトの傾向
は図5に示す如く4つのタイプ(タイプ1:右上がり傾
向,タイプ2:右下がり傾向,タイプ3:凸形傾向,タ
イプ4:凹形傾向)に大別できる。
【0027】従って、互いに反対の傾向を有する2タイ
プ(タイプ1とタイプ2、或いはタイプ3とタイプ4)
のホール素子を組み合わせてそれら両素子を共に正規動
作させれば、両素子のホール電圧VH の加算により不平
衡電圧は使用温度に関係なくほぼ一定値となる。そし
て、加算後の不平衡電圧が一定値であることが分かれ
ば、その不平衡電圧を容易に補正できる。その結果、使
用温度に関係なく、常に不平衡電圧を補正した出力を得
ることができる。
【0028】以上詳述したように本実施例の電流計測装
置では、強磁性体からなるコア1のギャップ1aに一対
のホール素子3,4を配置し、同素子3,4からの出力
信号(ホール電圧VH )の加算結果に基づいて電流計測
を行うようにした。このとき、一対のホール素子3,4
の不平衡電圧の温度ドリフトの傾向が互いに同じであれ
ば、一方のホール素子を正規動作させ、他方のホール素
子を反転動作させるようにした(図1に示す構成)。ま
た、一対のホール素子3,4の不平衡電圧の温度ドリフ
トの傾向が互いに反対であれば、2つ共正規動作させる
ようにした(図2に示す構成)。
【0029】その結果、1つのホール素子を用いた従来
の電流計測装置(図10に示す)に比べて、端子切り換
えのための複雑な構成(スイッチ,切換制御回路、サン
プルホールド回路等)が省略でき、構成の簡略化が実現
できる。また、端子切り換え動作が不要となることで、
従来の装置よりも応答性を向上させることができる。即
ち、従来の装置の場合、応答性の良いホール素子を用い
ても端子切り換えによる制御電流,出力電圧の不安定化
により装置としての応答性が低下するという問題があっ
た。しかし、本実施例の構成では、端子切り換えが不要
であることから、電流計測装置の応答性の向上が実現で
きる。
【0030】また、不平衡電圧の温度ドリフトの傾向が
同じであっても、反対であっても、不平衡電圧の温度ド
リフトがキャンセルでき、使用温度に関係なく常に安定
し且つ精度の高い電流計測を行うことができる。
【0031】以上、不平衡電圧の温度ドリフトの傾向に
基づいて図1及び図2の構成の電流計測装置を説明した
が、これを実現するに当たっては、一対のホール素子
3,4の不平衡電圧の温度ドリフトの傾向が同じか反対
かを判別する必要がある。そこで、以下には温度ドリフ
トの傾向により一対のホール素子を選別するアルゴリズ
ムについて説明する。図6は、ホール素子の選別アルゴ
リズムを示したフローチャートであり、同チャートにお
いては処理手順をステップ番号を付して示す。
【0032】図6において、先ずステップ100では、
ホール素子を定電流回路に組み、その状態で恒温槽に入
れる。続くステップ200では、電流計測装置の使用温
度範囲内における3点の温度について、零磁界状態での
ホール素子の出力電圧(不平衡電圧VO)を計測する。
つまり、使用最低温度tLOW (本実施例では、tLOW
−30℃)での不平衡電圧VOLOW 、常温tNORM(本実
施例では、tNORM=20℃)での不平衡電圧VONORM
使用最高温度tHIGH(本実施例では、tHIGH=80℃)
での不平衡電圧VOHIGHを計測する。
【0033】その後、ステップ300では、各不平衡電
圧VOLOW ,VONORM,VOHIGH間の変化幅V1 〜V3
を算出する。即ち、下記の式〜式を用いて、VO
LOW とVONORMとの変化幅V1 、VONORMとVOHIGH
の変化幅V2 、VOLOW とVO HIGHとの変化幅V3 を算
出する。
【0034】V1 =VOLOW −VONORM ・・・ V2 =VONORM−VOHIGH ・・・ V3 =VOLOW −VOHIGH ・・・ そして、用意された各ホール素子について、上記ステッ
プ100〜300の処理を各々実施し、各ホール素子毎
に不平衡電圧VOの変化幅V1 〜V3 を求めておく。
【0035】その後、ステップ400では、2つのホー
ル素子を選び、その2つのホール素子について、不平衡
電圧VOの温度ドリフトの傾向が互いに同じであるか否
かを次の不等式〜を用いて判別する。ここで、不等
式〜を第1の判別条件とし、不等式〜が全て満
たされる場合、第1の判別条件が成立したとする。な
お、下式において、一方のホール素子の変化幅V1 〜V
3 には「’」を付している。αは不平衡電圧VOの各変
化幅V1 〜V3 の絶対値の差を判定するための許容値で
ある(ただし、α>0)。
【0036】|V1 −V1 ’|<α ・・・ |V2 −V2 ’|<α ・・・ |V3 −V3 ’|<α ・・・ つまり、上記第1の判別条件において、不等式〜の
左辺の演算値が全て小さくなれば、その2つのホール素
子については不平衡電圧VOの温度ドリフトの傾向が互
いに同じであることが判別される。
【0037】また、ステップ500では、上記と同じ2
つのホール素子について、不平衡電圧VOの温度ドリフ
トの傾向が互いに反対であるか否かを次の不等式〜
を用いて判別する。ここで、不等式〜を第2の判別
条件とし、不等式〜が全て満たされる場合、第2の
判別条件が成立したとする。
【0038】|V1 +V1 ’|<α ・・・ |V2 +V2 ’|<α ・・・ |V3 +V3 ’|<α ・・・ つまり、上記第2の判別条件において、不等式〜の
左辺の演算値が全て小さくなれば、その2つのホール素
子については不平衡電圧VOの温度ドリフトの傾向が互
いに反対であることが判別される。
【0039】そして、ホール素子の2つずつの全ての組
み合わせについて、上記ステップ500,600の条件
判別を行う。即ち、不等式〜(第1の判別条件)及
び不等式〜(第2の判別条件)を演算しておく。
【0040】その後、ステップ600では、上記第1の
判別条件の判別結果と第2の判別条件の判別結果とに基
づいて、一対のホール素子を選別するとともに、その一
対のホール素子について不平衡電圧VOの温度ドリフト
の傾向が互いに同じであるか、互いに反対であるかを判
別する。詳しくは、ここで先ず、上記第1又は第2の判
別条件のうち、少なくともいずれかを満たす一対のホー
ル素子を選び出す。そして、選び出された一対のホール
素子の各組について、第1の判別条件の不等式〜の
左辺の3つの演算値、或いは、第2の判別条件の不等式
〜の左辺の3つの演算値を比較する。さらに、その
3つの演算値が最も小さい組み合わせとなる一対のホー
ル素子と、その判別条件とを判断する。
【0041】このとき、一対のホール素子が、第1の判
別条件の成立により選別されたものであれば、ステップ
700において一方を正規動作させ、他方を反転動作さ
せるべくホール素子を単結晶シリコン基板に配置する
(図1の構成)。また、一対のホール素子が、第2の判
別条件の成立により選別されたものであれば、ステップ
800において共に正規動作させるべくホール素子を単
結晶シリコン基板に配置する(図2の構成)。なお、上
記のように選別されたホール素子は、その都度、常温の
状態において差動増幅器のオフセットとゲインが調整さ
れる。
【0042】次に、上記アルゴリズムを用いて実際にホ
ール素子を選別する事例について、具体的な数値を用い
て説明する。ここで、予め用意された3つのホール素子
A ,HB ,HC について、使用最低温度tLOW ,常温
NORM,使用最高温度tHIGHの3点の不平衡電圧VO
LOW ,VONORM,VOHIGHを計測する(図6のステップ
200の処理)。図7(a)〜(c)には、各不平衡電
圧VOの計測結果を書き込んでいる。
【0043】また、ホール素子HA ,HB ,HC につい
て、前記式〜を用いて不平衡電圧VOの変化幅VA1
〜VA3,VB1〜VB3,VC1〜VC3を演算する(図6のス
テップ300の処理)。表1には、式〜の演算結果
を示す。
【0044】
【表1】
【0045】さらに、各ホール素子HA ,HB ,HC
2つずつ組み合わせて、各組み合わせについて、不等式
〜による温度ドリフト傾向の判別を行う(図6のス
テップ400,500の処理)。表2には、不等式〜
を用いた前記第1及び第2の判別条件の判定結果を示
す。なお、表中の数値は不等式〜の左辺の演算値を
示している。
【0046】
【表2】
【0047】ここで、許容値α=6であれば、第1又は
第2の判別条件が成立するケースは表2の如く3通りと
なる。また、上記条件が成立するケースのうち、各3つ
の演算値が最も小さくなるものは、ホール素子HA とH
C とを組み合わせの第2の判別条件となる(表2の太線
枠内)。従って、第2の判別条件の成立からホール素子
A ,HC は温度ドリフトの傾向が互いに反対であるも
のとみなされ(図7(a)と(c)からもその傾向が分
かる)、同素子HA ,HC とは、共に正規動作すべく配
置される(図6のステップ800の処理)。このよう
に、ホール素子の選別を適切に行うことができる。
【0048】一方で、上記実施例を変形した他の実施例
として、図8,図9に示す電流計測装置を構成すること
もできる。図8,図9では、上記実施例の図1,図2の
構成とは異なり、定電流回路5に2つのコンパレータ7
を設け、各コンパレータ7にはホール素子3,4の電流
端子が接続されている。即ち、一対のホール素子3,4
は定電流回路5に対して並列に接続されている。ホール
素子3,4のホール端子には各々第1及び第2の差動増
幅器8,9が接続されている。なお、図8は正規動作す
るホール素子3と反転動作するホール素子4とを用いて
構成する電流計測装置を示し、図9は共に正規動作する
一対のホール素子3,4を用いて構成する電流計測装置
を示している。この図8,図9の構成においても、上記
実施例と同様の作用・効果が得られ、本発明の目的を達
成することができる。
【0049】なお、本発明は上記実施例の他に次の様態
にて具体化することもできる。上記各実施例では、正規
動作するホール素子と反転動作するホール素子とを用い
た装置、共に正規動作する一対のホール素子を用いた装
置を説明したが、この他に、共に反転動作する一対のホ
ール素子を用いた装置を具体化することもできる。この
場合、不平衡電圧の温度ドリフトの傾向が互いに反対で
ある一対のホール素子を選別することにより、共に正規
動作する一対のホール素子を用いた装置と同様の作用・
効果が得られる。
【0050】また、一対のホール素子を選別するための
アルゴリズムは上記のものに限定されるものではなく、
任意に変更可能である。例えば、不平衡電圧の測定を4
点以上にして温度ドリフトの傾向の判別精度を高めたり
することもできる。
【0051】
【発明の効果】請求項1及び2に記載の発明によれば、
構成の簡略化を図るとともに、応答性を向上させること
ができるという優れた効果を発揮する。また、ホール素
子の不平衡電圧の温度ドリフトに関係なく、いかなる使
用温度においても適切な電流計測を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】正規動作するホール素子と反転動作するホール
素子とを用いた電流計測装置の電気的構成を示す回路図
である。
【図2】共に正規動作する一対のホール素子を用いた電
流計測装置の電気的構成を示す回路図である。
【図3】電流計測装置のセンサ部の構成を示す斜視図で
ある。
【図4】ホール素子の構成を示す斜視図である。
【図5】不平衡電圧の温度ドリフトの傾向を示す線図で
ある。
【図6】ホール素子の選別アルゴリズムを示すフローチ
ャートである。
【図7】(a)〜(c)は共に、一対のホール素子を選
別する具体例を説明するための線図である。
【図8】他の実施例において、正規動作するホール素子
と反転動作するホール素子とを用いた電流計測装置の電
気的構成を示す回路図である。
【図9】他の実施例において、共に正規動作する一対の
ホール素子を用いた電流計測装置の電気的構成を示す回
路図である。
【図10】従来技術における電流計測装置の電気的構成
を示す回路図である。
【符号の説明】
1…コア、1a…ギャップ、3…第1のホール素子、4
…第2のホール素子、5…定電流回路、10…加算回
路。
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成6年8月26日
【手続補正1】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図7
【補正方法】変更
【補正内容】
【図7】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 北原 高秀 愛知県西尾市下羽角町岩谷14番地 株式会 社日本自動車部品総合研究所内 (72)発明者 鈴井 康介 愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自動 車株式会社内

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 環状の強磁性体の一部にギャップを有
    し、計測電流に対応した磁束を発生するコアと、 前記ギャップ内に配置され、同ギャップ内の磁束密度に
    応じた信号を出力すると共に、不平衡電圧の温度ドリフ
    トの傾向が互いに同じである一対のホール素子と、 前記一対のホール素子に対して所定の制御電流を供給す
    る定電流回路と、 前記一対のホール素子の出力を加算する加算回路とを備
    え、 前記一対のホール素子の一方を正規動作させるべく配置
    し、他方を反転動作させるべく配置したことを特徴とす
    る電流計測装置。
  2. 【請求項2】 環状の強磁性体の一部にギャップを有
    し、計測電流に対応した磁束を発生するコアと、 前記ギャップ内に配置され、同ギャップ内の磁束密度に
    応じた信号を出力すると共に、不平衡電圧の温度ドリフ
    トの傾向が互いに反対である一対のホール素子と、 前記一対のホール素子に対して所定の制御電流を供給す
    る定電流回路と、 前記一対のホール素子の出力を加算する加算回路とを備
    え、 前記一対のホール素子を共に正規動作又は反転動作させ
    るべく配置したことを特徴とする電流計測装置。
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