JP4999665B2 - 外装材用保持部材、及びそれを用いた縦葺き外装構造 - Google Patents
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Description
特許文献2には、溝板a(=外装材)の側縁に内側方向へ突き出している突条2と立ち上がり部分3が形成されている側面部が設けられ、立ち上がり部3の上端を、吊り子bの上端に形成された掴み込み片9にて係止し、前記突条2にキャップ材cを嵌め付ける外囲体が開示されている。
さらに、前記特許文献2の構造では、吊り子が外装材を保持しているが、吊り子の保持は、外装材の側面部の上端に限定されるので、外装材の固定強度は十分に高くなかった。そのため、前述の問題が解決されず、外装材や吊り子が変形したり、外装材が飛散する事故を引き起こす危険があった。
即ち本発明の外装材用保持部材は、一方側の固定部に固定具を打ち付けて該固定具により縦葺き外装材の動きを規制するものであり、他方側の第二横片部に係止部を設けて該係止部により縦葺き外装材の動きを規制する態様と組み合わせてもよい。
保持部材は、外装材の側縁成形部を保持する保持部を備える起立部と、該起立部の下端から少なくとも左右の何れか一方に延在して下地上に沿わせる横片部である固定部とからなり、前記固定部に、少なくとも負圧作用時に一方側に配される縦葺き外装材の動きを規制する固定具を打ち付けて下地上に固定する構成である。
なお、前記保持部材では、第二横片部を設けなくてもよい。
外装材は、面板部の左右の側縁を立ち上げた側縁成形部を備える構成であり、この側縁成形部は、前記保持部材の保持部にて下地に取り付けられるものであれば、保持部の構成に応じて適宜に形成すればよく、例えば後述する図示実施例に示されるように単なる起立片状でもよく、特に限定するものではない。
また、外装材は、少なくとも負圧作用時に前記保持部材の抵抗部に引っ掛かる係止部を備える構成であり、その形状については抵抗部の形状に応ずるものであるが、後述する図示実施例のように側縁成形部の内側に隆起部を設け、この隆起部に係止部を形成して外装材が面板部方向へズレ動かないような引っ掛かり構造とすることが望ましい。なお、前記保持部材に第二横片部を設けて被係止部を設けた場合にも同様であって、即ちこの被係止部に係止させる係止部についても同様に隆起部に係止部を形成して面板部方向へズレ動かない係止構造とすることが望ましい。
後者のキャップ材を配する場合には、キャップ材の脚片を外装材の面板部に当接させ、その当接部分の外側に(キャップ材としては内側)に空間部が形成されるようにすることが望ましい。
この空間部は、側縁成形部の形状やキャップ材の形状に応じて適宜に形成され、特に限定するものではない。キャップ材の脚片が当接する当接部分と側縁成形部との間に凹状溝を形成すると、空間部が拡大されたものなるので好ましい。
前述のようにキャップ材は、必須の部材ではないが、このキャップ材を用いる場合には、隣り合う前記外装材の対向させた側縁成形部に跨るように配し、左右の脚片が外装材の面板部に当接され、その当接部分の内側に空間部が形成される構成のものが望ましい。
このキャップ材は、外装材の側縁成形部に係合させてもよいが、後述する図示実施例のように保持部材(の被係合部)に係合させてもよい。
また、左右の脚片が外装材の面板部に当接する構成とは、キャップ材の敷設状態において左右の脚片(の下端)が面板部に上方から押圧するように当接する当接部を備えるということである。特に当接部を、外装材の面板部に面状に沿うようにすることにより、面接触させることが望ましい。例えば当接部が面板部に線接触する場合には、当接部が面板部から僅かに離反した隙間に風が内部に吹き込み、キャップ材を吹き飛ばす事故を引き起こす恐れがあるが、面接触させることにより、側方からの強風はむしろ下方へ押さえ付ける作用を果たすからである。特にキャップ材の当接部にて外装材の面板部を上方から押さえることにより、負圧作用時に被当接部分(隆起部)の浮き上がりが防止されるため、前述の固定具又は被係止部による動きの規制作用がより確実に果たされるものとなる。
さらに、当接部分の内側に空間部が形成される構成については、既に前記(B)外装材の項にて説明したとおりである。
さらに、前記固定具により縦葺き外装材の動きを規制する態様と固定具により縦葺き外装材の動きを規制する態様を組み合わせた場合には、前記固定具(抵抗部)及び前記被係止部により、外装材の面板部側への動きが規制されるので、負圧作用時の安定性及び確実性が向上する。
また、キャップ材の脚片(当接部)を外装材の面板部(隆起部)に当接させる場合には、隆起部が抵抗部や被係止部によって潰れたりすることがなく、隆起部は、表面側のキャップ材の当接部と裏面側の抵抗部又は被係止部にて挟まれるため、それぞれの当接作用及び係止作用が相互に助長されて一体性が向上するものとなる。
なお、図2(a)では、下地4に取り付ける以前の保持部材1を示しているため、前記起立部11の上端に保持部14及び被係合部15が形成されていないが、図1(a)に示すように外装材2を敷設した後、起立部11の上端を折り曲げ加工して保持部14,14と、被係合部15,15とを形成する構成である。そのため、図2(a)及び図2(d)では、折り曲げ加工により保持部14、被係合部15とする予定の部分に「(14)」、「(15)」を記した。
また、図示実施例では、保持部14を連続丸波状となる加工を施した波形状に形成したので、平板状の起立面である側面成形部12に複数の波状(円弧状)の突出部分が外側から押圧状に接するため、当接面が大きくなり、より安定な保持状態を得ることができる。これに対し、例えば保持部24を単なる平板状の縦片とした場合には、それぞれ平板状の側面成形部12と被係合部24が接面状に当接する必要があるが、何れか一方又は両方が僅かに傾斜したり変形するだけで離反してしまい、充分な保持(当接)が得られない。しかし、前記波状加工を施すことにより、保持部14自体の強度向上が図られると共に、当接部分の強度も向上するものとなる。
前記隆起部24の裏面には、少なくとも負圧作用時に前記保持部材1の抵抗部121aが引っ掛かる係止部25が設けられる。この係止部25は、略√字状の隅部であって、前記保持部材1の抵抗部121aに係止するので、外装材2が面板部21方向へズレ動こうとする場合の抵抗となる。
また、前記隆起部24の表面側には、後述するキャップ材3の当接部331が当接、詳しくは面状に接地する構成である。
この外装材2は、流れ方向に連続する通し材でもよいし、定尺の外装材を公知の連結構造を用いて接続したものでもよく、表面化粧鋼板、ラミネート鋼板、メッキ鋼板、ステンレス鋼板、アルミ合金板、チタン合金板、銅板、真鍮板、鉛板等の公知の金属素材、炭素繊維積層板、硬質樹脂板等より成形され、素材が金属板の場合にはロール成形、或いはプレス成型、或いは両者の組合せにより成形(成型)される。素材が非金属素材の場合には、主に型成型により成型される。また、その素材厚は特に限定するものではないが、概ね0.4乃至1.6mm程度である。
このキャップ材3は、前記外装材2と同様に流れ方向に連続する通し材でもよいし、定尺の外装材を公知の連結構造を用いて接続したものでもよく、前記外装材2と同様の素材にて形成すればよい。
なお、前記外装材2は面板部21の側縁を略垂直状に立ち上げて側縁成形部22を形成したのに対し、このキャップ材3の脚片33は傾斜片状であるため、両部材(2,3)の間には、脚片33の下端である当接部331の内側(外装材2としては外側)には、空間部34が形成されるものとなる。また、キャップ材3の覆い部31の頂部内面には、不定形又は定形の弾性材兼止水材35を配した。この弾性材兼止水材35は、単なる弾性材でも単なる止水材でもよいが、弾性と止水性を併せ持つ材料が好ましい。
まず、下地4上の所定位置に、保持部材1を配してその固定部12を固定具121にて固定する。
続いて、保持部材1の起立部11を挟んで左右に外装材2,2を配し、それぞれの側縁成形部22,22を対向状に臨ませる。
その際、一方側(図面右側)では、固定具121の頭部である抵抗部121aに、一方側(図面右側)に配する外装材2の隆起部24の裏面側に設けた係止部24を被せるように配すると、外装材の面板部21側への動きが規制されるものとなる。
その後、保持部材1の起立部11の上方部分を折曲して左右の外装材2,2の側縁成形部22,22を保持する。即ち起立部11の上端に、保持部14,14を形成して側縁成形部22の上端を保持させる。
最後に、予め頂部内面に弾性材兼止水材35を配したキャップ材3を、対向させた側縁成形部22,22に跨るように配して係合部32,32を保持部材1の被係合部15,15に係合させ、キャップ材3の脚片33,33の下端(面状の当接部331,331)を外装材2,2の隆起部24,24に当接(面接触)させる。この当接部331,331の内側には、空間部34,34が形成される
また、側縁成形部22を保持部15にて保持することにより、側縁成形部22の下端から面板部21側へ延在する凹状溝23が、固定部12に押さえ付けられるように保持されるため、凹状溝23に隣接する係止部25は、恰も凹状溝23と抵抗部121aに挟まれるように安定に係止(係止状に保持)されるものとなる。
さらに、当接部331の内側(外装材2としては外側)には空間部34が形成されているので、当接部331の内側に毛細管作用による雨水の浸入を生ずることもないし、仮に空間部34に雨水が浸入してもこの空間部34内を水下側へ流下する。
そのため、この実施例では、面板部21を流れる雨水が流水部分26を水下側へ流下するため、雨水が側縁に集まることを防止することができる。
そのため、この実施例では、前述の毛細管作用による雨水の浸入をより確実に防止することができ、また仮に当接部331から内側に雨水が浸入しても、空間部34にて水下側へより確実に流下させることができる。
また、この図示実施例におけるキャップ材3'は、外装材2'(の隆起部24)に当接する当接部331'が、前記図1の実施例における当接部331に比べて面板部21方向により長く延在する形状(より広い面状、より広幅の面部)である以外は、前記図1におけるキャップ材3とほぼ同様であるから、図面に同一符号を付して説明を省略する。
また、側縁成形部22を保持部15にて保持することにより、側縁成形部22,22の下端から面板部21,21側へ延在する凹状溝23,23が、固定部12又は横片部13に押さえ付けられるように保持されるため、凹状溝23,23に隣接する係止部25,25は、恰も凹状溝23と抵抗部121a又は被係止部131に挟まれるように安定に係止されるものとなる。
また、起立部11の上縁16は、長さ方向の略中央で二分割され、側方に略三角状の折部17が突出する略台形状に形成されている。そして、前述のように外装材2の側縁成形部22を保持する保持部14を形成する際には、上縁16を、一方側、他方側へ(左右方向へ)折曲して保持部14とし、折部17を外方へ折曲して被係合部15とした。
なお、例えば保持部は、上縁16に、断面が連続丸波状となるプレス加工を施し、保持部14とした際に、側縁成形部22に強固に押圧されるようにしてもよく、或いは前記弾性材兼止水材35と同様の材料(両面フォーム型接着剤)を介在させて保持するようにしてもよい。なお、それ以外の構成、並びに外装材2、キャップ材3については前記実施例と全く同様であるから、図面に同一符号を付して説明を省略する。
外装材2Dは、図7(c)に示すように面板部21の左右の側縁を立ち上げた側縁成形部22D,22Dの上端(被保持部221)を内側へ折返し状に折曲した(折曲片26)構成であり、それ以外の構成、並びにキャップ材3については前記実施例と全く同様であるから、図面に同一符号を付して説明を省略する。
この例では、側縁成形部22の上端に形成した被保持部221が、前記保持部材1Dの保持部14Dに保持され、折曲片26の下端261が、キャップ材3の係合部32,32を係合させる被係合部である。
なお、側縁成形部22Dの上端(被保持部221)が保持部14Dに保持される構成とは、側縁成形部22Dの長さ寸法が、保持部14Dから横片部13Dまでの長さ寸法より僅かに小さいことを意味しており、側縁成形部22Dの長さ寸法が大きすぎても小さすぎても安定な保持状態は得られない。また、折曲片26の下端261が、キャップ材3の係合部32,32を係合させる被係合部であるという構成は、キャップ材3を係合させる構成(部位)は前記図4〜図6の各実施例のように保持部材1,1A〜1Cに設けてもよいし、この実施例のように外装材2Dに設けてもよく、特に限定しないということを意味している。
そして、この縦葺き外装構造は、キャップ材3の係合部32が外装材2の折曲片26の下端261に係合する構成であるため、負圧作用時には折曲片26を下方から上方へ押し上げる応力が働き、折曲片26及び側縁成形部22Dの上端に位置する被保持部221が保持部材1Dの保持部14Dへ押圧され、より安定に保持される。
11,11D 起立部
12,12A〜12D 固定部
121 固定具
121a 抵抗部
122 孔
123 被係止部
13,13A〜13D 横片部
131,131D 被係止部
14,14D 保持部
15 被係合部
16 上縁
17 折部
2,2',2D (縦葺き)外装材
21 面板部
22,22D 側面成形部
221 上端
23 凹状溝
24 隆起部
25 係止部
26 折曲片
261 下端
3,3' キャップ材
31 覆い部
32 係合部
33 脚片
331 当接部
34 空間部
35 弾性材兼止水材
4 下地
Claims (7)
- 縦葺き外装材の側縁成形部を保持する保持部を備える起立部と、該起立部の下端から少なくとも左右の何れか一方に延在して下地上に沿わせる横片部である固定部とからなり、前記固定部に、少なくとも負圧作用時に一方側に配される縦葺き外装材の動きを規制する固定具を打ち付けて下地上に固定することを特徴とする外装材用保持部材。
- 起立部の下端から固定部とは異なる左右の他方に延在して下地上に沿わせる第二横片部を設け、該第二横片部に表面側へ屈曲して他方側に配される縦葺き外装材に係止される被係止部を設けたことを特徴とする請求項1に記載の外装材用保持部材。
- 保持部が波形状であることを特徴とする請求項1又は2に記載の外装材用保持部材。
- 下地上に固定した外装材用保持部材により縦葺き外装材を保持してなる外装構造であって、
前記縦葺き外装材は、面板部の左右の側縁を立ち上げた側縁成形部を備え、
前記外装材用保持部材は、前記縦葺き外装材の側縁成形部を保持する保持部を備える起立部と、該起立部の下端から少なくとも左右の何れか一方に延在して下地上に沿わせる固定部とからなり、
外装材用保持部材の固定部に固定具を打ち付け、該固定具により少なくとも負圧作用時に一方側に配される縦葺き外装材の動きを規制し、起立部を介して対向させた側縁成形部を保持部に保持させることを特徴とする縦葺き外装構造。 - 外装材用保持部材は、起立部の下端から固定部とは異なる左右の他方に延在して下地上に沿わせる第二横片部を備え、この第二横片部の表面側へ屈曲する被係止部に、他方側に配される縦葺き外装材を係止させることを特徴とする請求項4に記載の縦葺き外装構造。
- 対向させた側縁成形部に跨るようにキャップ材を配し、キャップ材の脚片を縦葺き外装材の面板部に当接させると共に、その内側に空間部が形成されることを特徴とする請求項4又は5に記載の縦葺き外装構造。
- 縦葺き外装材の面板部に隆起部が形成され、該隆起部の裏面に固定具の頭部、被係止部が配され、さらにこの隆起部の表面にてキャップ材の脚片と当接していることを特徴とする請求項6に記載の縦葺き外装構造。
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