JP4999134B2 - 成型品取出監視システム - Google Patents

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Description

【0001】
【発明が属する技術分野】
本発明は、成形機に搭載された成型品取出機の稼動状態を遠隔地にて監視することができる成型品取出監視システムに関する。
【0002】
【発明が解決しようとする課題】
成形機に搭載された成型品取出機は、成形機に連動して取出し動作を自動的に実行するように制御される。そして成型品取出機の稼動状態に関する監視データ、具体的にはチャック部の移動制御状態、成型品の取出し状態、チャック部を移動制御する際に必要とするチャック部の位置データ、成形機と制御データの通信状態や取出し不良や故障に関する各種障害情報、取出された成型品の個数に関する情報等を制御装置に設けられた表示装置に表示して確認可能にしている。
【0003】
このため、作業者は成型品取出機の稼動状態を確認する際に、その都度、確認しようとする成型品取出機の所まで行き、その制御装置の表示装置に監視データを表示させて確認する必要があった。
【0004】
しかし、作業者は稼動状態を確認しようとする成型品取出機の所まで行って制御装置の表示装置に各種情報を表示させて直接確認しなければならないので、成型品取出機から離れた場所で他の作業を行なっている場合には、取出し不良や故障等によりアラームが発せられても、直ちに障害情報を確認することができず、障害復旧に時間がかかっていた。特に、取出し不良や故障が発生した際には取出し動作、従って成形動作自体も強制的に中断するため、障害による中断時間が長くなることにより成形作業効率が著しく低下していた。
【0005】
本発明は、上記した従来の欠点を解決するために発明されたものであり、その課題とする処は、成型品取出機から離れた場所に居ても成型品取出機の稼動状態をリアルタイムに確認することができ、作業性を向上することができる成型品取出監視システムを提供することにある。
【0006】
【問題を解決するための手段】
本発明は、チャックを移動して金型内の成型品を成形機外に取り出す成型品取出機において、チャックを移動制御する制御装置は、成型品の取出データ及び障害データを記憶する記憶部及び該記憶部に記憶された取出データ及び障害データを予め登録された外部通信機器に送出する送信部及び外部通信機器からの監視要求データを受信する受信部を有した通信手段を有し、制御手段は、取出不良が発生した際には成型品取出動作を中断した後に記憶部に記憶された取出不良発生時の取出データに基づいて取出不良や故障等に関する障害データを記憶部に記憶した後、外部通信機器に対して通信手段を回線状態にした後に該通信手段の送信部から記憶部に記憶された障害データを読み出して送信制御する一方、外部通信機器から通信手段へ回線接続された際に該外部通信機器から送信される監視要求データに基づいて記憶部に記憶された取出データ及び障害データを読み出して通信手段の送信部から外部通信機器へ送信制御して成型品取出状態を遠隔確認可能にすることを特徴とする。
【0008】
【発明の実施形態】
以下、本発明の実施形態を図に従って説明する。
図1〜図3において、成形機に搭載される成型品取出機1の制御装置3は成形機(図示せず)から出力される、例えば型開完了信号、突出し完了信号等の各種信号に基づいてチャック駆動部材2を駆動制御して成型品を保持するチャック部(図示せず)を金型間と成形機外の解放位置との間で移動して成型品を取出す。
【0009】
成型品を取出す際のチャック部の移動態様としては、チャック部を直線的に三次元方向、二次元方向又は一次元方向へ移動させて取出す態様、又は非直線的な旋回移動により取出す態様の何れであってもよい。
【0010】
制御装置3はCPU5と、成型品の取出し動作を実行するための取出しプログラムデータ、取出し不良時には取出し不良部位や不良原因及び対処方法を、また故障時には故障部位や故障部品及び対処方法を判別する自己診断を実行するための自己診断プログラムデータや通信制御プログラムデータ等の各種プログラムデータを記憶するプログラムメモリ7と、各種の作業データを記憶する作業メモリ9とを有している。
【0011】
また、CPU5にはチャック部を移動制御するチャックの駆動制御回路11が接続され、駆動制御回路11はチャック部を移動するサーボモータ等のチャック駆動部材2に設けられたロータリーエンコーダ等の位置検出器4からの位置検出信号に基づいてチャックを移動制御して成型品の取出し動作を実行する。
【0012】
作業メモリ9は取出動作実行時のチャック移動位置データ、成型品取出個数データ、取出時間データ等を記憶する取出データ領域9a、取出し動作不良時や故障時に自己診断機能により判定した不良及び故障原因等に関するデータ及び障害発生時における取出データの障害データを記憶する障害データ領域9bや外部通信機器21と回線状態にするのに必要な接続データ、パスワードデータ等の通信制御データ領域9c及び障害判定フラグ9dを有している。
【0013】
取出データ領域9aは所定取出し回数分又は所定時間分の記憶容量を有している。また、CPU5は成型品の取出動作時に取出不良や故障等の障害が発生した際に障害判定フラグ9dをセットする。
【0014】
上記障害データ領域9bに記憶される障害データとしては、電源電圧異常低下エラー、CPU5との通信制御エラー、チャック部を夫々の方向へ移動制御する駆動装置のエラー、チャック部による成型品取出し不良に関するエラー等が挙げられる。また、障害データには上記データの他に障害発生時におけるチャック部の移動状態、取出し個数等に関する成型品の取出し状態に関するデータ等をも含む。
【0015】
また、障害データには、取出し不良及び故障発生時に自己診断プログラムにより判別される動作不良部位や不良原因及び対処方法、故障部位や故障原因及び故障対処方法に関する情報を含む。
【0016】
自己診断機能による障害データの具体例としては、後述する図7に示すように例えばシーケンサーの交信エラーを検出するには取出し動作実行時の主スキャンを常時監視し、所定回数の主スキャン時に通信がない場合にはシーケンサーの交信エラーと判断して主基板の交換を指示する情報、制御電源電圧を常に監視し、該電圧が所定電圧以下に低下して電圧低下状態が所定時間継続した際に電源電圧異常低下(瞬停)と判断して電源の再投入を指示する情報等があげられる。
【0017】
そして上記エラー情報に関する障害データには取出し不良や故障発生時における取出し制御データと共に障害発生前における所定取出し回数分又は所定時間分における取出データを含む。
【0018】
CPU5には成形機制御装置(図示せず)がインターフェース(図示せず)を介して接続され、成形機制御装置からの、例えば型開完了信号、突出し完了信号等に基づいて成型品取出し動作させる。
【0019】
CPU5には送信部15及び受信部17を有した通信装置19が接続される。外通信装置19は、具体的にはデータ伝送可能なデジタル電話機器(固定電話、携帯電話を含む)やモデム内蔵のアナログ電話機器、専用通信機器により実現される。
【0020】
送信部15は送信バッファ15aを有し、成型品の取出不良や故障が発生した際には通信制御データ領域9cに記憶された回線番号に自動接続して後述する外部通信機21と回線状態にした後に障害データ領域9bに記憶されて送信バッファ15aに転送された障害データを外部通信機器21へ転送する。
【0021】
また、受信部17は外部通信機器21からの発信により回線状態になった際に該外部通信機器21から送出されるIDデータやパスワードデータを通信制御データ領域9cに記憶されたIDデータやパスワードデータと照合し、両者が一致している場合には外部通信機器21から送出される確認指示信号に基づいて障害データ領域9bから読み出されて送信バッファ15aに転送された各種データを外部通信機器21へ送信する。
【0022】
外部通信機器21は通信装置19と同様のデジタル電話機器又はアナログ電話機器又は専用通信機器から構成され、各種データを入力する入力キー、ファンクションキー等の設定キー21a及びLCD等の表示部材21bを備えている。
【0023】
なお、通信装置19及び外部通信機器21を電話機器で構成する場合には両者間に電話会社等の通信機関23を介して両者を接続する。
【0024】
次に、成型品取出機1の遠隔監視処理を説明する。
先ず、成型品取出機1に取出し不良や故障が発生した際における障害データの送信処理に付いて説明すると、図3及び図4において、ステップ41により成型品取出し動作時に取出し不良や故障等の障害が発生したか否かを判定し、障害が発生していない場合(ステップ41がNO)にはステップ42により取出データに基づいて成型品取出し動作を実行した後、ステップ43により実行した取出し動作の実行完了データを取出データ領域9aに記憶した後にステップ41に戻り、成型品の取出し動作を継続する。
【0025】
一方、成型品の取出し動作時に取出し不良や故障等の障害が発生してステップ42の判定がYESになった時、ステップ44により成型品取出動作を中断すると共に障害判定フラグ9dをセットした後、ステップ45により取出データ領域9aに記憶された取出データ等に基づいて取出不良や故障を自己診断し、ステップ46により障害発生時における取出データや自己診断による障害発生部位、障害状態等に関する情報及び障害発生前の所定取出サイクル分又は所定時間分の取出データを障害データとして障害データ領域9bに記憶させる。
【0026】
次に、ステップ47により通信制御データ領域9cに記憶された番号データに基づいて外部通信機器21に自動ダイアルした後、ステップ48により外部通信機器21と回線状態になったか否かを判定し、非回線状態(ステップ48がNO)の場合には所定時間経過後にステップ47に戻ってリダイアルする。反対に回線状態の場合にはステップ49により障害データ領域9bから読み出されて送信バッファ15aに転送された障害データを外部通信機器21へ転送する。
【0027】
次に、ステップ50により障害データの転送が終了したか否かを判定し、未完了の場合にはステップ49に戻り、障害データの転送を継続する。反対に障害データの転送が終了した場合には、ステップ51により外部通信機器21とを非回線状態にして終了する。
【0028】
これにより成型品取出機1から離れた場所にいる作業者は、成型品取出機1の処まで行き、制御装置3を収容する制御ボックスに設けられた表示装置(何れも図示せず)に表示される障害データを直接確認することなく、外部通信機器21の表示部材21bに表時される障害データに基づいて成型品取出機1の障害状態(障害部位、障害原因、障害対処方法)を確認することができる。
【0029】
一方、成型品取出機1から離れた場所にいる作業者が成型品取出機1の稼動状態を確認したい場合には、図5及び図6に示すようにステップ61により外部通信機器21から通信装置19へダイアルして両者が回線状態であるか否かを判定する。非回線状態の場合には、外部通信機器21は所定時間経過後に通信装置19へリダイアルして回線状態になるのを待つ。
【0030】
外部通信機器21と通信装置19とが回線状態の場合、ステップ62により外部通信機器21から送出されるID及びパスワードが通信制御データ領域9cに記憶されたIDデータ及びパスワードデータと一致しているか否かを判定する。両者が不一致の場合にはステップ61に戻る。
【0031】
反対に両者が一致する場合にはステップ63により外部通信機器21から監視要求データが送信されたか否かを判定し、該ステップ63がNOの場合にはステップ64により所定時間が経過したか否かを判定する。該判定がNOのとき、ステップ63に戻る。反対にステップ64がYESのとき、ステップ65により通信装置19と外部通信機器21とを非回線状態に切換えて終了する。
【0032】
一方、監視要求データを受信してステップ63がYESのとき、ステップ66により取出データ領域9a及び障害データ領域9bに記憶された各種データを送信バッファ15aへ転送した後、ステップ67によりデータを外部通信機器21へ送信する。そしてステップ68により送信バッファ15aのデータが送信されたか否かを判定し、送信未完了の場合には67に戻る。反対に送信が完了した場合にはステップ69により外部通信機器21からの断信号を受信したか否かを判定し、断信号を受信した場合には、ステップ65により通信装置19と外部通信機器21とを非回線状態に遷移させて終了する。断信号を受信していない場合はステップ68に戻る。
【0033】
これにより成型品取出機1から離れた場所にいる作業者は、成型品取出機1の処まで行き、制御装置3を収容する制御ボックスに設けられた表示装置(何れも図示せず)に表示される実行完了データや障害データを直接確認することなく、外部通信機器21の表示部材21bにこれらのデータを表示させて成型品取出機1の取出し状態や障害状態を確認することができる。
【0034】
本実施形態は、成型品取出機1の稼動状態を、成型品取出機1から離れた場所でリアルタイムに確認することができるため、従来のように所望の成型品取出機1の処に行って制御装置3の表示装置に監視データを表示させて確認する必要がなく、確認作業を効率的に行なうことができる。
【0035】
また、障害発生時には外部通信機器21に対して障害データを強制的に送信して作業者に確認可能にさせるため、成型品の取出し中断時間を短くすることにより成形効率を向上することができる。
【0036】
【発明の効果】
本発明は、成型品取出機から離れた場所に居ても成型品取出機の稼動状態をリアルタイムに確認することができ、作業性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】成型品取出機の監視システムの一例を示す説明図である。
【図2】成型品取出機の制御概略を示す電気的ブロック図である。
【図3】障害データの送信処理の一部を示すフローチャートである。
【図4】障害データの送信処理の一部を示すフローチャートである。
【図5】外部通信機機からの要求による監視処理の一部を示すフローチャートである。
【図6】外部通信機機からの要求による監視処理の一部を示すフローチャートである。
【図7】自己診断例を示す表である。
【符号の説明】
1−成型品取出機、3−制御装置、5−CPU、9−作業メモリ、15−送信部、17−受信部、19−通信装置、21−外部通信機器

Claims (8)

  1. チャックを移動して金型内の成型品を成形機外に取り出す成型品取出機において、
    チャックを移動制御する制御装置は、
    成型品の取出データ及び障害データを記憶する記憶部及び該記憶部に記憶された取出データ及び障害データを予め登録された外部通信機器に送出する送信部及び外部通信機器からの監視要求データを受信する受信部を有した通信手段を有し、
    制御手段は、取出不良が発生した際には成型品取出動作を中断した後に記憶部に記憶された取出不良発生時の取出データに基づいて取出不良や故障等に関する障害データを記憶部に記憶した後、外部通信機器に対して通信手段を回線状態にした後に該通信手段の送信部から記憶部に記憶された障害データを読み出して送信制御する一方、外部通信機器から通信手段へ回線接続された際に該外部通信機器から送信される監視要求データに基づいて記憶部に記憶された取出データ及び障害データを読み出して通信手段の送信部から外部通信機器へ送信制御して成型品取出状態を遠隔確認可能にする
    成型品取出監視システム。
  2. 請求項1において、記憶部に記憶される取出データは所定回数分の実行済み取出データである成型品取出監視システム。
  3. 請求項1において、記憶部に記憶される取出データは所定時間分の実行済み取出データである成型品取出監視システム。
  4. 請求項1において、記憶部に記憶される障害データは取出不良及び故障の発生時におけるチャックの移動制御データである成型品取出監視システム。
  5. 請求項4において、記憶部に記憶される障害データは制御装置の自己診断機能により特定された障害に関する情報を含む成型品取出監視システム。
  6. 請求項1において、通信手段と外部通信機器とは電話回線を介して接続可能にした成型品取出監視システム。
  7. 請求項6において、電話回線は無線である成型品取出監視システム。
  8. 請求項6において、電話回線は有線である成型品取出監視システム。
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