JP4997271B2 - トナーおよびその製造方法 - Google Patents
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Description
より詳細には、本発明は、カルボキシル基を有する非晶質の植物由来樹脂からなる成分と;グリシジル基を有する結晶性エポキシ樹脂からなる成分と;前記植物由来樹脂が有するカルボキシル基と、前記エポキシ樹脂が有するグリシジル基とが架橋した架橋樹脂からなる成分と;を含むトナー及び該トナーの製造方法に関する。
混練粉砕法では、結着樹脂および着色剤を主成分とし、必要に応じて離型剤、帯電制御剤などを添加して混合したトナー原料を溶融混練し、冷却して固化させた後、粉砕分級することでトナーを製造する。
また、コピー機やファクシミリ機のさらなる高速化も望まれている。これらの動向に対応するためにはトナーの低融点化は必要不可欠である。
この接触加熱型定着方式におけるトナーの定着性は、定着下限温度からホットオフセット開始温度までの定着可能温度幅によって評価することができる。
一方、トナー用結着樹脂には架橋構造の樹脂や高分子量体と低分子量体とを含む樹脂などが用いられているが、このような結着樹脂において、耐ホットオフセット性を向上させるために架橋成分や高分子量体成分の含有量を多くすると、樹脂の溶融粘度が大きくなりすぎてトナーの低温定着性が不充分になってしまうおそれがある。
したがって、トナーの低融点化を達成し、さらに高温における耐オフセット性を維持するためには、トナー用結着樹脂の設計が特に重要である。
これは、バイオマスを燃焼させる際に発生する二酸化炭素は、もともと植物が光合成により取り込んだ大気中の二酸化炭素であるため、全体で見ると大気中の二酸化炭素の収支はゼロでありその総量は変化しないと見なされるからである。
本発明は、上述の課題に鑑みてなされたものであり、地球環境保全に対して配慮され、低温定着性を損なうことなく、耐ホットオフセット性に優れたトナー、及びそのトナーの製造方法を提供することを目的とする。
1.トナー
本発明のトナーは、少なくとも結着樹脂と着色剤とを含む。
前記の結着樹脂は、カルボキシル基を有する非晶質の植物由来樹脂と;グリシジル基を有する結晶性エポキシ樹脂と;前記植物由来樹脂が有するカルボキシ基と前記エポキシ樹脂が有するグシリジル基との反応により生成する架橋構造有する架橋樹脂とを含んでいることを特徴とする。
本発明に使用するカルボキシル基を有する非晶質の植物由来樹脂としては、官能基としてカルボキシル基を有する非晶質の植物由来樹脂が挙げられる。
前記の植物由来樹脂とは、大気中の二酸化炭素から植物が光合成によって取り込んだ炭素原子を骨格とする化合物を原料として含む材料である。
したがって、植物由来樹脂を含有するトナーは、環境汚染を抑制することができるトナーであるといえる。
植物由来樹脂を20重量%以上含む非晶性樹脂は、植物由来樹脂を含む樹脂を公知の熱可塑性樹脂に混合させるか、または熱可塑性樹脂の製造時に植物由来ポリマーまたはモノマーを用いて、化学的に重合させた樹脂のどちらをも使用できる。
トナー中においてカルボキシル基を有する非晶質の植物由来樹脂と結晶性エポキシ樹脂が有するグリシジル基とが架橋構造を有する架橋樹脂を形成しているので、本発明によるトナーはゲル成分を含むことになり、特に高温下でのトナーの粘度が高くなる。
本発明に用いられるカルボキシ基を有する植物由来樹脂としては、カルボキシル基を有する非晶質の植物由来樹脂に、公知の非晶質のポリエステル樹脂を添加してもよい。
前記の非晶質のポリエステル樹脂は、たとえば多塩基酸と多価アルコールとを重縮合させることによって得られる。
上記の多塩基酸は1種を単独でまたは2種以上を併用して使用できる。
上記の多価アルコールは1種を単独でまたは2種以上を併用して使用できる。
また多塩基酸として無水トリメリト酸を用いると、ポリエステルの主鎖中にカルボキシル基を容易に導入することもできる。
本発明によるトナーに使用できるポリエステル樹脂は、カルボン酸類とアルコール類とをエステル化触媒の存在下、所定の割合で混合、加熱し、脱水縮合を行うことによって得られる。
また反応は、常圧下、減圧下、もしくは加圧下で行うことができるが、反応の進行を物性値(例えば酸価、メルトフローレートなど)や反応機の撹拌トルクまたは動力値で追いながら、適宜反応系内の圧力を調整するのが望ましい。
なお、物性値などが所定の値に到達した時点で反応を停止させることによって本発明のポリエステル樹脂を得ることができる。
非晶質のポリエステル樹脂の酸価が10KOHmg/g未満では、非晶質のポリエステル樹脂中のカルボキシル基の量が少ないので、非晶質のポリエステル樹脂と結晶性エポキシ樹脂との架橋反応が起こりにくくなる。そのため、トナー中にゲル成分が充分に形成されず、トナーの粘度が充分に上がらないために、安定して高温オフセットを抑制できないおそれがある。
したがって、非晶質のポリエステル樹脂の酸価が10KOHmg/g〜30KOHmg/gであることによって、非晶質のポリエステル樹脂と結晶性エポキシ樹脂との架橋反応が適度に起こるので、環境安定性を良好にすることができるとともに、安定して高温オフセットの発生を抑制することができる。
非晶質のポリエステル樹脂のガラス転移温度(Tg)が55℃未満であると、画像形成装置内部においてトナーが熱凝集するブロッキングを発生しやすくなり、保存安定性が低下するおそれがある。
また、非晶質のポリエステル樹脂のガラス転移温度(Tg)が70℃を超えると、記録媒体へのトナーの定着性が低下し、定着不良が発生するおそれがある。
このような温度範囲の非晶質のポリエステル樹脂を用いることによって、安定した保存安定性と定着性とを兼ね備えたトナーを得ることができる。
本発明によるトナーに使用される結晶性エポキシ樹脂は、1分子中に2個以上の反応しやすいエポキシ基(グリシジル基)を有する比較的低分子のポリマー、およびそれを重縮合させて得られる結晶性の樹脂である。
本実施形態のトナーは、結晶性エポキシ樹脂を含むので、定着下限温度が低下して、低温定着化が可能である。
そのため、低温定着化を可能にしつつ、高温下での保存安定性を良好にすることができる。
前記の結晶性エポキシ樹脂の融点が90℃未満であると、高温下での保存安定性が低下するおそれがある。
したがって、前記の結晶性エポキシ樹脂の融点が90℃〜130℃であることによって、安定した低温定着性を確保することができるとともに、高温下での保存安定性を良好にすることができる。
また、結晶性エポキシ樹脂のエポキシ当量が300を超えると、トナー中にゲル成分が充分に形成されず、トナーの粘度が充分に上がらないために、安定して高温オフセットを抑制できないおそれがある。
結晶性エポキシ樹脂のエポキシ当量は、JISK7236に準ずる方法で測定することができる。
上記カルボキシル基を有する非晶質の植物由来樹脂および結晶性エポキシ樹脂とともに、その他の樹脂を結着樹脂として併用してもよい。
上記のアクリル系単量体としては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸ラウリルおよびアクリル酸2−エチルヘキシルなどが挙げられる。
上記のエチレン性不飽和酸単量体としては、アクリル酸、メタクリル酸およびスチレンスルホン酸ナトリウムなどが挙げられる。
上記のビニルエーテル類としては、ビニルメチルエーテルおよびビニルイソブチルエーテルなどが挙げられる。
上記のビニルケトン類としては、ビニルメチルケトン、ビニルエチルケトンおよびビニルイソプロペニルケトンなどが挙げられる。
着色剤としては、有機系着色剤、無機系着色剤を問わず、様々な種類および様々な色の着色剤を用いることが可能であり、染料および顔料が挙げられる。その中でも、顔料を用いることが好ましい。顔料は染料に比べて耐光性および発色性に優れるので、顔料を用いることによって耐光性および発色性に優れるトナーを得ることができる。着色剤の具体例としては、以下に記すように、たとえば、イエロートナー用着色剤、マゼンタトナー用着色剤、シアントナー用着色剤、およびブラックトナー用着色剤などが挙げられる。以下では、カラーインデックス(Color Index)を「C.I.」と略記する。
青色顔料としては、紺青、コバルトブルー、アルカリブルーレーキ、ビクトリアブルーレーキ、銅フタロシアニンブルー、無金属フタロシアニンブルー、フタロシアニンブルー部分塩素化物、ファーストスカイブルー、及びインダスレンブルーBC等の着色剤を挙げることができる。
緑色顔料としては、クロムグリーン、酸化クロム、ピクメントグリーンB、マイカライトグリーンレーキ、及びファイナルイエローグリーンG等の着色剤を挙げることができる。
また、カラー画像の場合でのトナーにおける着色剤濃度は、3〜8重量%の範囲が好ましく、4〜6重量%の範囲がより好ましい。マスターバッチを用いる場合には、本発明のトナーにおける着色剤の含有量が上記範囲になるように、マスターバッチの使用量を調整することが好ましい。着色剤の含有量が上記範囲の値であることにより、着色剤の添加によるフィラー効果を抑え、かつ高着色力を有するトナーを得ることができる。また、充分な画像濃度を有し、発色性が高く画像品位に優れる良好な画像を形成することができる。着色剤の含有量が20重量部を超えると、着色剤のフィラー効果によって、弾性が上昇し、トナーの定着性が低下するおそれがある。
本実施形態のトナーには、磁性粉、離型剤および帯電制御剤などのその他のトナー添加剤を必要に応じて添加してもよい。
磁性粉としては、マグネタイト、γ−ヘマタイトおよび各種フェライトなどを挙げることができる。
離型剤の添加量は、結着樹脂100重量部に対して1〜10重量部とすることが好ましい。
なお帯電制御剤の添加量は、結着樹脂100重量部に対して、0.01〜5重量部が好ましい。
本実施形態のトナーには、たとえば流動性の調整、像担持体へのフィルミングの防止および像担持体表面における残留トナーのクリーニング性の向上を目的として外添剤を外添させることができる。
なお外添剤の添加量は、結着樹脂100重量部に対して、0.5〜5重量部が好ましい。
本発明のトナーの製造方法は、混合工程、混練工程、冷却工程、粉砕工程、分級工程および外添工程とを含む。
混合工程では、結着樹脂であるカルボキシル基を有する非晶質の植物由来樹脂および結晶性エポキシ樹脂、着色剤ならびにその他のトナー添加物を混合して混合物を得る。
トナー原料に結晶性エポキシ樹脂を用いることによって、低温定着性が良好なトナーを得ることができる。
結晶性エポキシ樹脂の含有量が5重量%未満であると、定着温度が充分に低下しないおそれがある。
THF不溶分が30%以上であれば、顔料やワックスの分散が低下してしまう。
混練工程では、二軸混練機を用いて混合物を溶融混練し、混合物を混練しながらカルボキシル基を有する非晶質の植物由来樹脂中のカルボキシル基と結晶性エポキシ樹脂中のエポキシ基とを架橋反応させる。これによって、混練物が得られる。
すなわち、示差走査熱量計(DSC)を用いて、混練工程後の混練物におけるDSC曲線の結晶性エポキシ樹脂の融点に相当する吸熱ピークのピーク面積が、混練工程前の混合物におけるDSC曲線の結晶性エポキシ樹脂の融点に相当する吸熱ピークのピーク面積に比べて10%以上50%以下に減少する程度までカルボキシル基を有する非晶質の植物由来樹脂と結晶性エポキシ樹脂とを架橋させる。
DSC曲線の吸熱ピーク面積の減少の程度は、混合物を混練する際の温度である混練温度、結着樹脂の架橋反応に関与する官能基の濃度などで調整することができる。
混練物のTHF不溶分が10%〜40%であることによって、低温定着性かつ定着域の広いトナーを得ることが出来る。
さらに、混練物のTHF不溶分が、混合物のTHF不溶分よりも1%〜10%大きい方が好ましい。
また、二軸混練機を用いると、混練のシェアによってトナー原料の温度が上昇し易く、カルボキシル基を有する非晶質の植物由来樹脂と結晶性エポキシ樹脂との架橋反応が進行し易くなる。
冷却工程では、溶融混練によって得られる混練物を冷却固化する。
粉砕工程では、冷却固化した固化物を粉砕機によって粉砕する。分級工程では、粉砕物の粒度調整を行う。これによって未外添トナーが得られる。
粉砕機としては、たとえば、超音速ジェット気流を利用して粉砕するジェット式粉砕機、および高速で回転する回転子(ロータ)と固定子(ライナ)との間に形成される空間に固化物を導入して粉砕する衝撃式粉砕機が挙げられる。
分級工程には、遠心力による分級および風力による分級によって過粉砕トナー母粒子を除去できる公知の分級機を使用することができ、たとえば、旋回式風力分級機(ロータリー式風力分級機)などを使用することができる。
外添工程では、未外添トナーと前記外添剤とを混合することによってトナーを得る。なお、外添剤が外添されていない未外添トナーをトナーとして用いることもできる。
実施例1
〔非晶性結着樹脂の作製〕
ポリエステル樹脂(ガラス転移温度(Tg):60℃、軟化温度(T1/2):125℃、重量平均分子量72500、Mw/Mn=15.2、酸価3、THF不溶分5%)80.0重量部(2000g)、およびポリ乳酸樹脂(商品名:テラマックTE−2000C、ユニチカ株式会社製、融点(Tm):170℃)20.0重量部(500g)を、撹拌装置および加熱装置を備えた容器に入れ、撹拌しながら220℃まで昇温して、樹脂を溶融させて、加熱撹拌を行い、結着樹脂B(ガラス転移温度(Tg):55℃、軟化温度(T1/2):110℃、ピークトップ分子量10500、Mw/Mn=5.1、酸価5、THF不溶分4%)(2250g)を得た。
上記で作製したカルボキシル基を有する非晶質の植物由来樹脂65重量部(3250g)、および結晶性エポキシ樹脂(商品名:YSLV−115XY、東都化成社製、融点(Tm):115℃)20重量部(1000g)、着色剤として、予めカルボキシル基を有する非晶質の植物由来樹脂中に40重量%の濃度で予備混練分散させたシアントナー用顔料(C.I.ピグメントブルー15)マスターバッチ10重量部(顔料濃度4%)(500g)、離型剤としてポリエチレンワックス(商品名:PW−600、ベーカーペトロライト社製、融点(Tm):87℃)3重量部(150g)、帯電制御剤(商品名:Copy Charge N4P VP 2481、クラリアントジャパン株式会社製)2重量部(100g)を含有するトナー原料をヘンシェルミキサー(商品名:FM20C、三井鉱山株式会社製)にて10分間混合し、原材料混合物(4950g)を得た。この混合物のTHF不溶分は15.8%であった。
得られた原材料は株式会社池貝製二軸混練機PCM−30にて、シリンダー設定温度(混練温度)80〜140℃(最高温度140℃)、回転数250rpm、供給量5Kg/時で溶融混練して溶融混練物を作製した。この混練物のTHF不溶分は21.8%であった。
溶融混練工程にて得られた溶融混練物を室温まで冷却して固化した後、カッターミル(商品名:VM−16、オリエント株式会社製)で粗粉砕した。次いで、粗粉砕によって得られた粗粉砕物をカウンタージェットミル(商品名:AFG、ホソカワミクロン株式会社製)によって微粉砕した後、得られた粉砕物をロータリー式分級機(商品名:TSPセパレータ、ホソカワミクロン株式会社製)によって分級して、未外添トナーを得た。
次いで、得られた未外添トナー粒子100重量部(500g)に対して、シランカップリング剤とジメチルシリコーンオイルで表面処理している疎水性シリカ微粉体(BET比表面積140m2/g)1.2重量部(6g)、シランカップリング剤で表面処理している疎水性シリカ微粉体(BET比表面積30m2/g)0.8重量部(4g)、酸化チタン(BET比表面積130m2/g)0.5重量部(2.5g)を添加し、ヘンシェルミキサー(商品名:FMミキサ、三井鉱山株式会社製)で混合することによって実施例1のトナー(500g)を製造した。
得られたトナーの体積平均粒径は7.0μm、変動係数(CV値)は25%であった。
混合工程において、結晶性エポキシ樹脂(商品名:YSLV−95XY、東都化成社製、融点(Tm):93℃)を変更したこと以外は実施例1と同様にして、負摩擦帯電性である実施例2のトナーを得た。
混合工程において、結晶性エポキシ樹脂(商品名:YSLV−125XY、東都化成社製、融点(Tm):125℃)を変更したこと以外は実施例1と同様にして、負摩擦帯電性である実施例3のトナーを得た。
溶融混練工程において、シリンダ設定温度の最高温度を表1のように変更したこと以外は実施例1と同様にして、負摩擦帯電性である実施例4のトナーを得た。
混合工程において、結晶性エポキシ樹脂(商品名:YSLV−85XY、東都化成社製、融点(Tm):85℃)を変更したこと以外は実施例1と同様にして、負摩擦帯電性である比較例1のトナーを得た。
混合工程において、結晶性エポキシ樹脂(商品名:YSLV−135XY、東都化成社製、融点(Tm):133℃)を変更したこと以外は実施例1と同様にして、負摩擦帯電性である比較例2のトナーを得た。
溶融混練工程において、シリンダ設定温度の最高温度を表1のように変更したこと以外は実施例1と同様にして、負摩擦帯電性である比較例3のトナーを得た。
実施例、及び比較例における各物性値は、以下に示すようにして測定した。
〔結着樹脂のガラス転移温度(Tg)〕
示差走査熱量計(商品名:Diamond DSC、パーキンエルマージャパン株式会社製)を用い、日本工業規格(JIS)K7121−1987に準じ、試料0.01gを昇温速度毎分10℃(10℃/分)で加熱してDSC曲線を測定した。得られたDSC曲線のガラス転移に相当する吸熱ピークの低温側のベースラインを高温側に延長した直線とピークの低温側の曲線に対して勾配が最大になる点で引いた接線との交点の温度をガラス転移温度(Tg)として求めた。
流動特性評価装置(商品名:フローテスターCFT−500C、株式会社島津製作所製)を用い、試料1gをシリンダに挿入し、ダイから押出されるように荷重10kgf/cm2(0.980665MPa)を与えながら、昇温速度毎分6℃(6℃/分)で加熱し、ダイから試料の半分が流出したときの温度を軟化温度として求めた。ダイには、口径1mm、長さ1mmのものを用いた。
GPC装置(商品名:HLC−8220GPC、東ソー株式会社製)を用い、温度40℃において、試料の0.25重量%のテトラヒドロフラン(以下、「THF」と記す)溶液を試料溶液とし、試料溶液の注入量を200μLとして、分子量分布曲線を求めた。得られた分子量分布曲線から、重量平均分子量Mwおよび数平均分子量Mnを求め、数平均分子量Mnに対する重量平均分子量Mwの比である分子量分布指数(Mw/Mn;以下、単に「Mw/Mn」と記す)を求めた。なお、分子量校正曲線は標準ポリスチレンを用いて作成した。
酸価は以下のようにして中和滴定法によって測定した。THF50mLに、試料5gを溶解させ、指示薬としてフェノールフタレインのエタノール溶液を数滴加えた後、0.1モル/Lの水酸化カリウム(KOH)水溶液で滴定を行なった。試料溶液の色が無色から紫色に変化した点を終点とし、終点に達するまでに要した水酸化カリウム水溶液の量と滴定に供した試料の重量とから、酸価(mgKOH/g)を算出した。
試料1gを円筒濾紙に入れてソックスレー抽出器にかけ、溶媒としてTHF100mLを用いて6時間加熱還流して、試料中のTHFに可溶な成分をTHFによって抽出した。抽出されたTHF可溶分を含む抽出液から溶媒を除去した後、THF可溶分を100℃で24時間乾燥し、得られたTHF可溶分の重量X(g)を秤量した。
P(重量%)={1(g)−X(g)}/1(g)×100 …(1)
に基づいて、結着樹脂中のTHFに不溶な成分であるTHF不溶分の割合P(重量%)を算出した。以下、この割合PをTHF不溶分と記す。
示差走査熱量計(商品名:Diamond DSC、パーキンエルマージャパン株式会社製)を用い、日本工業規格(JIS)K7121−1987に準じ、試料0.01gを温度20℃から200℃まで1分間当たり10℃の割合で昇温させ、次いで200℃から20℃まで1分間当たり50℃の割合で降温させた後、再度、温度20℃から200℃まで1分間当たり10℃の割合で昇温させることにより得られるDSC曲線の融解熱のピークについて、ピークの頂点の温度を融点(Tm)として求めた。
電解液(商品名:ISOTON−II、ベックマン・コールター社製)50mlに、試料20mgおよびアルキルエーテル硫酸エステルナトリウム(分散剤、キシダ化学株式会社製)1mlを添加し、超音波分散器(商品名:UH−50、株式会社エスエムテー製)にて超音波周波数20kHzで3分間超音波分散処理したものを測定用試料とした。
CV値(%)=[体積粒度分布における標準偏差/体積平均粒径(μm)]×100…(2)
に基づいて変動係数(CV値、%)を算出した。なお、体積平均粒径D50(μm)とは、累積体積分布における大粒径側からの累積体積が50%になる粒径のことを示す。
混合物、及び混練物10gをテロラヒドロフラン(THF)100mlに混合し、超音波分散機にて30分溶解を行った。その後、混合液を3.0μmメンブランフィルターにて濾過を行った後、フィルター上の残存物をノルマルヘキサン50mlにて洗浄を行なった。メンブランフィルターを50℃で1h乾燥させ、下記式(3):
THF不溶分(wt%)=(メンブランフィルター上の残存物の重量/混合物及び混練物の初期の仕込み重量)×100 …(3)
の計算方法でTHF不溶分を算出した。
作製した実施例、及び比較例のトナーについて、以下のようにして評価を行った。
〔低温定着性評価〕
キャリアとして、体積平均粒径45μmのフェライトコアキャリアを用いて、キャリアに対する実施例、及び比較例のトナーの被覆率がそれぞれ60%となるようにV型混合器混合機(商品名:V−5、株式会社特寿工作所製)にて20分間混合して、二成分現像剤を作製した。
140℃以下のものを○;
145〜155℃を△;
160℃以上を×;
とし、△以上を実使用上問題ないレベルとした。
耐ホットオフセット性は、定着可能温度幅で評価した。定着可能温度幅は、低温オフセットおよび高温オフセットが発生しない温度幅であり、下記式(4):
定着可能温度幅(℃)=定着上限温度(℃)−定着下限温度(℃) …(4)
によって算出した。
なお定着上限温度は、前記外部定着機にて定着温度を130℃から5℃刻みで温度を上げて未定着画像の定着を行ったときの、高温オフセットの発生しない上限温度とした。
60℃以上のものを○;
45〜55℃以上を△;
40℃以下を×;
とし、△以上を実使用上問題ないレベルとした。
保存性は、メッシュアップ率を用いて評価した。実施例および比較例のトナー100gをポリエチレン製の容器に入れて密封し、50℃の恒温槽にて48時間放置した。200メッシュ網を搭載した振動式ふるい機にて、放置した後のトナーを60Hzで1分間振動させ、メッシュ網上に残留するトナーの重量を測定した。メッシュ網上に残留するトナーの割合をメッシュアップ率とし、下記式(5):
メッシュアップ率(%)=[100(g)/メッシュ網上に残留するトナーの重量(g)]×100 …(5)
によって算出した。メッシュアップ率が低いほど、高温下での保存安定性が良好であることを示す。
○:良好。メッシュアップ率が1.0%未満である。
△:実使用上問題なし。メッシュアップ率が1.0%以上3.0%未満である。
×:不良。メッシュアップ率が3.0以上である。
なお、△以上を実使用上問題ないレベルとした。
〔総合判定〕
定着下限温度、定着可能温度幅、および保存性の3項目の評価結果を用いて、総合評価を行った。
総合評価の評価基準は以下の通りである。
◎:非常に良好。3項目全ての評価結果が○である。
○:良好。3項目のうち、少なくとも1項目の評価結果が△であるが、×の評価結果はない。
×:不良。3項目のうち、少なくとも1項目の評価結果が×である。
定着下限温度、定着可能温度幅、保存性および総合評価結果を表1に示す。
以上のように、実施例のトナーは3項目の評価結果が比較例のトナーよりも良好であることが判る。
また、結晶性エポキシ樹脂の融点と混練温度が最適である実施例1のトナーは、低温定着性が良好で定着可能温度幅が広く、保存性も良好であることが判る。
Claims (2)
- ポリ乳酸樹脂と、グリシジル基を有し、90℃〜130℃の融点を有する結晶性エポキシ樹脂からなる成分を、130℃以上の温度で溶融混練することにより、前記ポリ乳酸と;前記のエポキシ樹脂からなる成分と;前記ポリ乳酸樹脂が有するカルボキシル基と、前記の結晶性エポキシ樹脂が有するグリシジル基との反応により生成する架橋樹脂からなる成分とを含むトナーを製造することを特徴とするトナーの製造方法。
- 請求項1に記載のトナーの製造方法により得られるトナー。
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