JP4992427B2 - 薄膜トランジスタ - Google Patents

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Description

本発明は、薄膜トランジスタと薄膜トランジスタ素子シートに関する。
情報端末の普及に伴い、コンピュータ用のディスプレイとしてフラットパネルディスプレイに対するニーズが高まっている。またさらに情報化の進展に伴い、従来紙媒体で提供されていた情報が電子化されて提供される機会が増え、薄くて軽い、手軽に持ち運びが可能なモバイル用表示媒体として、電子ペーパーあるいはデジタルペーパーへのニーズも高まりつつある。
一般に平板型のディスプレイ装置においては液晶、有機EL、電気泳動などを利用した素子を用いて表示媒体を形成している。またこうした表示媒体では画面輝度の均一性や画面書き換え速度などを確保するために、画像駆動素子として薄膜トランジスタ(TFT)により構成されたアクティブ駆動素子を用いる技術が主流になっている。
ここでTFT素子は、通常、ガラス基板上に、主にa−Si(アモルファスシリコン)、p−Si(ポリシリコン)などの半導体薄膜や、ソース、ドレイン、ゲート電極などの金属薄膜を基板上に順次形成していくことで製造される。このTFTを用いるフラットパネルディスプレイの製造には通常、CVD、スパッタリングなどの真空系設備や高温処理工程を要する薄膜形成工程に加え、精度の高いフォトリソグラフ工程が必要とされ、設備コスト、ランニングコストの負荷が非常に大きい。さらに、近年のディスプレイの大画面化のニーズに伴い、それらのコストは非常に膨大なものとなっている。
近年、従来のTFT素子のデメリットを補う技術として、有機半導体材料を用いた有機TFT素子の研究開発が盛んに進められている(特許文献1、非特許文献1等参照)。この有機TFT素子は低温プロセスで製造可能であるため、軽く、割れにくい樹脂基板を用いることができ、さらに、樹脂フィルムを支持体として用いたフレキシブルなディスプレイが実現できると言われている(非特許文献2参照)。また、大気圧下で、印刷や塗布などのウェットプロセスで製造できる有機半導体材料を用いることで、生産性に優れ、非常に低コストのディスプレイが実現できる。
また、電極形成にインクジェットを用いた有機TFTの技術が開示されており(例えば、特許文献2参照。)、真空系を用いないプロセスが可能と成るが、ソース、ドレイン電極の間のチャネル領域にポリイミド皮膜を用いている。
これらは、煩雑な工程が必要になり製造コストも高くなりやすく、チャネル形成の精度が悪く且つチャネル長も短くできないため素子の性能が悪く且つばらつきも大きくなりやすいという問題点があり、更にまた、SD(ソースドレイン)電極の形成に液体材料を、それぞれ個別に形成しているため、それらがショートしやすく、ショートした場合は素子が形成されないという問題がある。
特開平10−190001号公報 国際公開第01/47043号パンフレット Advanced Material誌 2002年 第2号 99頁(レビュー) SID‘02 Digest p57
本発明の目的は、性能ばらつきのない、チャネル長の短い、高性能な、安価な薄膜トランジスタと薄膜トランジスタ素子シート、また、それらの薄膜トランジスタを有する電気回路を提供し、且つ、それらを複雑な、高価な、生産性の悪い真空系等やフォトリソを用いずに簡易、且つ効率的に製造する方法を提供することである。
本発明者は、ノズル内径が30μm以下である静電吸引型インクジェット装置を用いることにより、電極材料反撥性を有する材料で絶縁性領域を形成し、絶縁性領域を跨るように形成したソース電極、ドレイン電極(SD電極ともいう)を分離することにより、TFTのチャネル長である絶縁性領域の幅を精度良く規制できることに着目し、さらに、絶縁性領域を極微細な液滴を吐出する上記静電吸引型インクジェット装置の液滴の容量や吐出量(描き込み密度)で形成しようと考え本発明に至った。
本発明の上記目的は下記の請求項に記載した発明により達成される。
(構成1)支持体上に、少なくともゲート電極、半導体層、ソース電極及びドレイン電極を有する薄膜トランジスタにおいて、ノズル内径が30μm以下である静電吸引型インクジェット装置により電極材料反撥性を有する絶縁性領域を形成し、次いで、該絶縁性領域に流動性電極材料を供給して、該流動性電極材料が前記絶縁性領域で分断されることにより、該ソース電極及び該ドレイン電極の各々が形成される工程を経て、製造されることを特徴とする薄膜トランジスタであって、前記絶縁性領域が、絶縁性領域形成用材料を空隙型の受容層に供給する工程により形成されることを特徴とする薄膜トランジスタ。
(構成2)支持体上に、少なくともゲート電極、半導体層、ソース電極及びドレイン電極を有する薄膜トランジスタにおいて、ノズル内径が30μm以下である静電吸引型インクジェット装置により電極材料反撥性を有する絶縁性領域を形成し、次いで、該絶縁性領域に流動性電極材料を供給して、該流動性電極材料が前記絶縁性領域で分断されることにより、該ソース電極及び該ドレイン電極の各々が形成される工程を経て、製造されることを特徴とする薄膜トランジスタであって、前記ソース電極及び前記ドレイン電極が、前記流動性電極材料を空隙型の受容層に供給する工程により形成されることを特徴とする薄膜トランジスタ。
(構成3)支持体上に、少なくともゲート電極、半導体層、ソース電極及びドレイン電極を有する薄膜トランジスタにおいて、ノズル内径が30μm以下である静電吸引型インクジェット装置により電極材料反撥性を有する絶縁性領域を形成し、次いで、該絶縁性領域に流動性電極材料を供給して、該流動性電極材料が前記絶縁性領域で分断されることにより、該ソース電極及び該ドレイン電極の各々が形成される工程を経て、製造されることを特徴とする薄膜トランジスタであって、前記絶縁性領域と前記半導体層との間に中間層が設けられることを特徴とする薄膜トランジスタ。
ボトムゲート型の薄膜トランジスタの層構成例の一例である。 トップゲート型の薄膜トランジスタの層構成例の一例である。 ノズルを有する記録ヘッド及び記録ヘッドに係る部材の断面図である。 インクの吐出動作とインクに印加される電圧との関係を示す説明図である。 本発明の薄膜トランジスタの作製方法を説明するための図である。 本発明の静電吸引型インクジェット装置により有機半導体層上に絶縁性領域を形成する一例を示す模式図である。 インクジェット法によりソース・ドレイン電極を形成する一例を示す模式図である。 インクジェット法によりソース・ドレイン電極を形成する他の一例を示す模式図である。 インクジェット法による、本発明の薄膜トランジスタ素子シートの薄膜トランジスタ素子の作製工程の一態様の説明図である。 本発明の薄膜トランジスタ素子が複数配置された、薄膜トランジスタ素子シートの一態様を示す等価回路図である。 本発明の薄膜トランジスタ素子シートの一画素を形成する有機薄膜トランジスタの一態様を示す模式図である。 絶縁性領域を素子シート上にライン状に形成する、第1の態様の説明図である。 絶縁性領域を素子シート上にライン状に形成する、第2の態様の説明図である。 絶縁性領域を素子シート上にライン状に形成する、第3の態様の説明図である。 絶縁性領域を素子シート上にライン状に形成する、第4の態様の説明図である。 薄膜トランジスタ素子の構造図である。
以下、図面により本発明の薄膜トランジスタの一態様である、有機薄膜トランジスタを例にとり、その実施形態について述べる。
本発明の有機薄膜トランジスタは、ボトムゲート型とトップゲート型に大別される。ボトムゲート型とは、支持体上に、直接または下引き層等のその他の層を介して、ゲート電極が設けられ、次いで、ゲート絶縁層を介して有機半導体層で連結されたソース電極とドレイン電極からなる層構成を有する。また、トップゲート型とは、支持体上に有機半導体層に接したソース電極とドレイン電極を有し、その上にゲート絶縁層を介してゲート電極が設けられた層構成を有する。
本発明の有機薄膜トランジスタの具体的な層構成を図1(a)〜(c)及び図2により説明する。
図1はボトムゲート型の薄膜トランジスタの層構成例の一例である。
図1(a)〜(c)は各々ボトムゲート型の層構成例の一例で、図1(a)では、支持体1上にゲート電極2、該ゲート電極2上にゲート絶縁層2aを設け、該ゲート絶縁層2a上に、有機半導体層3、電極材料反撥性を有する絶縁性領域6(以下単に絶縁性領域6とも記す)が設けられ、絶縁性領域6の両側にソース電極5とドレイン電極4が各々設けられている。
図面では省略しているが、支持体1とゲート電極2との間には、下引き層が設けられており、前記ゲート電極2上にゲート絶縁層2aが設けられる前に、陽極酸化処理を行い陽極酸化被膜形成がゲート電極2に施されている。
図1(b)にボトムゲート型の層構成の別の一例を示す。有機半導体層3上に受容層7(例えば、インク受容層等である)が設けられ、該受容層7中に、電極材料反撥性を有する絶縁性領域6と絶縁性領域6の両側にソース電極5とドレイン電極4が各々設けられていることを除けば、図1(a)に示されている構成と同一構成である。
図1(c)にボトムゲート型の層構成の別の一例を示す。有機半導体層3と電極材料反撥性を有する絶縁性領域6との間に有機半導体保護層(中間層ともいう)3aが設けられていることを除けば、図1(a)に示されている構成と同一構成である。ここで、有機半導体保護層3aは、前記絶縁性領域6を形成する材料(図示していない)からの有機半導体層への化学的、物理的な影響を低減させるために設けられる。
図2はトップゲート型の薄膜トランジスタの層構成例の一例である。
図2はトップゲート型の層構成例を示し、支持体1上に電極材料反撥性を有する絶縁性領域6が設けられ、絶縁性領域6の両側にソース電極5、ドレイン電極4が各々設けられ、次いで、有機半導体層3が該ソース電極5、該ドレイン電極4と各々連結されるように設けられ、該有機半導体層3上にゲート絶縁層2a、ゲート電極2が設けられている。
以下に、本発明の、支持体上に、少なくともゲート電極、半導体層、ソース電極及びドレイン電極を有し、ノズル内径が1〜20μmのインクジェット装置(静電吸引方式液体吐出装置)により電極材料反撥性を有する絶縁性領域を形成する工程、次いで、絶縁性領域に流動性電極材料を供給して、該流動性電極材料が前記絶縁性領域で分断されることにより、該ソース電極及び該ドレイン電極の各々が形成される工程を経て、製造されることを特徴とする薄膜トランジスタについて、各層の構成を図1を参照して説明する。
ここで上述した静電吸引方式液体吐出装置は、1滴当たり1〜400flの液滴の射出方向直角方向の直径と略同一な直径のインク流として連続吐出することをも可能としている。以下このような2パタンの吐出機能を有する静電吸引方式液体吐出装置を静電吸引型インクジェット装置とも記される。尚、この静電吸引型インクジェット装置は通常のインクジェット装置に比べてノズル径が小さく、局所的な電界集中効果をより効果的に利用することができ、微小液滴が確保され、高細精印刷が可能となる。
また、以下の説明においては説明を分かりやすくするためインクを液滴として吐出する構成について述べるが、連続吐出機能を利用し、液滴に対して略同一直径、且つ単位面積当たり同量のインクを連続吐出して電極材料反撥性を有する絶縁性領域を形成することも可能である。
この連続吐出は、間欠的な液滴の吐出に比べ、例えば直線を形成した場合着弾したインクの縁の形状の凹凸が少なく、TFTのチャネル長である絶縁性領域の幅を精度良く規制でき好適である。
《電極材料反撥性を有する絶縁性領域》
本発明に係るシリコンゴムを含有する電極材料反撥性を有する絶縁性領域6について説明する。
本発明において、電極材料反撥性を有する絶縁性領域とは、電極(具体的には、ソース電極やドレイン電極である)となる電極材料を反撥する性能を有している領域(層ともいう)であり、薄膜トランジスタがボトムゲート型の場合には、絶縁性領域を半導体層上に形成させる工程により、前記絶縁性領域が前記(有機)半導体層上に形成形成され、トップゲート型の場合には、支持体上に直接またはその他の層(下引き層等)上に、パターニングを行ない形成される。
本発明では、パターニングを行う手段としては、パターニングを行うことができるものであればどのようなものを用いても構わないが、後述する有機半導体層への影響を最小限に抑制する観点から、印刷などのウェットプロセスが好ましく、中でも、特に好ましいのはインクジェット法である。
また、インクジェット法としては、ピエゾ方式など公知のインクジェットを用いることができるが、微小なパターンを描画できる観点から、極微細な液滴を吐出する静電吸引型インクジェット装置によることが特に好ましい。
ここで静電吸引型インクジェット装置により絶縁性領域6を形成する場合、インク吐出による形成領域を適正な大きさに調整する観点から、後述する受容層を設けることが好ましい。受容層に液滴が吸収され、保持された後に乾燥または硬化させることで、液滴の広がりを抑えることができる。
すなわち、電極材料反撥性を有する絶縁性領域は、絶縁性領域形成用材料を(インク)受容層に供給することにより形成される。
(受容層)
絶縁性領域6となる受容層としては、従来公知のインクジェット記録媒体に用いられている後述する空隙型の受容層が好ましく用いられる。
電極材料反撥性を有する絶縁性領域6(層)としては、電極材料を反撥する性能を有するものであればどのようなものを用いても構わない。
いわゆる水なし平板のインキ反撥性層等の形成材料を用いることができ、またはシランカップリング剤、チタネートカップリング剤、シリコンポリマー系の接着剤等を用いてもよい。そのほか、水を主成分とする溶媒を用いた電極材料を使用する場合は、フェノール樹脂やエポキシ樹脂などの親油性の材料を使用してもよい。
より好ましくはシリコンゴム等の使用が好ましい。
受容層であり、電極材料反撥性を有する絶縁性領域6である、シリコンゴム(層)は、特開平7−164773号公報等に記載されているような公知のものから適宜選択できるが、特開平10−244773号公報に記載される、縮合反応によりシリコンゴム組成物を硬化させる縮合架橋タイプと、付加反応によりシリコンゴム組成物を硬化させる付加架橋タイプの2つのタイプのものが好ましく用いられる。
縮合架橋タイプのシリコンゴムは、両末端に水酸基を有する線状オルガノポリシロキサンと該オルガノポリシロキサンと架橋しシリコンゴム層を形成させる反応性シラン化合物を必須成分として含むものを挙げることができる。
縮合架橋タイプのシリコンゴムは、上記の両末端に水酸基を有するオルガノポリシロキサンと反応性シラン化合物の縮合架橋反応の反応効率を高めるため、有機カルボン酸、チタン酸エステル、錫酸エステル、アルミ有機エーテル、白金系触媒等の縮合触媒を適宜混合させ縮合反応を行い硬化させることができる。
上記両末端に水酸基を有するオルガノポリシロキサン、反応性シラン化合物及び縮合触媒のシリコンゴム中での配合率は、全シリコンゴムの固形分に対し、両末端水酸基を有するオルガノポリシロキサンが80〜98質量%、好ましくは85〜98質量%、反応性シラン化合物が、通常2〜20質量%、好ましくは2〜15質量%、さらに好ましくは2〜7質量%、縮合触媒が0.05〜5質量%、好ましくは0.1〜3質量%、さらに好ましくは0.1〜1質量%である。
また、縮合架橋タイプのシリコンゴムには、シリコンゴム(層)のインク反撥性を高めるために、上記の両端に水酸基を有するポリオルガノシロキサン以外のポリシロキサンをシリコンゴム全固形分に対し、2〜15質量%、好ましくは3〜12質量%含有させることが出来る。該ポリシロキサンとしては例えば、両末端がトリメチルシリル化されたMw10,000〜1,000,000のポリジメチルシロキサン等が挙げられる。
一方、付加架橋タイプのシリコンゴムは、1分子中に脂肪族不飽和基を少なくとも2個有するオルガノポリシロキサンと、該オルガノポリシロキサンと架橋しシリコンゴム層を形成させる、1分子中にSi−H結合を少なくとも2個有するオルガノポリシロキサンを必須成分として含むものを挙げることができる。
1分子中に脂肪族不飽和基を少なくとも2個有するオルガノポリシロキサンは、その構造が、鎖状、環状、分岐状のいずれでもよいが、鎖状が好ましい。脂肪族不飽和基の例としては、ビニル基、アリル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基等のアルケニル基;シクロペンテニル基、シクロヘキセニル基、シクロヘプテニル基、シクロオクテニル基等のシクロアルケニル基;エチニル基、プロピニル基、ブチニル基、ペンチニル基、ヘキシニル基等のアルキニル基等が挙げられる。これらのうち、反応性の点から末端に不飽和結合を有するアルケニル基が好ましく、ビニル基が特に好ましい。また、脂肪族不飽和基以外の残余の置換基は、良好なインク反撥性を得るためにメチル基が好ましい。
1分子中に脂肪族不飽和基を少なくとも2個有するオルガノポリシロキサンのMwは通常500〜500,000であり、好ましくは1,000〜3,000,000である。
1分子中にSi−H結合を少なくとも2個有するオルガノポリシロキサンは、その構造が、鎖状、環状、分岐状のいずれでもよいが、鎖状が好ましい。Si−H結合は、シロキサン骨格の末端あるいは中間のいずれにあっても良く、置換基の総数に対する水素原子の占める割合は通常1〜60%であり、好ましくは2〜50%である。また、水素原子以外の残余の置換基は良好なインク反撥性を得るためにメチル基が好ましい。1分子中にSi−H結合を少なくとも2個有するオルガノポリシロキサンのMwは通常300〜300,000であり、好ましくは500〜200,000である。Mwが著しく高いと感度の低下、画像再現性の低下を起こしやすい。
1分子中に脂肪族不飽和基を少なくとも2個有するオルガノポリシロキサンと1分子中にSi−H結合を少なくとも2個有するオルガノポリシロキサンを付加反応させるために、通常、付加反応触媒を用いる。この付加反応触媒としては、公知のものの中から任意に選ぶことができるが、白金系触媒が好ましく、白金族金属及び白金族系化合物から選ばれる1種又は2種以上の混合物が使用される。
白金族金属としては、白金の単体(例えば白金黒)、パラジウムの単体(例えばパラジウム黒)、ロジウムの単体等が例示される。また白金族系化合物としては、塩化白金酸、白金−オレフィン錯体、白金−アルコール錯体、白金−ケトン錯体、白金とビニルシロキサンの錯体、テトラキス(トリフェニルホスフィン)白金、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム等が例示される。これらの内でも、塩化白金酸又は白金−オレフィン錯体をアルコール系溶剤、ケトン系溶剤、エーテル系溶剤、炭化水素系溶剤などに溶解したものが特に好ましい。
前記したシリコンゴム(層)を形成する各組成物の配合率は、シリコンゴムの全固形分に対して、1分子中に脂肪族不飽和基を少なくとも2個有するオルガノポリシロキサンが、80〜98質量%、好ましくは85〜98質量%であり、1分子中にSi−H結合と少なくとも2個有するオルガノポリシロキサンが、2〜20質量%、好ましくは2〜15質量%であり、付加反応触媒が、0.00001〜10質量%、好ましくは0.0001〜5質量%である。
本発明に用いられる付加架橋タイプのシリコンゴムには、上記の組成の他に、さらにシリコンゴム(層)の膜強度を高める目的で、特開平10−244773号公報に記載の一般式(VII)で表される加水分解性基を有するアミノ系有機ケイ素化合物を添加することができる。
該アミノ系の有機ケイ素化合物はシリコンゴムの全固形分に対して0〜10質量%、好ましくは0〜5質量%である。
また、付加架橋タイプのシリコンゴムには、シリコンゴム(層)を塗設する際に、シリコン組成の急激な硬化を防ぐ目的で、硬化遅延剤を添加することができる。硬化遅延剤としては一般的に知られているアセチレン系アルコール、マレイン酸エステル、アセチレン系アルコールのシリル化物、マレイン酸のシリル化物、トリアリルイソシアヌレート、ビニルシロキサン等から、任意に選ぶことができる。
該硬化遅延剤の添加量は所望の硬化速度によって異なるが、通常シリコンゴムの全固形分に対し、0.0001〜1.0質量部である。
本発明において用いられるシリコンゴム(層)の膜厚は0.1〜10μm、好ましくは0.2〜5μm、さらに好ましくは0.3〜2μmである。
シリコンゴム組成物は、適当な溶剤に溶解して溶液となし、塗布(パタニング)した後、乾燥して、シリコンゴム層を形成することができる。
塗布溶剤としては、n−ヘキサン、シクロヘキサン、石油エーテル、脂肪族炭化水素系溶剤エクソン化学(株)製:アイソパーE、H、G及びこれらの溶剤とメチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、酢酸ブチル、酢酸アミル、プロピオン酸エチル等のエステル類、トルエン、キシレン、モノクロロベンゼン、四塩化炭素、トリクロロエチレン、トリクロロエタン等の炭化水素やハロゲン化炭化水素類、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、テトラヒドロフラン等のエーテル類、さらにはプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ベントキソン、ジメチルホルムアミドなどとの混合溶媒等を用いることが出来る。
また、SCIENCE誌、299巻、1377頁等に示される様な超撥水性の材料も用いることができる。
本発明に係る絶縁性領域6は、光透過率が10%以下であることが好ましく、さらに好ましくは1%以下である。これにより、有機半導体層3の光による特性の劣化を抑えることができる。
ここで、光透過率とは有機半導体層3に光発生キャリアを発生させることのできる波長域における平均透過率を示す。一般的に350〜750nmの光に対して遮光する性能を有していることが好ましい。
また、この技術は有機半導体層の光による劣化を抑えるために有機半導体層3に到達する光を抑えようとするものであることから、絶縁性領域6で光透過率を低減させるだけでなく、有機半導体層上に形成され得る、中間層3a、受容層7等、その他の層(多層の場合はすべての層)で光透過率が10%以下となるようにしてもよく、1%以下とすることがさらに好ましい。
層の光透過率を下げるためには、層中に顔料や染料等の色材や紫外線吸収剤を含有させるといった手法を用いることができる。
《絶縁性領域の形成方法》
電極材料反撥性を有する絶縁性領域6の形成に従来の吐出液滴の1滴当たりの容量が数pl〜数十plのインクジェット装置を利用しようとすると、記録媒体に着弾するインク滴のドット径は数十μmに達してしまい(例えば20plの場合ドット径は60μmとなってしまい)、例えば10μm以下のチャネル長(絶縁領域幅)を必要とする薄膜トランジスタの絶縁領域の形成には不適なものであった。
以下本発明の電極材料反撥性を有する絶縁性領域6を形成するインクジェット方式について説明する。
電極材料反撥性を有する絶縁性領域6を形成するインクジェット装置は、絶縁領域として必要なチャネル長(例えば3μm)の形成を可能とするため、有機半導体層3に付着したドット径が、チャネル長と同等或いはそれ以下となるような、極微細な径の液滴を吐出可能な 本発明に係わる静電吸引型インクジェット装置を用いる。
以下インクジェット液滴が付着する対象物(本発明においては有機半導体層)を単に基材とも記す。
電極材料反撥性を有する絶縁性領域6を形成する極微細な径の液滴を吐出可能なインクジェット装置は吐出液滴の1滴当たりの容量が1〜400fl、好ましくは1〜100flの静電吸引型インクジェット装置が好適で、以下詳細に説明する。(記録ヘッド及び記録ヘッドに係る部材の構成)
以下、本発明の薄膜トランジスタの絶縁領域の形成に用いられる極微細な径の液滴を吐出可能な静電吸引型インクジェット装置の、記録ヘッド20及び記録ヘッド20に係る部材について図3及び図4に基づいて説明する。
図3はノズルを有する記録ヘッド及び記録ヘッドに係る部材の断面図であり、図4はインクの吐出動作とインクに印加される電圧との関係を示す説明図である。
図4(A)は吐出を行わない状態であり、図4(B)は吐出状態を示す。
図3において記録ヘッド20には、帯電可能なインクのインク滴をその先端部から吐出する超微細径のノズル21が設けられている。
記録ヘッド20のノズル21の下方には、ノズル21に対向して対向電極23が設けられており、対向電極23はノズル21の先端部に対向する対向面を有すると共にその対向面でインク滴の着弾を受ける薄膜トランジスタKを支持する。
また、記録ヘッド20には、ノズル21内の流路(ノズル内流路)22にインクを供給するインク供給手段と、ノズル21内のインクに吐出電圧を印加する吐出電圧印加手段25とが、つながれている。
なお、上記ノズル21とインク供給手段の一部の構成と吐出電圧印加手段25の一部の構成はノズルプレート26により一体的に形成されている。
記録ヘッド20は、図示しない駆動機構により、薄膜トランジスタKの搬送方向(図示左右方向)に対して直交する方向(図示表裏方向)に走査自在とされた走査型の記録ヘッドであって、電極材料反撥性を有する絶縁性吐出液(以下該絶縁性吐出液をインクとも記す)がインク供給手段の後述するインクタンク(図示せず)から供給され、記録ヘッド20はインク滴としてノズル21から吐出する。
(ノズル)
上記ノズル21は、後述するノズルプレート26の下面層26cと共に一体的に形成されており、当該ノズルプレート26の平板面上から垂直に立設されている。さらに、ノズル21にはその先端部からその中心線に沿って貫通する流路22が形成されている。
ノズル21は、超微細径で形成されている。詳しくは、ノズル21の先端部Aにおける内径dは、30μm以下である。具体的な各部の寸法の一例を挙げると、ノズル内径dは1μm、ノズル21の先端部における外部直径d1は2μm、ノズル21の根元の直径d2は5μm、ノズル21の高さhは100μmに設定されており、その形状は限りなく円錐形に近い円錐台形に形成されている。また、ノズル21はその全体がノズルプレート26の下面層26cと共に絶縁性の樹脂材により形成されている。
なお、ノズルの各寸法は上記一例に限定されるものではない。特にノズル内径dについては、後述する電界集中の効果によりインク滴の吐出を可能とする吐出電圧が1000V未満を実現する範囲であって、例えば、静電的な力が表面張力を上回る時のノズル内径の上限が大凡30μmであることから、ノズル内径の上限値は、30μmであることが好ましい。特に、15μmがより好ましい。特に局所的な電界集中効果をより効果的に利用するには、ノズル内径は0.01〜8μmの範囲が望ましい。又、上記記載のノズルからの吐出液滴の1滴当たりの容量が1〜400fl(10−15 l)であることが好ましい。
(インク供給手段)
インク供給手段は、ノズルプレート26の内部であってノズル21の根元となる位置に設けられると共にノズル内流路22に連通するインク室24と、図示しない外部のインクタンクからインク室24にインクを導くインク供給路27と、インク供給路27に接続されてインク室24へのインクの供給圧力を付与する図示しない供給ポンプとを備えている。
上記外部のインクタンクには、インクが貯留されており、上記供給ポンプは、ノズル21の先端部までインクを供給し、当該先端部からこぼれ出さない範囲の供給圧力を維持している(図4(A)参照)。
(吐出電圧印加手段)
ノズルプレート26の内部であってインク室24とノズル内流路22との境界位置に設けられた吐出電圧印加用の吐出電極28に、常時直流のバイアス電圧を印加するバイアス電源30と、吐出電極28にバイアス電圧に重畳して吐出に要する電位であるパルス電圧を印加する吐出電圧電源29とを有する吐出電圧印加手段25が接続されている。
上記吐出電極28は、インク室24内部においてインクに直接接触し、インクを帯電させると共に吐出電圧を印加する。
バイアス電源30によるバイアス電圧は、インクの吐出が行われない電圧範囲で常時電圧印加を行うことにより、吐出時に印加すべき電圧の幅を予め低減し、これによる吐出時の応答性の向上を図っている。
吐出電圧電源29は、インクの吐出を行う際にのみパルス電圧をバイアス電圧に重畳させて印加する。このときの重畳電圧Vは次式の条件を満たすようにパルス電圧の値が設定されている。
Figure 0004992427
但し、γ:インクの表面張力、ε0:真空の誘電率、r:ノズル半径、k:ノズル形状に依存する比例定数(1.5<k<8.5)とする。
一例を挙げると、バイアス電圧はDC300[V]で印加され、パルス電圧は100[V]で印される。この場合は、吐出の際の重畳電圧は400[V]となる。
(ノズルプレート)
ノズルプレート26は、図3において最も上層に位置するベース層26aと、その下に位置するインクの供給路を形成する流路層26bと、この流路層26bのさらに下に形成される下面層26cとを備え、流路層26bと上面層26cとの間には前述した吐出電極28が介挿されている。
上記ベース層26aは、シリコン基板或いは絶縁性の高い樹脂又はセラミックにより形成され、その上に溶解可能な樹脂層を形成すると共に供給路27及びインク室24のパターンに従う部分のみを残して除去し、除去された部分に絶縁樹脂層を形成する。
この絶縁樹脂層が流路層26bとなる。そして、この絶縁樹脂層の下面に導電素材(例えばNiP)のメッキにより吐出電極28を形成し、さらにその下から絶縁性のレジスト樹脂層を形成する。このレジスト樹脂層が下面層26cとなるので、この樹脂層はノズル21の高さを考慮した厚みで形成される。
そして、この絶縁性のレジスト樹脂層を電子ビーム法やフェムト秒レーザにより露光し、ノズル形状を形成する。ノズル内流路22もレーザ加工により形成される。そして、供給路27及びインク室24のパターンに従う溶解可能な樹脂層を除去し、これら供給路27及びインク室24が開通してノズルプレートが完成する。
(対向電極)
対向電極23は、前述したようにノズル21に垂直な対向面を備えており、かかる対向面に沿うように薄膜トランジスタKの支持を行う。ノズル21の先端部から対向電極23の対向面までの距離Lは、一例としては100[μm]に設定される。また、この対向電極23は接地されているため、常時接地電位を維持している。従って、パルス電圧の印加時にはノズル21の先端部Aと対向面との間に生じる電界による静電力により吐出されたインク滴を対向電極23側に誘導する。
なお、記録ヘッド20は、ノズル21の先端部Aでの電界集中により電界強度を高めた状態でインク滴の吐出を行えるために、対向電極23による誘導がなくともインク滴の吐出を行うことは可能ではあるが、ノズル21と対向電極23との間での静電力による誘導が行われた方が望ましい。また、帯電したインク滴の電荷を対向電極23の接地により逃がすことも可能である。
(インク)
インクとしては、直径0.3μm以上の粒子を含まないとすることが好ましい。
さらに詳しく説明すると、インクとしては、粘度が0.1〜1000mPa・s(好ましくは、1〜100mPa・s)であり、表面張力が20〜70mN/m(好ましくは、25〜50mN/m)であるインクが適用可能である。インクの粘度が0.1mPa・s未満又は1000mPa・sよりも大きい場合には、ノズル21からのインクの吐出が不安定なものとなる。また、インクの表面張力が20mN/m未満である場合には、ノズル21から吐出されたインク滴が基材Kに滲みやすい。インクの表面張力が70mN/mよりも大きい場合には、ノズル21から吐出されたインク滴により基材Kの各画素を完全に埋めることができない。
(記録ヘッドによる微小インク滴の吐出動作)
図3及び図4により記録ヘッド20の動作説明を行う。
図4において横軸は時間T、縦軸は吐出電圧電源29とバイアス電源30による重畳電圧Vを示している。
インク供給手段の供給ポンプによりノズル内流路22にはインクが供給され、バイアス電源30により吐出電極28を介してバイアス電圧がインクに印加されている。
かかる状態で、インクは帯電すると共に、ノズル21の先端部Aにおいて凹状に窪んだメニスカスが形成される(図4(A))。
そして、吐出電圧電源29によりパルス電圧が印加されると、ノズル21の先端部では電界が集中され、集中された電界による静電力によりインクがノズル21の先端側に誘導され、外部に突出した凸状メニスカスが形成されると共に、かかる凸状メニスカスの頂点に電界が集中し、ついにはインクの表面張力に抗して微小インク滴が対向電極23側に吐出される(図4(B))。
この場合、ノズル21からは、一滴当たり1〜400flの滴量のインク滴が吐出される。
上述した記録ヘッド20を有する静電吸引型インクジェット装置では、微細径であるがために、ノズルコンダクタンスの低さによりその単位時間あたりの吐出流量を低減する制御を容易に行うことができると共に、パルス幅を狭めることなく十分に小さなインク滴(一滴当たり1〜400flの滴量のインク滴)によるインクの吐出を実現している。
さらに、吐出されるインク滴は帯電されているので、微小のインク滴であっても蒸気圧が低減され、蒸発を抑制することからインク滴の質量の損失を低減し、飛翔の安定化を図り、インク滴の着弾精度の低下を防止している。
そして、これらのことより、上記の通りに、ノズル21から吐出されるインク滴の一滴当たりの滴量を1〜400flとすることができ、また、ノズル21から吐出されて薄膜トランジスタKに着弾するインク滴の付着量を0.2〜5.6ml/m2に抑えることができるので、薄膜トランジスタKに付着したインク滴の各ドット径を大幅に減少させることができる。従って、従来において課題とされていた、絶縁性領域幅(チャネル長)が必要とする10μm以下とでき、且つインクの滲み、インク自体の乾燥不良、絶縁性領域幅(チャネル長)のばらつき等の弊害を抑制でき、ひいては複数の超微細なドットによる高精細な絶縁性領域を有機半導体層上に形成することが可能となる。
なお、上記実施形態において、ノズル21にエレクトロウェッティング効果を得るために、ノズル21の外周に電極を設けるか、或いはノズル内流路22の内面に電極を設け、その上から絶縁膜で被覆してもよい。
そして、この電極に電圧を印加することで、吐出電極28により電圧が印加されているインクに対して、エレクトロウェッティング効果によりノズル内流路22の内面のぬれ性を高めることができ、ノズル内流路22へのインクの供給を円滑に行うことができ、良好に吐出を行うと共に、吐出の応答性の向上を図ることが可能となる。
また、上記実施形態では、吐出電圧印加手段25ではバイアス電圧を常時印加すると共にパルス電圧をトリガーとしてインク滴の吐出を行っているが、吐出に要する振幅で常時交流又は連続する矩形波を印加すると共にその周波数の高低を切り替えることで吐出を行う構成としてもよい。
インク滴の吐出を行うためにはインクの帯電が必須であり、インクが帯電する速度を上回る周波数で吐出電圧を印加していても吐出が行われず、インクの帯電が十分に図れる周波数に替えると吐出が行われる。従って、吐出を行わないときには吐出可能な周波数より大きな周波数で吐出電圧を印加し、吐出を行う場合にのみ吐出可能な周波数帯域まで周波数を低減させる制御を行うことで、インクの吐出を制御することが可能となる。かかる場合、インクに印加される電圧自体に変化はないので、より応答性を向上させると共に、これによりインク滴の着弾精度を向上させることが可能となる。
《流動性電極材料:ソース電極、ドレイン電極》
(ソース、ドレイン電極の形成方法)
図1において本発明の薄膜トランジスタの製造では、上記の絶縁性領域6に下記に示す流動性電極材料を供給し、供給された流動性電極材料が絶縁性領域を中心にして左右に延伸し、延伸した流動性電極材料が絶縁性領域で左右に分断されることにより、絶縁性領域の一方にソース電極5、他方にドレイン電極4を形成する。
(流動性電極材料)
本発明に係る流動性電極材料とは、具体的には下記に示す導電性材料を含む、溶液、
ペースト、インク、液状分散物である。また、導電性材料以外にも、加熱、光照射など
の処理によって導電性を発現する前駆体材料を用いてもよい。
そして、静電吸引型インクジェット装置から供給される前記流動性電極材料は、溶媒または分散媒が、50質量%以上の水を含んでいる。
(導電性材料)
導電性材料としては、電極として実用可能なレベルでの導電性があればよく、特に限定されず、白金、金、銀、ニッケル、クロム、銅、鉄、錫、アンチモン鉛、タンタル、インジウム、パラジウム、テルル、レニウム、イリジウム、アルミニウム、ルテニウム、ゲルマニウム、モリブデン、タングステン、酸化スズ・アンチモン、酸化インジウム・スズ(ITO)、フッ素ドープ酸化亜鉛、亜鉛、炭素、グラファイト、グラッシーカーボン、銀ペーストおよびカーボンペースト、リチウム、ベリリウム、ナトリウム、マグネシウム、カリウム、カルシウム、スカンジウム、チタン、マンガン、ジルコニウム、ガリウム、ニオブ、ナトリウム、ナトリウム−カリウム合金、マグネシウム、リチウム、アルミニウム、マグネシウム/銅混合物、マグネシウム/銀混合物、マグネシウム/アルミニウム混合物、マグネシウム/インジウム混合物、アルミニウム/酸化アルミニウム混合物、リチウム/アルミニウム混合物等が用いられるが、特に、白金、金、銀、銅、アルミニウム、インジウム、ITOおよび炭素が好ましい。
また、導電性材料としては、導電性ポリマーや金属微粒子などを好適に用いることができる。金属微粒子を含有する分散物としては、たとえば公知の導電性ペーストなどを用いても良いが、好ましくは、粒子径が1nm〜50nm、好ましくは1nm〜10nmの金属微粒子を含有する分散物である。
金属微粒子の材料としては白金、金、銀、ニッケル、クロム、銅、鉄、錫、アンチモン鉛、タンタル、インジウム、パラジウム、テルル、レニウム、イリジウム、アルミニウム、ルテニウム、ゲルマニウム、モリブデン、タングステン、亜鉛等を用いることができる。
これらの金属からなる微粒子を、主に有機材料からなる分散安定剤を用いて、水や任意の有機溶剤である分散媒中に分散した分散物を用いて電極を形成するのが好ましい。
このような金属微粒子の分散物の作製方法として、ガス中蒸発法、スパッタリング法、金属蒸気合成法などの物理的生成法や、コロイド法、共沈法などの、液相で金属イオンを還元して金属微粒子を生成する化学的生成法が挙げられるが、好ましくは、特開平11−76800号公報、同11−80647号公報、同11−319538号公報、特開2000−239853号公報等に示されたコロイド法、特開2001−254185号公報、同2001−53028号公報、同2001−35255号公報、同2000−124157号公報、同2000−123634号公報などに記載されたガス中蒸発法により製造された金属微粒子の分散物である。
さらに、ソース電極、ドレイン電極としては、ドーピング等で導電率を向上させた公知の導電性ポリマーを用いることも好ましく、例えば、導電性ポリアニリン、導電性ポリピロール、導電性ポリチオフェン、ポリエチレンジオキシチオフェンとポリスチレンスルホン酸の錯体なども好適に用いられる。これによりソース電極とドレイン電極と有機半導体層との接触抵抗を低減することができる。
《流動性電極形成方法:ソース電極、ドレイン電極等の形成方法》
本発明において、上記のソース電極、ドレイン電極等のパターニング方法は、電極材料反撥性を有する絶縁性領域に流動性電極材料を供給して、ソース電極、ドレイン電極が分断することによりパターニングが可能なものであればどのようなものを用いても構わない。
本発明では、静電吸引型インクジェット法により、電極材料反撥性を有する絶縁性領域上に、ソース電極、ドレイン電極形成用素材を含有する溶液あるいは分散液等よりなる流動性電極材料を供給して、絶縁性領域の持つ電極材料反撥性により流動性電極材料を分断してソース電極、ドレイン電極を得る。
ここで、静電吸引型インクジェット法により流動性電極材料を含むインクを絶縁性領域上に吐出してソース電極、ドレイン電極を形成する場合、インク吐出による電極形成領域を適正な大きさに調製する観点から、受容層を設けることが好ましい。受容層としては、従来公知のインクジェット記録媒体に用いられている空隙型の受容層が好ましく用いられる。
すなわち、ソース電極及び前記ドレイン電極が、前記流動性電極材料を受容層に供給する工程により形成されている。
次に、受容層について説明する。
(受容層)
ここで、受容層としては、空隙型が好ましく、空隙型は、微粒子及び水溶性バインダーを混合して塗布したものである。
受容層に用いることのできる微粒子としては、無機微粒子や有機微粒子を挙げることができるが、特には、微粒子が容易に得やすいことから無機微粒子が好ましい。そのような無機微粒子としては、例えば、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、カオリン、クレー、タルク、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、二酸化チタン、酸化亜鉛、水酸化亜鉛、硫化亜鉛、炭酸亜鉛、ハイドロタルサイト、珪酸アルミニウム、ケイソウ土、珪酸カルシウム、珪酸マグネシウム、合成非晶質シリカ、コロイダルシリカ、アルミナ、コロイダルアルミナ、擬ベーマイト、水酸化アルミニウム、リトポン、ゼオライト、水酸化マグネシウム等の白色無機顔料等を挙げることができる。上記無機微粒子は、1次粒子のまま用いても、また、2次凝集粒子を形成した状態で使用することもできる。
無機微粒子としては、アルミナ、擬ベーマイト、コロイダルシリカもしくは気相法により合成された微粒子シリカが好ましく、気相法で合成された微粒子シリカが、特に好ましい。この気相法で合成されたシリカは、表面がAlで修飾されたものであっても良い。表面がAlで修飾された気相法シリカのAl含有率は、シリカに対して質量比で0.05%〜5%のものが好ましい。
上記無機微粒子の粒径は、いかなる粒径のものも用いることができるが、平均粒径が1μm以下のものが好ましく、更に好ましくは、0.2μm以下であり、特に好ましくは、0.1μm以下である。
ここで、粒径の下限は特に限定されないが、無機微粒子の製造上の観点から、概ね0.003μm以上であることが好ましく、特に好ましくは、0.005μm以上である。
上記無機微粒子の平均粒径は、多孔質層の断面や表面を電子顕微鏡で観察し、100個の任意の粒子の粒径を求めて、その単純平均値(個数平均)として求められる。ここで、個々の粒径は、その投影面積に等しい円を仮定した時の直径で表したものである。
上記微粒子は、1次粒子のままで、あるいは2次粒子もしくはそれ以上の高次凝集粒子で多孔質皮膜中に存在していても良いが、上記の平均粒径は、電子顕微鏡で観察したときに多孔質層中で独立の粒子を形成しているものの粒径を言う。
上記微粒子の水溶性塗布液における含有量は、5質量%〜40質量%が好ましく、特に好ましくは、7質量%〜30質量%である。
空隙型の受容層に含有される親水性バインダーとしては、特に制限はなく、従来公知の親水性バインダーを用いることができ、例えば、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンオキシド、ポリアクリルアミド、ポリビニルアルコール等を用いることができるが、ポリビニルアルコールが特に好ましい。
ポリビニルアルコールは、無機微粒子との相互作用を有しており、無機微粒子に対する保持力が特に高く、更に、吸湿性の湿度依存性が比較的小さなポリマーである。本発明で好ましく用いられるポリビリルアルコールとしては、ポリ酢酸ビニルを加水分解して得られる通常のポリビニルアルコールの他に、末端をカチオン変性したポリビニルアルコールやアニオン性基を有するアニオン変性ポリビニルアルコール等の変性ポリビニルアルコールも含まれる。
酢酸ビニルを加水分解して得られるポリビニルアルコールは、平均重合度が300以上のものが好ましく用いられ、特に平均重合度が1000〜5000のものが好ましく用いられる。ケン化度は、70%〜100%のものが好ましく、80%〜99.5%のものが特に好ましい。
カチオン変成ポリビニルアルコールとしては、例えば、特開昭61−10483号公報に記載されているような、第1〜3級アミノ基や第4級アンモニウム基を上記ポリビニルアルコールの主鎖または側鎖中に有するポリビニルアルコールであり、これらはカチオン性基を有するエチレン性不飽和単量体と酢酸ビニルとの共重合体をケン化することにより得られる。
カチオン性基を有するエチレン性不飽和単量体としては、例えば、トリメチル−(2−アクリルアミド−2,2−ジメチルエチル)アンモニウムクロライド、トリメチル−(3−アクリルアミド−3,3−ジメチルプロピル)アンモニウムクロライド、N−ビニルイミダゾール、N−ビニル−2−メチルイミダゾール、N−(3−ジメチルアミノプロピル)メタクリルアミド、ヒドロキシルエチルトリメチルアンモニウムクロライド、トリメチル−(3−メタクリルアミドプロピル)アンモニウムクロライド、N−(1,1−ジメチル−3−ジメチルアミノプロピル)アクリルアミド等が挙げられる。
カチオン変性ポリビニルアルコールのカチオン変性基含有単量体の比率は、酢酸ビニルに対して0.1モル%〜10モル%、好ましくは0.2モル%〜5モル%である。
アニオン変性ポリビニルアルコールは、例えば、特開平1−206088号公報に記載されているアニオン性基を有するポリビニルアルコール、特開昭61−237681号公報、および同63−307979号公報に記載されているビニルアルコールと水溶性基を有するビニル化合物との共重合体、及び特開平7−285265号公報に記載されている水溶性基を有する変性ポリビニルアルコールが挙げられる。
また、ノニオン変性ポリビニルアルコールとしては、例えば、特開平7−9758号公報に記載されているポリアルキレンオキサイド基をビニルアルコールの一部に付加したポリビニルアルコール誘導体、特開平8−25795号公報に記載されている疎水性基を有するビニル化合物とビニルアルコールとのブロック共重合体等が挙げられる。
ポリビニルアルコールは、重合度や変性の種類違いなどの2種類以上を併用することもできる。特に、重合度が2000以上のポリビニルアルコールを使用する場合には、予め、無機微粒子分散液に重合度が1000以下のポリビニルアルコールを無機微粒子に対して0.05質量%〜10質量%、好ましくは0.1質量%〜5質量%添加してから、重合度が2000以上のポリビニルアルコールを添加すると、著しい増粘が無く好ましい。
空隙型の受容層の親水性バインダーに対する微粒子の比率は、多孔質層の空隙率を適正に保ち、充分な空隙容量を保持しながら、過剰の親水性バインダーがインクジェット記録時に膨潤して空隙を塞ぐことを防止し、導電性ポリマーの吸収速度を適正に保ち、且つ、多孔質層のひび割れを防止する観点から、質量比で2倍〜20倍であることが好ましく、更に好ましくは、2.5倍〜12倍であり、特に好ましくは、3倍〜10倍である。
《半導体層》
本発明に係る半導体層は、従来公知のアモルファスシリコン、ポリシリコン等の無機または有機の半導体材料を含むことが出来るが、本発明では、有機半導体材料を含むことが好ましい。
(有機半導体材料)
本発明に係る有機半導体層3に用いる有機半導体材料としては、π共役系材料が用いられ、例えばポリピロール、ポリ(N−置換ピロール)、ポリ(3−置換ピロール)、ポリ(3,4−二置換ピロール)などのポリピロール類、ポリチオフェン、ポリ(3−置換チオフェン)、ポリ(3,4−二置換チオフェン)、ポリベンゾチオフェンなどのポリチオフェン類、ポリイソチアナフテンなどのポリイソチアナフテン類、ポリチェニレンビニレンなどのポリチェニレンビニレン類、ポリ(p−フェニレンビニレン)などのポリ(p−フェニレンビニレン)類、ポリアニリン、ポリ(N−置換アニリン)、ポリ(3−置換アニリン)、ポリ(2,3−置換アニリン)などのポリアニリン類、ポリアセチレンなどのポリアセチレン類、ポリジアセチレンなどのポリジアセチレン類、ポリアズレンなどのポリアズレン類、ポリピレンなどのポリピレン類、ポリカルバゾール、ポリ(N−置換カルバゾール)などのポリカルバゾール類、ポリセレノフェンなどのポリセレノフェン類、ポリフラン、ポリベンゾフランなどのポリフラン類、ポリ(p−フェニレン)などのポリ(p−フェニレン)類、ポリインドールなどのポリインドール類、ポリピリダジンなどのポリピリダジン類、ナフタセン、ペンタセン、ヘキサセン、ヘプタセン、ジベンゾペンタセン、テトラベンゾペンタセン、ピレン、ジベンゾピレン、クリセン、ペリレン、コロネン、テリレン、オバレン、クオテリレン、サーカムアントラセンなどのポリアセン類およびポリアセン類の炭素の一部をN、S、Oなどの原子、カルボニル基などの官能基に置換した誘導体(トリフェノジオキサジン、トリフェノジチアジン、ヘキサセン−6,15−キノンなど)、ポリビニルカルバゾール、ポリフエニレンスルフィド、ポリビニレンスルフィドなどのポリマーや特開平11−195790に記載された多環縮合体などを用いることができる。
また、これらのポリマーと同じ繰返し単位を有するたとえばチオフェン6量体であるα−セクシチオフェンα,ω−ジヘキシル−α−セクシチオフェン、α,ω−ジヘキシル−α−キンケチオフェン、α,ω−ビス(3−ブトキシプロピル)−α−セクシチオフェン、スチリルベンゼン誘導体などのオリゴマーも好適に用いることができる。
さらに銅フタロシアニンや特開平11−251601号公報に記載のフッ素置換銅フタロシアニンなどの金属フタロシアニン類、ナフタレン1,4,5,8−テトラカルボン酸ジイミド、N,N’−ビス(4−トリフルオロメチルベンジル)ナフタレン1,4,5,8−テトラカルボン酸ジイミドとともに、N,N’−ビス(1H,1H−ペルフルオロオクチル)、N,N’−ビス(1H,1H−ペルフルオロブチル)及びN,N’−ジオクチルナフタレン1,4,5,8−テトラカルボン酸ジイミド誘導体、ナフタレン2,3,6,7テトラカルボン酸ジイミドなどのナフタレンテトラカルボン酸ジイミド類、及びアントラセン2,3,6,7−テトラカルボン酸ジイミドなどのアントラセンテトラカルボン酸ジイミド類などの縮合環テトラカルボン酸ジイミド類、C60、C70、C76、C78、C84等フラーレン類、SWNTなどのカーボンナノチューブ、メロシアニン色素類、ヘミシアニン色素類などの色素などがあげられる。
これらのπ共役系材料のうちでも、チオフェン、ビニレン、チェニレンビニレン、フェニレンビニレン、p−フェニレン、これらの置換体またはこれらの2種以上を繰返し単位とし、かつ該繰返し単位の数nが4〜10であるオリゴマーもしくは該繰返し単位の数nが20以上であるポリマー、ペンタセンなどの縮合多環芳香族化合物、フラーレン類、縮合環テトラカルボン酸ジイミド類、金属フタロシアニンよりなる群から選ばれた少なくとも1種が好ましい。
また、その他の有機半導体材料としては、テトラチアフルバレン(TTF)−テトラシアノキノジメタン(TCNQ)錯体、ビスエチレンテトラチアフルバレン(BEDTTTF)−過塩素酸錯体、BEDTTTF−ヨウ素錯体、TCNQ−ヨウ素錯体、などの有機分子錯体も用いることができる。さらにポリシラン、ポリゲルマンなどのσ共役系ポリマーや特開2000−260999に記載の有機・無機混成材料も用いることができる。
本発明においては、有機半導体層に、たとえば、アクリル酸、アセトアミド、ジメチルアミノ基、シアノ基、カルボキシル基、ニトロ基などの官能基を有する材料や、ベンゾキノン誘導体、テトラシアノエチレンおよびテトラシアノキノジメタンやそれらの誘導体などのように電子を受容するアクセプターとなる材料や、たとえばアミノ基、トリフェニル基、アルキル基、水酸基、アルコキシ基、フェニル基などの官能基を有する材料、フェニレンジアミンなどの置換アミン類、アントラセン、ベンゾアントラセン、置換ベンゾアントラセン類、ピレン、置換ピレン、カルバゾールおよびその誘導体、テトラチアフルバレンとその誘導体などのように電子の供与体であるドナーとなるような材料を含有させ、いわゆるドーピング処理を施してもよい。
前記ドーピングとは電子授与性分子(アクセプター)または電子供与性分子(ドナー)をドーパントとして該薄膜に導入することを意味する。従って,ドーピングが施された薄膜は、前記の縮合多環芳香族化合物とドーパントを含有する薄膜である。本発明に用いるドーパントとしては公知のものを採用することができる。
(有機半導体層の作製方法)
これら有機半導体層の作製方法としては、真空蒸着法、分子線エピタキシャル成長法、イオンクラスタービーム法、低エネルギーイオンビーム法、イオンプレーティング法、CVD法、スパッタリング法、プラズマ重合法、電解重合法、化学重合法、スプレーコート法、スピンコート法、ブレードコート法、デイップコート法、キャスト法、ロールコート法、バーコート法、ダイコート法、インクジェット法およびLB法等が挙げられ、材料に応じて使用できる。
ただし、この中で生産性の点で、有機半導体の溶液を用いて簡単かつ精密に薄膜が形成できるスピンコート法、ブレードコート法、デイップコート法、ロールコート法、バーコート法、ダイコート法、インクジェット法等が好適に用いられる。
尚、Advanced Material誌 1999年 第6号、p480〜483に記載の様に、ペンタセン等前駆体が溶媒に可溶であるものは、塗布により形成した前駆体の膜を熱処理して目的とする有機材料の薄膜を形成しても良い。
これら有機半導体材料からなる有機半導体層の膜厚としては、特に制限はないが、得られたトランジスタの特性は、有機半導体層の膜厚に大きく左右される場合が多く、その膜厚は、有機半導体材料の種類にもよるが、一般に1μm以下、特に10nm〜300nmが好ましい。
静電吸引型インクジェット法を用いて流動性電極材料を絶縁性領域に吐出する場合、導電性材料を含むインクを調製するが、前記インクに用いられる溶媒や分散媒体が、有機半導体(有機半導体層)へのダメージの極力小さい材料を選択することが好ましい。また、ダメージは半導体材料にもよるが、例えば、ペンタセンを用いる場合は、水を50質量%以上含有することが好ましく、更に好ましくは、60質量%以上であり、特に好ましくは、90質量%以上含有する溶媒または分散媒体である。
また、上記材料から形成された、透明導電膜等も使用することが出来る。
ここで、透明とは、光透過率(光としては、紫外光〜可視光)が少なくとも50%以上のものであり、好ましくは80%以上である。
《中間層》
本発明の薄膜トランジスタの好ましい一態様である、有機薄膜トランジスタは、有機半導体層に接して絶縁性領域と半導体層との間に中間層(半導体保護層ともいう)3aを有することが好ましい。有機半導体層に接して中間層を設けることにより、有機半導体層の空気や水による劣化を抑えることができる。さらに、中間層を設けることにより、折れ曲がり等による耐久性も向上し、これによりトランジスタとしての特性の低下を抑えることができる。
また、有機半導体材料や、インク反撥性の絶縁性領域を形成する材料やその溶媒の種類にもよるが、絶縁性領域を形成する際に有機半導体層に与えるダメージを抑制する効果を得ることができる。
中間層としては、有機半導体トランジスタの製造過程や製造後に、有機半導体層へ影響を与えない材料を選択する。
そのような材料としては、半導体材料の種類にもよるが、ポリビニルフェノールやノボラック樹脂等のフェノール樹脂、エポキシ樹脂、親水性ポリマー等を用いることが出来る。
親水性ポリマーは、水、または酸性水溶液、アルカリ性水溶液、アルコール水溶液、各種の界面活性剤の水溶液に対して、溶解性または分散性を有するポリマーである。たとえばポリビニルアルコールや、HEMA、アクリル酸、アクリルアミドなどの成分からなるホモポリマー、コポリマーを好適に用いることができる。またその他の材料として、無機酸化物、無機窒化物を含有する材料も、有機半導体への影響を与えず、その他塗布工程での影響を与えないので好ましい。さらに後述するゲート絶縁層の材料も用いることができる。
(中間層の形成方法)
無機酸化物または無機窒化物を含有する中間層は、大気圧プラズマ法で形成されるのが好ましい。
大気圧下でのプラズマ法による薄膜の形成方法は、大気圧または大気圧近傍の圧力下で放電し、反応性ガスをプラズマ励起し、基材上に薄膜を形成する処理で、その方法については特開平11−61406号公報、同11−133205号公報、特開2000−121804号公報、同2000−147209号公報、同2000−185362号公報等に記載されている(以下、大気圧プラズマ法とも称する)。これによって高機能性の薄膜を、生産性高く形成することができる。
《ゲート絶縁層及びその形成方法》
本発明の薄膜トランジスタのゲート絶縁層2aとしては種々の絶縁膜を用いることができるが、特に、比誘電率の高い無機酸化物皮膜が好ましい。無機酸化物としては、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化タンタル、酸化チタン、酸化スズ、酸化バナジウム、チタン酸バリウムストロンチウム、ジルコニウム酸チタン酸バリウム、ジルコニウム酸チタン酸鉛、チタン酸鉛ランタン、チタン酸ストロンチウム、チタン酸バリウム、フッ化バリウムマグネシウム、チタン酸ビスマス、チタン酸ストロンチウムビスマス、タンタル酸ストロンチウムビスマス、タンタル酸ニオブ酸ビスマス、トリオキサイドイットリウムなどが挙げられる。それらのうち好ましいのは、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化タンタル、酸化チタンである。窒化ケイ素、窒化アルミニウム等の無機窒化物も好適に用いることができる。
(ゲート絶縁層の形成方法)
上記皮膜の形成方法としては、真空蒸着法、分子線エピタキシャル成長法、イオンクラスタービーム法、低エネルギーイオンビーム法、イオンプレーティング法、CVD法、スパッタリング法、大気圧プラズマ法などのドライプロセスや、スプレーコート法、スピンコート法、ブレードコート法、デイップコート法、キャスト法、ロールコート法、バーコート法、ダイコート法などの塗布による方法、印刷やインクジェットなどのパターニングによる方法などのウェットプロセスが挙げられ、材料に応じて使用できる。
ウェットプロセスは、無機酸化物の微粒子を、任意の有機溶剤あるいは水に必要に応じて界面活性剤などの分散補助剤を用いて分散した液を塗布、乾燥する方法や、酸化物前駆体、例えばアルコキシド体の溶液を塗布、乾燥する、いわゆるゾルゲル法が用いられる。
これらのうち好ましいのは、上述した大気圧プラズマ法による製膜または陽極酸化法である。
ゲート絶縁層が陽極酸化膜または該陽極酸化膜と絶縁膜とで構成されることも好ましい。陽極酸化膜は封孔処理されることが望ましい。陽極酸化膜は、陽極酸化が可能な金属を公知の方法により陽極酸化することにより形成される。
陽極酸化処理可能な金属としては、アルミニウムまたはタンタルを挙げることができ、陽極酸化処理の方法には特に制限はなく、公知の方法を用いることができる。陽極酸化処理を行なうことにより、酸化被膜が形成される。陽極酸化処理に用いられる電解液としては、多孔質酸化皮膜を形成することができるものならばいかなるものでも使用でき、一般には、硫酸、燐酸、蓚酸、クロム酸、ホウ酸、スルファミン酸、ベンゼンスルホン酸等あるいはこれらを2種類以上組み合わせた混酸あるいそれらの塩が用いられる。陽極酸化の処理条件は使用する電解液により種々変化するので一概に特定し得ないが、一般的には、電解液の濃度が1質量%〜80質量%、電解液の温度5℃〜70℃、電流密度0.5A/dm2〜60A/dm2、電圧1V〜100V、電解時間10秒〜5分の範囲が適当である。好ましい陽極酸化処理は、電解液として硫酸、リン酸、ホウ酸、酒石酸等やそれらの塩の水溶液を用い、直流電流で処理する方法であるが、交流電流を用いることもできる。これらの酸の濃度は5質量%〜45質量%であることが好ましく、電解液の温度20℃〜50℃、電流密度0.5A/dm2〜20A/dm2で20秒〜250秒間電解処理するのが好ましい。
また有機化合物皮膜としては、ポリイミド、ポリアミド、ポリエステル、ポリアクリレート、光ラジカル重合系、光カチオン重合系の光硬化性樹脂、あるいはアクリロニトリル成分を含有する共重合体、ポリビニルフェノール、ポリビニルアルコール、ノボラック樹脂、およびシアノエチルプルラン等を用いることもできる。
有機化合物皮膜の形成法としては、前記ウェットプロセスが好ましい。無機酸化物皮膜と有機酸化物皮膜は積層して併用することができる。またこれら絶縁膜の膜厚としては、一般に50nm〜3μm、好ましくは、100nm〜1μmである。
ゲート絶縁層と有機半導体層の間に、任意の配向処理を施してもよい。シランカップリング剤、たとえばオクタデシルトリクロロシラン、トリクロロメチルシラザンや、アルカン燐酸、アルカンスルホン酸、アルカンカルボン酸などの自己組織化配向膜が好適に用いられる。
《ゲート電極の構成材料》
本発明に係るゲート電極の構成材料は、上記ソース電極、ドレイン電極の構成材料と同様な材料を使用することができる。
《支持体》
本発明において支持体は好ましくは樹脂からなる樹脂シートである。
前記樹脂シートとしては、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリエーテルイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリフェニレンスルフィド、ポリアリレート、ポリイミド、ボリカーボネート(PC)、セルローストリアセテート(TAC)、セルロースアセテートプロピオネート(CAP)等からなる樹脂シートフィルム等が挙げられる。このように、プラスチックフィルムを用いることで、ガラス基板を用いる場合に比べて軽量化を図ることができ、可搬性を高めることができるとともに、衝撃に対する耐性を向上できる。
また本発明の有機薄膜トランジスタ上には封止膜を設けることも可能である。封止膜としては前述した無機酸化物または無機窒化物等が挙げられ、上述した大気圧プラズマ法で形成するのが好ましい。これにより、有機薄膜トランジスタの耐久性が向上する。
《下引き層》
本発明の薄膜トランジスタは、無機酸化物及び無機窒化物から選ばれる化合物を含有する下引き層及びポリマーを含む下引き層の少なくとも一方を有することが好ましい。
下引き層に含有される無機酸化物としては、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化タンタル、酸化チタン、酸化スズ、酸化バナジウム、チタン酸バリウムストロンチウム、ジルコニウム酸チタン酸バリウム、ジルコニウム酸チタン酸鉛、チタン酸鉛ランタン、チタン酸ストロンチウム、チタン酸バリウム、フッ化バリウムマグネシウム,チタン酸ビスマス、チタン酸ストロンチウムビスマス、タンタル酸ストロンチウムビスマス、タンタル酸ニオブ酸ビスマス、トリオキサイドイットリウム等が挙げられる。また無機窒化物としては窒化ケイ素、窒化アルミニウム等が挙げられる。
それらのうち好ましいのは、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化タンタル、酸化チタン、窒化ケイ素である。
本発明において、無機酸化物及び無機窒化物から選ばれる化合物を含有する下引き層は上述した大気圧プラズマ法で形成されるのが好ましい。
ポリマーを含む下引き層に用いるポリマーとしては、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、セルロース樹脂、アクリル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリスチレン樹脂、フェノキシ樹脂、ノルボルネン樹脂、エポキシ樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、酢酸ビニルとビニルアルコールの共重合体、部分加水分解した塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−塩化ビニリデン共重合体、塩化ビニル−アクリロニトリル共重合体、エチレン−ビニルアルコール共重合体、ポリビニルアルコール、塩素化ポリ塩化ビニル、エチレン−塩化ビニル共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体等のビニル系重合体、ポリアミド樹脂、エチレン−ブタジエン樹脂、ブタジエン−アクリロニトリル樹脂等のゴム系樹脂、シリコン樹脂、フッ素系樹脂等を挙げることができる。
《薄膜トランジスタ素子の作製方法》
図5は本発明の薄膜トランジスタの作製方法を説明するための図である。
本発明の、吐出液滴の1滴当たりの容量が1〜400flで、本発明の静電吸引型インクジェット装置により、シリコンゴムを含有した電極材料反撥性を有する絶縁性領域を形成する工程と、絶縁性領域に供給した流動性電極材料が前記絶縁性領域で分断されることによりソース電極及びドレイン電極の各々が形成される工程を有する、薄膜トランジスタ素子及び薄膜トランジスタ素子シートの作製方法について図5を参照して説明する。
図5(1)では、支持体1上にゲート電極2、ゲート絶縁層2a、有機半導体層3の順に、前述した材料、形成方法を用いて形成する。
図5(2)では、さらにその上に受容層7を前述した材料、形成方法を用いて形成する。
図5(3)では、さらにその上、上記静電吸引型インクジェット装置により電極材料反撥性を有する絶縁性材料液滴6aを射出する。
図5(4)では、受容層7にシリコンゴムを含有した電極材料反撥性を有する絶縁性材料が浸透して電極材料反撥性を有する絶縁性領域6が形成される。
図5(5)では、さらに絶縁性領域6の上から上記静電吸引型インクジェット装置により流動性電極材料8を絶縁性領域6の左右にはみ出すように供給(射出)する。
図5(6)では、電極材料反撥性を有する絶縁性領域6により流動性電極材料8が8a、8bに反撥・分断される。
図5(7)では、受容層7に流動性電極材料8a、8bが浸透してソース電極5とドレイン電極4が形成され、1つの薄膜トランジスタ素子が完成する。
すなわち、上記静電吸引型インクジェット装置によりソース電極5とドレイン電極4が形成される。
また、ソース電極5とドレイン電極4の電極の形成に用いる上記静電吸引型インクジェット装置の吐出液の溶媒または分散媒が50質量%以上の水を含んでいる。
以上ボトムゲート型の薄膜トランジスタについて説明したが、トップゲート型の薄膜トランジスタに適応できることは言うまでもない。
以下に図5(3、4)、図5(5、6)で説明した有機半導体層3上に絶縁性領域6を形成し、さらにソース・ドレイン電極を形成する方法について詳細に説明するが、説明を分かりやすくするため有機半導体層3、電極材料反撥性を有する絶縁性領域6、絶縁性材料液滴6a、流動性電極材料8a、8b、流動性電極材料液滴8c、8c1以外の層、材料については省略する。
図6は上記静電吸引型インクジェット装置により有機半導体層上に絶縁性領域を形成する一例を示す模式図である。
先ず、図5(3、4)で説明した有機半導体層3上に絶縁性領域6を形成する方法について説明する。
図6において、有機半導体層3の略中心に上記静電吸引型インクジェット装置を用いて絶縁性材料液滴6aを吐出する。この時、図示しないノズルを有機半導体層3と平行に移動して、各液滴(6a)を図示左右方向にずれないように一直線上に射出する。
また、一直線上に着弾したインク滴の縁が凸凹とならないように、図示したように重畳して射出する。
この場合上述した連続吐出を行うと縁が凸凹とならず良好な絶縁性領域6を形成することが可能となる。
着弾したインク滴の直径が必要とするチャネル長に等しい場合は1列のみ吐出し、必要とするチャネル長がインク滴の直径より大きな場合は図示左右に複数列吐出し、図示左右に並んだドット間に隙間ができないように千鳥状に吐出する。
以上により、必要なチャネル長を有した電極材料反撥性を有する絶縁性領域6を形成する。
図7はインクジェット法によりソース・ドレイン電極を形成する一例を示す模式図である。
次に、図5(5、6)で説明したソース・ドレイン電極を形成する方法について説明する。
図7(a)において、絶縁性領域6の略中心に上記静電吸引型インクジェット装置を用いて少なくとも絶縁性領域6の幅(チャネル長)以上、好ましくは有機半導体層3の幅以上の直径を有する流動性電極材料液滴8cを吐出する。この時、図示しないノズルを絶縁性領域6と平行に移動して、各液滴(8c)を図示左右方向にずれないように一直線上に射出する。
また、一直線上に着弾したインク滴の縁が凸凹とならないように、図示したように重畳して射出する。
図7(b)は射出された流動性電極材料液滴8cが、絶縁性領域6の電極材料反撥性により反撥・分断されて絶縁性領域6の図示左右に凝集(8a、8b)した状態を示している。
図8はインクジェット法によりソース・ドレイン電極を形成する他の一例を示す模式図である。
次に、ソース・ドレイン電極を形成する他の一例を説明する。
図8(a)において、絶縁性領域6の中心から図示左右それぞれに所定距離離間した位置に上記静電吸引型インクジェット装置を用いて、少なくとも流動性電極材料液滴8c1の一部が絶縁性領域6に重なるようにして流動性電極材料液滴8c1を吐出する。この時、図示しないノズルを絶縁性領域6と平行に移動して、各液滴(8c1)を図示左右方向にずれないように一直線上に射出する。
また、一直線上に着弾したインク滴の縁が凸凹とならないように、図示したように重畳して射出する。
図8(b)は射出された流動性電極材料液滴8c1の絶縁性領域6と重なった部分が、絶縁性領域6の電極材料反撥性により反撥されて絶縁性領域6の図示左右に凝集(8a、8b)した状態を示している。
《インクジェット法による、本発明の薄膜トランジスタ素子シート及び薄膜トランジスタ素子シートの作製方法》
図9はインクジェット法による、本発明の薄膜トランジスタ素子シートの薄膜トランジスタ素子の作製工程の一態様の説明図である。
ここで、図9を用いて、インクジェット法による、本発明の薄膜トランジスタ素子シートの薄膜トランジスタ素子の作製工程の一態様を説明する。図9では、流動性電極材料反撥領域6、ソース電極5、ドレイン電極4、ソースバスライン12の作製について説明する。
図9では、まず、ゲート電極を兼ねるゲートバスライン11に交差する形で、有機半導体層3からなるチャネル領域(層)を設け、流動性電極材料反撥領域(層)6を形成した後に、流動性電極材料を含む分散物や溶液からなるインクを前記流動性電極材料反撥領域6の両側に供給するか、または、前記反撥領域6上に供給し、流動性電極材料を分断させ、ソース電極5、ドレイン電極4、画素電極4aが形成される。
ここで、前記流動性電極材料反撥領域6は上記静電吸引型インクジェット装置により形成する。
他の領域(層)は上記静電吸引型インクジェット装置で吐出位置を変えて多重吐出しても良く、通常のインクジェットでより粗く位置を変えて多重吐出して形成しても良い。
ソースバスライン12も同様に上記静電吸引型インクジェット装置により形成される。ソース電極の形成前にソースバスラインを形成しておけば、ソース電極材料の、好ましくない液滴の広がりが抑制される。
図10は本発明の薄膜トランジスタ素子が複数配置された、薄膜トランジスタ素子シートの一態様を示す等価回路図である。
薄膜トランジスタ素子シート10は、支持体が樹脂基板よりなり、マトリクス配置された多数の薄膜トランジスタ素子14を有する。11は各薄膜トランジスタ素子14のゲート電極のゲートバスラインであり、12は各薄膜トランジスタ素子14のソース電極のソースバスラインである。各有機トランジスタ素子14のドレイン電極には、出力素子16が接続され、この出力素子16は例えば液晶、電気泳動素子等であり、表示装置における画素を構成する。図示の例では、出力素子16として液晶が、抵抗とコンデンサからなる等価回路で示されている。15は蓄積コンデンサ、17は垂直駆動回路、18は水平駆動回路である。
この様な、フレキシブルな樹脂支持体上にTFT素子を2次元的に配列したシートは、支持体とTFT構成層との接着性を高くし、機械的強度に優れた支持体の曲がりにも強い耐性を持たせたものにすることができる。
次に、図11(a)(b)(c)に、図10に示した本発明の半導体層が有機半導体材料を含有する薄膜トランジスタ素子シートの態様のいくつかを挙げて説明する。
図11は、本発明の薄膜トランジスタ素子シートの一画素を形成する有機薄膜トランジスタの一態様を示す模式図である。
図11(a)で示される薄膜トランジスタ素子では、ゲートバスライン11(ここで、ゲートバスライン11は、ゲート絶縁層(図示していない)に被覆されている状態のため、点線で存在位置を示している)に交差するように有機半導体層3が設けられており、該有機半導体層3上に流動性電極材料反撥領域6(層ともいう)が設けられ、該流動性電極材料反撥領域6の両側にドレイン電極4、ソース電極5が設けられている。ここで、ゲートバスライン11はゲート電極と兼ねた構成となっている。
図11(b)は、図6(a)とは異なり、ゲート電極がゲートバスライン11から分岐した構成になっている。有機半導体層3は、前記ゲートバスライン11から分岐したゲート電極上に配置され、これに接して、ソース電極5、ドレイン電極が配置され、更にドレイン電極4上に画素電極4aが形成される。但し、画素電極4aがドレイン電極4を兼ねてもよい。
図11(c)は、ソース電極5、ドレイン電極4、画素電極4aが、インクジェットの二つのドットから形成されたことを示す模式図である。流動性電極材料反撥領域6およびソースバスライン12が形成されたのち、有機半導体層3とその上に形成された流動性電極材料反撥領域6の部分に、流動性電極材料の液滴を吐出すると、流動性電極材料が6上で自己組織的に分断される。したがって一つの液滴でソース電極、ドレイン電極が両方とも形成され、ソース電極は、ソースバスラインに接合される。画素電極4aも同様に、一つのインクジェット液滴から形成され、ドレイン電極4に接合させる。ここで画素電極4aは流動性電極材料反撥領域6によって、ソース電極5やソースバスライン12と分断され、ショートが防止される。以上に説明した流動性電極材料の液滴のそれぞれは、最終的に形成されうる電極の所望の大きさに併せ、任意の液量に制御すればよい。例えば画素電極4aをさらに大きくするには、画素電極用の液滴を大きくし、所望の位置に上記静電吸引型インクジェット装置で吐出すれば、簡便な電極形成が可能となる。
前記ドレイン電極が画素電極4aを形成するか、または、前記ドレイン電極4が前記画素電極4aと連結され、且つ、前記画素電極と前記ソースバスラインとが、前記絶縁性領域により分断されていてもよい。
本発明の、支持体上に、ゲート電極とゲート絶縁層と半導体層からなるチャネル領域とソース電極とドレイン電極とを有する薄膜トランジスタ素子が、ゲートバスラインおよびソースバスラインを介して、複数個接続された薄膜トランジスタ素子シートの作製方法は、
前記チャネル領域上或いは前記支持体上に、直接またはその他の層を介して、電極材料反撥性を有する絶縁性領域を吐出液滴の1滴当たりの容量が1〜400flでノズル径が1〜20μmの静電吸引型インクジェット装置により形成する工程と、次いで、流動性電極材料が前記チャネル領域上に或いは前記支持体上に直接またはその他の層を介して供給され、前記絶縁性領域により前記流動性電極材料が分断されて、少なくとも該ソース電極及び該ドレイン電極が形成される工程を有するもので、以下に説明する。
《薄膜トランジスタ素子シートの電極材料反撥性を有する絶縁性領域の構成》
電極材料反撥性を有する絶縁性材料及び絶縁性領域上記静電吸引型インクジェット装置による形成方法については上記薄膜トランジスタにおいて述べたものと同じ。
《薄膜トランジスタ素子シートの流動性電極材料、ソース電極、ドレイン電極等の構成》
薄膜トランジスタ素子シートの流動性電極材料及びソース・ドレイン電極の形成方法については上記で述べたものと同じ。
また、薄膜トランジスタ素子シートに用いられるゲート電極、半導体層、中間層、ゲート絶縁層、支持体等の材料は上記薄膜トランジスタにおいて述べたものと同じであり、それらは上記薄膜トランジスタと同様にして形成される。
たとえば、流動性電極材料が上記静電吸引型インクジェット装置により供給される。
次に、絶縁性領域を素子シート上にライン状に形成する態様を説明する。
図12は、絶縁性領域を素子シート上にライン状に形成する、第1の態様の説明図である。
図13は絶縁性領域を素子シート上にライン状に形成する、第2の態様の説明図である。
図14は、絶縁性領域を素子シート上にライン状に形成する、第3の態様の説明図である。
図15は、絶縁性領域を素子シート上にライン状に形成する、第4の態様の説明図である。
図12では、ゲートバスライン11に交差する形で、有機半導体層3が例えば有機半導体材料の溶液や分散液を吐出する静電吸引型インクジェット装置等により形成される。次いで、支持体(図示していない)をゲートバスライン11と交差する方向に搬送しながら絶縁性領域6がライン状に形成される。
ライン状(ラインパターンともいう)に絶縁性領域6を形成する方法で好ましいのは、
上記静電吸引型インクジェット装置によりパターンニングする方法である。
素子シート上に形成された絶縁性領域6のラインにより、チャネル領域が形成され、同時にA、Bのラインを形成することで、領域20、領域21が各々形成される。
絶縁性領域を形成後領域20に流動性電極材料が供給されソース電極やソースバスラインが形成され、領域21に流動性電極材料が供給され、ドレイン電極4や画素電極4aが形成される。また、また領域21は隣のゲートバスラインとの間で、蓄積容量を形成している。
ここで、前記電極材料反撥性を有する絶縁性領域を形成する工程の後、流動性電極材料をシート全面に供給しても良い。
図12では、ゲートバスラインがゲート電極と兼ねた構成であるが、これにより、各画素の半導体層、6、A,Bは、ゲートバスライン方向に位置ずれても、問題なくTFTシートが製造される。
図13では、有機半導体層3からなるチャネル領域が流動性電極材料反撥領域6のライン上に形成されることをのぞけば、図12と同様の構成である。絶縁性領域6は上記静電吸引型インクジェット装置により形成される。
図14では、ゲート電極がゲートバスライン11から分岐されて形成され、分岐部に有機半導体層3からなるチャネル領域が設けられる。
図15では、ゲートバスライン11に対向するように、キャパシタライン22が設けられていることを除けば、図14と同様である。
ここで、薄膜トランジスタ素子を構成する半導体層からなるチャネル領域(層ともいう)は、素子を構成するゲートバスラインと交差した形で設けられることが好ましい。ここで、『交差している』とは、ゲートバスラインと半導体層からなるチャネル領域が互いに接している状態も含む。
以上説明した上記静電吸引型インクジェット装置を含むインクジェット法による層形成は、薄膜トランジスタの支持体、或いは薄膜トランジスタ素子シートの支持体を搬送しながら行う。
図12〜図15において、ソース電極、ドレイン電極、ソースバスライン、ゲートバスラインの構成材料としては、上記の電極材料が用いられるが、導電性ポリマーや金属微粒子を主成分とする導電性ペースト(またはインク)の類、例えば、ポリスチレンスルホン酸とポリ(エチレンジオキシチオフェン)の水分散液(バイエル製 Baytron P)、銀ペーストや特開平11−80647号公報等に記載される金属微粒子の水分散液が好ましく用いられる。
薄膜ソランジスタ素子シートは上述した作製方法により製造される。
《薄膜トランジスタ素子を有する電気回路の構成》
図16は薄膜トランジスタ素子の構造図である。
本発明の電気回路100は図16に記載の有機薄膜トランジスタ素子を有するもので、支持体1、ゲート電極2、絶縁層2a、有機半導体層3、保護層(中間層)3a、ドレイン・ソース電極4・5、絶縁性領域6、受像層7等の材料、構成、形成方法は、上述した薄膜トランジスタ及び薄膜トランジスタ素子シートの材料、構成、形成方法と同様である。
すなわち、薄膜トランジスタ及び薄膜トランジスタ素子シートで説明したように、電気回路100中の薄膜トランジスタ素子は支持体1上に、少なくともゲート電極2、有機半導体層3、ソース電極5及びドレイン電極4を有し、電極材料反撥性を有する絶縁性領域6を吐出液滴の1滴当たりの容量が1〜400flで上記静電吸引型インクジェット装置により形成する工程、次いで、前記絶縁性領域6に流動性電極材料を供給して、流動性電極材料が前記絶縁性領域6で分断されることにより、ソース電極5及び該ドレイン電極4の各々が形成される工程を経て製造された有機薄膜半導体を有することを特徴とする。
また、前記絶縁性領域6はシリコンゴムを含有し、絶縁性領域形成用材料を受容層7に供給する工程により形成されたものであり、ソース電極5及びドレイン電極4が、流動性電極材料を受容層7に供給する工程により形成された薄膜トランジスタ素子を有する電気回路である。
また、有機半導体材料を含む有機半導体層3上に前記絶縁性領域6が形成される工程を有し、前記絶縁性領域6と有機半導体層3との間に中間層3aが設けられている。
以下、実施例により本発明を説明するが、本発明はこれらに限定されない。
実施例1
《薄膜トランジスタの作製》
以下に記載のようにして、図1(b)に記載のような層構成を有するボトムゲート型の薄膜トランジスタを作製した。また、薄膜トランジスタの作製手順を図5の(1)、(3)〜(6)を参照しながら、工程(1)〜工程(3)として説明する。尚、図1(b)と図5の(7)は同一構成を示す図面である。
工程(1):図5の(1)
支持体1上へ、ゲート電極2、ゲート絶縁層2a、有機半導体層3を下記に記載のようにして行ない、図5の(1)に示すような層構成を得た。
(支持体の作製)
厚さ200μmのPESフィルムからなる支持体1の表面に50W/m2/分の条件でコロナ放電処理を施し、下記組成の塗布液を乾燥膜厚2μmになるように塗布し、90℃で5分間乾燥した後、60W/cmの高圧水銀灯下10cmの距離から4秒間硬化させた。
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート単量体 60g
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート2量体 20g
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート3量体以上の成分 20g
ジエトキシベンゾフェノンUV開始剤 2g
シリコン系界面活性剤 1g
メチルエチルケトン 75g
メチルプロピレングリコール 75g
さらにその層の上に下記条件で連続的に大気圧プラズマ処理して厚さ50nmの酸化ケイ素膜を設け、下引き層(図示していない)とした。
(使用ガス)
不活性ガス:ヘリウム98.25体積%
反応性ガス:酸素ガス1.5体積%
反応性ガス:テトラエトキシシラン蒸気(ヘリウムガスにてバブリング)0.25体積%
(放電条件)
放電出力:10W/cm2
(電極条件)
電極は、冷却水による冷却手段を有するステンレス製ジャケットロール母材に対して、セラミック溶射によるアルミナを1mm被覆し、その後、テトラメトキシシランを酢酸エチルで希釈した溶液を塗布乾燥後、紫外線照射により封孔処理を行い、表面を平滑にして、JIS B 0601に規定の表面粗さ(Rmax)が5μmになるように調整した誘電体(比誘電率10)を有するロール電極であり、アースされている。一方、印加電極としては、中空の角型のステンレスパイプに対し、上記同様の誘電体を同条件にて被覆した。
(ゲート電極形成工程)
上記の下引き層上に、下記組成の光感応性樹脂1を塗布し、100℃にて1分間乾燥させることで、厚さ2μmの光感応性樹脂層を形成した。(光感応性樹脂1)
色素A 7部
ノボラック樹脂(フェノールとm−、p−混合クレゾールとホルムアルデヒドを共縮合させたノボラック樹脂(Mw=4000、フェノール/m−クレゾール/p−クレゾールのモル比がそれぞれ5/57/38)) 90部
クリスタルバイオレット 3部
プロピレングリコールモノメタルエーテル 1000部
発振波長830nm、出力100mWの半導体レーザで200mJ/cm2のエネルギー密度でゲート電極のパターンを露光した後、アルカリ水溶液で現像し、レジスト像を得た。
さらにその上に、スパッタ法により、厚さ300nmのアルミニウム皮膜を一面に成膜した後、MEKで上記光感応性樹脂層の残存部を除去することで、ゲート電極2を作製した。
(陽極酸化皮膜形成工程)
以上のフィルム基板をよく洗浄した後、50g/Lのホウ酸アンモニウム水溶液中で、5分間、100Vの定電圧電源から供給される直流を用いて、陽極酸化皮膜の厚さが120nmになるように陽極酸化皮膜(図示していない)を作製し、超純水でよく洗浄した。
(ゲート絶縁層形成工程)
さらにフィルム温度200℃にて、上述した大気圧プラズマ法の使用ガスを下記に変更し、厚さ30nmの酸化ケイ素層であるゲート絶縁層2aを設けた。
(使用ガス)
不活性ガス:ヘリウム98.25体積%
反応性ガス:酸素ガス1.5体積%
反応性ガス:テトラエトキシシラン蒸気(ヘリウムガスにてバブリング)0.25体積%
ゲート絶縁層の表面に、HMDS(ヘキサメチルジシラザン)による表面処理を行った。
(有機半導体層形成工程)
次に、ゲート絶縁層2aの上に、US公開番号US20030136964に記される化合物(ペンタセンプリカーサー)のクロロホルム溶液を、ピエゾ方式のインクジェット法を用いて、チャネルを形成すべき領域に吐出し、窒素ガス中で、50℃で3分乾燥し、200℃で10分の熱処理を行ったところ、厚さ50nmのペンタセン薄膜である有機半導体層3を形成した。
工程(2):図5の(3)、(4):絶縁性領域6の形成
図5の(3)、(4)に示すように、有機半導体層3上に下記の組成物2をアイソパーE”(イソパラフィン系炭化水素、エクソン化学(株)製)単独溶媒で固形分濃度10.3質量%に希釈した液体を、内径5μmのノズルを有する静電吸引型インクジェット装置により図5(3)に示すようにインク液滴6aを吐出した後、乾燥して、図5(4)に示すような、幅3μmのシリコンゴムからなる絶縁性領域(層)6を受容層7中に形成した。
(組成物2の組成)
α,ω−ジビニルポリジメチルシロキサン
(分子量約60,000) 100部
HMS−501(両末端メチル(メチルハイドロジェンシロキサン)
(ジメチルシロキサン)共重合体、SiH基数/分子量=0.69モル/g、
チッソ(株)製) 7部
ビニルトリス(メチルエチルケトキシイミノ)シラン 3部
SRX−212(白金触媒、東レ・ダウコーニングシリコン(株)製、)
5部
なお、図1(b)と図5の(7)は同一構成である。
また、受容層7を形成するための塗工液の調製方法は下記の通りである。
(受容層の塗工液の調製)
コロイダルシリカ(日産化学工業(株)製:1次粒子径10nm〜20nm、20%水分散液)3kg中に、気相法シリカである日本アエロジル社製AEROSIL300(1次粒子径7nm)0.6kgを吸引分散した後、純水を加え7Lの分散液を調製した。さらにホウ酸27gとホウ砂23gを含有する水溶液0.7Lを添加し、消泡剤(SN381:サンノプコ社製)を1g添加した。
高圧ホモジナイザーで2.45×107Paの圧力で2回分散し、シリカ混合水分散液を調製した。このシリカ混合水分散液1Lに、40℃で撹拌しながら、ポリビニルアルコールの5%水溶液1Lを混合し、受容層の塗工液を調製した。有機半導体層の表面にピエゾ型インクジェット装置により上記の塗工液をインク液滴として吐出し、窒素ガス中で100℃にて乾燥し、厚さ0.3μmの受容層を形成した。
工程(3):図5の(5)〜(7):ソース電極5、ドレイン電極4形成
図5の(5)に示すように示すように、上記の絶縁性領域6の表面に、電極形成材料である、ポリスチレンスルホン酸とポリ(エチレンジオキシチオフェン)の水分散液(バイエル製 Baytron P)を上記インクジェット装置によりインク液滴8として吐出し、図5(6)に示すように、絶縁性領域6の両側にインク液滴8a、8bが分断されたところで、60℃で乾燥させ、図5の(7)に示すように、ソース電極5、ドレイン電極6を各々作製した。
ここで、図5の(3)、図5の(5)で示される工程を支持体1の上方から見た平面図として、各々図6、図7の(a)として示す。
図5(5)では吐出直後の電極形成材料はインク液滴8として絶縁性領域6と有機半導体層3上の両方に存在しているが、所定の時間経過後には、図5の(6)に示すように、絶縁性領域6の電極材料反撥性により、該領域6の両側にインク液滴8a、インク液滴8bが分断される。最終的に、前記インク液滴8aは、ソース電極5にインク液滴8bはドレイン電極4を形成する。
以上のようにして、薄膜トランジスタを製造した。
得られた薄膜トランジスタはpチャネルエンハンスメント型FETの良好な動作特性を示し、飽和領域のキャリア移動度は0.2であった。また、Vd(ソース・ドレインバイアス)が−50Vの時、Vg(ゲートバイアス)が−30V、0Vにおけるドレイン電流値の比(on/off比)は50万であった。
実施例2
以下に記載のようにして、図11〜14に記載の構成を有する薄膜トランジスタ素子シートを作製した。
《薄膜トランジスタ素子シートの作製》
工程(1)
支持体(図示なし)上へ、ゲートバスライン11(ゲートバスラインがゲート電極を兼ねる場合はゲート電極は特に図示しない)、有機半導体層3を下記のようにして設けた。
(支持体1の作製)
実施例1と同様にして作製された。
(ゲート電極形成工程)
上記の下引き層上に、実施例1と同様にして実施例1の光感応性樹脂1を塗布し、100℃にて1分間乾燥させることで、厚さ2μmの光感応性樹脂層を形成した。(光感応性樹脂1)
発振波長830nm、出力100mWの半導体レーザで200mJ/cm2のエネルギー密度でゲートバスラインおよびゲート電極のパターンを露光した後、アルカリ水溶液で現像し、レジスト像を得た。
さらにその上に、スパッタ法により、厚さ300nmのアルミニウム皮膜を一面に成膜した後、MEKで上記光感応性樹脂層の残存部を除去することで、ゲートバスライン11およびゲート電極を作製した。
(陽極酸化皮膜形成工程)
以上のフィルム基板をよく洗浄した後、50g/Lのホウ酸アンモニウム水溶液中で、5分間、100Vの定電圧電源から供給される直流を用いて陽極酸化皮膜を作製し、超純水でよく洗浄した。
(ゲート絶縁層形成工程)
さらに実施例1と同様にしてフィルム温度200℃にて、厚さ30nmの酸化ケイ素層であるゲート絶縁層を設け、同様にHMDS処理を施した。
(有機半導体層形成工程)
次に、ゲート絶縁層(図示していない)の上に、前記同様クロロホルム溶液を、ピエゾ方式のインクジェット法を用いて、チャネルを形成すべき領域に吐出し、窒素ガス中で、50℃で3分乾燥し、200℃で10分の熱処理を行ったところ、厚さ50nmのペンタセン薄膜である有機半導体層3を形成した。
(中間層の形成):PVA層(厚さ0.3μm)を設ける
有機半導体層3の上に、十分に精製を行ったポリビニルアルコールを超純粋製造装置で精製された水に溶解した水溶液を用いて塗設し、窒素ガス雰囲気中100℃にて、よく乾燥させ、ポリビニルアルコールからなる中間層を形成した。
工程(2)
(流動性電極材料反撥領域6、A、Bの形成)
さらに、下記の組成物2をアイソパーE”(イソパラフィン系炭化水素、エクソン化学(株)製)単独溶媒で希釈した液体を、内径5μmのノズルを有する静電吸引型インクジェット装置によりインク液滴を吐出した後、乾燥・硬化して、幅3μmのシリコンゴムからなる流動性電極材料反撥領域(層)6、A,Bを形成した。
(組成物2の組成)
α,ω−ジビニルポリジメチルシロキサン
(分子量約60,000) 100部
HMS−501(両末端メチル(メチルハイドロジェンシロキサン)
(ジメチルシロキサン)共重合体、SiH基数/分子量=
0.69モル/g、チッソ(株)製) 7部
ビニルトリス(メチルエチルケトキシイミノ)シラン 3部
SRX−212(白金触媒、東レ・ダウコーニングシリコン(株)製)
5部
カーボンブラック5%分散液 15部
更に、流動性電極材料反撥領域6、A,Bが設けられている領域以外の中間層を水処理等により除去し、よく超純水で濯いだ。
工程(3):ソース電極5、ドレイン電極4、画素電極4a、ソースバスラインの形成
電極形成材料である、0.01質量%のノニオン界面活性剤(例えば、ニッコーケミカルズ製NP15など)を添加したポリスチレンスルホン酸とポリ(エチレンジオキシチオフェン)の水分散液(バイエル製 Baytron P)を塗布し、流動性電極材料反撥領域6、A、Bにより塗布膜が分断されたところで、60℃で乾燥させ、膜厚0.2μmの前記電極形成材料の塗膜が形成された。さらに銀ペーストを塗布し、同様に流動性電極材料反撥領域6、A,Bにより塗布膜が分断されたところで、60℃で乾燥させ、200℃で熱処理することにより、膜厚2μmの銀ペーストの塗膜が形成された。
素子シート上に形成された絶縁性領域6のラインにより、チャネル領域が形成され、同時にA、Bのラインを形成することで、領域20、領域21が各々形成される。
領域20に流動性電極材料が供給されソース電極やソースバスラインが形成され、領域21に流動性電極材料が供給され、ドレイン電極4や画素電極4aが形成される。また、また領域21は隣のゲートバスラインとの間で、蓄積容量を形成している
以上の工程により、本発明の薄膜トランジスタ素子シートが製造され、良好に駆動することができる。
構成1〜7に記載の発明により、高度な真空系設備や複雑な処理工程が必要な真空系やフォトリソを用いなくとも、性能ばらつきのない、チャネル長の短い、高性能な、安価な、精度の高い薄膜トランジスタを提供することが出来る。
構成8〜10に記載の発明により、高度な真空系設備や複雑な処理工程が必要な真空系やフォトリソを用いなくとも、上述した効果を示す薄膜トランジスタを、簡易、且つ、効率的に製造する、製造安定性の高い薄膜トランジスタの作製方法を提供することができる。
構成11〜18に記載の発明により、高度な真空系設備や複雑な処理工程が必要な真空系やフォトリソを用いなくとも上述した効果を示す薄膜トランジスタ素子が複数接続された薄膜トランジスタ素子シートを、簡易、且つ、効率的に製造する製造安定性の高い薄膜トランジスタ素子シートの作製方法を提供することができる。
構成19に記載の発明により、上述した効果を示す有機薄膜トランジスタ素子が複数接続された薄膜トランジスタ素子シートを提供することができる。
また、構成1〜7に記載の発明により、上述した効果を示す薄膜トランジスタ素子を有する電気回路を提供することができる。

Claims (3)

  1. 支持体上に、少なくともゲート電極、半導体層、ソース電極及びドレイン電極を有する薄膜トランジスタにおいて、ノズル内径が30μm以下である静電吸引型インクジェット装置により電極材料反撥性を有する絶縁性領域を形成し、次いで、該絶縁性領域に流動性電極材料を供給して、該流動性電極材料が前記絶縁性領域で分断されることにより、該ソース電極及び該ドレイン電極の各々が形成される工程を経て、製造されることを特徴とする薄膜トランジスタであって、
    前記絶縁性領域が、絶縁性領域形成用材料を空隙型の受容層に供給する工程により形成されることを特徴とする薄膜トランジスタ。
  2. 支持体上に、少なくともゲート電極、半導体層、ソース電極及びドレイン電極を有する薄膜トランジスタにおいて、ノズル内径が30μm以下である静電吸引型インクジェット装置により電極材料反撥性を有する絶縁性領域を形成し、次いで、該絶縁性領域に流動性電極材料を供給して、該流動性電極材料が前記絶縁性領域で分断されることにより、該ソース電極及び該ドレイン電極の各々が形成される工程を経て、製造されることを特徴とする薄膜トランジスタであって、
    前記ソース電極及び前記ドレイン電極が、前記流動性電極材料を空隙型の受容層に供給する工程により形成されることを特徴とする薄膜トランジスタ。
  3. 支持体上に、少なくともゲート電極、半導体層、ソース電極及びドレイン電極を有する薄膜トランジスタにおいて、ノズル内径が30μm以下である静電吸引型インクジェット装置により電極材料反撥性を有する絶縁性領域を形成し、次いで、該絶縁性領域に流動性電極材料を供給して、該流動性電極材料が前記絶縁性領域で分断されることにより、該ソース電極及び該ドレイン電極の各々が形成される工程を経て、製造されることを特徴とする薄膜トランジスタであって、
    前記絶縁性領域と前記半導体層との間に中間層が設けられることを特徴とする薄膜トランジスタ。
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