JPWO2008018271A1 - 有機薄膜トランジスタとその製造方法 - Google Patents

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Abstract

本発明は、ソース・ドレイン電極間の距離(チャネル長)が大きくても、スイッチングの電流値が高い有機薄膜トランジスタ及びその製造方法を提供する。本発明の有機薄膜トランジスタは、支持体、ゲート電極、ゲート絶縁膜、有機半導体膜、ソース電極、ドレイン電極、及び少なくとも一つの別種の電極から成り、該別種の電極は有機半導体膜上で、かつ該ソース・ドレイン電極間のチャネル領域に形成されていることを特徴とする。

Description

本発明は、キャリア移動度が高い有機薄膜トランジスタ及びその製造方法に関する。
有機半導体を用いたデバイスは、従来の無機半導体デバイスに比べて製膜条件がマイルドであり、各種基板上に半導体薄膜を常温で製膜することが可能であるため、低コスト化や、ポリマーフィルム等に薄膜を形成することによるフレキシブル化が期待されている。
有機半導体材料としては、ポリフェニレンビニレン、ポリピロール、ポリチオフェン、オリゴチオフェンなどの共役系高分子、オリゴマーとともに、アントラセン,テトラセン,ペンタセン等のポリアセン化合物が研究されている。
ところで、上述した有機半導体を用いたデバイスにおいて、電極を形成する方法としては、均一形成した金属薄膜をエッチング又はリフトオフによって電極パターンを形成する方法や、金属フィラーを含有する塗料、また導電性ポリマー溶液を印刷して電極パターンを形成する方法などが用いられている。
例えば、特許文献1には、無電解メッキを利用し低抵抗の電極を簡便に形成することが記載されている。これは、無電解メッキを生じさせる触媒と、メッキ剤およびこれらの印刷法等によるパターニングを組み合わせ、電極パターンを簡単に形成するというものである。これにより、煩雑な工程を経ることなく、電極パターン形成が可能である。
有機薄膜トランジスタは、上記のように印刷などの比較的ラフなプロセスで作れるというメリットがある。しかしながら、電極などの構成要素を印刷で形成した場合、要素のサイズや位置の精度に問題が生じ、ショートを防止するために、例えば、ソース電極とドレイン電極の両電極間の距離(チャネル長)を大きくする必要があるなどの制約がある。また、当該チャネル長を大きくすると、有機薄膜トランジスタを通す電流値が低くなってしまうという問題を生じる。
特開2004−158805号公報
本発明は、上記問題を解決し、ソース・ドレイン電極間の距離(チャネル長)が大きくても、スイッチングの電流値が高い有機薄膜トランジスタを提供すること及びその製造方法を提供することを課題とする。
本発明に係る上記課題は下記の手段によって解決される。
1.支持体、ゲート電極、ゲート絶縁膜、有機半導体膜、ソース電極、ドレイン電極、及び少なくとも一つの別種の電極から成り、該別種の電極は有機半導体膜上で、かつ該ソース・ドレイン電極間のチャネル領域に形成されていることを特徴とする有機薄膜トランジスタ。
2.前記別種の電極が独立していることを特徴とする前記1に記載の有機薄膜トランジスタ。
3.前記別種の電極が流動性電極材料から形成されたことを特徴とする前記1又は2に記載の有機薄膜トランジスタ。
4.前記ソース電極及びドレイン電極が流動性電極材料から形成されたことを特徴とする前記1〜3のいずれか一項に記載の有機薄膜トランジスタ。
5.前記別種の電極を形成する流動性電極材料が水を含有することを特徴とする前記1〜4のいずれか一項に記載の有機薄膜トランジスタ。
6.前記有機半導体膜の表面の水接触角が80°以上であることを特徴とする前記1〜5のいずれか一項に記載の有機薄膜トランジスタ。
7.前記有機半導体膜が溶液からのキャスト膜であることを特徴とする前記1〜6のいずれか一項に記載の有機薄膜トランジスタ。
8.支持体、ゲート電極、ゲート絶縁膜、有機半導体膜、ソース電極、ドレイン電極、及び少なくとも一つの別種の電極から成る有機薄膜トランジスタの製造方法において、該有機半導体膜上であって、かつ、ソース・ドレイン電極間のチャネル領域に該別種の電極を形成することを特徴とする有機薄膜トランジスタの製造方法。
本発明により、ソース電極とドレイン電極の電極間の距離(チャネル長)が大きくても、スイッチングの電流値が高い有機薄膜トランジスタ及びその製造方法を提供することができる。
本発明の有機薄膜トランジスタ素子の構成例を示す図 本発明に係る別種の電極パターン例の概念図 本発明の有機薄膜トランジスタ素子シートの一例の概略の等価回路図 本発明の有機薄膜トランジスタ素子(トップコンタクト型)の製造方法を説明するための図
符号の説明
1 支持体(基板)
2 ゲート電極
3 ゲート絶縁膜
4 有機半導体膜
5 ソース電極
6 ドレイン電極
7 別種の電極
11 支持体
12 ゲート電極
13 ゲート絶縁膜
14 有機半導体膜
15 ソース電極
16 ドレイン電極
17 別種の電極
18 下引き層
20 有機薄膜トランジスタシート
21 ゲートバスライン
22 ソースバスライン
24 有機薄膜トランジスタ素子
25 蓄積コンデンサ
26 出力素子
27 垂直駆動回路
28 水平駆動回路
以下、本発明とその構成要素等について詳細な説明をする。
〔有機薄膜トランジスタ〕
本発明の有機薄膜トランジスタ(以下において、「有機TFT」又は単に「TFT」ともいう。)は、支持体、ゲート電極、ゲート絶縁膜、有機半導体膜、ソース電極、ドレイン電極、及び少なくとも一つの別種の電極から成り、該別種の電極は有機半導体膜上で、かつ該ソース・ドレイン電極間のチャネル領域に形成されていることを特徴とする。
本発明者等は、後述するトップコンタクト型構成をとることにより、キャリア移動度が高く安定した動作が可能なTFTを得ることができることを見出した。
本発明のトップコンタクト型有機薄膜トランジスタとして好適な構成例を図1の(a)〜(d)に示す。
図1(a)の構成は、支持体(基板)1上にゲート電極2及びゲート絶縁膜3が順次設けられ、ゲート絶縁膜3に接して、有機半導体膜4、ソース電極5及びドレイン電極6が形成されており、かつ有機半導体膜4上に「別種の電極」7が形成されており、ソース電極5、ドレイン電極6及び「別種の電極」7は有機半導体膜4の上面に接合した、所謂トップコンタクト型の構成をとっている。従って、各電極は有機半導体膜形成後に形成される。
なお、当該「別種の電極」7は、ソース電極5及びドレイン電極6と独立(孤立)した構造となっている。当該「別種の電極」7は実質的にソース電極とドレイン電極の両電極間の距離(チャネル長)を低減させる効果をもたらす。
図1(b)の構成は、(a)と同様の構成であるが、有機半導体膜4上に「別種の電極」7を複数設け、実質的にチャネル長を更に低減させたものである。
図1(c)の構成は、ゲート絶縁膜3上にソース電極5及びドレイン電極6を形成した後に有機半導体膜4を形成し、更にその後に、ソース電極5、ドレイン電極6及び「別種の電極」7を形成したものである。
図1(d)の構成は、ゲート絶縁膜3上にソース電極5及びドレイン電極6を形成した後に有機半導体膜4を形成し、更にその後に、別種の電極7を形成したものである。
〈「別種の電極」の構成、形成プロセス〉
本発明に係る「別種の電極」は流動性電極材料による印刷、塗布などの溶液プロセスを用いることが好ましい。例えば、ポリエチレンジオキシチオフェンとポリスチレンスルホン酸の錯体(PEDOT−PSS)などの導電性ポリマーや、金属微粒子の分散液を用いて、図2(a)のように印刷法などによりパターン化するのが好ましい。
また、図2(b)のようにインクジェット法によりドット状に形成することもできる。各ドットはソース・ドレイン電極間が導通しない範囲で、一部重なりあってもよい。またチャネル領域全体に塗膜を形成した後、塗膜のはじく現象(撥液作用)を利用して、図2(b)のような自己組織的なドットを形成させることがプロセスの簡易化の点から好ましい。有機薄膜トランジスタに好適に利用される有機半導体は親油性であり、有機半導体膜表面における水の接触角は高く保たれる。従って、撥液作用を利用して別種の電極を形成する場合は、水溶性または水分散性の流動性電極材料を用いることが好ましい。
〈流動性電極材料〉
本発明に係る「別種の電極」の導電率は0.001S/cm以上、好ましくは1S/cm以上である。
本発明に係る流動性電極材料とは、具体的には、下記に示す導電性材料を含む、溶液、ペースト、インク、金属薄膜前駆体材料、液状分散物等である。
そして、インクジェット装置から供給される前記流動性電極材料の場合は、溶媒または分散媒が、水を50質量%以上含んでいることが好ましい。
導電性材料としては、電極として実用可能なレベルでの導電性があればよく、特に限定されず、白金、金、銀、ニッケル、クロム、銅、鉄、錫、アンチモン鉛、タンタル、インジウム、パラジウム、テルル、レニウム、イリジウム、アルミニウム、ルテニウム、ゲルマニウム、モリブデン、タングステン、酸化スズ・アンチモン、酸化インジウム・スズ(ITO)、フッ素ドープ酸化亜鉛、亜鉛、炭素、グラファイト、グラッシーカーボン、銀ペーストおよびカーボンペースト、リチウム、ベリリウム、ナトリウム、マグネシウム、カリウム、カルシウム、スカンジウム、チタン、マンガン、ジルコニウム、ガリウム、ニオブ、ナトリウム、ナトリウム−カリウム合金、マグネシウム、リチウム、アルミニウム、マグネシウム/銅混合物、マグネシウム/銀混合物、マグネシウム/アルミニウム混合物、マグネシウム/インジウム混合物、アルミニウム/酸化アルミニウム混合物、リチウム/アルミニウム混合物等が用いられるが、特に、白金、金、銀、銅、アルミニウム、インジウム、ITOおよび炭素が好ましい。
また、導電性材料としては、導電性ポリマーや金属微粒子などを好適に用いることができる。金属微粒子を含有する分散物としては、たとえば公知の導電性ペーストなどを用いても良いが、好ましくは、粒子径が1nm〜50nm、好ましくは1nm〜10nmの金属微粒子を含有する分散物である。
金属微粒子の材料としては白金、金、銀、ニッケル、クロム、銅、鉄、錫、アンチモン鉛、タンタル、インジウム、パラジウム、テルル、レニウム、イリジウム、アルミニウム、ルテニウム、ゲルマニウム、モリブデン、タングステン、亜鉛等を用いることができる。
このような金属微粒子の分散物の作製方法として、ガス中蒸発法、スパッタリング法、金属蒸気合成法などの物理的生成法や、コロイド法、共沈法などの、液相で金属イオンを還元して金属微粒子を生成する化学的生成法が挙げられるが、好ましくは、特開平11−76800号公報、同11−80647号公報、同11−319538号公報、特開2000−239853号公報等に示されたコロイド法、特開2001−254185号公報、同2001−53028号公報、同2001−35255号公報、同2000−124157号公報、同2000−123634号公報などに記載されたガス中蒸発法により製造された金属微粒子の分散物である。
図3は、本発明の薄膜トランジスタ素子が複数配置される薄膜トランジスタ素子シート20の1例の概略の等価回路図である。
薄膜トランジスタシート20はマトリクス配置された多数の薄膜トランジスタ素子24を有する。21は各薄膜トランジスタ素子24のゲート電極のゲートバスラインであり、22は各薄膜トランジスタ素子24のソース電極のソースバスラインである。各薄膜トランジスタ素子24のドレイン電極には、出力素子26が接続され、この出力素子26は例えば液晶、電気泳動素子等であり、表示装置における画素を構成する。図示の例では、出力素子26として液晶が、抵抗とコンデンサからなる等価回路で示されている。25は蓄積コンデンサ、27は垂直駆動回路、28は水平駆動回路である。
この様な、支持体上に有機TFT素子を2次元的に配列した薄膜トランジスタシートの作製に本発明の方法を用いることができる。
(電極等の形成方法)
本発明に係る有機薄膜トランジスタ(素子シート)における、ソース、ドレイン、或いはゲート電極等の電極、またゲート、或いはソースバスライン等を、エッチング又はリフトオフ等感光性樹脂等を用いた金属薄膜のパターニングなしに形成する方法として、無電解メッキ法による方法が知られている。
無電解メッキ法による電極の形成方法に関しては、特開2004−158805にも記載されたように、電極を設ける部分に、メッキ剤と作用して無電解メッキを生じさせるメッキ触媒を含有する液体を、例えば印刷法(インクジェット印刷含む。)によって、パターニングした後に、メッキ剤を、電極を設ける部分に接触させる。そうすると、前記触媒とメッキ剤との接触により前記部分に無電解メッキが施されて、電極パターンが形成されるというものである。
無電解メッキの触媒と、メッキ剤の適用を逆にしてもよく、またパターン形成をどちらで行ってもよいが、メッキ触媒パターンを形成し、これにメッキ剤を適用する方法が好ましい。
印刷法としては、例えば、スクリーン印刷、平版、凸版、凹版又インクジェット法による印刷などが用いられるが、これらの印刷法によるメッキ触媒又はメッキ剤のパターニングは、高精細な回路パターンが要求される場合、精度が充分ではない。
本発明者等は、鋭意検討の結果、印刷或いは通常のインクジェット法ではなく、メッキ触媒を含有する液体を静電吸引方式の液体吐出装置を用い印刷する方法が、高細精の印刷に適しており、無電解メッキによる電極パターン形成を精度高く行える方法であることを見いだした。これにより、低抵抗で高精細な電極パターンを簡便に得ることができる。
〈無電解メッキ法〉
以下無電解メッキ法について説明する。
メッキ剤に作用して無電解メッキを生じさせる触媒としては、Pd、Rh、Pt、Ru、Os、Irから選択される少なくとも一種の化合物及びこれらのイオン、或いは金属微粒子から構成される。
具体的には、上記元素の塩化物、臭化物、フッ化物などのハロゲン化物や、硫酸塩、硝酸塩、燐酸塩、ホウ酸塩、シアン化物などの無機塩或いは複合塩や、カルボン酸塩、有機スルホン酸塩、有機燐酸塩、アルキル錯体、アルカン錯体、アルケン錯体、シクロペンタジエン錯体、ポルフィリン、フタロシアニンなどの有機錯体塩から選択される単体或いはこれらの混合物、これらの元素のイオン、これらの元素の金属微粒子が適用可能である。なお、有機錯体塩からなる触媒に、界面活性剤や樹脂バインダーを含有させた溶液或いは分散体を適用することも可能である。
また、メッキ剤としては、例えば、電極として析出させる金属イオンが均一溶解された溶液が用いられ、金属塩とともに還元剤が含有される。ここで、通常は溶液が用いられるが、無電解メッキを生じさせるものであればこれに限らず、ガス状や粉体のメッキ剤を適用することも可能である。
具体的に、この金属塩としては、金属のハロゲン化物、硝酸塩、硫酸塩、燐酸塩、ホウ酸塩、酢酸塩、酒石酸塩、クエン酸塩などが適用可能である。還元剤としては、ヒドラジン、ヒドラジン塩、ボロハイドライド塩、次亜燐酸塩、次亜硫酸塩、アルコール、アルデヒド、カルボン酸、カルボン酸塩などが適用可能である。なお、これらの還元剤に含有されるボロン、燐、窒素などの元素が、析出する電極に含有されていても構わない。
このメッキ剤は、上記金属塩と還元剤とが混合されたものを適用するようにしてもよいし、或いは金属塩と還元剤とを別個に適用するようにしてもよい。ここで、電極パターンをより鮮明に形成するためには、金属塩と還元剤とが混合されたものを適用することが好ましい。また、金属塩と還元剤とを別個に適用する場合には、電極を設ける部分にまず金属塩を配した後、還元剤を配することで、より安定した電極パターンを形成することができる。
また、メッキ剤には、必要があれば、pH調整のための緩衝剤、界面活性剤などの添加物を含有させることができる。また、溶液に用いる溶媒としては、水以外にアルコール、ケトン、エステルなどの有機溶剤を添加するようにしてもかまわない。
さらに、メッキ剤の組成は、析出させる金属の金属塩、還元剤、および必要に応じて添加物、有機溶媒を添加した組成で構成されるが、析出速度に応じて濃度や組成を調整することができる。また、メッキ剤の温度を調節して析出速度を調整することもできる。この温度調整の方法としては、メッキ剤の温度を調整する方法、浸漬前に基板を加熱、冷却して温度調節する方法などが挙げられる。さらに、メッキ剤に浸漬する時間で析出する金属薄膜の膜厚を調整することもできる。
本発明においては、前記無電解メッキ触媒を含有する液体の印刷法として、従来のスクリーン印刷、凸版、平版、凹版等の印刷法、また、通常のインクジェット法による印刷にかえて静電吸引方式の液体吐出装置を用いることが好ましい。静電吸引方式の液体吐出装置によって、無電解メッキの触媒のパターンを形成して、その後、メッキ剤を、接触させ、無電解メッキを施す。これにより無電解メッキによって形成された金属薄膜からなる電極パターンが得られる。
メッキ剤の接触は、塗布、或いはスプレー等、また、浸漬等によって行うことができる。また、メッキ剤をメッキ触媒と同様に、メッキ触媒パターンを形成した領域を含む領域にパターン印刷する方法でもよい、インクジェット法、スクリーン印刷、凹版、平版、凸版などの印刷、又これも静電吸引方式の液体吐出装置を用いてもよい。また、電極パターンを無電解メッキにより析出させた後、基板表面にメッキ剤に含有された溶質が付着している場合、必要があれば洗浄することができる。
また、メッキ剤、また、メッキ触媒は、適用を逆にしてもよい。またパターニングをメッキ剤で行ってもよい。
前記無電解メッキを施すことで設ける電極は、Au、Ag、Cu、Ni、Co、Feから選択される少なくとも1種の金属或いはこれらの合金から構成される。ここで、上記金属には、金属間化合物も含まれる。
前記静電吸引方式の液体吐出装置の例としては、例えば、特開平8−238774号、また特開2000−127410号等に記載されており、これらに準じた装置を有利に用いることができる。
静電吸引方式は、微小液滴を吐出できる方法であり、吐出された液滴は、吐出エネルギーとは別に、飛翔中にも静電力を受けるため、単位体積当たりの吐出エネルギーを軽減でき、微小液滴の吐出への適用が可能となり、高精度の印刷パターンを得ることが出来る。
本発明においては、ソースまたはドレイン電極が前記無電解メッキ法により形成されることが好ましく、特に、ソース、ドレイン電極、ソースバスライン等を一度に形成する際に用いられることが好ましい。
また、静電吸引方式による液体吐出装置を用いる方法は、ボトムゲート型構造を有する薄膜トランジスタの製造に適しており、ゲート電極、ゲートバスライン、ゲート絶縁膜(層)、また半導体膜(層)等が実装された基板上に、ソース、ソースバスライン、ドレイン電極等のパターニングを、レジスト形成等による複雑工程を回避して、精度よく行えることは好ましい。
また、従って、静電吸引方式による液体吐出装置を用いる薄膜トランジスタの製造方法は有機薄膜トランジスタの製造に特に有利に用いられる。有機半導体膜上にソース、ドレイン電極を形成する際に、レジスト等を形成する方法を用いずに簡便に精度のよいパターニングが行えるほか、電極のパターニングに感光性樹脂を用いる場合には、感光性樹脂そのものが、また感光性樹脂からのレジストの形成プロセスやまたその除去プロセスが有機半導体膜に対する影響がないものに限定されるため、有機半導体材料を用いる場合特に本発明の方法は好ましい。
本発明に係わる薄膜トランジスタにおいて、無電解メッキによって有機半導体膜上に、電極を形成する場合、電極形成領域以外の領域(例えば、薄膜トランジスタ素子において半導体チャネルとなる領域等)においては、有機半導体膜は、有機半導体材料に対し影響が考えられるこれら触媒やメッキ剤と直接接触しないことが好ましい。そのためには、トップコンタクト型の構成をとる薄膜トランジスタの製造においては、有機半導体層保護膜を電極形成領域以外の必要とされる領域に設けることが好ましい。
保護膜は、従って、電極形成領域以外の保護領域(例えば半導体チャネルを形成する領域)を保護するようにパターニングされていることが好ましい。保護膜を形成した後、メッキ触媒パターンを形成し、これに、メッキ剤を接触させる方法で、無電解メッキを行うことができる。メッキ剤を接触させる方法は特に限定されないが、例えば、メッキ剤への浸漬やスプレー吹き付け、或いはインクジェット法、スクリーン印刷、凹版、平版、凸版などの印刷による方法が適用可能である。
また、無電解メッキにより金属薄膜パターンを形成した後、基板表面にメッキ剤等に含有された溶質が付着している場合、必要があれば洗浄することができる。
〔保護膜〕
本発明において、上記無電解メッキにより電極が設けられる前に、有機半導体膜(層)上に形成される保護膜としては、前記、メッキ触媒、またメッキ剤中の金属塩また還元剤等の作用を封じる、有機半導体材料にたいし影響を与えない不活性な材料であればよく、また有機半導体保護層の上に光感応性樹脂層等の感光性組成物を形成するような場合には、その塗布工程で影響を受けないことと、さらに光感応性樹脂層のパターニング時にも影響を受けない材料であることが好ましい。
そのような材料として、以下に挙げる高分子材料、特に親水性ポリマーを含有する材料が挙げられ、さらに好ましくは、親水性ポリマーの水溶液又は水分散液が挙げられる。
親水性ポリマーとしては、水、または酸性水溶液、アルカリ性水溶液、アルコール水溶液、各種の界面活性剤の水溶液に対して、溶解性または分散性を有するポリマーである。たとえばポリビニルアルコールや、HEMA、アクリル酸、アクリルアミドなどの成分からなるホモポリマー、コポリマーを好適に用いることができる。またその他の材料として、無機酸化物、無機窒化物を含有する材料も、有機半導体への影響を与えず、その他塗布工程での影響を与えないので好ましい。さらに後述するゲート絶縁膜(層)の材料も用いることができる。
ゲート絶縁膜(層)材料である無機酸化物又は無機窒化物を含有する有機半導体保護層は、大気圧下でのプラズマ法により形成されるのが好ましい。
大気圧下でのプラズマ法による薄膜の形成方法は、大気圧または大気圧近傍の圧力下で放電し、反応性ガスをプラズマ励起し、基材上に薄膜を形成する処理で、その方法については特開平11−61406、同11−133205、特開2000−121804、同2000−147209、同2000−185362等に記載されている(以下、大気圧プラズマ法とも称する)。これによって高機能性の薄膜を、生産性高く形成することができる。
また、保護膜のパターニングを行う時にフォトレジストを用いることが好ましい。
フォトレジスト層としては、ポジ型、ネガ型の公知の材料を用いることができるが、レーザー感光性の材料を用いることが好ましい。このようなフォトレジスト材料として、(1)特開平11−271969号、特開2001−117219、特開平11−311859号、特開平11−352691号のような色素増感型の光重合感光材料、(2)特開平9−179292号、米国特許第5,340,699号、特開平10−90885号、特開2000−321780、同2001−154374のような赤外線レーザーに感光性を有するネガ型感光材料、(3)特開平9−171254号、同5−115144号、同10−87733号、同9−43847号、同10−268512号、同11−194504号、同11−223936号、同11−84657号、同11−174681号、同7−285275号、特開2000−56452、WO97/39894、同98/42507のような赤外線レーザーに感光性を有するポジ型感光材料が挙げられる。工程が暗所に限定されない点で、好ましいのは(2)と(3)であり、フォトレジスト層を除去する場合には、ポジ型である(3)が最も好ましい。
光感応性樹脂の塗布溶液を形成する溶媒としては、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、メチルセロソルブ、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブ、エチルセロソルブアセテート、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ジオキサン、アセトン、シクロヘキサノン、トリクロロエチレン、メチルエチルケトン等が挙げられる。これら溶媒は、単独であるいは2種以上混合して使用する。
光感応性樹脂層を形成する方法としては、スプレーコート法、スピンコート法、ブレードコート法、ディップコート法、キャスト法、ロールコート法、バーコート法、ダイコート法などの塗布による方法等、前記保護膜のパターニングに述べたとおりである。
光感応性樹脂層が形成後、パターニング露光を、Arレーザー、半導体レーザー、He−Neレーザー、YAGレーザー、炭酸ガスレーザー等により行う。赤外に発振波長がある半導体レーザーが好ましい。出力は50mW以上が適当であり、好ましくは100mW以上である。
光感応性樹脂層の現像に用いられる現像液としては、水系アルカリ現像液が好適である。水系アルカリ現像液としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、メタケイ酸ナトリウム、メタケイ酸カリウム、第二リン酸ナトリウム、第三リン酸ナトリウム等のアルカリ金属塩の水溶液や、アンモニア、エチルアミン、n−プロピルアミン、ジエチルアミン、ジ−n−プロピルアミン、トリエチルアミン、メチルジエチルアミン、ジメチルエタノールアミン、トリエタノールアミン、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、ピペリジン、1,8−ジアザビシクロ−[5,4,0]−7−ウンデセン等のアルカリ性化合物を溶解した水溶液水を挙げることが出来る。本発明におけるアルカリ性化合物のアルカリ現像液中における濃度は、通常1〜10質量%、好ましくは2〜5質量%である。
現像液には、必要に応じアニオン性界面活性剤、両性界面活性剤やアルコール等の有機溶剤を加えることができる。有機溶剤としては、プロピレングリコール、エチレングリコールモノフェニルエーテル、ベンジルアルコール、n−プロピルアルコール等が有用である。
本発明においては、また、保護膜のメッキ触媒パターン形成、即ち、電極パターン形成には、他の光感応性樹脂層であるアブレーション層を用いてもよい。
本発明に用いられるアブレーション層は、エネルギー光吸収剤、バインダー樹脂および必要に応じて添加される各種添加剤から構成することができる。
エネルギー光吸収剤は、照射するエネルギー光を吸収する各種の有機および無機材料が使用可能であり、たとえばレーザー光源を赤外線レーザーとした場合、赤外線を吸収する顔料、色素、金属、金属酸化物、金属窒化物、金属炭化物、金属ホウ化物、グラファイト、カーボンブラック、チタンブラック、Al、Fe、Ni、Co等を主成分とするメタル磁性粉末等の強磁性金属粉末などを用いることができ、中でも、カーボンブラック、シアニン系などの色素、Fe系強磁性金属粉末が好ましい。エネルギー光吸収剤の含有量は、アブレーション層形成成分の30〜95質量%程度、好ましくは40〜80質量%である。
アブレーション層のバインダー樹脂は、前記エネルギー光吸収剤、例えば、色材微粒子を十分に保持できるものであれば、特に制限無く用いることができ、ポリウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、塩化ビニル系樹脂、ポリビニルアセタール系樹脂、セルロース系樹脂、アクリル系樹脂、フェノキシ樹脂、ポリカーボネート、ポリアミド系樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂などを挙げることができる。バインダー樹脂の含有量は、アブレーション層形成成分5〜70質量%程度、好ましくは20〜60質量%である。
本明細書でいうアブレーション層とは、高密度エネルギー光の照射によりアブレートする層を指し、ここで言うアブレートとは、物理的或いは化学的変化によりアブレーション層が完全に飛散する、一部が破壊される或いは飛散する、隣接する層との界面近傍のみに物理的或いは化学的変化が起こるという現象を含む。このアブレートを利用してレジスト像を形成し、電極を形成させる。
高密度エネルギー光は、アブレートを発生させる活性光であれば特に制限はなく用いることができる。露光方法としては、キセノンランプ、ハロゲンランプ、水銀ランプなどによるフラッシュ露光を、フォトマスクを介して行ってもよいし、レーザー光等を収束させ走査露光を行っても良い。レーザー1ビーム当たりの出力は20〜200mWである赤外線レーザー、特に半導体レーザーが最も好ましく用いられる。エネルギー密度としては、好ましくは50〜500mJ/cm2、更に好ましくは100〜300mJ/cm2である。
また、前記光感応性樹脂層上に、溶剤塗布によって、厚さ0.5μm程度の電極材料反撥層を形成することが好ましい。
電極材料反撥層は、シリコーンゴム層、またはシランカップリング剤、チタネートカップリング剤などを用いて、光感応性樹脂層表面に電極材料、本発明においては、メッキ触媒液、または、メッキ剤液に対する反撥性を付与する層であり、光感応性樹脂層上に電極材料反撥層を塗設して、光感応性樹脂層に露光または現像を行うことにより、光感応性樹脂層と組み合わせてパターニングを行える。光感応性樹脂層としてはアブレーション層、また光重合性感光材料等が好ましい。
形成した感光層及び電極材料反撥層に、半導体レーザー等で例えば、ソース電極、ソースバスライン等のパターンを露光し、次いで露光部の電極材料反撥層(シリコーンゴム層)をブラシ処理で除去する。光感応性樹脂層とシリコーンゴム層との接着性が露光により変化するので、ブラシ処理で簡単にシリコーンゴム層を除去することが出来る。
さらにこれを水でよく洗浄し露光部の光感応性樹脂層また例えば、ポリビニルアルコール等の保護層も溶解して除去することで、保護層が除去され、無電解メッキを施す領域において有機半導体薄層を露出させる。
この電極材料反撥層と無電解メッキ材料を組み合わせることで、保護層の効果を高め、電極形成させる部分のみ精度よくパターニングでき、簡単なプロセスで電極材料のパターニングが行える。
電極薄膜の形成後は、上記のレジスト像を除去してもよい。レジスト像をするには、アルコール系、エーテル系、エステル系、ケトン系、グリコールエーテル系などフォトレジストの塗布溶媒に利用される広範囲の有機溶媒から、適宜選択し用いる。有機半導体膜が浸食されない溶媒が好ましい。
また、保護膜のパターニング自体を、静電吸引方式の液体吐出装置を用いて行うことができる。前記静電吸引型インクジェット装置を用いて、保護膜材料溶液をインクとして吐出することで、レジストの形成による方法を行うことなしに、保護膜のパターニングを直接行うことができる。特に、静電吸引型インクジェット装置を用いることで、感光性樹脂によるレジスト形成同等の精度のよいパターニングが簡便に行える。
保護膜については、電極形成後に、除去してもよく、例えばトップコンタクト型薄膜トランジスタの場合、ソース、ドレイン電極を形成した後、基板表面に付着したメッキ剤液を洗い落とすために、基板表面を洗浄するが、その際に除去されるのが好ましい。しかしながら、薄膜トランジスタとしての性能に影響を与えない場合にはそのまま残しても構わない。
次いで、本発明を構成する有機薄膜トランジスタのその他の構成要素について説明する。
(有機半導体膜(層))
有機半導体薄膜(「有機半導体薄層」ともいう。)を構成する材料としては、種々の縮合多環芳香族化合物や共役系化合物が適用可能である。
縮合多環芳香族化合物としては、例えば、アントラセン、テトラセン、ペンタセン、ヘキサセン、へプタセン、クリセン、ピセン、フルミネン、ピレン、ペロピレン、ペリレン、テリレン、クオテリレン、コロネン、オバレン、サーカムアントラセン、ビスアンテン、ゼスレン、ヘプタゼスレン、ピランスレン、ビオランテン、イソビオランテン、サーコビフェニル、フタロシアニン、ポルフィリンなどの化合物及びこれらの誘導体が挙げられる。
共役系化合物としては、例えば、ポリチオフェン及びそのオリゴマー、ポリピロール及びそのオリゴマー、ポリアニリン、ポリフェニレン及びそのオリゴマー、ポリフェニレンビニレン及びそのオリゴマー、ポリチエニレンビニレン及びそのオリゴマー、ポリアセチレン、ポリジアセチレン、テトラチアフルバレン化合物、キノン化合物、テトラシアノキノジメタンなどのシアノ化合物、フラーレン及びこれらの誘導体或いは混合物を挙げることができる。
また、特にポリチオフェン及びそのオリゴマーのうち、チオフェン6量体であるα−セクシチオフェンα,ω−ジヘキシル−α−セクシチオフェン、α,ω−ジヘキシル−α−キンケチオフェン、α,ω−ビス(3−ブトキシプロピル)−α−セクシチオフェン、などのオリゴマーが好適に用いることができる。
さらに銅フタロシアニンや特開平11−251601に記載のフッ素置換銅フタロシアニンなどの金属フタロシアニン類、ナフタレン−1,4,5,8−テトラカルボン酸ジイミド、N,N′−ビス(4−トリフルオロメチルベンジル)ナフタレン−1,4,5,8−テトラカルボン酸ジイミドとともに、N,N′−ビス(1H,1H−ペルフルオロオクチル)、N,N′−ビス(1H,1H−ペルフルオロブチル)及びN,N′−ジオクチルナフタレン−1,4,5,8−テトラカルボン酸ジイミド誘導体、ナフタレン−2,3,6,7−テトラカルボン酸ジイミドなどのナフタレンテトラカルボン酸ジイミド類、及びアントラセン2,3,6,7−テトラカルボン酸ジイミドなどのアントラセンテトラカルボン酸ジイミド類などの縮合環テトラカルボン酸ジイミド類、C60、C70、C76、C78、C84等フラーレン類、SWNTなどのカーボンナノチューブ、メロシアニン色素類、ヘミシアニン色素類などの色素などがあげられる。
これらのπ共役系材料のうちでも、ペンタセンなどの縮合多環芳香族化合物、フラーレン類、縮合環テトラカルボン酸ジイミド類、金属フタロシアニンよりなる群から選ばれた少なくとも1種が好ましい。
また、本発明に係る有機半導体材料としては、Adv.Mater.2003,15、No.23,December 3(2009−2011)に記載のシリルエチニルペンタセン化合物、また、J.Am.Chem.Soc.,2005、127,4986〜4987に記載のアセン、ヘテロアセンを母核として有する化合物等も好ましく、シリルエチニルペンタセン、トリスアルキルシリルエチニルペンタセン、トリイソプロピルシリルエチニルペンタセンなどを好適に用いることができる。
また、その他の有機半導体材料としては、テトラチアフルバレン(TTF)−テトラシアノキノジメタン(TCNQ)錯体、ビスエチレンテトラチアフルバレン(BEDTTTF)−過塩素酸錯体、BEDTTTF−ヨウ素錯体、TCNQ−ヨウ素錯体、などの有機分子錯体も用いることができる。さらにポリシラン、ポリゲルマンなどのσ共役系ポリマーや特開2000−260999に記載の有機・無機混成材料も用いることができる。
また、本発明においては、有機半導体膜に、たとえば、アクリル酸、アセトアミド、ジメチルアミノ基、シアノ基、カルボキシル基、ニトロ基などの官能基を有する材料や、ベンゾキノン誘導体、テトラシアノエチレンおよびテトラシアノキノジメタンやそれらの誘導体などのように電子を受容するアクセプターとなる材料や、たとえばアミノ基、トリフェニル基、アルキル基、水酸基、アルコキシ基、フェニル基などの官能基を有する材料、フェニレンジアミンなどの置換アミン類、アントラセン、ベンゾアントラセン、置換ベンゾアントラセン類、ピレン、置換ピレン、カルバゾールおよびその誘導体、テトラチアフルバレンとその誘導体などのように電子の供与体であるドナーとなるような材料を含有させ、いわゆるドーピング処理を施してもよい。
前記ドーピングとは電子授与性分子(アクセプター)または電子供与性分子(ドナー)をドーパントとして該薄膜に導入することを意味する。従って,ドーピングが施された薄膜は、前記の縮合多環芳香族化合物とドーパントを含有する薄膜である。本発明に用いるドーパントとしては公知のものを採用することができる。
これらの有機半導体膜を形成する方法としては、公知の方法で形成することができ、例えば、真空蒸着、MBE(Molecular Beam Epitaxy)、イオンクラスタービーム法、低エネルギーイオンビーム法、イオンプレーティング法、スパッタ法、CVD(Chemical Vapor Deposition)、レーザー蒸着、電子ビーム蒸着、電着、スピンコート、ディップコート、バーコート法、ダイコート法、スプレーコート法、およびLB法等、またスクリーン印刷、インクジェット印刷、ブレード塗布などの方法を挙げることができる。
この中で生産性の点で、有機半導体の溶液を用いて簡単かつ精密に薄膜が形成できるスピンコート法、ブレードコート法、ディップコート法、ロールコート法、バーコート法、ダイコート法等が好まれる。
なおAdvanced Material誌 1999年 第6号、p480〜483に記載の様に、ペンタセン等前駆体が溶媒に可溶であるものは、塗布により形成した前駆体の膜を熱処理して目的とする有機材料の薄膜を形成しても良い。
本発明においては、有機半導体膜は有機半導体溶液をキャストする方法により形成することが特に好ましい。
有機半導体膜(層)を、有機半導体材料溶液をキャストする方法により作製する場合、有機半導体材料溶液の溶媒としては任意の溶媒を用いることができ、例えば、炭化水素系、アルコール系、エーテル系、エステル系、ケトン系、グリコールエーテル系など広範囲の有機溶媒から、有機半導体化合物に応じて適宜選択されるが、ジエチルエーテルやジイソプロピルエーテル等の鎖状エーテル系溶媒、テトラヒドロフランやジオキサンなどの環状エーテル系溶媒、アセトンやメチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶媒、キシレン、トルエン、o−ジクロロベンゼン、ニトロベンゼン、m−クレゾール等の芳香族系溶媒、ヘキサン、シクロヘキサン、トリデカンなどの脂肪族炭化水素溶媒、α−テルピネオール、また、クロロホルムや1,2−ジクロロエタン等のハロゲン化アルキル系溶媒、N−メチルピロリドン、2硫化炭素等を好適に用いることができる。
前記ゲート絶縁膜上への、塗布性や成膜性の観点から、最も好ましくは、脂肪族系の有機溶媒、具体例として、シクロヘキサンやヘキサンを含むことが好ましい。
これら有機半導体膜の膜厚としては、特に制限はないが、得られたトランジスタの特性は、有機半導体膜の膜厚に大きく左右される場合が多く、その膜厚は、有機半導体により異なるが、一般に1μm以下、特に10〜300nmが好ましい。
本発明における有機半導体膜の表面の水接触角は、80°以上であることが好ましい。より好ましくは90°以上である。(水接触角は、協和界面科学株式会社製:接触角計CA−V又はCA−DT・A型を用いた20℃、50%RHの環境下での測定値。)
有機半導体膜の表面の水接触角を調整するため、有機半導体膜の表面には、後述するシランカップリング剤等による処理を行ってもよい。有機半導体に官能基がなくとも、シランカップリング剤の付着により接触角の調整が可能である。
さらに、本発明の有機半導体素子によれば、そのゲート電極、ソースまたはドレイン電極のうち少なくとも一つを本発明の有機半導体素子の製造方法によって形成することによって、低抵抗の電極を、有機半導体膜の特性劣化を引き起こすことなしに形成することが可能となる。
本発明の有機薄膜トランジスタにおいて、ソース電極またはドレイン電極は、前記無電解メッキ法により形成されるが、ソース電極およびドレイン電極のひとつはゲート電極と共に無電解メッキによらない電極であってよい。その場合、電極は公知の方法、公知の電極材料にて形成される。電極材料としては導電性材料であれば特に限定されず、白金、金、銀、ニッケル、クロム、銅、鉄、錫、アンチモン鉛、タンタル、インジウム、パラジウム、テルル、レニウム、イリジウム、アルミニウム、ルテニウム、ゲルマニウム、モリブデン、タングステン、酸化スズ・アンチモン、酸化インジウム・スズ(ITO)、フッ素ドープ酸化亜鉛、亜鉛、炭素、グラファイト、グラッシーカーボン、銀ペーストおよびカーボンペースト、リチウム、ベリリウム、ナトリウム、マグネシウム、カリウム、カルシウム、スカンジウム、チタン、マンガン、ジルコニウム、ガリウム、ニオブ、ナトリウム、ナトリウム−カリウム合金、マグネシウム、リチウム、アルミニウム、マグネシウム/銅混合物、マグネシウム/銀混合物、マグネシウム/アルミニウム混合物、マグネシウム/インジウム混合物、アルミニウム/酸化アルミニウム混合物、リチウム/アルミニウム混合物等が用いられる。あるいはドーピング等で導電率を向上させた公知の導電性ポリマー、例えば導電性ポリアニリン、導電性ポリピロール、導電性ポリチオフェン(ポリエチレンジオキシチオフェンとポリスチレンスルホン酸の錯体など)も好適に用いられる。
ソース電極またドレイン電極を形成する材料としては、上に挙げた中でも半導体層との接触面において電気抵抗が少ないものが好ましく、p型半導体の場合は特に、白金、金、銀、ITO、導電性ポリマーおよび炭素が好ましい。
ソース電極またドレイン電極とする場合は、上記の導電性材料を含む、溶液、ペースト、インク、分散液などの流動性電極材料を用いて形成したもの、特に、導電性ポリマー、または白金、金、銀、銅を含有する金属微粒子を含む流動性電極材料が好ましい。また、溶媒や分散媒体としては、有機半導体へのダメージを抑制するため、水を60%以上、好ましくは90%以上含有する溶媒または分散媒体であることが好ましい。
金属微粒子を含有する流動性電極材料としては、たとえば公知の導電性ペーストなどを用いても良いが、好ましくは、粒子径が1〜50nm、好ましくは1〜10nmの金属微粒子を、必要に応じて分散安定剤を用いて、水や任意の有機溶剤である分散媒中に分散した材料である。
金属微粒子の材料としては白金、金、銀、ニッケル、クロム、銅、鉄、錫、アンチモン鉛、タンタル、インジウム、パラジウム、テルル、レニウム、イリジウム、アルミニウム、ルテニウム、ゲルマニウム、モリブデン、タングステン、亜鉛等を用いることができる。
このような金属微粒子の分散物の製造方法として、ガス中蒸発法、スパッタリング法、金属蒸気合成法などの物理的生成法や、コロイド法、共沈法などの、液相で金属イオンを還元して金属微粒子を生成する化学的生成法が挙げられるが、好ましくは、特開平11−76800号、同11−80647号、同11−319538号、特開2000−239853等に示されたコロイド法、特開2001−254185、同2001−53028、同2001−35255、同2000−124157、同2000−123634などに記載されたガス中蒸発法により製造された金属微粒子の分散物である。これらの金属微粒子分散物を用いて電極を成形し、溶媒を乾燥させた後、必要に応じて100〜300℃、好ましくは150〜200℃の範囲で形状様に加熱することにより、金属微粒子を熱融着させ、目的の形状を有する電極パターンを形成するものである。
電極の形成方法としては、上記を原料として蒸着やスパッタリング等の方法を用いて形成した導電性薄膜を、公知のフォトリソグラフ法やリフトオフ法を用いて電極形成する方法、アルミニウムや銅などの金属箔上に熱転写、インクジェット等により、レジストを形成しエッチングする方法がある。また導電性ポリマーの溶液あるいは分散液、金属微粒子を含有する分散液等を直接インクジェット法によりパターニングしてもよいし、塗工膜からリソグラフやレーザーアブレーションなどにより形成してもよい。さらに導電性ポリマーや金属微粒子を含有する導電性インク、導電性ペーストなどを凸版、凹版、平版、スクリーン印刷などの印刷法でパターニングする方法も用いることができる。
ソース電極及びドレイン電極は、フォトリソグラフ法を用いて形成することができ、この場合、有機半導体保護層に接して層の全面に光感応性樹脂の溶液を塗布し、光感応性樹脂層を形成する。
光感応性樹脂層としては、前記、保護層のパターニングに用いるポジ型、ネガ型の公知の感光性樹脂と同じものが使用できる。
フォトリソグラフ法では、この後にソース電極及びドレイン電極の材料として金属微粒子含有分散体又は導電性ポリマーを用いてパターニングし、必要に応じて熱融着し作製する。
光感応性樹脂の塗布溶液を形成する溶媒、光感応性樹脂層を形成する方法等、前記保護膜のパターニングに述べたとおりである。
光感応性樹脂層を形成後、パターニング露光に用いる光源、光感応性樹脂層の現像に用いられる現像液についても同様である。また、電極形成には他の光感応性樹脂層であるアブレーション層をもちいてもよい。アブレーション層についても、前記、保護層のパターニングに用いるものと同様のものが挙げられる。
本発明の有機薄膜トランジスタのゲート絶縁膜(層)としては種々の絶縁膜を用いることができるが、特に、比誘電率の高い無機酸化物皮膜が好ましい。無機酸化物としては、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化タンタル、酸化チタン、酸化スズ、酸化バナジウム、チタン酸バリウムストロンチウム、ジルコニウム酸チタン酸バリウム、ジルコニウム酸チタン酸鉛、チタン酸鉛ランタン、チタン酸ストロンチウム、チタン酸バリウム、フッ化バリウムマグネシウム、チタン酸ビスマス、チタン酸ストロンチウムビスマス、タンタル酸ストロンチウムビスマス、タンタル酸ニオブ酸ビスマス、トリオキサイドイットリウムなどが挙げられる。それらのうち好ましいのは、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化タンタル、酸化チタンである。窒化ケイ素、窒化アルミニウム等の無機窒化物も好適に用いることができる。
上記皮膜の形成方法としては、真空蒸着法、分子線エピタキシャル成長法、イオンクラスタービーム法、低エネルギーイオンビーム法、イオンプレーティング法、CVD法、スパッタリング法、大気圧プラズマ法などのドライプロセスや、スプレーコート法、スピンコート法、ブレードコート法、ディップコート法、キャスト法、ロールコート法、バーコート法、ダイコート法などの塗布による方法、印刷やインクジェットなどのパターニングによる方法などのウェットプロセスが挙げられ、材料に応じて使用できる。
ウェットプロセスは、無機酸化物の微粒子を、任意の有機溶剤あるいは水に必要に応じて界面活性剤などの分散補助剤を用いて分散した液を塗布、乾燥する方法や、酸化物前駆体、例えばアルコキシド体の溶液を塗布、乾燥する、いわゆるゾルゲル法が用いられる。
これらのうち好ましいのは、上述した大気圧プラズマ法である。
ゲート絶縁膜(層)が陽極酸化膜又は該陽極酸化膜と絶縁膜とで構成されることも好ましい。陽極酸化膜は封孔処理されることが望ましい。陽極酸化膜は、陽極酸化が可能な金属を公知の方法により陽極酸化することにより形成される。
陽極酸化処理可能な金属としては、アルミニウム又はタンタルを挙げることができ、陽極酸化処理の方法には特に制限はなく、公知の方法を用いることができる。陽極酸化処理を行うことにより、酸化被膜が形成される。陽極酸化処理に用いられる電解液としては、多孔質酸化皮膜を形成することができるものならばいかなるものでも使用でき、一般には、硫酸、燐酸、蓚酸、クロム酸、ホウ酸、スルファミン酸、ベンゼンスルホン酸等あるいはこれらを2種類以上組み合わせた混酸あるいはそれらの塩が用いられる。陽極酸化の処理条件は使用する電解液により種々変化するので一概に特定し得ないが、一般的には、電解液の濃度が1〜80質量%、電解液の温度5〜70℃、電流密度0.5〜60A/dm2、電圧1〜100ボルト、電解時間10秒〜5分の範囲が適当である。好ましい陽極酸化処理は、電解液として硫酸、リン酸又はホウ酸の水溶液を用い、直流電流で処理する方法であるが、交流電流を用いることもできる。これらの酸の濃度は5〜45質量%であることが好ましく、電解液の温度20〜50℃、電流密度0.5〜20A/dm2で20〜250秒間電解処理するのが好ましい。
また有機化合物皮膜としては、ポリイミド、ポリアミド、ポリエステル、ポリアクリレート、光ラジカル重合系、光カチオン重合系の光硬化性樹脂、あるいはアクリロニトリル成分を含有する共重合体、ポリビニルフェノール、ポリビニルアルコール、ノボラック樹脂、およびシアノエチルプルラン等を用いることもできる。
有機化合物皮膜の形成法としては、前記ウェットプロセスが好ましい。
無機酸化物皮膜と有機酸化物皮膜は積層して併用することができる。またこれら絶縁膜の膜厚としては、一般に50nm〜3μm、好ましくは、100nm〜1μmである。
ゲート絶縁膜(層)上に有機半導体を形成する場合、ゲート絶縁膜(層)表面に、任意の表面処理を施してもよい。シランカップリング剤、たとえばオクタデシルトリクロロシラン、トリクロロメチルシラザンや、アルカン燐酸、アルカンスルホン酸、アルカンカルボン酸などの自己組織化配向膜が好適に用いられる。
また、塗布される有機半導体材料を含有する液体との濡れ性の高い表面を得るために、例えば、ゲート絶縁膜には表面処理を施すことが好ましい。このような処理として、ゲート絶縁膜を研磨等により表面粗さを変化させる処理、自己配列型の薄膜を形成させるためのラビング等の配向処理、またシランカップリング剤による表面処理が挙げられる。
シランカップリング剤としては、オクタデシルトリクロロシラン、オクチルトリクロロシラン、ヘキサメチルジシラン、ヘキサメチルジシラザン等が好ましい例として挙げられ、本発明はこれらに限らないが、シランカップリング剤による処理が好ましい。
(基板)
基板を構成する支持体材料としては、種々の材料が利用可能であり、例えば、ガラス、石英、酸化アルミニウム、サファイア、チッ化珪素、炭化珪素などのセラミック基板、シリコン、ゲルマニウム、ガリウム砒素、ガリウム燐、ガリウム窒素など半導体基板、紙、不織布などを用いることができるが、本発明において支持体は樹脂からなることが好ましく、例えばプラスチックフィルムシートを用いることができる。プラスチックフィルムとしては、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリエーテルイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリフェニレンスルフィド、ポリアリレート、ポリイミド、ボリカーボネート(PC)、セルローストリアセテート(TAC)、セルロースアセテートプロピオネート(CAP)等からなるフィルム等が挙げられる。プラスチックフィルムを用いることで、ガラス基板を用いる場合に比べて軽量化を図ることができ、可搬性を高めることができるとともに、衝撃に対する耐性を向上できる。
また本発明の有機薄膜トランジスタ素子上には素子保護層を設けることも可能である。保護層としては前述した無機酸化物又は無機窒化物等が挙げられ、上述した大気圧プラズマ法で形成するのが好ましい。これにより、有機薄膜トランジスタ素子の耐久性が向上する。
本発明の薄膜トランジスタ素子においては、支持体がプラスチックフィルムの場合、無機酸化物及び無機窒化物から選ばれる化合物を含有する下引き層、及びポリマーを含む下引き層の少なくとも一方を有することが好ましい。
下引き層に含有される無機酸化物としては、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化タンタル、酸化チタン、酸化スズ、酸化バナジウム、チタン酸バリウムストロンチウム、ジルコニウム酸チタン酸バリウム、ジルコニウム酸チタン酸鉛、チタン酸鉛ランタン、チタン酸ストロンチウム、チタン酸バリウム、フッ化バリウムマグネシウム,チタン酸ビスマス、チタン酸ストロンチウムビスマス、タンタル酸ストロンチウムビスマス、タンタル酸ニオブ酸ビスマス、トリオキサイドイットリウム等が挙げられる。また無機窒化物としては窒化ケイ素、窒化アルミニウム等が挙げられる。
それらのうち好ましいのは、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化タンタル、酸化チタン、窒化ケイ素である。
本発明において、無機酸化物及び無機窒化物から選ばれる化合物を含有する下引き層は上述した大気圧プラズマ法で形成されるのが好ましい。
ポリマーを含む下引き層に用いるポリマーとしては、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、セルロース樹脂、アクリル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリスチレン樹脂、フェノキシ樹脂、ノルボルネン樹脂、エポキシ樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、酢酸ビニルとビニルアルコールの共重合体、部分加水分解した塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−塩化ビニリデン共重合体、塩化ビニル−アクリロニトリル共重合体、エチレン−ビニルアルコール共重合体、ポリビニルアルコール、塩素化ポリ塩化ビニル、エチレン−塩化ビニル共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体等のビニル系重合体、ポリアミド樹脂、エチレン−ブタジエン樹脂、ブタジエン−アクリロニトリル樹脂等のゴム系樹脂、シリコーン樹脂、フッ素系樹脂等を挙げることができる。
以下、実施例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されない。なお、特に断りのない限り、実施例中の「%」は「質量%」を表す。
実施例1
図4を用い説明する。
樹脂支持体11として、ポリエーテルスルホン樹脂フィルム(200μm)を用い、この上に、先ず、50W/m2/minの条件でコロナ放電処理を施した。その後以下のように接着性向上のため下引き層を形成した。
(下引き層の形成)
下記組成の塗布液を乾燥膜厚2μmになるように塗布し、90℃で5分間乾燥した後、60W/cmの高圧水銀灯下10cmの距離から4秒間硬化させた。
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート単量体 60g
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート2量体 20g
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート3量体以上の成分 20g
ジエトキシベンゾフェノンUV開始剤 2g
シリコーン系界面活性剤 1g
メチルエチルケトン 75g
メチルプロピレングリコール 75g
さらにその層の上に下記条件で連続的に大気圧プラズマ処理して厚さ50nmの酸化ケイ素膜を設け、これらの層を下引き層18とした(図4(1))。
(使用ガス)
不活性ガス:ヘリウム98.25体積%
反応性ガス:酸素ガス1.5体積%
反応性ガス:テトラエトキシシラン蒸気(ヘリウムガスにてバブリング)0.25体積%
(放電条件)
放電出力:10W/cm2
(電極条件)
電極は、冷却水による冷却手段を有するステンレス製ジャケットロール母材に対して、セラミック溶射によるアルミナを1mm被覆し、その後、テトラメトキシシランを酢酸エチルで希釈した溶液を塗布乾燥後、紫外線照射により封孔処理を行い、表面を平滑にしてRmax5μmとした誘電体(比誘電率10)を有するロール電極であり、アースされている。一方、印加電極としては、中空の角型のステンレスパイプに対し、上記同様の誘電体を同条件にて被覆した。
次いで、ゲート電極12を形成する。即ち、上記の下引き層18上に、下記組成の光感応性樹脂組成液1を塗布し、100℃にて1分間乾燥させることで、厚さ2μmの光感応性樹脂層を形成したのち、発振波長830nm、出力100mWの半導体レーザーで200mJ/cm2のエネルギー密度でゲートラインおよびゲート電極のパターンを露光し、アルカリ水溶液で現像してレジスト像を得た。さらにその上に、スパッタ法により、厚さ300nmのアルミニウム皮膜を一面に成膜した後、MEKで上記光感応性樹脂層の残存部を除去することで、ゲートバスラインおよびゲート電極12を作製する(図4(2))。
(光感応性樹脂組成液1)
色素A 7部
ノボラック樹脂(フェノールとm−、p−混合クレゾールとホルムアルデヒドを共縮合させたノボラック樹脂(Mw=4000、フェノール/m−クレゾール/p−クレゾールのモル比がそれぞれ5/57/38)) 90部
クリスタルバイオレット 3部
プロピレングリコールモノメチルエーテル 1000部
また感光性樹脂を用いたレジスト形成によるパターニングではなく、静電吸引型インクジェット装置と無電解メッキ法との組み合わせによる本発明の方法を用い、ゲートラインおよびゲート電極のパターンを無電解メッキ法により形成してもよい。
次いで、以下の陽極酸化皮膜形成工程により、平滑化、絶縁性向上のための補助的絶縁膜として、ゲート電極に陽極酸化被膜を形成した(図では省略。)。
(陽極酸化被膜形成工程)
ゲート電極を形成したのち基板をよく洗浄し、30質量%硫酸水溶液中で、2分間、30Vの定電圧電源から供給される直流を用いて、陽極酸化皮膜の厚さが120nmになるまで陽極酸化をおこなった。よく洗浄した後に、1気圧、100℃の飽和した蒸気チャンバーの中で、蒸気封孔処理を施した。この様にして陽極酸化被膜を有するゲート電極12を下引き処理したポリエーテルスルホン樹脂フィルム上に作製した。
次いで、さらにフィルム温度200℃にて、上述した大気圧プラズマ法により厚さ30nmの酸化珪素膜を設け、前記した陽極酸化アルミニウム層を併せて、厚さ150nmのゲート絶縁膜13を形成した(図4の(3))。
次に、半導体材料として、下記化合物〈1〉を用いて、ゲート絶縁膜13上に有機半導体膜14を形成した。即ち、〈1〉のトルエン溶液(0.5質量%)を調製し、ピエゾ方式のインクジェット法を用いて、チャネルを形成すべき領域に吐出し、窒素ガス中で、50℃で3分乾燥し、基板上に膜厚50nmの有機半導体膜14を形成した(図4(4))。この有機半導体膜表面の水接触角は88°であった。
次いで、マスクを用いて金を蒸着し、ソース電極15およびドレイン電極16を形成した(図4(5))。それぞれのサイズは、幅30μm、長さ100μm(チャネル幅)厚さ50nmであり、ソース電極15、ドレイン電極16の距離(チャネル長)は80μmとした。
さらに、PEDOT(ポリエチレンジオキシチオフェン)のPSS(ポリスチレンスルホン酸)錯体の水分散液(バイエル社製BAYTRON P)をソース、ドレイン間に滴下しブレードをスライドさせながら塗布膜を形成すると、塗膜がはじいて図2(b)のようなパターンが形成された。次に、窒素ガス中で、100℃で3分乾燥し、「別種の電極」17を形成した(図4(6))。
以上の方法により作製した薄膜トランジスタは良好に駆動し、p型のエンハンスメント動作を示した。ドレインバイアスを−20Vとし、ゲートバイアスを+10Vから−40Vまで掃引した時のドレイン電流の増加(伝達特性)が観測された。その飽和領域から見積もられた移動度は、0.6cm2/Vsであった。
実施例2
ソース電極およびドレイン電極を形成するまで、実施例1と同様の手順で素子を形成した後、ピエゾ方式のインクジェット装置を用いて、PEDOT(ポリエチレンジオキシチオフェン)のPSS(ポリスチレンスルホン酸)錯体の水分散液(バイエル社製BAYTRON P)をソース、ドレイン間に吐出し液膜を形成すると、塗膜がはじいて実施例1と同様なパターンが形成された。次に、窒素ガス中で、100℃で3分乾燥し、「別種の電極」を形成した。以上の方法により作製した薄膜トランジスタは実施例1と同様に良好に動作し、飽和領域から見積もられた移動度は、0.7cm2/Vsであった。
比較例1
「別種の電極」を形成しない以外、実施例1と同様に薄膜トランジスタを作製した。この薄膜トランジスタについて飽和領域から見積もられた移動度は、0.1cm2/Vsであった。
以上の結果から明らかなように本発明に係る有機薄膜トランジスタ(実施例1及び2)は、比較例1に比べキャリア移動度が優れていることが分かる。

Claims (8)

  1. 支持体、ゲート電極、ゲート絶縁膜、有機半導体膜、ソース電極、ドレイン電極、及び少なくとも一つの別種の電極から成り、該別種の電極は有機半導体膜上で、かつ該ソース・ドレイン電極間のチャネル領域に形成されていることを特徴とする有機薄膜トランジスタ。
  2. 前記別種の電極が独立していることを特徴とする請求の範囲第1項に記載の有機薄膜トランジスタ。
  3. 前記別種の電極が流動性電極材料から形成されたことを特徴とする請求の範囲第1項又は第2項に記載の有機薄膜トランジスタ。
  4. 前記ソース電極及びドレイン電極が流動性電極材料から形成されたことを特徴とする請求の範囲第1項〜第3項のいずれか一項に記載の有機薄膜トランジスタ。
  5. 前記別種の電極を形成する流動性電極材料が水を含有することを特徴とする請求の範囲第1項〜第4項のいずれか一項に記載の有機薄膜トランジスタ。
  6. 前記有機半導体膜の表面の水接触角が80°以上であることを特徴とする請求の範囲第1項〜第5項のいずれか一項に記載の有機薄膜トランジスタ。
  7. 前記有機半導体膜が溶液からのキャスト膜であることを特徴とする請求の範囲第1項〜第6項のいずれか一項に記載の有機薄膜トランジスタ。
  8. 支持体、ゲート電極、ゲート絶縁膜、有機半導体膜、ソース電極、ドレイン電極、及び少なくとも一つの別種の電極から成る有機薄膜トランジスタの製造方法において、該有機半導体膜上であって、かつ、ソース・ドレイン電極間のチャネル領域に該別種の電極を形成することを特徴とする有機薄膜トランジスタの製造方法。
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