JP2004260057A - 有機薄膜トランジスタおよびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】有機半導体材料への変換温度を低減させた縮合多環芳香族化合物前駆体を用い、基材として汎用樹脂フィルムを用いて、生産性よく、移動度が高い縮合多環芳香族化合物からなる有機半導体薄膜を形成する有機薄膜トランジスタの製造方法を得ることにある。
【解決手段】プロトネートにより脱離しうる基を少なくともひとつ有する縮合多環芳香族化合物の前駆体を含有する層およびこれに接する酸発生源を形成し、加熱により前記縮合多環芳香族化合物の前駆体含有層を半導体層に変換することを特徴とする有機薄膜トランジスタの製造方法。
【選択図】 なし
【解決手段】プロトネートにより脱離しうる基を少なくともひとつ有する縮合多環芳香族化合物の前駆体を含有する層およびこれに接する酸発生源を形成し、加熱により前記縮合多環芳香族化合物の前駆体含有層を半導体層に変換することを特徴とする有機薄膜トランジスタの製造方法。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、縮合多環芳香族化合物の前駆体含有層と、これに接する酸発生源により縮合多環芳香族化合物薄膜を形成する、有機薄膜トランジスタの製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
情報端末の普及に伴い、コンピュータ用のディスプレイとしてフラットパネルディスプレイに対するニーズが高まっている。またさらに情報化の進展に伴い、従来紙媒体で提供されていた情報が電子化されて提供される機会が増え、薄くて軽い、手軽に持ち運びが可能なモバイル用表示媒体として、電子ペーパーあるいはデジタルペーパーへのニーズも高まりつつある。
【0003】
一般に平板型のディスプレイ装置においては液晶、有機EL、電気泳動などを利用した素子を用いて表示媒体を形成している。またこうした表示媒体では画面輝度の均一性や画面書き換え速度などを確保するために、画像駆動素子として薄膜トランジスタ(TFT)により構成されたアクティブ駆動素子を用いる技術が主流になっている。
【0004】
ここでTFT素子は、通常、ガラス基板上に、主にa−Si(アモルファスシリコン)、p−Si(ポリシリコン)などの半導体薄膜や、ソース、ドレイン、ゲート電極などの金属薄膜を基板上に順次形成していくことで製造される。このTFTを用いるフラットパネルディスプレイの製造には通常、CVD、スパッタリングなどの真空系設備や高温処理工程を要する薄膜形成工程に加え、精度の高いフォトリソグラフ工程が必要とされ、設備コスト、ランニングコストの負荷が非常に大きい。さらに、近年のディスプレイの大画面化のニーズに伴い、それらのコストは非常に膨大なものとなっている。
【0005】
近年、従来のTFT素子のデメリットを補う技術として、有機半導体材料を用いた有機TFT素子の研究開発が盛んに進められている(特許文献1、非特許文献1等参照)。この有機TFT素子は低温プロセスで製造可能であるため、軽く、割れにくい樹脂基板を用いることができ、さらに、樹脂フィルムを支持体として用いたフレキシブルなディスプレイが実現できると言われている。また、大気圧下で、印刷や塗布などのウェットプロセスで製造できる有機半導体材料を用いることで、生産性に優れ、非常に低コストのディスプレイが実現できる。
【0006】
こういった中で、様々な有機半導体材料が提案されているが、高いキャリア移動度の有機TFT素子を提供するものとしてペンタセンが有機半導体材料として注目されている(特許文献1参照)。しかしながら、ペンタセンの薄膜は主に蒸着により形成されるため、真空プロセスが必要となり、生産効率が低くコストが高くなる。
【0007】
これを改良する方法として前駆体を分解してペンタセンの薄膜を形成する技術が提案されており(非特許文献1参照)、ペンタセン前駆体の膜を熱処理することにより、有機半導体であるペンタセン薄膜への変換が出来る。この方法によれば、実質的に真空プロセスが不要となる。
【0008】
しかしながら、この前駆体は約200℃といった高温でペンタセンに変換するため、生産効率が低いばかりでなく、汎用樹脂フィルムを支持体に用いると、フィルムの熱収縮が発生するため、TFTパネルを製造することができない。また熱収縮により素子のキャリア移動度が極端に低下するといった問題がある。
【0009】
【特許文献1】
特開2001−94107号公報
【0010】
【非特許文献1】
Advanced Materials,1999,vol.11,p480〜p483
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
従って本発明の目的は、有機半導体材料への変換温度を低減させた縮合多環芳香族化合物前駆体を用い、基材として汎用樹脂フィルムを用いて、生産性よく、移動度が高い縮合多環芳香族化合物からなる有機半導体薄膜を形成する有機薄膜トランジスタの製造方法を得ることにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明の上記目的は、以下の構成により達成される。
【0013】
1.プロトネートにより脱離しうる基を少なくともひとつ有する縮合多環芳香族化合物の前駆体を含有する層およびこれに接する酸発生源を形成し、加熱により前記縮合多環芳香族化合物の前駆体含有層を半導体層に変換することを特徴とする有機薄膜トランジスタの製造方法。
【0014】
2.ゲート絶縁膜、酸発生源、前駆体層を順次形成することを特徴とする前記1に記載の有機薄膜トランジスタの製造方法。
【0015】
3.前駆体がペンタセン前駆体であることを特徴とする前記1または2に記載の有機薄膜トランジスタの製造方法。
【0016】
4.酸発生源が、ソース或いはドレイン電極の両方に同時に接することなく形成されることを特徴とする前記1〜3のいずれか1項に記載の有機薄膜トランジスタの製造方法。
【0017】
5.酸発生源が、ソース電極またはドレイン電極の材料であることを特徴とする前記4に記載の有機薄膜トランジスタの製造方法。
【0018】
6.酸発生源が、ポリマー材料であることを特徴とする前記1〜5のいずれか1項に記載の有機薄膜トランジスタの製造方法。
【0019】
7.酸発生源が光酸発生剤を含有し、光照射により、酸を発生させるものであることを特徴とする前記1〜5のいずれか1項に記載の有機薄膜トランジスタの製造方法。
【0020】
8.前記1〜7のいずれか1項に記載の有機薄膜トランジスタの製造方法を用いて作製されたことを特徴とする有機薄膜トランジスタ素子。
【0021】
以下本発明を詳細に説明する。
本発明の大きな特徴は、プロトネートにより離脱し得る脱離基を少なくとも一つ有する縮合多環芳香族化合物の前駆体から脱離により変換された縮合多環芳香族化合物を有機薄膜トランジスタ用の有機半導体とする点にある。以下の説明では、特に断りのない限り、プロトネートにより脱離し得る脱離基を少なくとも一つ有する縮合多環芳香族化合物前駆体を本発明に係る縮合多環芳香族化合物前駆体といい、本発明に係る縮合多環芳香族化合物前駆体から脱離により変換されたアセン類を本発明に係る縮合多環芳香族化合物という。
【0022】
本発明に係る縮合多環芳香族化合物としては、好ましくはアセン類、具体的にはナフタレン、アントラセン、テトラセン、ペンタセン、ヘキサセン等が挙げられる。キャリア移動度、生産効率等を考慮すると、この中でも特に好ましいアセン類としてペンタセンがある。
【0023】
本発明に係る縮合多環芳香族化合物前駆体としては、プロトネートする脱離基の共役酸のpKa値が10〜20であることが好ましい。
【0024】
本発明に係るプロトネートにより脱離し得る基を少なくとも1つ有する縮合多環芳香族化合物の前駆体の代表的なものは、下記の一般式(1)で表される化合物である。
【0025】
【化1】
【0026】
式中、Rは水素原子又はアルキル基(メチル、エチル、プロピル、i−プロピル、t−ブチル等)を表す。
【0027】
本発明に係る縮合多環芳香族化合物前駆体は、市販の原料から容易に合成して得ることができる。例えば、前駆体として前記一般式(1)で表される化合物は以下の方法により得られる。
【0028】
(合成例1) 化合物Aの合成
ペンタセン−6,13−キノン7.0gを酢酸350mlに加えた懸濁液に、窒素雰囲気下57%ヨウ化水素酸175gを加え5時間加熱還流した。放冷後、反応混合物に1%ピロ亜硫酸ナトリウム水溶液700mlを加えた後、沈殿物を濾過し水洗して乾燥した。得られた固体をトルエンで再結晶し、ペンタセン−6(13H)−オン5.0gを得た(収率74%)。
【0029】
次にペンタセン−6(13H)−オン5.0gをエタノール1050ml、水165mlの混合溶媒に懸濁させ、窒素雰囲気下、水素化ホウ素ナトリウム8gを加え室温で20時間攪拌した。得られた反応混合物に3%塩化アンモニア水溶液を加え、析出物を吸引濾過し水で洗浄後乾燥した。得られた白色固体をさらにトルエンで再結晶し、下記構造の化合物Aを3.9g得た。(収率78%)
【0030】
【化2】
【0031】
反応スキームを下記に示す。
【0032】
【化3】
【0033】
(合成例2) 化合物Bの合成
化合物Aを1.0gメチルエチルケトン500mlに溶解し、窒素雰囲気下、炭酸カリウム1.2gとヨードメタン0.5gを加え60℃で4時間攪拌を行った。得られた反応混合物に水を加え有機層を分離し、これを濃縮して固体を析出させた。濾別後、得られた固体をトルエンで再結晶し、下記構造の化合物Bを0.76g得た(収率73%)
【0034】
【化4】
【0035】
反応スキームを下記に示す。
【0036】
【化5】
【0037】
本発明の一実施形態である有機薄膜トランジスタを製造するには、基板の表面に、本発明に係る縮合多環芳香族化合物前駆体を含有する層およびこれに接する酸発生源を形成し、加熱により前記縮合多環芳香族化合物の前駆体含有層を半導体層に変換する。
【0038】
前記ペンタセン等の縮合多環芳香族化合物前駆体は、該層を加熱することでペンタセン等の縮合多環芳香族化合物に変換し(200℃といった高温でペンタセンに変換する)、これを含有する薄膜層を形成するが、加熱は、酸の存在下で行うことが効率の面で好ましい。例えば、前記前駆体薄膜およびこれに接して酸発生源を形成した場合、酸発生源からの酸により、変換が加速される。150℃以下、好ましくは100℃以下の温度で、10秒〜30分程度の加熱で充分な変換がおこり、キャリア移動度が高いペンタセン等の縮合多環芳香族化合物有機半導体膜が形成される。
【0039】
酸発生源を前記縮合多環芳香族化合物前駆体薄膜に接して設けるとは、加熱により酸発生源からのプロトンが直接、前記前記縮合多環芳香族化合物前駆体薄膜と接触するように形成されることであり、その形態は問わない。但し、前記酸発生源は、プロトン性化合物を含有しているため、これが、縮合多環芳香族化合物前駆体薄膜に接すると共に、予め形成される或いは後に形成されるソース、ドレイン電極の両方に接する形態で、形成されてないことが好ましい。
【0040】
酸発生源から熱により発生したプロトン酸が、酸発生源に接している前駆体層の前記前駆体のプロトネートによって脱離しうる基にプロトネートすることで、脱離する。この様にして縮合多環芳香族化合物が形成すると同時に、発生した酸は触媒的に隣接する前駆体の有機半導体材料を形成してゆくので、接した部分(酸発生源が形成された部分)のみでなく、その周囲近傍も有機半導体に変換される。しかしながら、ソース、ドレイン電極間において前記変換が充分に行われ有機半導体チャネルの形成されるよう、電極の近傍に塗設されることが好ましい。ソース、ドレイン電極の両者に同時に接することのない位置で、かつ、どちらかの電極からあまり離れない位置、100μm以内の範囲が好ましく、更に好ましいのは50μm以内である。
【0041】
酸発生源を構成する材料としては、プロトン酸を発生しうる材料を用いるが、プロトン酸を発生しうる材料としては、カルボン酸、スルホン酸、燐酸などの酸成分を含有する層や、光酸発生剤、熱酸発生剤など光により、酸を発生しうる材料がある。これらの材料を含有する層を前記縮合多環芳香族化合物前駆体薄膜に接して形成し、例えば、加熱により前記前駆体を含有する層にプロトン酸が供給される機能を付与する。
【0042】
酸発生源には、膜の形成性という観点から、ノボラック、レゾール、ビニルフェノールの重合体などのフェノール樹脂、アクリル酸成分を含むアクリル樹脂、ポリスチレンスルホン酸など、プロトン酸を含有する公知の樹脂を用いるか、光酸発生剤を含有する樹脂層を用いることが好ましい。
【0043】
光酸発生剤としては、例えばジアゾニウム塩、ホスホニウム塩、スルホニウム塩、ヨードニウム塩などのオニウム塩類、ハロゲン置換アルキル基を有するトリアジン類やハロゲン置換アルキル基を有するオキサジアゾール類など光開始剤として知られるハロゲン化水素酸を形成しうる有機ハロゲン化合物、o−ナフトキノンジアジト−4−スルホン酸ハロゲニドとその誘導体などのオルトキノン−ジアジド化合物類など、各種の公知化合物及び混合物が挙げられ、ハロゲン置換アルキル基を有するs−トリアジン類およびオキサジアゾール類が特に好ましい。その具体例としては、以下の2−ハロメチル−1,3,4−オキサジアゾール系化合物、2−ハロメチル−1,3,4−オキサジアゾール系化合物が挙げられる。
【0044】
【化6】
【0045】
【化7】
【0046】
本発明において、酸発生源を構成するには、これら光酸発生剤を例えば、フェノール樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂など各種の樹脂と混合した状態(溶解或いは分散)で、例えば、前記ペンタセン前駆体薄膜に接するように薄膜状にパターニングして形成する。有機バインダーとしては、成膜性がよく不活性な樹脂であれば特に限定はなく例えば、ポリメチルメタクリレート等のアクリル(メタクリル)樹脂、ポリ塩化ビニル等のビニル樹脂が好ましく用いられる。光酸発生剤の酸発生源薄膜中での含有量は、その化学的性質及び本発明の酸発生層の組成あるいは物性によって広範囲に変えることができるが、層の固形分の全質量に対して約0.1〜約20質量%の範囲が適当であり、好ましくは0.2〜10質量%の範囲である。
【0047】
光酸発生剤を分解させるための、露光手段としては、キセノンランプ、水銀ランプ、蛍光灯、各種のレーザーなど、任意の方法を用いることができる。
【0048】
また、光酸発生剤を含む層に、各種の増感色素を添加し、分光増感させてもよい。酸発生の効率を向上させることができる。このような増感色素としては、シアニン系色素、スクアリウム系色素、メロシアニン色素、クロコニウム系色素、アズレニウム系色素、フタロシアニン系色素、ナフタロシアニン系色素、ポリメチン系色素、ナフトキノン系色素、チオピリリウム系色素、ジチオール金属錯体系色素、アントラキノ系色素、インドアニリン金属錯体系色素、分子間CT色素等が挙げられる。例えば、波長700nm以上に吸収を持つ赤外吸収色素、たとえば下記のシアニン系色素(別紙)を用い、半導体レーザーで照射することにより、任意の領域に選択的に酸を発生させることができる。
【0049】
好ましい赤外に吸収を有する色素として、以下に示すものがあげられる。
【0050】
【化8】
【0051】
【化9】
【0052】
また、前述の色素や、カーボンブラック、磁性粉などの光熱変換剤と、熱酸発生剤を含む層を形成した後、光熱変換剤の吸収波長に適合した任意の高密度エネルギー光を照射することで、熱的に酸を発生させる方法も用いることができる。例えば700以上に吸収ピークを有する赤外線吸収剤を用いて、キセノンランプ、ハロゲンランプ、水銀ランプなどによるフラッシュ露光をフォトマスクを介して行うか、半導体レーザー光等を照射することで、酸を発生させることができる。
【0053】
また、酸発生材料としては、前記アクリル酸成分を含むアクリル樹脂、ポリスチレンスルホン酸など、プロトン酸を含有する公知の樹脂も用いられる。これらの樹脂導電性を有しており、例えば、酸性の導電性ポリマーを、ソース電極またはドレイン電極として形成し、これを電極材料として酸発生源を兼ねて使用してもよい。これに適した酸性の導電性ポリマーとしては、例えば、導電性材料として知られるポリスチレンスルホン酸とポリ(エチレンジオキシチオフェン)の錯体の水分散液(バイエル製 Baytron P)等がある。
【0054】
本発明に係わる有機薄膜トランジスタの代表的構成の一例について、図1を用いて実施の形態を説明する。図1は基板としてSiウェハーを用いこれをゲート電極(G)として、これに厚さ2000Åの熱酸化膜をゲート絶縁膜(I)として形成する。その上に、酸発生剤である例えばノボラック樹脂のMEK溶液をインクジェット法により吐出し、酸発生源(H)をパターニング形成する。パターニングは、後にやはりパターニング形成されるソース電極(S)、ドレイン電極(D)、また酸発生によりペンタセン前駆体を含有する層の関係をみたときに、前記ソース、ドレイン電極間に、前駆体含有層においてペンタセンからなる有機半導体チャネルを形成出来る位置に精度よくパターニングされる。
【0055】
このように酸発生源を、形成した後、本発明に係る、例えばペンタセン等の縮合多環芳香族化合物の前駆体含有層(A)を例えば、前駆体化合物溶液をもちいて塗布によって形成する。例えばクロロホルム等に溶解して、アプリケーターなどによりキャスティングすることにより簡単に形成できる。キャスト膜の膜厚は、本発明に係る縮合多環芳香族化合物前駆体の種類、有機薄膜トランジスタの用途などによって異なるが、おおむね20〜100nm、好ましくは30〜60nmである。
【0056】
次いで、該層を100℃以下の温度で加熱する。加熱によって前記酸発生源からのプロトン酸の発生によって、本発明に係わる前記前駆体の脱離基がプロトネートにより脱離しペンタセン等の縮合多環芳香族化合物薄膜となる。
【0057】
縮合多環芳香族化合物薄膜形成後、それぞれ、予定の位置に、それぞれソース、ドレイン電極をマスクを用いて、例えば金を蒸着しパターニングにより形成して、有機薄膜トランジスタを形成する。
【0058】
また、前記酸発生材である例えばノボラック樹脂のMEK溶液をインクジェット法により吐出する代わりに、Siウェハー(G)に厚さ2000Åの熱酸化膜をゲート絶縁膜(I)として形成した後、ペンタセン等の縮合多環芳香族化合物前駆体を含有する層(A)を前記同様塗布によって形成し、その後、例えば、電極材料として知られるポリスチレンスルホン酸とポリ(エチレンジオキシチオフェン)の錯体の水分散液(バイエル製 Baytron P)を、本発明に係る前記ペンタセン等の縮合多環芳香族化合物前駆体を含有する層上にソース、ドレイン電極形成位置にパターニングして形成し、その後、150℃以下の温度で、例えば10秒程度加熱することで、ペンタセン前駆体をペンタセン薄膜層に変換し、かつ同時にソース、ドレイン電極を形成することが出来る。
【0059】
次に、本発明に係る有機薄膜トランジスタ及びその製造方法が関係する一般的なことについて述べる。
【0060】
有機薄膜トランジスタは、基板の表面に、有機半導体チャネルで連結されたソース電極とドレイン電極を有し、その上にゲート絶縁層を介してゲート電極を有するトップゲート型と、基板の表面に、まずゲート電極を有し、ゲート絶縁層を介して有機半導体チャネルで連結されたソース電極とドレイン電極を有するボトムゲート型に大別される。本発明においては、いずれのタイプも好ましく適用できるが、ボトムゲート型が特に好ましい。
【0061】
これら有機半導体からなる薄膜の膜厚としては、特に制限はないが、得られたトランジスタの特性は、有機半導体からなる活性層の膜厚に大きく左右される場合が多く、その膜厚は、有機半導体により異なるが、一般に1μm以下、特に10〜300nmが好ましい。
【0062】
本発明の有機薄膜トランジスタにおいて、ソース電極、ドレイン電極及びゲート電極を形成する材料は導電性材料であれば特に限定されず、白金、金、銀、ニッケル、クロム、銅、鉄、錫、アンチモン鉛、タンタル、インジウム、パラジウム、テルル、レニウム、イリジウム、アルミニウム、ルテニウム、ゲルマニウム、モリブデン、タングステン、酸化スズ・アンチモン、酸化インジウム・スズ(ITO)、フッ素ドープ酸化亜鉛、亜鉛、炭素、グラファイト、グラッシーカーボン、銀ペーストおよびカーボンペースト、リチウム、ベリリウム、ナトリウム、マグネシウム、カリウム、カルシウム、スカンジウム、チタン、マンガン、ジルコニウム、ガリウム、ニオブ、ナトリウム、ナトリウム−カリウム合金、マグネシウム、リチウム、アルミニウム、マグネシウム/銅混合物、マグネシウム/銀混合物、マグネシウム/アルミニウム混合物、マグネシウム/インジウム混合物、アルミニウム/酸化アルミニウム混合物、リチウム/アルミニウム混合物等が用いられるが、特に、白金、金、銀、銅、アルミニウム、インジウム、ITOおよび炭素が好ましい。
【0063】
本発明において、ソース電極、ドレイン電極として、導電性材料を含む、溶液、ペースト、インク、金属薄膜前駆体材料、液状分散物などを用いて作成した電極であることが好ましい。導電性材料としては、導電性ポリマーや金属微粒子などを好適に用いることができる。また、溶媒や分散媒体としては、有機半導体へのダメージを抑制するため、水を60%以上、好ましくは90%以上含有する溶媒または分散媒体であることが好ましい。
【0064】
金属微粒子を含有する分散物としては、たとえば公知の導電性ペーストなどを用いても良いが、好ましくは、粒子径が1〜50nm、好ましくは1〜10nmの金属微粒子を含有する分散物である。
【0065】
金属微粒子の材料としては白金、金、銀、ニッケル、クロム、銅、鉄、錫、アンチモン鉛、タンタル、インジウム、パラジウム、テルル、レニウム、イリジウム、アルミニウム、ルテニウム、ゲルマニウム、モリブデン、タングステン、亜鉛等を用いることができる。
【0066】
これらの金属からなる微粒子を、主に有機材料からなる分散安定剤を用いて、水や任意の有機溶剤である分散媒中に分散した分散物を用いて電極を形成するのが好ましい。
【0067】
このような金属微粒子の分散物の製造方法として、ガス中蒸発法、スパッタリング法、金属蒸気合成法などの物理的生成法や、コロイド法、共沈法などの、液相で金属イオンを還元して金属微粒子を生成する化学的生成法が挙げられるが、好ましくは、特開平11−76800号、同11−80647号、同11−319538号、特開2000−239853等に示されたコロイド法、特開2001−254185、同2001−53028、同2001−35255、同2000−124157、同2000−123634などに記載されたガス中蒸発法により製造された金属微粒子の分散物である。これらの金属微粒子分散物を用いて電極を成形し、溶媒を乾燥させた後、必要に応じて100〜300℃、好ましくは150〜200℃の範囲で形状様に加熱することにより、金属微粒子を熱融着させ、目的の形状を有する電極パターンを形成するものである。
【0068】
さらに、ソース電極、ドレイン電極としては、ドーピング等で導電率を向上させた公知の導電性ポリマーを用いることも好ましく、例えば導電性ポリアニリン、導電性ポリピロール、導電性ポリチオフェン、ポリエチレンジオキシチオフェンとポリスチレンスルホン酸の錯体なども好適に用いられる。これによりソース電極とドレイン電極とのショットキー障壁を低減することができる。
【0069】
電極の形成方法としては、上記を原料として蒸着やスパッタリング等の方法を用いて形成した導電性薄膜を、公知のフォトリソグラフ法やリフトオフ法を用いて電極形成する方法、アルミニウムや銅などの金属箔上に熱転写、インクジェット等により、レジストを形成しエッチングする方法がある。また導電性ポリマーの溶液あるいは分散液、金属微粒子を含有する分散液等を直接インクジェット法によりパターニングしてもよいし、塗工膜からリソグラフやレーザーアブレーションなどにより形成してもよい。さらに導電性ポリマーや金属微粒子を含有する導電性インク、導電性ペーストなどを凸版、凹版、平版、スクリーン印刷などの印刷法でパターニングする方法も用いることができる。
【0070】
本発明の有機薄膜トランジスタは、特にフォトリソグラフ法を用いてソース電極及びドレイン電極を形成することが好ましく、この場合、有機半導体層に接して層の全面に光感応性樹脂の溶液を塗布し、光感応性樹脂層を形成する。
【0071】
光感応性樹脂層としては、ポジ型、ネガ型の公知の材料を用いることができるが、レーザーで露光が行えるレーザー感光性の材料を用いることが好ましい。このような光感応性樹脂材料として、(1)特開平11−271969号、特開2001−117219、特開平11−311859号、同11−352691号のような色素増感型の光重合感光材料、(2)特開平9−179292号、米国特許第5,340,699号、特開平10−90885号、特開2000−321780、同2001−154374のような赤外線レーザーに感光性を有するネガ型感光材料、(3)特開平9−171254号、同5−115144号、同10−87733号、同9−43847号、同10−268512号、同11−194504号、同11−223936号、同11−84657号、同11−174681号、同7−285275号、特開2000−56452、WO97/39894、同98/42507のような赤外線レーザーに感光性を有するポジ型感光材料が挙げられる。工程が暗所に限定されない点で、好ましいのは(2)と(3)である。
【0072】
フォトリソグラフ法では、この後にソース電極及びドレイン電極の材料として金属微粒子含有分散体又は導電性ポリマーを用いてパターニングし、必要に応じて熱融着することにより、ソース電極又はドレイン電極を容易に高精度に作製することが可能となり、種々の形態でパターニングすることが容易となり、有機薄膜トランジスタを容易に製造することが可能となる。
【0073】
光感応性樹脂の塗布溶液を形成する溶媒としては、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、メチルセロソルブ、メチルセロソルブアセテート、シクロヘキサノン、トリクロロエチレン、メチルエチルケトン等が挙げられる。これら溶媒は、単独であるいは2種以上混合して使用する。
【0074】
光感応性樹脂層を形成する方法としては、スプレーコート法、スピンコート法、ブレードコート法、デイップコート法、キャスト法、ロールコート法、バーコート法、ダイコート法などの塗布による方法が用いられる。
【0075】
光感応性樹脂層が形成されたら、光感応性樹脂層をパターニング露光を行う。パターニング露光を行う光源としては、Arレーザー、半導体レーザー、He−Neレーザー、YAGレーザー、炭酸ガスレーザー等が挙げられ、好ましくは赤外に発振波長があるもので、半導体レーザーである。出力は50mW以上が適当であり、好ましくは100mW以上である。
【0076】
次に、露光された光感応性樹脂層を現像する。光感応性樹脂の現像に用いられる現像液としては、水系アルカリ現像液が好適である。水系アルカリ現像液としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、メタケイ酸ナトリウム、メタケイ酸カリウム等のアルカリ金属塩の水溶液や、アンモニア、エチルアミン、n−プロピルアミン、ジエチルアミントリエタノールアミン、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド等のアルカリ性化合物を溶解した水溶液水を挙げることが出来る。本発明におけるアルカリ性化合物のアルカリ現像液中における濃度は、通常1〜10質量%、好ましくは2〜5質量%である。
【0077】
現像液には、必要に応じアニオン性界面活性剤、両性界面活性剤やアルコール等の有機溶剤を加えることができる。有機溶剤としては、プロピレングリコール、エチレングリコールモノフェニルエーテル、ベンジルアルコール、n−プロピルアルコール等が有用である。
【0078】
必要により、光感応性樹脂層を除去する工程を加えることができる。金属微粒子含有分散体又は導電性ポリマー層のパターニング後に光感応性樹脂層を除去する場合、光感応性樹脂材料はポジ型が好ましい。また光感応性樹脂層を形成する組成物には、ノボラック樹脂やポリビニルフェノールの様なフェノール樹脂を混合するのが好ましい。金属微粒子分散物又は導電性ポリマー層のパターニング後に光感応性樹脂層を除去する場合、アルコール系、エーテル系、エステル系、ケトン系、グリコールエーテル系などの前記光感応性樹脂層の有機溶媒から適宜選択して除去に用いる。導電性ポリマー層への影響をより少なくするため、最も好ましいのはテトラヒドロフラン(THF)等のエーテル系溶媒である。
【0079】
本発明においては、電極形成にはアブレーション層をもちいてもよい。
本発明に用いられるアブレーション層は、エネルギー光吸収剤、バインダー樹脂および必要に応じて添加される各種添加剤から構成することができる。
【0080】
エネルギー光吸収剤は、照射するエネルギー光を吸収する各種の有機および無機材料が使用可能であり、たとえばレーザー光源を赤外線レーザーとした場合、赤外線を吸収する顔料、色素、金属、金属酸化物、グラファイト、Fe、Ni、Co等を主成分とするメタル磁性粉末等の強磁性金属粉末などを用いることができ、中でも、カーボンブラック、シアニン系などの色素、Fe系強磁性金属粉末が好ましい。エネルギー光吸収剤の含有量は、アブレーション層形成成分の30〜95質量%程度、好ましくは40〜80質量%である。
【0081】
アブレーション層のバインダー樹脂は、前記色材微粒子を十分に保持できるものであれば、特に制限無く用いることができ、ポリウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、塩化ビニル系樹脂、ポリビニルアセタール系樹脂、エポキシ樹脂などを挙げることができる。バインダー樹脂の含有量は、アブレーション層形成成分5〜70質量%程度、好ましくは20〜60質量%である。
【0082】
本明細書でいうアブレーション層とは、高密度エネルギー光の照射によりアブレートする層を指し、ここで言うアブレートとは、物理的或いは化学的変化によりアブレーション層が完全に或いは一部が飛散或いは破壊という現象を含む。このアブレートを利用してレジスト像を形成し、電極を形成させる。
【0083】
高密度エネルギー光は、アブレートを発生させる活性光であれば特に制限はなく用いることができる。露光方法としては、キセノンランプ、ハロゲンランプ、水銀ランプなどによるフラッシュ露光を、フォトマスクを介して行ってもよいし、レーザー光等を収束させ走査露光を行っても良い。レーザー1ビーム当たりの出力は20〜200mWである赤外線レーザー、特に半導体レーザーが最も好ましく用いられる。エネルギー密度としては、好ましくは50〜500mJ/cm2、更に好ましくは100〜300mJ/cm2である。
【0084】
本発明の有機薄膜トランジスタのゲート絶縁層としては種々の絶縁膜を用いることができるが、特に、比誘電率の高い無機酸化物皮膜が好ましい。それらのうち好ましいのは、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化タンタル、酸化チタンである。窒化ケイ素、窒化アルミニウム等の無機窒化物も好適に用いることができる。
【0085】
上記皮膜の形成方法としては、真空蒸着法、分子線エピタキシャル成長法、イオンプレーティング法、CVD法、スパッタリング法、大気圧プラズマ法などのドライプロセスや、スピンコート法、ブレードコート法、デイップコート法、キャスト法、バーコート法、ダイコート法などの塗布による方法、印刷やインクジェットなどのパターニングによる方法などのウェットプロセスが挙げられ、材料に応じて使用できる。
【0086】
ウェットプロセスは、無機酸化物の微粒子を、任意の有機溶剤あるいは水に必要に応じて界面活性剤などの分散補助剤を用いて分散した液を塗布、乾燥する方法や、酸化物前駆体、例えばアルコキシド体の溶液を塗布、乾燥する、いわゆるゾルゲル法が用いられる。
【0087】
これらのうち好ましいのは、上述した大気圧プラズマ法である。
ゲート絶縁層が陽極酸化膜又は該陽極酸化膜と絶縁膜とで構成されることも好ましい。陽極酸化膜は封孔処理されることが望ましい。陽極酸化膜は、陽極酸化が可能な金属を公知の方法により陽極酸化することにより形成される。
【0088】
陽極酸化処理可能な金属としては、アルミニウム又はタンタルを挙げることができ、陽極酸化処理の方法には特に制限はなく、公知の方法を用いることができる。陽極酸化処理を行なうことにより、酸化被膜が形成される。陽極酸化処理に用いられる電解液としては、多孔質酸化皮膜を形成することができるものならばいかなるものでも使用でき、一般には、硫酸、燐酸、蓚酸、クロム酸、ホウ酸、スルファミン酸、ベンゼンスルホン酸等あるいはこれらを2種類以上組み合わせた混酸あるいそれらの塩が用いられる。陽極酸化の処理条件は使用する電解液により種々変化するので一概に特定し得ないが、一般的には、電解液の濃度が1〜80質量%、電解液の温度5〜70℃、電流密度0.5〜60A/dm2、電圧1〜100ボルト、電解時間10秒〜5分の範囲が適当である。好ましい陽極酸化処理は、電解液として硫酸、リン酸又はホウ酸の水溶液を用い、直流電流で処理する方法であるが、交流電流を用いることもできる。これらの酸の濃度は5〜45質量%であることが好ましく、電解液の温度20〜50℃、電流密度0.5〜20A/dm2で20〜250秒間電解処理するのが好ましい。
【0089】
また有機化合物皮膜としては、ポリイミド、ポリアミド、ポリエステル、ポリアクリレート、光ラジカル重合系、光カチオン重合系の光硬化性樹脂、あるいはアクリロニトリル成分を含有する共重合体、ポリビニルフェノール、ポリビニルアルコール、ノボラック樹脂、およびシアノエチルプルラン等を用いることもできる。ここで、プロトン酸を含有する(ノボラック樹脂、ポリビニルフェノールなどの)絶縁膜は酸発生源として利用することもできる。
【0090】
有機化合物皮膜の形成法としては、前記ウェットプロセスが好ましい。
無機酸化物皮膜と有機酸化物皮膜は積層して併用することができる。またこれら絶縁膜の膜厚としては、一般に50nm〜3μm、好ましくは、100nm〜1μmである。
【0091】
ゲート絶縁層と有機半導体層の間に、任意の配向処理を施してもよい。シランカップリング剤、たとえばオクタデシルトリクロロシラン、トリクロロメチルシラザンや、アルカン燐酸、アルカンスルホン酸、アルカンカルボン酸などの自己組織化配向膜が好適に用いられる。
【0092】
本発明において支持体は樹脂からなり、例えばプラスチックフィルムシートを用いることができる。前記プラスチックフィルムとしては、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリエーテルイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリフェニレンスルフィド、ポリアリレート、ポリイミド、ボリカーボネート(PC)、セルローストリアセテート(TAC)、セルロースアセテートプロピオネート(CAP)等からなるフィルム等が挙げられる。このように、プラスチックフィルムを用いることで、ガラス基板を用いる場合に比べて軽量化を図ることができ、可搬性を高めることができるとともに、衝撃に対する耐性を向上できる。
【0093】
【実施例】
以下、実施例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されない。
【0094】
実施例1
図1に示す有機薄膜トランジスタを作製した。比抵抗0.01Ω・cmのSiウェハーに厚さ2000Åの熱酸化膜を形成し、その上に、ノボラック樹脂のMEK溶液をインクジェット法により吐出し、90℃にて3分間乾燥し、ストライプ状にパターニングした。さらによく精製された化合物Aのクロロホルム溶液を、アプリケーターを用いて塗布し乾燥し、キャスト膜(厚さ50nm)を形成した。窒素ガス雰囲気中、70℃にて10分間の熱処理を行うと、ペンタセンの薄膜が形成された。この膜の表面に、マスクを用いて図1のように金を蒸着し、ストライプ状にソース、ドレイン電極を形成し、有機薄膜トランジスタを作製した。尚ソース、ドレイン間チャネル長L=20μmであり、酸発生源となるこれに平行なストライプ状のノボラック樹脂パターンは20μm幅とし、ソース電極とストライプ状の酸発生源パターン間の距離は20μmとした。
【0095】
この有機薄膜トランジスタは、Si基板をゲート電極として駆動させると、pチャネルエンハンスメント型FETの良好な動作特性を示した。飽和領域におけるキャリア移動度を測定した。
【0096】
比較例1
比抵抗0.01Ω・cmのSiウェハーに厚さ2000Åの熱酸化膜を形成し、その上に、Advanced Materials,1999,vol.11,No.6,p480の化合物(比較化合物)のクロロホルム溶液を、アプリケーターを用いて塗布し自然乾燥してキャスト膜(厚さ50nm)を形成した。さらに窒素置換雰囲気下で70℃30分の処理を行ったが、ペンタセンに変換されず、ペンタセン膜を形成するには、200℃、10分間の熱処理が必要であった。このように形成された膜を用いて、実施例1と同様に有機薄膜トランジスタを作製、評価した。
【0097】
【化10】
【0098】
実施例2
酸発生源を、PMMAと光酸発生剤(4)を重量比98:2としてMEKに溶解し、実施例1同様にインクジェット法で吐出しパターン化した。70℃にて10分間の熱処理を行う前に、ハロゲンランプを600mJ/cm2照射した。それ以外は実施例1と同様に有機薄膜トランジスタを作製、評価した。
【0099】
実施例3
光酸発生剤(2)を用いた以外は実施例2に同じように有機薄膜トランジスタを作製、評価した。
【0100】
実施例4
酸発生源として、PMMAと光酸発生剤(6)と色素(1)を重量比97:2:1としてMEKに溶解し、実施例1同様にインクジェット法で吐出しパターン化した。70℃にて10分間の熱処理を行う前に、発振波長830nm、出力100mWの半導体レーザーで300mJ/cm2のエネルギー密度で酸発生源部分を露光した。それ以外は実施例1と同様に作製、評価した。
【0101】
実施例5
比抵抗0.01Ω・cmのSiウェハーに厚さ2000Åの熱酸化膜を形成し、よく精製された化合物Aのクロロホルム溶液を、アプリケーターを用いて塗布し乾燥し、キャスト膜(厚さ50nm)を形成した。インクジェット法により、ポリスチレンスルホン酸とポリ(エチレンジオキシチオフェン)の水分散液(バイエル製 Baytron P、pH=1.0)をソース、ドレイン電極状に吐出し、パターニングし、自然乾燥させた後、窒素ガス雰囲気中、70℃にて10分間の熱処理を行い、ペンタセンの薄膜を形成した。以上の方法で、チャネル長L=20μmの有機薄膜トランジスタを作製し、実施例1と同様に評価した。
【0102】
実施例6
厚さ100μmのPETフィルムの表面に50W/m2/minの条件でコロナ放電処理を施し、下記組成の塗布液を乾燥膜厚2μmになるように塗布し、90℃で5分間乾燥した後、60W/cmの高圧水銀灯下10cmの距離から4秒間硬化させた。
【0103】
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート単量体 60g
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート2量体 20g
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート3量体以上の成分 20g
ジエトキシベンゾフェノンUV開始剤 2g
シリコーン系界面活性剤 1g
メチルエチルケトン 75g
メチルプロピレングリコール 75g
さらにその層の上に下記条件で連続的に大気圧プラズマ処理して厚さ50nmの酸化ケイ素膜を設けた。
【0104】
(使用ガス)
不活性ガス:ヘリウム98.25体積%
反応性ガス:酸素ガス1.5体積%
反応性ガス:テトラエトキシシラン蒸気(ヘリウムガスにてバブリング)0.25体積%
(放電条件)
放電出力:10W/cm2
(電極条件)
電極は、冷却水による冷却手段を有するステンレス製ジャケットロール母材に対して、セラミック溶射によるアルミナを1mm被覆し、その後、テトラメトキシシランを酢酸エチルで希釈した溶液を塗布乾燥後、紫外線照射により封孔処理を行い、表面を平滑にしてRmax=5μmとした誘電体(比誘電率10)を有するロール電極であり、アースされている。一方、印加電極としては、中空の角型のステンレスパイプに対し、上記同様の誘電体を同条件にて被覆した。
【0105】
さらにその上に、スパッタ法により、厚さ300nmのアルミニウム皮膜を成膜し、ゲート電極とした。
【0106】
〈陽極酸化皮膜形成工程〉
以上のフィルム基板をよく洗浄した後、30質量%ホウ酸アンモニウム水溶液中で、2分間、60Vの定電圧電源から供給される直流を用いて、陽極酸化皮膜の厚さが120nmになるように陽極酸化皮膜9を作製した。よく洗浄した後に、1気圧、100℃の飽和した蒸気チャンバーの中で、蒸気封孔処理を施した。
【0107】
〈ゲート絶縁層形成工程〉
さらにフィルム温度200℃にて、上述した大気圧プラズマ法により、厚さ30nmの酸化ケイ素層を設けた。
【0108】
次に、その上に、前記化合物Aのクロロホルム溶液を、ピエゾ方式のインクジェット法を用いて、チャネルを形成すべき領域に吐出し、厚さ50nmのペンタセン前駆体薄膜を形成した。
【0109】
次いで、実施例5同様に、ポリスチレンスルホン酸とポリ(エチレンジオキシチオフェン)の錯体の水分散液(バイエル製 Baytron P)をピエゾ方式のインクジェットを用いて吐出し、乾燥した後、窒素ガス雰囲気中、100℃で5分間熱処理すると、ソース、ドレイン電極が形成されると共にペンタセン薄膜が形成された。
【0110】
以上の工程により、チャネル長L=約20μmの有機薄膜トランジスタを作製した。
【0111】
この有機薄膜トランジスタは、pチャネルエンハンスメント型FETの良好な動作特性を示した。飽和領域におけるキャリア移動度を測定した。
【0112】
実施例7
実施例6において、アルミ陽極酸化皮膜の厚さを150nmに形成した後、オクタデシルリン酸の溶液に浸漬することで、表面処理を行った。
【0113】
次に、その上に、前記化合物Aのクロロホルム溶液を、ピエゾ方式のインクジェット法を用いて、チャネルを形成すべき領域に吐出し、窒素ガス中で、70℃で10分の熱処理を行ったところ、厚さ50nmのペンタセン薄膜である有機半導体層を形成した。
【0114】
実施例5同様に、ポリスチレンスルホン酸とポリ(エチレンジオキシチオフェン)の錯体の水分散液(バイエル製 Baytron P)をピエゾ方式のインクジェットを用いて吐出し、乾燥した後、窒素ガス雰囲気中、100℃で乾燥させると、ソース、ドレイン電極が形成された。
【0115】
以上の工程により、チャネル長L=約20μmの有機薄膜トランジスタを作製した。この有機薄膜トランジスタは、pチャネルエンハンスメント型FETの良好な動作特性を示した。飽和領域におけるキャリア移動度を測定した。
【0116】
比較例2
実施例6にて、比較の前駆体のキャスト膜を形成し、200℃10分の熱処理を行った以外は同様にサンプルを作製したが、支持体のフィルムが大きく収縮し、トランジスタ駆動は見られなかった。尚、100℃、10分の乾燥では支持体のフィルムの大きな収縮はみられなかったが、やはりトランジスタ駆動は見られない結果であった。
【0117】
以上、実施例1〜7および比較例1,2について飽和領域におけるキャリア移動度(cm2/V・s)を表1に示した。
【0118】
【表1】
【0119】
本発明の方法により、キャリア移動度が高い、良好な動作特性を示す有機薄膜トランジスタが得られることがわかる。
【0120】
【発明の効果】
酸発生源を有機半導体材料への変換が可能な縮合多環芳香族化合物前駆体層に接して形成することで、比較的低温の加熱によって、前記前駆体から、生産性よく、移動度が高い縮合多環芳香族化合物からなる有機半導体薄膜を形成することが出来、基材として汎用樹脂フィルムを用いても良好な動作特性を示す有機薄膜トランジスタを得ることができた。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係わる有機薄膜トランジスタの代表的構成の一例について示した図である。
【符号の説明】
G ゲート電極
I ゲート絶縁層
H 酸発生源
A 前駆体含有層
S ソース電極
D ドレイン電極
【発明の属する技術分野】
本発明は、縮合多環芳香族化合物の前駆体含有層と、これに接する酸発生源により縮合多環芳香族化合物薄膜を形成する、有機薄膜トランジスタの製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
情報端末の普及に伴い、コンピュータ用のディスプレイとしてフラットパネルディスプレイに対するニーズが高まっている。またさらに情報化の進展に伴い、従来紙媒体で提供されていた情報が電子化されて提供される機会が増え、薄くて軽い、手軽に持ち運びが可能なモバイル用表示媒体として、電子ペーパーあるいはデジタルペーパーへのニーズも高まりつつある。
【0003】
一般に平板型のディスプレイ装置においては液晶、有機EL、電気泳動などを利用した素子を用いて表示媒体を形成している。またこうした表示媒体では画面輝度の均一性や画面書き換え速度などを確保するために、画像駆動素子として薄膜トランジスタ(TFT)により構成されたアクティブ駆動素子を用いる技術が主流になっている。
【0004】
ここでTFT素子は、通常、ガラス基板上に、主にa−Si(アモルファスシリコン)、p−Si(ポリシリコン)などの半導体薄膜や、ソース、ドレイン、ゲート電極などの金属薄膜を基板上に順次形成していくことで製造される。このTFTを用いるフラットパネルディスプレイの製造には通常、CVD、スパッタリングなどの真空系設備や高温処理工程を要する薄膜形成工程に加え、精度の高いフォトリソグラフ工程が必要とされ、設備コスト、ランニングコストの負荷が非常に大きい。さらに、近年のディスプレイの大画面化のニーズに伴い、それらのコストは非常に膨大なものとなっている。
【0005】
近年、従来のTFT素子のデメリットを補う技術として、有機半導体材料を用いた有機TFT素子の研究開発が盛んに進められている(特許文献1、非特許文献1等参照)。この有機TFT素子は低温プロセスで製造可能であるため、軽く、割れにくい樹脂基板を用いることができ、さらに、樹脂フィルムを支持体として用いたフレキシブルなディスプレイが実現できると言われている。また、大気圧下で、印刷や塗布などのウェットプロセスで製造できる有機半導体材料を用いることで、生産性に優れ、非常に低コストのディスプレイが実現できる。
【0006】
こういった中で、様々な有機半導体材料が提案されているが、高いキャリア移動度の有機TFT素子を提供するものとしてペンタセンが有機半導体材料として注目されている(特許文献1参照)。しかしながら、ペンタセンの薄膜は主に蒸着により形成されるため、真空プロセスが必要となり、生産効率が低くコストが高くなる。
【0007】
これを改良する方法として前駆体を分解してペンタセンの薄膜を形成する技術が提案されており(非特許文献1参照)、ペンタセン前駆体の膜を熱処理することにより、有機半導体であるペンタセン薄膜への変換が出来る。この方法によれば、実質的に真空プロセスが不要となる。
【0008】
しかしながら、この前駆体は約200℃といった高温でペンタセンに変換するため、生産効率が低いばかりでなく、汎用樹脂フィルムを支持体に用いると、フィルムの熱収縮が発生するため、TFTパネルを製造することができない。また熱収縮により素子のキャリア移動度が極端に低下するといった問題がある。
【0009】
【特許文献1】
特開2001−94107号公報
【0010】
【非特許文献1】
Advanced Materials,1999,vol.11,p480〜p483
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
従って本発明の目的は、有機半導体材料への変換温度を低減させた縮合多環芳香族化合物前駆体を用い、基材として汎用樹脂フィルムを用いて、生産性よく、移動度が高い縮合多環芳香族化合物からなる有機半導体薄膜を形成する有機薄膜トランジスタの製造方法を得ることにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明の上記目的は、以下の構成により達成される。
【0013】
1.プロトネートにより脱離しうる基を少なくともひとつ有する縮合多環芳香族化合物の前駆体を含有する層およびこれに接する酸発生源を形成し、加熱により前記縮合多環芳香族化合物の前駆体含有層を半導体層に変換することを特徴とする有機薄膜トランジスタの製造方法。
【0014】
2.ゲート絶縁膜、酸発生源、前駆体層を順次形成することを特徴とする前記1に記載の有機薄膜トランジスタの製造方法。
【0015】
3.前駆体がペンタセン前駆体であることを特徴とする前記1または2に記載の有機薄膜トランジスタの製造方法。
【0016】
4.酸発生源が、ソース或いはドレイン電極の両方に同時に接することなく形成されることを特徴とする前記1〜3のいずれか1項に記載の有機薄膜トランジスタの製造方法。
【0017】
5.酸発生源が、ソース電極またはドレイン電極の材料であることを特徴とする前記4に記載の有機薄膜トランジスタの製造方法。
【0018】
6.酸発生源が、ポリマー材料であることを特徴とする前記1〜5のいずれか1項に記載の有機薄膜トランジスタの製造方法。
【0019】
7.酸発生源が光酸発生剤を含有し、光照射により、酸を発生させるものであることを特徴とする前記1〜5のいずれか1項に記載の有機薄膜トランジスタの製造方法。
【0020】
8.前記1〜7のいずれか1項に記載の有機薄膜トランジスタの製造方法を用いて作製されたことを特徴とする有機薄膜トランジスタ素子。
【0021】
以下本発明を詳細に説明する。
本発明の大きな特徴は、プロトネートにより離脱し得る脱離基を少なくとも一つ有する縮合多環芳香族化合物の前駆体から脱離により変換された縮合多環芳香族化合物を有機薄膜トランジスタ用の有機半導体とする点にある。以下の説明では、特に断りのない限り、プロトネートにより脱離し得る脱離基を少なくとも一つ有する縮合多環芳香族化合物前駆体を本発明に係る縮合多環芳香族化合物前駆体といい、本発明に係る縮合多環芳香族化合物前駆体から脱離により変換されたアセン類を本発明に係る縮合多環芳香族化合物という。
【0022】
本発明に係る縮合多環芳香族化合物としては、好ましくはアセン類、具体的にはナフタレン、アントラセン、テトラセン、ペンタセン、ヘキサセン等が挙げられる。キャリア移動度、生産効率等を考慮すると、この中でも特に好ましいアセン類としてペンタセンがある。
【0023】
本発明に係る縮合多環芳香族化合物前駆体としては、プロトネートする脱離基の共役酸のpKa値が10〜20であることが好ましい。
【0024】
本発明に係るプロトネートにより脱離し得る基を少なくとも1つ有する縮合多環芳香族化合物の前駆体の代表的なものは、下記の一般式(1)で表される化合物である。
【0025】
【化1】
【0026】
式中、Rは水素原子又はアルキル基(メチル、エチル、プロピル、i−プロピル、t−ブチル等)を表す。
【0027】
本発明に係る縮合多環芳香族化合物前駆体は、市販の原料から容易に合成して得ることができる。例えば、前駆体として前記一般式(1)で表される化合物は以下の方法により得られる。
【0028】
(合成例1) 化合物Aの合成
ペンタセン−6,13−キノン7.0gを酢酸350mlに加えた懸濁液に、窒素雰囲気下57%ヨウ化水素酸175gを加え5時間加熱還流した。放冷後、反応混合物に1%ピロ亜硫酸ナトリウム水溶液700mlを加えた後、沈殿物を濾過し水洗して乾燥した。得られた固体をトルエンで再結晶し、ペンタセン−6(13H)−オン5.0gを得た(収率74%)。
【0029】
次にペンタセン−6(13H)−オン5.0gをエタノール1050ml、水165mlの混合溶媒に懸濁させ、窒素雰囲気下、水素化ホウ素ナトリウム8gを加え室温で20時間攪拌した。得られた反応混合物に3%塩化アンモニア水溶液を加え、析出物を吸引濾過し水で洗浄後乾燥した。得られた白色固体をさらにトルエンで再結晶し、下記構造の化合物Aを3.9g得た。(収率78%)
【0030】
【化2】
【0031】
反応スキームを下記に示す。
【0032】
【化3】
【0033】
(合成例2) 化合物Bの合成
化合物Aを1.0gメチルエチルケトン500mlに溶解し、窒素雰囲気下、炭酸カリウム1.2gとヨードメタン0.5gを加え60℃で4時間攪拌を行った。得られた反応混合物に水を加え有機層を分離し、これを濃縮して固体を析出させた。濾別後、得られた固体をトルエンで再結晶し、下記構造の化合物Bを0.76g得た(収率73%)
【0034】
【化4】
【0035】
反応スキームを下記に示す。
【0036】
【化5】
【0037】
本発明の一実施形態である有機薄膜トランジスタを製造するには、基板の表面に、本発明に係る縮合多環芳香族化合物前駆体を含有する層およびこれに接する酸発生源を形成し、加熱により前記縮合多環芳香族化合物の前駆体含有層を半導体層に変換する。
【0038】
前記ペンタセン等の縮合多環芳香族化合物前駆体は、該層を加熱することでペンタセン等の縮合多環芳香族化合物に変換し(200℃といった高温でペンタセンに変換する)、これを含有する薄膜層を形成するが、加熱は、酸の存在下で行うことが効率の面で好ましい。例えば、前記前駆体薄膜およびこれに接して酸発生源を形成した場合、酸発生源からの酸により、変換が加速される。150℃以下、好ましくは100℃以下の温度で、10秒〜30分程度の加熱で充分な変換がおこり、キャリア移動度が高いペンタセン等の縮合多環芳香族化合物有機半導体膜が形成される。
【0039】
酸発生源を前記縮合多環芳香族化合物前駆体薄膜に接して設けるとは、加熱により酸発生源からのプロトンが直接、前記前記縮合多環芳香族化合物前駆体薄膜と接触するように形成されることであり、その形態は問わない。但し、前記酸発生源は、プロトン性化合物を含有しているため、これが、縮合多環芳香族化合物前駆体薄膜に接すると共に、予め形成される或いは後に形成されるソース、ドレイン電極の両方に接する形態で、形成されてないことが好ましい。
【0040】
酸発生源から熱により発生したプロトン酸が、酸発生源に接している前駆体層の前記前駆体のプロトネートによって脱離しうる基にプロトネートすることで、脱離する。この様にして縮合多環芳香族化合物が形成すると同時に、発生した酸は触媒的に隣接する前駆体の有機半導体材料を形成してゆくので、接した部分(酸発生源が形成された部分)のみでなく、その周囲近傍も有機半導体に変換される。しかしながら、ソース、ドレイン電極間において前記変換が充分に行われ有機半導体チャネルの形成されるよう、電極の近傍に塗設されることが好ましい。ソース、ドレイン電極の両者に同時に接することのない位置で、かつ、どちらかの電極からあまり離れない位置、100μm以内の範囲が好ましく、更に好ましいのは50μm以内である。
【0041】
酸発生源を構成する材料としては、プロトン酸を発生しうる材料を用いるが、プロトン酸を発生しうる材料としては、カルボン酸、スルホン酸、燐酸などの酸成分を含有する層や、光酸発生剤、熱酸発生剤など光により、酸を発生しうる材料がある。これらの材料を含有する層を前記縮合多環芳香族化合物前駆体薄膜に接して形成し、例えば、加熱により前記前駆体を含有する層にプロトン酸が供給される機能を付与する。
【0042】
酸発生源には、膜の形成性という観点から、ノボラック、レゾール、ビニルフェノールの重合体などのフェノール樹脂、アクリル酸成分を含むアクリル樹脂、ポリスチレンスルホン酸など、プロトン酸を含有する公知の樹脂を用いるか、光酸発生剤を含有する樹脂層を用いることが好ましい。
【0043】
光酸発生剤としては、例えばジアゾニウム塩、ホスホニウム塩、スルホニウム塩、ヨードニウム塩などのオニウム塩類、ハロゲン置換アルキル基を有するトリアジン類やハロゲン置換アルキル基を有するオキサジアゾール類など光開始剤として知られるハロゲン化水素酸を形成しうる有機ハロゲン化合物、o−ナフトキノンジアジト−4−スルホン酸ハロゲニドとその誘導体などのオルトキノン−ジアジド化合物類など、各種の公知化合物及び混合物が挙げられ、ハロゲン置換アルキル基を有するs−トリアジン類およびオキサジアゾール類が特に好ましい。その具体例としては、以下の2−ハロメチル−1,3,4−オキサジアゾール系化合物、2−ハロメチル−1,3,4−オキサジアゾール系化合物が挙げられる。
【0044】
【化6】
【0045】
【化7】
【0046】
本発明において、酸発生源を構成するには、これら光酸発生剤を例えば、フェノール樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂など各種の樹脂と混合した状態(溶解或いは分散)で、例えば、前記ペンタセン前駆体薄膜に接するように薄膜状にパターニングして形成する。有機バインダーとしては、成膜性がよく不活性な樹脂であれば特に限定はなく例えば、ポリメチルメタクリレート等のアクリル(メタクリル)樹脂、ポリ塩化ビニル等のビニル樹脂が好ましく用いられる。光酸発生剤の酸発生源薄膜中での含有量は、その化学的性質及び本発明の酸発生層の組成あるいは物性によって広範囲に変えることができるが、層の固形分の全質量に対して約0.1〜約20質量%の範囲が適当であり、好ましくは0.2〜10質量%の範囲である。
【0047】
光酸発生剤を分解させるための、露光手段としては、キセノンランプ、水銀ランプ、蛍光灯、各種のレーザーなど、任意の方法を用いることができる。
【0048】
また、光酸発生剤を含む層に、各種の増感色素を添加し、分光増感させてもよい。酸発生の効率を向上させることができる。このような増感色素としては、シアニン系色素、スクアリウム系色素、メロシアニン色素、クロコニウム系色素、アズレニウム系色素、フタロシアニン系色素、ナフタロシアニン系色素、ポリメチン系色素、ナフトキノン系色素、チオピリリウム系色素、ジチオール金属錯体系色素、アントラキノ系色素、インドアニリン金属錯体系色素、分子間CT色素等が挙げられる。例えば、波長700nm以上に吸収を持つ赤外吸収色素、たとえば下記のシアニン系色素(別紙)を用い、半導体レーザーで照射することにより、任意の領域に選択的に酸を発生させることができる。
【0049】
好ましい赤外に吸収を有する色素として、以下に示すものがあげられる。
【0050】
【化8】
【0051】
【化9】
【0052】
また、前述の色素や、カーボンブラック、磁性粉などの光熱変換剤と、熱酸発生剤を含む層を形成した後、光熱変換剤の吸収波長に適合した任意の高密度エネルギー光を照射することで、熱的に酸を発生させる方法も用いることができる。例えば700以上に吸収ピークを有する赤外線吸収剤を用いて、キセノンランプ、ハロゲンランプ、水銀ランプなどによるフラッシュ露光をフォトマスクを介して行うか、半導体レーザー光等を照射することで、酸を発生させることができる。
【0053】
また、酸発生材料としては、前記アクリル酸成分を含むアクリル樹脂、ポリスチレンスルホン酸など、プロトン酸を含有する公知の樹脂も用いられる。これらの樹脂導電性を有しており、例えば、酸性の導電性ポリマーを、ソース電極またはドレイン電極として形成し、これを電極材料として酸発生源を兼ねて使用してもよい。これに適した酸性の導電性ポリマーとしては、例えば、導電性材料として知られるポリスチレンスルホン酸とポリ(エチレンジオキシチオフェン)の錯体の水分散液(バイエル製 Baytron P)等がある。
【0054】
本発明に係わる有機薄膜トランジスタの代表的構成の一例について、図1を用いて実施の形態を説明する。図1は基板としてSiウェハーを用いこれをゲート電極(G)として、これに厚さ2000Åの熱酸化膜をゲート絶縁膜(I)として形成する。その上に、酸発生剤である例えばノボラック樹脂のMEK溶液をインクジェット法により吐出し、酸発生源(H)をパターニング形成する。パターニングは、後にやはりパターニング形成されるソース電極(S)、ドレイン電極(D)、また酸発生によりペンタセン前駆体を含有する層の関係をみたときに、前記ソース、ドレイン電極間に、前駆体含有層においてペンタセンからなる有機半導体チャネルを形成出来る位置に精度よくパターニングされる。
【0055】
このように酸発生源を、形成した後、本発明に係る、例えばペンタセン等の縮合多環芳香族化合物の前駆体含有層(A)を例えば、前駆体化合物溶液をもちいて塗布によって形成する。例えばクロロホルム等に溶解して、アプリケーターなどによりキャスティングすることにより簡単に形成できる。キャスト膜の膜厚は、本発明に係る縮合多環芳香族化合物前駆体の種類、有機薄膜トランジスタの用途などによって異なるが、おおむね20〜100nm、好ましくは30〜60nmである。
【0056】
次いで、該層を100℃以下の温度で加熱する。加熱によって前記酸発生源からのプロトン酸の発生によって、本発明に係わる前記前駆体の脱離基がプロトネートにより脱離しペンタセン等の縮合多環芳香族化合物薄膜となる。
【0057】
縮合多環芳香族化合物薄膜形成後、それぞれ、予定の位置に、それぞれソース、ドレイン電極をマスクを用いて、例えば金を蒸着しパターニングにより形成して、有機薄膜トランジスタを形成する。
【0058】
また、前記酸発生材である例えばノボラック樹脂のMEK溶液をインクジェット法により吐出する代わりに、Siウェハー(G)に厚さ2000Åの熱酸化膜をゲート絶縁膜(I)として形成した後、ペンタセン等の縮合多環芳香族化合物前駆体を含有する層(A)を前記同様塗布によって形成し、その後、例えば、電極材料として知られるポリスチレンスルホン酸とポリ(エチレンジオキシチオフェン)の錯体の水分散液(バイエル製 Baytron P)を、本発明に係る前記ペンタセン等の縮合多環芳香族化合物前駆体を含有する層上にソース、ドレイン電極形成位置にパターニングして形成し、その後、150℃以下の温度で、例えば10秒程度加熱することで、ペンタセン前駆体をペンタセン薄膜層に変換し、かつ同時にソース、ドレイン電極を形成することが出来る。
【0059】
次に、本発明に係る有機薄膜トランジスタ及びその製造方法が関係する一般的なことについて述べる。
【0060】
有機薄膜トランジスタは、基板の表面に、有機半導体チャネルで連結されたソース電極とドレイン電極を有し、その上にゲート絶縁層を介してゲート電極を有するトップゲート型と、基板の表面に、まずゲート電極を有し、ゲート絶縁層を介して有機半導体チャネルで連結されたソース電極とドレイン電極を有するボトムゲート型に大別される。本発明においては、いずれのタイプも好ましく適用できるが、ボトムゲート型が特に好ましい。
【0061】
これら有機半導体からなる薄膜の膜厚としては、特に制限はないが、得られたトランジスタの特性は、有機半導体からなる活性層の膜厚に大きく左右される場合が多く、その膜厚は、有機半導体により異なるが、一般に1μm以下、特に10〜300nmが好ましい。
【0062】
本発明の有機薄膜トランジスタにおいて、ソース電極、ドレイン電極及びゲート電極を形成する材料は導電性材料であれば特に限定されず、白金、金、銀、ニッケル、クロム、銅、鉄、錫、アンチモン鉛、タンタル、インジウム、パラジウム、テルル、レニウム、イリジウム、アルミニウム、ルテニウム、ゲルマニウム、モリブデン、タングステン、酸化スズ・アンチモン、酸化インジウム・スズ(ITO)、フッ素ドープ酸化亜鉛、亜鉛、炭素、グラファイト、グラッシーカーボン、銀ペーストおよびカーボンペースト、リチウム、ベリリウム、ナトリウム、マグネシウム、カリウム、カルシウム、スカンジウム、チタン、マンガン、ジルコニウム、ガリウム、ニオブ、ナトリウム、ナトリウム−カリウム合金、マグネシウム、リチウム、アルミニウム、マグネシウム/銅混合物、マグネシウム/銀混合物、マグネシウム/アルミニウム混合物、マグネシウム/インジウム混合物、アルミニウム/酸化アルミニウム混合物、リチウム/アルミニウム混合物等が用いられるが、特に、白金、金、銀、銅、アルミニウム、インジウム、ITOおよび炭素が好ましい。
【0063】
本発明において、ソース電極、ドレイン電極として、導電性材料を含む、溶液、ペースト、インク、金属薄膜前駆体材料、液状分散物などを用いて作成した電極であることが好ましい。導電性材料としては、導電性ポリマーや金属微粒子などを好適に用いることができる。また、溶媒や分散媒体としては、有機半導体へのダメージを抑制するため、水を60%以上、好ましくは90%以上含有する溶媒または分散媒体であることが好ましい。
【0064】
金属微粒子を含有する分散物としては、たとえば公知の導電性ペーストなどを用いても良いが、好ましくは、粒子径が1〜50nm、好ましくは1〜10nmの金属微粒子を含有する分散物である。
【0065】
金属微粒子の材料としては白金、金、銀、ニッケル、クロム、銅、鉄、錫、アンチモン鉛、タンタル、インジウム、パラジウム、テルル、レニウム、イリジウム、アルミニウム、ルテニウム、ゲルマニウム、モリブデン、タングステン、亜鉛等を用いることができる。
【0066】
これらの金属からなる微粒子を、主に有機材料からなる分散安定剤を用いて、水や任意の有機溶剤である分散媒中に分散した分散物を用いて電極を形成するのが好ましい。
【0067】
このような金属微粒子の分散物の製造方法として、ガス中蒸発法、スパッタリング法、金属蒸気合成法などの物理的生成法や、コロイド法、共沈法などの、液相で金属イオンを還元して金属微粒子を生成する化学的生成法が挙げられるが、好ましくは、特開平11−76800号、同11−80647号、同11−319538号、特開2000−239853等に示されたコロイド法、特開2001−254185、同2001−53028、同2001−35255、同2000−124157、同2000−123634などに記載されたガス中蒸発法により製造された金属微粒子の分散物である。これらの金属微粒子分散物を用いて電極を成形し、溶媒を乾燥させた後、必要に応じて100〜300℃、好ましくは150〜200℃の範囲で形状様に加熱することにより、金属微粒子を熱融着させ、目的の形状を有する電極パターンを形成するものである。
【0068】
さらに、ソース電極、ドレイン電極としては、ドーピング等で導電率を向上させた公知の導電性ポリマーを用いることも好ましく、例えば導電性ポリアニリン、導電性ポリピロール、導電性ポリチオフェン、ポリエチレンジオキシチオフェンとポリスチレンスルホン酸の錯体なども好適に用いられる。これによりソース電極とドレイン電極とのショットキー障壁を低減することができる。
【0069】
電極の形成方法としては、上記を原料として蒸着やスパッタリング等の方法を用いて形成した導電性薄膜を、公知のフォトリソグラフ法やリフトオフ法を用いて電極形成する方法、アルミニウムや銅などの金属箔上に熱転写、インクジェット等により、レジストを形成しエッチングする方法がある。また導電性ポリマーの溶液あるいは分散液、金属微粒子を含有する分散液等を直接インクジェット法によりパターニングしてもよいし、塗工膜からリソグラフやレーザーアブレーションなどにより形成してもよい。さらに導電性ポリマーや金属微粒子を含有する導電性インク、導電性ペーストなどを凸版、凹版、平版、スクリーン印刷などの印刷法でパターニングする方法も用いることができる。
【0070】
本発明の有機薄膜トランジスタは、特にフォトリソグラフ法を用いてソース電極及びドレイン電極を形成することが好ましく、この場合、有機半導体層に接して層の全面に光感応性樹脂の溶液を塗布し、光感応性樹脂層を形成する。
【0071】
光感応性樹脂層としては、ポジ型、ネガ型の公知の材料を用いることができるが、レーザーで露光が行えるレーザー感光性の材料を用いることが好ましい。このような光感応性樹脂材料として、(1)特開平11−271969号、特開2001−117219、特開平11−311859号、同11−352691号のような色素増感型の光重合感光材料、(2)特開平9−179292号、米国特許第5,340,699号、特開平10−90885号、特開2000−321780、同2001−154374のような赤外線レーザーに感光性を有するネガ型感光材料、(3)特開平9−171254号、同5−115144号、同10−87733号、同9−43847号、同10−268512号、同11−194504号、同11−223936号、同11−84657号、同11−174681号、同7−285275号、特開2000−56452、WO97/39894、同98/42507のような赤外線レーザーに感光性を有するポジ型感光材料が挙げられる。工程が暗所に限定されない点で、好ましいのは(2)と(3)である。
【0072】
フォトリソグラフ法では、この後にソース電極及びドレイン電極の材料として金属微粒子含有分散体又は導電性ポリマーを用いてパターニングし、必要に応じて熱融着することにより、ソース電極又はドレイン電極を容易に高精度に作製することが可能となり、種々の形態でパターニングすることが容易となり、有機薄膜トランジスタを容易に製造することが可能となる。
【0073】
光感応性樹脂の塗布溶液を形成する溶媒としては、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、メチルセロソルブ、メチルセロソルブアセテート、シクロヘキサノン、トリクロロエチレン、メチルエチルケトン等が挙げられる。これら溶媒は、単独であるいは2種以上混合して使用する。
【0074】
光感応性樹脂層を形成する方法としては、スプレーコート法、スピンコート法、ブレードコート法、デイップコート法、キャスト法、ロールコート法、バーコート法、ダイコート法などの塗布による方法が用いられる。
【0075】
光感応性樹脂層が形成されたら、光感応性樹脂層をパターニング露光を行う。パターニング露光を行う光源としては、Arレーザー、半導体レーザー、He−Neレーザー、YAGレーザー、炭酸ガスレーザー等が挙げられ、好ましくは赤外に発振波長があるもので、半導体レーザーである。出力は50mW以上が適当であり、好ましくは100mW以上である。
【0076】
次に、露光された光感応性樹脂層を現像する。光感応性樹脂の現像に用いられる現像液としては、水系アルカリ現像液が好適である。水系アルカリ現像液としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、メタケイ酸ナトリウム、メタケイ酸カリウム等のアルカリ金属塩の水溶液や、アンモニア、エチルアミン、n−プロピルアミン、ジエチルアミントリエタノールアミン、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド等のアルカリ性化合物を溶解した水溶液水を挙げることが出来る。本発明におけるアルカリ性化合物のアルカリ現像液中における濃度は、通常1〜10質量%、好ましくは2〜5質量%である。
【0077】
現像液には、必要に応じアニオン性界面活性剤、両性界面活性剤やアルコール等の有機溶剤を加えることができる。有機溶剤としては、プロピレングリコール、エチレングリコールモノフェニルエーテル、ベンジルアルコール、n−プロピルアルコール等が有用である。
【0078】
必要により、光感応性樹脂層を除去する工程を加えることができる。金属微粒子含有分散体又は導電性ポリマー層のパターニング後に光感応性樹脂層を除去する場合、光感応性樹脂材料はポジ型が好ましい。また光感応性樹脂層を形成する組成物には、ノボラック樹脂やポリビニルフェノールの様なフェノール樹脂を混合するのが好ましい。金属微粒子分散物又は導電性ポリマー層のパターニング後に光感応性樹脂層を除去する場合、アルコール系、エーテル系、エステル系、ケトン系、グリコールエーテル系などの前記光感応性樹脂層の有機溶媒から適宜選択して除去に用いる。導電性ポリマー層への影響をより少なくするため、最も好ましいのはテトラヒドロフラン(THF)等のエーテル系溶媒である。
【0079】
本発明においては、電極形成にはアブレーション層をもちいてもよい。
本発明に用いられるアブレーション層は、エネルギー光吸収剤、バインダー樹脂および必要に応じて添加される各種添加剤から構成することができる。
【0080】
エネルギー光吸収剤は、照射するエネルギー光を吸収する各種の有機および無機材料が使用可能であり、たとえばレーザー光源を赤外線レーザーとした場合、赤外線を吸収する顔料、色素、金属、金属酸化物、グラファイト、Fe、Ni、Co等を主成分とするメタル磁性粉末等の強磁性金属粉末などを用いることができ、中でも、カーボンブラック、シアニン系などの色素、Fe系強磁性金属粉末が好ましい。エネルギー光吸収剤の含有量は、アブレーション層形成成分の30〜95質量%程度、好ましくは40〜80質量%である。
【0081】
アブレーション層のバインダー樹脂は、前記色材微粒子を十分に保持できるものであれば、特に制限無く用いることができ、ポリウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、塩化ビニル系樹脂、ポリビニルアセタール系樹脂、エポキシ樹脂などを挙げることができる。バインダー樹脂の含有量は、アブレーション層形成成分5〜70質量%程度、好ましくは20〜60質量%である。
【0082】
本明細書でいうアブレーション層とは、高密度エネルギー光の照射によりアブレートする層を指し、ここで言うアブレートとは、物理的或いは化学的変化によりアブレーション層が完全に或いは一部が飛散或いは破壊という現象を含む。このアブレートを利用してレジスト像を形成し、電極を形成させる。
【0083】
高密度エネルギー光は、アブレートを発生させる活性光であれば特に制限はなく用いることができる。露光方法としては、キセノンランプ、ハロゲンランプ、水銀ランプなどによるフラッシュ露光を、フォトマスクを介して行ってもよいし、レーザー光等を収束させ走査露光を行っても良い。レーザー1ビーム当たりの出力は20〜200mWである赤外線レーザー、特に半導体レーザーが最も好ましく用いられる。エネルギー密度としては、好ましくは50〜500mJ/cm2、更に好ましくは100〜300mJ/cm2である。
【0084】
本発明の有機薄膜トランジスタのゲート絶縁層としては種々の絶縁膜を用いることができるが、特に、比誘電率の高い無機酸化物皮膜が好ましい。それらのうち好ましいのは、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化タンタル、酸化チタンである。窒化ケイ素、窒化アルミニウム等の無機窒化物も好適に用いることができる。
【0085】
上記皮膜の形成方法としては、真空蒸着法、分子線エピタキシャル成長法、イオンプレーティング法、CVD法、スパッタリング法、大気圧プラズマ法などのドライプロセスや、スピンコート法、ブレードコート法、デイップコート法、キャスト法、バーコート法、ダイコート法などの塗布による方法、印刷やインクジェットなどのパターニングによる方法などのウェットプロセスが挙げられ、材料に応じて使用できる。
【0086】
ウェットプロセスは、無機酸化物の微粒子を、任意の有機溶剤あるいは水に必要に応じて界面活性剤などの分散補助剤を用いて分散した液を塗布、乾燥する方法や、酸化物前駆体、例えばアルコキシド体の溶液を塗布、乾燥する、いわゆるゾルゲル法が用いられる。
【0087】
これらのうち好ましいのは、上述した大気圧プラズマ法である。
ゲート絶縁層が陽極酸化膜又は該陽極酸化膜と絶縁膜とで構成されることも好ましい。陽極酸化膜は封孔処理されることが望ましい。陽極酸化膜は、陽極酸化が可能な金属を公知の方法により陽極酸化することにより形成される。
【0088】
陽極酸化処理可能な金属としては、アルミニウム又はタンタルを挙げることができ、陽極酸化処理の方法には特に制限はなく、公知の方法を用いることができる。陽極酸化処理を行なうことにより、酸化被膜が形成される。陽極酸化処理に用いられる電解液としては、多孔質酸化皮膜を形成することができるものならばいかなるものでも使用でき、一般には、硫酸、燐酸、蓚酸、クロム酸、ホウ酸、スルファミン酸、ベンゼンスルホン酸等あるいはこれらを2種類以上組み合わせた混酸あるいそれらの塩が用いられる。陽極酸化の処理条件は使用する電解液により種々変化するので一概に特定し得ないが、一般的には、電解液の濃度が1〜80質量%、電解液の温度5〜70℃、電流密度0.5〜60A/dm2、電圧1〜100ボルト、電解時間10秒〜5分の範囲が適当である。好ましい陽極酸化処理は、電解液として硫酸、リン酸又はホウ酸の水溶液を用い、直流電流で処理する方法であるが、交流電流を用いることもできる。これらの酸の濃度は5〜45質量%であることが好ましく、電解液の温度20〜50℃、電流密度0.5〜20A/dm2で20〜250秒間電解処理するのが好ましい。
【0089】
また有機化合物皮膜としては、ポリイミド、ポリアミド、ポリエステル、ポリアクリレート、光ラジカル重合系、光カチオン重合系の光硬化性樹脂、あるいはアクリロニトリル成分を含有する共重合体、ポリビニルフェノール、ポリビニルアルコール、ノボラック樹脂、およびシアノエチルプルラン等を用いることもできる。ここで、プロトン酸を含有する(ノボラック樹脂、ポリビニルフェノールなどの)絶縁膜は酸発生源として利用することもできる。
【0090】
有機化合物皮膜の形成法としては、前記ウェットプロセスが好ましい。
無機酸化物皮膜と有機酸化物皮膜は積層して併用することができる。またこれら絶縁膜の膜厚としては、一般に50nm〜3μm、好ましくは、100nm〜1μmである。
【0091】
ゲート絶縁層と有機半導体層の間に、任意の配向処理を施してもよい。シランカップリング剤、たとえばオクタデシルトリクロロシラン、トリクロロメチルシラザンや、アルカン燐酸、アルカンスルホン酸、アルカンカルボン酸などの自己組織化配向膜が好適に用いられる。
【0092】
本発明において支持体は樹脂からなり、例えばプラスチックフィルムシートを用いることができる。前記プラスチックフィルムとしては、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリエーテルイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリフェニレンスルフィド、ポリアリレート、ポリイミド、ボリカーボネート(PC)、セルローストリアセテート(TAC)、セルロースアセテートプロピオネート(CAP)等からなるフィルム等が挙げられる。このように、プラスチックフィルムを用いることで、ガラス基板を用いる場合に比べて軽量化を図ることができ、可搬性を高めることができるとともに、衝撃に対する耐性を向上できる。
【0093】
【実施例】
以下、実施例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されない。
【0094】
実施例1
図1に示す有機薄膜トランジスタを作製した。比抵抗0.01Ω・cmのSiウェハーに厚さ2000Åの熱酸化膜を形成し、その上に、ノボラック樹脂のMEK溶液をインクジェット法により吐出し、90℃にて3分間乾燥し、ストライプ状にパターニングした。さらによく精製された化合物Aのクロロホルム溶液を、アプリケーターを用いて塗布し乾燥し、キャスト膜(厚さ50nm)を形成した。窒素ガス雰囲気中、70℃にて10分間の熱処理を行うと、ペンタセンの薄膜が形成された。この膜の表面に、マスクを用いて図1のように金を蒸着し、ストライプ状にソース、ドレイン電極を形成し、有機薄膜トランジスタを作製した。尚ソース、ドレイン間チャネル長L=20μmであり、酸発生源となるこれに平行なストライプ状のノボラック樹脂パターンは20μm幅とし、ソース電極とストライプ状の酸発生源パターン間の距離は20μmとした。
【0095】
この有機薄膜トランジスタは、Si基板をゲート電極として駆動させると、pチャネルエンハンスメント型FETの良好な動作特性を示した。飽和領域におけるキャリア移動度を測定した。
【0096】
比較例1
比抵抗0.01Ω・cmのSiウェハーに厚さ2000Åの熱酸化膜を形成し、その上に、Advanced Materials,1999,vol.11,No.6,p480の化合物(比較化合物)のクロロホルム溶液を、アプリケーターを用いて塗布し自然乾燥してキャスト膜(厚さ50nm)を形成した。さらに窒素置換雰囲気下で70℃30分の処理を行ったが、ペンタセンに変換されず、ペンタセン膜を形成するには、200℃、10分間の熱処理が必要であった。このように形成された膜を用いて、実施例1と同様に有機薄膜トランジスタを作製、評価した。
【0097】
【化10】
【0098】
実施例2
酸発生源を、PMMAと光酸発生剤(4)を重量比98:2としてMEKに溶解し、実施例1同様にインクジェット法で吐出しパターン化した。70℃にて10分間の熱処理を行う前に、ハロゲンランプを600mJ/cm2照射した。それ以外は実施例1と同様に有機薄膜トランジスタを作製、評価した。
【0099】
実施例3
光酸発生剤(2)を用いた以外は実施例2に同じように有機薄膜トランジスタを作製、評価した。
【0100】
実施例4
酸発生源として、PMMAと光酸発生剤(6)と色素(1)を重量比97:2:1としてMEKに溶解し、実施例1同様にインクジェット法で吐出しパターン化した。70℃にて10分間の熱処理を行う前に、発振波長830nm、出力100mWの半導体レーザーで300mJ/cm2のエネルギー密度で酸発生源部分を露光した。それ以外は実施例1と同様に作製、評価した。
【0101】
実施例5
比抵抗0.01Ω・cmのSiウェハーに厚さ2000Åの熱酸化膜を形成し、よく精製された化合物Aのクロロホルム溶液を、アプリケーターを用いて塗布し乾燥し、キャスト膜(厚さ50nm)を形成した。インクジェット法により、ポリスチレンスルホン酸とポリ(エチレンジオキシチオフェン)の水分散液(バイエル製 Baytron P、pH=1.0)をソース、ドレイン電極状に吐出し、パターニングし、自然乾燥させた後、窒素ガス雰囲気中、70℃にて10分間の熱処理を行い、ペンタセンの薄膜を形成した。以上の方法で、チャネル長L=20μmの有機薄膜トランジスタを作製し、実施例1と同様に評価した。
【0102】
実施例6
厚さ100μmのPETフィルムの表面に50W/m2/minの条件でコロナ放電処理を施し、下記組成の塗布液を乾燥膜厚2μmになるように塗布し、90℃で5分間乾燥した後、60W/cmの高圧水銀灯下10cmの距離から4秒間硬化させた。
【0103】
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート単量体 60g
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート2量体 20g
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート3量体以上の成分 20g
ジエトキシベンゾフェノンUV開始剤 2g
シリコーン系界面活性剤 1g
メチルエチルケトン 75g
メチルプロピレングリコール 75g
さらにその層の上に下記条件で連続的に大気圧プラズマ処理して厚さ50nmの酸化ケイ素膜を設けた。
【0104】
(使用ガス)
不活性ガス:ヘリウム98.25体積%
反応性ガス:酸素ガス1.5体積%
反応性ガス:テトラエトキシシラン蒸気(ヘリウムガスにてバブリング)0.25体積%
(放電条件)
放電出力:10W/cm2
(電極条件)
電極は、冷却水による冷却手段を有するステンレス製ジャケットロール母材に対して、セラミック溶射によるアルミナを1mm被覆し、その後、テトラメトキシシランを酢酸エチルで希釈した溶液を塗布乾燥後、紫外線照射により封孔処理を行い、表面を平滑にしてRmax=5μmとした誘電体(比誘電率10)を有するロール電極であり、アースされている。一方、印加電極としては、中空の角型のステンレスパイプに対し、上記同様の誘電体を同条件にて被覆した。
【0105】
さらにその上に、スパッタ法により、厚さ300nmのアルミニウム皮膜を成膜し、ゲート電極とした。
【0106】
〈陽極酸化皮膜形成工程〉
以上のフィルム基板をよく洗浄した後、30質量%ホウ酸アンモニウム水溶液中で、2分間、60Vの定電圧電源から供給される直流を用いて、陽極酸化皮膜の厚さが120nmになるように陽極酸化皮膜9を作製した。よく洗浄した後に、1気圧、100℃の飽和した蒸気チャンバーの中で、蒸気封孔処理を施した。
【0107】
〈ゲート絶縁層形成工程〉
さらにフィルム温度200℃にて、上述した大気圧プラズマ法により、厚さ30nmの酸化ケイ素層を設けた。
【0108】
次に、その上に、前記化合物Aのクロロホルム溶液を、ピエゾ方式のインクジェット法を用いて、チャネルを形成すべき領域に吐出し、厚さ50nmのペンタセン前駆体薄膜を形成した。
【0109】
次いで、実施例5同様に、ポリスチレンスルホン酸とポリ(エチレンジオキシチオフェン)の錯体の水分散液(バイエル製 Baytron P)をピエゾ方式のインクジェットを用いて吐出し、乾燥した後、窒素ガス雰囲気中、100℃で5分間熱処理すると、ソース、ドレイン電極が形成されると共にペンタセン薄膜が形成された。
【0110】
以上の工程により、チャネル長L=約20μmの有機薄膜トランジスタを作製した。
【0111】
この有機薄膜トランジスタは、pチャネルエンハンスメント型FETの良好な動作特性を示した。飽和領域におけるキャリア移動度を測定した。
【0112】
実施例7
実施例6において、アルミ陽極酸化皮膜の厚さを150nmに形成した後、オクタデシルリン酸の溶液に浸漬することで、表面処理を行った。
【0113】
次に、その上に、前記化合物Aのクロロホルム溶液を、ピエゾ方式のインクジェット法を用いて、チャネルを形成すべき領域に吐出し、窒素ガス中で、70℃で10分の熱処理を行ったところ、厚さ50nmのペンタセン薄膜である有機半導体層を形成した。
【0114】
実施例5同様に、ポリスチレンスルホン酸とポリ(エチレンジオキシチオフェン)の錯体の水分散液(バイエル製 Baytron P)をピエゾ方式のインクジェットを用いて吐出し、乾燥した後、窒素ガス雰囲気中、100℃で乾燥させると、ソース、ドレイン電極が形成された。
【0115】
以上の工程により、チャネル長L=約20μmの有機薄膜トランジスタを作製した。この有機薄膜トランジスタは、pチャネルエンハンスメント型FETの良好な動作特性を示した。飽和領域におけるキャリア移動度を測定した。
【0116】
比較例2
実施例6にて、比較の前駆体のキャスト膜を形成し、200℃10分の熱処理を行った以外は同様にサンプルを作製したが、支持体のフィルムが大きく収縮し、トランジスタ駆動は見られなかった。尚、100℃、10分の乾燥では支持体のフィルムの大きな収縮はみられなかったが、やはりトランジスタ駆動は見られない結果であった。
【0117】
以上、実施例1〜7および比較例1,2について飽和領域におけるキャリア移動度(cm2/V・s)を表1に示した。
【0118】
【表1】
【0119】
本発明の方法により、キャリア移動度が高い、良好な動作特性を示す有機薄膜トランジスタが得られることがわかる。
【0120】
【発明の効果】
酸発生源を有機半導体材料への変換が可能な縮合多環芳香族化合物前駆体層に接して形成することで、比較的低温の加熱によって、前記前駆体から、生産性よく、移動度が高い縮合多環芳香族化合物からなる有機半導体薄膜を形成することが出来、基材として汎用樹脂フィルムを用いても良好な動作特性を示す有機薄膜トランジスタを得ることができた。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係わる有機薄膜トランジスタの代表的構成の一例について示した図である。
【符号の説明】
G ゲート電極
I ゲート絶縁層
H 酸発生源
A 前駆体含有層
S ソース電極
D ドレイン電極
Claims (8)
- プロトネートにより脱離しうる基を少なくともひとつ有する縮合多環芳香族化合物の前駆体を含有する層およびこれに接する酸発生源を形成し、加熱により前記縮合多環芳香族化合物の前駆体含有層を半導体層に変換することを特徴とする有機薄膜トランジスタの製造方法。
- ゲート絶縁膜、酸発生源、前駆体層を順次形成することを特徴とする請求項1に記載の有機薄膜トランジスタの製造方法。
- 前駆体がペンタセン前駆体であることを特徴とする請求項1または2に記載の有機薄膜トランジスタの製造方法。
- 酸発生源が、ソース或いはドレイン電極の両方に同時に接することなく形成されることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の有機薄膜トランジスタの製造方法。
- 酸発生源が、ソース電極またはドレイン電極の材料であることを特徴とする請求項4に記載の有機薄膜トランジスタの製造方法。
- 酸発生源が、ポリマー材料であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の有機薄膜トランジスタの製造方法。
- 酸発生源が光酸発生剤を含有し、光照射により、酸を発生させるものであることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の有機薄膜トランジスタの製造方法。
- 請求項1〜7のいずれか1項に記載の有機薄膜トランジスタの製造方法を用いて作製されたことを特徴とする有機薄膜トランジスタ素子。
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