JP2008311402A - 有機薄膜トランジスタの製造方法及び有機薄膜トランジスタ - Google Patents
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Abstract
【課題】ワックス材料を溶融状態にして保護層を成膜してトランジスタ性能が安定している有機薄膜トランジスタを提供し、且つ、前記保護層の形成時に、有機半導体層にダメージを与えない有機薄膜トランジスタの製造方法を提供する。
【解決手段】有機半導体材料を含有する塗布液を、基板上へ供給して有機半導体層を形成する工程を有する有機薄膜トランジスタの製造方法において、
構成層として、該有機半導体層の保護層を有し、該保護層が、ワックス材料を溶融状態で成膜することにより形成される工程を有することを特徴とする有機薄膜トランジスタの製造方法。
【選択図】なし
【解決手段】有機半導体材料を含有する塗布液を、基板上へ供給して有機半導体層を形成する工程を有する有機薄膜トランジスタの製造方法において、
構成層として、該有機半導体層の保護層を有し、該保護層が、ワックス材料を溶融状態で成膜することにより形成される工程を有することを特徴とする有機薄膜トランジスタの製造方法。
【選択図】なし
Description
本発明は有機薄膜トランジスタの製造方法及び有機薄膜トランジスタに関する。
従来、有機薄膜トランジスタ(TFT)の性能の不安定化を招来する要因としては、大気中の酸素、水、その他(浮遊物質等)が挙げられ、これらから有機薄膜トランジスタを保護するために保護層(保護膜ともいう)の設置が種々検討されている。
有機薄膜トランジスタの保護層の形成は、真空蒸着法等のドライプロセス、スピンコート、印刷法等のウェットプロセス等が従来は用いられてきている。
しかしながら、真空蒸着法等のドライプロセスでは、保護層形成時に付与される熱により有機半導体層中の有機半導体材料の劣化が起こりやすく、また、スピンコート法等のウェットプロセスでは、保護層形成に用いられている有機溶剤等により、やはり、有機半導体層の溶解等が起こるなどの問題点が指摘されている。
上記のような問題点にたいして、ポリビニルアルコール等の水溶性ポリマーを保護層に使用する技術(例えば、特許文献1参照。)、炭素数15以上のアルカン系化合物を蒸着で成膜する技術(例えば、特許文献2参照。)、基板、チャネル層または封止層等をワックス材料を含む溶液で成膜する技術(例えば、特許文献3参照。)等が提案されている。
しかしながら、ポリビニルアルコールのような水溶性ポリマー自体が水分にたいして脆弱であるために有機薄膜トランジスタの性能劣化の防止効果が十分ではなく、炭素数15以上のアルカン材料を蒸着するために用いる減圧プロセスは、ロールtoロールのプロセスに適用不可能な上に、高価且つ、複雑な製造装置になってしまうという問題点がある。
また、ワックス材料を含む溶液で成膜時に、有機半導体層を溶媒に晒すと溶解性の高い半導体層へのダメージ(劣化)が起こりやすいという問題点があった。
特開2005−223107号公報
米国特許出願公開第2005/0196972A1号明細書
米国特許出願公開第2006/0214312A1号明細書
本発明の目的は、ワックス材料を溶融状態にして保護層を成膜することにより、トランジスタ性能が安定している有機薄膜トランジスタを提供し、且つ、前記保護層の形成時に、有機半導体層にダメージを与えない有機薄膜トランジスタの製造方法を提供することである。
本発明の上記目的は、下記の構成により達成された。
1.有機半導体材料を含有する塗布液を、基板上へ供給して有機半導体層を形成する工程を有する有機薄膜トランジスタの製造方法において、
構成層として、該有機半導体層の保護層を有し、該保護層が、ワックス材料を溶融状態で成膜することにより形成される工程を有することを特徴とする有機薄膜トランジスタの製造方法。
構成層として、該有機半導体層の保護層を有し、該保護層が、ワックス材料を溶融状態で成膜することにより形成される工程を有することを特徴とする有機薄膜トランジスタの製造方法。
2.前記有機半導体層が、ウエットプロセスにより形成される工程を有することを特徴とする前記1に記載の有機薄膜トランジスタの製造方法。
3.前記保護層が、ワックス材料がパターニングされることにより形成される工程を有することを特徴とする前記1または2に記載の有機薄膜トランジスタの製造方法。
4.前記保護層が、塗布により形成される工程を有することを特徴とする前記1〜3のいずれか1項に記載の有機薄膜トランジスタの製造方法。
5.前記ワックス材料の融点が、50℃〜250℃の範囲であることを特徴とする前記1〜4のいずれか1項に記載の有機薄膜トランジスタの製造方法。
6.前記有機半導体材料の分子量が、100〜5000の範囲であることを特徴とする前記1〜5のいずれか1項に記載の有機薄膜トランジスタの製造方法。
7.前記有機半導体材料が、少なくとも不飽和結合を有する置換基を有する縮合多環芳香族化合物の一種を含むことを特徴とする前記1〜6のいずれか1項に記載の有機薄膜トランジスタの製造方法。
8.前記保護層が、溶融型インクジェット、サーマルヘッド熱転写法、印刷法及び溶融押し出し法からなる群から選択される少なくともひとつにより形成されることを特徴とする前記1〜7のいずれか1項に記載の有機薄膜トランジスタの製造方法。
9.前記1〜8のいずれか1項に記載の有機薄膜トランジスタの製造方法により製造されたことを特徴とする有機薄膜トランジスタ。
ワックス材料を溶融状態にして保護層を成膜することにより、トランジスタ性能が安定している有機薄膜トランジスタを提供し、且つ、前記保護層の形成時に、有機半導体層にダメージを与えない有機薄膜トランジスタの製造方法を提供することができた。
本発明の有機薄膜トランジスタの製造方法においては、請求項1〜8のいずれか1項に規定される構成を用いることにより、薄膜トランジスタの作製直後のみならず、1ヶ月経過後においても、キャリア移動度に優れた素子が得られる、有機薄膜トランジスタ素子の製造方法を得ることができた。
また、本発明の有機薄膜トランジスタを具備した有機エレクトロルミネッセンス素子は、良好な発光特性を示すことが判った。
以下、本発明に係る各構成要素の詳細について、順次説明する。
本発明の有機薄膜トランジスタの製造方法について説明する。
本発明の有機薄膜トランジスタの製造方法は、請求項1に記載のように、有機半導体材料を含有する塗布液を、基板上へ供給して有機半導体層を形成する工程を有し、且つ、構成層として、該有機半導体層の保護層を有し、前記保護層が、ワックス材料を溶融状態で成膜することにより形成される工程を有することを特徴とするものである。
《保護層》
まず、本発明に係る保護層について説明する。
まず、本発明に係る保護層について説明する。
本発明では、請求項1に記載のように、有機半導体層を、ワックス材料を溶融状態で成膜する工程を経て形成された保護層により保護することにより、素子形成直後及び1ヶ月経過後においても、良好なキャリア性能(移動度)を示す素子を得ることができた。
《ワックス材料》
本発明に係るワックス材料について説明する。
本発明に係るワックス材料について説明する。
本発明に係るワックス材料とは、熱溶融性材料であり、熱可塑性素材の中でも特に溶融した際の粘度が低く、一般的にワックスとして分類される素材である。
(ワックスの融点)
物性としては、保存性及び電極材料の付着強度の観点から、ワックス材料の融点は、50℃〜250℃の範囲にあることが好ましい。
物性としては、保存性及び電極材料の付着強度の観点から、ワックス材料の融点は、50℃〜250℃の範囲にあることが好ましい。
また、ワックス材料の融点は、融点測定器による目視、示差走査熱分析(DSC)測定、市販の融点測定器を用いた自動測定等により求めることができる。
(ワックスの軟化点)
また、軟化点としては、40℃〜120℃の範囲であることが好ましく、更に好ましくは、40℃〜100℃である。
また、軟化点としては、40℃〜120℃の範囲であることが好ましく、更に好ましくは、40℃〜100℃である。
本発明に係るワックス材料としては、例えば、パラフィン、ポリオレフィン、ポリエチレンワックス、マイクロクリスタリンワックス、脂肪酸系ワックス等が挙げられる。
これらは分子量800から10000程度のものであり、また乳化しやすくするためにこれらのワックスを酸化し、水酸基、エステル基、カルボキシ基、アルデヒド基、ペルオキシド基などの極性基を導入することもできる。
さらに、軟化点を下げたり作業性を向上させるためにこれらのワックスに、例えば、ステアロアミド、リノレンアミド、ラウリルアミド、ミリステルアミド、硬化牛脂肪酸アミド、パルミトアミド、オレイン酸アミド、米糖脂肪酸アミド、ヤシ脂肪酸アミド又はこれらの脂肪酸アミドのメチロール化物、メチレンビスステラロアミド、エチレンビスステラロアミドなどを添加することも可能である。
また、クマロン−インデン樹脂、ロジン変性フェノール樹脂、テルペン変性フェノール樹脂、キシレン樹脂、ケトン樹脂、アクリル樹脂、アイオノマー、これらの樹脂の共重合体も使用することができる。
これらの中でも、ポリエチレン、マイクロクリスタリン、脂肪酸エステル、脂肪酸の何れかを含有することが好ましい。これらの素材は融点が比較的低く、溶融粘度も低いため、高感度の画像形成を行うことができる。また、これらの素材は潤滑性を有するため、基板の表面に剪断力が加えられた際のダメージが低減し、擦りキズ等による汚れ耐性が向上する。
ワックス材料の保護層中の含有量としては、保護層全体の1質量%〜90質量%が好ましく、更に好ましくは、5質量%〜80質量%の範囲である。
《保護層の形成方法》
本発明に係る保護層の形成方法について説明する。
本発明に係る保護層の形成方法について説明する。
本発明に係る保護層の形成手段としては、溶融型インクジェット、サーマルヘッド熱転写法、印刷法及び溶融押し出し法からなる群から選択される少なくともひとつが好ましい形成手段としてあげられる。また、上記の溶融型インクジェット法等により有機半導体層上または有機半導体チャネル上にパターン形成することができる。
本発明では、ワックス材料を、加熱、溶融した後、溶融状態のワックス材料を、上記の保護層の形成手段の少なくともひとつを用いて、有機半導体層上の一定領域に供給(必要な場合にはパターニング)して保護層(保護膜ともいう)を形成するものである。
本発明に係る保護層の形成は、従って、溶媒を用いず、純粋にワックス材料のみを用いることになるので、従来公知の塗布液(溶液または分散液等)を用いる方法のように、溶媒からの不純物の持ち込みや、溶媒中の溶存酸素、水分等による汚染や劣化がないために、有機半導体層中の有機半導体材料の劣化等を防止することができる。
また、ワックス材料を溶融状態でパターニングする場合、パターニング時のハジキ故障等を防止する観点から、基板やチャネル領域等も、加温され、融点以上に加熱され流動化したワックス材料の温度に近い温度に設定されていることが好ましい。
そのためには、基板自身を加熱することが好ましく、ホットプレート等により加温する。塗布後自然冷却、又強制的に冷却してもよいが、融点以下に却する場合、基板の膨張等もあり、薄膜の均一性が保てるような条件で冷却する。これらは試験的に各種の条件を設定し実験を行った後、決定できる。比較的ゆっくりと冷却することが好ましい。
以下のパターニング形成される場合においても、同様である。
本発明に係る保護層の形成では、ワックス材料がパターニングされることにより保護層形成が行われることが好ましい。
パターニング形成される場合、種々の方法により行うことができるが、印刷法、溶融型インクジェット法、熱転写法等が好ましい方法としてあげられる。
(a)印刷法
印刷法は、別の基材(印刷版)上に保護層材料(保護層形成材料ともいう)をパターニング(印刷版にそって保護層形成材料をインキングする)した後、これを溶融状態で有機半導体層上に転写、印刷する方法である。
印刷法は、別の基材(印刷版)上に保護層材料(保護層形成材料ともいう)をパターニング(印刷版にそって保護層形成材料をインキングする)した後、これを溶融状態で有機半導体層上に転写、印刷する方法である。
即ち、融点以上に加熱、溶融状態となり流動化した保護層形成材料は、所謂印刷法によって、有機半導体層やチャネル領域等に所望のパターンに従ってパターニングすることが出来る。
印刷法としては、例えば、凸版印刷法、グラビア印刷(グラビア凹版印刷等も含む)、オフセット印刷等公知の方法を用いるいることが出来る。融点以上に加熱され流動化した保護層材料は、保護層形成が必要とされるパターンに従って作製された版上に一旦転写された後、予め、別の基板上に設けられた有機半導体層上に保護層として転写され、これを用いて複数の有機薄膜トランジスタ素子を含む有機薄膜トランジスタ素子シート等が印刷され、有機薄膜トランジスタ素子が所望のパターンに従って形成された有機薄膜トランジスタ素子シートを構成する。
凸版印刷においては、版を例えば金属材料の薬品処理によるエッチング等によって作製し、形成された凸部にインクを供給し、これを印刷基材に印刷する方法であるが、本発明においてはインクとして、前記融点以上に加熱され流動化したワックス材料を用いて印刷を行うために、印刷の版銅は前記融点以上に加温されていなければならない。従って製版用素材としては鉛、錫、アンチモン等金属が、また、耐熱性、又、有機材料による対腐食性が確保できれば、耐熱性樹脂を用いた合成樹脂板でもよい。
例えば、凹版印刷(グラビア印刷)を用いた方法について説明する。
凹版印刷(グラビア印刷)においては、版胴上の印刷版の凹部にインクが付着することになる。即ち、インク壺(本発明においては、融点以上に加熱され流動化した保護層形成材料であるワックス材料が、融点以上の一定温度に維持されインクと同様に用いられる)から印刷版にワックス材料が転写された後、ドクターブレードにより表面のインクをかき取り、凹部に残ったワックス材料を、印刷基材に転写印刷するものである。
従って、転写されるワックス材料の転写量、即ち膜厚も凹部の深さで制御でき好ましい。この場合も印刷版(版胴)、そしてドクターブレードはワックス材料の融点以上に維持できるよう加温されていることが好ましい。
これらグラビア印刷に用いる印刷版は、例えば、マスクを用いたエッチングにより、また電子彫刻機等により銅版にパターン形成して作製されるが、30μm程度のパターン印刷が可能であり、例えば、21.3インチ型で1280×1024画素のLCD用基板の作製が可能である。また、TV、PC等の通常のモニターに用いられる駆動回路を構成する有機薄膜トランジスタ素子のパターニングは十分可能であり、保護層を有する有機半導体層の好ましい形成方法のひとつである。
(b)溶融型インクジェット法
溶融状態としたワックス材料の基板上(ここでは、有機半導体層上、チャネル領域ということもある)へのパターニング形成を行うのに好ましい方法の例として、所謂溶融型インクジェット法が挙げられる。
溶融状態としたワックス材料の基板上(ここでは、有機半導体層上、チャネル領域ということもある)へのパターニング形成を行うのに好ましい方法の例として、所謂溶融型インクジェット法が挙げられる。
本発明においては、溶融型インクジェット装置を用い、溶融状態でワックス材料を有機半導体層上に供給しパターニングすることができる。
本発明において、融点以上に加熱され流動化したワックス材料を用いる溶融型インクジェット装置は、加熱により流動化したワックス材料を用いるため、インクジェットヘッドそしてその周辺のインク供給系を、加熱でき、また所定の温度以上に維持できる機能を有している。
上記のような温度調整の可能インクジェット装置としては、例えば、特開平5−169644号公報、特表平11−505189号公報、特開2003−89202号公報、特開2004−249618号公報等に記載の所謂相変化インク又は固体インクといわれる常温において固体であるインクを加熱溶融して、インクジェット印刷する方式に用いられるインクジェット装置を用いることができる。
本発明に係るワックス材料の融点としては、50℃〜250℃の範囲のワックスが好ましいが、例えば、溶融型インクジェット法に融点60℃〜120℃の範囲のワックス材料を用いる場合には、前記ワックス材料を、130℃〜140℃の範囲に加熱溶融して粘度15mPa・s〜30mPa・s程度の液体インクとして調製した後、圧電素子などの変位による圧力変化でノズルから吐出して用いることができる。
このような融点を有するワックス材料を、融点以上に加熱して、溶融状態とし、インク貯蔵室、記録ヘッド等インク供給系全体を該ワックス材料を溶融状態を保つ所定温度に維持することによって、ワックス材料を液体インクとして記録ヘッドから有機半導体層上(チャネル領域)に所望のパターニングを行うことが可能である。
図3に、熱溶融型インクジェットヘッドに用いられる記録ヘッド81の構成の1例を示す断面図で示す。
記録ヘッド81において、92は共通インク通路であり、又それに続くインク貯蔵室は図においては省略してあるが、固体インク(ワックス材料)が溶融して最適温度で保持されるようヒータを有している。ヒータはヒータ制御回路で制御される。
また、記録ヘッド81には固体インク96を溶融状態に維持するためのヒータ85と、該ヒータ85を制御するヒータ制御回路87が設けられている。
図3において、圧電素子94に印加する駆動信号発生回路、インクを噴射する圧電素子94に対して前述の圧電素子駆動信号を印加させるスイッチング回路を含む駆動回路は省略しているが、回路制御回路95の動作により駆動信号が発生され、圧電素子94が駆動されると、溶融した固体インク96が記録ヘッドのノズル83から吐出され印刷が行われる。共通インク通路92からはフィルタ部88を経由してインクがインク室90に供給される。
尚、82はノズル基板、84はチャンバープレート、89はダイアフラム、90はインク室、91がハウジング、96は固体インク(熱溶融状態にあるワックス材料)である。
例えば、後述する実施例1の本発明の有機薄膜トランジスタ4のワックス材料である、ポリエチレン(Honeywell製、A−C9,9、融点115℃)、本発明の有機薄膜トランジスタ6のパラフィンワックス155(日本精蝋(株)製、融点69℃)、本発明の有機薄膜トランジスタ7(FT104(日本精蝋(株)製、融点104℃))である。
これらのワックス材料は、いずれも融点以上の温度に加熱され溶融状態となり溶融型インクジェットヘッドから吐出可能な粘度の液体となり、これらを有機半導体層やチャネル領域に吐出することで所望のパターン印刷をすることができる。
ノズルの精度としては18μmφ、体積で3pl程度の微少な液滴迄の吐出が出来るので、この様なインクジェット装置を用いることで基板上に、所謂のパターンで、溶融したワックス材料を有機半導体層の保護層形成に適用・印刷でき、LCD,EL素子、またパネル等の本発明の有機薄膜トランジスタ、該有機薄膜トランジスタの組み込まれた所謂TFT駆動回路等が充分に形成できる。
また、本発明に係わるワックス材料の溶融状態を用いたパターニングは、該ワックス材料を含有するドナー素子から、サーマルヘッドを用いてワックス材料を有機半導体層上またはチャネル領域等に転写することで行うことが出来る。
(c)熱転写法(サーマルヘッド熱転写法)
本発明に係るワックス材料を溶融状態で成膜して、有機半導体層の保護層を形成するとき、電子ディスプレイ及びデバイス用の有機材料を熱転写させ配向させる従来公知の方法として、方法は例えば、特表2004−525493号公報に記載されている方法を用いることができる。
本発明に係るワックス材料を溶融状態で成膜して、有機半導体層の保護層を形成するとき、電子ディスプレイ及びデバイス用の有機材料を熱転写させ配向させる従来公知の方法として、方法は例えば、特表2004−525493号公報に記載されている方法を用いることができる。
上記文献に記載の有機材料は低融点であるため、例えば、実施例1に記載の、本発明の有機薄膜トランジスタ9、10等の保護層材料として用いられる、FT104(日本精蝋(株)製、融点104℃)等に好ましく用いられる方法である。
この方法においては、先ず、熱転写させるため、ポリイミド基材上にワックス材料をコーティングして転写層を形成したドナー素子を形成する。
これらのワックス材料を含む転写層を有するドナー素子は、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)又はポリエチレンナフタレート(PEN)等、又更に耐熱性が必要とされる場合にはポリイミドフィルム等、厚み0.025mm〜0.15mmの範囲のフィルムを基材として用い、その上に、前記ワックス材料を含有する層を均一にコーティングして形成する。
基材上には、ワックス材料を含む転写層の他、基材との接着を調整する任意の下層、光熱変換層、中間層等を含み、代表的なドナー素子については、米国特許第6,194,1119号明細書、同第6,114,088号明細書、同第5,998,085号明細書等に記載されたものを適宜参照することができる。
この方法では、ドナー素子の転写層を受像体に重ねて配置し、ドナー素子を選択的に加熱してワックス材料を溶融熱転写することができる。
この方法によれば、一旦、基材(例えば、ポリイミドフィルム等)上にワックス材料をを塗布したドナー層を有するドナー素子を形成した後、サーマルヘッドによる熱パターンの印加で容易に有機半導体材料をパターニングすることができる。
選択的な加熱は、サーマルヘッド(ラインヘッド、シリアルヘッドいずれでもよい)、又、光熱変換層との組み合わせによりランプ、レーザーの選択的な走査等で行うことができる。例えば、熱転写ヘッドとしてよく用いられる300dpi(dpiとは、2.54cm当りのドット数を表す)のサーマルヘッドであれば、12Line/mm程度の解像度(例えば、主走査方向長80μm×副走査方向長120μmの抵抗体形状がスクエア)が得られ、解像度10Line/mm程度の表示素子(1画素単位が100μm前後)に必要とされるワックス材料のパターニング精度は得ることができる。
即ちこれらのサーマルヘッドを搭載した熱転写記録装置を用いて、上記作製したドナー素子のワックス材料含有層(膜)と有機半導体層を有する基板とを重ね合わせてセットし、サーマルヘッドとプラテンロールで圧接しながら、必要とされる有機半導体層のパターンに従って、0〜300μJ/dotの印加エネルギー範囲で加熱融解させ、有機半導体層上にワックス材料をパターニングする。
解像度としては大きい方が高細精のパターニングが可能であり、例えば600dpiであれば前記よりも倍の高細精パターニングが可能である。
この様に直接的に加熱するほか、レーザー等による走査、又パターンと共にフラッシュ光を用いるアナログ手法等により、熱転写することも可能である。この場合前記ドナー素子には光熱変換材料(光吸収材料)を含んでもよい。特にレーザーによる走査は高細精のパターン形成には好ましい。
本発明において、このように形成されるワックス材料から形成される保護層の膜厚は、好ましくは0.1nm〜100μm、より好ましくは1nm〜1μmの範囲内である。
上記の様にして形成された保護層は、溶融したワックス材料を用いて成膜を行い、溶媒を用いないので、通常の塗布液または分散液に含まれる水、酸素、その他不純物等による保護層中の材料が有機半導体層中の有機半導体材料の劣化等を招来しないので、有機薄膜トランジスタの素子特性の劣化を適切に防止できる。
また、溶融したワックス材料ののみが有機半導体層上に形成されるので、保護対象である有機半導体層の保護という観点からも好ましく、素子作製直後から時間経過(例えば、1ヶ月等)した状態においても素子特性の劣化がないという良好な結果が得られる。
《有機半導体材料》
本発明に係る有機半導体材料について説明する。
本発明に係る有機半導体材料について説明する。
本発明に係る有機半導体層の形成には、従来公知の有機半導体材料を用いることができるが、中でも、分子量100〜5000の範囲の化合物(低分子化合物〜オリゴマーの領域の分子までが含まれる)が好ましく用いられる。
また、代表的な有機半導体材料としては、ペンタセン等の化合物があり、特に例えば、国際公開第03/16599号パンフレット、国際公開第03/28125号パンフレット、米国特許第6,690,029号明細書、特開2004−107216号公報等に記載の置換基をもったペンタセン類、米国特許出願公開第2003−136964号明細書等に記載のペンタセンプレカーサ類等が挙げられる。
上記の有機半導体材料の中でも、種々の縮合多環芳香族化合物や共役系化合物が適用可能であるが、中でも、縮合多環芳香族化合物が好ましく用いられる。
(縮合多環芳香族化合物)
縮合多環芳香族化合物としては、例えば、アントラセン、テトラセン、ペンタセン、ヘキサセン、へプタセン、クリセン、ピセン、フルミネン、ピレン、ペロピレン、ペリレン、テリレン、クオテリレン、コロネン、オバレン、サーカムアントラセン、ビスアンテン、ゼスレン、ヘプタゼスレン、ピランスレン、ビオランテン、イソビオランテン、サーコビフェニル、アントラジチオフェン等の化合物、及びこれらの誘導体や前駆体が挙げられる。
縮合多環芳香族化合物としては、例えば、アントラセン、テトラセン、ペンタセン、ヘキサセン、へプタセン、クリセン、ピセン、フルミネン、ピレン、ペロピレン、ペリレン、テリレン、クオテリレン、コロネン、オバレン、サーカムアントラセン、ビスアンテン、ゼスレン、ヘプタゼスレン、ピランスレン、ビオランテン、イソビオランテン、サーコビフェニル、アントラジチオフェン等の化合物、及びこれらの誘導体や前駆体が挙げられる。
共役系化合物としては、例えば、ポリチオフェン及びそのオリゴマー、ポリピロール及びそのオリゴマー、ポリアニリン、ポリフェニレン及びそのオリゴマー、ポリフェニレンビニレン及びそのオリゴマー、ポリチエニレンビニレン及びそのオリゴマー、ポリアセチレン、ポリジアセチレン、テトラチアフルバレン化合物、キノン化合物、テトラシアノキノジメタン等のシアノ化合物、フラーレン及びこれらの誘導体あるいは混合物を挙げることができる。
また、特にポリチオフェン及びそのオリゴマーのうち、チオフェン6量体であるα−セクシチオフェンα,ω−ジヘキシル−α−セクシチオフェン、α,ω−ジヘキシル−α−キンケチオフェン、α,ω−ビス(3−ブトキシプロピル)−α−セクシチオフェン、等のオリゴマーが好適に用いることができる。
さらに、ポルフィリンや銅フタロシアニン、特開平11−251601号公報に記載のフッ素置換銅フタロシアニン等の金属フタロシアニン類、Chem. Commun. 1998,1661頁や特開2003−304104号等に記載のポルフィリン類およびその金属化合物、ナフタレン1,4,5,8−テトラカルボン酸ジイミド、N,N′−ビス(4−トリフルオロメチルベンジル)ナフタレン1,4,5,8−テトラカルボン酸ジイミドとともに、N,N′−ビス(1H,1H−ペルフルオロオクチル)、N,N′−ビス(1H,1H−ペルフルオロブチル)及びN,N′−ジオクチルナフタレン1,4,5,8−テトラカルボン酸ジイミド誘導体、ナフタレン2,3,6,7テトラカルボン酸ジイミド等のナフタレンテトラカルボン酸ジイミド類、及びアントラセン2,3,6,7−テトラカルボン酸ジイミド等のアントラセンテトラカルボン酸ジイミド類等の縮合環テトラカルボン酸ジイミド類、テトラチアフルバレン(TTF)−テトラシアノキノジメタン(TCNQ)錯体、ビスエチレンテトラチアフルバレン(BEDTTTF)−過塩素酸錯体、BEDTTTF−ヨウ素錯体、TCNQ−ヨウ素錯体、等の有機分子錯体、C60、C70、C76、C78、C84等フラーレン類、SWNT等のカーボンナノチューブ、メロシアニン色素類、ヘミシアニン色素類等の色素等、さらにポリシラン、ポリゲルマン等のσ共役系ポリマーや特開2000−260999号公報に記載の有機・無機混成材料も用いることができる。
これらのπ共役系材料のうちでも、ペンタセン等の縮合多環芳香族化合物の誘導体、フラーレン類、縮合環テトラカルボン酸ジイミド類、金属フタロシアニンおよび金属ポルフィリンよりなる群から選ばれた少なくとも1種が好ましい。
《一般式(OSC1)で表される化合物》
本発明の有機半導体材料として用いられる、縮合多環芳香族化合物としては、例えば、下記一般式(OSC1)で表される化合物が好ましい。
本発明の有機半導体材料として用いられる、縮合多環芳香族化合物としては、例えば、下記一般式(OSC1)で表される化合物が好ましい。
式中、R1〜R6は水素原子または置換基を表し、Z1またはZ2は、芳香族炭化水素環または芳香族複素環を表し、n1またはn2は0〜3の整数を表す。
一般式(OSC1)において、R1〜R6で各々表される置換基としては、アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、tert−ブチル基、ペンチル基、tert−ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、tert−オクチル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基等)、シクロアルキル基(例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等)、アルケニル基(例えば、例えば、ビニル基、アリル基、1−プロペニル基、2−ブテニル基、1,3−ブタジエニル基、2−ペンテニル基、イソプロペニル基等)、アルキニル基(例えば、エチニル基、プロパルギル基等)、芳香族炭化水素基(芳香族炭素環基、アリール基等ともいい、例えば、フェニル基、p−クロロフェニル基、メシチル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基、アントリル基、アズレニル基、アセナフテニル基、フルオレニル基、フェナントリル基、インデニル基、ピレニル基、ビフェニリル基等)、芳香族複素環基(ヘテロアリール基ともいい、例えば、ピリジル基、ピリミジニル基、フリル基、ピロリル基、イミダゾリル基、ベンゾイミダゾリル基、ピラゾリル基、ピラジニル基、トリアゾリル基(例えば、1,2,4−トリアゾール−1−イル基、1,2,3−トリアゾール−1−イル基等)、オキサゾリル基、ベンゾオキサゾリル基、チアゾリル基、イソオキサゾリル基、イソチアゾリル基、フラザニル基、チエニル基、キノリル基、ベンゾフリル基、ジベンゾフリル基、ベンゾチエニル基、ジベンゾチエニル基、インドリル基、カルバゾリル基、カルボリニル基、ジアザカルバゾリル基(前記カルボリニル基のカルボリン環を構成する炭素原子の一つが窒素原子で置き換わったものを示す)、キノキサリニル基、ピリダジニル基、トリアジニル基、キナゾリニル基、フタラジニル基等)、複素環基(例えば、ピロリジル基、イミダゾリジル基、モルホリル基、オキサゾリジル基等)、アルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロピルオキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、オクチルオキシ基、ドデシルオキシ基等)、シクロアルコキシ基(例えば、シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基等)、アリールオキシ基(例えば、フェノキシ基、ナフチルオキシ基等)、アルキルチオ基(例えば、メチルチオ基、エチルチオ基、プロピルチオ基、ペンチルチオ基、ヘキシルチオ基、オクチルチオ基、ドデシルチオ基等)、シクロアルキルチオ基(例えば、シクロペンチルチオ基、シクロヘキシルチオ基等)、アリールチオ基(例えば、フェニルチオ基、ナフチルチオ基等)、アルコキシカルボニル基(例えば、メチルオキシカルボニル基、エチルオキシカルボニル基、ブチルオキシカルボニル基、オクチルオキシカルボニル基、ドデシルオキシカルボニル基等)、アリールオキシカルボニル基(例えば、フェニルオキシカルボニル基、ナフチルオキシカルボニル基等)、スルファモイル基(例えば、アミノスルホニル基、メチルアミノスルホニル基、ジメチルアミノスルホニル基、ブチルアミノスルホニル基、ヘキシルアミノスルホニル基、シクロヘキシルアミノスルホニル基、オクチルアミノスルホニル基、ドデシルアミノスルホニル基、フェニルアミノスルホニル基、ナフチルアミノスルホニル基、2−ピリジルアミノスルホニル基等)、アシル基(例えば、アセチル基、エチルカルボニル基、プロピルカルボニル基、ペンチルカルボニル基、シクロヘキシルカルボニル基、オクチルカルボニル基、2−エチルヘキシルカルボニル基、ドデシルカルボニル基、フェニルカルボニル基、ナフチルカルボニル基、ピリジルカルボニル基等)、アシルオキシ基(例えば、アセチルオキシ基、エチルカルボニルオキシ基、ブチルカルボニルオキシ基、オクチルカルボニルオキシ基、ドデシルカルボニルオキシ基、フェニルカルボニルオキシ基等)、アミド基(例えば、メチルカルボニルアミノ基、エチルカルボニルアミノ基、ジメチルカルボニルアミノ基、プロピルカルボニルアミノ基、ペンチルカルボニルアミノ基、シクロヘキシルカルボニルアミノ基、2−エチルヘキシルカルボニルアミノ基、オクチルカルボニルアミノ基、ドデシルカルボニルアミノ基、フェニルカルボニルアミノ基、ナフチルカルボニルアミノ基等)、カルバモイル基(例えば、アミノカルボニル基、メチルアミノカルボニル基、ジメチルアミノカルボニル基、プロピルアミノカルボニル基、ペンチルアミノカルボニル基、シクロヘキシルアミノカルボニル基、オクチルアミノカルボニル基、2−エチルヘキシルアミノカルボニル基、ドデシルアミノカルボニル基、フェニルアミノカルボニル基、ナフチルアミノカルボニル基、2−ピリジルアミノカルボニル基等)、ウレイド基(例えば、メチルウレイド基、エチルウレイド基、ペンチルウレイド基、シクロヘキシルウレイド基、オクチルウレイド基、ドデシルウレイド基、フェニルウレイド基ナフチルウレイド基、2−ピリジルアミノウレイド基等)、スルフィニル基(例えば、メチルスルフィニル基、エチルスルフィニル基、ブチルスルフィニル基、シクロヘキシルスルフィニル基、2−エチルヘキシルスルフィニル基、ドデシルスルフィニル基、フェニルスルフィニル基、ナフチルスルフィニル基、2−ピリジルスルフィニル基等)、アルキルスルホニル基(例えば、メチルスルホニル基、エチルスルホニル基、ブチルスルホニル基、シクロヘキシルスルホニル基、2−エチルヘキシルスルホニル基、ドデシルスルホニル基等)、アリールスルホニル基(フェニルスルホニル基、ナフチルスルホニル基、2−ピリジルスルホニル基等)、アミノ基(例えば、アミノ基、エチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ブチルアミノ基、シクロペンチルアミノ基、2−エチルヘキシルアミノ基、ドデシルアミノ基、アニリノ基、ナフチルアミノ基、2−ピリジルアミノ基等)、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等)、フッ化炭化水素基(例えば、フルオロメチル基、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、ペンタフルオロフェニル基等)、シアノ基、ニトロ基、ヒドロキシ基、メルカプト基、シリル基(例えば、トリメチルシリル基、トリイソプロピルシリル基、トリフェニルシリル基、フェニルジエチルシリル基等)、等が挙げられる。
これらの置換基は、上記の置換基によって更に置換されていてもよい。また、これらの置換基は複数が互いに結合して環を形成していてもよい。
一般式(OSC1)において、Z1またはZ2で表される芳香族炭化水素基、芳香族複素環基は、上記R1〜R6で各々表される置換基として記載されている芳香族炭化水素基、芳香族複素環基と各々同義である。
更に、下記一般式(OSC2)で表される化合物が好ましい。
式中、R7、R8は、各々水素原子または置換基を表し、Z1またはZ2は、芳香族炭化水素環または芳香族複素環を表し、n1またはn2は0〜3の整数を表す。
一般式(OSC2)において、R7またはR8で表される置換基は、般式(OSC1)においてR1〜R6で各々表される置換基と同義である。
また、Z1またはZ2で表される芳香族炭化水素基、芳香族複素環基は、上記R1〜R6で各々表される置換基として記載されている芳香族炭化水素基、芳香族複素環基と各々同義である。
前記一般式(OSC2)において、さらに、置換基R7及びR8が一般式(SG1)で表されることが好ましい。
式中、R9〜R11は置換基を表し、Xはケイ素(Si)、ゲルマニウム(Ge)またはスズ(Sn)を表す。
上記一般式(SG1)において、R9〜R11で表される置換基は、前記一般式(OSC1)におけるR1〜R6で表される置換基と同義である。
以下に、前記一般式(OSC2)で表される化合物の具体例を示すが、これらに限定されるものではない。
また、本発明の有機半導体材料は、下記に示すチオフェンオリゴマーを併用していてもよい。
《チオフェンオリゴマー》
本発明に用いられるチオフェンオリゴマーとしては、置換基を有するチオフェン環繰り返し単位と、無置換のチオフェン環繰り返し単位が、各々少なくとも2つ以上連続している部分構造を有するチオフェンオリゴマーを含み、且つ、該チオフェンオリゴマーに含まれるチオフェン環の環数が8〜40であるものである。前記チオフェン環の環数としては、8〜20の範囲が好ましい。更に好ましくは、チオフェンオリゴマーが下記一般式(1)で表される部分構造を有することである。
本発明に用いられるチオフェンオリゴマーとしては、置換基を有するチオフェン環繰り返し単位と、無置換のチオフェン環繰り返し単位が、各々少なくとも2つ以上連続している部分構造を有するチオフェンオリゴマーを含み、且つ、該チオフェンオリゴマーに含まれるチオフェン環の環数が8〜40であるものである。前記チオフェン環の環数としては、8〜20の範囲が好ましい。更に好ましくは、チオフェンオリゴマーが下記一般式(1)で表される部分構造を有することである。
上記チオフェン環はアルキル基などの置換基を有していても、また無置換のものでもよいが、分子内に置換基、特にアルキル基を有するチオフェン環が含まれることが好ましく、置換基を有するチオフェン環と無置換のチオフェン環の両者が含まれることがより好ましい。
更に、前記チオフェン環が2つ以上連結していることが好ましく、更に好ましくは、連結するチオフェン環の数は2〜10である。
式中、Rは置換基を表す。
《一般式(1)で表されるチオフェンオリゴマー》
前記一般式(1)で表されるチオフェンオリゴマーについて説明する。
前記一般式(1)で表されるチオフェンオリゴマーについて説明する。
一般式(1)において、Rで表される置換基としては、例えば、アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基等)、シクロアルキル基(例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等)、アルケニル基(例えば、ビニル基、アリル基等)、アルキニル基(例えば、エチニル基、プロパルギル基等)、アリール基(例えば、フェニル基、p−クロロフェニル基、メシチル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基、アントリル基、アズレニル基、アセナフテニル基、フルオレニル基、フェナントリル基、インデニル基、ピレニル基、ビフェニリル基等)、芳香族複素環基(例えば、フリル基、チエニル基、ピリジル基、ピリダジル基、ピリミジル基、ピラジル基、トリアジル基、イミダゾリル基、ピラゾリル基、チアゾリル基、ベンゾイミダゾリル基、ベンゾオキサゾリル基、キナゾリル基、フタラジル基等)、複素環基(例えば、ピロリジル基、イミダゾリジル基、モルホリル基、オキサゾリジル基等)、アルコキシル基(例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロピルオキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、オクチルオキシ基、ドデシルオキシ基等)、シクロアルコキシル基(例えば、シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基等)、アリールオキシ基(例えば、フェノキシ基、ナフチルオキシ基等)、アルキルチオ基(例えば、メチルチオ基、エチルチオ基、プロピルチオ基、ペンチルチオ基、ヘキシルチオ基、オクチルチオ基、ドデシルチオ基等)、シクロアルキルチオ基(例えば、シクロペンチルチオ基、シクロヘキシルチオ基等)、アリールチオ基(例えば、フェニルチオ基、ナフチルチオ基等)、アルコキシカルボニル基(例えば、メチルオキシカルボニル基、エチルオキシカルボニル基、ブチルオキシカルボニル基、オクチルオキシカルボニル基、ドデシルオキシカルボニル基等)、アリールオキシカルボニル基(例えば、フェニルオキシカルボニル基、ナフチルオキシカルボニル基等)、スルファモイル基(例えば、アミノスルホニル基、メチルアミノスルホニル基、ジメチルアミノスルホニル基、ブチルアミノスルホニル基、ヘキシルアミノスルホニル基、シクロヘキシルアミノスルホニル基、オクチルアミノスルホニル基、ドデシルアミノスルホニル基、フェニルアミノスルホニル基、ナフチルアミノスルホニル基、2−ピリジルアミノスルホニル基等)、アシル基(例えば、アセチル基、エチルカルボニル基、プロピルカルボニル基、ペンチルカルボニル基、シクロヘキシルカルボニル基、オクチルカルボニル基、2−エチルヘキシルカルボニル基、ドデシルカルボニル基、フェニルカルボニル基、ナフチルカルボニル基、ピリジルカルボニル基等)、アシルオキシ基(例えば、アセチルオキシ基、エチルカルボニルオキシ基、ブチルカルボニルオキシ基、オクチルカルボニルオキシ基、ドデシルカルボニルオキシ基、フェニルカルボニルオキシ基等)、アミド基(例えば、メチルカルボニルアミノ基、エチルカルボニルアミノ基、ジメチルカルボニルアミノ基、プロピルカルボニルアミノ基、ペンチルカルボニルアミノ基、シクロヘキシルカルボニルアミノ基、2−エチルヘキシルカルボニルアミノ基、オクチルカルボニルアミノ基、ドデシルカルボニルアミノ基、フェニルカルボニルアミノ基、ナフチルカルボニルアミノ基等)、カルバモイル基(例えば、アミノカルボニル基、メチルアミノカルボニル基、ジメチルアミノカルボニル基、プロピルアミノカルボニル基、ペンチルアミノカルボニル基、シクロヘキシルアミノカルボニル基、オクチルアミノカルボニル基、2−エチルヘキシルアミノカルボニル基、ドデシルアミノカルボニル基、フェニルアミノカルボニル基、ナフチルアミノカルボニル基、2−ピリジルアミノカルボニル基等)、ウレイド基(例えば、メチルウレイド基、エチルウレイド基、ペンチルウレイド基、シクロヘキシルウレイド基、オクチルウレイド基、ドデシルウレイド基、フェニルウレイド基、ナフチルウレイド基、2−ピリジルアミノウレイド基等)、スルフィニル基(例えば、メチルスルフィニル基、エチルスルフィニル基、ブチルスルフィニル基、シクロヘキシルスルフィニル基、2−エチルヘキシルスルフィニル基、ドデシルスルフィニル基、フェニルスルフィニル基、ナフチルスルフィニル基、2−ピリジルスルフィニル基等)、アルキルスルホニル基(例えば、メチルスルホニル基、エチルスルホニル基、ブチルスルホニル基、シクロヘキシルスルホニル基、2−エチルヘキシルスルホニル基、ドデシルスルホニル基等)、アリールスルホニル基(例えば、フェニルスルホニル基、ナフチルスルホニル基、2−ピリジルスルホニル基等)、アミノ基(例えば、アミノ基、エチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ブチルアミノ基、シクロペンチルアミノ基、2−エチルヘキシルアミノ基、ドデシルアミノ基、アニリノ基、ナフチルアミノ基、2−ピリジルアミノ基等)、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等)、フッ化炭化水素基(例えば、フルオロメチル基、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、ペンタフルオロフェニル基等)、シアノ基、シリル基(例えば、トリメチルシリル基、トリイソプロピルシリル基、トリフェニルシリル基、フェニルジエチルシリル基等)等が挙げられる。
これらの置換基は上記の置換基によって更に置換されていても、複数が互いに結合して環を形成していてもよい。
中でも好ましい置換基は、アルキル基であり、更に好ましくは、炭素原子数が2〜20のアルキル基であり、特に好ましくは、炭素原子数6〜12のアルキル基である。
《チオフェンオリゴマーの末端基》
本発明に用いられるチオフェンオリゴマーの末端基について説明する。
本発明に用いられるチオフェンオリゴマーの末端基について説明する。
本発明に用いられるチオフェンオリゴマーの末端基は、チエニル基をもたないことが好ましく、また、前記末端基として好ましい基としては、アリール基(例えば、フェニル基、p−クロロフェニル基、メシチル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基、アントリル基、アズレニル基、アセナフテニル基、フルオレニル基、フェナントリル基、インデニル基、ピレニル基、ビフェニリル基等)、アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基等)、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等)等が挙げられる。
《チオフェンオリゴマーの繰り返し単位の立体構造的特性》
本発明に用いられるチオフェンオリゴマーは、構造中に、Head−to−Head構造を持たないことが好ましく、加えて、更に好ましくは、前記構造中に、Head−to−Tail構造、または、Tail−to−Tail構造を有することが好ましい。
本発明に用いられるチオフェンオリゴマーは、構造中に、Head−to−Head構造を持たないことが好ましく、加えて、更に好ましくは、前記構造中に、Head−to−Tail構造、または、Tail−to−Tail構造を有することが好ましい。
本発明に係るHead−to−Head構造、Head−to−Tail構造、Tail−to−Tail構造については、例えば、『π電子系有機固体』(1998年、学会出版センター発行、日本化学界編)27〜32頁、Adv.Mater.1998,10,No.2,93〜116頁等により参照出来るが、ここで、具体的に各々の構造的特徴を下記に示す。
ここにおいてRは前記一般式(1)におけるRと同義である。
以下、本発明に用いられるこれらチオフェンオリゴマーの具体例を示すが、本発明はこれらに限定されない。
これらのチオフェンオリゴマーの製造は、特開2006−024908号公報の記載を参照して行うことができる。
《有機半導体材料(有機半導体分子ともいう)の分子量》
本発明に係る有機半導体材料としては、半導体として機能するものであれば、どのような有機化合物を選択してもよいが、分子量100〜5000の範囲が好ましい。
本発明に係る有機半導体材料としては、半導体として機能するものであれば、どのような有機化合物を選択してもよいが、分子量100〜5000の範囲が好ましい。
ここで、分子量は、当該業者周知の質量分析装置を用いて測定するが、分子量分布を示す化合物(オリゴマーや高分子等)の分子量(本願では、オリゴマー、高分子の分子量としては、重量平均分子量Mwを用いる。)、該分子量分布の測定は、市販のGPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフ)法などを用いて測定する。
(重量平均分子量(Mw)の測定及び分子量分布(Mw/Mn)について)
本発明に係る有機半導体材料の分子量は、上記のように100〜5000の範囲が好ましい。更に、前記有機半導体材料が、オリゴマー、高分子のように分子量分布(Mw/Mn)を有するような場合、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比率(分子量分布)は、3以下であることが好ましい。
本発明に係る有機半導体材料の分子量は、上記のように100〜5000の範囲が好ましい。更に、前記有機半導体材料が、オリゴマー、高分子のように分子量分布(Mw/Mn)を有するような場合、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比率(分子量分布)は、3以下であることが好ましい。
本発明に係る有機半導体材料の重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)の測定は、THF(テトラヒドロフラン)をカラム溶媒として用いるGPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)を用いて分子量測定を行うことができる。
本発明に係る有機半導体材料の重量平均分子量(Mw)の測定について説明する。
具体的には、測定試料を1mgに対してTHF(脱気処理を行ったものを用いる)を1ml加え、室温下にてマグネチックスターラーを用いて撹拌を行い、充分に溶解させる。ついで、ポアサイズ0.45μm〜0.50μmのメンブランフィルターで処理した後に、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフ)装置に注入する。
GPC測定条件は、40℃にてカラムを安定化させ、THF(テトラヒドロフラン)を毎分1mlの流速で流し、1mg/mlの濃度の試料を約100μl注入して測定する。
カラムとしては、市販のポリスチレンジェルカラムを組み合わせて使用することが好ましい。例えば、昭和電工社製のShodex GPC KF−801、802、803、804、805、806、807の組合せや、東ソー社製のTSKgelG1000H、G2000H、G3000H、G4000H、G5000H、G6000H、G7000H、TSK guard column等の組合せ等が好ましい。
検出器としては、屈折率検出器(RI検出器)、あるいはUV検出器が好ましく用いられる。試料の分子量測定では、試料の有する分子量分布を単分散のポリスチレン標準粒子を用いて作成した検量線を用いて算出する。検量線作成用のポリスチレンとしては10点程度用いることが好ましい。
本発明では、下記の測定条件にて分子量測定を行った。
(測定条件)
装置:東ソー高速GPC装置 HLC−8220GPC
カラム:TOSOH TSKgel Super HM−M
検出器:RI及び/またはUV
溶出液流速:0.6ml/分
試料濃度:0.1質量%
試料量:100μl
検量線:標準ポリスチレンにて作製:標準ポリスチレンSTK standard ポリスチレン(東ソー(株)製)Mw=1000000〜500迄の13サンプルを用いて検量線(校正曲線ともいう)を作成、分子量の算出に使用した。13サンプルは、ほぼ等間隔にすることが好ましい。
装置:東ソー高速GPC装置 HLC−8220GPC
カラム:TOSOH TSKgel Super HM−M
検出器:RI及び/またはUV
溶出液流速:0.6ml/分
試料濃度:0.1質量%
試料量:100μl
検量線:標準ポリスチレンにて作製:標準ポリスチレンSTK standard ポリスチレン(東ソー(株)製)Mw=1000000〜500迄の13サンプルを用いて検量線(校正曲線ともいう)を作成、分子量の算出に使用した。13サンプルは、ほぼ等間隔にすることが好ましい。
また、本発明においては、有機半導体層に、たとえば、アクリル酸、アセトアミド、ジメチルアミノ基、シアノ基、カルボキシル基、ニトロ基などの官能基を有する材料や、ベンゾキノン誘導体、テトラシアノエチレンおよびテトラシアノキノジメタンやそれらの誘導体などのように電子を受容するアクセプターとなる材料や、たとえばアミノ基、トリフェニル基、アルキル基、水酸基、アルコキシ基、フェニル基などの官能基を有する材料、フェニレンジアミンなどの置換アミン類、アントラセン、ベンゾアントラセン、置換ベンゾアントラセン類、ピレン、置換ピレン、カルバゾールおよびその誘導体、テトラチアフルバレンとその誘導体などのように電子の供与体であるドナーとなるような材料を含有させ、いわゆるドーピング処理を施してもよい。
前記ドーピングとは電子授与性分子(アクセプター)または電子供与性分子(ドナー)をドーパントとして該薄膜に導入することを意味する。従って,ドーピングが施された薄膜は、前記の縮合多環芳香族化合物とドーパントを含有する薄膜である。本発明に用いるドーパントとしては公知のものを採用することができる。
これらの有機半導体層の形成は、本発明においては、スピンコート、ディップコート、バーコート法、ダイコート法、スプレーコート法、およびLB法等、またスクリーン印刷、インクジェット印刷、ブレード塗布などの溶液による塗布方法を用いて行うことができる。
この中で生産性の点で、有機半導体の溶液を用いて簡単かつ精密に薄膜が形成できるスピンコート法、ブレードコート法、デイップコート法、ロールコート法、バーコート法、ダイコート法等が好ましい。
また、これら結晶性有機半導薄膜を、有機半導体溶液を塗布する方法により作製する場合、有機半導体材料溶液を構成する溶媒としては任意の溶媒を用いることができる。例えば、炭化水素系、アルコール系、エーテル系、エステル系、ケトン系、グリコールエーテル系など広範囲の適度の蒸気圧或いは沸点を有する有機溶媒から、有機半導体薄膜を得ようとする有機半導体化合物に応じて適宜選択されるが、沸点で、60℃〜150℃の範囲に常圧沸点を有する溶媒類が、前記、結晶化界面、或いは、塗布液端面における溶媒の適度な蒸発速度をもつため好ましい。
例えば、ジエチルエーテルやジイソプロピルエーテル等の鎖状エーテル系溶媒、テトラヒドロフランやジオキサンなどの環状エーテル系溶媒、アセトンやメチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶媒、キシレン、トルエン等の芳香族炭化水素系溶媒、o−ジクロロベンゼン、ニトロベンゼン、m−クレゾール等の芳香族系溶媒、ヘキサン、シクロヘキサン、トリデカンなどの脂肪族炭化水素溶媒、α−テルピネオール、また、クロロホルムや1,2−ジクロロエタン等のハロゲン化アルキル系溶媒、N−メチルピロリドン、2硫化炭素等を好適に用いることができるが、特に、芳香族炭化水素系溶媒、例えば、トルエン、キシレン等が好ましい溶媒として挙げられる。
塗布装置、また結晶化雰囲気を減圧とすれば、この制限はなくなるが、装置が大がかりとなる。
本発明の製造方法によって形成される有機半導体薄膜(層)の膜厚としては、高いトランジスタ特性を得る観点から、1μm以下、特に10nm〜300nmの範囲に調整することが好ましい。
《有機半導体材料の融点》
本発明に係る有機半導体材料の融点について説明する。
本発明に係る有機半導体材料の融点について説明する。
本発明に係る有機半導体材料の融点としては、高温において周囲からの水分、酸素等の影響をなくし、材料自体の分解等を防止し、高性能の有機半導体層を得る観点から、50℃〜200℃の範囲の有機半導体材料を用いることが好ましい。
《有機半導体層の形成方法》
有機半導体層を形成する方法としては、真空蒸着法やMBE(Molecular Beam Epitaxy)法、イオンクラスタービーム法、低エネルギーイオンビーム法、イオンプレーティング法、スパッター法、などの物理的気相成長法(PVD法)や化学的気相成長法(CVD法)のようなドライプロセス、スピンコート法やスクリーン印刷法、インクジェット印刷法、エアドクタコーター法、ブレードコーター法、ロッドコーター法、ナイフコーター法、スクイズコーター法、リバースロールコーター法、トランスファーロールコーター法、グラビアコーター法、キスコーター法、キャストコーター法、スプレーコーター法、スリットオリフィスコーター法、カレンダーコーター法、浸漬法、スプレー法、滴下法、ラングミャー・ブロジェット法などといった溶液プロセスを挙げることができ、用いる有機半導体材料に応じてこれらの中から適切な方法を用いればよい。
有機半導体層を形成する方法としては、真空蒸着法やMBE(Molecular Beam Epitaxy)法、イオンクラスタービーム法、低エネルギーイオンビーム法、イオンプレーティング法、スパッター法、などの物理的気相成長法(PVD法)や化学的気相成長法(CVD法)のようなドライプロセス、スピンコート法やスクリーン印刷法、インクジェット印刷法、エアドクタコーター法、ブレードコーター法、ロッドコーター法、ナイフコーター法、スクイズコーター法、リバースロールコーター法、トランスファーロールコーター法、グラビアコーター法、キスコーター法、キャストコーター法、スプレーコーター法、スリットオリフィスコーター法、カレンダーコーター法、浸漬法、スプレー法、滴下法、ラングミャー・ブロジェット法などといった溶液プロセスを挙げることができ、用いる有機半導体材料に応じてこれらの中から適切な方法を用いればよい。
本発明の有機薄膜トランジスタにおいては、上記のプロセスのうち、溶液プロセスで有機半導体層を形成することが好ましい。溶液プロセスで形成することができれば工程数の大幅な削減ができ、簡便な工程で有機薄膜トランジスタを形成することができるだけでなく、ドライプロセスで形成するよりも大きな結晶を形成することが可能であり、ひいては良好な移動度を有する有機薄膜トランジスタを形成することができる。
尚、一般に結晶サイズが大きくなると有機薄膜トランジスタの移動度は向上するが、他方で移動度の異方性も大きくなり、トランジスタ素子間のバラツキも大きくなる傾向があるが、本発明の電極形状であればこのようなバラツキも小さく抑えることが可能である。
しかし、一般に上記の縮合多環芳香族化合物や共役系化合物は溶解性に乏しく、可溶性の有機半導体材料とするためには、上記のような有機半導体材料に、アルキル基、アルキルシリル基、シクロアルキル基、アリール基等の置換基を付与することによって、溶媒に可溶化された有機半導体材料を用いることが好ましい。
このような可溶性の有機半導体材料としては、ポリ(3−ヘキシルチオフェン)や特開2003−292588号公報および特開2005−76030号公報に記載されているような、アルキル基を有するポリチオフェン系化合物、J.Am.Chem.Soc.,vol.127(2005),4986頁に記載されているような、トリアルキルシリルエチニル基を有するようなアセン化合物およびヘテロアセン化合物、また特開2003−304104号公報に記載されている、ビシクロ環のような立体的な環状構造を有するポルフィリン化合物などを挙げることができる。
また、有機半導体層を溶液プロセスで形成する場合、有機半導体材料を溶解していた溶媒が有機半導体層の外縁部から蒸発するため、有機半導体材料は有機半導体層の外縁部から固化・結晶化が起き、中心部に向かって結晶が成長するが、この場合、中心に向かって多数の結晶が成長するため、前記第1の電極は、前記有機半導体層の中心近傍の1点から4本以上に放射状に分岐した形状とすることで、より有機半導体層の結晶構造に適した電極となり、より良好なトランジスタ特性およびバラツキの低減を達成することができる。
また、外縁部から中心部へと向かって成長する結晶では、同一の巾で結晶が成長することはできないため、複雑なラメラ構造の結晶となることが多い。そのため、前記第1の電極における分岐構造を有機半導体層の中心近傍の1箇所以外にも複数箇所に設定することで、より有機半導体層の結晶構造に適した電極となり、さらに良好なトランジスタ特性およびバラツキの低減を達成することができる。
(塗布液の供給方法)
本発明に係る塗布液の供給方法について説明する。
本発明に係る塗布液の供給方法について説明する。
本発明の有機半導体層の作製方法においては、基板の表面に対して、少なくとも溶媒と有機半導体材料とを含む塗布液(溶液でも、分散液のどちらでもよい)を基板に供給するわけであるが、この塗布液の液供給方法としては、各種方式を適用できるが、塗布液の滴下位置を正確にコントロールする観点からは、インクジェット塗布方法が好ましい。
特にインクジェット塗布方法は、従来公知の他の塗布手段と比較して、最も少量の塗工液で高精細なパターニングが可能隣るため、本発明においては好ましく用いられる。
また、塗布液の塗布方式としては、ブレードコータ、バーコータ、キスコータ、グラビアコータ、フレキソコータ、ナイフコータ、カーテンコータ、スピンコータのうちの少なくとも一つの手段を併用してもよい。
《溶液または分散液の調製》
本発明に係る有機半導体材料は適当な有機溶媒(後述する)と混合し、溶液または分散液として用いることができる。
本発明に係る有機半導体材料は適当な有機溶媒(後述する)と混合し、溶液または分散液として用いることができる。
本発明の有機半導体材料を含有する溶液を用いて有機半導体層を作製する場合、使用する有機溶媒は何を用いても構わず、また2種以上の有機溶媒を混合して用いてもよいが、好ましくは非ハロゲン系の溶媒を1種以上含んでおり、より好ましくは非ハロゲン系の溶媒のみで構成されていることが望ましい。
(室温で溶液または分散液)
本発明の有機半導体層(有機半導体膜ともいう)は、有機半導体材料を下記に示す有機溶媒と混合して調製した、室温で溶液または分散液を用いて膜形成する工程を経て作製されることが好ましい。ここで、室温で溶液または分散液とは、有機半導体材料と有機溶媒とを10℃〜80℃の条件下で混合した時に、溶液または分散液が形成されることが好ましく、分散液とは、有機半導体材料が粒子状に分散された状態を表すが、分散液中に、有機半導体材料が部分的溶解している状態も含まれる。
本発明の有機半導体層(有機半導体膜ともいう)は、有機半導体材料を下記に示す有機溶媒と混合して調製した、室温で溶液または分散液を用いて膜形成する工程を経て作製されることが好ましい。ここで、室温で溶液または分散液とは、有機半導体材料と有機溶媒とを10℃〜80℃の条件下で混合した時に、溶液または分散液が形成されることが好ましく、分散液とは、有機半導体材料が粒子状に分散された状態を表すが、分散液中に、有機半導体材料が部分的溶解している状態も含まれる。
また、分散液の一態様としては、例えば、80℃の温度条件下では溶解し、溶液を形成するが、室温(通常25℃前後の温度を示す)に戻すと有機半導体材料の粒子、凝集体、析出物等が有機溶媒中に分散されている状態等を挙げることが出来る。
(有機溶媒)
上記の溶液または分散液の調製に用いる有機溶媒としては、特に制限はなく、単一溶媒でも混合溶媒でもよいが、好ましくは、非ハロゲン系溶媒が用いられる。本発明に用いられる非ハロゲン系溶媒としては、ヘキサン、オクタンなどの脂肪族系、シクロヘキサンなどの脂環式系溶媒、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族系溶媒、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチレングリコールジエチルエーテル、アニソール、ベンジルエチルエーテル、エチルフェニルエーテル、ジフェニルエーテル、メチル−t−ブチルエーテル等のエーテル系溶媒、酢酸メチル、酢酸エチル、エチルセロソルブ等のエステル系溶媒、メタノール、エタノール、イソプロパノール等のアルコール系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、2−ヘキサノン、2−ヘプタノン、3−ヘプタノン等のケトン系溶媒、その他ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ジエチルホルムアミド、1,3−ジオキソラン等が挙げられる。
上記の溶液または分散液の調製に用いる有機溶媒としては、特に制限はなく、単一溶媒でも混合溶媒でもよいが、好ましくは、非ハロゲン系溶媒が用いられる。本発明に用いられる非ハロゲン系溶媒としては、ヘキサン、オクタンなどの脂肪族系、シクロヘキサンなどの脂環式系溶媒、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族系溶媒、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチレングリコールジエチルエーテル、アニソール、ベンジルエチルエーテル、エチルフェニルエーテル、ジフェニルエーテル、メチル−t−ブチルエーテル等のエーテル系溶媒、酢酸メチル、酢酸エチル、エチルセロソルブ等のエステル系溶媒、メタノール、エタノール、イソプロパノール等のアルコール系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、2−ヘキサノン、2−ヘプタノン、3−ヘプタノン等のケトン系溶媒、その他ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ジエチルホルムアミド、1,3−ジオキソラン等が挙げられる。
また、併用される有機溶剤は、特に制限されるものではないが、好ましいものとしては、メタノール、エタノール、イソプロパノール、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ピロリドン、N−メチルピロリドン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸ブチル、β−メトキシプロピオン酸メチル、β−エトキシプロピオン酸エチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、トルエン、キシレン、ヘキサン、リモネン、シクロヘキサンなどが挙げられる。これらの有機溶媒は2種類以上を組合せて用いることもできる。
また、エステル系溶剤としては、オキシイソ酪酸アルキルエステル等を用いてもよく、オキシイソ酪酸エステルとしては、α−メトキシイソ酪酸メチル、α−メトキシイソ酪酸エチル、α−エトキシイソ酪酸メチル、α−エトキシイソ酪酸エチルなどのα−アルコキシイソ酪酸アルキルエステル;β−メトキシイソ酪酸メチル、β−メトキシイソ酪酸エチル、β−エトキシイソ酪酸メチル、β−エトキシイソ酪酸エチルなどのβ−アルコキシイソ酪酸アルキルエステル;およびα−ヒドロキシイソ酪酸メチル、α−ヒドロキシイソ酪酸エチルなどのα−ヒドロキシイソ酪酸アルキルエステルが挙げられ、特にα−メトキシイソ酪酸メチル、β−メトキシイソ酪酸メチル、β−エトキシイソ酪酸メチルまたはα−ヒドロキシイソ酪酸メチル等を用いることができる。
《有機半導体層の膜厚》
これら有機半導体膜の膜厚としては、特に制限はないが、得られたトランジスタの特性は、有機半導体膜の膜厚に大きく左右される場合が多く、その膜厚は、有機半導体により異なるが、一般に10nm〜1μm、好ましくは、20nm〜500nm、より好ましくは30nm〜300nmである。
これら有機半導体膜の膜厚としては、特に制限はないが、得られたトランジスタの特性は、有機半導体膜の膜厚に大きく左右される場合が多く、その膜厚は、有機半導体により異なるが、一般に10nm〜1μm、好ましくは、20nm〜500nm、より好ましくは30nm〜300nmである。
《ドーピング処理》
有機半導体層の作製において、適用可能なドーピング処理について説明する。
有機半導体層の作製において、適用可能なドーピング処理について説明する。
有機半導体薄層の形成には、例えば、アクリル酸、アセトアミド、ジメチルアミノ基、シアノ基、カルボキシル基、ニトロ基などの官能基を有する材料や、ベンゾキノン誘導体、テトラシアノエチレンおよびテトラシアノキノジメタンやそれらの誘導体などのように電子を受容するアクセプターとなる材料や、たとえばアミノ基、トリフェニル基、アルキル基、水酸基、アルコキシ基、フェニル基などの官能基を有する材料、フェニレンジアミンなどの置換アミン類、アントラセン、ベンゾアントラセン、置換ベンゾアントラセン類、ピレン、置換ピレン、カルバゾールおよびその誘導体、テトラチアフルバレンとその誘導体などのように電子の供与体であるドナーとなるような材料を同時に融解、含有させ、いわゆるドーピング処理を施してもよい。
前記ドーピングとは電子授与性分子(アクセクター)または電子供与性分子(ドナー)をドーパントとして該薄膜に導入することを意味する。従って、ドーピングが施された薄膜は、前記の縮合多環芳香族化合物とドーパントを含有する薄膜である。本発明に用いるドーパントとしてアクセプター、ドナーのいずれも使用可能であり、公知の材料、プロセスを用いることができる。
《ソース電極、ドレイン電極、ゲート電極》
本発明の薄膜トランジスタ素子において、ソース電極、ドレイン電極及びゲート電極を形成する材料は導電性材料であれば特に限定されず、各々の電極は公知の方法、公知の電極材料にて形成される。電極材料としては導電性材料であれば特に限定されず、白金、金、銀、ニッケル、クロム、銅、鉄、錫、アンチモン鉛、タンタル、インジウム、パラジウム、テルル、レニウム、イリジウム、アルミニウム、ルテニウム、ゲルマニウム、モリブデン、タングステン、酸化スズ・アンチモン、酸化インジウム・スズ(ITO)、フッ素ドープ酸化亜鉛、亜鉛、炭素、グラファイト、グラッシーカーボン、銀ペーストおよびカーボンペースト、リチウム、ベリリウム、ナトリウム、マグネシウム、カリウム、カルシウム、スカンジウム、チタン、マンガン、ジルコニウム、ガリウム、ニオブ、ナトリウム、ナトリウム−カリウム合金、マグネシウム、リチウム、アルミニウム、マグネシウム/銅混合物、マグネシウム/銀混合物、マグネシウム/アルミニウム混合物、マグネシウム/インジウム混合物、アルミニウム/酸化アルミニウム混合物、リチウム/アルミニウム混合物等が用いられる。あるいはドーピング等で導電率を向上させた公知の導電性ポリマー、例えば導電性ポリアニリン、導電性ポリピロール、導電性ポリチオフェン(ポリエチレンジオキシチオフェンとポリスチレンスルホン酸の錯体など)も好適に用いられる。
本発明の薄膜トランジスタ素子において、ソース電極、ドレイン電極及びゲート電極を形成する材料は導電性材料であれば特に限定されず、各々の電極は公知の方法、公知の電極材料にて形成される。電極材料としては導電性材料であれば特に限定されず、白金、金、銀、ニッケル、クロム、銅、鉄、錫、アンチモン鉛、タンタル、インジウム、パラジウム、テルル、レニウム、イリジウム、アルミニウム、ルテニウム、ゲルマニウム、モリブデン、タングステン、酸化スズ・アンチモン、酸化インジウム・スズ(ITO)、フッ素ドープ酸化亜鉛、亜鉛、炭素、グラファイト、グラッシーカーボン、銀ペーストおよびカーボンペースト、リチウム、ベリリウム、ナトリウム、マグネシウム、カリウム、カルシウム、スカンジウム、チタン、マンガン、ジルコニウム、ガリウム、ニオブ、ナトリウム、ナトリウム−カリウム合金、マグネシウム、リチウム、アルミニウム、マグネシウム/銅混合物、マグネシウム/銀混合物、マグネシウム/アルミニウム混合物、マグネシウム/インジウム混合物、アルミニウム/酸化アルミニウム混合物、リチウム/アルミニウム混合物等が用いられる。あるいはドーピング等で導電率を向上させた公知の導電性ポリマー、例えば導電性ポリアニリン、導電性ポリピロール、導電性ポリチオフェン(ポリエチレンジオキシチオフェンとポリスチレンスルホン酸の錯体など)も好適に用いられる。
ソース電極またドレイン電極を形成する材料としては、上に挙げた中でも半導体層との接触面において電気抵抗が少ないものが好ましく、p型半導体の場合は特に、白金、金、銀、ITO、導電性ポリマーおよび炭素が好ましい。
ソース電極またドレイン電極とする場合は、上記の導電性材料を含む、溶液、ペースト、インク、分散液などの流動性電極材料を用いて形成したもの、特に、導電性ポリマー、または白金、金、銀、銅を含有する金属微粒子を含む流動性電極材料が好ましい。
また、溶媒や分散媒体としては、有機半導体へのダメージを抑制するため、水を60%以上、好ましくは90%以上含有する溶媒または分散媒体であることが好ましい。
金属微粒子を含有する流動性電極材料としては、たとえば公知の導電性ペーストなどを用いても良いが、好ましくは、粒子径が1nm〜50nm、好ましくは1nm〜10nmの金属微粒子を、必要に応じて分散安定剤を用いて、水や任意の有機溶剤である分散媒中に分散した材料である。
金属微粒子の材料としては、白金、金、銀、ニッケル、クロム、銅、鉄、錫、アンチモン鉛、タンタル、インジウム、パラジウム、テルル、レニウム、イリジウム、アルミニウム、ルテニウム、ゲルマニウム、モリブデン、タングステン、亜鉛等を用いることができる。
このような金属微粒子の分散物の製造方法として、ガス中蒸発法、スパッタリング法、金属蒸気合成法などの物理的生成法や、コロイド法、共沈法などの、液相で金属イオンを還元して金属微粒子を生成する化学的生成法が挙げられるが、好ましくは、特開平11−76800号公報、同11−80647号公報、同11−319538号公報、特開2000−239853号公報等に示されたコロイド法、特開2001−254185号公報、同2001−53028号公報、同2001−35255号公報、同2000−124157号公報、同2000−123634号公報などに記載されたガス中蒸発法により製造された金属微粒子の分散物である。
これらの金属微粒子分散物を用いて電極を成形し、溶媒を乾燥させた後、必要に応じて100℃〜300℃、好ましくは、150℃〜200℃の温度範囲で形状様に加熱することにより、金属微粒子を熱融着させ、目的の形状を有する電極パターンを形成するものである。
電極の形成方法としては、上記を原料として蒸着やスパッタリング等の方法を用いて形成した導電性薄膜を、公知のフォトリソグラフ法やリフトオフ法を用いて電極形成する方法、アルミニウムや銅などの金属箔上に熱転写、インクジェット等により、レジストを形成しエッチングする方法がある。また導電性ポリマーの溶液あるいは分散液、金属微粒子を含有する分散液等を直接インクジェット法によりパターニングしてもよいし、塗工膜からリソグラフやレーザーアブレーションなどにより形成してもよい。
更に、導電性ポリマーや金属微粒子を含有する導電性インク、導電性ペーストなどを凸版、凹版、平版、スクリーン印刷などの印刷法でパターニングする方法も用いることができる。
本発明に係る、ソース電極及びドレイン電極は、特にフォトリソグラフ法を用いて形成することが好ましく、この場合、有機半導体保護層に接して層の全面に光感応性樹脂の溶液を塗布し、光感応性樹脂層を形成する。
光感応性樹脂層としては、公知の感光性樹脂が使用できる。パターン露光後、光感応性樹脂層を現像してパターニング後電極形成する。ソース電極及びドレイン電極の材料として金属微粒子含有分散体を用いる場合、必要に応じて熱融着する。
《ゲート絶縁層》
本発明の有機薄膜トランジスタ素子のゲート絶縁層としては種々の絶縁膜を用いることができるが、特に、比誘電率の高い無機酸化物皮膜が好ましい。無機酸化物としては、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化タンタル、酸化チタン、酸化スズ、酸化バナジウム、チタン酸バリウムストロンチウム、ジルコニウム酸チタン酸バリウム、ジルコニウム酸チタン酸鉛、チタン酸鉛ランタン、チタン酸ストロンチウム、チタン酸バリウム、フッ化バリウムマグネシウム、チタン酸ビスマス、チタン酸ストロンチウムビスマス、タンタル酸ストロンチウムビスマス、タンタル酸ニオブ酸ビスマス、トリオキサイドイットリウムなどが挙げられる。それらのうち好ましいのは、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化タンタル、酸化チタンである。窒化ケイ素、窒化アルミニウム等の無機窒化物も好適に用いることができる。
本発明の有機薄膜トランジスタ素子のゲート絶縁層としては種々の絶縁膜を用いることができるが、特に、比誘電率の高い無機酸化物皮膜が好ましい。無機酸化物としては、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化タンタル、酸化チタン、酸化スズ、酸化バナジウム、チタン酸バリウムストロンチウム、ジルコニウム酸チタン酸バリウム、ジルコニウム酸チタン酸鉛、チタン酸鉛ランタン、チタン酸ストロンチウム、チタン酸バリウム、フッ化バリウムマグネシウム、チタン酸ビスマス、チタン酸ストロンチウムビスマス、タンタル酸ストロンチウムビスマス、タンタル酸ニオブ酸ビスマス、トリオキサイドイットリウムなどが挙げられる。それらのうち好ましいのは、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化タンタル、酸化チタンである。窒化ケイ素、窒化アルミニウム等の無機窒化物も好適に用いることができる。
上記皮膜の形成方法としては、真空蒸着法、分子線エピタキシャル成長法、イオンクラスタービーム法、低エネルギーイオンビーム法、イオンプレーティング法、CVD法、スパッタリング法、大気圧プラズマ法などのドライプロセスや、スプレーコート法、スピンコート法、ブレードコート法、デイップコート法、キャスト法、ロールコート法、バーコート法、ダイコート法などの塗布による方法、印刷やインクジェットなどのパターニングによる方法などのウェットプロセスが挙げられ、材料に応じて使用できる。
ウェットプロセスは、無機酸化物の微粒子を、任意の有機溶剤あるいは水に必要に応じて界面活性剤などの分散補助剤を用いて分散した液を塗布、乾燥する方法や、酸化物前駆体、例えばアルコキシド体の溶液を塗布、乾燥する、いわゆるゾルゲル法が用いられる。
これらのうち好ましいのは、上述した大気圧プラズマ法である。大気圧プラズマ法による絶縁被膜の形成は、例えば特開2003−179234号公報等に記載されている。
ゲート絶縁層が陽極酸化膜又は該陽極酸化膜と絶縁膜とで構成されることも好ましい。陽極酸化膜は封孔処理されることが望ましい。陽極酸化膜は、陽極酸化が可能な金属を公知の方法により陽極酸化することにより形成される。
陽極酸化処理可能な金属としては、アルミニウム又はタンタルを挙げることができ、陽極酸化処理の方法には特に制限はなく、公知の方法を用いることができる。陽極酸化処理を行なうことにより、酸化被膜が形成される。
陽極酸化処理に用いられる電解液としては、多孔質酸化皮膜を形成することができるものならばいかなるものでも使用でき、一般には、硫酸、燐酸、蓚酸、クロム酸、ホウ酸、スルファミン酸、ベンゼンスルホン酸等あるいはこれらを2種類以上組み合わせた混酸あるいそれらの塩が用いられる。
陽極酸化の処理条件は使用する電解液により種々変化するので一概に特定し得ないが、一般的には、電解液の濃度が1質量%〜80質量%、電解液の温度5℃〜70℃、電流密度0.5A/dm2〜60A/dm2、電圧1V〜100V、電解時間10秒〜5分の範囲が適当である。
好ましい陽極酸化処理は、電解液として硫酸、リン酸またはホウ酸の水溶液を用い、直流電流で処理する方法であるが、交流電流を用いることもできる。これらの酸の濃度は、5質量%〜45質量%であることが好ましく、電解液の温度は、20℃〜50℃、電流密度0.5A/dm2〜20A/dm2で20秒間〜250秒間電解処理するのが好ましい。
また、有機化合物皮膜としては、ポリイミド、ポリアミド、ポリエステル、ポリアクリレート、光ラジカル重合系、光カチオン重合系の光硬化性樹脂、あるいはアクリロニトリル成分を含有する共重合体、ポリビニルフェノール、ポリビニルアルコール、ノボラック樹脂、およびシアノエチルプルラン等を用いることもできる。
有機化合物皮膜の形成法としては、前記ウェットプロセスが好ましい。
無機酸化物皮膜と有機酸化物皮膜は積層して併用することができる。またこれら絶縁膜の膜厚としては、50nm〜3μmの範囲が好ましく、更に好ましくは、100nm〜1μmである。
ゲート絶縁層上に有機半導体を形成する場合、ゲート絶縁層表面に、任意の表面処理を施してもよい。シランカップリング剤、たとえばオクタデシルトリクロロシラン、オクチルトリクロロシラン、ヘキサメチルジシラザンや、アルカン燐酸、アルカンスルホン酸、アルカンカルボン酸などの自己組織化配向膜が好適に用いられる。
《基板》
本発明に用いられる基板(基盤、支持体等ともいう)について説明する。
本発明に用いられる基板(基盤、支持体等ともいう)について説明する。
基板を構成する支持体材料としては、種々の材料が利用可能であり、例えば、ガラス、石英、酸化アルミニウム、サファイア、チッ化珪素、炭化珪素などのセラミック基板、シリコン、ゲルマニウム、ガリウム砒素、ガリウム燐、ガリウム窒素など半導体基板、紙、不織布などを用いることができるが、本発明において支持体は樹脂からなることが好ましく、例えばプラスチックフィルムシートを用いることができる。プラスチックフィルムとしては、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリエーテルイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリフェニレンスルフィド、ポリアリレート、ポリイミド、ボリカーボネート(PC)、セルローストリアセテート(TAC)、セルロースアセテートプロピオネート(CAP)等からなるフィルム等が挙げられる。プラスチックフィルムを用いることで、ガラス基板を用いる場合に比べて軽量化を図ることができ、可搬性を高めることができるとともに、衝撃に対する耐性を向上できる。
また、本発明の有機薄膜トランジスタ素子上には素子保護層を設けることができる。保護層としては前述した無機酸化物または無機窒化物等が挙げられ、上述した大気圧プラズマ法で形成するのが好ましい。これにより、有機薄膜トランジスタ素子の耐久性が向上する。
本発明の薄膜トランジスタ素子においては、支持体がプラスチックフィルムの場合、無機酸化物及び無機窒化物から選ばれる化合物を含有する下引き層、及びポリマーを含む下引き層の少なくとも一方を有することが好ましい。
下引き層に含有される無機酸化物としては、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化タンタル、酸化チタン、等が挙げられる。また無機窒化物としては窒化ケイ素、窒化アルミニウム等が挙げられる。
それらのうち好ましいのは、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化タンタル、酸化チタン、窒化ケイ素である。
本発明において、無機酸化物及び無機窒化物から選ばれる化合物を含有する下引き層は上述した大気圧プラズマ法で形成されるのが好ましい。
ポリマーを含む下引き層に用いるポリマーとしては、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、セルロース樹脂、アクリル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリスチレン樹脂、フェノキシ樹脂、ノルボルネン樹脂、エポキシ樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、酢酸ビニルとビニルアルコールの共重合体、部分加水分解した塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−塩化ビニリデン共重合体、塩化ビニル−アクリロニトリル共重合体、エチレン−ビニルアルコール共重合体、ポリビニルアルコール、塩素化ポリ塩化ビニル、エチレン−塩化ビニル共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体等のビニル系重合体、ポリアミド樹脂、エチレン−ブタジエン樹脂、ブタジエン−アクリロニトリル樹脂等のゴム系樹脂、シリコーン樹脂、フッ素系樹脂等を挙げることができる。
《有機薄膜トランジスタ(電界効果トランジスタ及びスイッチング素子ともいう)》
本発明の有機薄膜トランジスタについて説明する。本発明の有機薄膜トランジスタは、本発明の有機薄膜トランジスタの製造方法を用いて製造されたものである。
本発明の有機薄膜トランジスタについて説明する。本発明の有機薄膜トランジスタは、本発明の有機薄膜トランジスタの製造方法を用いて製造されたものである。
その使用形態により、スイッチング素子、また有機TFT素子といわれることもあり、また、電界効果トランジスタ素子と呼ばれることがある。
上記の有機半導体材料は、有機薄膜トランジスタ(有機TFT)や電界効果トランジスタのチャネル層に用いられ、良好に駆動するスイッチング素子(トランジスタ装置ともいう)を提供することができる。
有機薄膜トランジスタは、有機TFTは、支持体上に、チャネルとして有機半導体チャネルで連結されたソース電極とドレイン電極を有し、その上にゲート絶縁層を介してゲート電極を有するトップゲート型と、支持体上にまずゲート電極を有し、ゲート絶縁層を介して有機半導体チャネルで連結されたソース電極とドレイン電極を有するボトムゲート型に大別される。
本発明の有機薄膜トランジスタは、上記のトップゲート型、ボトムゲート型のいずれにおいても、有機半導体層がワックス材料により構成された保護層を有することが特徴である。
ちなみに、図1の(d)は、後述する実施例1の本発明の有機薄膜トランジスタ4の模式的断面図を示す。図1(a)〜(d)で示されるトランジスタの作製工程の詳細は、実施例1で説明する。
図1(d)では、本発明の有機薄膜トランジスタの一例を示しており、基板11のSiウェハ1がボトムゲート電極を兼ね、基板11の絶縁層2上にソース電極4、ドレイン電極5、前記ソース電極4と前記ドレイン電極間5との間のチャネル領域22に有機半導体層3が設けられ、更に、有機半導体層3上に溶融したワックス材料から形成された保護層6が設けられている。
本発明に係るワックス材料を有機半導体層上に設置するには、前記のように、ワックス材料を溶融状態にして成膜(成膜の方法としては、溶融型インクジェット法、サーマルヘッド熱転写法、印刷法、溶融押し出し法等が好ましい)することにより、有機半導体層上に保護層が形成されるが、特に、パターニング形成する場合には、印刷法、熱溶融型インクジェット法、熱転写法等が好ましい。
以下、実施例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されない。
また、実施例に用いられる有機半導体材料(3)の構造を以下に示す。
実施例1
《有機薄膜トランジスタ1の作製》:比較例
比抵抗0.01Ω・cmのSiウェハに厚さ200nmの熱酸化膜を形成してゲート絶縁層とした。この基板上に、クロムと金を順次蒸着後、フォトリソグラフ法によりパターニングを行い、チャネル長=20μm、チャネル幅=5000μmのソース電極及びドレイン電極を形成した。
《有機薄膜トランジスタ1の作製》:比較例
比抵抗0.01Ω・cmのSiウェハに厚さ200nmの熱酸化膜を形成してゲート絶縁層とした。この基板上に、クロムと金を順次蒸着後、フォトリソグラフ法によりパターニングを行い、チャネル長=20μm、チャネル幅=5000μmのソース電極及びドレイン電極を形成した。
次に、この基板、ソース電極、ドレイン電極を酸素プラズマにより洗浄後、ヘキサメチルジシラザン(HMDS)を溶解したトルエン溶液(1質量%、55℃)に10分間浸漬し、トルエンで洗浄し、乾燥した。
表面処理後のソース電極とドレイン電極との電極間に、有機半導体材料(1)の1%トルエン溶液を供給し、溶媒を揮発させることにより、有機半導体層を形成した。
《有機薄膜トランジスタ2の作製》:比較例
有機薄膜トランジスタ1の作製において、有機半導体層の表面に表1に示すポリビニルアルコール(PVA)の水溶液をインクジェット法により吐出して、保護層を成膜し、140℃、1時間の加熱処理を行った以外は、全く同様にして有機薄膜トランジスタ2を作製した。
有機薄膜トランジスタ1の作製において、有機半導体層の表面に表1に示すポリビニルアルコール(PVA)の水溶液をインクジェット法により吐出して、保護層を成膜し、140℃、1時間の加熱処理を行った以外は、全く同様にして有機薄膜トランジスタ2を作製した。
《有機薄膜トランジスタ3の作製》:比較例
有機薄膜トランジスタ1の作製において、有機半導体層の表面に、表1に示すポリエチレンのペンタン溶液をインクジェット法により吐出して、保護層を成膜し、100℃、2時間の加熱処理を行った以外は全く同様にして有機薄膜トランジスタ3を作製した。
有機薄膜トランジスタ1の作製において、有機半導体層の表面に、表1に示すポリエチレンのペンタン溶液をインクジェット法により吐出して、保護層を成膜し、100℃、2時間の加熱処理を行った以外は全く同様にして有機薄膜トランジスタ3を作製した。
《有機薄膜トランジスタ4の作製》:本発明
本発明の有機薄膜トランジスタ4の作製を図1を用いて説明する。
本発明の有機薄膜トランジスタ4の作製を図1を用いて説明する。
図1は、本発明の有機薄膜トランジスタの作製工程の一例を示す模式図であり、図1において、図1(a)〜図1(d)は、有機薄膜トランジスタの作製工程の一例を示す模式的断面図を示す。
工程1(図1(a)):基板11上へのソース電極4、ドレイン電極5の形成
比抵抗0.01Ω・cmのSiウェハ1に厚さ200nmの熱酸化膜を形成してゲート絶縁層2とした。この基板上に、クロムと金を順次蒸着後、フォトリソグラフ法によりパターニングを行い、チャネル長=20μm、チャネル幅=5000μmのソース電極4及びドレイン電極5を形成した。ここで、Siウェハ1と熱酸化により形成されたゲート絶縁層2を併せて基板11という。
比抵抗0.01Ω・cmのSiウェハ1に厚さ200nmの熱酸化膜を形成してゲート絶縁層2とした。この基板上に、クロムと金を順次蒸着後、フォトリソグラフ法によりパターニングを行い、チャネル長=20μm、チャネル幅=5000μmのソース電極4及びドレイン電極5を形成した。ここで、Siウェハ1と熱酸化により形成されたゲート絶縁層2を併せて基板11という。
この基板11、ソース電極4、ドレイン電極5を酸素プラズマにより洗浄後、ヘキサメチルジシラザン(HMDS)を溶解したトルエン溶液(1質量%、55℃)に10分間浸漬し、トルエンで洗浄し、乾燥した。
工程2(図1(b)及び図1(c)):有機半導体層3の形成
次に、有機半導体材料(1)の1%トルエン溶液を塗布液として調製し、前記基板111のチャネル形成領域22を覆うように滴下し、被覆液33を形成した。
次に、有機半導体材料(1)の1%トルエン溶液を塗布液として調製し、前記基板111のチャネル形成領域22を覆うように滴下し、被覆液33を形成した。
前記被覆液33に含まれる溶媒を揮発後、工程1で形成したチャネル形成領域22に有機半導体層3が形成された。
工程3(図1(d)及び図1(e)):保護層6の形成
工程2で得られた有機半導体層3の表面に、表1に示すポリエチレン溶融液をインクジェット(吐出時のヘッド温度を150℃に設定)により吐出して、保護層6を形成し、有機薄膜トランジスタ4を作製した。
工程2で得られた有機半導体層3の表面に、表1に示すポリエチレン溶融液をインクジェット(吐出時のヘッド温度を150℃に設定)により吐出して、保護層6を形成し、有機薄膜トランジスタ4を作製した。
《有機薄膜トランジスタ5の作製》:本発明
有機薄膜トランジスタ4の作製において、有機半導体材料(1)の代わりに、有機半導体材料(2)を用いて作製した有機半導体層3の表面に、表1に示すポリエチレンワックスをインクジェットにより吐出して、保護層6を形成した以外は全く同様にして、有機薄膜トランジスタ5を作製した。
有機薄膜トランジスタ4の作製において、有機半導体材料(1)の代わりに、有機半導体材料(2)を用いて作製した有機半導体層3の表面に、表1に示すポリエチレンワックスをインクジェットにより吐出して、保護層6を形成した以外は全く同様にして、有機薄膜トランジスタ5を作製した。
《有機薄膜トランジスタ6の作製》:本発明
有機薄膜トランジスタ4の作製において、有機半導体層3の表面に、パラフィンワックスの溶融液を溶融型インクジェットヘッドを用いて吐出して保護層6を形成した以外は全く同様にして有機薄膜トランジスタ6を作製した。
有機薄膜トランジスタ4の作製において、有機半導体層3の表面に、パラフィンワックスの溶融液を溶融型インクジェットヘッドを用いて吐出して保護層6を形成した以外は全く同様にして有機薄膜トランジスタ6を作製した。
《有機薄膜トランジスタ7の作製》:本発明
有機薄膜トランジスタ4の作製において、有機半導体層3の表面に、ワックスFT104の溶融液を溶融型インクジェットヘッドを用いて吐出して保護層6を形成した以外は全く同様にして有機薄膜トランジスタ7を作製した。
有機薄膜トランジスタ4の作製において、有機半導体層3の表面に、ワックスFT104の溶融液を溶融型インクジェットヘッドを用いて吐出して保護層6を形成した以外は全く同様にして有機薄膜トランジスタ7を作製した。
《有機薄膜トランジスタ8の作製》:本発明
有機薄膜トランジスタ4の作製において、有機半導体層3の表面に、ワックスFT104の溶融液を溶融押し出し塗布により塗布して保護層6を形成した以外は同様にして有機薄膜トランジスタ8を作製した。
有機薄膜トランジスタ4の作製において、有機半導体層3の表面に、ワックスFT104の溶融液を溶融押し出し塗布により塗布して保護層6を形成した以外は同様にして有機薄膜トランジスタ8を作製した。
《有機薄膜トランジスタ9の作製》:本発明
まず、有機薄膜トランジスタ6の作製時と同様にして、基板11(Siウェハ1上にゲート絶縁層2を有し、該ゲート絶縁層2上にソース電極4、ドレイン電極5を有する)上に有機半導体層3を作製した。また、別途、ポリイミド上にワックスFT104を塗布したドナー膜を作製した。
まず、有機薄膜トランジスタ6の作製時と同様にして、基板11(Siウェハ1上にゲート絶縁層2を有し、該ゲート絶縁層2上にソース電極4、ドレイン電極5を有する)上に有機半導体層3を作製した。また、別途、ポリイミド上にワックスFT104を塗布したドナー膜を作製した。
得られたドナー膜を、前記有機半導体層3の形成された基板11と重ねた後、サーマルヘッドを用いて有機半導体層3上に保護層6を形成し、有機薄膜トランジスタ9を作製した。
《有機薄膜トランジスタ10の作製》:本発明
まず、有機薄膜トランジスタ6の作製時と同様にして、基板(Siウェハ1、ゲート絶縁層2を有し、ソース電極4及びドレイン電極5を有する)上に有機半導体層3を作製した。
まず、有機薄膜トランジスタ6の作製時と同様にして、基板(Siウェハ1、ゲート絶縁層2を有し、ソース電極4及びドレイン電極5を有する)上に有機半導体層3を作製した。
また、別途、ワックスFT104のグラビア凹版を用意した。
前記グラビア凹版を前記有機半導体層3上に保ち、110℃、1分加熱し、有機半導体層3上に保護層6を形成し、有機薄膜トランジスタ10を作製した。
《有機薄膜トランジスタ11の作製》:本発明
有機薄膜トランジスタ7の作製において、有機半導体材料(1)を表1に記載の有機半導体材料(3)に代えた以外は全く同様にして、有機薄膜トランジスタ11を作製した。
有機薄膜トランジスタ7の作製において、有機半導体材料(1)を表1に記載の有機半導体材料(3)に代えた以外は全く同様にして、有機薄膜トランジスタ11を作製した。
《有機薄膜トランジスタの評価》
得られた有機薄膜トランジスタ1〜11の各々について、移動度(素子作製直後及び素子作製から1ヶ月経過後)を評価した。
得られた有機薄膜トランジスタ1〜11の各々について、移動度(素子作製直後及び素子作製から1ヶ月経過後)を評価した。
《移動度(キャリア移動度ともいう)の評価方法》
各素子の移動度(キャリア移動度)は、I−V特性の飽和領域から移動度(キャリア移動度、素子作製直後及び素子作製から1ヶ月経過後(25℃、50%RH環境下))を各々求めた。
各素子の移動度(キャリア移動度)は、I−V特性の飽和領域から移動度(キャリア移動度、素子作製直後及び素子作製から1ヶ月経過後(25℃、50%RH環境下))を各々求めた。
得られた結果を表1に示す。
表1から、比較の素子に比べて、本発明の有機薄膜トランジスタ素子4〜11は、素子化直後の移動度も優れた値を示しているが、1ヶ月経過後においても、良好な移動度を示しており、素子特性が良好に保持されていることが明らかである。
実施例2
《有機薄膜トランジスタシート(有機TFTシートともいう)の作製》
本発明の有機薄膜トランジスタを用いて構成される有機薄膜トランジスタシートについて図2を用いて説明する。
《有機薄膜トランジスタシート(有機TFTシートともいう)の作製》
本発明の有機薄膜トランジスタを用いて構成される有機薄膜トランジスタシートについて図2を用いて説明する。
図2は、実施例1に記載の、本発明の有機薄膜トランジスタを用いて、液晶、電気泳動素子等の出力素子様に構成された有機TFTシートの概略等価回路図の1例を示したものである。
有機薄膜トランジスタシート70(有機TFTシート70)はマトリクス配置された多数の有機TFT素子71を有する。
77は各有機TFT素子71のゲートバスラインであり、78は各有機TFT素子71のソースバスラインである。
各有機TFT素子71のソース電極には、例えば、液晶、電気泳動素子等の出力素子72が接続され、表示装置における画素を構成する。
画素電極は光センサの入力電極として用いてもよい。図示の例では、出力素子として液晶が、抵抗とコンデンサからなる等価回路で示されている。73は蓄積コンデンサ、74は垂直駆動回路、75は水平駆動回路である。
1 Siウェハー
2 ゲート絶縁層
3 有機半導体層
4 ソース電極
5 ドレイン電極
6 保護層
11 基板
22 チャネル形成領域
33 被覆液
70 有機TFTシート
71 有機TFT
72 出力素子
73 蓄積コンデンサ
74 垂直駆動回路
75 水平駆動回路
81 記録ヘッド
82 ノズル基板
83 ノズル
84 チャンバープレート
85 ヒータ
87 ヒータ制御回廊
88 フィルタ部
89 ダイアフラム
90 インク室
91 ハウジング
92 共通インク通路
94 圧電素子
95 回路制御回路
96 固体インク
2 ゲート絶縁層
3 有機半導体層
4 ソース電極
5 ドレイン電極
6 保護層
11 基板
22 チャネル形成領域
33 被覆液
70 有機TFTシート
71 有機TFT
72 出力素子
73 蓄積コンデンサ
74 垂直駆動回路
75 水平駆動回路
81 記録ヘッド
82 ノズル基板
83 ノズル
84 チャンバープレート
85 ヒータ
87 ヒータ制御回廊
88 フィルタ部
89 ダイアフラム
90 インク室
91 ハウジング
92 共通インク通路
94 圧電素子
95 回路制御回路
96 固体インク
Claims (9)
- 有機半導体材料を含有する塗布液を、基板上へ供給して有機半導体層を形成する工程を有する有機薄膜トランジスタの製造方法において、
構成層として、該有機半導体層の保護層を有し、該保護層が、ワックス材料を溶融状態で成膜することにより形成される工程を有することを特徴とする有機薄膜トランジスタの製造方法。 - 前記有機半導体層が、ウエットプロセスにより形成される工程を有することを特徴とする請求項1に記載の有機薄膜トランジスタの製造方法。
- 前記保護層が、ワックス材料がパターニングされることにより形成される工程を有することを特徴とする請求項1または2に記載の有機薄膜トランジスタの製造方法。
- 前記保護層が、塗布により形成される工程を有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の有機薄膜トランジスタの製造方法。
- 前記ワックス材料の融点が、50℃〜250℃の範囲であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の有機薄膜トランジスタの製造方法。
- 前記有機半導体材料の分子量が、100〜5000の範囲であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の有機薄膜トランジスタの製造方法。
- 前記有機半導体材料が、少なくとも不飽和結合を有する置換基を有する縮合多環芳香族化合物の一種を含むことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の有機薄膜トランジスタの製造方法。
- 前記保護層が、溶融型インクジェット、サーマルヘッド熱転写法、印刷法及び溶融押し出し法からなる群から選択される少なくともひとつにより形成されることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の有機薄膜トランジスタの製造方法。
- 請求項1〜8のいずれか1項に記載の有機薄膜トランジスタの製造方法により製造されたことを特徴とする有機薄膜トランジスタ。
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Country | Link |
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JP (1) | JP2008311402A (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
KR101081509B1 (ko) * | 2009-06-10 | 2011-11-08 | 경상대학교산학협력단 | 용해도 특성이 우수한 폴리아센계 유도체 및 이를 이용한 유기전자소자 |
JPWO2015102110A1 (ja) * | 2014-01-06 | 2017-03-23 | コニカミノルタ株式会社 | 機能材料の積層方法及び機能材料積層体 |
JPWO2016067590A1 (ja) * | 2014-10-29 | 2017-08-10 | 凸版印刷株式会社 | 薄膜トランジスタおよびその製造方法 |
-
2007
- 2007-06-14 JP JP2007157277A patent/JP2008311402A/ja active Pending
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