JP2007324288A - 有機半導体膜及びその製造方法、有機薄膜トランジスタ及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
本発明は、有機半導体膜及びその製造方法、該有機半導体膜を用いた有機薄膜トランジスタ及びその製造方法に関する。
情報端末の普及に伴い、コンピュータ用のディスプレイとしてフラットパネルディスプレイに対するニーズが高まっている。また、さらに情報化の進展に伴い、従来紙媒体で提供されていた情報が電子化されて提供される機会が増え、薄くて軽い、手軽に持ち運びが可能なモバイル用表示媒体として、電子ペーパーあるいはデジタルペーパーへのニーズも高まりつつある。
一般に平板型のディスプレイ装置においては液晶、有機EL、電気泳動等を利用した素子を用いて表示媒体を形成している。また、こうした表示媒体では画面輝度の均一性や画面書き換え速度等を確保するために、画像駆動素子として薄膜トランジスタ(TFT)により構成されたアクティブ駆動素子を用いる技術が主流になっている。例えば通常のコンピュータディスプレイではガラス基体上にこれらTFT素子を形成し、液晶、有機EL素子等が封止されている。
ここでTFT素子は、通常、ガラス基体上に、主にa−Si(アモルファスシリコン)、p−Si(ポリシリコン)等の半導体薄膜や、ソース、ドレイン、ゲート電極等の金属薄膜を基体上に順次形成していくことで製造される。このTFTを用いるフラットパネルディスプレイの製造には通常、CVD、スパッタリング等の真空系設備や高温処理工程を要する薄膜形成工程に加え、精度の高いフォトリソグラフ工程が必要とされ、設備コスト、ランニングコストの負荷が非常に大きい。さらに、近年のディスプレイの大画面化のニーズに伴い、それらのコストは非常に膨大なものとなっている。
また、このような従来からのSi材料を用いたTFT素子の形成には高い温度の工程が含まれるため、基体材料には工程温度に耐える材料であるという制限が加わることになる。このため実際上はガラスを用いざるをえず、先に述べた電子ペーパーあるいはデジタルペーパーといった薄型ディスプレイを、こうした従来知られたTFT素子を利用して構成した場合、そのディスプレイは重く、柔軟性に欠け、落下の衝撃で割れる可能性のある製品となってしまう。ガラス基体上にTFT素子を形成することに起因するこれらの特徴は、情報化の進展に伴う手軽な携行用薄型ディスプレイへのニーズを満たすにあたり望ましくないものである。
一方、近年において高い電荷輸送性を有する有機化合物として、有機半導体材料の研究が精力的に進められ、有機薄膜トランジスタへの応用が期待されている。これら有機半導体デバイスを実現できれば、比較的低い温度での真空ないし低圧蒸着による製造プロセスの簡易化や、さらにはその分子構造を適切に改良することによって、溶液化できる半導体を得る可能性があると考えられ、有機半導体溶液をインク化することによりインクジェット方式を含む印刷法による製造も考えられる。これらの低温プロセスによる製造は、従来のSi系半導体材料については不可能と考えられてきたが、有機半導体を用いたデバイスにはその可能性があり、従って前述の基体耐熱性に関する制限が緩和され、透明樹脂基体上にも例えばTFT素子を形成できる可能性がある。透明樹脂基体上にTFT素子を形成し、そのTFT素子により表示材料を駆動させることができれば、ディスプレイを従来のものよりも軽く、柔軟性に富み、落としても割れない(もしくは非常に割れにくい)ディスプレイとすることができるであろう。
有機半導体膜を溶液プロセスにて作製する方法に関しては、例えば、特許文献1のように有機半導体材料の溶媒に液晶性材料を用いる方法、特許文献2のようにフッ素化された表面基体上に作製する方法等が開示されている。また、特許文献3には、有機半導体膜の作製に混合溶媒を用いる方法が開示されている。
有機半導体層を形成する基体の表面には、有機半導体層を形成する前にオクタデシルトリクロロシラン、HMDS等による表面処理が一般に施されている。特許文献4〜7にはフェニル基等を含む表面処理剤によるゲート絶縁膜の表面処理が開示されている。
基体の表面をオクタデシルトリクロロシラン等のアルキル基を有するカップリング剤により表面処理すると、有機薄膜トランジスタ素子(TFT素子)の性能(移動度)は向上するが、まだ不十分である。また、表面処理を施すと、基体の表面が有機半導体の溶液を弾き、塗布性が大幅に低下してしまい、有機半導体層を設けることができないという問題が生じる。TFT特性と有機半導体材料の塗布性の両立が望まれている。
特開2004−31458号公報
特開2000−307172号公報
国際公開第03/65409号パンフレット
特開2005−158765号公報
国際公開第04/114371号パンフレット
米国特許出願公開第2005/110006号明細書
特表2005−503026号公報
本発明の目的は、TFT特性が良好で、生産効率が高い溶液プロセスにより製造する有機半導体膜及びその製造方法、該有機半導体膜を用いた有機薄膜トランジスタ及びその製造方法を提供することにある。
本発明の上記課題は、以下の構成により達成された。
1.有機半導体膜を形成する基体の表面に表面処理が施された有機半導体膜において、該表面処理に用いられる表面処理剤が、下記一般式(1)で表される部分構造を有する化合物を含有することを特徴とする有機半導体膜。
(式中、Lはπ共役系の部分構造を有する2価の連結基を表し、XはC、Si、Ge、SnまたはPbを表し、R1及びR2は置換基を表し、R3は水素原子、ハロゲン原子または置換基を表す。)
2.前記一般式(1)で表される部分構造を有する化合物が、下記一般式(2)で表される化合物であることを特徴とする前記1に記載の有機半導体膜。
2.前記一般式(1)で表される部分構造を有する化合物が、下記一般式(2)で表される化合物であることを特徴とする前記1に記載の有機半導体膜。
(式中、Arは2つ以上の環が縮合した縮合芳香環を表し、L1及びL2は2価の連結基を表し、n1及びn2は0または1の整数を表す。X1はC、Si、Ge、Snのいずれかを表し、R1及びR2は置換基を表し、R3は水素原子、ハロゲン原子または置換基を表し、Zは反応性基を表す。)
3.前記一般式(1)のL、または前記一般式(2)のL1またはL2で表される2価の連結基が少なくとも1つ三重結合を含むことを特徴とする前記1または2に記載の有機半導体膜。
3.前記一般式(1)のL、または前記一般式(2)のL1またはL2で表される2価の連結基が少なくとも1つ三重結合を含むことを特徴とする前記1または2に記載の有機半導体膜。
4.前記一般式(1)におけるR1〜R3の少なくとも1つ、または前記一般式(2)におけるR1〜R3の少なくとも1つがアルキル基であることを特徴とする前記1〜3のいずれか1項に記載の有機半導体膜。
5.前記一般式(2)で表される化合物が下記一般式(3)で表される化合物であることを特徴とする前記2〜4のいずれか1項に記載の有機半導体膜。
(式中、L3は2価の連結基を表し、n3は0または1の整数を表し、A1及びA2は置換または無置換の芳香環を表し、X1はC、Si、GeまたはSnを表し、R1及びR2は置換基を表し、R3は水素原子、ハロゲン原子または置換基を表し、Zは反応性基を表す。)
6.前記一般式(3)で表される化合物が下記一般式(4)で表される化合物であることを特徴とする前記5に記載の有機半導体膜。
6.前記一般式(3)で表される化合物が下記一般式(4)で表される化合物であることを特徴とする前記5に記載の有機半導体膜。
(式中、A3及びA4は置換または無置換のベンゼン環またはチオフェン環を表し、X1はC、Si、GeまたはSnを表し、R1及びR2は置換基を表し、R3は水素原子、ハロゲン原子または置換基を表し、Zは反応性基を表す。)
7.前記1〜6のいずれか1項に記載の有機半導体膜の製造方法であって、有機半導体膜が塗布により形成されることを特徴とする有機半導体膜の製造方法。
7.前記1〜6のいずれか1項に記載の有機半導体膜の製造方法であって、有機半導体膜が塗布により形成されることを特徴とする有機半導体膜の製造方法。
8.前記1〜6のいずれか1項に記載の有機半導体膜を用いることを特徴とする有機薄膜トランジスタ。
9.ボトムゲート構造であることを特徴とする前記7記載の有機薄膜トランジスタ。
10.前記7または8に記載の有機薄膜トランジスタの製造方法であって、表面処理が、表面処理剤の溶液を基体表面に供給することで行われることを特徴とする有機薄膜トランジスタの製造方法。
本発明によれば、TFT特性が良好で、生産効率が高い溶液プロセスにより製造する有機半導体膜及びその製造方法、該有機半導体膜を用いた有機薄膜トランジスタ及びその製造方法を提供することができる。
本発明者は、上記課題に鑑み鋭意検討を行った結果、有機半導体膜を形成する基体の表面を、前記一般式(1)で表される部分構造を有する化合物を含有する表面処理剤で表面処理を行った後、その上に有機半導体膜を形成することで、TFT特性が良好で、生産効率が高い溶液プロセスにより製造する有機半導体膜を実現できることを見出し、本発明に至った。
本発明に係る表面処理剤に含有される前記一般式(1)で表される部分構造を有する化合物は、(R1)(R2)(R3)X−*で表される末端置換基部分と、Lで表されるπ共役系部分とがそれぞれスタック性を有するため、より密に配列した表面処理膜を形成することができ、その結果、高移動度を達成することができるものと思われる。
以下、本発明を詳細に説明する。
〔表面処理剤〕
(一般式(1)で表される部分構造を有する化合物)
本発明では、基体(基材ともいう)の表面を、前記一般式(1)で表される部分構造を有する化合物を含有する表面処理剤を用いて表面処理を行って、基体の表面に薄膜を形成した後、その薄膜上に有機半導体膜を形成することが特徴である。
(一般式(1)で表される部分構造を有する化合物)
本発明では、基体(基材ともいう)の表面を、前記一般式(1)で表される部分構造を有する化合物を含有する表面処理剤を用いて表面処理を行って、基体の表面に薄膜を形成した後、その薄膜上に有機半導体膜を形成することが特徴である。
一般式(1)において、Lはπ共役系の部分構造を有する2価の連結基を表し、XはC、Si、Ge、SnまたはPbを表し、R1及びR2は置換基を表し、R3は水素原子、ハロゲン原子または置換基を表す。
Lで表されるπ共役系の部分構造を有する2価の連結基としては、例えば、ペンタセンやテトラセンといったアセン類、鉛フタロシアニンを含むフタロシアニン類、ペリレンやそのテトラカルボン酸誘導体といった低分子化合物や、α−チエニールもしくはセクシチオフェンと呼ばれるチオフェン6量体、フルオレンオリゴマー等の芳香族オリゴマー、さらには、ポリチオフェン、ポリチエニレンビニレン、ポリ−p−フェニレンビニレンといった共役高分子等が挙げられる。
また、π共役系の部分構造を有する2価の連結基としては、2種類以上の芳香族炭化水素環または2種以上の芳香族複素環を部分構造として有することが好ましい。
ここで、芳香族炭化水素環としては、ベンゼン環、ビフェニル環、ナフタレン環、アズレン環、アントラセン環、フェナントレン環、ピレン環、クリセン環、ナフタセン環、トリフェニレン環、o−テルフェニル環、m−テルフェニル環、p−テルフェニル環、アセナフテン環、コロネン環、フルオレン環、フルオラントレン環、ナフタセン環、ペンタセン環、ペリレン環、ペンタフェン環、ピセン環、ピレン環、ピラントレン環、アンスラアントレン環等が挙げられる。さらに、後述するチオフェンオリゴマーが有する置換基を有してもよい。
また、芳香族複素環としては、フラン環、チオフェン環、オキサゾール環、ピリジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、ピラジン環、トリアジン環、ベンゾイミダゾール環、オキサジアゾール環、トリアゾール環、イミダゾール環、ピラゾール環、チアゾール環、インドール環、ベンゾイミダゾール環、ベンゾチアゾール環、ベンゾオキサゾール環、キノキサリン環、キナゾリン環、フタラジン環、カルバゾール環、カルボリン環、ジアザカルバゾール環(カルボリン環を構成する炭化水素環の炭素原子の一つがさらに窒素原子で置換されている環を示す)等が挙げられる。さらに、前記芳香族複素環は、後述するチオフェンオリゴマーが有する置換基を有してもよい。
R1〜R3で表される置換基としては、例えば、アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基等)、シクロアルキル基(例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等)、アルケニル基(例えば、ビニル基、アリル基等)、アルキニル基(例えば、エチニル基、プロパルギル基等)、芳香族炭化水素基(芳香族炭素環基、アリール基等ともいい、例えば、フェニル基、p−クロロフェニル基、メシチル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基、アントリル基、アズレニル基、アセナフテニル基、フルオレニル基、フェナントリル基、インデニル基、ピレニル基、ビフェニリル基等)、芳香族複素環基(例えば、フリル基、チエニル基、ピリジル基、ピリダジニル基、ピリミジニル基、ピラジニル基、トリアジニル基、イミダゾリル基、ピラゾリル基、チアゾリル基、キナゾリニル基、フタラジニル基等)、複素環基(例えば、ピロリジル基、イミダゾリジル基、モルホリル基、オキサゾリジル基等)、アルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロピルオキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、オクチルオキシ基、ドデシルオキシ基等)、シクロアルコキシ基(例えば、シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基等)、アリールオキシ基(例えば、フェノキシ基、ナフチルオキシ基等)、アルキルチオ基(例えば、メチルチオ基、エチルチオ基、プロピルチオ基、ペンチルチオ基、ヘキシルチオ基、オクチルチオ基、ドデシルチオ基等)、シクロアルキルチオ基(例えば、シクロペンチルチオ基、シクロヘキシルチオ基等)、アリールチオ基(例えば、フェニルチオ基、ナフチルチオ基等)、アルコキシカルボニル基(例えば、メチルオキシカルボニル基、エチルオキシカルボニル基、ブチルオキシカルボニル基、オクチルオキシカルボニル基、ドデシルオキシカルボニル基等)、アリールオキシカルボニル基(例えば、フェニルオキシカルボニル基、ナフチルオキシカルボニル基等)、スルファモイル基(例えば、アミノスルホニル基、メチルアミノスルホニル基、ジメチルアミノスルホニル基、ブチルアミノスルホニル基、ヘキシルアミノスルホニル基、シクロヘキシルアミノスルホニル基、オクチルアミノスルホニル基、ドデシルアミノスルホニル基、フェニルアミノスルホニル基、ナフチルアミノスルホニル基、2−ピリジルアミノスルホニル基等)、アシル基(例えば、アセチル基、エチルカルボニル基、プロピルカルボニル基、ペンチルカルボニル基、シクロヘキシルカルボニル基、オクチルカルボニル基、2−エチルヘキシルカルボニル基、ドデシルカルボニル基、フェニルカルボニル基、ナフチルカルボニル基、ピリジルカルボニル基等)、アシルオキシ基(例えば、アセチルオキシ基、エチルカルボニルオキシ基、ブチルカルボニルオキシ基、オクチルカルボニルオキシ基、ドデシルカルボニルオキシ基、フェニルカルボニルオキシ基等)、アミド基(例えば、メチルカルボニルアミノ基、エチルカルボニルアミノ基、ジメチルカルボニルアミノ基、プロピルカルボニルアミノ基、ペンチルカルボニルアミノ基、シクロヘキシルカルボニルアミノ基、2−エチルヘキシルカルボニルアミノ基、オクチルカルボニルアミノ基、ドデシルカルボニルアミノ基、フェニルカルボニルアミノ基、ナフチルカルボニルアミノ基等)、カルバモイル基(例えば、アミノカルボニル基、メチルアミノカルボニル基、ジメチルアミノカルボニル基、プロピルアミノカルボニル基、ペンチルアミノカルボニル基、シクロヘキシルアミノカルボニル基、オクチルアミノカルボニル基、2−エチルヘキシルアミノカルボニル基、ドデシルアミノカルボニル基、フェニルアミノカルボニル基、ナフチルアミノカルボニル基、2−ピリジルアミノカルボニル基等)、ウレイド基(例えば、メチルウレイド基、エチルウレイド基、ペンチルウレイド基、シクロヘキシルウレイド基、オクチルウレイド基、ドデシルウレイド基、フェニルウレイド基、ナフチルウレイド基、2−ピリジルアミノウレイド基等)、スルフィニル基(例えば、メチルスルフィニル基、エチルスルフィニル基、ブチルスルフィニル基、シクロヘキシルスルフィニル基、2−エチルヘキシルスルフィニル基、ドデシルスルフィニル基、フェニルスルフィニル基、ナフチルスルフィニル基、2−ピリジルスルフィニル基等)、アルキルスルホニル基(例えば、メチルスルホニル基、エチルスルホニル基、ブチルスルホニル基、シクロヘキシルスルホニル基、2−エチルヘキシルスルホニル基、ドデシルスルホニル基等)、アリールスルホニル基(例えば、フェニルスルホニル基、ナフチルスルホニル基、2−ピリジルスルホニル基等)、アミノ基(例えば、アミノ基、エチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ブチルアミノ基、シクロペンチルアミノ基、2−エチルヘキシルアミノ基、ドデシルアミノ基、アニリノ基、ナフチルアミノ基、2−ピリジルアミノ基等)、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等)、フッ化炭化水素基(例えば、フルオロメチル基、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、ペンタフルオロフェニル基等)、シアノ基、シリル基(例えば、トリメチルシリル基、トリイソプロピルシリル基、トリフェニルシリル基、フェニルジエチルシリル基等)等が挙げられる。これらの置換基は上記の置換基によってさらに置換されていても、複数が互いに結合して環を形成していてもよい。また、好ましくは、直鎖、分岐または環状のアルキル基である。
R1〜R3は全て置換基であることが好ましく、同一の置換基であることがより好ましい。さらに好ましくはアルキル基である。
XとしてはC、SiまたはGeが好ましい。
(一般式(2)で表される化合物)
前記一般式(1)で表される部分構造を有する化合物が、前記一般式(2)で表される化合物であることが好ましい。
前記一般式(1)で表される部分構造を有する化合物が、前記一般式(2)で表される化合物であることが好ましい。
一般式(2)において、Arは2つ以上の環が縮合した縮合芳香環を表し、L1及びL2はπ共役系の部分構造を有する2価の連結基を表し、n1及びn2は0または1の整数を表す。X1はC、Si、Ge、Snのいずれかを表し、R1及びR2は置換基を表し、R3は水素原子、ハロゲン原子または置換基を表し、Zは反応性基を表す。
Arで表される2つ以上の環が縮合した縮合芳香環としては、置換または無置換の芳香族炭化水素環、あるいは置換または無置換の芳香族複素環の2つ以上の環が縮合した縮合芳香環を表す。
芳香族炭化水素環としては、ベンゼン環、ビフェニル環、ナフタレン環、アズレン環、アントラセン環、フェナントレン環、ピレン環、クリセン環、ナフタセン環、トリフェニレン環、o−テルフェニル環、m−テルフェニル環、p−テルフェニル環、アセナフテン環、コロネン環、フルオレン環、フルオラントレン環、ナフタセン環、ペンタセン環、ペリレン環、ペンタフェン環、ピセン環、ピレン環、ピラントレン環、アンスラアントレン環等が挙げられる。
さらに、これらの芳香族炭化水素環は、無置換でも置換基を有していてもよいが、該置換基としては、アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基等)、シクロアルキル基(例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等)、アルケニル基(例えば、ビニル基、アリル基等)、アルキニル基(例えば、エチニル基、プロパルギル基等)、アリール基(例えば、フェニル基、ナフチル基等)、芳香族複素環基(例えば、フリル基、チエニル基、ピリジル基、ピリダジニル基、ピリミジニル基、ピラジニル基、トリアジニル基、イミダゾリル基、ピラゾリル基、チアゾリル基、キナゾリニル基、フタラジニル基等)、複素環基(例えば、ピロリジル基、イミダゾリジル基、モルホリル基、オキサゾリジル基等)、アルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロピルオキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、オクチルオキシ基、ドデシルオキシ基等)、シクロアルコキシ基(例えば、シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基等)、アリールオキシ基(例えば、フェノキシ基、ナフチルオキシ基等)、アルキルチオ基(例えば、メチルチオ基、エチルチオ基、プロピルチオ基、ペンチルチオ基、ヘキシルチオ基、オクチルチオ基、ドデシルチオ基等)、シクロアルキルチオ基(例えば、シクロペンチルチオ基、シクロヘキシルチオ基等)、アリールチオ基(例えば、フェニルチオ基、ナフチルチオ基等)、アルコキシカルボニル基(例えば、メチルオキシカルボニル基、エチルオキシカルボニル基、ブチルオキシカルボニル基、オクチルオキシカルボニル基、ドデシルオキシカルボニル基等)、アリールオキシカルボニル基(例えば、フェニルオキシカルボニル基、ナフチルオキシカルボニル基等)、スルファモイル基(例えば、アミノスルホニル基、メチルアミノスルホニル基、ジメチルアミノスルホニル基、ブチルアミノスルホニル基、ヘキシルアミノスルホニル基、シクロヘキシルアミノスルホニル基、オクチルアミノスルホニル基、ドデシルアミノスルホニル基、フェニルアミノスルホニル基、ナフチルアミノスルホニル基、2−ピリジルアミノスルホニル基等)、アシル基(例えば、アセチル基、エチルカルボニル基、プロピルカルボニル基、ペンチルカルボニル基、シクロヘキシルカルボニル基、オクチルカルボニル基、2−エチルヘキシルカルボニル基、ドデシルカルボニル基、フェニルカルボニル基、ナフチルカルボニル基、ピリジルカルボニル基等)、アシルオキシ基(例えば、アセチルオキシ基、エチルカルボニルオキシ基、ブチルカルボニルオキシ基、オクチルカルボニルオキシ基、ドデシルカルボニルオキシ基、フェニルカルボニルオキシ基等)、アミド基(例えば、メチルカルボニルアミノ基、エチルカルボニルアミノ基、ジメチルカルボニルアミノ基、プロピルカルボニルアミノ基、ペンチルカルボニルアミノ基、シクロヘキシルカルボニルアミノ基、2−エチルヘキシルカルボニルアミノ基、オクチルカルボニルアミノ基、ドデシルカルボニルアミノ基、フェニルカルボニルアミノ基、ナフチルカルボニルアミノ基等)、カルバモイル基(例えば、アミノカルボニル基、メチルアミノカルボニル基、ジメチルアミノカルボニル基、プロピルアミノカルボニル基、ペンチルアミノカルボニル基、シクロヘキシルアミノカルボニル基、オクチルアミノカルボニル基、2−エチルヘキシルアミノカルボニル基、ドデシルアミノカルボニル基、フェニルアミノカルボニル基、ナフチルアミノカルボニル基、2−ピリジルアミノカルボニル基等)、ウレイド基(例えば、メチルウレイド基、エチルウレイド基、ペンチルウレイド基、シクロヘキシルウレイド基、オクチルウレイド基、ドデシルウレイド基、フェニルウレイド基、ナフチルウレイド基、2−ピリジルアミノウレイド基等)、スルフィニル基(例えば、メチルスルフィニル基、エチルスルフィニル基、ブチルスルフィニル基、シクロヘキシルスルフィニル基、2−エチルヘキシルスルフィニル基、ドデシルスルフィニル基、フェニルスルフィニル基、ナフチルスルフィニル基、2−ピリジルスルフィニル基等)、アルキルスルホニル基(例えば、メチルスルホニル基、エチルスルホニル基、ブチルスルホニル基、シクロヘキシルスルホニル基、2−エチルヘキシルスルホニル基、ドデシルスルホニル基等)、アリールスルホニル基(例えば、フェニルスルホニル基、ナフチルスルホニル基、2−ピリジルスルホニル基等)、アミノ基(例えば、アミノ基、エチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ブチルアミノ基、シクロペンチルアミノ基、2−エチルヘキシルアミノ基、ドデシルアミノ基、アニリノ基、ナフチルアミノ基、2−ピリジルアミノ基等)、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等)、フッ化炭化水素基(例えば、フルオロメチル基、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、ペンタフルオロフェニル基等)、シアノ基、シリル基(例えば、トリメチルシリル基、トリイソプロピルシリル基、トリフェニルシリル基、フェニルジエチルシリル基等)等が挙げられる。
芳香族複素環としては、フラン環、チオフェン環、ピリジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、ピラジン環、トリアジン環、ベンゾイミダゾール環、オキサジアゾール環、トリアゾール環、イミダゾール環、ピラゾール環、チアゾール環、インドール環、ベンゾイミダゾール環、ベンゾチアゾール環、ベンゾオキサゾール環、キノキサリン環、キナゾリン環、フタラジン環、カルバゾール環、カルボリン環、カルボリン環を構成する炭化水素環の炭素原子の少なくともひとつがさらに窒素原子で置換されている環等が挙げられる。
これらの芳香族複素環は置換基を有していてもよいが、置換基としては、前記芳香族炭化水素環の置換基と同義のものが挙げられる。
L1及びL2で表されるπ共役系の部分構造を有する2価の連結基としては、前記一般式(1)のLで表されるπ共役系の部分構造を有する2価の連結基と同義である。
R1〜R3で表される置換基としては、前記一般式(1)のR1〜R3で表される置換基と同義である。
R1〜R3は全て置換基であることが好ましく、同一の置換基であることがより好ましい。さらに好ましくはアルキル基である。
X1としてはC、SiまたはGeが好ましい。
Zで表される反応性基としては、−Si(R′1)(R′2)(R′3)、−PO3H2、−OPO3H2、ベンゾトリアゾリル(−C6H4N3)、カルボニルオキシベンゾトリアゾール(−OC(=O)C6H4N3)、オキシベンゾトリアゾール(−O−C6H4N3)、アミノベンゾトリアゾール(−NH−C6H4N3)、−CONHOH、−COOH、−OH、−SH、−COSH、−C5H4N、−SO3H、−NC、−CHO、アミノ基及びホスフィニル基等が挙げられるが、これに限ったものではない。ただし、R′1〜R′3は置換基を表し、置換基としては一般式(2)のR1〜R3で表される置換基と同義である。
また、これらの反応性基の中でも−Si(R′1)(R′2)(R′3)が好ましい。さらに好ましくはR′1〜R′3はアルコキシ基またはハロゲン原子である。
前記一般式(1)のL、または前記一般式(2)のL1またはL2で表されるπ共役系の部分構造を有する2価の連結基は、少なくとも1つ三重結合を含むことが好ましい。
前記一般式(1)におけるR1〜R3の少なくとも1つ、または前記一般式(2)におけるR1〜R3の少なくとも1つがアルキル基であることが好ましい。アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基等が挙げられる。
(一般式(3)で表される化合物)
前記一般式(2)で表される化合物が、前記一般式(3)で表される化合物であることが好ましい。
前記一般式(2)で表される化合物が、前記一般式(3)で表される化合物であることが好ましい。
一般式(3)において、L3はπ共役系の部分構造を有する2価の連結基を表し、n3は0または1の整数を表し、A1及びA2は置換または無置換の芳香環を表し、X1はC、Si、GeまたはSnを表し、R1及びR2は置換基を表し、R3は水素原子、ハロゲン原子または置換基を表し、Zは反応性基を表す。
L3で表されるπ共役系の部分構造を有する2価の連結基としては、前記一般式(1)のLで表されるπ共役系の部分構造を有する2価の連結基と同義である。
A1及びA2で表される置換または無置換の芳香環としては、置換または無置換の芳香族炭化水素環、あるいは置換または無置換の芳香族複素環を表す。
芳香族炭化水素環としては、ベンゼン環、ビフェニル環、ナフタレン環、アズレン環、アントラセン環、フェナントレン環、ピレン環、クリセン環、ナフタセン環、トリフェニレン環、o−テルフェニル環、m−テルフェニル環、p−テルフェニル環、アセナフテン環、コロネン環、フルオレン環、フルオラントレン環、ナフタセン環、ペンタセン環、ペリレン環、ペンタフェン環、ピセン環、ピレン環、ピラントレン環、アンスラアントレン環等が挙げられる。
芳香族複素環としては、フラン環、チオフェン環、ピリジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、ピラジン環、トリアジン環、ベンゾイミダゾール環、オキサジアゾール環、トリアゾール環、イミダゾール環、ピラゾール環、チアゾール環、インドール環、ベンゾイミダゾール環、ベンゾチアゾール環、ベンゾオキサゾール環、キノキサリン環、キナゾリン環、フタラジン環、カルバゾール環、カルボリン環、カルボリン環を構成する炭化水素環の炭素原子の少なくともひとつがさらに窒素原子で置換されている環等が挙げられる。
これらの芳香族複素環は置換基を有していてもよいが、置換基としては、前記芳香族炭化水素環の置換基と同義のものが挙げられる。
R1〜R3で表される置換基としては、前記一般式(1)のR1〜R3で表される置換基と同義である。
R1〜R3は全て置換基であることが好ましく、同一の置換基であることがより好ましい。さらに好ましくはアルキル基である。
X1としてはC、SiまたはGeが好ましい。
Zで表される反応性基としては、前記一般式(2)のZで表される反応性基と同義である。
(一般式(4)で表される化合物)
前記一般式(3)で表される化合物が、前記一般式(4)で表される化合物であることが好ましい。
前記一般式(3)で表される化合物が、前記一般式(4)で表される化合物であることが好ましい。
一般式(3)において、A3及びA4は置換または無置換のベンゼン環またはチオフェン環を表し、X1はC、Si、GeまたはSnを表し、R1及びR2は置換基を表し、R3は水素原子、ハロゲン原子または置換基を表し、Zは反応性基を表す。
A3及びA4で表されるベンゼン環またはチオフェン環の置換基、R1〜R3で表される置換基としては、前記一般式(1)のR1〜R3で表される置換基と同義である。
R1〜R3は全て置換基であることが好ましく、同一の置換基であることがより好ましい。さらに好ましくはアルキル基である。
X1としてはC、SiまたはGeが好ましい。
Zで表される反応性基としては、前記一般式(2)のZで表される反応性基と同義である。
以下、本発明に係る表面処理剤の具体例を示すが、本発明はこれらに限定されない。
これらの化合物は、上記の化合物は以下の文献を参考にして合成することができる。エチニルアルキルシロキサン化合物は、例えば、Chem.Abstr.,vol.77
(1972),p88663等、アセン母核への付加反応は、例えば、J.Am.Chem.Soc.,vol.123(2001),p9482,supporting informationを参考に合成することができる。
(1972),p88663等、アセン母核への付加反応は、例えば、J.Am.Chem.Soc.,vol.123(2001),p9482,supporting informationを参考に合成することができる。
本発明に用いられる表面処理剤としては、基体の表面を表面処理した時、表面の水に対する接触角を大きくするものが好ましく、表面処理後の表面の水に対する接触角は、50度以上が好ましく、70〜170度がより好ましく、90〜130度がさらに好ましい。接触角が低いと、トランジスタ素子のキャリア移動度やon/off比を著しく低下させ、高すぎると有機半導体材料の溶液の塗布性を低下させる。この接触角は接触角計(CA−DT・A型:協和界面科学社製)を用いて20℃、50%RHの環境下で測定するものである。
本発明に係る表面処理剤は他の表面処理剤と混合して用いることができる。他の表面処理剤としてはアルキルトリクロロシラン、アルキルトリアルコキシシラン等が挙げられる。
本発明に係る表面処理剤により形成される薄膜は、後述する基体上に形成し、さらにその上に有機半導体膜を形成する。該薄膜の厚さは、単分子層から100nm以下が好ましく、単分子層から10nm以下がより好ましい。
また、薄膜表面の表面粗さRaは、薄膜トランジスタが後述のボトムゲート型では、その基体、ゲート電極、ゲート絶縁膜の表面性にも大きく影響を受けるが、概して0.01〜10nmとすることが、トランジスタ素子のキャリア移動度の観点から好ましい。
〔表面処理方法、薄膜の形成方法〕
薄膜の形成方法としては特に限定されないが、真空蒸着法、分子線エピタキシャル成長法、イオンクラスタービーム法、低エネルギーイオンビーム法、イオンプレーティング法、CVD法、スパッタリング法、大気圧プラズマ法(大気圧プラズマCVD法)、ディップコート法、キャスト法、リールコート法、バーコート法、ダイコート法等の塗布による方法、印刷やインクジェット等のパターニングによる方法等のウエットプロセスが挙げられ、材料に応じて使用できる。
薄膜の形成方法としては特に限定されないが、真空蒸着法、分子線エピタキシャル成長法、イオンクラスタービーム法、低エネルギーイオンビーム法、イオンプレーティング法、CVD法、スパッタリング法、大気圧プラズマ法(大気圧プラズマCVD法)、ディップコート法、キャスト法、リールコート法、バーコート法、ダイコート法等の塗布による方法、印刷やインクジェット等のパターニングによる方法等のウエットプロセスが挙げられ、材料に応じて使用できる。
中でも本発明に好ましく用いられる方法としては、表面処理剤の溶液に基体を浸漬、または表面処理剤の溶液を基体に塗布して乾燥する湿式法が好ましい。
(湿式法)
湿式法では、例えば基体を表面処理剤の1質量%トルエン溶液に10分浸漬後、乾燥する、またはこの溶液を基体上に塗布して、乾燥する。
湿式法では、例えば基体を表面処理剤の1質量%トルエン溶液に10分浸漬後、乾燥する、またはこの溶液を基体上に塗布して、乾燥する。
(プラズマCVD法、大気圧プラズマCVD法)
表面処理剤(プラズマCVD法では薄膜形成材料を原料ともいう)を含む反応ガスを50〜500℃の範囲で加熱された基体上に供給し、熱的反応により薄膜を形成する熱CVD法や、後述する大気圧プラズマ法の装置と放電ガス、反応ガスを用いて、0.01〜100Paの減圧下で行う一般的なプラズマCVD法を用いた場合にも、本発明の効果を得ることができるが、移動度の向上、薄膜の均一性、薄膜の形成速度、非真空系での効率的生産という観点から大気圧プラズマ法が好ましい。
表面処理剤(プラズマCVD法では薄膜形成材料を原料ともいう)を含む反応ガスを50〜500℃の範囲で加熱された基体上に供給し、熱的反応により薄膜を形成する熱CVD法や、後述する大気圧プラズマ法の装置と放電ガス、反応ガスを用いて、0.01〜100Paの減圧下で行う一般的なプラズマCVD法を用いた場合にも、本発明の効果を得ることができるが、移動度の向上、薄膜の均一性、薄膜の形成速度、非真空系での効率的生産という観点から大気圧プラズマ法が好ましい。
次いで、本発明の有機薄膜トランジスタの構成要素について説明する。
〔有機半導体膜〕
(有機半導体材料)
有機半導体膜を構成する有機半導体材料としては、種々の縮合多環芳香族化合物や共役系化合物が適用可能である。
(有機半導体材料)
有機半導体膜を構成する有機半導体材料としては、種々の縮合多環芳香族化合物や共役系化合物が適用可能である。
有機半導体材料は、溶解性、前記前処理剤により形成された薄膜との親和性からアルキル基を有することが好ましい。アルキル基については、炭素数が1〜40、好ましくは1〜20である。
縮合多環芳香族化合物としては、例えば、アントラセン、テトラセン、ペンタセン、ヘキサセン、へプタセン、クリセン、ピセン、フルミネン、ピレン、ペロピレン、ペリレン、テリレン、クオテリレン、コロネン、オバレン、サーカムアントラセン、ビスアンテン、ゼスレン、ヘプタゼスレン、ピランスレン、ビオランテン、イソビオランテン、サーコビフェニル、フタロシアニン、ポルフィリン等の化合物及びこれらの誘導体が挙げられる。
以下、これら縮合多環芳香族化合物系の有機半導体材料の具体例を示すが、本発明はこれらに限定されない。
共役系化合物としては、例えば、ポリチオフェン及びそのオリゴマー、ポリピロール及びそのオリゴマー、ポリアニリン、ポリフェニレン及びそのオリゴマー、ポリフェニレンビニレン及びそのオリゴマー、ポリチエニレンビニレン及びそのオリゴマー、ポリアセチレン、ポリジアセチレン、テトラチアフルバレン化合物、キノン化合物、テトラシアノキノジメタン等のシアノ化合物、フラーレン及びこれらの誘導体あるいは混合物を挙げることができる。
また、特にポリチオフェン及びそのオリゴマーのうち、チオフェン6量体であるα−セクシチオフェンα,ω−ジヘキシル−α−セクシチオフェン、α,ω−ジヘキシル−α−キンケチオフェン、α,ω−ビス(3−ブトキシプロピル)−α−セクシチオフェン、等のオリゴマーが好適に用いることができる。
さらに、銅フタロシアニンや特開平11−251601号に記載のフッ素置換銅フタロシアニン等の金属フタロシアニン類、ナフタレン1,4,5,8−テトラカルボン酸ジイミド、N,N′−ビス(4−トリフルオロメチルベンジル)ナフタレン1,4,5,8−テトラカルボン酸ジイミドとともに、N,N′−ビス(1H,1H−ペルフルオロオクチル)、N,N′−ビス(1H,1H−ペルフルオロブチル)及びN,N′−ジオクチルナフタレン1,4,5,8−テトラカルボン酸ジイミド誘導体、ナフタレン2,3,6,7テトラカルボン酸ジイミド等のナフタレンテトラカルボン酸ジイミド類、及びアントラセン2,3,6,7−テトラカルボン酸ジイミド等のアントラセンテトラカルボン酸ジイミド類等の縮合環テトラカルボン酸ジイミド類、C60、C70、C76、C78、C84等フラーレン類、SWNT等のカーボンナノチューブ、メロシアニン色素類、ヘミシアニン色素類等の色素等が挙げられる。
これらのπ共役系材料のうちでも、ペンタセン等の縮合多環芳香族化合物、フラーレン類、縮合環テトラカルボン酸ジイミド類、金属フタロシアニンよりなる群から選ばれた少なくとも1種が好ましい。
また、その他の有機半導体材料としては、テトラチアフルバレン(TTF)−テトラシアノキノジメタン(TCNQ)錯体、ビスエチレンテトラチアフルバレン(BEDTTTF)−過塩素酸錯体、BEDTTTF−ヨウ素錯体、TCNQ−ヨウ素錯体、等の有機分子錯体も用いることができる。さらにポリシラン、ポリゲルマン等のσ共役系ポリマーや特開2000−260999に記載の有機・無機混成材料も用いることができる。
また、前記ポリチオフェン及びそのオリゴマーの具体例を示すが、本発明はこれに限定されない。
これらのチオフェンオリゴマーの製造法は、本発明者等による特願2004−172317号(2004年6月10日出願)に記載されている。
また、本発明においては、有機半導体膜に、例えば、アクリル酸、アセトアミド、ジメチルアミノ基、シアノ基、カルボキシル基、ニトロ基等の官能基を有する材料や、ベンゾキノン誘導体、テトラシアノエチレン及びテトラシアノキノジメタンやそれらの誘導体等のように電子を受容するアクセプターとなる材料や、例えばアミノ基、トリフェニル基、アルキル基、水酸基、アルコキシ基、フェニル基等の官能基を有する材料、フェニレンジアミン等の置換アミン類、アントラセン、ベンゾアントラセン、置換ベンゾアントラセン類、ピレン、置換ピレン、カルバゾール及びその誘導体、テトラチアフルバレンとその誘導体等のように電子の供与体であるドナーとなるような材料を含有させ、いわゆるドーピング処理を施してもよい。
前記ドーピングとは電子授与性分子(アクセプター)または電子供与性分子(ドナー)をドーパントとして該薄膜に導入することを意味する。従って,ドーピングが施された薄膜は、前記の縮合多環芳香族化合物とドーパントを含有する薄膜である。本発明に用いるドーパントとしては公知のものを採用することができる。
これらの有機半導体膜を形成する方法としては、公知の方法で形成することができ、例えば、真空蒸着、MBE(Molecular Beam Epitaxy)、イオンクラスタービーム法、低エネルギーイオンビーム法、イオンプレーティング法、スパッター法、CVD(Chemical Vapor Deposition)、レーザー蒸着、電子ビーム蒸着、電着、スピンコート、ディップコート、バーコート法、ダイコート法、スプレーコート法、及びLB法等、またスクリーン印刷、インクジェット印刷、ブレード塗布等の方法を挙げることができる。
この中で生産性の点で、有機半導体膜を塗布により形成することが好ましい。塗布法としては、有機半導体の溶液を用いて簡単かつ精密に薄膜が形成できるスピンコート法、ブレードコート法、デイップコート法、ロールコート法、バーコート法、ダイコート法等が好まれる。
なお、Advanced Material誌 1999年 第6号、p480〜483に記載のように、ペンタセン等前駆体が溶媒に可溶であるものは、塗布により形成した前駆体の膜を熱処理して目的とする有機材料の薄膜を形成してもよい。
これら有機半導体膜の膜厚としては、特に制限はないが、得られたトランジスタの特性は、有機半導体膜の膜厚に大きく左右される場合が多く、その膜厚は、有機半導体により異なるが、一般に1μm以下、特に10〜300nmが好ましい。
〔電極〕
本発明の有機薄膜トランジスタにおいて、ソースまたはドレイン電極材料としては導電性材料であれば特に限定されず、公知の電極材料にて形成される。電極材料としては導電性材料であれば特に限定されず、白金、金、銀、ニッケル、クロム、銅、鉄、錫、アンチモン鉛、タンタル、インジウム、パラジウム、テルル、レニウム、イリジウム、アルミニウム、ルテニウム、ゲルマニウム、モリブデン、タングステン、酸化スズ・アンチモン、酸化インジウム・スズ(ITO)、フッ素ドープ酸化亜鉛、亜鉛、炭素、グラファイト、グラッシーカーボン、銀ペースト及びカーボンペースト、リチウム、ベリリウム、ナトリウム、マグネシウム、カリウム、カルシウム、スカンジウム、チタン、マンガン、ジルコニウム、ガリウム、ニオブ、ナトリウム、ナトリウム−カリウム合金、マグネシウム、リチウム、アルミニウム、マグネシウム/銅混合物、マグネシウム/銀混合物、マグネシウム/アルミニウム混合物、マグネシウム/インジウム混合物、アルミニウム/酸化アルミニウム混合物、リチウム/アルミニウム混合物等が用いられる。あるいはドーピング等で導電率を向上させた公知の導電性ポリマー、例えば導電性ポリアニリン、導電性ポリピロール、導電性ポリチオフェン(ポリエチレンジオキシチオフェンとポリスチレンスルホン酸の錯体等)も好適に用いられる。
本発明の有機薄膜トランジスタにおいて、ソースまたはドレイン電極材料としては導電性材料であれば特に限定されず、公知の電極材料にて形成される。電極材料としては導電性材料であれば特に限定されず、白金、金、銀、ニッケル、クロム、銅、鉄、錫、アンチモン鉛、タンタル、インジウム、パラジウム、テルル、レニウム、イリジウム、アルミニウム、ルテニウム、ゲルマニウム、モリブデン、タングステン、酸化スズ・アンチモン、酸化インジウム・スズ(ITO)、フッ素ドープ酸化亜鉛、亜鉛、炭素、グラファイト、グラッシーカーボン、銀ペースト及びカーボンペースト、リチウム、ベリリウム、ナトリウム、マグネシウム、カリウム、カルシウム、スカンジウム、チタン、マンガン、ジルコニウム、ガリウム、ニオブ、ナトリウム、ナトリウム−カリウム合金、マグネシウム、リチウム、アルミニウム、マグネシウム/銅混合物、マグネシウム/銀混合物、マグネシウム/アルミニウム混合物、マグネシウム/インジウム混合物、アルミニウム/酸化アルミニウム混合物、リチウム/アルミニウム混合物等が用いられる。あるいはドーピング等で導電率を向上させた公知の導電性ポリマー、例えば導電性ポリアニリン、導電性ポリピロール、導電性ポリチオフェン(ポリエチレンジオキシチオフェンとポリスチレンスルホン酸の錯体等)も好適に用いられる。
ソース電極またドレイン電極を形成する材料としては、上に挙げた中でも半導体層との接触面において電気抵抗が少ないものが好ましく、p型半導体の場合は特に、白金、金、銀、ITO、導電性ポリマー及び炭素が好ましい。
ソース電極またドレイン電極とする場合は、上記の導電性材料を含む、溶液、ペースト、インク、分散液等の流動性電極材料を用いて形成したもの、特に、導電性ポリマー、または白金、金、銀、銅を含有する金属微粒子を含む流動性電極材料が好ましい。また、溶媒や分散媒体としては、有機半導体へのダメージを抑制するため、水を60%以上、好ましくは90%以上含有する溶媒または分散媒体であることが好ましい。
金属微粒子を含有する流動性電極材料としては、例えば公知の導電性ペースト等を用いてもよいが、好ましくは、粒子径が1〜50nm、好ましくは1〜10nmの金属微粒子を、必要に応じて分散安定剤を用いて、水や任意の有機溶剤である分散媒中に分散した材料である。
金属微粒子の材料としては白金、金、銀、ニッケル、クロム、銅、鉄、錫、アンチモン鉛、タンタル、インジウム、パラジウム、テルル、レニウム、イリジウム、アルミニウム、ルテニウム、ゲルマニウム、モリブデン、タングステン、亜鉛等を用いることができる。
このような金属微粒子の分散物の製造方法として、ガス中蒸発法、スパッタリング法、金属蒸気合成法等の物理的生成法や、コロイド法、共沈法等の、液相で金属イオンを還元して金属微粒子を生成する化学的生成法が挙げられるが、好ましくは、特開平11−76800号、同11−80647号、同11−319538号、特開2000−239853号等に示されたコロイド法、特開2001−254185号、同2001−53028号、同2001−35255号、同2000−124157号、同2000−123634号等に記載されたガス中蒸発法により製造された金属微粒子の分散物である。これらの金属微粒子分散物を用いて電極を成形し、溶媒を乾燥させた後、必要に応じて100〜300℃、好ましくは150〜200℃の範囲で形状様に加熱することにより、金属微粒子を熱融着させ、目的の形状を有する電極パターンを形成するものである。
電極の形成方法としては、上記を原料として蒸着やスパッタリング等の方法を用いて形成した導電性薄膜を、公知のフォトリソグラフ法やリフトオフ法を用いて電極形成する方法、アルミニウムや銅等の金属箔上に熱転写、インクジェット等により、レジストを形成しエッチングする方法がある。また導電性ポリマーの溶液あるいは分散液、金属微粒子を含有する分散液等を直接インクジェット法によりパターニングしてもよいし、塗工膜からリソグラフやレーザーアブレーション等により形成してもよい。さらに導電性ポリマーや金属微粒子を含有する導電性インク、導電性ペースト等を凸版、凹版、平版、スクリーン印刷等の印刷法でパターニングする方法も用いることができる。
ソース電極及びドレイン電極は、特にフォトリソグラフ法を用いて形成することが好ましく、この場合、有機半導体保護層に接して層の全面に光感応性樹脂の溶液を塗布し、光感応性樹脂層を形成する。
光感応性樹脂層としては、前記、保護層のパターニングに用いるポジ型、ネガ型の公知の感光性樹脂と同じものが使用できる。
フォトリソグラフ法では、この後にソース電極及びドレイン電極の材料として金属微粒子含有分散体または導電性ポリマーを用いてパターニングし、必要に応じて熱融着し作製する。
光感応性樹脂の塗布溶液を形成する溶媒、光感応性樹脂層を形成する方法等、前記保護膜のパターニングに述べたとおりである。
光感応性樹脂層を形成後、パターニング露光に用いる光源、光感応性樹脂層の現像に用いられる現像液についても同様である。また、電極形成には他の光感応性樹脂層であるアブレーション層を用いてもよい。アブレーション層についても、前記、保護層のパターニングに用いるものと同様のものが挙げられる。
本発明の有機薄膜トランジスタのゲート絶縁層としては種々の絶縁膜を用いることができるが、特に、比誘電率の高い無機酸化物皮膜が好ましい。無機酸化物としては、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化タンタル、酸化チタン、酸化スズ、酸化バナジウム、チタン酸バリウムストロンチウム、ジルコニウム酸チタン酸バリウム、ジルコニウム酸チタン酸鉛、チタン酸鉛ランタン、チタン酸ストロンチウム、チタン酸バリウム、フッ化バリウムマグネシウム、チタン酸ビスマス、チタン酸ストロンチウムビスマス、タンタル酸ストロンチウムビスマス、タンタル酸ニオブ酸ビスマス、トリオキサイドイットリウム等が挙げられる。それらのうち好ましいのは、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化タンタル、酸化チタンである。窒化ケイ素、窒化アルミニウム等の無機窒化物も好適に用いることができる。
上記皮膜の形成方法としては、真空蒸着法、分子線エピタキシャル成長法、イオンクラスタービーム法、低エネルギーイオンビーム法、イオンプレーティング法、CVD法、スパッタリング法、大気圧プラズマ法等のドライプロセスや、スプレーコート法、スピンコート法、ブレードコート法、デイップコート法、キャスト法、ロールコート法、バーコート法、ダイコート法等の塗布による方法、印刷やインクジェット等のパターニングによる方法等のウェットプロセスが挙げられ、材料に応じて使用できる。
ウェットプロセスは、無機酸化物の微粒子を、任意の有機溶剤あるいは水に必要に応じて界面活性剤等の分散補助剤を用いて分散した液を塗布、乾燥する方法や、酸化物前駆体、例えばアルコキシド体の溶液を塗布、乾燥する、いわゆるゾルゲル法が用いられる。
これらのうち好ましいのは、上述した大気圧プラズマCVD法である。
ゲート絶縁層が陽極酸化膜または該陽極酸化膜と絶縁膜とで構成されることも好ましい。陽極酸化膜は封孔処理されることが望ましい。陽極酸化膜は、陽極酸化が可能な金属を公知の方法により陽極酸化することにより形成される。
陽極酸化処理可能な金属としては、アルミニウムまたはタンタルを挙げることができ、陽極酸化処理の方法には特に制限はなく、公知の方法を用いることができる。陽極酸化処理を行なうことにより、酸化被膜が形成される。陽極酸化処理に用いられる電解液としては、多孔質酸化皮膜を形成することができるものならばいかなるものでも使用でき、一般には、硫酸、燐酸、蓚酸、クロム酸、ホウ酸、スルファミン酸、ベンゼンスルホン酸等あるいはこれらを2種類以上組み合わせた混酸あるいそれらの塩が用いられる。陽極酸化の処理条件は使用する電解液により種々変化するので一概に特定し得ないが、一般的には、電解液の濃度が1〜80質量%、電解液の温度5〜70℃、電流密度0.5〜60A/dm2、電圧1〜100ボルト、電解時間10秒〜5分の範囲が適当である。好ましい陽極酸化処理は、電解液として硫酸、リン酸またはホウ酸の水溶液を用い、直流電流で処理する方法であるが、交流電流を用いることもできる。これらの酸の濃度は5〜45質量%であることが好ましく、電解液の温度20〜50℃、電流密度0.5〜20A/dm2で20〜250秒間電解処理するのが好ましい。
また有機化合物皮膜としては、ポリイミド、ポリアミド、ポリエステル、ポリアクリレート、光ラジカル重合系、光カチオン重合系の光硬化性樹脂、あるいはアクリロニトリル成分を含有する共重合体、ポリビニルフェノール、ポリビニルアルコール、ノボラック樹脂、及びシアノエチルプルラン等を用いることもできる。
有機化合物皮膜の形成法としては、前記ウェットプロセスが好ましい。
無機酸化物皮膜と有機酸化物皮膜は積層して併用することができる。またこれら絶縁膜の膜厚としては、一般に50nm〜3μm、好ましくは、100nm〜1μmである。
ゲート絶縁層上に有機半導体を形成する場合、ゲート絶縁層表面に、任意の表面処理を施してもよい。シランカップリング剤、例えばオクタデシルトリクロロシラン、トリクロロメチルシラザンや、アルカン燐酸、アルカンスルホン酸、アルカンカルボン酸等の自己組織化配向膜が好適に用いられる。
〔基体(基板ともいう)〕
基体を構成する基体材料としては、種々の材料が利用可能であり、例えば、ガラス、石英、酸化アルミニウム、サファイア、チッ化珪素、炭化珪素等のセラミック基体、シリコン、ゲルマニウム、ガリウム砒素、ガリウム燐、ガリウム窒素等半導体基体、紙、不織布等を用いることができるが、本発明において基体は樹脂からなることが好ましく、例えばプラスチックフィルムシートを用いることができる。プラスチックフィルムとしては、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリエーテルイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリフェニレンスルフィド、ポリアリレート、ポリイミド、ボリカーボネート(PC)、セルローストリアセテート(TAC)、セルロースアセテートプロピオネート(CAP)等からなるフィルム等が挙げられる。プラスチックフィルムを用いることで、ガラス基体を用いる場合に比べて軽量化を図ることができ、可搬性を高めることができるとともに、衝撃に対する耐性を向上できる。
基体を構成する基体材料としては、種々の材料が利用可能であり、例えば、ガラス、石英、酸化アルミニウム、サファイア、チッ化珪素、炭化珪素等のセラミック基体、シリコン、ゲルマニウム、ガリウム砒素、ガリウム燐、ガリウム窒素等半導体基体、紙、不織布等を用いることができるが、本発明において基体は樹脂からなることが好ましく、例えばプラスチックフィルムシートを用いることができる。プラスチックフィルムとしては、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリエーテルイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリフェニレンスルフィド、ポリアリレート、ポリイミド、ボリカーボネート(PC)、セルローストリアセテート(TAC)、セルロースアセテートプロピオネート(CAP)等からなるフィルム等が挙げられる。プラスチックフィルムを用いることで、ガラス基体を用いる場合に比べて軽量化を図ることができ、可搬性を高めることができるとともに、衝撃に対する耐性を向上できる。
また本発明の有機薄膜トランジスタ上には保護層を設けることも可能である。保護層としては前述した無機酸化物または無機窒化物等が挙げられ、上述した大気圧プラズマ法で形成するのが好ましい。これにより、有機薄膜トランジスタの耐久性が向上する。
〔有機薄膜トランジスタの製造〕
有機薄膜トランジスタは、基体上に有機半導体膜(以下、有機半導体層ともいう)で連結されたソース電極とドレイン電極を有し、その上にゲート絶縁層を介してゲート電極を有するトップゲート型と、基体上に先ずゲート電極を有し、ゲート絶縁層を介して有機半導体膜で連結されたソース電極とドレイン電極を有するボトムゲート型に大別される。本発明の有機薄膜トランジスタはこれらトップゲート型またボトムゲート型のいずれでもよいが、ボトムゲート型構造を有する有機薄膜トランジスタが好ましい。具体的な素子の層構成例は図1、図2に示すごとくなる。
有機薄膜トランジスタは、基体上に有機半導体膜(以下、有機半導体層ともいう)で連結されたソース電極とドレイン電極を有し、その上にゲート絶縁層を介してゲート電極を有するトップゲート型と、基体上に先ずゲート電極を有し、ゲート絶縁層を介して有機半導体膜で連結されたソース電極とドレイン電極を有するボトムゲート型に大別される。本発明の有機薄膜トランジスタはこれらトップゲート型またボトムゲート型のいずれでもよいが、ボトムゲート型構造を有する有機薄膜トランジスタが好ましい。具体的な素子の層構成例は図1、図2に示すごとくなる。
図1はトップゲート型の層構成例を示し、樹脂からなる基体1上にポリマーまたは無機酸化物及び無機窒化物から選ばれる化合物を含む下引き層2を有し、下引き層2に接して有機半導体膜6を有し、さらに有機半導体膜6に接して有機半導体保護層3を有し、有機半導体保護層3の貫通穴を通じて有機半導体膜6に接するソース電極4及びドレイン電極5を有し、その上にゲート絶縁層7を介してゲート電極8を有するものである。
図2はボトムゲート型の層構成例を示し、樹脂からなる基体1上にポリマーまたは無機酸化物及び無機窒化物から選ばれる化合物を含有する下引き層2、下引き層2に接してゲート電極8、ゲート絶縁層7を介して有機半導体膜6を有している。さらに有機半導体膜6に接して有機半導体保護層3を有しており、有機半導体保護層3の貫通穴を通じて有機半導体膜6に接するソース電極4及びドレイン電極5を有している。
図3は、本発明の有機薄膜トランジスタが複数配置される薄膜トランジスタ素子シート10の1例の概略の等価回路図である。
薄膜トランジスタシート10はマトリクス配置された多数の有機薄膜トランジスタ14を有する。11は各有機薄膜トランジスタ14のゲート電極のゲートバスラインであり、12は各有機薄膜トランジスタ14のソース電極のソースバスラインである。各有機薄膜トランジスタ14のドレイン電極には、出力素子16が接続され、この出力素子16は例えば液晶、電気泳動素子等であり、表示装置における画素を構成する。図示の例では、出力素子16として液晶が、抵抗とコンデンサからなる等価回路で示されている。15は蓄積コンデンサ、17は垂直駆動回路、18は水平駆動回路である。
このような、基体上に有機TFT素子を2次元的に配列した薄膜トランジスタシートの作製に本発明の方法を用いることができる。
本発明の有機薄膜トランジスタにおいては、基体がプラスチックフィルムの場合、無機酸化物及び無機窒化物から選ばれる化合物を含有する下引き層、及びポリマーを含む下引き層の少なくとも一方を有することが好ましい。
下引き層に含有される無機酸化物としては、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化タンタル、酸化チタン、酸化スズ、酸化バナジウム、チタン酸バリウムストロンチウム、ジルコニウム酸チタン酸バリウム、ジルコニウム酸チタン酸鉛、チタン酸鉛ランタン、チタン酸ストロンチウム、チタン酸バリウム、フッ化バリウムマグネシウム,チタン酸ビスマス、チタン酸ストロンチウムビスマス、タンタル酸ストロンチウムビスマス、タンタル酸ニオブ酸ビスマス、トリオキサイドイットリウム等が挙げられる。また無機窒化物としては窒化ケイ素、窒化アルミニウム等が挙げられる。
それらのうち好ましいのは、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化タンタル、酸化チタン、窒化ケイ素である。
本発明において、無機酸化物及び無機窒化物から選ばれる化合物を含有する下引き層は上述した大気圧プラズマ法で形成されるのが好ましい。
ポリマーを含む下引き層に用いるポリマーとしては、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、セルロース樹脂、アクリル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリスチレン樹脂、フェノキシ樹脂、ノルボルネン樹脂、エポキシ樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、酢酸ビニルとビニルアルコールの共重合体、部分加水分解した塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−塩化ビニリデン共重合体、塩化ビニル−アクリロニトリル共重合体、エチレン−ビニルアルコール共重合体、ポリビニルアルコール、塩素化ポリ塩化ビニル、エチレン−塩化ビニル共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体等のビニル系重合体、ポリアミド樹脂、エチレン−ブタジエン樹脂、ブタジエン−アクリロニトリル樹脂等のゴム系樹脂、シリコーン樹脂、フッ素系樹脂等を挙げることができる。
以下、本発明の有機薄膜トランジスタの製造方法の好ましい実施形態について説明するが、本発明はこれにより限定されるものではない。
図4(6)はボトムゲート型、トップコンタクト型の有機薄膜トランジスタの一例である。以下、本発明の製造方法を用いた作製の一例を挙げる。
基体1として、ポリエーテルスルホン樹脂フィルム(200μm)を用い、この上に、先ず、50W/m2/minの条件でコロナ放電処理を施した。その後、以下のように接着性向上のため下引き層を形成した。
(下引き層の形成)
下記組成の塗布液を乾燥膜厚2μmになるように塗布し、90℃で5分間乾燥した後、60W/cmの高圧水銀灯下10cmの距離から4秒間硬化させた。
下記組成の塗布液を乾燥膜厚2μmになるように塗布し、90℃で5分間乾燥した後、60W/cmの高圧水銀灯下10cmの距離から4秒間硬化させた。
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート単量体 60g
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート2量体 20g
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート3量体以上の成分 20g
ジエトキシベンゾフェノンUV開始剤 2g
シリコーン系界面活性剤 1g
メチルエチルケトン 75g
メチルプロピレングリコール 75g
さらに、その層の上に下記条件で連続的に大気圧プラズマ処理して厚さ50nmの酸化ケイ素膜を設け、これらの層を下引き層2とした(図4(1))。
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート2量体 20g
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート3量体以上の成分 20g
ジエトキシベンゾフェノンUV開始剤 2g
シリコーン系界面活性剤 1g
メチルエチルケトン 75g
メチルプロピレングリコール 75g
さらに、その層の上に下記条件で連続的に大気圧プラズマ処理して厚さ50nmの酸化ケイ素膜を設け、これらの層を下引き層2とした(図4(1))。
(使用ガス)
不活性ガス:ヘリウム98.25体積%
反応性ガス:酸素ガス1.5体積%
反応性ガス:テトラエトキシシラン蒸気(ヘリウムガスにてバブリング)0.25体積%
(放電条件)
放電出力:10W/cm2
(電極条件)
電極は、冷却水による冷却手段を有するステンレス製ジャケットロール母材に対して、セラミック溶射によるアルミナを1mm被覆し、その後、テトラメトキシシランを酢酸エチルで希釈した溶液を塗布乾燥後、紫外線照射により封孔処理を行い、表面を平滑にしてRmax5μmとした誘電体(比誘電率10)を有するロール電極であり、アースされている。一方、印加電極としては、中空の角型のステンレスパイプに対し、上記同様の誘電体を同条件にて被覆した。
不活性ガス:ヘリウム98.25体積%
反応性ガス:酸素ガス1.5体積%
反応性ガス:テトラエトキシシラン蒸気(ヘリウムガスにてバブリング)0.25体積%
(放電条件)
放電出力:10W/cm2
(電極条件)
電極は、冷却水による冷却手段を有するステンレス製ジャケットロール母材に対して、セラミック溶射によるアルミナを1mm被覆し、その後、テトラメトキシシランを酢酸エチルで希釈した溶液を塗布乾燥後、紫外線照射により封孔処理を行い、表面を平滑にしてRmax5μmとした誘電体(比誘電率10)を有するロール電極であり、アースされている。一方、印加電極としては、中空の角型のステンレスパイプに対し、上記同様の誘電体を同条件にて被覆した。
次いで、ゲート電極8を形成する。
即ち、上記の下引き層2上に、下記組成の光感応性樹脂組成液1を塗布し、100℃にて1分間乾燥させることで、厚さ2μmの光感応性樹脂層を形成した後、発振波長830nm、出力100mWの半導体レーザーで200mJ/cm2のエネルギー密度でゲートライン及びゲート電極のパターンを露光し、アルカリ水溶液で現像してレジスト像を得た。さらにその上に、スパッタ法により、厚さ300nmのアルミニウム皮膜を一面に成膜した後、MEKで上記光感応性樹脂層の残存部を除去することで、ゲートバスライン及びゲート電極8を作製する(図4(2))。
(光感応性樹脂組成液1)
色素A 7部
ノボラック樹脂(フェノールとm−、p−混合クレゾールとホルムアルデヒドを共縮合させたノボラック樹脂(Mw=4000、フェノール/m−クレゾール/p−クレゾールのモル比がそれぞれ5/57/38)) 90部
クリスタルバイオレット 3部
プロピレングリコールモノメチルエーテル 1000部
色素A 7部
ノボラック樹脂(フェノールとm−、p−混合クレゾールとホルムアルデヒドを共縮合させたノボラック樹脂(Mw=4000、フェノール/m−クレゾール/p−クレゾールのモル比がそれぞれ5/57/38)) 90部
クリスタルバイオレット 3部
プロピレングリコールモノメチルエーテル 1000部
次いで、以下の陽極酸化皮膜形成工程により、平滑化、絶縁性向上のための補助的絶縁膜として、ゲート電極に陽極酸化被膜を形成した(図では省略)。
(陽極酸化被膜形成工程)
ゲート電極を形成した後、基板をよく洗浄し、30質量%硫酸水溶液中で、2分間、30Vの低電圧電源から供給される直流を用いて、陽極酸化皮膜の厚さが120nmになるまで陽極酸化を行った。よく洗浄した後に、1気圧、100℃の飽和した蒸気チャンバーの中で、蒸気封孔処理を施した。このようにして陽極酸化被膜を有するゲート電極を下引き処理したポリエーテルスルホン樹脂フィルム上に作製した。
ゲート電極を形成した後、基板をよく洗浄し、30質量%硫酸水溶液中で、2分間、30Vの低電圧電源から供給される直流を用いて、陽極酸化皮膜の厚さが120nmになるまで陽極酸化を行った。よく洗浄した後に、1気圧、100℃の飽和した蒸気チャンバーの中で、蒸気封孔処理を施した。このようにして陽極酸化被膜を有するゲート電極を下引き処理したポリエーテルスルホン樹脂フィルム上に作製した。
次いで、さらにフィルム温度200℃にて、上述した大気圧プラズマ法の使用ガスを下記に変更し、厚さ30nmの酸化チタン層を設け、ゲート絶縁層7を形成した(図4の(3))。
(使用ガス)
不活性ガス:アルゴン 98.9体積%
反応性ガス:水素ガス 0.8体積%
反応性ガス:テトラプロポキシチタン蒸気(150℃に加熱した液体にアルゴンガスをバブリング) 0.3体積%
次に、例示化合物1(表面処理剤)を溶解したトルエン溶液(1質量%、55℃)に10分間浸漬した後、トルエンですすぎ、乾燥させ、陽極酸化被膜の表面処理を行った(図では省略)。
不活性ガス:アルゴン 98.9体積%
反応性ガス:水素ガス 0.8体積%
反応性ガス:テトラプロポキシチタン蒸気(150℃に加熱した液体にアルゴンガスをバブリング) 0.3体積%
次に、例示化合物1(表面処理剤)を溶解したトルエン溶液(1質量%、55℃)に10分間浸漬した後、トルエンですすぎ、乾燥させ、陽極酸化被膜の表面処理を行った(図では省略)。
次に、半導体材料として、前記有機半導体材料1を用いて、表面処理を行ったゲート絶縁層上に有機半導体膜を形成した。即ち、有機半導体材料1のシクロヘキサン溶液(0.5質量%)を調製し、ピエゾ方式のインクジェット法を用いて、チャネルを形成すべき領域に吐出し、窒素ガス中で、50℃で3分乾燥し、基板上に膜厚20nmの有機半導体膜6を形成した(図4(4))。
次いで、下記無電解メッキ触媒液をインクとして用い、回転ロール(支持ロール)にはバイアス電圧2000Vの電圧を印加し、さらにパルス電圧(400V)を重畳させてソース、ドレイン電極パターンに従ってインクを吐出した。ノズル吐出口の内径は10μmとし、ノズル吐出口と基材とのギャップは500μmに保持した。メッキ触媒含有インクとして下記処方のものを用いた。
(無電解メッキ触媒液)
可溶性パラジウム塩(塩化パラジウム) 20質量%(Pd2+濃度1.0g/L)
イソプロピルアルコール 12質量%
グリセリン 20質量%
2−メチル−ペンタンチオール 5質量%
1,3−ブタンジオール 3質量%
イオン交換水 40質量%
さらに、乾燥定着させて、触媒パターンM1を形成した(図4(5))。
可溶性パラジウム塩(塩化パラジウム) 20質量%(Pd2+濃度1.0g/L)
イソプロピルアルコール 12質量%
グリセリン 20質量%
2−メチル−ペンタンチオール 5質量%
1,3−ブタンジオール 3質量%
イオン交換水 40質量%
さらに、乾燥定着させて、触媒パターンM1を形成した(図4(5))。
次いで、スクリーン印刷法により、下記無電解金メッキ液をインクとして用いてメッキ触媒パターンが形成された領域を含む領域に印刷を行った。メッキ剤がメッキ触媒と接触することでメッキ触媒のパターン上に無電解メッキが施され、金薄膜M2が形成された。
(無電解金メッキ液)
ジシアノ金カリウム 0.1モル/L
蓚酸ナトリウム 0.1モル/L
酒石酸ナトリウムカリウム 0.1モル/L
を溶解した均一溶液
金薄膜が形成された基板表面を、純水で、充分に洗浄、乾燥して、図4(6)に示される薄膜トランジスタが形成される。
ジシアノ金カリウム 0.1モル/L
蓚酸ナトリウム 0.1モル/L
酒石酸ナトリウムカリウム 0.1モル/L
を溶解した均一溶液
金薄膜が形成された基板表面を、純水で、充分に洗浄、乾燥して、図4(6)に示される薄膜トランジスタが形成される。
以上、トップコンタクト型の薄膜トランジスタの作製例を示した。
ボトムコンタクト型の実施態様については、前記の有機半導体膜とソース、ドレインの形成順序を逆にすればよい。即ち、ゲート絶縁膜7形成後、メッキ触媒パターンを形成し、メッキ剤と接触させ、ソース、ドレイン電極を形成した後(M1、M2)、本発明に係る表面処理剤を溶解したトルエン溶液に浸漬した後、トルエンですすぎ、乾燥させ、陽極酸化被膜の表面処理を行う。次に、有機半導体材料をピエゾ方式のインクジェット法を用いて、チャネルを形成すべき領域に吐出し、窒素ガス中で50℃で3分乾燥し有機半導体膜6を形成する。図5にこの構成を示した。この場合には、有機半導体膜がメッキ剤等に晒されることがなく好ましい。
次いで、トップコンタクト型の薄膜トランジスタを用いたTFTシート(有機薄膜トランジスタ素子シート)の製造のより具体的な実施態様について図6を用いて説明する。
〈ゲートバスライン及びゲート電極の形成〉
図6の(1)は、PES(ポリエーテルスルホン)樹脂フィルム(200μm)を基板として、基板1上に、前記下引き層2及び陽極酸化被膜9付きのアルミニウムによるゲート電極8、そして、ゲート絶縁膜7、有機半導体膜6が、前記図4において示した方法により順次形成されたところを示す。
図6の(1)は、PES(ポリエーテルスルホン)樹脂フィルム(200μm)を基板として、基板1上に、前記下引き層2及び陽極酸化被膜9付きのアルミニウムによるゲート電極8、そして、ゲート絶縁膜7、有機半導体膜6が、前記図4において示した方法により順次形成されたところを示す。
(有機半導体保護層形成工程)
この有機半導体膜6の上に、静電界印加用電極部と対向電極部との間に印加されるバイアス電圧及びパルス電圧等の条件を適宜調整し、十分に精製を行ったポリビニルアルコールを超純粋製造装置で精製された水に溶解した水溶液をインクとして用いて、保護膜パターンの印刷を行った。印刷は、有機半導体膜の、ソース、ドレイン電極間において、半導体チャネルを構成する部分に選択的に保護膜材料を吐出した。印刷後、窒素ガス雰囲気中100℃にて、よく乾燥させ、厚さ1μmのポリビニルアルコールの有機半導体保護層3を形成した(図6の(2))。
この有機半導体膜6の上に、静電界印加用電極部と対向電極部との間に印加されるバイアス電圧及びパルス電圧等の条件を適宜調整し、十分に精製を行ったポリビニルアルコールを超純粋製造装置で精製された水に溶解した水溶液をインクとして用いて、保護膜パターンの印刷を行った。印刷は、有機半導体膜の、ソース、ドレイン電極間において、半導体チャネルを構成する部分に選択的に保護膜材料を吐出した。印刷後、窒素ガス雰囲気中100℃にて、よく乾燥させ、厚さ1μmのポリビニルアルコールの有機半導体保護層3を形成した(図6の(2))。
保護膜のパターニングは、感光性樹脂を用いてレジストを形成させる方法によっても構わない。
(電極形成工程)
(メッキ触媒パターン形成)
次いで、電極形成領域に、ソース電極、ドレイン電極のパターンに従って下記メッキ触媒液を吐出し、これを乾燥、定着しメッキ触媒パターンM1を形成した(図6(3)、(4))。
(メッキ触媒パターン形成)
次いで、電極形成領域に、ソース電極、ドレイン電極のパターンに従って下記メッキ触媒液を吐出し、これを乾燥、定着しメッキ触媒パターンM1を形成した(図6(3)、(4))。
(メッキ触媒液)
可溶性パラジウム塩(塩化パラジウム) 20質量%(Pd2+濃度1.0g/L)
イソプロピルアルコール 12質量%
グリセリン 20質量%
2−メチル−ペンタンチオール 5質量%
1,3−ブタンジオール 3質量%
イオン交換水 40質量%
レジストの形成によるソース電極、ソースバスライン、またドレイン電極の正確なパターニングを用いることなく、静電吸引型インクジェット装置による印刷を用い、メッキ触媒液を正確に電極パターンに従って吐出、配置できる。次いで、メッキ触媒を乾燥して、触媒パターンを定着した。
可溶性パラジウム塩(塩化パラジウム) 20質量%(Pd2+濃度1.0g/L)
イソプロピルアルコール 12質量%
グリセリン 20質量%
2−メチル−ペンタンチオール 5質量%
1,3−ブタンジオール 3質量%
イオン交換水 40質量%
レジストの形成によるソース電極、ソースバスライン、またドレイン電極の正確なパターニングを用いることなく、静電吸引型インクジェット装置による印刷を用い、メッキ触媒液を正確に電極パターンに従って吐出、配置できる。次いで、メッキ触媒を乾燥して、触媒パターンを定着した。
(メッキ剤の供給)
次に、上記の触媒パターンが形成された基板を無電解金メッキ浴(ジシアノ金カリウム0.1モル/リットル、蓚酸ナトリウム0.1モル/リットル、酒石酸ナトリウムカリウム0.1モル/リットルを溶解した均一溶液)に浸漬して、厚み110nmの金からなる金属薄膜M2を形成させ、ソース、ドレイン電極を形成した。電極形成後充分に洗浄、乾燥し、薄膜トランジスタを形成した(図6(5))。
次に、上記の触媒パターンが形成された基板を無電解金メッキ浴(ジシアノ金カリウム0.1モル/リットル、蓚酸ナトリウム0.1モル/リットル、酒石酸ナトリウムカリウム0.1モル/リットルを溶解した均一溶液)に浸漬して、厚み110nmの金からなる金属薄膜M2を形成させ、ソース、ドレイン電極を形成した。電極形成後充分に洗浄、乾燥し、薄膜トランジスタを形成した(図6(5))。
以下、実施例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されない。
実施例
(有機薄膜トランジスタの作製)
ゲート電極としての比抵抗0.02Ω・cmのn型Siウェハーに、厚さ200nmの熱酸化膜を形成してゲート絶縁層とした後、表1に記載の表面処理剤を溶解したトルエン溶液(1質量%、55℃)に10分間浸漬した後、トルエンですすぎ、乾燥させ、熱酸化膜の表面処理を行った。
(有機薄膜トランジスタの作製)
ゲート電極としての比抵抗0.02Ω・cmのn型Siウェハーに、厚さ200nmの熱酸化膜を形成してゲート絶縁層とした後、表1に記載の表面処理剤を溶解したトルエン溶液(1質量%、55℃)に10分間浸漬した後、トルエンですすぎ、乾燥させ、熱酸化膜の表面処理を行った。
次に、有機半導体材料〈1〉をシクロヘキサンに溶解して1質量%の溶液を調製し、前記表面処理が施された熱酸化膜上に、スピンコーターを用いて塗布した。室温で乾燥させた後、窒素ガス雰囲気中で90℃、1分間の熱処理を施し、有機半導体膜を形成した。このとき有機半導体膜の膜厚は30nmであった。
さらに、この膜の表面にマスクを用いて金を蒸着し、ソース電極及びドレイン電極を形成した。
以上によりチャネル長L=30μm、チャネル幅W=1mmの有機薄膜トランジスタ1〜9を作製した。
(有機薄膜トランジスタの評価)
得られた有機薄膜トランジスタについて以下の評価を行った。評価の結果を表1に示す。
得られた有機薄膜トランジスタについて以下の評価を行った。評価の結果を表1に示す。
〈塗布性〉
有機半導体材料溶液塗布時の塗布性を下記基準で評価した。
有機半導体材料溶液塗布時の塗布性を下記基準で評価した。
○:一様な有機半導体膜が形成された
×:有機半導体の溶液が弾いてしまい、有機半導体膜が形成されない
〈キャリア移動度〉
I−V特性の飽和領域からキャリア移動度を求め。
×:有機半導体の溶液が弾いてしまい、有機半導体膜が形成されない
〈キャリア移動度〉
I−V特性の飽和領域からキャリア移動度を求め。
なお、有機薄膜トランジスタ2、3は塗布性が悪く、キャリア移動度の評価ができなかった。
得られた有機薄膜トランジスタは、有機薄膜トランジスタ2、3を除き、pチャネルエンハンスメント型FETとして良好に動作した。
表1から、基体の表面を、表面処理剤を用いない、または本発明に係る表面処理剤以外の表面処理剤を用いて処理した比較例の有機薄膜トランジスタ1、4は、塗布性とTFT特性の両立ができなかった。基体の表面を本発明に係る表面処理剤を用いて処理した本発明の有機薄膜トランジスタ4〜9は、塗布性及びキャリア移動度が良好であった。
1 基体
2 下引き層
3 有機半導体保護層
4 ソース電極
5 ドレイン電極
6 有機半導体膜
7 ゲート絶縁層
8 ゲート電極
9 陽極酸化皮膜
10 有機薄膜トランジスタシート
11 ゲートバスライン
12 ソースバスライン
14 有機薄膜トランジスタ
15 蓄積コンデンサ
16 出力素子
17 垂直駆動回路
18 水平駆動回路
2 下引き層
3 有機半導体保護層
4 ソース電極
5 ドレイン電極
6 有機半導体膜
7 ゲート絶縁層
8 ゲート電極
9 陽極酸化皮膜
10 有機薄膜トランジスタシート
11 ゲートバスライン
12 ソースバスライン
14 有機薄膜トランジスタ
15 蓄積コンデンサ
16 出力素子
17 垂直駆動回路
18 水平駆動回路
Claims (10)
- 前記一般式(1)のL、または前記一般式(2)のL1またはL2で表される2価の連結基が少なくとも1つ三重結合を含むことを特徴とする請求項1または2に記載の有機半導体膜。
- 前記一般式(1)におけるR1〜R3の少なくとも1つ、または前記一般式(2)におけるR1〜R3の少なくとも1つがアルキル基であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の有機半導体膜。
- 請求項1〜6のいずれか1項に記載の有機半導体膜の製造方法であって、有機半導体膜が塗布により形成されることを特徴とする有機半導体膜の製造方法。
- 請求項1〜6のいずれか1項に記載の有機半導体膜を用いることを特徴とする有機薄膜トランジスタ。
- ボトムゲート構造であることを特徴とする請求項7記載の有機薄膜トランジスタ。
- 請求項7または8に記載の有機薄膜トランジスタの製造方法であって、表面処理が、表面処理剤の溶液を基体表面に供給することで行われることを特徴とする有機薄膜トランジスタの製造方法。
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