JP2008060115A - 有機薄膜トランジスタの製造方法、及び該製造方法により作製した有機薄膜トランジスタ - Google Patents
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Abstract
【課題】大気圧下での生産効率の高い、トランジスタ特性に優れた有機薄膜トランジスタの製造方法、及び該製造方法により作製した有機薄膜トランジスタを提供すること。
【解決手段】支持体上にゲート電極、絶縁層、ソース電極及びドレイン電極、有機半導体層を有する有機薄膜トランジスタの製造方法において、ソース電極及びドレイン電極を予めパターニングした基板に大気圧プラズマ処理を行い、更にソース電極及びドレイン電極を形成する金属と化学的に結合する基を有する有機化合物で電極表面を処理することを特徴とする有機薄膜トランジスタの製造方法。
【選択図】なし
【解決手段】支持体上にゲート電極、絶縁層、ソース電極及びドレイン電極、有機半導体層を有する有機薄膜トランジスタの製造方法において、ソース電極及びドレイン電極を予めパターニングした基板に大気圧プラズマ処理を行い、更にソース電極及びドレイン電極を形成する金属と化学的に結合する基を有する有機化合物で電極表面を処理することを特徴とする有機薄膜トランジスタの製造方法。
【選択図】なし
Description
本発明は、有機薄膜トランジスタの製造方法、及び該製造方法により作製した有機薄膜トランジスタに関する。
情報端末の普及に伴い、コンピュータ用のディスプレイとしてフラットパネルディスプレイに対するニーズが高まっている。また、情報化の進展に伴い、従来、紙媒体で提供されていた情報が電子化される機会が増え、薄くて軽い、手軽に持ち運びが可能なモバイル用表示媒体として、電子ペーパーあるいはデジタルペーパーへのニーズも高まりつつある。
一般に平板型のディスプレイ装置においては、液晶、有機EL(有機エレクトロルミネッセンス)、電気泳動等を利用した素子を用いて表示媒体を形成している。また、こうした表示媒体では画面輝度の均一性や画面書き換え速度等を確保するために、画像駆動素子としてアクティブ駆動素子(TFT素子)を用いる技術が主流になっている。例えば、通常のコンピュータディスプレイではガラス基板上にこれらTFT素子を形成し、液晶、有機EL素子等が封止されている。
ここでTFT素子には、主にa−Si(アモルファスシリコン)、p−Si(ポリシリコン)等の半導体を用いることができ、これらのSi半導体(必要に応じて金属膜も)を多層化し、ソース、ドレイン、ゲート電極を基板上に順次形成していくことでTFT素子が製造される。こうしたTFT素子の製造には、通常スパッタリング、その他の真空系の製造プロセスが必要とされる。
しかしながら、このようなTFT素子の製造では、真空チャンバーを含む真空系の製造プロセスを何度も繰り返して各層を形成せざるを得ず、装置コスト、ランニングコストが非常に膨大なものとなっていた。例えば、TFT素子では、通常それぞれの層の形成のために真空蒸着、ドープ、フォトリソグラフ、現像等の工程を何度も繰り返す必要があり、何十もの工程を経て素子を基板上に形成している。スイッチング動作の要となる半導体部分に関しても、p型、n型等、複数種類の半導体層を積層している。こうした従来のSi半導体による製造方法ではディスプレイ画面の大型化のニーズに対し、真空チャンバー等の製造装置の大幅な設計変更が必要とされる等、設備の変更が容易ではない。
また、このような従来からのSi材料を用いたTFT素子の形成には高い温度の工程が含まれるため、基板材料には工程温度に耐える材料であるという制限が加わることになる。このため実際上はガラスを用いざるを得ず、先に述べた電子ペーパーあるいはデジタルペーパーといった薄型ディスプレイをこうした従来知られたTFT素子を利用して構成した場合、そのディスプレイは重く、柔軟性に欠け、落下の衝撃で割れる可能性のある製品となってしまう。ガラス基板上にSi系TFT素子を形成することに起因するこれらの特徴は、情報化の進展に伴う手軽な携行用薄型ディスプレイへのニーズを満たすにあたり望ましくないものである。
一方、近年において高い電荷輸送性を有する有機化合物として、有機半導体材料の研究が精力的に進められている。これらの化合物は有機EL素子用の電荷輸送性材料の他、例えば、有機レーザー発振素子や、多数の論文にて報告されている有機薄膜トランジスタ素子(有機TFT素子)への応用が期待されている。
これらのような有機材料が半導体層であるデバイスを実現できれば、低温での真空ないし低圧蒸着による形成や、更にその分子構造を適切に改良することによって溶剤に可溶化することができればインクジェット法、または印刷法などといった簡便な溶液プロセスによって製造できると考えられる。このような低温プロセス・溶液プロセスによる製造は、透明樹脂基板上へのTFT素子の形成を可能とし、ディスプレイを従来のものよりも軽く、柔軟性に富み、落としても割れない(もしくは非常に割れにくい)安価なディスプレイとすることができると考えられる。
これまでに半導体層として検討されてきた材料としては、ペンタセンやテトラセンといったアセン類、またこれらに置換基を導入した化合物、フタロシアニンやポルフィリン類、及びこれらの前駆体、ペリレンやそのテトラカルボン酸誘導体といった低分子化合物や、α−チエニールもしくはセクシチオフェンと呼ばれるチオフェン6量体を代表例とする芳香族オリゴマー、ナフタレン、アントラセンに5員の芳香族複素環が対称に縮合した化合物、モノ、オリゴ及びポリジチエノピリジン、更にはポリチオフェン、ポリチエニレンビニレン、ポリ−p−フェニレンビニレンといった共役高分子などが挙げられる。
これらの有機半導体層はソース電極及びドレイン電極と接して形成されており、ソース電極から有機半導体層へとキャリアが注入され、有機半導体層の表面または内部をキャリアが通過し、有機半導体層からドレイン電極へとキャリアが放出される。従って、有機半導体を用いた有機薄膜トランジスタでは、有機半導体層と電極との間に電位差、キャリアの注入障壁が存在している。
更にシリコン系半導体や化合物半導体のように、有機半導体も結晶性薄膜である方がキャリア移動度の高い、高性能な薄膜トランジスタが得られることが知られている。有機半導体薄膜が単結晶であれば、電極との界面のキャリア注入障壁は均一であるが、多結晶薄膜及びアモルファス領域が混在するような薄膜では、結晶のサイズ・種類によって微妙にバンド構造が変化し、キャリア注入障壁が変動することが知られている。
このような、電極と半導体層の界面における不均一さに由来する薄膜トランジスタ素子の挙動を改善するために、電極と有機半導体層の間に中間的な薄膜を設けるといった手段が考案されている。
例えば、チオール化合物を用いて、ソース電極、ドレイン電極の表面修飾を行っている(例えば、特許文献1参照。)。また、チャネル部をトリクロロシラン、ソース電極、ドレイン電極をチオール化合物で処理することで有機半導体液滴に対し表面エネルギーを最適化している(例えば、特許文献2参照。)。しかし、いずれの特許文献にも表面修飾の前処理として洗浄工程の記載はない。
更にチオール化合物を用いて、ソース電極、ドレイン電極の表面修飾を行っており(例えば、特許文献3参照。)、表面修飾の前には洗浄工程が必要との記載はあるが、具体的には減圧下での酸素プラズマ、アルゴンプラズマ、あるいは大気圧下でのUVオゾン処理について比較し、減圧下での酸素プラズマが最も好ましいとの記載はあるものの、減圧下での酸素プラズマと大気圧酸素プラズマについての比較については、開示されていない。
米国特許第6,569,707B2号明細書
米国特許第7,019,328B2号明細書
米国特許出願公開第2006/102894号明細書
本発明の目的は、大気圧下での生産効率の高い、トランジスタ特性に優れた有機薄膜トランジスタの製造方法、及び該製造方法により作製した有機薄膜トランジスタを提供することにある。
本発明の上記課題は、以下の構成により達成された。
1.支持体上にゲート電極、絶縁層、ソース電極及びドレイン電極、有機半導体層を有する有機薄膜トランジスタの製造方法において、ソース電極及びドレイン電極を予めパターニングした基板に大気圧プラズマ処理を行い、更にソース電極及びドレイン電極を形成する金属と化学的に結合する基を有する有機化合物で電極表面を処理することを特徴とする有機薄膜トランジスタの製造方法。
2.前記大気圧プラズマ処理を行い、次に少なくともソース電極とドレイン電極間のチャネルが形成される領域を含む絶縁層表面を表面処理剤で処理し、更にソース電極及びドレイン電極を形成する金属と化学的に結合する基を有する有機化合物で電極表面を処理することを特徴とする前記1に記載の有機薄膜トランジスタの製造方法。
3.前記大気圧プラズマ処理を行い、次にソース電極及びドレイン電極を形成する金属と化学的に結合する基を有する有機化合物で電極表面を処理し、更に少なくともソース電極とドレイン電極間のチャネルが形成される領域を含む絶縁層表面を表面処理剤で処理することを特徴とする前記1に記載の有機薄膜トランジスタの製造方法。
4.前記ソース電極及びドレイン電極を形成する金属と化学的に結合する基を有する有機化合物が下記一般式(1)で表される化合物であることを特徴とする前記1〜3のいずれか1項に記載の有機薄膜トランジスタの製造方法。
(式中、Aは金属と化学的結合力を有する官能基を表す。L1は置換または無置換のアルキレン基、シクロアルキレン基、アルケン−1,2−ジイル基、アルキン−1,2−ジイル基、アリーレン基から選ばれる2価の連結基を表す。QはC、Si、Ge、Sn、Pbから選ばれる4価の原子を表し、R1〜R3は置換または無置換のアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、アルキルシリル基から選ばれる置換基を表し、互いに連結して環を形成していてもよい。)
5.前記一般式(1)において、Aがチオール基であることを特徴とする前記4に記載の有機薄膜トランジスタの製造方法。
5.前記一般式(1)において、Aがチオール基であることを特徴とする前記4に記載の有機薄膜トランジスタの製造方法。
6.前記一般式(1)において、QがSiであることを特徴とする前記4または5に記載の有機薄膜トランジスタの製造方法。
7.前記一般式(1)で表される化合物が下記一般式(2)で表される化合物であることを特徴とする前記4〜6のいずれか1項に記載の有機薄膜トランジスタの製造方法。
(式中、L2は置換または無置換のアルキレン基、シクロアルキレン基、アリーレン基から選ばれる2価の連結基を表す。R4は置換または無置換のアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アルキルシリル基から選ばれる置換基を表し、互いに連結して環を形成していてもよい。)
8.前記ソース電極及びドレイン電極を形成する金属が金であることを特徴とする前記1〜7のいずれか1項に記載の有機薄膜トランジスタの製造方法。
8.前記ソース電極及びドレイン電極を形成する金属が金であることを特徴とする前記1〜7のいずれか1項に記載の有機薄膜トランジスタの製造方法。
9.前記表面処理剤がシランカップリング剤であることを特徴とする前記2〜8のいずれか1項に記載の有機薄膜トランジスタの製造方法。
10.前記シランカップリング剤が下記一般式(3)で表される化合物であることを特徴とする前記9に記載の有機薄膜トランジスタの製造方法。
(式中、Xはハロゲン原子、メトキシ基、エトキシ基、イソシアナート基を表す。Q″はC、Si、Ge、Sn、Pbから選ばれる4価の原子を表し、R1′〜R3′は置換または無置換のアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、アルキルシリル基から選ばれる置換基を表し、互いに連結して環を形成していてもよい。L3は置換または無置換のアルキレン基、シクロアルキレン基、アルケン−1,2−ジイル基、アルキン−1,2−ジイル基、アリーレン基から選ばれる2価の連結基を表す。)
11.前記有機半導体層が塗布によって形成された層であることを特徴とする前記1〜10のいずれか1項に記載の有機薄膜トランジスタの製造方法。
11.前記有機半導体層が塗布によって形成された層であることを特徴とする前記1〜10のいずれか1項に記載の有機薄膜トランジスタの製造方法。
12.前記1〜10のいずれか1項に記載の有機薄膜トランジスタの製造方法によって作製したことを特徴とする有機薄膜トランジスタ。
本発明によれば、生産効率が高く、トランジスタ特性に優れた有機薄膜トランジスタを提供することができる。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明は、支持体上にゲート電極、絶縁層、ソース電極及びドレイン電極、有機半導体層を有する有機薄膜トランジスタの製造方法において、ソース電極及びドレイン電極を予めパターニングした基板に大気圧プラズマ処理を行い、更にソース電極及びドレイン電極を形成する金属と化学的に結合する基を有する有機化合物で電極表面を処理することを特徴とする。更にこれに加えて、ソース電極とドレイン電極間のチャネルが形成される領域を含む絶縁層表面を表面処理剤で処理することを特徴とする。
有機薄膜トランジスタでは、有機半導体層に直接ソース・ドレイン電極となる金属が接触した構成をしているため、接触抵抗が高くなり、電荷の移動が効率良く行われにくいという問題を有している。有機半導体層と金属電極の接触抵抗を低減する解決法の一つとして、有機チオールなど金属と結合して単分子膜を形成するような化合物をソース・ドレイン電極表面に修飾することが一般的に知られている。このとき用いるチオール化合物は、金属表面と結合するチオール基と反対側の末端基にアルキルなどの疎水性基を有することが好ましい。このような疎水性基は、シランカップリング剤による絶縁層表面処理と同様に、有機半導体層と接触する表面に水分などが吸着することを妨げる効果もあり、優れたトランジスタ特性を得るのに適している。
特許文献3では、チオール化合物(ソース電極及びドレイン電極を形成する金属と化学的に結合する基を有する有機化合物)を用いて、ソース電極、ドレイン電極の表面修飾を行っており、表面修飾の前には洗浄工程が必要との記載はある。本発明者らは、ソース電極、ドレイン電極の表面修飾の前の洗浄工程として、大気圧プラズマ処理が短時間で望むトランジスタ特性が得られることを見出した。
基板の洗浄プロセスとして、高真空下で行う酸素プラズマはよく知られているが、高真空であるために、(系内の活性種の数が少ないから、活性種同士の衝突する確率が減る。)活性種の平均自由工程距離が長くなって、活性種は直線的に異方性をもって基板に供給され、その結果、充分な処理を行うためにはある程度時間を要する。
一方、大気圧プラズマを洗浄工程に用いると系内に存在する活性種は多く、等方的に基板に供給されることで短い処理時間で均一な処理を行うことが可能である。
ロールtoロールプロセスなどの工程を製造に用いる場合、各工程の処理時間が短いことがコスト削減の上で要求されるが、処理速度、処理均一性の面で大気圧プラズマ処理は好ましい。
ソース電極及びドレイン電極を形成する金属と化学的に結合する基を有する有機化合物としては、有機チオール化合物、有機ジスルフィド化合物、チオイソシアニドなどの有機硫黄化合物、イソシアニドなどのニトリル化合物、モノアルキルシランなどが例として挙げられる。
ソース電極及びドレイン電極を形成する金属と化学的に結合する基を有する有機化合物としては、一般式(1)で表される化合物であることが好ましく、一般式(2)で表される化合物であることがより好ましい。
一般式(1)において、Aは金属と化学的結合力を有する官能基を表すが、チオール基であることが好ましい。また、L1は置換または無置換のアルキレン基、シクロアルキレン基、アルケン−1,2−ジイル基、アルキン−1,2−ジイル基、アリーレン基から選ばれる2価の連結基を表す。QはC、Si、Ge、Sn、Pbから選ばれる4価の原子を表すが、Siであることが好ましい。R1〜R3は置換または無置換のアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、アルキルシリル基から選ばれる置換基を表し、互いに連結して環を形成していてもよい。R1〜R3は置換または無置換のアルキル基であることが好ましい。
一般式(2)において、L2は置換または無置換のアルキレン基、シクロアルキレン基、アリーレン基から選ばれる2価の連結基を表すが、置換または無置換のアルキレン基であることが好ましい。R4は置換または無置換のアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アルキルシリル基から選ばれる置換基を表し、互いに連結して環を形成していてもよい。R4は置換または無置換のアルキル基であることが好ましい。
以下に、一般式(1)あるいは一般式(2)で表される化合物の具体例を示すが、本発明はこれらに限定されない。
大気圧プラズマ処理とは、プラズマ放電状態にした不活性ガスまたは反応性ガスによるエッチング処理を大気圧または大気圧近傍で行うことを表す。エッチング処理に用いられるプラズマ放電状態で用いる不活性ガスとしては、希ガスのヘリウム、アルゴン等が挙げられ、プラズマ放電状態で用いる反応性ガスとしては、テトラフルオロメタンや酸素等が好ましく用いられ、中でも酸素が好ましく用いられる。
ここで、酸素をエッチング処理に用いる場合(酸素単独での使用、酸素とその他の不活性ガスとの混合での使用も含めて)、酸素プラズマ処理法ともいう。
また、エッチング処理においては、上記の不活性ガスや反応性ガスをエッチング処理の程度に応じて適切な混合比を選択することが好ましい。
本発明に係る大気圧プラズマ処理法とは、上記の放電プラズマ処理が大気圧または大気圧近傍で行われることであるが、ここで大気圧近傍とは20〜110kPaの圧力を表すが、本発明に記載の効果を好ましく得るためには93〜104kPaが好ましい。
印加電極に電圧を印加する電源としては特に限定はないが、パール工業製高周波電源(200kHz)、パール工業製高周波電源(800kHz)、日本電子製高周波電源(13.56MHz)、パール工業製高周波電源(150MHz)等が使用できる。
大気圧プラズマ放電処理装置については、例えば、特開2003−309266号公報等に具体的な記載がある。
本発明においては、チャネルが形成される絶縁層表面をシランカップリング剤などの表面処理剤で処理することが好ましい。前記シランカップリング剤としては、基板上に自己組織化単分子膜を形成するものであれば特に限定はないが、一般的に知られるヘキサメチルジシラザンや、オクタデシルトリクロロシラン、オクチルトリクロロシランなどのアルキルトリクロロシランの他、一般式(3)で表される化合物が好ましく用いられる。
一般式(3)において、Xはハロゲン原子、メトキシ基、エトキシ基、イソシアナート基から選ばれる、加水分解性の置換基を表す。Q″は前記一般式(1)におけるQと同じ4価の原子を表し、R1′、R2′、R3′は前記一般式(1)におけるR1、R2、R3と同じ置換基を表し、L3は前記一般式(1)におけるL1と同じ置換基を表す。
以下に、一般式(3)で表される化合物の具体例を示すが、本発明はこれらに限定されない。
本発明において基板とは有機半導体を担持し得るものをいい、支持体または必要に応じ支持体上に電極もしくは絶縁膜を設けた支持体などが含まれる。
前記表面処理剤で処理された絶縁層表面は、水に対する接触角が50〜110度であることが好ましく、70〜110度であることがより好ましく、90〜110度であることが更に好ましい。また、有機半導体液滴を作製する際に使用される有機溶媒に対する接触角が20度以下であることが好ましく、5〜15度であることがより好ましい。
この接触角は接触角計(CA−DT・A型:協和界面科学社製)を用いて20℃、50%RHの環境下で測定するものである。水に対する接触角は液滴滴下直後から1分以内の間に測定した値を用い、有機溶媒に対する接触角は液滴滴下直後から1秒以内の間に測定した値を用いた。
有機半導体液滴を作製する際に使用される有機溶媒は、芳香族炭化水素、芳香族ハロゲン化炭化水素、脂肪族炭化水素または脂肪族ハロゲン化炭化水素が好ましく、芳香族炭化水素、芳香族ハロゲン化炭化水素または脂肪族炭化水素がより好ましい。
芳香族炭化水素の有機溶媒としては、例えば、トルエン、キシレン、メシチレン、メチルナフタレン等を挙げることができるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
芳香族ハロゲン化炭化水素の有機溶媒としては、例えば、クロロベンゼン、ブロモベンゼン、ヨードベンゼン、o−ジクロロベンゼン、m−ジクロロベンゼン、o−ジブロモベンゼン、m−ジブロモベンゼン、o−ジヨードベンゼン、m−ジヨードベンゼン、クロロトルエン、ブロモトルエン、ヨードトルエン、ジクロロトルエン、ジブロモトルエン、ジフルオロトルエン、クロロキシレン、ブロモキシレン、ヨードキシレン、クロロエチルベンゼン、ブロモエチルベンゼン、ヨードエチルベンゼン、ジクロロエチルベンゼン、ジブロモエチルベンゼン、クロロシクロペンタジエン、クロロシクロペンタジエン等を挙げることができるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
脂肪族炭化水素の有機溶媒としては、例えば、オクタン、4−メチルヘプタン、2−メチルヘプタン、3−メチルヘプタン、2,2−ジメチルヘキサン、2,3−ジメチルヘキサン、2,4−ジメチルヘキサン、2,5−ジメチルヘキサン、3,3−ジメチルヘキサン、3,4−ジメチルヘキサン、3−エチルヘキサン、2,2,3−トリメチルペンタン、2,2,4−トリメチルペンタン、2,3,3−トリメチルペンタン、2,3,4−トリメチルペンタン、2−メチル−3−エチルペンタン、3−メチル−3−エチルペンタン、デカン、2,2,3,3−テトラメチルヘキサン、2,2,5,5−テトラメチルヘキサン、3,3,5−トリメチルヘプタン、ノナン、2,2,5−トリメチルヘキサン、4−エチルヘプタン、2,3−ジメチルヘプタン、2−メチルオクタン、ドデカン、ヘキサン、2−メチルペンタン、3−メチルペンタン、2,2−ジメチルブタン、2,3−ジメチルブタン、ヘプタン、2−メチルヘキサン、3−メチルヘキサン、2,2−ジメチルペンタン、2,3−ジメチルペンタン、2,4−ジメチルペンタン、3,3−ジメチルペンタン、3−エチルペンタン、2,2,3−トリメチルブタン等の鎖状脂肪族炭化水素、シクロヘキサン、シクロペンタン、メチルシクロヘキサン、メチルシクロペンタン、p−メンタン、デカリン、シクロヘキシルベンゼン等の環状脂肪族炭化水素等を挙げることができるが、本発明はこれらに限定されるものではない。本発明に用いられる脂肪族炭化水素としては、環状脂肪族炭化水素が好ましい。
脂肪族ハロゲン化炭化水素の有機溶媒としては、例えば、クロロホルム、ブロモホルム、ジクロロメタン、ジクロロエタン、トリクロロエタン、ジフルオロエタン、フルオロクロロエタン、クロロプロパン、ジクロロプロパン、クロロペンタン、クロロヘキサン等を挙げることができるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
本発明で用いられるこれらの有機溶媒は、1種類あるいは2種類以上混合して用いてもよい。また、有機溶媒は50〜250℃の沸点を有するものが好ましい。
シランカップリング剤を用いた表面処理方法については、特開2004−327857号、同2005−32774号、同2005−158765号の各公報等に開示されているような公知の方法を適用することができる。例えば、CVD(Chemical Vapor Deposition、化学蒸着)法等の気相法、スピンコート法やディップコート法等の液相法、更にスクリーン印刷法、マイクロモールド法、マイクロコンタクト法、インクジェット法等の印刷法などを適用することができる。
中でも本発明に好ましく用いられる方法としては、表面処理剤の溶液に基体を浸漬、または表面処理剤の溶液を基体に塗布して乾燥する湿式法が好ましい。
(湿式法)
湿式法では、例えば、基体を表面処理剤の1質量%トルエン溶液に10分浸漬後、乾燥する、またはこの溶液を基体上に塗布して、乾燥する。
湿式法では、例えば、基体を表面処理剤の1質量%トルエン溶液に10分浸漬後、乾燥する、またはこの溶液を基体上に塗布して、乾燥する。
(プラズマCVD法、大気圧プラズマCVD法)
表面処理剤(プラズマCVD法では薄膜形成材料を原料ともいう)を含む反応ガスを50〜500℃の範囲で加熱された基体上に供給し、熱的反応により薄膜を形成する熱CVD法や、前述の大気圧プラズマ法の装置と放電ガス、反応ガスを用いて、0.01〜100Paの減圧下で行う一般的なプラズマCVD法を用いた場合にも、本発明の効果を得ることができるが、移動度の向上、薄膜の均一性、薄膜の形成速度、非真空系での効率的生産という観点から大気圧プラズマ法が好ましい。
表面処理剤(プラズマCVD法では薄膜形成材料を原料ともいう)を含む反応ガスを50〜500℃の範囲で加熱された基体上に供給し、熱的反応により薄膜を形成する熱CVD法や、前述の大気圧プラズマ法の装置と放電ガス、反応ガスを用いて、0.01〜100Paの減圧下で行う一般的なプラズマCVD法を用いた場合にも、本発明の効果を得ることができるが、移動度の向上、薄膜の均一性、薄膜の形成速度、非真空系での効率的生産という観点から大気圧プラズマ法が好ましい。
次いで、本発明の有機薄膜トランジスタの構成要素について説明する。
〔有機半導体膜〕
(有機半導体材料)
前記有機半導体チャネルを構成する本発明に係る有機半導体材料は、半導体として機能するものであれば、どのような有機化合物を選択してもよい。有機半導体材料としては、例えば、特開平5−55568号公報等にて開示されているペンタセンやテトラセンといったアセン類、特開平4−167561号公報等に開示されている鉛フタロシアニンを含むフタロシアニン類、特開2004−319982号公報等に開示されているベンゾポルフィリン等のポルフィリン類、その他、ペリレンやそのテトラカルボン酸誘導体、テトラチアフルバレン類等といった低分子量化合物や、特開平8−264805号公報等に開示されているα−チエニールもしくはセクシチオフェンと呼ばれるチオフェン6量体を代表例とする芳香族オリゴマー、またポリチオフェン、ポリチエニレンビニレン、ポリ−p−フェニレンビニレンといった共役高分子など(これらの多くは「アドバンスド・マテリアル」(Advanced Material)誌2002年、第2号99頁に記載されている)が一般的に知られている。その中でも、有機半導体材料として低分子量化合物を用いた場合に本発明の効果がより発揮され、特に数平均分子量が5000以下の低分子量有機半導体材料を用いると、高移動度で駆動する有機薄膜トランジスタを得る上でより好ましい。
(有機半導体材料)
前記有機半導体チャネルを構成する本発明に係る有機半導体材料は、半導体として機能するものであれば、どのような有機化合物を選択してもよい。有機半導体材料としては、例えば、特開平5−55568号公報等にて開示されているペンタセンやテトラセンといったアセン類、特開平4−167561号公報等に開示されている鉛フタロシアニンを含むフタロシアニン類、特開2004−319982号公報等に開示されているベンゾポルフィリン等のポルフィリン類、その他、ペリレンやそのテトラカルボン酸誘導体、テトラチアフルバレン類等といった低分子量化合物や、特開平8−264805号公報等に開示されているα−チエニールもしくはセクシチオフェンと呼ばれるチオフェン6量体を代表例とする芳香族オリゴマー、またポリチオフェン、ポリチエニレンビニレン、ポリ−p−フェニレンビニレンといった共役高分子など(これらの多くは「アドバンスド・マテリアル」(Advanced Material)誌2002年、第2号99頁に記載されている)が一般的に知られている。その中でも、有機半導体材料として低分子量化合物を用いた場合に本発明の効果がより発揮され、特に数平均分子量が5000以下の低分子量有機半導体材料を用いると、高移動度で駆動する有機薄膜トランジスタを得る上でより好ましい。
前述した有機半導体材料の中でも、低分子量化合物として、例えば、ピレン、コロネン、オバレン等やその誘導体、アントラセン、ペンタセン等やその誘導体(アセン類)、ルブレンやその誘導体等に代表される縮合多環式炭化水素類、ベンゾジチオフェン、アントラジチオフェン等やその誘導体等に代表されるヘテロ原子を含む縮合多環式芳香族化合物類、チオフェンオリゴマー等が好ましい例として挙げられる。ペンタセン類の例としては、国際公開第03/16599号パンフレット、国際公開第03/28125号パンフレット、米国特許第6,690,029号明細書、特開2004−107216号公報等に記載の置換基をもったペンタセン誘導体、米国特許出願公開第2003/136964号明細書等に記載のペンタセンプレカーサ、J.A.C.S.vol127.No14.4986等に記載のアセン類及びその誘導体等が挙げられる。
これらの中でも、特にJ.A.C.S.vol127.No14.4986等に記載されるようなエチニル置換基を有する縮合多環式芳香族化合物類が好ましく用いられる。これらの例としては下記の有機半導体化合物が挙げられるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
また、本発明においては、有機半導体膜に、例えば、アクリル酸、アセトアミド、ジメチルアミノ基、シアノ基、カルボキシル基、ニトロ基等の官能基を有する材料や、ベンゾキノン誘導体、テトラシアノエチレン及びテトラシアノキノジメタンやそれらの誘導体等のように電子を受容するアクセプターとなる材料や、例えば、アミノ基、トリフェニル基、アルキル基、水酸基、アルコキシ基、フェニル基等の官能基を有する材料、フェニレンジアミン等の置換アミン類、アントラセン、ベンゾアントラセン、置換ベンゾアントラセン類、ピレン、置換ピレン、カルバゾール及びその誘導体、テトラチアフルバレンとその誘導体等のように電子の供与体であるドナーとなるような材料を含有させ、所謂ドーピング処理を施してもよい。
前記ドーピングとは、電子授与性分子(アクセプター)または電子供与性分子(ドナー)をドーパントとして該薄膜に導入することを意味する。従って、ドーピングが施された薄膜は、前記の縮合多環芳香族化合物とドーパントを含有する薄膜である。本発明に用いるドーパントとしては、公知のものを採用することができる。
(有機半導体膜形成)
これらの有機半導体膜を形成する方法としては、公知の方法で形成することができ、例えば、真空蒸着、MBE(Molecular Beam Epitaxy)、イオンクラスタービーム法、低エネルギーイオンビーム法、イオンプレーティング法、スパッタ法、CVD、レーザー蒸着、電子ビーム蒸着、電着、スピンコート、ディップコート、バーコート法、ダイコート法、スプレーコート法、及びLB法等、またスクリーン印刷、インクジェット印刷、ブレード塗布等の方法を挙げることができる。
これらの有機半導体膜を形成する方法としては、公知の方法で形成することができ、例えば、真空蒸着、MBE(Molecular Beam Epitaxy)、イオンクラスタービーム法、低エネルギーイオンビーム法、イオンプレーティング法、スパッタ法、CVD、レーザー蒸着、電子ビーム蒸着、電着、スピンコート、ディップコート、バーコート法、ダイコート法、スプレーコート法、及びLB法等、またスクリーン印刷、インクジェット印刷、ブレード塗布等の方法を挙げることができる。
この中で生産性の点で、有機半導体膜を塗布により形成することが好ましい。塗布法としては、有機半導体の溶液を用いて簡単、且つ精密に薄膜が形成できるスピンコート法、ブレードコート法、デイップコート法、ロールコート法、バーコート法、ダイコート法、インクジェット印刷等が好まれる。
なお、Advanced Material誌1999年第6号、480〜483頁に記載のように、ペンタセン等前駆体が溶媒に可溶であるものは塗布により形成した前駆体の膜を熱処理して目的とする有機材料の薄膜を形成してもよい。
これら有機半導体膜の膜厚としては特に制限はないが、得られたトランジスタの特性は、有機半導体膜の膜厚に大きく左右される場合が多く、その膜厚は有機半導体により異なるが、一般に1μm以下、特に10〜300nmが好ましい。
〔電極〕
本発明の有機薄膜トランジスタにおいて、ソースまたはドレイン電極材料としては導電性材料であれば特に限定されず、公知の電極材料にて形成される。電極材料としては導電性材料であれば特に限定されず、白金、金、銀、ニッケル、クロム、銅、鉄、錫、アンチモン鉛、タンタル、インジウム、パラジウム、テルル、レニウム、イリジウム、アルミニウム、ルテニウム、ゲルマニウム、モリブデン、タングステン、酸化スズ・アンチモン、酸化インジウム・スズ(ITO)、フッ素ドープ酸化亜鉛、亜鉛、炭素、グラファイト、グラッシーカーボン、銀ペースト及びカーボンペースト、リチウム、ベリリウム、ナトリウム、マグネシウム、カリウム、カルシウム、スカンジウム、チタン、マンガン、ジルコニウム、ガリウム、ニオブ、ナトリウム、ナトリウム−カリウム合金、マグネシウム、リチウム、アルミニウム、マグネシウム/銅混合物、マグネシウム/銀混合物、マグネシウム/アルミニウム混合物、マグネシウム/インジウム混合物、アルミニウム/酸化アルミニウム混合物、リチウム/アルミニウム混合物等が用いられる。あるいはドーピング等で導電率を向上させた公知の導電性ポリマー、例えば、導電性ポリアニリン、導電性ポリピロール、導電性ポリチオフェン(ポリエチレンジオキシチオフェンとポリスチレンスルホン酸の錯体等)も好適に用いられる。
本発明の有機薄膜トランジスタにおいて、ソースまたはドレイン電極材料としては導電性材料であれば特に限定されず、公知の電極材料にて形成される。電極材料としては導電性材料であれば特に限定されず、白金、金、銀、ニッケル、クロム、銅、鉄、錫、アンチモン鉛、タンタル、インジウム、パラジウム、テルル、レニウム、イリジウム、アルミニウム、ルテニウム、ゲルマニウム、モリブデン、タングステン、酸化スズ・アンチモン、酸化インジウム・スズ(ITO)、フッ素ドープ酸化亜鉛、亜鉛、炭素、グラファイト、グラッシーカーボン、銀ペースト及びカーボンペースト、リチウム、ベリリウム、ナトリウム、マグネシウム、カリウム、カルシウム、スカンジウム、チタン、マンガン、ジルコニウム、ガリウム、ニオブ、ナトリウム、ナトリウム−カリウム合金、マグネシウム、リチウム、アルミニウム、マグネシウム/銅混合物、マグネシウム/銀混合物、マグネシウム/アルミニウム混合物、マグネシウム/インジウム混合物、アルミニウム/酸化アルミニウム混合物、リチウム/アルミニウム混合物等が用いられる。あるいはドーピング等で導電率を向上させた公知の導電性ポリマー、例えば、導電性ポリアニリン、導電性ポリピロール、導電性ポリチオフェン(ポリエチレンジオキシチオフェンとポリスチレンスルホン酸の錯体等)も好適に用いられる。
ソース電極またドレイン電極を形成する材料としては、上に挙げた中でも半導体層との接触面において電気抵抗が少ないものが好ましく、p型半導体の場合は特に白金、金、銀、ITO、導電性ポリマー及び炭素が好ましく、本発明においては金がより好ましい。
ソース電極またドレイン電極とする場合は、上記の導電性材料を含む溶液、ペースト、インク、分散液等の流動性電極材料を用いて形成したもの、特に導電性ポリマーまたは白金、金、銀、銅を含有する金属微粒子を含む流動性電極材料が好ましい。また、溶媒や分散媒体としては、有機半導体へのダメージを抑制するため水を60%以上、好ましくは90%以上含有する溶媒または分散媒体であることが好ましい。
金属微粒子を含有する流動性電極材料としては、例えば、公知の導電性ペースト等を用いてもよいが、好ましくは粒子径が1〜50nm、好ましくは1〜10nmの金属微粒子を必要に応じて分散安定剤を用いて、水や任意の有機溶剤である分散媒中に分散した材料である。
金属微粒子の材料としては、白金、金、銀、ニッケル、クロム、銅、鉄、錫、アンチモン鉛、タンタル、インジウム、パラジウム、テルル、レニウム、イリジウム、アルミニウム、ルテニウム、ゲルマニウム、モリブデン、タングステン、亜鉛等を用いることができる。
このような金属微粒子の分散物の製造方法として、ガス中蒸発法、スパッタリング法、金属蒸気合成法等の物理的生成法や、コロイド法、共沈法等の、液相で金属イオンを還元して金属微粒子を生成する化学的生成法が挙げられるが、好ましくは、特開平11−76800号、同11−80647号、同11−319538号、特開2000−239853号の各公報等に示されたコロイド法、特開2001−254185号、同2001−53028号、同2001−35255号、同2000−124157号、同2000−123634号の各公報等に記載されたガス中蒸発法により製造された金属微粒子の分散物である。
これらの金属微粒子分散物を用いて電極を成形し、溶媒を乾燥させた後、必要に応じて100〜300℃、好ましくは150〜200℃の範囲で形状様に加熱することにより、金属微粒子を熱融着させ、目的の形状を有する電極パターンを形成するものである。
電極の形成方法としては、上記を原料として蒸着やスパッタリング等の方法を用いて形成した導電性薄膜を、公知のフォトリソグラフ法やリフトオフ法を用いて電極形成する方法、アルミニウムや銅等の金属箔上に熱転写、インクジェット等により、レジストを形成しエッチングする方法がある。また、導電性ポリマーの溶液あるいは分散液、金属微粒子を含有する分散液等を直接インクジェット法によりパターニングしてもよいし、塗工膜からリソグラフやレーザーアブレーション等により形成してもよい。更に導電性ポリマーや金属微粒子を含有する導電性インク、導電性ペースト等を凸版、凹版、平版、スクリーン印刷等の印刷法でパターニングする方法も用いることができる。
また、無電解メッキ法による電極形成法は、電極を設ける部分にメッキ剤と作用して無電解メッキを生じさせる触媒を配した後に、メッキ剤を接触させるものである。これにより前記触媒とメッキ剤とが接触し、前記部分に無電解メッキが施されて、電極が形成される。電極形成に無電解メッキを利用する方法は、低抵抗の電極を煩雑な工程なしに簡便、低コストで形成することができる点で好ましい。
〔絶縁層〕
本発明の有機薄膜トランジスタのゲート電極の絶縁層としては、種々の絶縁膜を用いることができるが、特に比誘電率の高い無機酸化物皮膜が好ましい。無機酸化物としては、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化タンタル、酸化チタン、酸化スズ、酸化バナジウム、チタン酸バリウムストロンチウム、ジルコニウム酸チタン酸バリウム、ジルコニウム酸チタン酸鉛、チタン酸鉛ランタン、チタン酸ストロンチウム、チタン酸バリウム、フッ化バリウムマグネシウム、チタン酸ビスマス、チタン酸ストロンチウムビスマス、タンタル酸ストロンチウムビスマス、タンタル酸ニオブ酸ビスマス、トリオキサイドイットリウム等が挙げられる。それらの内、好ましいのは酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化タンタル、酸化チタンである。窒化ケイ素、窒化アルミニウム等の無機窒化物も好適に用いることができる。
本発明の有機薄膜トランジスタのゲート電極の絶縁層としては、種々の絶縁膜を用いることができるが、特に比誘電率の高い無機酸化物皮膜が好ましい。無機酸化物としては、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化タンタル、酸化チタン、酸化スズ、酸化バナジウム、チタン酸バリウムストロンチウム、ジルコニウム酸チタン酸バリウム、ジルコニウム酸チタン酸鉛、チタン酸鉛ランタン、チタン酸ストロンチウム、チタン酸バリウム、フッ化バリウムマグネシウム、チタン酸ビスマス、チタン酸ストロンチウムビスマス、タンタル酸ストロンチウムビスマス、タンタル酸ニオブ酸ビスマス、トリオキサイドイットリウム等が挙げられる。それらの内、好ましいのは酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化タンタル、酸化チタンである。窒化ケイ素、窒化アルミニウム等の無機窒化物も好適に用いることができる。
上記皮膜の形成方法としては、真空蒸着法、分子線エピタキシャル成長法、イオンクラスタービーム法、低エネルギーイオンビーム法、イオンプレーティング法、CVD法、スパッタリング法、大気圧プラズマ法等のドライプロセスや、スプレーコート法、スピンコート法、ブレードコート法、デイップコート法、キャスト法、ロールコート法、バーコート法、ダイコート法等の塗布による方法、印刷やインクジェット等のパターニングによる方法等のウェットプロセスが挙げられ、材料に応じて使用できる。
ウェットプロセスは、無機酸化物の微粒子を任意の有機溶剤あるいは水に必要に応じて界面活性剤等の分散補助剤を用いて分散した液を塗布、乾燥する方法や、酸化物前駆体、例えば、アルコキシド体の溶液を塗布、乾燥する、所謂ゾルゲル法が用いられる。
これらの内、好ましいのは上述した大気圧プラズマCVD法である。
絶縁層が陽極酸化膜または該陽極酸化膜と絶縁膜とで構成されることも好ましい。陽極酸化膜は封孔処理されることが望ましい。陽極酸化膜は、陽極酸化が可能な金属を公知の方法により陽極酸化することにより形成される。
陽極酸化処理可能な金属としては、アルミニウムまたはタンタルを挙げることができ、陽極酸化処理の方法には特に制限はなく、公知の方法を用いることができる。陽極酸化処理を行うことにより、酸化被膜が形成される。陽極酸化処理に用いられる電解液としては、多孔質酸化皮膜を形成することができるものならばいかなるものでも使用でき、一般には硫酸、燐酸、蓚酸、クロム酸、ホウ酸、スルファミン酸、ベンゼンスルホン酸等、あるいはこれらを2種類以上組み合わせた混酸あるいそれらの塩が用いられる。陽極酸化の処理条件は使用する電解液により種々変化するので一概に特定し得ないが、一般的には電解液の濃度が1〜80質量%、電解液の温度5〜70℃、電流密度0.5〜60A/dm2、電圧1〜100ボルト、電解時間10秒〜5分の範囲が適当である。好ましい陽極酸化処理は電解液として硫酸、燐酸またはホウ酸の水溶液を用い、直流電流で処理する方法であるが、交流電流を用いることもできる。これらの酸の濃度は5〜45質量%であることが好ましく、電解液の温度20〜50℃、電流密度0.5〜20A/dm2で20〜250秒間電解処理するのが好ましい。
また、有機化合物皮膜としては、ポリイミド、ポリアミド、ポリエステル、ポリアクリレート、光ラジカル重合系、光カチオン重合系の光硬化性樹脂、あるいはアクリロニトリル成分を含有する共重合体、ポリビニルフェノール、ポリビニルアルコール、ノボラック樹脂、及びシアノエチルプルラン等を用いることもできる。
有機化合物皮膜の形成法としては、前記ウェットプロセスが好ましい。
無機酸化物皮膜と有機酸化物皮膜は積層して併用することができる。また、これら絶縁膜の膜厚としては一般に50nm〜3μm、好ましくは100nm〜1μmである。
〔支持体〕
支持体を構成する基体材料としては、種々の材料が利用可能であり、例えば、ガラス、石英、酸化アルミニウム、サファイア、チッ化ケイ素、炭化ケイ素等のセラミック基体、シリコン、ゲルマニウム、ガリウム砒素、ガリウム燐、ガリウム窒素等半導体基体、紙、不織布等を用いることができるが、本発明において支持体は樹脂からなることが好ましく、例えば、プラスチックフィルムシートを用いることができる。プラスチックフィルムとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリエーテルイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリフェニレンスルフィド、ポリアリレート、ポリイミド、ボリカーボネート(PC)、セルローストリアセテート(TAC)、セルロースアセテートプロピオネート(CAP)等からなるフィルム等が挙げられる。プラスチックフィルムを用いることで、ガラス基体を用いる場合に比べて軽量化を図ることができ、可搬性を高めることができるとともに衝撃に対する耐性を向上できる。
支持体を構成する基体材料としては、種々の材料が利用可能であり、例えば、ガラス、石英、酸化アルミニウム、サファイア、チッ化ケイ素、炭化ケイ素等のセラミック基体、シリコン、ゲルマニウム、ガリウム砒素、ガリウム燐、ガリウム窒素等半導体基体、紙、不織布等を用いることができるが、本発明において支持体は樹脂からなることが好ましく、例えば、プラスチックフィルムシートを用いることができる。プラスチックフィルムとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリエーテルイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリフェニレンスルフィド、ポリアリレート、ポリイミド、ボリカーボネート(PC)、セルローストリアセテート(TAC)、セルロースアセテートプロピオネート(CAP)等からなるフィルム等が挙げられる。プラスチックフィルムを用いることで、ガラス基体を用いる場合に比べて軽量化を図ることができ、可搬性を高めることができるとともに衝撃に対する耐性を向上できる。
〔保護層〕
また、本発明の有機薄膜トランジスタ上には保護層を設けることも可能である。保護層としては前述した無機酸化物または無機窒化物等が挙げられ、上述した大気圧プラズマ法で形成するのが好ましい。これにより有機薄膜トランジスタの耐久性が向上する。
また、本発明の有機薄膜トランジスタ上には保護層を設けることも可能である。保護層としては前述した無機酸化物または無機窒化物等が挙げられ、上述した大気圧プラズマ法で形成するのが好ましい。これにより有機薄膜トランジスタの耐久性が向上する。
〔有機薄膜トランジスタの製造〕
有機薄膜トランジスタは、支持体上に有機半導体膜(以下、有機半導体層ともいう)で連結されたソース電極とドレイン電極を有し、その上に絶縁層を介してゲート電極を有するトップゲート型と、基体上に先ずゲート電極を有し、絶縁層を介して有機半導体膜で連結されたソース電極とドレイン電極を有するボトムゲート型に大別される。本発明の有機薄膜トランジスタは、これらトップゲート型またボトムゲート型のいずれでもよいが、ボトムゲート型構造を有する有機薄膜トランジスタが好ましい。具体的な素子の層構成例は図1、図2に示す如くとなる。
有機薄膜トランジスタは、支持体上に有機半導体膜(以下、有機半導体層ともいう)で連結されたソース電極とドレイン電極を有し、その上に絶縁層を介してゲート電極を有するトップゲート型と、基体上に先ずゲート電極を有し、絶縁層を介して有機半導体膜で連結されたソース電極とドレイン電極を有するボトムゲート型に大別される。本発明の有機薄膜トランジスタは、これらトップゲート型またボトムゲート型のいずれでもよいが、ボトムゲート型構造を有する有機薄膜トランジスタが好ましい。具体的な素子の層構成例は図1、図2に示す如くとなる。
図3は、本発明の有機薄膜トランジスタが複数配置される薄膜トランジスタ素子シート10の1例の概略の等価回路図である。
薄膜トランジスタシート10は、マトリクス配置された多数の有機薄膜トランジスタ11を有する。16は各有機薄膜トランジスタ11のゲート電極のゲートバスラインであり、17は各有機薄膜トランジスタ11のソース電極のソースバスラインである。各有機薄膜トランジスタ11のドレイン電極には、出力素子12が接続され、この出力素子12は、例えば、液晶、電気泳動素子等であり、表示装置における画素を構成する。図示の例では、出力素子12として液晶が、抵抗とコンデンサからなる等価回路で示されている。13は蓄積コンデンサ、14は垂直駆動回路、15は水平駆動回路である。
このような、支持体上に有機TFT素子を2次元的に配列した薄膜トランジスタシートの作製に本発明の製造方法を用いることができる。
本発明の有機薄膜トランジスタにおいては、支持体がプラスチックフィルムの場合、無機酸化物及び無機窒化物から選ばれる化合物を含有する下引き層、及びポリマーを含む下引き層の少なくとも一方を有することが好ましい。
下引き層に含有される無機酸化物としては、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化タンタル、酸化チタン、酸化スズ、酸化バナジウム、チタン酸バリウムストロンチウム、ジルコニウム酸チタン酸バリウム、ジルコニウム酸チタン酸鉛、チタン酸鉛ランタン、チタン酸ストロンチウム、チタン酸バリウム、フッ化バリウムマグネシウム,チタン酸ビスマス、チタン酸ストロンチウムビスマス、タンタル酸ストロンチウムビスマス、タンタル酸ニオブ酸ビスマス、トリオキサイドイットリウム等が挙げられる。また、無機窒化物としては窒化ケイ素、窒化アルミニウム等が挙げられる。
それらの内、好ましいのは酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化タンタル、酸化チタン、窒化ケイ素である。
本発明において、無機酸化物及び無機窒化物から選ばれる化合物を含有する下引き層は、上述した大気圧プラズマ法で形成されるのが好ましい。
ポリマーを含む下引き層に用いるポリマーとしては、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、セルロース樹脂、アクリル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリスチレン樹脂、フェノキシ樹脂、ノルボルネン樹脂、エポキシ樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、酢酸ビニルとビニルアルコールの共重合体、部分加水分解した塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−塩化ビニリデン共重合体、塩化ビニル−アクリロニトリル共重合体、エチレン−ビニルアルコール共重合体、ポリビニルアルコール、塩素化ポリ塩化ビニル、エチレン−塩化ビニル共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体等のビニル系重合体、ポリアミド樹脂、エチレン−ブタジエン樹脂、ブタジエン−アクリロニトリル樹脂等のゴム系樹脂、シリコーン樹脂、フッ素系樹脂等を挙げることができる。
図4はボトムゲート型、ボトムコンタクト型の有機薄膜トランジスタの本発明の製造方法を用いた作製の一例である。
以下、実施例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されない。
実施例1
(有機薄膜トランジスタ素子(TFT素子)の作製)
支持体6として、ポリエーテルスルホン樹脂フィルム(200μm)を用い、この上に、先ず50W/m2/minの条件でコロナ放電処理を施した。その後、以下のように接着性向上のため下引き層を形成した。
(有機薄膜トランジスタ素子(TFT素子)の作製)
支持体6として、ポリエーテルスルホン樹脂フィルム(200μm)を用い、この上に、先ず50W/m2/minの条件でコロナ放電処理を施した。その後、以下のように接着性向上のため下引き層を形成した。
《下引き層の形成》
下記組成の塗布液を乾燥膜厚2μmになるように塗布し、90℃で5分間乾燥した後、60W/cmの高圧水銀灯下10cmの距離から4秒間硬化させた。
下記組成の塗布液を乾燥膜厚2μmになるように塗布し、90℃で5分間乾燥した後、60W/cmの高圧水銀灯下10cmの距離から4秒間硬化させた。
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート単量体 60g
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート2量体 20g
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート3量体以上の成分 20g
ジエトキシベンゾフェノンUV開始剤 2g
シリコーン系界面活性剤 1g
メチルエチルケトン 75g
メチルプロピレングリコール 75g
更に、その層の上に下記条件で連続的に大気圧プラズマ処理して厚さ50nmの酸化ケイ素膜を設け、これらの層を下引き層7とした(図4(a))。
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート2量体 20g
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート3量体以上の成分 20g
ジエトキシベンゾフェノンUV開始剤 2g
シリコーン系界面活性剤 1g
メチルエチルケトン 75g
メチルプロピレングリコール 75g
更に、その層の上に下記条件で連続的に大気圧プラズマ処理して厚さ50nmの酸化ケイ素膜を設け、これらの層を下引き層7とした(図4(a))。
(使用ガス)
不活性ガス:ヘリウム 98.25体積%
反応性ガス:酸素ガス 1.5体積%
反応性ガス:テトラエトキシシラン蒸気(ヘリウムガスにてバブリング) 0.25体積%。
不活性ガス:ヘリウム 98.25体積%
反応性ガス:酸素ガス 1.5体積%
反応性ガス:テトラエトキシシラン蒸気(ヘリウムガスにてバブリング) 0.25体積%。
(放電条件)
放電出力:10W/cm2。
放電出力:10W/cm2。
(電極条件)
電極は、冷却水による冷却手段を有するステンレス製ジャケットロール母材に対して、セラミック溶射によるアルミナを1mm被覆し、その後、テトラメトキシシランを酢酸エチルで希釈した溶液を塗布乾燥後、紫外線照射により封孔処理を行い、表面を平滑にしてRmax5μmとした誘電体(比誘電率10)を有するロール電極であり、アースされている。一方、印加電極としては、中空の角型のステンレスパイプに対し上記同様の誘電体を同条件にて被覆した。
電極は、冷却水による冷却手段を有するステンレス製ジャケットロール母材に対して、セラミック溶射によるアルミナを1mm被覆し、その後、テトラメトキシシランを酢酸エチルで希釈した溶液を塗布乾燥後、紫外線照射により封孔処理を行い、表面を平滑にしてRmax5μmとした誘電体(比誘電率10)を有するロール電極であり、アースされている。一方、印加電極としては、中空の角型のステンレスパイプに対し上記同様の誘電体を同条件にて被覆した。
《ゲート電極の形成》
次いで、ゲート電極4を形成する。
次いで、ゲート電極4を形成する。
即ち、上記の下引き層2上に下記組成の光感応性樹脂組成液1を塗布し、100℃にて1分間乾燥させることで、厚さ2μmの光感応性樹脂層を形成した後、発振波長830nm、出力100mWの半導体レーザーで200mJ/cm2のエネルギー密度でゲートバスライン及びゲート電極のパターンを露光し、アルカリ水溶液で現像してレジスト像を得た。更に、その上に、スパッタ法により厚さ300nmのアルミニウム皮膜を一面に成膜した後、MEKで上記光感応性樹脂層の残存部を除去することで、ゲートバスライン及びゲート電極4を作製する(図4(b))。
(光感応性樹脂組成液1)
色素A 7部
ノボラック樹脂(フェノールとm−、p−混合クレゾールとホルムアルデヒドを共縮合させたノボラック樹脂(Mw=4000、フェノール/m−クレゾール/p−クレゾールのモル比がそれぞれ5/57/38)) 90部
クリスタルバイオレット 3部
色素A 7部
ノボラック樹脂(フェノールとm−、p−混合クレゾールとホルムアルデヒドを共縮合させたノボラック樹脂(Mw=4000、フェノール/m−クレゾール/p−クレゾールのモル比がそれぞれ5/57/38)) 90部
クリスタルバイオレット 3部
プロピレングリコールモノメチルエーテル 1000部
次いで、以下の陽極酸化皮膜形成工程により、平滑化、絶縁性向上のための補助的絶縁膜として、ゲート電極に陽極酸化被膜を形成した(図では省略)。
次いで、以下の陽極酸化皮膜形成工程により、平滑化、絶縁性向上のための補助的絶縁膜として、ゲート電極に陽極酸化被膜を形成した(図では省略)。
(陽極酸化被膜形成工程)
ゲート電極を形成した後、基板をよく洗浄し、30質量%硫酸水溶液中で2分間、30Vの低電圧電源から供給される直流を用いて、陽極酸化皮膜の厚さが120nmになるまで陽極酸化を行った。よく洗浄した後に、1気圧、100℃の飽和した蒸気チャンバーの中で蒸気封孔処理を施した。このようにして、陽極酸化被膜を有するゲート電極を下引き処理したポリエーテルスルホン樹脂フィルム上に作製した。
ゲート電極を形成した後、基板をよく洗浄し、30質量%硫酸水溶液中で2分間、30Vの低電圧電源から供給される直流を用いて、陽極酸化皮膜の厚さが120nmになるまで陽極酸化を行った。よく洗浄した後に、1気圧、100℃の飽和した蒸気チャンバーの中で蒸気封孔処理を施した。このようにして、陽極酸化被膜を有するゲート電極を下引き処理したポリエーテルスルホン樹脂フィルム上に作製した。
《絶縁層の形成》
次いで、更にフィルム温度200℃にて、上述した大気圧プラズマ法の使用ガスを下記に変更し、厚さ30nmの酸化ケイ素層を設け、前記した陽極酸化アルミニウム層を併せて、厚さ150nmの絶縁層5を形成した(図4の(c))。
次いで、更にフィルム温度200℃にて、上述した大気圧プラズマ法の使用ガスを下記に変更し、厚さ30nmの酸化ケイ素層を設け、前記した陽極酸化アルミニウム層を併せて、厚さ150nmの絶縁層5を形成した(図4の(c))。
(使用ガス)
不活性ガス:アルゴン 98.9体積%
反応性ガス:水素ガス 0.8体積%
反応性ガス:テトラプロポキシチタン蒸気(150℃に加熱した液体にアルゴンガスをバブリング) 0.3体積%
《ソース電極、ドレイン電極の形成》
次いで、ソース電極2、ドレイン電極3を形成する。
不活性ガス:アルゴン 98.9体積%
反応性ガス:水素ガス 0.8体積%
反応性ガス:テトラプロポキシチタン蒸気(150℃に加熱した液体にアルゴンガスをバブリング) 0.3体積%
《ソース電極、ドレイン電極の形成》
次いで、ソース電極2、ドレイン電極3を形成する。
下記無電解メッキ触媒液をインクとして用い、回転ロール(支持ロール)にはバイアス電圧2000Vの電圧を印加し、更にパルス電圧(400V)を重畳させてソース、ドレイン電極パターンに従ってインクを吐出した。ノズル吐出口の内径は10μmとし、ノズル吐出口と基材とのギャップは500μmに保持した。メッキ触媒含有インクとして下記処方のものを用いた。
(無電解メッキ触媒液)
可溶性パラジウム塩(塩化パラジウム) 20質量%(Pd2+濃度1.0g/L)
イソプロピルアルコール 12質量%
グリセリン 20質量%
2−メチルペンタンチオール 5質量%
1,3−ブタンジオール 3質量%
イオン交換水 40質量%
更に乾燥定着させて、触媒パターンを形成した。
可溶性パラジウム塩(塩化パラジウム) 20質量%(Pd2+濃度1.0g/L)
イソプロピルアルコール 12質量%
グリセリン 20質量%
2−メチルペンタンチオール 5質量%
1,3−ブタンジオール 3質量%
イオン交換水 40質量%
更に乾燥定着させて、触媒パターンを形成した。
次いで、スクリーン印刷法により、下記無電解金メッキ液をインクとして用いてメッキ触媒パターンが形成された領域を含む領域に印刷を行った。メッキ剤がメッキ触媒と接触することでメッキ触媒のパターン上に無電解メッキが施され、金薄膜が形成された。
(無電解金メッキ液)
ジシアノ金カリウム 0.1モル/L
蓚酸ナトリウム 0.1モル/L
酒石酸ナトリウムカリウム 0.1モル/L
上記を溶解し、均一溶液とする。
ジシアノ金カリウム 0.1モル/L
蓚酸ナトリウム 0.1モル/L
酒石酸ナトリウムカリウム 0.1モル/L
上記を溶解し、均一溶液とする。
金薄膜が形成された基板表面を、純水で充分に洗浄、乾燥して、ソース電極2、ドレイン電極3を形成した。(図4(d))。
以上により、絶縁層上にソース、ドレイン電極がパターニングされた基板Aを作製した。
次に、基板Aを酸素ガスを導入したプラズマ放電処理装置(放電出力:4W/cm2、エッチングガス組成:アルゴン99体積%、酸素1体積%、処理時間5秒)中に置き、大気圧プラズマ処理を施した。
続いて、表1に記載のオクチルメルカプタン(C18H37SH)を溶解したトルエン溶液(0.1質量%、60℃)に10分間浸漬した後、トルエンですすぎ、乾燥させ、ソース、ドレイン電極の表面処理を行った。更にソース、ドレイン電極の表面が修飾された基板Aを窒素雰囲気下、ホットプレート上で60℃に加熱しながら、有機半導体化合物(6)のトルエン溶液(0.1%)を滴下し、有機半導体膜(厚さ50nm)を形成することでTFT素子1を作製した(図は省略)。
一方、基板Aを大気圧プラズマ処理する代わりに、通常の真空下における酸素プラズマ処理(プラズマ装置:アネルバ株式会社製、条件:酸素流量50sccm、真空度10Pa、出力200W、処理時間5秒)を行った以外は、TFT素子1と同様にしてTFT素子2を作製した。
また、基板Aの洗浄処理を全く行わずに、その他はTFT素子1、2と同様にして、TFT素子3を作製した。
(有機薄膜トランジスタの評価)
以上により得られた有機TFT素子1〜3について、トランジスタ特性の評価を行った。TFT素子1〜3は、いずれもpチャンネルのエンハンスメント型FETの動作特性を示した。それぞれのTFT素子について、I−V特性の飽和領域からキャリア移動度を求め、更にON/OFF比(ドレインバイアス−40Vとし、ゲートバイアス−50V及び0Vにしたときのドレイン電流値の比率)を求め、結果を表1に示した。
以上により得られた有機TFT素子1〜3について、トランジスタ特性の評価を行った。TFT素子1〜3は、いずれもpチャンネルのエンハンスメント型FETの動作特性を示した。それぞれのTFT素子について、I−V特性の飽和領域からキャリア移動度を求め、更にON/OFF比(ドレインバイアス−40Vとし、ゲートバイアス−50V及び0Vにしたときのドレイン電流値の比率)を求め、結果を表1に示した。
この結果より、本発明の製造方法により作製したTFT素子1は、比較のTFT素子2、3に比べてトランジスタ特性において優れていることが分かる。即ち、TFT素子1、2のプラズマ処理時間は同じ5秒であるが、トランジスタ特性として十分な性能が得られない。一方、TFT素子3はプラズマ処理(洗浄処理)が行われないため、性能としてはTFT素子2にも及ばない。
実施例2
(有機薄膜トランジスタ素子(TFT素子)の作製)
TFT素子1作製時と同様に、前記基板Aに対して酸素ガスを導入した大気圧プラズマ処理を施した。この基板を用いて、表2に記載の有機化合物、絶縁層表面処理剤を用い、表2に記載の表面処理プロセスに従って表面処理を行った後、実施例1と同様に有機半導体膜を形成することで、各々TFT素子4〜9を作製した。
(有機薄膜トランジスタ素子(TFT素子)の作製)
TFT素子1作製時と同様に、前記基板Aに対して酸素ガスを導入した大気圧プラズマ処理を施した。この基板を用いて、表2に記載の有機化合物、絶縁層表面処理剤を用い、表2に記載の表面処理プロセスに従って表面処理を行った後、実施例1と同様に有機半導体膜を形成することで、各々TFT素子4〜9を作製した。
以下に、表面処理プロセス(A)、(B)について具体的に説明する。
(A):酸素ガスを導入した大気圧プラズマ処理を施した基板を、絶縁層表面処理剤を溶解したトルエン溶液(1質量%、60℃)に10分間浸漬した後、トルエンですすぎ、乾燥後、ソース、ドレイン電極の表面を修飾するための有機化合物を溶解したトルエン溶液(0.1質量%、60℃)に10分間浸漬した後、トルエンですすぎ、乾燥することで各々の表面処理を行う。
(B):酸素ガスを導入した大気圧プラズマ処理を施した基板を、ソース、ドレイン電極の表面を修飾するための有機化合物を溶解したトルエン溶液(0.1質量%、60℃)に10分間浸漬した後、トルエンですすぎ、乾燥後、絶縁層表面処理剤を溶解したトルエン溶液(1質量%、60℃)に10分間浸漬した後、トルエンですすぎ、乾燥することで各々の表面処理を行う。
(有機薄膜トランジスタの評価)
以上により得られた有機TFT素子4〜9についても、実施例1と同様にトランジスタ特性に関する評価を行った。TFT素子4〜9は、いずれもpチャンネルのエンハンスメント型FETの動作特性を示した。
以上により得られた有機TFT素子4〜9についても、実施例1と同様にトランジスタ特性に関する評価を行った。TFT素子4〜9は、いずれもpチャンネルのエンハンスメント型FETの動作特性を示した。
この結果より、本発明の製造方法により作製した有機薄膜トランジスタは、いずれも良好なトランジスタ特性を示すことが分かった。
1 有機半導体層
2 ソース電極
3 ドレイン電極
4 ゲート電極
5 絶縁層
6 支持体
7 下引き層
10 有機TFTシート
11 有機TFT
12 出力素子
13 蓄積コンデンサ
14 垂直駆動回路
15 水平駆動回路
16 ゲートバスライン
17 ソースバスライン
2 ソース電極
3 ドレイン電極
4 ゲート電極
5 絶縁層
6 支持体
7 下引き層
10 有機TFTシート
11 有機TFT
12 出力素子
13 蓄積コンデンサ
14 垂直駆動回路
15 水平駆動回路
16 ゲートバスライン
17 ソースバスライン
Claims (12)
- 支持体上にゲート電極、絶縁層、ソース電極及びドレイン電極、有機半導体層を有する有機薄膜トランジスタの製造方法において、ソース電極及びドレイン電極を予めパターニングした基板に大気圧プラズマ処理を行い、更にソース電極及びドレイン電極を形成する金属と化学的に結合する基を有する有機化合物で電極表面を処理することを特徴とする有機薄膜トランジスタの製造方法。
- 前記大気圧プラズマ処理を行い、次に少なくともソース電極とドレイン電極間のチャネルが形成される領域を含む絶縁層表面を表面処理剤で処理し、更にソース電極及びドレイン電極を形成する金属と化学的に結合する基を有する有機化合物で電極表面を処理することを特徴とする請求項1に記載の有機薄膜トランジスタの製造方法。
- 前記大気圧プラズマ処理を行い、次にソース電極及びドレイン電極を形成する金属と化学的に結合する基を有する有機化合物で電極表面を処理し、更に少なくともソース電極とドレイン電極間のチャネルが形成される領域を含む絶縁層表面を表面処理剤で処理することを特徴とする請求項1に記載の有機薄膜トランジスタの製造方法。
- 前記ソース電極及びドレイン電極を形成する金属と化学的に結合する基を有する有機化合物が下記一般式(1)で表される化合物であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の有機薄膜トランジスタの製造方法。
- 前記一般式(1)において、Aがチオール基であることを特徴とする請求項4に記載の有機薄膜トランジスタの製造方法。
- 前記一般式(1)において、QがSiであることを特徴とする請求項4または5に記載の有機薄膜トランジスタの製造方法。
- 前記ソース電極及びドレイン電極を形成する金属が金であることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の有機薄膜トランジスタの製造方法。
- 前記表面処理剤がシランカップリング剤であることを特徴とする請求項2〜8のいずれか1項に記載の有機薄膜トランジスタの製造方法。
- 前記シランカップリング剤が下記一般式(3)で表される化合物であることを特徴とする請求項9に記載の有機薄膜トランジスタの製造方法。
- 前記有機半導体層が塗布によって形成された層であることを特徴とする請求項1〜10のいずれか1項に記載の有機薄膜トランジスタの製造方法。
- 請求項1〜10のいずれか1項に記載の有機薄膜トランジスタの製造方法によって作製したことを特徴とする有機薄膜トランジスタ。
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---|---|---|---|---|
WO2012081648A1 (en) * | 2010-12-14 | 2012-06-21 | Sharp Kabushiki Kaisha | A method for preparing an interface surface for the deposition of an organic semiconductor material and an organic thin film transistor |
US9449732B2 (en) | 2009-12-03 | 2016-09-20 | Fujifilm Corporation | Charge transport film, method for producing the same, and light-emitting element and photoelectric conversion element using the same |
WO2020189322A1 (ja) * | 2019-03-15 | 2020-09-24 | 株式会社Screenホールディングス | 有機半導体素子の製造方法 |
-
2006
- 2006-08-29 JP JP2006231807A patent/JP2008060115A/ja active Pending
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US8367459B2 (en) | 2010-12-14 | 2013-02-05 | Sharp Laboratories Of America, Inc. | Organic semiconductor interface preparation |
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