JP2008258206A - 有機半導体素子の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明は、多孔質体からなるソース電極およびドレイン電極を、互いに平行な直線上に形成するソース・ドレイン電極形成工程と、上記ソース電極および上記ドレイン電極が形成された直線に対して略垂直方向に吐出装置を移動させながら、有機半導体材料を含む有機半導体層形成用塗工液を吐出させることにより、上記ソース電極と、上記ドレイン電極との間に有機半導体層を形成する有機半導体層形成工程と、を有することを特徴とする有機半導体素子の製造方法を提供することにより、上記課題を解決するものである。
【選択図】図1
Description
一方、上記半導体材料としては、有機化合物からなる有機半導体材料も知られている。有機半導体材料は、上記無機半導体材料に比べて安価に大面積化が可能であり、またフレキシブルなプラスチック基板上に形成することが可能であり、さらに機械的衝撃に対して安定であるという利点を有することから、電子ペーパー代表されるフレキシブルディスプレイ等の次世代ディスプレイ装置への応用などを想定した研究が活発に行われている。
しかしながら、本発明者らは、上記ソース電極およびドレイン電極を多孔質体にした場合、有機半導体層を上記インクジェット法等の吐出法で作製すると、吐出された塗工液がソース電極あるいはドレイン電極に吸収されてしまい、ソース電極とドレイン電極との間のチャネル領域に有機半導体層を均一に形成することが困難であるという問題点を見出した。
また、本発明によれば、上記有機半導体層形成工程が上記ソース電極およびドレイン電極が形成された直線に対して略垂直方向に吐出装置を移動させながら、有機半導体材料を含む有機半導体層形成用塗工液を吐出させることによって有機半導体層を形成するものであることにより、上記ゲート電極およびドレイン電極が多孔質体であっても、上記有機半導体層形成用塗工液が上記ゲート電極およびドレイン電極に吸収されることによって、上記ゲート電極およびドレイン電極の間の領域(以下、単に「チャネル領域」と称する場合がある。)への有機半導体層の形成が阻害されることを防止できる。このため、本発明によれば、上記チャネル領域に均質な有機半導体層を形成することができる。
このようなことから、本発明によれば多孔質体であるソース電極とドレイン電極との間のみに、吐出法によって均質な有機半導体層を形成すること可能な、有機半導体素子の製造方法を提供することができる。
また、このような場合においては、上記ゲート絶縁層の表面が、上記有機半導体層形成用塗工液に対する撥液性を有することが好ましい。これにより上記有機半導体層形成工程において上記ゲート絶縁層の表面に吐出された有機半導体層形成用塗工液が、上記チャネル領域以外に濡れ拡がることを防止できるため、上記チャネル領域のみに有機半導体層を形成することが容易になるからである。
また、このような場合においては、上記基板の表面が、上記有機半導体層形成用塗工液に対する撥液性を有することが好ましい。これにより上記有機半導体層形成工程において上記基板上に吐出された有機半導体層形成用塗工液が、上記チャネル領域以外の領域に濡れ拡がることを防止できるため、チャネル領域のみに有機半導体層を形成することが容易になるからである。
吐出装置12を移動させながら、当該吐出装置12から有機半導体層形成用塗工液を吐出させることにより、上記ソース電極1およびドレイン電極2の間に有機半導体層3を形成する有機半導体層形成工程(図1(b)、(c))とを有するものである。
このような例において本発明の有機半導体素子の製造方法は、上記有機半導体層形成工程において、上記有機半導体層形成用塗工液が吐出される際の上記吐出装置12の移動方向が、上記ソース電極1およびドレイン電極2が形成された直線(x、y)に対して、略垂直方向(図1中の矢印の方向)であることを特徴とするものである。
また、本発明によれば、上記有機半導体層形成工程が上記ソース電極およびドレイン電極が形成された直線に対して略垂直方向に吐出装置を移動させながら、有機半導体材料を含む有機半導体層形成用塗工液を吐出させることによって有機半導体層を形成するものであることにより、上記ゲート電極およびドレイン電極が多孔質体であっても、上記有機半導体層形成用塗工液が上記ゲート電極およびドレイン電極に吸収されることによって、上記チャネル領域への有機半導体層の形成が阻害されることを防止できるため、上記チャネル領域に均質な有機半導体層を形成することができる。
このようなことから、本発明によれば多孔質体であるソース電極とドレイン電極との間のみに、吐出法によって均質な有機半導体層を形成すること可能な、有機半導体素子の製造方法を提供することができる。
以下、本発明に用いられる各工程について順に説明する。
まず、本発明に用いられる有機半導体層形成工程について説明する。本工程は、後述するソース・ドレイン電極形成工程によって形成されたソース電極およびドレイン電極の間に有機半導体層を形成する工程であり、上記ソース電極およびドレイン電極が形成された直線に対して略垂直方向に吐出装置を移動させながら、有機半導体材料を含む有機半導体層形成用塗工液を吐出させることにより、上記チャネル領域に有機半導体層を形成する方法が用いられることを特徴とするものである。
以下、このような有機半導体層形成工程について説明する。
次に、本発明に用いられるソース・ドレイン電極について説明する。本工程は、多孔質体からなるソース電極およびドレイン電極を、互いに平行な直線上に形成する工程である。
以下、このようなソース・ドレイン電極形成工程について詳細に説明する。
なお、本工程において形成されるソース電極およびドレイン電極は、それぞれ異なる直線上に形成されることになる。
本工程においてはこれらのいずれの導電性材料であっても好適に用いることができるが、なかでも金属材料を用いることが好ましい。金属材料を用いることにより、後述する金属ナノ粒子を用いた方法によって簡易な工程で多孔質体からなるソース電極およびドレイン電極を形成することが可能になるからである。
以下、これらの各工程について順に説明する。
なお、上記平均粒径は、レーザー法による粒径測定機として、リーズ&ノースラップ(Leeds & Northrup)社製 粒度分析計 マイクロトラックUPA Model-9230を使用することにより測定することができる。
本発明の有機半導体素子の製造方法は、少なくとも上述した有機半導体層形成工程と、ソース・ドレイン電極形成工程とを有するものであるが、通常、他の任意の工程と併用されるものである。本発明に用いられる任意の工程としては、本発明の実施態様に応じ、本発明によって製造される有機半導体素子の用途等を考慮して適宜選択して用いられるものである。
ここで、本発明の実施態様は、ボトムゲート型構造の有機半導体トランジスタを備える有機半導体素子を製造する態様(第1態様)と、トップゲート型の有機トランジスタを備える有機半導体素子を製造する態様(第2態様)とに大別することができるため、以下、これらの各態様に分けて、本発明に用いられる任意の工程について説明する。
まず、上記第1態様について説明する。本態様はボトムゲート型構造の有機半導体トランジスタを備える有機半導体素子を製造する態様である。このような態様に用いられる任意の工程としては、例えば、上記ソース・ドレイン電極形成工程の前に実施され、基板を用い、上記基板上にゲート電極を形成するゲート電極形成工程と、上記ゲート電極上にゲート絶縁層を形成するゲート絶縁層形成工程と、を挙げることができる。
まず、上記ゲート電極形成工程について説明する。上述したように本工程は、基板を用い、上記基板上にゲート電極を形成する方法である。
ここで、本工程に用いられる基板が複数の層が積層された構成を有するものである場合、上記厚みは各層の厚みの総和を意味するものとする。
ここで、上記ゲート電極をパターニングする方法としては、通常、リソグラフィー法が用いられ、なかでもフォトリソグラフィー法が好適に用いられる。
一方、上記パターン状のゲート電極を直接形成する方法としては、スクリーン印刷法、インクジェット法等の印刷法や、マスク蒸着法等が好適に用いられる。
次に、上記ゲート絶縁層形成工程について説明する。本工程は、上記ゲート電極上にゲート絶縁層を形成する工程である。
ここで、上記「有機半導体層形成用塗工液に対する撥液性を備える」とは、ゲート絶縁層の表面に対する上記有機半導体層形成用塗工液に対する接触角が、40°以上であることを意味するものとする。
なお、上記接触角は、協和界面科学社製 Drop Master 700を用いて室温(23℃)において測定した値を用いるものとする。
本態様においては、上記ゲート電極形成工程および上記ゲート絶縁層形成工程以外の他の工程も用いることができる。このような他の工程としては、本態様の有機半導体素子の製造方法により製造される有機半導体素子に所望の機能を付与できるものであれば特に限定されるものではない。なかでも上記他の工程として、本態様に好適に用いられるものとしては、上記有機半導体層を覆うようにパッシベーション層を形成するパッシベーション層形成工程を挙げることができる。このようなパッシベーション層形成工程を有することにより、本態様によって製造される有機半導体素子をトランジスタ特性の経時劣化が少ないものにできる。
次に、上記第2態様について説明する。本態様はトップゲート型構造の有機半導体トランジスタを備える有機半導体素子を製造する態様である。本態様に用いられる任意の工程としては、例えば、上記有機半導体層形成工程の後に、上記有機半導体層上にゲート絶縁層を形成するゲート絶縁層形成工程と、上記ゲート絶縁層上にゲート電極を形成するゲート電極形成工程と、を挙げることができる。
ここで、上記「有機半導体層形成用塗工液に対する撥液性を備える」の意味については、上記「(1)第1態様」の項において説明したものと同様であるため、ここでの説明は省略する。
また、本態様に用いられる上記ゲート電極形成工程についても、上記ゲート絶縁層上にゲート電極を形成すること意外は、上記「(1)第1態様」の項において説明したものと同様であるため、ここでの説明は省略する。
本実施例においては、トップゲート型構造を有する有機半導体トランジスタを備える有機半導体素子を作製した。
まず、150mm×150mm×0.7mmのガラス基板上にスクリーン印刷法で銀ペースト(固形分濃度:90wt%)をソース・ドレイン形状にパターニングした。パターニング後200℃オーブンにて焼成した。焼成後のソース・ドレイン電極の膜厚は1.8μmであった。形成されたソース電極およびドレイン電極を反射型光学顕微鏡にて観察したところ、ソース電極とドレイン電極との電極間距離(チャネル長)は50μmであった。
有機半導体材料(ポリチオフェン)を固形分濃度0.2wt%でトリクロロベンゼン溶媒に溶解させた塗工液を、上記ソース、ドレイン電極間にインクジェット法により付与することにより、ソース電極およびドレイン電極の間(チャネル形成部位)のみにパターン塗布した。尚、インクジェット法による塗布方向はソースおよびドレイン電極に対し垂直方向とした。その後、N2雰囲気下にてホットプレートで200℃、10分乾燥させることにより、有機半導体層を形成した。形成された有機半導体層の膜厚は0.1μmであった。
カルド系樹脂溶液(固形分濃度:20wt%)を前記基板上にスピンコートした。このときのスピンコートは、800rpmで10sec保持させた。その後、基板を120℃で2分乾燥させた後、350mJ/cm2でパターン露光した。次に、露光部分のレジスト現像を行い、その後、200℃のオーブンで30分乾燥させた。ゲート絶縁層は有機半導体層(チャネル形成部)上およびソース・ドレイン電極上に形成した。なお形成されたゲート絶縁層の膜厚は1μmであった。
Agナノコロイド溶液をインクジェット法により上記ゲート絶縁上にパターン塗布した。その後、ホットプレートにて150℃で30分間乾燥させた。
作製した有機半導体素子の有機半導体トランジスタのトランジスタ特性を測定した結果、トランジスタとして駆動していることが分かった。このとき、有機半導体トランジスタのON電流は1×10−5A、OFF電流は2×10−13Aであった。
本実施例においては、ボトムゲート型構造を有する有機半導体トランジスタを備える有機半導体素子を作製した。
スパッタリング法により全面にCrが300nm成膜された大きさ150mm×150mm×0.7mmのガラス基板を用意した。上記基板上にフォトレジスト(ポジ)をスピンコートした。このときのスピンコートは、1800rpmで10sec保持させた。その後、基板を100℃で1分乾燥させた後、50mJ/cm2でパターン露光した。
次に、露光部分のレジスト現像を行い、その後、200℃のオーブンで60分乾燥させた。次いで、レジストのない部分のCrのエッチングを行い、ゲート電極とした。
カルド系樹脂溶液(固形分濃度:20wt%)を前記基板上にスピンコートした。このときのスピンコートは、800rpmで10sec保持させた。その後、基板を120℃で2分乾燥させた後、350mJ/cm2でパターン露光した。次に、露光部分のレジスト現像を行い、その後、200℃のオーブンで30分乾燥させた。ゲート絶縁層はゲート電極上に形成した。なお形成されたゲート絶縁層の膜厚は1μmであった。
スクリーン印刷法で銀ペースト(固形分濃度:90%)をゲート絶縁層上にソース・ドレイン形状にパターニングした。パターニング後200℃オーブンにて焼成した。焼成後のソース・ドレイン電極の膜厚は1.8μmであった。形成されたソース電極およびドレイン電極を反射型光学顕微鏡にて観察したところ、ソース電極とドレイン電極との電極間距離(チャネル長)は50μmであった。
有機半導体材料(ポリチオフェン)を固形分濃度0.2wt%でトリクロロベンゼン溶媒に溶解させた塗工液を、上記ソース、ドレイン電極間にインクジェット法により付与することにより、ソース電極およびドレイン電極の間(チャネル形成部位)のみにパターン塗布した。尚、インクジェット法による塗布方向はソースおよびドレイン電極に対し垂直方向とした。その後、N2雰囲気下にてホットプレートを用いて200℃で10分乾燥させた。形成された有機半導体層の膜厚は0.1μmであった。
作製した有機半導体素子の有機半導体トランジスタのトランジスタ特性を測定した結果、トランジスタとして駆動していることが分かった。このとき、有機半導体トランジスタのON電流は8×10−6A、OFF電流は4×10−13Aであった。
本比較例においては、ボトムゲート型構造を有する有機半導体トランジスタを備える有機半導体素子を作製した。
スパッタリング法により全面にCrが300nm成膜された大きさ150mm×150mm×0.7mmのガラス基板を用意した。上記基板上にフォトレジスト(ポジ)をスピンコートした。このときのスピンコートは、1800rpmで10sec保持させた。その後、基板を100℃で1分乾燥させた後、50mJ/cm2でパターン露光した。
次に、露光部分のレジスト現像を行い、その後、200℃のオーブンで60分乾燥させた。次いで、レジストのない部分のCrのエッチングを行い、ゲート電極とした。
カルド系樹脂溶液(固形分濃度:20wt%)を前記基板上にスピンコートした。このときのスピンコートは、800rpmで10sec保持させた。その後、基板を120℃で2分乾燥させた後、350mJ/cm2でパターン露光した。次に、露光部分のレジスト現像を行い、その後、200℃のオーブンで30分乾燥させた。ゲート絶縁層はゲート電極上に形成した。なお、形成されたゲート絶縁層の膜厚は1μmであった。
スクリーン印刷法で銀ペースト(固形分濃度:90%)をゲート絶縁層上にソース・ドレイン形状にパターニングした。パターニング後200℃オーブンにて焼成した。焼成後のソース・ドレイン電極の膜厚は1.8μmであった。形成されたソース電極およびドレイン電極を反射型光学顕微鏡にて観察したところ、ソース電極とドレイン電極との電極間距離(チャネル長)は50μmであった。
有機半導体材料(ポリチオフェン)を固形分濃度0.2wt%でトリクロロベンゼン溶媒に溶解させた塗工液を、上記ソース、ドレイン電極間にインクジェット法により付与することにより、ソース電極およびドレイン電極の間(チャネル形成部位)のみにパターン塗布した。尚、インクジェット法による塗布方向はソースおよびドレイン電極に対し水平方向とした。その後、N2雰囲気下にてホットプレートを用いて200℃で10分乾燥させた。形成された有機半導体層の膜厚は0.1μmであった。
作製した有機半導体素子の有機半導体トランジスタのトランジスタ特性を測定したが、チャネル領域全体に有機半導体層が形成されていないため、トランジスタとしての動作は確認できなかった。
2 … ドレイン電極
3 … 有機半導体層
4 … 基板
5 … ゲート電極
6 … ゲート絶縁層
10a,10b … 有機半導体素子
11 … 基材
12 … 吐出装置
20a,20b … 有機半導体トランジスタ
Claims (7)
- 多孔質体からなるソース電極およびドレイン電極を互いに平行な直線上に形成する、ソース・ドレイン電極形成工程と、
前記ソース電極および前記ドレイン電極が形成された直線に対して略垂直方向に吐出装置を移動させながら、有機半導体材料を含む有機半導体層形成用塗工液を吐出させることにより、上記ソース電極と上記ドレイン電極との間に有機半導体層を形成する有機半導体層形成工程と、を有することを特徴とする有機半導体素子の製造方法。 - 前記ソース・ドレイン電極形成工程の前に、基板を用い、前記基板上にゲート電極を形成するゲート電極形成工程と、前記ゲート電極上にゲート絶縁層を形成するゲート絶縁層形成工程と、を有し、かつ、前記ソース・ドレイン電極形成工程が、前記ゲート絶縁層上に前記ソース電極およびドレイン電極を形成するものであることを特徴とする、請求項1に記載の有機半導体素子の製造方法。
- 前記ゲート絶縁層の表面が、前記有機半導体層形成用塗工液に対する撥液性を有することを特徴とする、請求項2に記載の有機半導体素子の製造方法。
- 前記ソース・ドレイン電極形成工程が、基板を用い、前記基板上に前記ソース電極および前記ドレイン電極を形成するものであり、かつ、前記有機半導体層形成工程の後に、前記有機半導体層上にゲート絶縁層を形成するゲート絶縁層形成工程と、前記ゲート絶縁層上にゲート電極を形成するゲート電極形成工程と、を有することを特徴とする請求項1に記載の有機半導体素子の製造方法。
- 前記基板の表面が、前記有機半導体層形成用塗工液に対する撥液性を有することを特徴とする、請求項4に記載の有機半導体素子の製造方法。
- 前記撥液性の程度が、前記有機半導体層形成用塗工液に対する接触角で40°以上であることを特徴とする、請求項1から請求項5までのいずれかの請求項に記載の有機半導体素子の製造方法。
- 前記吐出装置がインクジェットヘッドであることを特徴とする、請求項1から請求項6までのいずれかの請求項に記載の有機半導体素子の製造方法。
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