JP4991516B2 - 電子写真用トナーバインダーおよびトナー組成物 - Google Patents

電子写真用トナーバインダーおよびトナー組成物 Download PDF

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Description

本発明は電子写真用トナーバインダーおよびトナー組成物に関する。
複写機、プリンタ等における画像の定着方式として一般的に採用されている熱定着方式用の電子写真用トナーバインダーは、高い定着温度でもトナーが熱ロールに融着せず(耐ホットオフセット性)、定着温度が低くてもトナーが定着できること(低温定着性)や、微粒子とするための適度な衝撃強度や保存安定性などが求められる。カラートナーの場合には、さらに透明性も要求される。
保存安定性、低温定着性と耐ホットオフセット性のバランス(定着温度幅)に優れ、カラートナー用に適したた電子写真用トナーバインダーが知られている(特許文献1参照)。
しかしながら、定着画像の画像濃度の点では、十分満足できるものではない。
特開2007−264623号公報
本発明の目的は、保存安定性、定着温度幅に加えて、特に画像濃度に優れたトナーバインダーを提供することを目的とする。
すなわち本発明は、ビスフェノールAのエチレンオキサイド2モル付加物を含有するポリオール成分(X)とポリカルボン酸成分(Y)とが、下記一般式(I)または(II)で表されるチタン含有化合物(a1)、および下記一般式(III)で表されるチタン含有化合物(a2)からなる群より選ばれる少なくとも1種のチタン含有触媒(a)の存在下、重縮合されてなる線状ポリエステル樹脂(A)と非線状ポリエステル樹脂(B)を含有し、ビスフェノールAのエチレンオキサイド2モル付加物の純度が93%以上であることを特徴とする電子写真用トナーバインダー;並びに上記の電子写真用トナーバインダー、着色剤、並びに必要により、離型剤、荷電制御剤、および流動化剤から選ばれる1種以上の添加剤を含有するトナー組成物;である。
Ti(−X)m(−OR1)n (I)
O=Ti(−X)p(−OR1)q (II)
Ti(−Z)r(−OR2)s (III)
[式(I)および(II)中、R1はH、アルキル鎖中に1〜5個のエーテル結合を含んでいてもよい炭素数1〜18のアルキル基、または炭素数1〜18のアシル基である。Xは炭素数2〜12のモノもしくはポリアルカノールアミンから1個のOH基のHを除いた残基であり、ポリアルカノールアミンの場合、他のOH基が同一のTi原子に直接結合したOH基(OR1基のR1がHの場合)と分子内で重縮合し環構造を形成していてもよく、他のTi原子に直接結合したOH基(OR1基のR1がHの場合)と分子間で重縮合し繰り返し構造を形成していてもよい。繰り返し構造を形成する場合の重合度は2〜5である。mは1〜4の整数、nは0〜3の整数、mとnの和は4である。pは1〜2の整数、qは0〜1の整数、pとqの和は2である。mまたはpが2以上の場合、それぞれのXは同一であっても異なっていてもよい。nが2以上の場合、それぞれのR1は同一であっても異なっていてもよい。]
[式(III)中、R2はH、または1〜3個のエーテル結合および/もしくは1〜2個の水酸基を含んでいてもよい炭素数1〜24の炭化水素基である。Zは芳香族モノもしくはポリカルボン酸から1個のカルボキシル基のHを除いた残基であり、ポリカルボン酸の場合、他のカルボキシル基が同一分子内のOR2基と分子内で重縮合し環構造を形成していてもよく、または、別の分子のOR2基と分子間で重縮合し2〜5個のTi原子を含む構造を形成していてもよい。r=1〜3、s=1〜3であり、rとsの和は4である。]
本発明により、保存安定性、低温定着性と耐ホットオフセット性のバランス(定着温度幅)、および定着画像の画像濃度のいずれにも優れた電子写真用トナーバインダーを提供することが可能となった
以下、本発明を詳述する。
本発明の電子写真用トナーバインダーに用いる線状ポリエステル樹脂(A)は、ポリオール成分(X)とポリカルボン酸成分(Y)とを重縮合させて得られる。
ポリオール成分(X)としては、必須成分であるビスフェノールAのエチレンオキサイド(以下、EOと略記する)2モル付加物と、必要によりその他のポリオールを用いる。
通常、ビスフェノールAのEO2モル付加物には、2モル付加物以外に、異なる付加モルの成分が不純物として少量含有される。
本発明に用いるビスフェノールAのEO2モル付加物の純度は93%以上であり、好ましくは95%以上、さらに好ましくは98%以上である。
上記純度より小さい場合は、保存安定性に悪影響を及ぼす。
なお、本発明におけるビスフェノールAのEO2モル付加物の純度は、以下の方法により求めたものである。
試料30〜50mgにシリル化剤〔TMSI−H、ジーエルサイエンス(株)製〕1mlを加え、湯浴(50〜70℃)にて溶解させた後、2分間振とうしてシリル化を行い、静置分離し、下記の条件で上澄み液のガスクロマトグラフィーによる分析を行い、ビスフェノールAの未反応物、ビスフェノールAのEO1、2、3モル以上付加物のピーク面積中の2モル付加物の面積を百分率で表す(なお、本発明の実施例、比較例に用いたビスフェノールAのEO2モル付加物中に、ビスフェノールAの未反応物、4モル以上付加物は存在しなかった。)。
[ガスクロマトグラフィーの測定条件]
ガスクロマトグラフィー:GC―14B〔(株)島津製作所製〕
キャリアーガス:ヘリウム
流量:5mm/分
検出器:水素炎イオン化検出器
水素流量:0.6kg/cm2
空気流量:0.5kg/cm2
カラム温度:200〜300℃(昇温速度:15℃/分)
本発明に用いるビスフェノールAのEO2モル付加物は、所望の純度に調整して用いる。例えば、純度80%、88%、93%、95%、および98%品(80%および88%品は比較用)は以下のようにして調製する。
純度約80%品は市販品をそのまま用いることができる。純度88%、93%品は、純度約80%の市販品を水洗により精製することにより調製する。純度95%品の製造方法に関しては、以下に示すとおりである。純度98%品は、純度95%品をさらに水洗により精製することで調製する。
ビスフェノールAのEO2モル付加物の純度95%品の製造方法の一例としては、ビスフェノールAを水溶媒中で0.05〜0.6MPa、好ましくは0.1〜0.4MPaの加圧下で、反応温度が90℃〜150℃、好ましくは100℃〜140℃、特に好ましくは120℃〜130℃で、EOを付加させることにより得られる。
このとき触媒は、トリエチルアミンを単独、またはアルカリ触媒(例えば、水酸化カリウム、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド、トリエチルジアミンなど)と併用(例えば重量比:100/0〜50/50)で使用する。
触媒の添加量としては、ビスフェノールAとEOの合計重量に対し、好ましくは0.01〜1%、さらに好ましくは0.05〜0.1%である(上記および以下において、%はとくに断りのない限り、重量%を意味する)。
ポリオール成分(X)中に、必要により含有されるその他のポリオールとしては、純度が93%以上のビスフェノールAのEO2モル付加物以外の2価アルコールが挙げられ、2種以上を併用してもよい。
2価アルコール(ジオール)としては、炭素数2〜36の脂肪族ジオール(エチレングリコール、プロピレングリコール、およびドデカンジオール等);炭素数4〜36のポリアルキレンエーテルグリコール(ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコールおよびポリプロピレングリコール等);上記炭素数2〜36の脂肪族ジオールの炭素数2〜4のアルキレンオキサイド(以下、AOと略記する)〔EO、プロピレンオキサイド(以下、POと略記する)、およびブチレンオキサイド等〕付加物(付加モル数2〜30);炭素数6〜36の脂環式ジオール(1、4−シクロヘキサンジメタノール、水素添加ビスフェノールA等);上記脂環式ジオールの炭素数2〜4のAO付加物(付加モル数2〜30);ビスフェノール類(ビスフェノールA、ビスフェノールFおよびビスフェノールS等)の炭素数2〜4のAO付加物(付加モル数2〜30)(ビスフェノールAのEO付加物以外)等が挙げられる。
これらのビスフェノールAのEO2モル付加物以外のポリオールの中で好ましいものは、炭素数2〜6の脂肪族ジオール、およびビスフェノール類のAO付加物であり、さらに好ましくはビスフェノールAのPO2〜4モル付加物である。
ポリオール成分(X)中のビスフェノールAのEO2モル付加物の含有量は、保存安定性および反応性の点から、好ましくは90モル%以上、さらに好ましくは95モル%以上、とくに好ましくは100モル%である。
ポリカルボン酸成分(Y)としては、2価カルボン酸等が挙げられ、2種以上を併用してもよい。
2価カルボン酸としては、脂肪族(脂環式を含む)ジカルボン酸と芳香族ジカルボン酸があり、脂肪族(脂環式を含む)ジカルボン酸としては、炭素数2〜50のアルカンジカルボン酸(シュウ酸、マロン酸、コハク酸、アジピン酸、レパルギン酸、およびセバシン酸等)、炭素数4〜50のアルケンジカルボン酸(ドデセニルコハク酸等のアルケニルコハク酸、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、メサコン酸、イタコン酸、およびグルタコン酸等)、などが挙げられる。
芳香族ジカルボン酸としては、炭素数8〜36の芳香族ジカルボン酸(フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、およびナフタレンジカルボン酸等)などが挙げられる。
ポリカルボン酸成分(Y)として、これらのポリカルボン酸の、無水物、低級アルキル(炭素数1〜4)エステル(メチルエステル、エチルエステル、イソプロピルエステル等)を用いてもよい。
ポリカルボン酸成分(Y)としては、とくに限定されないが、これらのうち好ましいものは、炭素数2〜50のアルカンジカルボン酸、炭素数4〜50のアルケンジカルボン酸、炭素数8〜20の芳香族ジカルボン酸であり、さらに好ましくは、アジピン酸、炭素数16〜50のアルケニルコハク酸、テレフタル酸、イソフタル酸、マレイン酸、フマル酸、およびこれらの併用であり、とくに好ましくは、テレフタル酸、イソフタル酸、およびこれらの併用であり、最も好ましくはテレフタル酸である。
本発明に用いる線状ポリエステル樹脂(A)は、通常、前記の純度93%以上のビスフェノールAのEO2モル付加物を含む2価アルコールと2価カルボン酸を重縮合させて得られる直鎖状の主鎖からなるポリエステルをいい、また分子末端がポリカルボン酸(後述する3〜6価またはそれ以上のポリカルボン酸、例えばトリメリット酸、ピロメリット酸を含む)の無水物で変性されたものであってもよい。
本発明において、ポリオール成分(X)とポリカルボン酸成分(Y)の重縮合は、特定の重合触媒を用いる以外は、公知のエステル化反応を利用して行うことができる。一般的な方法として、例えば、不活性ガス(窒素ガス等)雰囲気中で、反応温度が好ましくは150〜280℃、さらに好ましくは180〜270℃、とくに好ましくは200〜260℃で反応させることにより行うことができる。また反応時間は、重縮合反応を確実に行う観点から、好ましくは30分以上、とくに2〜40時間である。
反応末期の反応速度を向上させるために減圧することも有効である。
ポリオール成分(X)とポリカルボン酸成分(Y)との反応比率は、水酸基とカルボキシル基の当量比[OH]/[COOH]として、好ましくは2/1〜1/2、さらに好ましくは1.5/1〜1/1.3、とくに好ましくは1.3/1〜1/1.2である。
このときエステル化の触媒は、下記一般式(I)または(II)で表されるチタン含有化合物(a1)、および下記一般式(III)で表されるチタン含有化合物(a2)からなる群より選ばれる少なくとも1種のチタン含有触媒(a)を用いる。
(a)以外の重合触媒、例えば酢酸亜鉛、テトラブトキシチタネート、カルボン酸チタン酸塩、カルボン酸チタン、ジブチルスズオキシドのみを用いた場合では、本願発明のような効果は得られない。
Ti(−X)m(−OR1)n (I)
O=Ti(−X)p(−OR1)q (II)
Ti(−Z)r(−OR2)s (III)
[式(I)および(II)中、R1はH、1〜5個のエーテル結合を含んでいてもよい炭素数1〜18のアルキル基、または炭素数1〜18のアシル基である。Xは炭素数2〜12のモノもしくはポリアルカノールアミンから1個のOH基のHを除いた残基であり、ポリアルカノールアミンの場合、他のOH基が同一のTi原子に直接結合したOH基(OR1基のR1がHの場合)と分子内で重縮合し環構造を形成していてもよく、他のTi原子に直接結合したOH基(OR1基のR1がHの場合)と分子間で重縮合し繰り返し構造を形成していてもよい。繰り返し構造を形成する場合の重合度は2〜5である。mは1〜4の整数、nは0〜3の整数、mとnの和は4である。pは1〜2の整数、qは0〜1の整数、pとqの和は2である。mまたはpが2以上の場合、それぞれのXは同一であっても異なっていてもよい。nが2以上の場合、それぞれのR1は同一であっても異なっていてもよい。]
[式(III)中、R2はH、または1〜3個のエーテル結合および/もしくは1〜2個の水酸基を含んでいてもよい炭素数1〜24の炭化水素基である。Zは芳香族モノもしくはポリカルボン酸から1個のカルボキシル基のHを除いた残基であり、ポリカルボン酸の場合、他のカルボキシル基が同一分子内のOR2基と分子内で重縮合し環構造を形成していてもよく、または、別の分子のOR2基と分子間で重縮合し2〜5個のTi原子を含む構造を形成していてもよい。r=1〜3、s=1〜3であり、rとsの和は4である。]
(a)の使用量としては特に限定されないが、ポリエステル樹脂を得るのに用いるポリオール成分(X)とポリカルボン酸成分(Y)の合計重量を基準として、好ましくは0.01〜5%、さらに好ましくは0.02〜2%、とくに好ましくは0.03〜1.5%、最も好ましくは0.05〜0.8%である。0.01%以上では重縮合触媒としての作用が十分得られ、5%以下であると、触媒量に応じて高い触媒作用が得られる。また上記触媒量の範囲内であれば、得られるポリエステル樹脂をトナーバインダーとして用いた場合のトナーの、必要な諸特性、特に低温低湿度条件下での感光体の画質がより良好となる。
前記一般式(I)または(II)で表される触媒(a1)において、R1は、H(OH基となる)、1〜5個のエーテル結合を含んでいてもよい炭素数1〜18のアルキル基、または炭素数1〜18のアシル基である。
炭素数1〜18のアルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、n−ヘキシル基、2−エチルヘキシル基、n−オクチル基、n−ラウリル基、n−ステアリル基、β−メトキシエチル基、およびβ−エトキシエチル基などが挙げられる。
炭素数1〜18のアシル基の具体例としては、炭素数1〜18の脂肪族モノカルボン酸、脂肪族ポリカルボン酸、芳香族モノカルボン酸または芳香族ポリカルボン酸から、1個のCOOH基中のOHを除いた残基である。脂肪族モノカルボン酸の具体例としては、酢酸、プロピオン酸、ラウリン酸、ステアリン酸、アクリル酸、メタクリル酸などが挙げられる。脂肪族ポリカルボン酸の具体例としては、シュウ酸、アジピン酸、コハク酸、マレイン酸、フマル酸などが挙げられる。芳香族モノカルボン酸の具体例としては、安息香酸、サリチル酸、ナフチル酸などが挙げられる。芳香族ポリカルボン酸の具体例としては、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、トリメリット酸、ピロメリット酸などが挙げられる。
これらR1のうち好ましくは、Hおよび炭素数1〜18のアシル基であり、さらに好ましくは、Hおよび脂肪族モノカルボン酸および芳香族ポリカルボン酸から1個のCOOH基中のOHを除いた残基であり、特に好ましくは、Hおよびアセチル基であり、最も好ましくはHである。
Xは炭素数2〜12のモノもしくはポリアルカノールアミンから1個のOH基のH原子を除いた残基であり、窒素原子の数、すなわち、1級、2級、および3級アミノ基の合計数は、通常1〜2個、好ましくは1個である。
上記モノアルカノールアミンとしては、エタノールアミン、およびプロパノールアミンなどが挙げられる。ポリアルカノールアミンとしては、ジアルカノールアミン(ジエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、およびN−ブチルジエタノールアミンなど)、トリアルカノールアミン(トリエタノールアミン、およびトリプロパノールアミンなど)、およびテトラアルカノールアミン(N,N,N’,N’−テトラヒドロキシエチルエチレンジアミンなど)が挙げられる。
ポリアルカノールアミンの場合、Ti原子とTi−O−C結合を形成するのに用いられるHを除いた残基となるOH基以外にOH基が1個以上存在し、それが同一のTi原子に直接結合したOH基(OR1基のR1がHの場合)と分子内で重縮合し環構造を形成していてもよく、他のTi原子に直接結合したOH基(OR1基のR1がHの場合)と分子間で重縮合し繰り返し構造を形成していてもよい。繰り返し構造を形成する場合の重合度は2〜5である。重合度が6以上の場合、触媒活性が低下するためオリゴマー成分が増え、粉体塗料としたときのブロッキング性悪化の原因になる。
Xとして好ましいものは、モノアルカノールアミン(とくにエタノールアミン)の残基、ジアルカノールアミン(とくにジエタノールアミン)の残基、およびトリアルカノールアミン(とくにトリエタノールアミン)の残基であり、特に好ましいものはトリエタノールアミンの残基である。
式(I)中、mは1〜4の整数であり、好ましくは1〜3の整数である。nは0〜3の整数であり、好ましくは1〜3の整数である。mとnの和は4である。
式(II)中、pは1〜2の整数、qは0〜1の整数であり、pとqの和は2である。 mまたはpが2以上の場合、複数存在するXは同一であっても異なっていてもよいが、すべて同一である方が好ましい。
nが2以上の場合、複数存在するR1は同一であっても異なっていてもよいが、すべて同一である方が好ましい。
本発明における、上記チタン含有触媒(a1)の具体例を以下に挙げる。以下の例では、置換基Xの例示においては、例示した化合物から1個のOH基のH原子を除いた残基を意味し、置換基OR1の例示においては、例示した化合物から1個のOH基もしくは1個のCOOH基のH原子を除いた残基を意味する。
一般式(I)で表されるものの具体例としては、チタン・トリエタノールアミン(4)〔チタンにトリエタノールアミンが4個配位した化合物を意味する。以下同様の記載法で表記する。〕、チタン・ジエタノールアミン(4)、チタン・モノエタノールアミン(4)、チタン・トリエタノールアミン(3)・ジエタノールアミン(1)、チタン・トリエタノールアミン(2)・ジエタノールアミン(2)、チタン・トリエタノールアミン(1)・ジエタノールアミン(3)、チタン・トリエタノールアミン(3)・OH(1)、チタン・ジエタノールアミン(3)・OH(1)、チタン・トリエタノールアミン(2)・ジエタノールアミン(1)・OH(1)、チタン・トリエタノールアミン(1)・ジエタノールアミン(2)・OH(1)、チタン・トリエタノールアミン(2)・OH(2)、チタン・ジエタノールアミン(2)・OH(2)、チタン・モノエタノールアミン(2)・OH(2)、チタン・モノプロパノールアミン(2)・OH(2)、チタン・N−メチルジエタノールアミン(2)・OH(2)、チタン・N−ブチルジエタノールアミン(2)・OH(2)、チタン・トリエタノールアミン(2)・OH(1)・酢酸(1)、チタン・トリエタノールアミン(2)・OH(1)・フマル酸(1)、チタン・トリエタノールアミン(2)・OH(1)・テレフタル酸(1)、チタン・トリエタノールアミン(2)・OH(1)・イソフタル酸(1)、チタン・ジエタノールアミン(2)・OH(1)・酢酸(1)、チタン・ジエタノールアミン(2)・OH(1)・プロピオン酸(1)、チタン・ジエタノールアミン(2)・OH(1)・フマル酸(1)、チタン・ジエタノールアミン(2)・OH(1)・テレフタル酸(1)、チタン・ジエタノールアミン(2)・OH(1)・イソフタル酸(1)、チタン・モノエタノールアミン(2)・OH(1)・フマル酸(1)、チタン・N−メチルジエタノールアミン(2)・OH(1)・イソフタル酸(1)、チタン・トリエタノールアミン(1)・ジエタノールアミン(1)・OH(2)、チタン・トリエタノールアミン(1)・ジエタノールアミン(1)・OH(1)・酢酸(1)、チタン・トリエタノールアミン(1)・ジエタノールアミン(1)・OH(1)・フマル酸(1)、チタン・トリエタノールアミン(1)・ジエタノールアミン(1)・OH(1)・テレフタル酸(1)、チタン・トリエタノールアミン(1)・ジエタノールアミン(1)・OH(1)・イソフタル酸(1)、チタン・モノプロパノールアミン(1)・トリエタノールアミン(1)・OH(1)・フマル酸(1)、チタン・トリエタノールアミン(1)・OH(3)、チタン・トリエタノールアミン(1)・OH(1)・酢酸(2)、チタン・トリエタノールアミン(1)・OH(2)・酢酸(1)、チタン・トリエタノールアミン(1)・OH(1)・フマル酸(2)、チタン・トリエタノールアミン(1)・OH(1)・フタル酸(2)、チタン・トリエタノールアミン(1)・OH(1)・テレフタル酸(2)、チタン・トリエタノールアミン(1)・OH(1)・イソフタル酸(2)、チタン・トリエタノールアミン(1)・OH(1)・酢酸(1)・フマル酸(1)、チタン・トリエタノールアミン(1)・OH(1)・酢酸(1)・テレフタル酸(1)、チタン・トリエタノールアミン(1)・OH(1)・酢酸(1)・イソフタル酸(1)、チタン・ジエタノールアミン(1)・OH(1)・酢酸(2)、チタン・ジエタノールアミン(1)・OH(1)・フマル酸(2)、チタン・ジエタノールアミン(1)・OH(1)・テレフタル酸(2)、チタン・ジエタノールアミン(1)・OH(1)・イソフタル酸(2)、チタン・ジエタノールアミン(1)・OH(1)・酢酸(1)・フマル酸(1)、チタン・ジエタノールアミン(1)・OH(1)・酢酸(1)・テレフタル酸(1)、チタン・ジエタノールアミン(1)・OH(1)・酢酸(1)・イソフタル酸(1)、チタン・モノプロパノールアミン(1)・OH(1)・酢酸(2)、チタン・N−ブチルジエタノールアミン(1)・OH(1)・マレイン酸(1)・アジピン酸(1)、チタン・N,N,N’,N’−テトラヒドロキシエチルエチレンジアミン(1)・OH(1)・トリメリット酸(2)、テトラヒドロキシチタンとN,N,N’,N’−テトラヒドロキシエチルエチレンジアミンとの反応生成物、およびこれらの分子内または分子間重縮合物が挙げられる。
分子内または分子間重縮合物の具体例としては、下記一般式(I−1)、(I−2)、または(I−3)で表される少なくとも1種の化合物などが挙げられる。
Figure 0004991516
Figure 0004991516
Figure 0004991516
[式中、Q1およびQ6はH、または炭素数1〜4のアルキル基もしくはヒドロキシアルキル基である。Q2〜Q5およびQ7〜Q9は炭素数1〜6のアルキレン基である。Xは炭素数2〜12のモノもしくはポリアルカノールアミンから1個のOH基のHを除いた残基である。]
一般式(II)で表されるものの具体例としては、チタニル・トリエタノールアミン(2)〔チタニル基にトリエタノールアミンが2個配位した化合物を意味する。以下同様の記載法で表記する。〕、チタニル・ジエタノールアミン(2)、チタニル・モノエタノールアミン(2)、チタニル・エタノール(1)・トリエタノールアミン(1)、チタニル・トリエタノールアミン(1)・OH(1)、チタニル・トリエタノールアミン(1)・イソプロパノール(1)、チタニル・トリエタノールアミン(1)・酢酸(1)、チタニル・トリエタノールアミン(1)・ステアリン酸(1)、チタニル・トリエタノールアミン(1)・マレイン酸(1)、チタニル・トリエタノールアミン(1)・フマル酸(1)、チタニル・トリエタノールアミン(1)・メタクリル酸(1)、チタニル・トリエタノールアミン(1)・テレフタル酸(1)、チタニル・トリエタノールアミン(1)・イソフタル酸(1)、チタニル・トリエタノールアミン(1)・ナフチル酸(1)、チタニル・ジエタノールアミン(1)・OH(1)、チタニル・ジエタノールアミン(1)・酢酸(1)、チタニル・ジエタノールアミン(1)・プロピオン酸(1)、チタニル・ジエタノールアミン(1)・フマル酸(1)、チタニル・ジエタノールアミン(1)・テレフタル酸(1)、チタニル・ジエタノールアミン(1)・イソフタル酸(1)、チタニル・モノエタノールアミン(1)・OH(1)、チタニル・モノエタノールアミン(1)・酢酸(1)、およびこれらの分子内または分子間重縮合物が挙げられる。
分子内または分子間重縮合物の具体例としては、下記一般式(II−1)または(II−2)で表される少なくとも1種の化合物などが挙げられる。
Figure 0004991516
Figure 0004991516
[式中、Q1およびQ6はH、または炭素数1〜4のアルキル基もしくはヒドロキシアルキル基である。Q2〜Q5は炭素数1〜6のアルキレン基である。]
これらのうちで好ましいものは、一般式(I)で表される化合物であり、更に好ましくは、チタン・トリエタノールアミン(2)・OH(2)、チタン・ジエタノールアミン(2)・OH(2)、チタン・トリエタノールアミン(1)・ジエタノールアミン(1)・OH(2)、チタン・トリエタノールアミン(2)・OH(1)・酢酸(1)、チタン・ジエタノールアミン(2)・OH(1)・酢酸(1)、チタン・トリエタノールアミン(1)・ジエタノールアミン(1)・OH(1)・酢酸(1)、チタン・トリエタノールアミン(1)・OH(1)・酢酸(2)、チタン・ジエタノールアミン(1)・OH(1)・酢酸(2)、チタン・トリエタノールアミン(2)・OH(1)・フマル酸(1)、チタン・ジエタノールアミン(2)・OH(1)・フマル酸(1)、チタン・トリエタノールアミン(1)・ジエタノールアミン(1)・OH(1)・フマル酸(1)、チタン・トリエタノールアミン(2)・OH(1)・テレフタル酸(1)、チタン・ジエタノールアミン(2)・OH(1)・テレフタル酸(1)、チタン・トリエタノールアミン(1)・ジエタノールアミン(1)・OH(1)・テレフタル酸(1)、チタン・トリエタノールアミン(2)・OH(1)・イソフタル酸(1)、チタン・ジエタノールアミン(2)・OH(1)・イソフタル酸(1)、チタン・トリエタノールアミン(3)・OH(1)、チタン・ジエタノールアミン(3)・OH(1)、チタン・トリエタノールアミン(2)・ジエタノールアミン(1)・OH(1)、チタン・トリエタノールアミン(1)・ジエタノールアミン(2)・OH(1)、およびこれらの分子内もしくは分子間縮合物である。
特に好ましくは、チタン・トリエタノールアミン(2)・OH(2)、チタン・ジエタノールアミン(2)・OH(2)、チタン・トリエタノールアミン(1)・ジエタノールアミン(1)・OH(2)、チタン・トリエタノールアミン(2)・OH(1)・酢酸(1)、チタン・ジエタノールアミン(2)・OH(1)・酢酸(1)、チタン・トリエタノールアミン(1)・ジエタノールアミン(1)・OH(1)・酢酸(1)、チタン・トリエタノールアミン(1)・OH(1)・酢酸(2)、チタン・ジエタノールアミン(1)・OH(1)・酢酸(2)、およびこれらの分子内もしくは分子間縮合物であり、最も好ましくは、チタン・トリエタノールアミン(2)・OH(2)、チタン・ジエタノールアミン(2)・OH(2)、チタン・トリエタノールアミン(1)・ジエタノールアミン(1)・OH(2)、およびこれらの分子内もしくは分子間縮合物である。
これらのチタン含有触媒(a1)は、例えば市販されているチタニウムジアルコキシビス(アルコールアミネート;Dupont製など)を、水存在下で70〜90℃にて反応させることで安定的に得ることができる。また、重縮合物は、更に100℃にて縮合水を減圧留去することで得ることができる。
前記一般式(III)で表されるチタン含有触媒(a2)において、R2はH、または1〜3個のエーテル結合および/もしくは1〜2個の水酸基を含んでいてもよい炭素数1〜24の炭化水素基である。炭化水素基の炭素数は、好ましくは1〜6、さらに好ましくは1〜4である。
炭素数1〜24の炭化水素基の具体例としては、脂肪族炭化水素基並びにエーテル結合および/もしくは水酸基を含む脂肪族炭化水素基(メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、n−ヘキシル基、n−オクチル基、β−メトキシエチル基、β−エトキシエチル基、およびβ−ヒドロキシエチル基など)、芳香族炭化水素基並びにエーテル結合および/もしくは水酸基を含む芳香族炭化水素基[フェニル基;ヒドロキシフェニル基;ビスフェノールA、ビスフェノールFおよびビスフェノールSなどの炭素数2〜4のEO、PO、およびBOなど〕付加物(付加モル数1〜3)から1個のOHを除いた残基など]が挙げられる。
これらR2のうち好ましくは、炭素数1〜6の炭化水素基であり、さらに好ましくは、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、およびn−ヘキシル基であり、とくに好ましくは、n−プロピル基、イソプロピル基、およびn−ブチル基である。
Zは芳香族モノもしくはポリカルボン酸から1個のカルボキシル基のHを除いた残基であり、ポリカルボン酸の場合、Ti原子に結合し残基を形成するのと別のカルボキシル基が、同一分子内のOR2基{Ti原子に直接結合した水酸基(R2がHの場合)、アルコキシ基(R2が炭化水素基の場合)、またはR2が1〜2個の水酸基を含む炭化水素基の場合の該水酸基}と分子内で重縮合し環構造を形成していてもよく、チタン含有触媒(a2)の別の分子のOR2基(上記と同様)と分子間で重縮合し、複数のTi原子を含む繰り返し構造を形成していてもよい。
上記芳香族カルボン酸としては、炭素数7〜50のものが好ましく、安息香酸類(安息香酸、パラヒドロキシ安息香酸、パラメチル安息香酸など)、ナフタレンモノカルボン酸などの芳香族モノカルボン酸;フタル酸類(テレフタル酸、イソフタル酸、オルトフタル酸など)、ナフタレンジカルボン酸、トリメリット酸、およびピロメリット酸などの2〜6価またはそれ以上の芳香族ポリカルボン酸;が挙げられる。
芳香族ポリカルボン酸の場合、前述のようにその複数のカルボキシル基により、複数のTi原子を含む繰り返し構造を形成していてもよいが、この場合の1分子内のTi原子数は2〜5である。1分子内のTi原子数が6以上の場合、触媒活性が低下し好ましくない。
Zとして好ましいものは、フタル酸類(テレフタル酸、イソフタル酸、オルトフタル酸など)の残基、および安息香酸類(安息香酸、パラヒドロキシ安息香酸、パラメチル安息香酸など)の残基であり、特に好ましいものはテレフタル酸、イソフタル酸、およびオルトフタル酸の残基である。
式(III)中、r=1〜3、s=1〜3であり、rとsの和、すなわちTi原子の結合価数は4である。好ましくは、r=1〜2、s=2〜3である。rが3を超えると触媒活性が低下し、sが3を超えると耐加水分解性が低下し、いずれもポリエステル製造上好ましくない。rが1または2の場合、触媒活性が特に高く好ましい。Ti原子の結合価数が4以外の場合は、式(III)と類似の構造でも触媒活性が劣るか副反応が起き好ましくない。
一般式(III)で表される化合物の具体例としては、チタントリイソプロポキシベンゼンカルボキシレート、チタントリブトキシベンゼンカルボキシレート、チタントリイソプロポキシテレフタレート、チタントリブトキシテレフタレート、チタントリイソプロポキシイソフタレート、チタントリイソプロポキシフタレート、チタンジイソプロポキシジベンゼンカルボキシレート、チタンジブトキシジベンゼンカルボキシレート、チタンジイソプロポキシジテレフタレート、チタンジブトキシジテレフタレート、チタンジイソプロポキシジイソフタレート、チタンジイソプロポキシジフタレート、チタンジヒドロキシジベンゼンカルボキシレート、チタンジヒドロキシジテレフタレート、チタンジヒドロキシジイソフタレート、チタンジヒドロキシジフタレート、およびこれらの分子内または分子間重縮合物などが挙げられる。
チタン含有触媒(a2)は、ポリエステル重合時の触媒活性の観点から、30℃の水への溶解度が[5g/100ml]以下であることが好ましく、[2g/100ml]以下であることがさらに好ましく、[1g/100ml]以下であることがとくに好ましい。溶解度が[5g/100ml]以下であると、重合反応時に触媒が加水分解を受けにくく、触媒活性の持続性の観点から好ましい。
これらのチタン含有触媒(a2)は、例えば、市販されているチタンテトラアルコキシドと芳香族カルボン酸を、酢酸エチル中で70〜90℃にて反応させることで得ることができる。
線状ポリエステル樹脂(A)の製造時、チタン含有触媒(a)以外に他のエステル化重合触媒を併用してもよい。他の重合触媒としては、(a)以外のチタン含有触媒(例えばテトラブトキシチタネート、カルボン酸チタン酸塩、およびカルボン酸チタン)、スズ含有触媒(例えばジブチルスズオキシド)、三酸化アンチモン、ジルコニウム含有触媒(例えば酢酸ジルコニル)、および酢酸亜鉛等が挙げられる。この他に、国際公開WO03/073171号パンフレットに記載のこれら以外の触媒を用いることもできる。ただし、スズ含有触媒は、環境保護の点から用いないのが好ましい。全重合触媒中の(a)以外の重合触媒の含有量は、好ましくは20%以下、さらに好ましくは10%以下、とくに好ましくは0%である。
本発明に用いる線状ポリエステル樹脂(A)のガラス転移点(Tg)は、保存安定性の観点から55℃以上であることが好ましい。また、低温定着性の観点から、75℃以下、とくに70℃以下であることが好ましい。
なお、上記および以下において、Tgはセイコー電子工業(株)製DSC20、SSC/580を用いて、ASTM D3418−82に規定の方法(DSC法)で測定される。
線状ポリエステル樹脂(A)のTHF可溶分〔(A)をTHFで濃度0.25%に調整した溶液のこと、不溶分が存在する場合は濾過して除去する。〕の、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(以下GPCと記載する)により得られる数平均分子量(以下Mnと記載)は、低温定着性および粉砕性の観点から、好ましくは、1000〜10000、更に好ましくは2000〜8000、特に好ましくは2800〜6000である。
上記および以下においてポリエステル樹脂のTHF可溶分の分子量は、以下の条件で測定される。
装置(一例) :東ソー製 HLC−8120
カラム(一例):TSKgelGMHXL(2本)
TSKgelMultiporeHXL−M(1本)
測定温度 :40℃
測定溶液 :0.25%のTHF溶液
溶液注入量 :100μl
検出装置 :屈折率検出器
基準物質 :TSK標準ポリスチレン(東ソー製)
分子量=4480000、2890000、1090000、355
000、190000、96400、37900、1810
0、9100、2800、1050、500の計12点
本発明に用いる非線状(架橋)ポリエステル樹脂(B)は、通常、前記の2価カルボン酸および2価アルコール(ビスフェノールAのEO2モル付加物を含む)と共に、3〜6価またはそれ以上のポリカルボン酸および/または3〜8価またはそれ以上のポリオールを、重合反応させて得られる。本発明は特定の線状ポリエステル樹脂(A)を用いることに特徴があり、(B)の組成としてはとくに限定されない。
3〜8価またはそれ以上のポリオールとしては、炭素数3〜36の3〜8価またはそれ以上の脂肪族多価アルコール(グリセリン、トリエチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトールおよびソルビトール等);上記脂肪族多価アルコールの炭素数2〜4のAO付加物(付加モル数2〜30);トリスフェノール類(トリスフェノールPA等)の炭素数2〜4のAO付加物(付加モル数2〜30);ノボラック樹脂(フェノールノボラックおよびクレゾールノボラック等:平均重合度3〜60)の炭素数2〜4のAO付加物(付加モル数2〜30)等が挙げられる。
(B)を構成する2価アルコールおよび3〜8価またはそれ以上のポリオールとして好ましいものは、炭素数2〜6の脂肪族ジオール、ビスフェノール類のAO付加物、ノボラック樹脂のAO付加物、およびこれらの併用である。
3〜6価またはそれ以上のポリカルボン酸としては、3〜6価またはそれ以上の脂肪族(脂環式を含む)ポリカルボン酸として、炭素数6〜36の脂肪族トリカルボン酸(ヘキサントリカルボン酸等)、不飽和カルボン酸のビニル重合体[Mn(GPCによる):450〜10000](α−オレフィン/マレイン酸共重合体等)等が挙げられる。
3〜6価またはそれ以上の芳香族ポリカルボン酸としては、炭素数9〜20の芳香族ポリカルボン酸(トリメリット酸、およびピロメリット酸等)、不飽和カルボン酸のビニル重合体[Mn(GPCによる):450〜10000](スチレン/マレイン酸共重合体、スチレン/アクリル酸共重合体、およびスチレン/フマル酸共重合体等)等が挙げられる。
また、これらのポリカルボン酸の、無水物、低級アルキル(炭素数1〜4)エステル(メチルエステル、エチルエステル、イソプロピルエステル等)を用いてもよい。
(B)を構成する2価カルボン酸および3〜6価またはそれ以上のポリカルボン酸のうち好ましいものは、炭素数2〜50のアルカンジカルボン酸、炭素数4〜50のアルケンジカルボン酸、炭素数8〜20の芳香族ジカルボン酸、および炭素数9〜20の芳香族ポリカルボン酸であり、さらに好ましくは、アジピン酸、炭素数16〜50のアルケニルコハク酸、テレフタル酸、イソフタル酸、マレイン酸、フマル酸、トリメリット酸、ピロメリット酸、およびこれらの併用であり、とくに好ましくは、テレフタル酸、イソフタル酸、トリメリット酸、およびこれらの併用であり、最も好ましくはテレフタル酸である。
(B)を得る場合の3〜6価またはそれ以上のポリカルボン酸と3〜8価またはそれ以上のポリオールの比率は、これらのモル数の和が、全ポリオール成分とポリカルボン酸成分のモル数の合計に対して、好ましくは0.1〜40モル%、さらに好ましくは1〜25モル%、とくに好ましくは3〜20モル%である。
重合反応の際に用いる重合触媒としては、とくに限定されないが、線状ポリエステル樹脂(A)と同様に、チタン含有触媒(a)を使用するのが好ましい。
非線状ポリエステル樹脂(B)のTgは、保存安定性の観点から55℃以上であることが好ましい。また、低温定着性の観点から、70℃以下、とくに65℃以下であることが好ましい。
また、(B)のTHF可溶分のMnは、耐ホットオフセット性の観点から、好ましくは、2000〜20000、さらに好ましくは4000〜10000である。
本発明の電子写真用トナー用バインダーは、低温定着性と耐ホットオフセット性および粉砕性の両立の点で、以上のような線状ポリエステル樹脂(A)と非線状ポリエステル樹脂(B)とを併用する。(A)と(B)はそれぞれを2種以上を用いてもよい。
(A)と(B)の重量比は、とくに限定されないが、同様の理由で、好ましくは10/90〜80/20、さらに好ましくは20/80〜75/25、とくに好ましくは25/75〜70/30、最も好ましくは35/65〜65/35である。
本発明のトナー組成物は、本発明の電子写真用トナーバインダーと、着色剤、および必要により、離型剤、荷電制御剤、流動化剤等の1種以上の添加剤を含有する。
着色剤としては、トナー用着色剤として使用されている染料、顔料等のすべてを使用することができる。具体的には、カーボンブラック、鉄黒、スーダンブラックSM、ファーストイエローG、ベンジジンイエロー、ピグメントイエロー、インドファーストオレンジ、イルガシンレッド、パラニトロアニリンレッド、トルイジンレッド、カーミンFB、ピグメントオレンジR、レーキレッド2G、ローダミンFB、ローダミンBレーキ、メチルバイオレットBレーキ、フタロシアニンブルー、ピグメントブルー、ブリリアントグリーン、フタロシアニングリーン、オイルイエローGG、カヤセットYG、オラゾールブラウンBおよびオイルピンクOP等が挙げられ、これらは単独でまたは2種以上を混合して用いることができる。また、必要により磁性粉(鉄、コバルト、ニッケル等の強磁性金属の粉末もしくはマグネタイト、ヘマタイト、フェライト等の化合物)を着色剤としての機能を兼ねて含有させることができる。
着色剤の含有量は、本発明の電子写真用トナーバインダー100部に対して、好ましくは1〜40部、さらに好ましくは3〜10部である。なお、磁性粉を用いる場合は、好ましくは20〜150部、さらに好ましくは40〜120部である。上記および以下において、部は重量部を意味する。
離型剤としては、軟化点が50〜170℃のものが好ましく、ポリオレフィンワックス、天然ワックス、炭素数30〜50の脂肪族アルコール、炭素数30〜50の脂肪酸およびこれらの混合物等が挙げられる。ポリオレフィンワックスとしては、オレフィン(例えばエチレン、プロピレン、1−ブテン、イソブチレン、1−ヘキセン、1−ドデセン、1−オクタデセンおよびこれらの混合物等)の(共)重合体[(共)重合により得られるものおよび熱減成型ポリオレフィンを含む]、オレフィンの(共)重合体の酸素および/またはオゾンによる酸化物、オレフィンの(共)重合体のマレイン酸変性物[例えばマレイン酸およびその誘導体(無水マレイン酸、マレイン酸モノメチル、マレイン酸モノブチルおよびマレイン酸ジメチル等)変性物]、オレフィンと不飽和カルボン酸[(メタ)アクリル酸、イタコン酸および無水マレイン酸等]および/または不飽和カルボン酸アルキルエステル[(メタ)アクリル酸アルキル(アルキルの炭素数1〜18)エステルおよびマレイン酸アルキル(アルキルの炭素数1〜18)エステル等]等との共重合体、およびサゾールワックス等が挙げられる。
天然ワックスとしては、例えばカルナウバワックス、モンタンワックス、パラフィンワックスおよびライスワックスが挙げられる。炭素数30〜50の脂肪族アルコールとしては、例えばトリアコンタノールが挙げられる。炭素数30〜50の脂肪酸としては、例えばトリアコンタンカルボン酸が挙げられる。
荷電制御剤としては、ニグロシン染料、3級アミンを側鎖として含有するトリフェニルメタン系染料、4級アンモニウム塩、ポリアミン樹脂、イミダゾール誘導体、4級アンモニウム塩基含有ポリマー、含金属アゾ染料、銅フタロシアニン染料、サリチル酸金属塩、ベンジル酸のホウ素錯体、スルホン酸基含有ポリマー、含フッ素系ポリマー、ハロゲン置換芳香環含有ポリマー等が挙げられる。
流動化剤としては、コロイダルシリカ、アルミナ粉末、酸化チタン粉末、炭酸カルシウム粉末等が挙げられる。
本発明のトナー組成物の組成比は、トナー重量に基づき、本発明の電子写真用トナーバインダーが、好ましくは30〜97%、さらに好ましくは40〜95%、とくに好ましくは45〜92%;着色剤が、好ましくは0.05〜60%、さらに好ましくは0.1〜55%、とくに好ましくは0.5〜50%;添加剤のうち、離型剤が、好ましくは0〜30%、さらに好ましくは0.5〜20%、とくに好ましくは1〜10%;荷電制御剤が、好ましくは0〜20%、さらに好ましくは0.1〜10%、とくに好ましくは0.5〜7.5%;流動化剤が、好ましくは0〜10%、さらに好ましくは0〜5%、とくに好ましくは0.1〜4%である。また、添加剤の合計含有量は、好ましくは3〜70%、さらに好ましくは4〜58%、とくに好ましくは5〜50%である。トナーの組成比が上記の範囲であることで帯電性が良好なものを容易に得ることができる。
本発明のトナー組成物は、混練粉砕法、乳化転相法、重合法等の従来より公知のいずれの方法により得られたものであってもよい。例えば、混練粉砕法によりトナーを得る場合、流動化剤を除くトナーを構成する成分を乾式ブレンドした後、溶融混練し、その後粗粉砕し、最終的にジェットミル粉砕機等を用いて微粒化して、さらに分級することにより、粒径(D50)が好ましくは5〜20μmの微粒とした後、流動化剤を混合して製造することができる。なお、平均粒径(D50)(粉体の体積粒径分布において,ある粒子径より大きい個数が,全粉体の個数の50%をしめるときの粒子径をD50とする。)はコールターカウンター[例えば、商品名:マルチサイザーIII(コールター社製)]を用いて測定される。
また、乳化転相法によりトナーを得る場合、流動化剤を除くトナーを構成する成分を有機溶剤に溶解または分散後、水を添加する等によりエマルジョン化し、次いで分離、分級して製造することができる。トナーの体積平均粒径は、3〜15μmが好ましい。
本発明のトナー組成物は、必要に応じて鉄粉、ガラスビーズ、ニッケル粉、フェライト、マグネタイトおよび樹脂(アクリル樹脂、シリコーン樹脂等)により表面をコーティングしたフェライト等のキャリアー粒子と混合されて電気的潜像の現像剤として用いられる。トナーとキャリアー粒子との重量比は、通常1/99〜100/0である。また、キャリア粒子の代わりに帯電ブレード等の部材と摩擦し、電気的潜像を形成することもできる。
本発明のトナー組成物は、複写機、プリンター等により支持体(紙、ポリエステル フィルム等)に定着して記録材料とされる。支持体に定着する方法としては、公知の熱ロール定着方法、フラッシュ定着方法等が適用できる。
以下実施例、比較例により本発明をさらに説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
製造例1
[純度88%のビスフェノールAのEO2モル付加物の製造]
撹拌機および窒素導入管の付いた反応槽中に、純度81%、水酸基価343.1のビスフェノールAのEO2モル付加物500部を仕込み120℃に昇温した。120℃にて溶解させた後、100℃まで冷却した。そこへ、100℃のイオン交換水500部を仕込み、100℃にて1時間撹拌した後、上層の水相を抜き取った。その後、130℃で5〜20mmHgの減圧下で4時間脱水して、純度88%、水酸基価347.4のビスフェノールAのEO2モル付加物を得た。
製造例2
[純度93%のビスフェノールAのEO2モル付加物の製造]
水洗による精製を5回繰り返す以外は製造例1と同様にして、純度93%、水酸基価350.6のビスフェノールAのEO2モル付加物を得た。
製造例3
[純度95%のビスフェノールAのEO2モル付加物の製造]
撹拌機および窒素導入管の付いた加圧反応槽中に、ビスフェノールA277部、イオン交換水138.5部、トリエチルアミン2部仕込み、窒素置換を2回行った。その後、130℃に昇温し、0.3MPaの加圧下EO123部を2時間かけて滴下した。その後、2時間反応させ、取り出した。その後、5〜20mmHgの減圧下130℃で4時間脱水し、これを、前記の方法でガスクロマトグラフィーにて分析して、純度95%、水酸基価351.7であることを確認した。
製造例4
[純度98%のビスフェノールAのEO2モル付加物の製造]
撹拌機および窒素導入管の付いた反応槽中に、製造例3で得られた純度95%のビスフェノールAのEO2モル付加物500部を仕込み120℃に昇温した。120℃にて溶解させた後、100℃まで冷却した。そこへ、100℃のイオン交換水500部を仕込み、100℃にて1時間撹拌した後、上層の水相を抜き取った。その後、130℃で5〜20mmHgの減圧下で4時間脱水して、純度98%、水酸基価353.9のビスフェノールAのEO2モル付加物を得た。
原料および製造例1〜4で得られた、各純度のビスフェノールAのEO2モル付加物の、前記ガスクロマトグラフィー測定による各成分の分析結果を表1に示す。
Figure 0004991516
製造例5
[チタン含有触媒(a2)の合成]
冷却管、撹拌機及び液中バブリング可能な窒素導入管の付いた反応槽中に、酢酸エチル2000部とテレフタル酸1000部を入れ、窒素にて液中バブリング下、60℃まで徐々に昇温し、チタンテトライソプロポキシド600部を滴下しながら60℃で4時間反応させスラリー状物である反応混合物を得た。反応混合物をろ紙でろ別し40℃/20kPaで乾燥させることで、チタントリイソプロポキシテレフタレートと未反応のテレフタル酸の混合物(a2−1)(チタントリイソプロポキシテレフタレートの濃度65%)を得た。
製造例6
[チタン含有触媒(a2)の合成]
冷却管、撹拌機及び液中バブリング可能な窒素導入管の付いた反応槽中に、酢酸エチル1000部とイソフタル酸500部を入れ、窒素にて液中バブリング下、60℃まで徐々に昇温し、チタンテトライソプロポキシド300部を滴下しながら60℃で5時間反応させスラリー状物である反応混合物を得た。反応混合物をろ紙でろ別し40℃/20kPa・sで乾燥させることで、チタントリイソプロポキシイソフタレートおよびチタンジイソプロポキシジイソフタレート(重量比7:3)と未反応のイソフタル酸の混合物(a2−2)(チタントリイソプロポキシイソフタレートおよびチタンジイソプロポキシジイソフタレートの濃度64%)を得た。
製造例7
[チタン含有触媒(a2)の合成]
冷却管、撹拌機及び液中バブリング可能な窒素導入管の付いた反応槽中に、酢酸エチル1000部、安息香酸244部を入れ、窒素にて液中バブリング下、60℃まで徐々に昇温し、チタンテトライソプロポキシド284部を滴下しながら60℃で5時間反応させた後、イオン交換水を50部入れ、2時間反応させスラリー状物である反応混合物を得た。反応混合物をろ紙でろ別し40℃/20kPa・sで乾燥させることで、チタンジヒドロキシジベンゼンカルボキシレート(a2−3)を得た。
製造例8
[チタン含有触媒(a1)の合成]
冷却管、撹拌機及び液中バブリング可能な窒素導入管の付いた反応槽中に、チタニウムジイソプロポキシビス(トリエタノールアミネート)1617部とイオン交換水126部を入れ、窒素にて液中バブリング下、90℃まで徐々に昇温し、90℃で4時間反応(加水分解)させることで、チタニウムジヒドロキシビス(トリエタノールアミネート)を得た。さらに、100℃にて、2時間減圧下で反応(脱水縮合)させることで、その分子内重縮合物である触媒(a1−1)を得た。
実施例に用いる他のチタン含有触媒(a1)についても、同様の合成法にて得ることができる。
実施例に用いたチタン含有触媒(a1−1)〜(a1−9)の組成を下記に示す。
Figure 0004991516
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Figure 0004991516
Figure 0004991516
製造例9
[線状ポリエステル樹脂(A1)の合成]
冷却管、撹拌機および窒素導入管の付いた反応槽中に、テレフタル酸304部(1.83モル)、製造例2で得られた純度93%のビスフェノールAのEO2モル付加物762部(2.38モル)、および縮合触媒としてチタン含有触媒(a2−1)1部を仕込み、230℃に昇温した。230℃にて1時間撹拌した後、5〜20mmHgの減圧下に水を留去しながら同温度で9時間反応させた。その後、生成した淡黄色のポリマーを取り出し、室温まで冷却後、粉砕し粒子化した。これを線状ポリエステル樹脂(A1)とした。
(A1)のTgは56℃、Mnは3000であった。
製造例10
[線状ポリエステル樹脂(A2)の合成]
冷却管、撹拌機および窒素導入管の付いた反応槽中に、テレフタル酸340部(2.04モル)、製造例2で得られた純度93%のビスフェノールAのEO2モル付加物734部(2.29モル)、および縮合触媒としてチタン含有触媒(a2−1)1部を仕込み、230℃に昇温した。230℃にて1時間撹拌した後、5〜20mmHgの減圧下に水を留去しながら同温度で9時間反応させた。その後、生成した淡黄色のポリマーを取り出し、室温まで冷却後、粉砕し粒子化した。これを線状ポリエステル樹脂(A2)とした。
(A2)のTgは67℃、Mnは5500であった。
製造例11
[線状ポリエステル樹脂(A3)の合成]
冷却管、撹拌機および窒素導入管の付いた反応槽中に、テレフタル酸305部(1.84モル)、製造例3で得られた純度95%のビスフェノールAのEO2モル付加物761部(2.39モル)、および縮合触媒としてチタン含有触媒(a2−1)1部を仕込み、230℃に昇温した。230℃にて1時間撹拌した後、5〜20mmHgの減圧下に水を留去しながら同温度で9時間反応させた。その後、生成した淡黄色のポリマーを取り出し、室温まで冷却後、粉砕し粒子化した。これを線状ポリエステル樹脂(A3)とした。
(A3)のTgは58℃、Mnは3100であった。
製造例12
[線状ポリエステル樹脂(A4)の合成]
冷却管、撹拌機および窒素導入管の付いた反応槽中に、テレフタル酸341部(2.05モル)、製造例3で得られた純度95%のビスフェノールAのEO2モル付加物733部(2.30モル)、および縮合触媒としてチタン含有触媒(a2−1)3部を仕込み、230℃に昇温した。230℃にて1時間撹拌した後、5〜20mmHgの減圧下に水を留去しながら同温度で9時間反応させた。その後、生成した淡黄色のポリマーを取り出し、室温まで冷却後、粉砕し粒子化した。これを線状ポリエステル樹脂(A4)とした。
(A4)のTgは68℃、Mnは5500であった。
製造例13
[線状ポリエステル樹脂(A5)の合成]
冷却管、撹拌機および窒素導入管の付いた反応槽中に、テレフタル酸300部(1.81モル)、製造例4で得られた純度98%のビスフェノールAのEO2モル付加物671部(2.12モル)、純度52%のビスフェノールAのプロピレンオキサイド3モル付加物(市販品、水酸基価279.1、前記ガスクロマトグラフィー測定による2モル付加物33%、3モル付加物52%、4モル付加物15%)95部(0.24モル)、および縮合触媒としてチタン含有触媒(a2−1)0.5部を仕込み、230℃に昇温した。230℃にて1時間撹拌した後、5〜20mmHgの減圧下に水を留去しながら同温度で9時間反応させた。その後、生成した淡黄色のポリマーを取り出し、室温まで冷却後、粉砕し粒子化した。これを線状ポリエステル樹脂(A5)とした。
(A5)のTgは59℃、Mnは3200であった。
製造例14
[線状ポリエステル樹脂(A6)の合成]
冷却管、撹拌機および窒素導入管の付いた反応槽中に、テレフタル酸336部(2.02モル)、製造例4で得られた純度98%のビスフェノールAのEO2モル付加物646部(2.04モル)、前記純度52%のビスフェノールAのプロピレンオキサイド3モル付加物91部(0.23モル)、および縮合触媒としてチタン含有触媒(a2−1)6部を仕込み、230℃に昇温した。230℃にて1時間撹拌した後、5〜20mmHgの減圧下に水を留去しながら同温度で9時間反応させた。その後、生成した淡黄色のポリマーを取り出し、室温まで冷却後、粉砕し粒子化した。これを線状ポリエステル樹脂(A6)とした。
(A6)のTgは70℃、Mnは5600であった。
製造例15
[線状ポリエステル樹脂(A7)の合成]
チタン含有触媒(a2−1)1部をチタン含有触媒(a2−2)1部に代える以外は、製造例11と同様にして反応させた。その後、生成した淡黄色のポリマーを取り出し、室温まで冷却後、粉砕し粒子化した。これを線状ポリエステル樹脂(A7)とした。
(A7)のTgは58℃、Mnは3000であった。
製造例16
[線状ポリエステル樹脂(A8)の合成]
チタン含有触媒(a2−1)3部をチタン含有触媒(a2−3)3部に代える以外は、製造例12と同様にして反応させた。その後、生成した淡黄色のポリマーを取り出し、室温まで冷却後、砕し粒子化した。これを線状ポリエステル樹脂(A8)とした。
(A8)のTgは68℃、Mnは5500であった。
製造例17
[線状ポリエステル樹脂(A9)の合成]
チタン含有触媒(a2−1)1部をチタン含有触媒(a1−1)1部に代える以外は、製造例11と同様にして反応させた。その後、生成した淡黄色のポリマーを取り出し、室温まで冷却後、粉砕し粒子化した。これを線状ポリエステル樹脂(A9)とした。
(A9)のTgは57℃、Mnは3000であった。
製造例18
[線状ポリエステル樹脂(A10)の合成]
チタン含有触媒(a2−1)3部をチタン含有触媒(a1−1)5部に代える以外は、製造例12と同様にして反応させた。その後、生成した淡黄色のポリマーを取り出し、室温まで冷却後、砕し粒子化した。これを線状ポリエステル樹脂(A10)とした。
(A10)のTgは69℃、Mnは5700であった。
製造例19
[線状ポリエステル樹脂(A11)の合成]
チタン含有触媒(a2−1)1部をチタン含有触媒(a1−2)1部に代える以外は、製造例11と同様にして反応させた。その後、生成した淡黄色のポリマーを取り出し、室温まで冷却後、粉砕し粒子化した。これを線状ポリエステル樹脂(A11)とした。
(A11)のTgは57℃、Mnは3000であった。
製造例20
[線状ポリエステル樹脂(A12)の合成]
チタン含有触媒(a2−1)3部をチタン含有触媒(a1−3)5部に代える以外は、製造例12と同様にして反応させた。その後、生成した淡黄色のポリマーを取り出し、室温まで冷却後、砕し粒子化した。これを線状ポリエステル樹脂(A12)とした。
(A12)のTgは68℃、Mnは5600であった。
製造例21
[線状ポリエステル樹脂(A13)の合成]
チタン含有触媒(a2−1)1部をチタン含有触媒(a1−4)1部に代える以外は、製造例11と同様にして反応させた。その後、生成した淡黄色のポリマーを取り出し、室温まで冷却後、粉砕し粒子化した。これを線状ポリエステル樹脂(A13)とした。
(A13)のTgは57℃、Mnは3000であった。
製造例22
[線状ポリエステル樹脂(A14)の合成]
チタン含有触媒(a2−1)3部をチタン含有触媒(a1−5)5部に代える以外は、製造例12と同様にして反応させた。その後、生成した淡黄色のポリマーを取り出し、室温まで冷却後、砕し粒子化した。これを線状ポリエステル樹脂(A14)とした。
(A14)のTgは69℃、Mnは5700であった。
製造例23
[線状ポリエステル樹脂(A15)の合成]
チタン含有触媒(a2−1)1部をチタン含有触媒(a1−6)1部に代える以外は、製造例11と同様にして反応させた。その後、生成した淡黄色のポリマーを取り出し、室温まで冷却後、粉砕し粒子化した。これを線状ポリエステル樹脂(A15)とした。
(A15)のTgは57℃、Mnは2800であった。
製造例24
[線状ポリエステル樹脂(A16)の合成]
チタン含有触媒(a2−1)3部をチタン含有触媒(a1−7)5部に代える以外は、製造例12と同様にして反応させた。その後、生成した淡黄色のポリマーを取り出し、室温まで冷却後、砕し粒子化した。これを線状ポリエステル樹脂(A16)とした。
(A16)のTgは69℃、Mnは5700であった。
製造例25
[線状ポリエステル樹脂(A17)の合成]
チタン含有触媒(a2−1)1部をチタン含有触媒(a1−8)1部に代える以外は、製造例11と同様にして反応させた。その後、生成した淡黄色のポリマーを取り出し、室温まで冷却後、粉砕し粒子化した。これを線状ポリエステル樹脂(A17)とした。
(A17)のTgは58℃、Mnは3100であった。
製造例26
[線状ポリエステル樹脂(A18)の合成]
チタン含有触媒(a2−1)3部をチタン含有触媒(a1−9)5部に代える以外は、製造例12と同様にして反応させた。その後、生成した淡黄色のポリマーを取り出し、室温まで冷却後、砕し粒子化した。これを線状ポリエステル樹脂(A18)とした。
(A18)のTgは68℃、Mnは5500であった。
製造例27
[非線状ポリエステル樹脂(B1)の合成]
冷却管、撹拌機および窒素導入管の付いた反応槽中に、純度95%以上のビスフェノールAのPO2モル付加物309部、純度81%のビスフェノールAのEO2モル付加物355部、フェノールノボラック(平均重合度約5)のEO5モル付加物21部、テレフタル酸121部、フマル酸74部および縮合触媒としてチタン含有触媒(a2−1)3部を入れ、210℃で窒素気流下に生成する水を留去しながら10時間反応させた後、5〜20mmHgの減圧下に反応させ、酸価が2以下になるまで反応させた。次いで、無水トリメリット酸87部を加え、常圧下で1時間反応させた後、20〜40mmHgの減圧下で反応させ軟化点が121℃になった時点で取り出して、室温まで冷却後、粉砕し粒子化した。これを非線状(架橋)ポリエステル樹脂(B1)とした。
(B1)のTgは59℃、Mnは6200であった。
製造例28
[非線状ポリエステル樹脂(B2)の合成]
冷却管、撹拌機および窒素導入管の付いた反応槽中に、1,2−プロピレングリコール2280部(30モル)、テレフタル酸ジメチルエステル1649部(8.5モル)、アジピン酸219部(1.5モル)および縮合触媒としてチタン含有触媒(a2−1)3部を入れ、180℃で窒素気流下に生成するメタノールを留去しながら8時間反応させた。次いで230℃まで徐々に昇温しながら、窒素気流下に生成する1,2−プロピレングリコール、水を留去しながら4時間反応させ、さらに5〜20mmHgの減圧下に反応させ、軟化点が90℃になった時点で180℃まで冷却し、無水トリメリット酸115部(0.6モル)を加え、常圧密閉下2時間反応後、220℃、5〜20mmHgの減圧下で反応させ、軟化点が155℃になった時点で取り出して、室温まで冷却後、粉砕し粒子化した。これを非線状(架橋)ポリエステル(B2)とした。
(B2)のTgは60℃、Mnは7000であった。
比較製造例1
[線状ポリエステル樹脂(RA1)の合成]
冷却管、撹拌機および窒素導入管の付いた反応槽中に、テレフタル酸299部(1.80モル)、純度81%のビスフェノールAのEO2モル付加物766部(2.34モル)、および縮合触媒としてチタン含有触媒(a2−1)1部を仕込み、230℃に昇温した。230℃にて1時間撹拌した後、5〜20mmHgの減圧下に水を留去しながら同温度で9時間反応させた。その後、生成した淡黄色のポリマーを取り出し、室温まで冷却後、粉砕し粒子化した。これを線状ポリエステル樹脂(RA1)とした。
(RA1)のTgは50℃、Mnは3000であった。
比較製造例2
[線状ポリエステル樹脂(RA2)の合成]
冷却管、撹拌機および窒素導入管の付いた反応槽中に、テレフタル酸335部(2.02モル)、純度81%のビスフェノールAのEO2モル付加物738部(2.26モル)、および縮合触媒としてチタン含有触媒(a2−1)1部を仕込み、230℃に昇温した。230℃にて1時間撹拌した後、5〜20mmHgの減圧下に水を留去しながら同温度で9時間反応させた。その後、生成した淡黄色のポリマーを取り出し、室温まで冷却後、粉砕し粒子化した。これを線状ポリエステル樹脂(RA2)とした。
(RA2)のTgは63℃、Mnは5500であった。
比較製造例3
[線状ポリエステル樹脂(RA3)の合成]
冷却管、撹拌機および窒素導入管の付いた反応槽中に、テレフタル酸302部(1.82モル)、製造例1で得られた純度88%のビスフェノールAのEO2モル付加物764部(2.36モル)、および縮合触媒としてチタン含有触媒(a2−1)1部を仕込み、230℃に昇温した。230℃にて1時間撹拌した後、5〜20mmHgの減圧下に水を留去しながら同温度で9時間反応させた。その後、生成した淡黄色のポリマーを取り出し、室温まで冷却後、粉砕し粒子化した。これを線状ポリエステル樹脂(RA3)とした。
(RA3)のTgは53℃、Mnは2900であった。
比較製造例4
[線状ポリエステル樹脂(RA4)の合成]
冷却管、撹拌機および窒素導入管の付いた反応槽中に、テレフタル酸338部(2.03モル)、製造例1で得られた純度88%のビスフェノールAのEO2モル付加物736部(2.28モル)、および縮合触媒としてチタン含有触媒(a2−1)1部を仕込み、230℃に昇温した。230℃にて1時間撹拌した後、5〜20mmHgの減圧下に水を留去しながら同温度で9時間反応させた。その後、生成した淡黄色のポリマーを取り出し、室温まで冷却後、粉砕し粒子化した。これを線状ポリエステル樹脂(RA4)とした。
(RA4)のTgは65℃、Mnは5500であった。
比較製造例5
[線状ポリエステル樹脂(RA5)の合成]
冷却管、撹拌機および窒素導入管の付いた反応槽中に、テレフタル酸305部(1.84モル)、製造例3で得られた純度95%のビスフェノールAのEO2モル付加物761部(2.39モル)、および縮合触媒としてテレフタル酸チタン3部を仕込み、230℃に昇温した。230℃にて1時間撹拌した後、5〜20mmHgの減圧下に水を留去しながら同温度で9時間反応させた。その後、生成した淡黄色のポリマーを取り出し、室温まで冷却後、粉砕し粒子化した。これを線状ポリエステル樹脂(RA5)とする。
(RA5)のTgは57℃、Mnは3000であった。
比較製造例6
[線状ポリエステル樹脂(RA6)の合成]
冷却管、撹拌機および窒素導入管の付いた反応槽中に、テレフタル酸341部(2.05モル)、製造例3で得られた純度95%のビスフェノールAのEO2モル付加物733部(2.30モル)、および縮合触媒としてテレフタル酸チタン3部を仕込み、230℃に昇温した。230℃にて1時間撹拌した後、5〜20mmHgの減圧下に水を留去しながら同温度で9時間反応させた。その後、生成した淡黄色のポリマーを取り出し、室温まで冷却後、砕し粒子化した。これを線状ポリエステル樹脂(RA6)とする。
(RA6)のTgは68℃、Mnは5500であった。
実施例1〜24、比較例1〜12
線状ポリエステル樹脂(A1)〜(A18)、および比較の線状ポリエステル樹脂(RA1)〜(RA6)と非線状ポリエステル樹脂(B1)を、表2の割合でプラストミルに入れ、140℃で5分間撹拌して溶融混合し、本発明のトナーバインダー(TB1)〜(TB24)、および比較のトナーバインダー(RTB1)〜(RTB12)を得た。各トナーバインダー100部に対して、シアニンブルーKRO(山陽色素製)8部、カルナバワックス5部を加え。下記の方法でトナー化した。
まず、ヘンシェルミキサ[三井三池化工機(株)製 FM10B]を用いて予備混合した後、二軸混練機[(株)池貝製 PCM−30]で混練した。ついで超音速ジェット粉砕機ラボジェット[日本ニューマチック工業(株)製]を用いて微粉砕した後、気流分級機[日本ニューマチック工業(株)製 MDS−I]で分級し、体積平均粒径(D50)が8μmのトナー粒子を得た。ついで、トナー粒子100部にコロイダルシリカ(アエロジルR972:日本アエロジル製)0.5部をサンプルミルにて混合して、本発明のトナー組成物(T1)〜(T24)、および比較のトナー組成物(RT1)〜(RT12)を得た。
下記評価方法で評価した評価結果を表2に示す。
Figure 0004991516
[評価方法]
〔1〕最低定着温度(MFT)
市販複写機(AR5030;シャープ製)を用いて現像した未定着画像を、市販複写機(AR5030;シャープ製)の定着機を用いて評価した。定着画像をパットで擦った後の画像濃度の残存率が70%以上となる定着ロール温度をもって最低定着温度とした。
〔2〕ホットオフセット発生温度(HOT)
上記MFTと同様に定着評価し、定着画像へのホットオフセットの有無を目視評価した。ホットオフセットが発生した定着ロール温度をもってホットオフセット発生温度とした。
〔3〕保存安定性
トナーをそれぞれポリエチレン製の瓶に入れ、45℃の恒温水槽に8時間保持した後、42メッシュのふるいに移し、ホソカワミクロン(株)製パウダーテスターを用い、振動強度5で5秒間振とうし、ふるいの上に残ったトナーの重量%を測定し、下記基準で判定し、保存安定性を評価した。△以上が実用範囲である。
残存トナー重量%
◎ : 0%以上15%未満
○ : 15%以上25%未満
△ : 25%以上30%未満
× : 30%以上
〔4〕画像濃度
市販モノクロ複写機(AR5030、シャープ(株)製)を用いて現像した未定着のべた画像を、市販モノクロ複写機(SF8400A、シャープ(株)製)の定着ユニットを改造し、熱ローラー温度を可変、プロセススピードを可変にした定着機で、熱ローラー温度180℃、プロセススピード213mm/secで定着した。定着画像の画像濃度をマクベス反射濃度計RD−191(マクベス社製)を用いて測定した。
○:ID1.4以上
△:ID1.3以上1.4未満
×:ID1.3未満
本発明の電子写真用トナーバインダーを用いたトナー組成物は、定着温度幅、保存安定性、画像濃度等に優れ、とくにカラー用トナーとして有用である。

Claims (5)

  1. ビスフェノールAのエチレンオキサイド2モル付加物を含有するポリオール成分(X)とポリカルボン酸成分(Y)とが、下記一般式(I)または(II)で表されるチタン含有化合物(a1)、および下記一般式(III)で表されるチタン含有化合物(a2)からなる群より選ばれる少なくとも1種のチタン含有触媒(a)の存在下、重縮合されてなる線状ポリエステル樹脂(A)と非線状ポリエステル樹脂(B)を含有し、ビスフェノールAのエチレンオキサイド2モル付加物の純度が93%以上であることを特徴とする電子写真用トナーバインダー。
    Ti(−X)m(−OR1)n (I)
    O=Ti(−X)p(−OR1)q (II)
    Ti(−Z)r(−OR2)s (III)
    [式(I)および(II)中、R1はH、アルキル鎖中に1〜5個のエーテル結合を含んでいてもよい炭素数1〜18のアルキル基、または炭素数1〜18のアシル基である。Xは炭素数2〜12のモノもしくはポリアルカノールアミンから1個のOH基のHを除いた残基であり、ポリアルカノールアミンの場合、他のOH基が同一のTi原子に直接結合したOH基(OR1基のR1がHの場合)と分子内で重縮合し環構造を形成していてもよく、他のTi原子に直接結合したOH基(OR1基のR1がHの場合)と分子間で重縮合し繰り返し構造を形成していてもよい。繰り返し構造を形成する場合の重合度は2〜5である。mは1〜4の整数、nは0〜3の整数、mとnの和は4である。pは1〜2の整数、qは0〜1の整数、pとqの和は2である。mまたはpが2以上の場合、それぞれのXは同一であっても異なっていてもよい。nが2以上の場合、それぞれのR1は同一であっても異なっていてもよい。]
    [式(III)中、R2はH、または1〜3個のエーテル結合および/もしくは1〜2個の水酸基を含んでいてもよい炭素数1〜24の炭化水素基である。Zは芳香族モノもしくはポリカルボン酸から1個のカルボキシル基のHを除いた残基であり、ポリカルボン酸の場合、他のカルボキシル基が同一分子内のOR2基と分子内で重縮合し環構造を形成していてもよく、または、別の分子のOR2基と分子間で重縮合し2〜5個のTi原子を含む構造を形成していてもよい。r=1〜3、s=1〜3であり、rとsの和は4である。]
  2. 純度が93%以上のビスフェノールAのエチレンオキサイド2モル付加物が、水溶媒中で、触媒としてのトリエチルアミンまたはトリエチルアミンとアルカリ触媒の存在下に、ビスフェノールAにエチレンオキサイドが付加されて得られたものである請求項1記載の電子写真用トナーバインダー。
  3. 線状ポリエステル樹脂(A)と非線状ポリエステル樹脂(B)の重量比が10/90〜80/20である請求項1または2記載の電子写真用トナーバインダー。
  4. ポリオール成分(X)とポリカルボン酸成分(Y)の合計重量に対するチタン含有触媒(a)の添加量が0.01〜5重量%である請求項1〜3のいずれか記載の電子写真用トナーバインダー。
  5. 請求項1〜4のいずれか記載の電子写真用トナーバインダー、着色剤、並びに必要により、離型剤、荷電制御剤、および流動化剤から選ばれる1種以上の添加剤を含有するトナー組成物。
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