JP4982465B2 - 放射能除染方法および放射能除染装置 - Google Patents
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Description
先ず、本実施形態の放射能除染方法に用いられる放射能除染装置を説明する。
図1は本発明に係る放射能除染装置の第1実施形態を示す図である。本実施形態の放射能除染装置Uは、沸騰水型原子力発電プラント(以下、BWR)3の放射能除染に適用した例である。
図2は放射能除染装置Uのクロム注入装置1を示す図である。
クロム注入装置1は、6価のクロム酸イオンを一次冷却系に注入可能に構成される。このクロム注入装置1は、例えば、再循環系管312のうち再循環ポンプ311の上流側に設けられ(図1参照)、図2に示すように、クロム濃縮タンク101、クロム希釈タンク102、攪拌装置103、純水供給路104、タンク連通路105、水位調整装置106、電磁弁107a;107b、窒素ガスボンベ108、窒素ガス供給路109、シールポット110、クロム注入路111、高圧注入ポンプ112、逆止弁113を有して構成される。
図3は、放射能除染装置Uの水質調整装置2を示す図である。
水質調整装置2は、一次冷却系における循環水の水質を、その循環水に注入された6価のクロム酸イオンが3価のクロム原子価を有するクロム化合物として酸化皮膜に沈着する還元雰囲気となるように調整する。この水質調整装置2は、例えば、給水管310のうち給水加熱器309の上流側に設けられ(図1参照)、図3に示すように、水素ガスボンベ201、水素ガス注入路203、防爆ラック202、水素ガス流量調整弁204、水素ガスセンサ205、バルブ206を有して構成される。
水素ガス注入路203は、水素ガスボンベ201内の水素ガスを給水管310に注入する管路である。水素ガス流量調整弁204は、水素ガス注入路203から給水管310に送られる水素ガスの流量を調整する。
水素ガスセンサ205は、防爆ラック202内の水素ガス濃度を検知し、所定の水素ガス濃度を検知したときは、水素ガス流量調整弁204を作動させて水素ガス注入路203を閉塞して、水素ガス爆発を防止する。バルブ206は、水素ガス流量調整弁204の閉塞動作時に、水素ガスが給水管310に流れないよう水素ガス注入路203を閉塞する。
本実施形態の放射能除染方法は、BWR3の一次冷却系を成す機器・配管の循環水接触面で生成する酸化皮膜を、予め除去が容易な性質に変化させた後に除去するもので、次の工程1〜3を備える。工程1〜工程3は、例えば、プラント停止の100〜200時間前からプラント停止まで継続して行う。
[化1]
60Co2+ + 2Fe2++ 4H2O = 60CoFe2O4 + H2 + 6H+
60Co2+ + CoFe2O4 = Co2+ + 60CoFe2O4
旧型の酸化皮膜4aにあっては、図1に示すように、ステンレス鋼製の母材401a側にクロム皮膜層402aが形成され、その表面側にニッケルフェライト403aやマグネタイト404aおよびヘマタイト405aなどの混合鉄酸化物粒子から構成される混合鉄酸化物層が形成されていた。この混合鉄酸化物層は、主にステンレス鋼製の母材401aの腐食反応で形成された酸化皮膜である。なお、この混合鉄酸化物層における鉄酸化物粒子の構成割合は、循環水の溶存酸素濃度、溶存水素濃度、溶存過酸化水素濃度等の循環水の水質によって変化するばかりでなく、溶存イオン種濃度によっても変化する。また、給復水系からの鉄クラッドの持ち込み量が多いプラントでは、酸化皮膜の最外層にソフトクラッド406aと呼ばれる鉄酸化物が緩やかに付着している場合があった。このソフトクラッド406aの結晶形態はヘマタイトである場合が多い。ソフトクラッド406aは、燃料から剥離した粒子状の放射性腐食生成物を多く含んでおり、比放射能(単位重量あたりの放射能)が比較的大きいのが特徴である。
新型の酸化皮膜4bは、図5に示すように、旧型の酸化皮膜4a(図4参照)と比較し、いくつかの特徴が見られる。特筆すべき点として、新型の酸化皮膜4bは、ニッケルフェライト403bが主体となって形成されていることや、クロム皮膜層402bが薄く、場合によっては検出限度以下となる点である。
先ず、前処理としてプレフィルミング処理を行った。このプレフィルミング処理では、BWR一次冷却系を模擬した体系を用意し、この体系を流れる模擬循環水中でステンレス鋼試験片の薄板材にニッケルフェライト主体の酸化皮膜を形成させる。試験条件は、下記の通りであり、BWRの一次冷却系を模擬して設定したものである。なお、水質条件は、一次冷却系等において循環水と接触する原子炉構造物の応力腐食割れの予防保全対策として期待される微量水素注入(HWC;Hydrogen Water Chemistry)を行った原子炉冷却材再循環系の水質のシミュレーション値である。また、ニッケル濃度は、BWR一次冷却系における溶存ニッケル濃度の実績値である。
ステンレス鋼試験片の寸法:10mm×40mm×0.3mm
温度:285℃
圧力:7MPa
溶存酸素濃度:9ppb
溶存水素濃度:31ppb
過酸化水素濃度:56ppb
ニッケル濃度:4ppb
浸漬時間:500時間
<クロムドーピング処理の試験条件>
温度:285℃
圧力:7MPa
溶存酸素濃度:30ppb
溶存水素濃度:30ppb
クロム濃度:20ppb
浸漬時間:165時間
<酸化処理(オゾン処理)の試験条件>
オゾン処理の温度:80℃
オンゾン濃度:3ppm
リン酸濃度:25ppm
pH:3.5
<還元処理(還元処理)>
シュウ酸処理の温度:95℃
シュウ酸濃度:2000ppm
鉄濃度:ヘマタイトとして60ppm
図6のデータに関し、「クロムドーピング処理1」および「クロムドーピング処理2」は、クロムドーピング処理工程を行った場合の2つのステンレス鋼試験片(以下、クロムドーピング試験片)に関する重量変化を示すものである。「処理なし1」および「処理なし2」は、クロムドーピング処理工程のみ行わなかった場合の2つのステンレス鋼試験片(非クロムドーピング試験片)に関する重量変化を示すものである。また、重量測定は、全ての試験片ともに共通して、プレフィルミング処理工程の直後、クロムドーピング処理工程の直後、酸化皮膜除去処理(酸化処理および還元処理)工程の直後に行っている。なお、酸化皮膜除去処理は、第1〜第3サイクル行い、各サイクルの直後に行っている。
(1) BWR3の一次冷却系を成す機器・配管から酸化皮膜が除去されやすくなるように、酸化皮膜を溶解させて除去する化学除染工程(例えば、工程1、工程2)と、この化学除染工程の前処理として、酸化皮膜を物理的に剥離し易くなる性状に変化させる酸化皮膜改質工程(例えば、工程3)とを備える。このため、クロム皮膜層が極めて薄いとか全く存在しないといったニッケルフェライト主体の酸化皮膜のように、従来の酸化処理および還元処理では除去困難な酸化皮膜であっても、これを良好に除去できる。
(6) 酸化皮膜に沈着すると酸化皮膜が機器・配管から除去されやすくなる薬剤を、一次冷却系に注入する薬剤注入装置を備える。このため、例えば、クロム皮膜層が極めて薄いとか全く存在しないといったニッケルフェライト主体の酸化皮膜のように、従来の酸化処理および還元処理では除去困難な酸化皮膜であっても、これを良好に除去できる。
本実施形態は、第1実施形態の放射能除染方法における工程2および放射能除染装置Uの水質調整装置2の構成を変更した例である。
放射能除染方法にあっては、
(10) 酸化皮膜改質工程で、一次冷却系の循環水にヒドラジンとアルカリ剤を注入することにより、循環水に注入されたクロム酸イオンが3価のクロム原子価を有するクロム化合物すなわち水酸化クロムとして酸化皮膜に沈着する還元雰囲気となるように調整する。このため、酸化皮膜にクロム皮膜層が形成されやすくなり、第1実施形態の(1)〜(3)の効果を高めることができる。
Claims (12)
- 原子力発電プラントの一次冷却系を成す機器・配管の循環水接触面で生成し放射性核種を含む酸化皮膜を除去することにより、その機器・配管から放射能を取り除く放射能除染方法において、
前記酸化皮膜を溶解させて除去する化学除染工程と、
前記化学除染工程の前処理として、酸化皮膜を物理的に剥離し易くなるように性状変化させる酸化皮膜改質工程と、
を備えることを特徴とする放射能除染方法。 - 前記酸化皮膜改質工程では、
6価のクロム酸イオンを、一次冷却系の循環水に注入し、
前記循環水の水質を、その循環水に注入されたクロム酸イオンが3価のクロム原子価を有するクロム化合物として酸化皮膜に沈着する還元雰囲気となるように調整することを特徴とする請求項1に記載の放射能除染方法。 - 前記クロム酸イオンの注入は、酸化皮膜におけるクロム密度が70μg/cm2以上となるように行うことを特徴とする請求項2に記載の放射能除染方法。
- 前記酸化皮膜改質工程では、一次冷却系の循環水に水素を注入することにより、前記水質の調整を行うことを特徴とする請求項2に記載の放射能除染方法。
- 前記酸化皮膜改質工程では、一次冷却系の循環水にヒドラジンとアルカリ剤を注入することにより、前記水質の調整を行うことを特徴とする請求項2に記載の放射能除染方法。
- 前記酸化皮膜改質工程は、原子力発電プラントの運転停止の100〜200時間前から運転停止まで継続して行うことを特徴とする請求項4に記載の放射能除染方法。
- 前記酸化皮膜改質工程は、原子力発電プラントの運転停止後に開始することを特徴とする請求項5に記載の放射能除染方法。
- 原子力発電プラントの一次冷却系を成す機器・配管の循環水接触面で生成し放射性核種を含む酸化皮膜を除去することにより、その機器・配管から放射能を取り除く放射能除染装置において、
前記酸化皮膜に沈着すると酸化皮膜が機器・配管から除去されやすくなる薬剤を、一次冷却系に注入する薬剤注入装置を備えることを特徴とする放射能除染装置。 - 前記循環水の水質を、その循環水に注入された薬剤が酸化皮膜に沈着しやすくなる水質に調整する水質調整装置を備えることを特徴とする請求項8に記載の放射能除染装置。
- 前記薬剤注入装置は、薬剤として6価のクロム酸イオンを一次冷却系の循環水に注入し、
前記水質調整装置は、循環水の水質を、その循環水に注入されたクロム酸イオンが3価のクロム原子価を有するクロム化合物として酸化皮膜に沈着する還元雰囲気となるように調整することを特徴とすることを特徴とする請求項9に記載の放射能除染装置。 - 前記水質調整装置は、一次冷却系の循環水に水素を注入することにより、前記水質の調整を行うことを特徴とする請求項10に記載の放射能除染装置。
- 前記水質調整装置は、一次冷却系の循環水にヒドラジンとアルカリ剤を注入することにより、前記水質の調整を行うことを特徴とする請求項10に記載の放射能除染装置。
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