JP4555625B2 - 原子力プラントの運転方法 - Google Patents

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Description

本発明は、原子力プラントの運転方法に係り、特に、運転中に炉心部で生成する放射能成分が原子炉周辺の配管および機器に付着し配管および機器の線量率を上昇させることを抑制する原子力プラントの運転方法に関する。
原子炉の炉心部では、放射性成分の親核種が中性子の照射により放射化される。この親核種は、炉心部の外部から冷却材により持ち込まれる場合と、炉心部を構成する構造材中に元々存在する場合とがある。水を冷却材として使用する原子力プラントでは、放射化した核種が、冷却材により運ばれ、周辺の配管および機器に付着し、原子力プラントの保守時に作業員の被曝線量源となる。
配管および機器表面の線量は、付着している放射能成分の量により決まる。放射能成分の付着量は、冷却材すなわち炉水中の放射能濃度と配管および機器への放射能成分の付着速度との積に比例する。
炉水中の放射能濃度と、配管および機器への放射能成分の付着速度との少なくとも一方を抑制すれば、配管および機器の線量を低減できる。作業員の被曝線量を低減するために、配管および機器の放射能を抑制する方法は、炉水中の放射能濃度を抑制する方法と、配管および機器への放射能成分の付着速度を抑制する方法とに大別できる。
炉水中の放射能濃度を抑制する方法としては、放射能成分の親核種となるコバルトイオンやニッケルイオンの量を削減するために、低コバルト材を使用する構造やニッケル基合金の使用量を減らす構造などが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
燃料棒表面で生成する放射能成分が炉水中に溶解しにくくするために、給水系からの鉄流入量を制御し、鉄量とニッケル量との比を2以上とし、燃料棒表面に安定的に放射能成分を固定できるフェライト皮膜を形成させる方法が提案されている(例えば、特許文献2,特許文献3参照)。
配管および機器表面への放射能成分の付着速度を抑制する方法としては、給水系からの鉄持ち込み量を低く抑え炉水中のニッケルイオン濃度を上昇させ、配管および機器表面に安定なニッケルフェライト系の皮膜を形成させる方法が提案されている(例えば、特許文献4参照)。
原子力プラントにおいて放射能成分として最も主要な成分となるコバルト−60は、通常、配管表面に形成されるスピネル構造を持ったコバルトフェライトのような形態で取り込まれる。この場合、コバルトが取り込まれるスピネル構造は、ニッケルで安定化される。
給水系から亜鉛を注入し、配管表面に亜鉛フェライトを形成させ、放射能成分の取り込みを抑制する方法も提案されている(例えば、特許文献5参照)。
コバルトが取り込まれる部位が亜鉛で占有されていると、コバルトの取り込みが抑制される。亜鉛注入方法では、燃料棒表面においても安定皮膜を形成し、燃料棒表面からの放射能成分の溶出を抑制し、炉水の放射能濃度を低減することもできる。しかし、原子炉運転中の全期間に亘り亜鉛を注入する必要がある。
この他、核反応を開始する前に予め材料表面に皮膜を付与し、運転開始後に放射能が付着しにくい状態にしておくいわゆるプレフィルミング方法も提案されている。
特開平04−276038号公報 (第2〜5頁 図1) 特開昭60−078390号公報 (第2〜3頁 第1〜3図) 特開昭61−07194号公報 (第2〜3頁 図1) 特開昭63−172999号公報 (第2〜4頁) 特開平01−230750号公報 (第2〜3頁 第1〜6図)
特許文献1に記載された給水系からの鉄持ち込み量を制御し抑制する方法は、ある程度の抑制効果を期待できる。しかし、さらに抑制効果を高め、長期的に線量を抑制することが望まれている。
近年、稼働中の原子力プラントにおいて、線量低減のため、定期検査時に配管および機器を化学的に除染する方法がある。除染後は、配管および機器表面の酸化皮膜が除去された状態となり、表面が新しい配管および機器と同等の状態となる。この場合は、次の運転サイクルの開始に伴い、放射性成分の再付着が急速に進行し、短期間のうちに除染前の線量レベルに至る。したがって、化学除染後の再汚染を効率的に抑制することが望まれている。
特許文献2,特許文献3は、燃料棒表面に安定的に放射能成分を固定できるフェライト皮膜を形成させる方法であり、特許文献4は、配管および機器表面に安定なニッケルフェライト系の皮膜を形成させる方法に関する。コバルト−59やニッケル−58などの放射性物質の親核種になる物質は、炉心領域で沸騰している燃料棒表面に付着し、そこで放射化される。放射化された物質は、炉水に再度溶出して配管および機器表面に運ばれ、そこに付着し、線量源となる。
燃料棒表面では、放射性成分の存在形態が、炉水中の鉄濃度に応じて異なる。鉄が多い場合は、フェライト構造を持ったクラッド皮膜として、燃料棒表面に生成しているジルコニウム酸化皮膜と共存する。この形態では、皮膜の溶解性が低いので、放射性物質は皮膜中に安定的に固定され、炉水中の放射能濃度は抑制される。
これに対して、炉水中の鉄濃度が低い場合は、燃料棒表面のコバルト−60などはCoOなどの酸化形態で存在する。この場合は、コバルトの溶解性が高く、放射化した成分は炉水中に再度溶出しやすく、炉水の放射能濃度が増大する。
図11は、燃料棒表面に生成するコバルトフェライトCoFe2O4およびコバルトモノオキサイドCoOの溶出速度を示す図である。
沸騰水型原子炉(BWR)の運転状態では、炉水温度が約280℃であり、運転時のpHは約5.6である。そこでこの環境におけるCoFe2O4の溶出量は、CoOの溶出量よりも約1桁少ない。
安定した皮膜を燃料棒表面に作るためには、炉水中に存在する鉄およびニッケルの量を制御することが望ましい。ニッケルフェライトはNiFe2O4という構造であり、ニッケルに対する鉄の比が2となっているので、通常、炉水中の鉄/ニッケル比を2以上に設定すると、安定なフェライト構造を形成させることができる。コバルトも、このフェライト構造の中では、安定して存在でき、炉水中に溶解しにくい。
実際の原子力プラントの運転においては、このような条件を実現するために、給水系でのFe濃度を0.5ppb以上に設定している。燃料が各サイクルごとに一定の割合で取り替えられると、新しい燃料が常に存在する。したがって、鉄持ち込み量の制御は、プラント運転開始の第1サイクルの初期から、すべてのサイクルに亘り実施することが望ましい。
特許文献5に記載の亜鉛を注入する方法は、注入設備を設置する必要があるとともに、運転中は常時注入する必要がある。
プレフィルミング法は、炭素鋼系配管に対しては効果が顕著であるが、ステンレス鋼系配管に対して必ずしも十分な効果を期待できない。ステンレス鋼ではプレフィルミングによりクロム皮膜が形成され、その内にコバルトが取り込まれ易く、過酸化水素がある強酸化性環境下ではこのクロム皮膜が影響を受け、金属溶出を加速させ、外層皮膜の成長が進み、そこに放射能成分が取り込まれるからである。
原子炉構造材料の健全性確保の観点から、炉内に水素を注入し、炉内の酸化性成分である酸素や過酸化水素を抑制し、材料の腐食損傷の目安となる腐食電位を低下させる方法がある。水素注入の効果をより加速する手段として、白金,ロジウムなどの貴金属を炉内に注入する方法が実用化されている。
これらの方法を適用した場合、配管および機器への放射能成分の付着量が増加する傾向があるので、海外の原子力プラントでは、亜鉛注入などの方法を組み合わせ、配管線量の上昇を抑制している。
しかし、水素注入などの還元剤の注入に伴い、配管および機器表面に形成される皮膜の形態が変化し、コバルト−60などの放射性物質を取り込みやすくなり、還元環境になると、燃料棒表面からの放射能成分の放出が増大するので、線量が上昇する。
本発明の目的は、運転中に炉心部で生成する放射能成分が原子炉周辺の配管および機器に付着し配管および機器の線量率を上昇させることを抑制する手順を含む原子力プラントの運転方法を提供することである。
本発明は、上記目的を達成するために、水を冷却材とする原子力プラントの運転初期に酸化剤が存在する環境において配管および機器表面に皮膜を形成すれば、その後の放射能付着を抑制できるという新たな知見に基づき、原子力プラントの起動時にまたは配管および機器を除染後の最初の運転サイクルに、過酸化水素などの酸化剤を積極的に注入する原子力プラントの運転方法を提案する。
本発明は、また、溶存する過酸化水素などの酸化剤を抑制するために用いていた水素などの還元剤の注入を原子力プラントの起動時に故意に遅らせる原子力プラントの運転方法を提案する。
本発明は、さらに、酸化剤の皮膜生成機能を阻害しないように鉄濃度を低く抑制し、皮膜形成後に鉄濃度を高める原子力プラントの運転方法を提案する。
本発明によれば、原子力プラントに既設の水素注入装置や復水ろ過装置のバイパス機能を組み合わせ、または、酸化剤注入装置や還元剤注入装置を追加設置するだけで、原子力プラントの運転初期に、配管および機器表面に放射能成分が付着しにくい皮膜を形成させ、配管および機器の線量を抑制できる。
発明者らは、原子炉内を模擬した280℃,70気圧の高温・高圧試験ループにおいて、各種水質の模擬炉水に304および316Lステンレス鋼試験片を浸漬し、コバルト−60の付着試験を実施した。
沸騰水型原子炉では、通常の運転時に、炉水中には、過酸化水素が200〜300ppb程度、酸素が100〜150ppb程度溶存している。炉内の環境を正確に模擬するには、過酸化水素を正確に溶存させた実験が不可欠であった。
しかし、過酸化水素は、高温・高圧環境においては、配管表面などで容易に分解し、水と酸素になるので、制御が困難であった。従来は、過酸化水素量を制御することが容易ではなく、過酸化水素の代わりに酸素を用い、酸素量を制御しながら実験していた。
発明者らによる今回の実験では、過酸化水素量を十分正確に制御する方法を開発し、コバルトの付着挙動を評価した。
図1は、発明者らにより初めて解明された各種水質条件におけるコバルト付着量の時間変化を示す図である。図1において、NWCは、Normal Water Chemistry (水素無添加の通常水質)の略であり、HWCは、Hydrogen Water Chemistry (水素添加水質)の略である。
過酸化水素を200ppb添加した模擬炉水中に、ステンレス鋼試験片を200時間浸漬すると、コバルト−60の付着量が顕著に抑制されることを発見した。
図1の白丸曲線から明らかなように、過酸化水素を200ppb添加した模擬炉水中に200時間浸漬し、星印の時点で、水素50ppb,酸素10ppbの水素注入条件に切り替え、付着試験を継続した。付着量の増加は見られなかった。
また、水素注入条件に過酸化水素を5ppb,10ppb添加した条件でも、付着試験を実施した。過酸化水素を5ppb,10ppb添加した条件でも、過酸化水素を添加しない0ppbの場合と変わらない結果となった。
過酸化水素を200ppb添加した模擬炉水中に浸漬したステンレス鋼表面の皮膜を走査型電子顕微鏡で観察すると、緻密で薄い皮膜が形成されていた。
このように、過酸化水素が200ppb程度存在する水質条件下でステンレス鋼表面に皮膜を形成すると、放射能成分の取り込みが抑制されることが明らかになった。
図1の黒四角曲線は、酸素を200ppb添加した模擬炉水中のコバルト付着量の時間変化を示す。黒三角曲線は、最初から水素を50ppb,酸素を10ppb添加した模擬炉水中のコバルト付着量の時間変化を示す。黒丸曲線は、黒三角曲線の模擬炉水に過酸化水素を5ppb加えた場合のコバルト付着量の時間変化を示す。
いずれの場合も、過酸化水素条件を200ppb添加した模擬炉水で皮膜を形成させた場合と比べて、コバルト付着量が多くなっている。
発明者らは、この知見に基づいて、原子力プラントの運転初期に、過酸化水素などの酸化剤により、配管および機器の表面に放射性成分を取り込みにくい皮膜を形成させる原子力プラントの運転方法を開発した。強い酸化剤としては、過酸化水素のほか、オゾンなどのような物質でも使用できる。
一方、構造材料の健全性の観点からは、強い酸化剤が構造材料の応力腐食割れの要因になるので、長時間に亘り酸化剤に材料を暴露することは望ましくない。したがって、暴露は、応力腐食割れが発生する懸念が少ない時間に限定する必要がある。
酸化剤への暴露時間は、長くても4000時間以内とすべきである。暴露時間は、酸化剤の酸化力が強いほど、また、量が多いほど短縮される。
起動時などの過渡的な運転過程では、温度の変化に伴う負荷応力が大きくなる可能性があるので、過渡運転時に酸化剤を作用させることは好ましくない場合がある。したがって、過渡運転時間が経過した後に、酸化剤を作用させる。
現在運転中の原子力プラントでは、炉内で発生する過酸化水素などの酸化剤を低減するために、水素などの還元剤を注入している場合がある。このような原子力プラントでは、運転初期にこの還元剤注入を停止すると、炉内で発生した過酸化水素などの酸化剤を本発明の皮膜形成に利用することも可能である。
図2は、ステンレス鋼表面に生成する酸化皮膜の形態の一例を示す図である。
ステンレス鋼表面に形成される酸化皮膜は、その中にコバルトなどの放射性物質が取り込まれていると、配管線量の原因になる。
通常、酸素雰囲気では、図2に示すように、金属母材側からクロメイト,クロマイトのようなクロム主体の内層皮膜が形成される。その外側に、マグネタイト,ニッケルフェライトのような鉄主体の外層皮膜が形成される。さらに、水側の最外層には、循環する炉水により運ばれてくるヘマタイトなどのクラッド成分が付着する。
炉水中のコバルト成分は、クロマイト,フェライト中に取り込まれる。特に、コバルトは、クロマイト中では安定化され、一旦形成された鉄クロマイト層の鉄と置換して取り込まれると考えられる。
この現象は、次の反応における
FeCr2O4 + Co2+ → CoCr2O4 + Fe2+,
ΔG0(kJ/mol)=−35.2 …(1)
Fe3O4 + Co2+ → CoFe2O4 + Fe2+,
ΔG0(kJ/mol)=−30.2 …(2)
NiFe2O4 + Co2+ → CoFe2O4 + Fe2+,
ΔG0(kJ/mol)=−11.6 …(3)
生成自由エネルギーΔG0の比較からも理解できる。
過酸化水素のような強い酸化剤がステンレス鋼に作用すると、その酸化作用により、クロムはクロム酸として溶出し、安定なクロム皮膜を形成できない。この場合には、薄いマグネタイトまたはフェライト系の皮膜が形成されると予想される。マグネタイトの一部分は、過酸化水素により更に酸化され、ヘマタイト(α−Fe2O3)に変化する。このような形態では、ヘマタイト領域へのコバルトの取り込みは抑制される。
通常、沸騰水型原子力プラントでは、水素などの還元剤を注入しない条件下では、炉内で発生する酸化剤は、過酸化水素が200〜300ppb程度,酸素が100〜150ppb程度存在する。
このように過酸化水素濃度が高いプラント運転初期では、これまで説明してきた理由により、コバルトを取り込みやすいクロマイト皮膜は形成されにくく、鉄系のマグネタイトまたはフェライト系の皮膜が形成される。
しかし、運転時間の経過に伴い、炉内に持ち込まれる鉄クラッド成分が配管および機器表面に蓄積されると、酸化皮膜の成長により、強い酸化剤である過酸化水素は、クラッド表面または酸化皮膜表面で水と酸素に変換され、母材に直接影響を与えることが抑制されるようになる。
この段階では、実験室系で酸素雰囲気で実施した放射能付着実験の状態に近づき、放射能を取り込みやすい皮膜形成が進行することになる。すなわち、原子力プラントの運転時間が延びるとともに、過酸化水素の影響が弱くなる。
この鉄クラッドの影響は、給水系からの鉄クラッド成分の持ち込み量が多い原子力プラントでは、運転開始初期から強く現れる。
この過程を考慮すると、給水系からの鉄持ち込み量が0.1ppb以下と極めて少ない原子力プラントの場合には、鉄クラッドが、配管および機器表面を被覆する率が低くなり、過酸化水素の影響を抑制するような材料表面状態に至るには、長時間を要することになる。
次に、図3〜図10を参照して、沸騰水型原子炉(BWR)を含む原子力プラントの運転方法の実施例を説明する。
≪実施例1≫
図3は、原子力プラントの運転方法の実施例1を適用すべき原子力プラントの系統構成を示す図である。
実施例1の運転方法が適用される原子力プラントにおいて、沸騰水型原子炉(BWR)1の炉心2で発生した蒸気は、タービン系3に供給され、図示しない発電機を駆動する。タービン系3を出た蒸気は、復水器で凝縮し、復水となる。復水は、復水ろ過装置4でろ過され、復水脱塩装置5で脱塩され、給水ポンプ9により加圧され、給水加熱器10に送られる。ここでは図示しないが、タービン系の途中で蒸気の一部を抽気し、給水加熱器10に導き、給水を加熱する。加熱された給水は、更に加圧され、給水系水質モニタ装置11で水質を環視しながら、原子炉1に戻される。
原子炉1は、炉心2で発生する熱を効率的に除去するため、炉水を強制的に循環させる原子炉再循環系12を備えている。原子炉再循環系12は、炉心1を通ってきた炉水の一部を炉心出口側から原子炉圧力容器外に取り出し、再循環ポンプ13で昇圧し、原子炉圧力容器内に再び戻す外部ループと、ここでは図示しないが、原子炉圧力容器内で送り込まれた炉水を炉心内に導くジェット・ポンプなどの内部ループとからなる。
原子炉1は、また、炉水を連続的に小流量ずつ取り出し、炉水中の不純物(腐食生成物,核分裂生成物,溶解性無機物質など)を除去する炉浄化系14を備えている。炉浄化系14は、熱交換器15およびろ過脱塩装置16を含んでいる。
実施例1の原子力プラントは、復水ろ過装置4をバイパスするバイパス管6とバイパス弁7とを備え、給水系には、還元剤としての水素により炉内の環境を緩和させる水素注入装置8を備えている。
実施例1の原子力プラントの運転においては、水素注入装置8により水素を注入するとともに、復水ろ過装置4を一部バイパスして、復水系の鉄クラッド成分などを炉内に供給している。
近年では、復水ろ過装置4は、クラッド成分の捕捉効率が極めて高い中空糸膜方式またはプリーツ方式を採用しており、給水系での鉄クラッド濃度を0.1ppb以下のレベルに抑制する。この復水ろ過装置4をバイパスすると、給水系の鉄クラッド濃度を0.1〜1.5ppbのレベルに制御できる。
また、復水脱塩装置5の下流側に設置した水素注入装置8は、水素を注入する。現在の沸騰水型原子炉では、原子力プラントの状況に応じて、水素注入量を0.2〜2.0ppmのレベルで制御する。その結果、炉水中の過酸化水素,酸素濃度は、10ppb以下に抑制される。
しかし、過酸化水素が完全に抑制されない条件下では、図1で説明したように、配管および機器表面への放射能成分の蓄積が進行する。
図4は、原子力プラントの運転方法の実施例1における炉水中の過酸化水素濃度,水素濃度,鉄濃度と、原子炉の温度,出力との時間変化を示す図である。
実施例1では、応力腐食割れに関して厳しい条件となる原子力プラント起動初期を除き、炉水温度が例えば150℃以上に達した状態で、具体的には、原子炉出力が100%に到達した後、所定期間例えば20〜4000時間の範囲内で水素注入を停止し、過酸化水素濃度の高い状態を維持すると、放射能成分の取り込みが少ない皮膜を形成できることになる。
一旦皮膜を形成した後は、応力腐食割れを防止するために、水素注入装置8からの水素注入を再開し、腐食電位が低い状態を維持させる。
図1により既に説明したように、過酸化水素環境下で皮膜が一旦生成すると、その後の水素注入による還元環境下でも、放射能成分の取り込みが抑制される。
応力腐食割れに関して厳しい条件となる原子力プラント起動時の過渡運転状態における応力腐食割れ対策として、起動初期から定格出力の60%以下に達する時点までの期間に、水素を注入することも考えられる。
一方、鉄成分の濃度は、過酸化水素による皮膜を形成させるまでは0.5ppb以下,望ましくは0.1ppb以下に維持し、過酸化水素の効果を低減させないようにする。皮膜形成が終了した後は、炉水中の放射能濃度を抑制するために、給水系の鉄クラッド濃度を0.5ppb以上とする運転も可能である。鉄クラッド濃度が上昇すると、配管および機器表面への付着量が増加していき、過酸化水素が材料の母材に直接作用できない環境となっていく。また、給水系の鉄クラッド濃度は、運転の全期間に亘り0.1ppbレベルの低濃度に維持する運転も可能であり、配管への放射能付着量を監視しながら、調整すればよい。
一旦生成した皮膜は、その後長時間に亘り、放射能に対する保護膜として作用する。また、水素注入による還元環境では、放射能成分を取り込む皮膜の成長が抑制されるので、放射能成分の蓄積を低減できる。
原子炉の起動時初期は、炉水温度が低いので、炉水中の過酸化水素濃度が高い時期となる。この期間は温度が急速に変化するので、炉内の構成材料に応力負荷が加わり、応力腐食割れが生ずるおそれがある。したがって、この起動初期にも、水素などの還元剤を注入し、過酸化水素などの酸化成分を抑制する運転も考えられる。
この起動初期の還元剤を注入する条件下で生成する皮膜は、その後の過酸化水素環境で容易に溶解し、過酸化水素が存在する条件下で新たな皮膜が形成される。
実施例1においては、給水系水質モニタ装置11または他の位置に設置してある水質監視装置の計測値を監視しながら、水素および鉄の濃度を制御する。
この水素および鉄の濃度制御方法は、他の実施例においても、同様に適用される。
≪実施例2≫
図5は、原子力プラントの運転方法の実施例2を適用すべき原子力プラントの系統構成を示す図である。
実施例2の運転方法が適用される原子力プラントは、復水ろ過装置4にバイパス管6およびバイパス弁7を備え、給水系に水素注入装置8を備え、炉浄化系に酸化剤注入装置17を備えている。
原子力プラントの運転初期において、給水系または炉浄化系14から、酸化剤として過酸化水素またはオゾンを所定期間炉内に注入し、配管および機器の表面に放射能成分が付着しにくい皮膜を形成させる。図5の原子力プラントにおいては、炉浄化系14に設置された酸化剤の注入装置17から酸化剤を注入する。
原子力プラント起動時は、炉内機器に過渡的な応力成分が作用し、応力腐食割れの原因となるおそれがあるので、定格出力に到達し、応力的に安定した期間に酸化剤を注入する。
場合によっては、過渡運転時においても、酸化剤を注入することもありうる。
原子炉運転により生成する過酸化水素に加えて、このような強い酸化剤を注入すると、材料表面に放射能成分の取り込みを抑制する皮膜を効率的に形成させることができる。
炉内で生成する過酸化水素を補強するという意味では、注入濃度は数十ppmまでの範囲となる。注入時間は、過酸化水素の濃度に応じて、最大1000時間の範囲で決定する。高濃度の酸化剤を注入する場合は、時間を短縮する。
なお、水素を注入している原子力プラントにおいては、酸化剤を注入する間は、水素の注入を停止し、酸化剤の注入を終了した後、水素注入装置8から水素の注入を開始する。
実施例2においても、給水系からの鉄持ち込み量の調整は有効であり、起動時から、酸化剤を注入している期間内は0.1ppb以下に抑制し、酸化剤の注入が終了したら、0.5ppb以上に設定する。
≪実施例3≫
図6は、原子力プラントの運転方法の実施例3を適用すべき原子力プラントの系統構成を示す図である。
実施例3の運転方法が適用される原子力プラントは、復水ろ過装置4にバイパス管6およびバイパス弁7を備え、給水系に水素注入装置8を備え、炉内で生成する酸化性成分を抑制するために炉浄化系に還元剤の注入装置18を備えている。
実施例3の場合も、実施例1と同様に、水素注入の停止期間を定格出力の60〜100%の時点から1000時間以内とする。
この期間は、炉浄化系からの還元剤の注入を停止する。水素注入を停止している間に、炉心部で生成する過酸化水素が作用し、配管および機器表面に放射能成分が付着しにくい皮膜を形成させることができる。
実施例3においても、給水系からの鉄持ち込み量の調整は有効であり、起動時から、水素および他の還元剤の注入を開始するまでは0.1ppb以下に抑制し、水素および他の還元剤の注入開始後は、0.5ppb以上に設定する。
≪実施例4≫
図7は、原子力プラントの運転方法の実施例4を適用すべき原子力プラントの系統構成を示す図である。
実施例4の運転方法が適用される原子力プラントでは、復水ろ過装置4のバイパス管6にあるバイパス弁7を調節し、給水系からの鉄クラッド量を制御し、配管および機器表面に皮膜を形成させる。バイパス流量は、通常、20〜40%の範囲で調節する。
鉄クラッド量の制御には、鉄注入装置を復水ろ過装置4の下流側に設置してもよい。鉄成分を直接注入すると、給水系における鉄量を変えることができる。
この鉄クラッド量の制御方法は、特に、起動試験を含む第1サイクルの初期または配管および機器の除染を実施した後のサイクル初期の運転時に適用することが好ましい。
図8は、図7の実施例4において、原子力プラント起動開始からの炉水中の過酸化水素濃度,鉄濃度と、原子炉の温度,出力との時間変化を示す図である。
図9は、起動試験時から鉄持ち込み量を制御する運転方法において、原子力プラント起動開始からの炉水中の過酸化水素濃度,鉄濃度と、原子炉の温度,出力との時間変化を示す図である。
鉄の炉内への持ち込み量は、最初、0.1ppb以下に抑制する。定格出力に到達して20から2000時間経過後、復水ろ過装置4のバイパス弁7を開き所定の流量を確保したら、給水系の鉄濃度を0.5〜1.5ppbの範囲に調節する。
運転初期において、鉄持ち込み量を抑制し、配管および機器表面へのクラッド付着を抑制すると、炉心部で生成する過酸化水素が配管および機器表面に効果的に作用し、放射能付着を抑制する皮膜を形成できる。この皮膜が一旦形成された後は、鉄量を増加させ、配管および機器表面へのクラッド付着を促進させる。
この場合は、過酸化水素の効果は抑制され、長期的には放射能付着が進行する。しかし、燃料棒表面で放射能成分を固定化して炉水放射能濃度を抑制する働きを期待できる。
その結果、長期的には、配管および機器に付着する放射能の量を抑制できる。
なお、起動試験期間を含む場合は、鉄濃度を低く抑制する期間が、起動試験期間を合わせて定格出力状態で4000時間以内を確保することが望ましい。
≪実施例5≫
実施例5は、実施例1と実施例2とを組み合わせた原子力プラントの運転方法である。実施例5の原子力プラントの系統構成は、図5に示した実施例2の系統構成と同じである。
実施例5において、水素は、注入装置8から注入され、酸化剤は、炉浄化系14の下流にある酸化剤注入装置17から注入される。
水素は、定格出力到達後、20〜4000時間経過してから、注入を開始する。酸化剤は、定格出力到達後から水素注入を開始時点までの間に注入される。
給水系からの鉄持ち込み量の制御は、実施例1と同様に、炉起動時から水素の注入開始までは、0.1ppb以下とし、水素注入開始後は、0.5ppb以上のレベルに設定する。
酸化剤の注入を停止した後は、この系統に酸化剤の代わりに還元剤を注入することもできる。この場合は、注入ラインの切り替えが必要になる。
酸化剤または還元剤の注入装置を給水系に設置してもよい。この場合は、途中でのラインの切り替えが不要となる。
≪実施例6≫
図10は、原子力プラントの運転方法の実施例6における炉水中の過酸化水素濃度,水素濃度,鉄濃度と、原子炉の温度,出力との時間変化を示す図である。
実施例6では、原子力プラントが運転を開始するにあたって、最初に実施する起動試験時を含めた運転方法を示す。
実施例6では、起動試験時およびその後の第1サイクル運転初期の期間は、給水系で鉄持ち込み量を0.1ppb以下に抑制し、その後は、鉄持ち込み量を増加させる。
鉄持ち込み量を0.1ppb以下に抑制する期間は、起動試験時を含めて、定格出力の状態で4000時間以内とする。
一方、炉内で生成する酸化性成分を抑制するために、鉄持ち込み量を増加させる時期と合わせて、給水系から水素の注入を開始する。
この水素注入と並行して、他の還元剤を注入することも可能である。腐食環境を緩和させるには、他の還元剤の注入と水素注入との併用が有効である。
さらに、還元剤を注入しない期間に、過酸化水素またはオゾンなどの酸化剤を注入する方法も併用できる。この場合は、還元剤の注入および鉄持ち込み量を増加させるまでの期間を短縮できる。
このように運転すると、鉄持ち込み量が少ない時期に、配管および機器表面に放射能成分を取り込みにくい皮膜を形成できる。その後、鉄持ち込み量を増やせば、炉水中の放射能濃度が減少し、配管および機器への放射能付着量が更に低くなる。
なお、鉄持ち込みの効果は、炉水中の放射能濃度にも関連している。鉄持ち込み量を全期間に亘り、0.1ppb以下に抑制した運転も可能である。
本発明者らにより初めて解明された各種水質条件におけるコバルト付着量の時間変化を示す図である。 ステンレス鋼表面に生成する酸化皮膜の形態の一例を示す図である。 原子力プラントの運転方法の実施例1を適用すべき原子力プラントの系統構成を示す図である。 原子力プラントの運転方法の実施例1における炉水中の過酸化水素濃度,水素濃度,鉄濃度と、原子炉の温度,出力との時間変化を示す図である。 原子力プラントの運転方法の実施例2を適用すべき原子力プラントの系統構成を示す図である。 原子力プラントの運転方法の実施例3を適用すべき原子力プラントの系統構成を示す図である。 原子力プラントの運転方法の実施例4を適用すべき原子力プラントの系統構成を示す図である。 図7の実施例4において、原子力プラント起動開始からの炉水中の過酸化水素濃度,鉄濃度と、原子炉の温度,出力との時間変化を示す図である。 起動試験時から鉄持ち込み量を制御する運転方法において、原子力プラント起動開始からの炉水中の過酸化水素濃度,鉄濃度と、原子炉の温度,出力との時間変化を示す図である。 原子力プラントの運転方法の実施例6における炉水中の過酸化水素濃度,水素濃度,鉄濃度と、原子炉の温度,出力との時間変化を示す図である。 燃料棒表面に生成するコバルトフェライトCoFe2O4およびコバルトモノオキサイドCoOの溶出速度を示す図である。
符号の説明
1 沸騰水型原子炉の圧力容器
2 沸騰水型原子炉の炉心
3 タービン系統
4 復水ろ過装置
5 復水脱塩装置
6 バイパス管
7 バイパス弁
8 水素注入装置
9 給水ポンプ
10 給水加熱器
11 給水系水質モニタ装置
12 原子炉再循環系
13 再循環ポンプ
14 炉浄化系
15 炉浄化系熱交換器
16 炉浄化系脱塩器
17 酸化剤注入装置
18 還元剤注入装置

Claims (16)

  1. 水を冷却材とし、原子炉内で生成する酸化性成分を抑制するために少なくとも水素を含む還元剤を前記冷却材に注入する原子力プラントの運転方法において、
    冷却材温度が150℃以上に達した状態で、冷却材が循環する配管および機器の冷却材中に所定期間、オゾンを注入すること、過酸化水素を注入すること、および原子炉起動後最初に定格出力に到達し定格出力の状態が20〜4000時間経過した後に還元剤を注入することの少なくとも1つを実施し、
    前記所定期間は、原子炉が最初に定格出力の60%以上に達した時点から始まる20〜4000時間であることを特徴とする原子力プラントの運転方法。
  2. 請求項1に記載の原子力プラントの運転方法において、
    前記酸化性成分が、原子炉の運転で生成される過酸化水素であることを特徴とする原子力プラントの運転方法。
  3. 請求項1に記載の原子力プラントの運転方法において、
    前記原子力プラントが、炉浄化系を有する沸騰水型原子力プラントであり、
    酸化性成分を炉浄化系に注入する酸化剤注入装置が、浄化装置の下流から酸化性成分を注入することを特徴とする原子力プラントの運転方法。
  4. 請求項1に記載の原子力プラントの運転方法において、
    前記原子力プラントが、再循環系を有する沸騰水型原子力プラントであり、
    酸化性成分を給水系から注入する酸化剤注入装置が、給水加熱器の下流から酸化性成分を注入することを特徴とする原子力プラントの運転方法。
  5. 請求項1に記載の原子力プラントの運転方法において、
    原子炉の定格出力に到達して所定時間が経過するまで、還元剤の注入開始を遅らせることを特徴とする原子力プラントの運転方法。
  6. 請求項に記載の原子力プラントの運転方法において、
    核加熱開始直後から定格出力の60〜100%に至るまでの期間に還元剤を注入し、
    定格出力に到達し定格出力の状態が20〜4000時間経過した後に還元剤を注入することを特徴とする原子力プラントの運転方法。
  7. 請求項5、6のいずれか一項に記載の原子力プラントの運転方法において、
    原子炉を起動し定格出力の60〜100%に至る時点から還元剤の注入を開始するまでの期間に酸化剤を炉内に注入することを特徴とする原子力プラントの運転方法。
  8. 請求項に記載の原子力プラントの運転方法において、
    前記原子力プラントが、炉浄化系を有する沸騰水型原子力プラントであり、
    酸化性成分を炉浄化系に注入する酸化剤注入装置が、浄化装置の下流から酸化性成分を注入することを特徴とする原子力プラントの運転方法。
  9. 請求項に記載の原子力プラントの運転方法において、
    前記原子力プラントが、再循環系を有する沸騰水型原子力プラントであり、
    酸化性成分を給水系から注入する酸化剤注入装置が、給水加熱器の下流から酸化性成分を注入することを特徴とする原子力プラントの運転方法。
  10. 請求項1ないしのいずれか一項に記載の原子力プラントの運転方法において、
    定格出力到達後の所定期間は鉄持ち込み量を給水系で0.1ppb以下に抑制し、
    その後は給水系で0.1ppb以上〜1.5ppb以下に制御することを特徴とする原子力プラントの運転方法。
  11. 請求項10に記載の原子力プラントの運転方法において、
    給水系からの鉄持ち込み量を増加させる時期が、第1運転サイクルの定格出力到達後20〜4000時間であることを特徴とする原子力プラントの運転方法。
  12. 請求項10に記載の原子力プラントの運転方法において、
    前記原子力プラントが、酸化剤注入装置を備え、
    給水系からの鉄持ち込み量を増加させる時期が、定格出力到達後に所定期間が経過し酸化剤の注入を停止した時点であることを特徴とする原子力プラントの運転方法。
  13. 請求項10に記載の原子力プラントの運転方法において、
    前記原子力プラントが、還元剤注入装置を備え、
    給水系からの鉄持ち込み量を増加させる時期が、定格出力に到達して所定期間が経過し還元剤の注入を開始する時点であることを特徴とする原子力プラントの運転方法。
  14. 請求項1ないしのいずれか一項に記載の原子力プラントの運転方法において、
    起動試験期間を含むプラント起動開始からプラント停止までの全期間に亘り、給水系からの鉄持ち込み量を0.1ppb以下に抑制することを特徴とする原子力プラントの運転方法。
  15. 請求項1ないし14のいずれか一項に記載の原子力プラントの運転方法において、
    起動試験期間を含む第1運転サイクル開始時に前記冷却材水質の制御を始めることを特徴とする原子力プラントの運転方法。
  16. 請求項1ないし14のいずれか一項に記載の原子力プラントの運転方法において、
    配管および機器の除染を実施し酸化皮膜を除去した後の運転再開時に前記冷却材水質の制御を始めることを特徴とする原子力プラントの運転方法。
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