JP6751010B2 - 放射性物質付着抑制皮膜の形成方法 - Google Patents

放射性物質付着抑制皮膜の形成方法 Download PDF

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Description

本発明は、放射性物質付着抑制皮膜の形成方法に関する。
沸騰水型原子力プラント(以下「BWRプラント」という。)は、原子炉圧力容器(以下「RPV」という。)内に炉心を内蔵した原子炉を有する。再循環ポンプ(またはインターナルポンプ)によって炉心に供給された炉水(RPV内に存在する冷却水)は、炉心内に装荷された燃料集合体内の核燃料物質の核分裂で発生する熱によって加熱され、一部が蒸気になる。この蒸気は、RPVからタービンに導かれ、タービンを回転させる。タービンから排出された蒸気は、復水器で凝縮され、水になる。この水は、給水として原子炉に供給される。給水は、RPV内での放射性腐食生成物の発生を抑制するため、給水配管に設けられたろ過脱塩装置で主として金属不純物が除去される。
また、放射性腐食生成物の元となる腐食生成物は、BWRプラントの構成部材(RPV及び再循環系配管等)の炉水と接する表面で発生するため、主要な一次系の構成部材には腐食の少ないステンレス鋼及びニッケル基合金などが使用されている。また、低合金鋼製のRPVは、内面にステンレス鋼の肉盛りが施され、低合金鋼が直接炉水と接触することを防いでいる。さらには、炉水の一部を原子炉浄化系のろ過脱塩装置によって浄化し、炉水中に僅かに存在する金属不純物を積極的に除去している。
しかし、上述のような腐食対策を講じても、炉水中における極僅かな金属不純物の存在が避けられないため、一部の金属不純物が、金属酸化物として、燃料集合体に含まれる燃料棒の表面に付着する。燃料棒表面に付着した不純物(例えば、金属元素)は、燃料棒内の核燃料物質の核分裂により放出される中性子の照射によって原子核反応を起こし、コバルト60、コバルト58、クロム51、マンガン54等の放射性核種になる。
これらの放射性核種は、大部分が酸化物の形態で燃料棒表面に付着したままである。しかしながら、一部の放射性核種は、取り込まれている酸化物の溶解度に応じて炉水中にイオンとして溶出したり、クラッドと呼ばれる不溶性固体として炉水中に再放出されたりする。炉水に含まれる放射性物質の大部分は、RPVに連絡された原子炉浄化系によって取り除かれるが、原子炉浄化系で除去されなかった放射性物質は、炉水とともに再循環系などを循環している間に、原子力プラントの構成部材(例えば、配管)の炉水と接触する表面に蓄積される。その結果、構成部材の表面から放射線が放射され、定検作業時の従事者の放射線被ばくの原因となる。その従事者の被ばく線量は、各人毎に規定値を超えないように管理されているが、近年、この規定値が引き下げられ、各人の被ばく線量を可能な限り低くする必要が生じている。そこで、定検作業での被ばく線量が高いことが予想される場合は、配管に付着した放射性核種を溶解して除去する化学除染が実施される場合がある。
特許文献1には、シュウ酸水溶液により炭素鋼製の部材を除染(還元除染)する第1の工程と、第1の工程後にシュウ酸とギ酸を含む混合水溶液により炭素鋼製の部材を除染(還元除染)する第2の工程と、を具備したことを特徴とする化学除染方法が開示されている。この化学除染方法は、原子力プラントにおいて配管等に対して行われる。化学除染においては有機酸が使用されるが、原子力プラントの部材を構成する炭素鋼は、有機酸で容易に腐食される。そこで、特許文献1では、炭素鋼の表面にシュウ酸鉄の保護皮膜を形成して、化学除染時の炭素鋼の腐食を抑制している。
特許文献2には、プラントを構成する炭素鋼部材の水に接する表面にニッケル金属皮膜を形成し、形成された上記ニッケル金属皮膜の表面にニッケルフェライト皮膜を形成し、その後、上記ニッケル金属皮膜をニッケルフェライト皮膜に変化させることを特徴とする炭素鋼部材の防食方法が開示されている。特許文献2によれば、高温状態における炭素鋼部材の腐食をさらに抑制することができるとされている。
特許文献3には、還元除染剤の水溶液を用いて、原子力プラントの構成部材の炉水に接触する表面の還元除染を実施するステップ、及び上記還元除染後に実施される還元除染剤の分解工程内で、還元除染剤の一部を分解した後で水溶液に還元除染剤が残っている第1期間、及び還元除染剤分解工程が終了した後に実施される水溶液の浄化を行う第2期間の少なくとも一つの期間において、貴金属イオンを含む薬剤及び還元剤を水溶液に注入することにより生成された、貴金属イオン及び還元剤を含む水溶液を、構成部材の上記還元除染が実施された表面に接触させ、表面に貴金属を付着させるステップを有し、還元除染を実施するステップ及び貴金属を付着させるステップが、原子力プラントの運転停止後で原子力プラントの起動前に行われることを特徴とする原子力プラントの構成部材への貴金属付着方法が開示されている。特許文献3によれば、原子力プラントの構成部材の表面の化学除染及びその表面への貴金属付着の施工に要する時間を短縮することができるとされている。部材表面へ貴金属を付着させると、放射性核種の取り込みを抑制することができるとされている。
特開2009‐109427号公報 特開2011‐032551号公報 特開2014‐44190号公報
上述した特許文献1及び2は、いずれも炭素鋼部材の腐食防止を目的として、部材の表面に防食皮膜を形成するものであるが、皮膜への放射性物質の取り込みを抑制する効果については、十分ではない可能性がある。
また、特許文献1に記載の化学除染方法では、第1工程でシュウ酸水溶液を用いて炭素鋼部材の還元除染を行うので、シュウ酸鉄(II)が生成され、このシュウ酸鉄(II)が炭素鋼部材の表面に析出する。このため、炭素鋼部材の表面の酸化皮膜の溶解が阻害され、化学除染の効率が低下する。第2工程では、ギ酸を含むシュウ酸水溶液で還元除染が行われるので、ギ酸によりシュウ酸鉄(II)が溶解されるが、シュウ酸が存在するためにシュウ酸鉄(II)が新たに生成される。さらに、第2工程終了後に、まず、ギ酸が分解され、その後シュウ酸が分解されるために、ギ酸の分解終了後においてもシュウ酸鉄(II)が生成される。この状態で定検検査を終了してプラントを再稼働すると、シュウ酸鉄(II)は高温水に晒されてシュウ酸部分が高温で分解してシュウ酸鉄(II)皮膜は消失し、除染前と同様に酸化皮膜が成長することで炉水中の放射性核種の酸化皮膜への取り込みが生じてしまう。
特許文献3には、部材の表面に白金を付着させることで、放射性物質を取り込みやすい酸化被膜が部材の表面に形成されることを抑制できることが記載されているが、シュウ酸が残存している状態で白金を付着させているため、上述した特許文献1と同様の課題が生じると考えられ、更なる改善が望まれている。
本発明の目的は、上記事情に鑑み、運転停止中の原子力プラントを構成する部材の表面に、原子力プラント再稼働後も放射性物質の付着を抑制することが可能な放射性物質付着抑制皮膜を形成する方法を提供することにある。
本発明に係る放射性物質付着抑制皮膜の形成方法は、原子力プラントを構成する部材の化学除染後にニッケル皮膜を形成し、その後貴金属付着処理を実施する。化学除染では、酸化除染及び還元除染を任意の回数実施した後、還元除染剤であるシュウ酸に、シュウ酸よりも分解速度が遅い有機酸を添加して還元除染を実施する。その後の還元除染剤の分解を、シュウ酸が分解して有機酸が残留した状態で終了することで、部材の表面をシュウ酸鉄(II)皮膜の無い状態に仕上げる。このシュウ酸鉄(II)の形成されていない部材の表面に対して、ニッケルイオンと還元剤を添加してニッケルを含む皮膜を形成し、その後貴金属イオンと還元剤を添加してニッケルを含む皮膜に貴金属粒子を付着させる。還元除染剤の分解の一態様は、シュウ酸及び有機酸の濃度を測定し、シュウ酸の濃度が所定の値以下まで低下する前に有機酸の濃度が所定の値以下に低下した場合は、有機酸を添加してシュウ酸の濃度が所定の値以下になるまで還元除染剤の分解を行う。また、還元除染剤の分解の他の態様は、還元除染剤のpHの値を測定し、還元除染剤のpHの値が所定の値を上回った場合は、有機酸を添加して還元除染剤のpHの値を所定の値以下とし、シュウ酸が所定の濃度以下になるまで還元除染剤の分解を行う。
本発明のより具体的な構成は、特許請求の範囲に記載される。
本発明によれば、運転停止中の原子力プラントを構成する部材の表面に、原子力プラント再稼働後も放射性物質の付着を抑制することが可能な放射性物質付着抑制皮膜を形成する方法を提供することができる。これによって、原子力プラントの運転再開後に部材の放射線量の上昇を抑制することができ、定期検査において作業員の放射線被ばく線量を低く抑制することができる。
上記した以外の課題、構成および効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
試験片Aおよび試験片Bのレーザーラマンスペクトルを示すグラフであ 試験片Aと試験片BのCo‐60付着量を示すグラフである。る。 シュウ酸及びギ酸の混合溶液を、Ru添着活性炭触媒で分解した際のシュウ酸及びギ酸の濃度の経時変化を示すグラフである。 実施例1に係る放射性物質付着抑制皮膜の形成方法の一例を示すフローチャートである。 本発明に係る放射性物質付着抑制皮膜の形成方法が適用される原子力プラントの全体構成を示す模式図である。 図5の放射性物質付着抑制皮膜形成装置の詳細な構成を示す模式図である。 実施例2に係る放射性物質付着抑制皮膜の形成方法の一例を示すフローチャートである。 実施例3に係る放射性物質付着抑制皮膜の形成方法の一例を示すフローチャートである。 pHとシュウ酸濃度及びギ酸濃度との関係を示すグラフである。
[本発明の基本思想]
原子力プラントを構成する部材(特に、炭素鋼部材)の表面に放射性物質付着抑制皮膜(ニッケル(Ni)フェライト皮膜に貴金属粒子が付着したもの。以下、単に「皮膜」とも称する。)を形成する処理においては、(1)まず、化学除染で部材の表面に付着した放射性物質(放射性核種)を除去し、(2)その後、その除染された表面に皮膜を形成するが、上記(1)の化学除染と(2)の皮膜の形成との間において、部材の表面にシュウ酸鉄(II)を残存させないことが重要であることを本発明者らは見出した。すなわち、上記(1)で実施される化学除染において、還元除染には一般にシュウ酸が用いられるが、このシュウ酸は構成部材の表面にシュウ酸鉄(II)を形成する。この状態で部材の表面に皮膜形成処理を施すと、シュウ酸鉄(II)の皮膜の表面に皮膜が形成されることになる。そして、原子力プラントの再稼働に伴う温度上昇時に、部材の表面に形成されたシュウ酸鉄(II)の皮膜が高温で熱分解し、シュウ酸鉄(II)の皮膜ごと皮膜が剥離する可能性がある。
本発明者らは、鋭意検討の結果、上記(1)の化学除染の最後に、シュウ酸よりも分解速度が遅い(分解率が低い)有機酸を共存させて還元除染工程を実施し、続く還元剤分解工程において、シュウ酸と有機酸の分解速度に差が有ることを利用して、シュウ酸分解後も有機酸を残存させることで、シュウ酸鉄(II)を部材の表面に形成することなく、上記(2)の皮膜を形成することができる放射性物質付着抑制皮膜の形成方法を見出した。本発明は該知見に基づくものである。
以下に、より具体的に説明する。還元除染工程において添加する有機酸とシュウ酸の分解速度に差が有ることを利用して、シュウ酸分解後も有機酸が残留する条件とすることで、シュウ酸鉄(II)を炭素鋼表面に析出させず、残留する有機酸によって炭素鋼の部材が溶解する条件を維持し、この状態でニッケル(Ni)イオンを含むNi皮膜形成原料(例えば、ギ酸ニッケル)を添加し、続いてNiイオンを還元する還元剤(例えば、ヒドラジン)を添加する。これにより、炭素鋼部材の表面にNiを含む皮膜(Ni金属皮膜)を形成する。続いて、残留するNiイオンとギ酸及びヒドラジンを浄化後、貴金属(例えば、ヘキサヒドロキソ白金酸ナトリウム(Na[Pt(OH)]))とヒドラジンを添加する。これにより、先に形成したNi金属皮膜の表面に、貴金属(Pt)粒子を付着させる。
炭素鋼の試験片に、上述した方法でNi金属皮膜を形成し、このNi金属皮膜にPtを付着させて、BWR水質環境において500時間のCo‐60付着試験を実施した。比較対象として、炭素鋼の研磨試験片を用い、これを「試験片A」とし、上述した方法で放射性物質付着抑制皮膜を形成した試験片を「試験片B」とした。
試験片A及び試験片Bに形成された皮膜について調べた。図1は、試験片Aおよび試験片Bのレーザーラマンスペクトルを示すグラフである。図2に示すように、試験片Aからはマグネタイト(Fe)のピークが観測されることから、マグネタイトが形成されていることがわかる。一方、試験片Bからはニッケルフェライト(NiFe)のピークが観測され、炭素鋼の表面に形成したNi金属皮膜がニッケルフェライトに変化していることがわかる。すなわち、Ni金属皮膜に貴金属粒子を付着させた後、高温の炉水にさらすことで、Ni金属皮膜がNiフェライト皮膜に変化することがわかる。
図2は炭試験片Aと試験片BのCo‐60付着量を示すグラフである。図2に示すように、放射性物質付着抑制皮膜付きの炭素鋼試験片Bは、放射性物質付着抑制皮膜の付いていない試験片Aと比較してCo‐60付着量が抑制されていることがわかる。また、Ptを付着させないNiフェライト皮膜だけでは、試験片Aと同じCo‐60付着量であり、Pt粒子が皮膜への放射性物質の付着を抑制する効果も確認した。これは、Niフェライト皮膜のみでは、皮膜中に放射性物質(Co‐60)が取り込まれてしまうが、Pt等の貴金属粒子がある場合には、Niが放射性物質に優先してNiフェライト皮膜中に取り込まれるため、Niフェライト皮膜中への放射性核種の取り込みが抑制されるためであると考えられる。
このPtが付着したNiフェライト皮膜が形成された炭素鋼部材の表面状態を実機で実現しようとした場合、供用中のプラントでは既に放射性物質を取り込んだ酸化皮膜が形成されているため、これが邪魔になる。この酸化皮膜を除去しなければ、十分な放射性核種の付着抑制効果が得られない。そこで、Ni金属皮膜形成とその皮膜への貴金属付着処理は、炭素鋼部材の表面に形成された酸化皮膜を除去する化学除染の後に実施する必要がある。しかし、炭素鋼部材の化学除染にシュウ酸を用いると、上述したようにシュウ酸鉄(II)が炭素鋼部材の表面に形成されるため、その後にNi金属皮膜と貴金属付着処理を行っても、プラント再起動に伴う温度上昇時にシュウ酸鉄(II)のシュウ酸部分が高温で熱分解してしまう。このため、シュウ酸鉄(II)の上に皮膜を形成しても、下地が熱分解することでNi金属皮膜が剥離する可能性がある。このため、化学除染の終了時にシュウ酸鉄(II)を形成しない化学除染方法と、その後のNi金属皮膜形成及び貴金属付着処理とを組み合わせる必要がある。
そこで、本発明者らは、Ni金属皮膜形成原料であるギ酸ニッケルを作る際に使用するギ酸に着目した。シュウ酸とギ酸を共存させた水溶液を還元除染剤として使用した場合、炭素鋼部材を構成する鉄は、シュウ酸の他、ギ酸によっても溶解される。シュウ酸とギ酸が共存する状態で鉄濃度が増加してくると、シュウ酸鉄(II)が析出してくるが、続く還元除染剤分解工程では、ギ酸よりもシュウ酸の方が分解し易いため、先にシュウ酸が溶液から消失し、除染剤中にギ酸だけが存在する状態を形成することができる。
図3はシュウ酸及びギ酸の混合溶液を、Ru添着活性炭触媒で分解した際のシュウ酸及びギ酸の濃度の経時変化を示すグラフである。この図は、シュウ酸が先に分解してギ酸だけが残る状態が分解開始後2.5時間以降に現れること示している。この状態で還元除染剤の分解を停止すると、ギ酸によってシュウ酸鉄(II)及び炭素鋼部材の溶解が生じ、炭素鋼部材の表面からシュウ酸鉄(II)を除去することができる。
このようにして、炭素鋼部材の表面にシュウ酸鉄(II)が存在しない状態を形成した後、ギ酸が残留している溶液中にNi金属皮膜形成原料であるギ酸ニッケルを添加し、ニッケルイオンの還元剤としてヒドラジンを添加する。ヒドラジンによって溶液のpHが増加してギ酸による炭素鋼の溶解が停止すると、ニッケルイオンと炭素鋼部材中の鉄とのイオン化傾向の差により鉄イオンが溶解してNiイオンが析出する反応が生じる。加えて、ニッケルイオンがヒドラジンによってニッケル金属に還元されて、炭素鋼部材の表面に付着してニッケル皮膜の形成を促進する。
上述した本発明に係る原子力プラントを構成する部材の放射性物質付着抑制皮膜形成方法をまとめると、還元除染剤であるシュウ酸にギ酸等のシュウ酸よりも分解速度が遅い有機酸を供給して還元除染を実施し、還元除染剤分解時にシュウ酸を分解して、他の有機酸の一部を残留させることで炭素鋼部材表面が露出した状態(シュウ酸鉄(II)の皮膜が形成されない状態)とし、この状態でNi金属皮膜形成原料としてギ酸ニッケルとヒドラジンを添加することでNi金属皮膜を形成し、Ni金属皮膜形成溶液を浄化した後、貴金属(Ptイオン)とヒドラジンを添加することで、Ni金属皮膜に貴金属粒子を付着させる。プラント再稼働後、Ni金属皮膜が高温の炉水に接触することでNiフェライト皮膜に変化し、放射性物質付着抑制皮膜が形成される。この皮膜は、Niフェライト皮膜によって部材の腐食を防止し、かつ皮膜に付着された貴金属粒子によって、Niフェライト皮膜への放射性物質の付着を抑制することができるものである。
上述した特許文献2は、ニッケルイオン及びギ酸を含む薬液を、循環配管内に流れる皮膜形成水溶液に注入し、この皮膜形成水溶液をBWRプラントの炭素鋼製の配管に供給し、配管の内面にニッケル金属皮膜を形成し、ニッケル金属皮膜が形成された後、鉄(II)イオン、ギ酸、ニッケルイオン、過酸化水素及びヒドラジンを含む皮膜形成水溶液を給水配管に供給し、配管内でニッケル金属皮膜の表面にニッケルフェライト皮膜を形成している。その後、酸素を含む150℃以上の水をニッケルフェライト皮膜に接触させ、ニッケル金属皮膜をニッケルフェライト皮膜に変換し、炭素鋼配管の内面に厚みの厚いニッケルフェライト皮膜が形成することによって炭素鋼の腐食を抑制する方法が記載されている。ニッケル金属皮膜を形成する際に接触させている炉水には放射性物質が含まれているため、この工程で形成されるニッケルフェライト皮膜には、放射性物質が取り込まれてしまう。一方、本発明は、Ni金属皮膜に放射性物質の付着を抑制する貴金属粒子を付着させているから、Ni皮膜を炉水にさらしてニッケルフェライト皮膜に変換する際に、皮膜に放射性物質が取り込まれることはない。
上述した特許文献3に記載の皮膜は、フェライト皮膜に貴金属粒子が付着したものであるが、還元除染剤の分解工程においてシュウ酸が残存しているため、原子力プラント再稼働後も放射性物質の付着を抑制することが可能な放射性物質付着抑制皮膜を保持することは難しい。
本発明において、還元除染剤として用いる有機酸は、シュウ酸よりも分解速度が遅いものを用いることができる。具体的には、ギ酸およびマロン酸が好ましい。これらの有機酸は、Ni金属皮膜形成原料に含まれる構造を有するものであることが好ましい。また、還元剤分解工程において容易に分解可能な、比較的単純な構造を有するものであることが好ましい。これらを考慮すると、Ni金属皮膜形成原料としてギ酸ニッケルを用いる場合、有機酸としてギ酸を用いることが好ましい。
シュウ酸及び有機酸を用いた還元除染工程前の化学除染は、酸化除染及び還元除染のうちの少なくとも一方を任意の回数実施することができる。これらの回数は、目標とする除染の程度等に応じて自由に組み合わせることができる。
以下、本発明について、実施例に基づいてさらに詳細に説明する。
図4は実施例1に係る放射性物質付着抑制皮膜の形成方法の一例を示すフローチャートである。また、図5は本発明に係る放射性物質付着抑制皮膜の形成方法が適用される原子力プラントの全体構成を示す模式図であり、図6は図5の放射性物質付着抑制皮膜形成装置の詳細な構成を示す模式図である。本実施例は、沸騰水型原子力発電プラント(BWRプラント)に本発明に係る放射性物質付着抑制皮膜の形成方法を適用した例である。以下、BWRプラントの概略構成について、図5及び6を用いて説明する。
図5において、BWRプラントは、大きく分けると原子炉49、タービン56及び復水器57を有し、再循環系、給水系及び原子炉水浄化系等を構成する配管及び装置を備えている。原子炉格納容器11内に設置された原子炉49は、炉心51を内蔵する原子炉圧力容器50(Reactor Pressure Vessel、以下「RPV」と称する。)を有し、RPV50内にはジェットポンプ52が設置されている。複数の燃料集合体(図示せず)が炉心51に装荷されている。核燃料集合体は、核燃料物質で製造された複数の燃料ペレットを充填した複数の燃料棒を含んでいる。
再循環系は、ステンレス鋼製の再循環系配管54と、再循環系配管54に設置された再循環ポンプ53を有する。
給水系は、復水器57とRPV50とを連絡する給水配管58に、復水ポンプ59、復水浄化装置60、低圧給水加熱器61、給水ポンプ63及び高圧給水加熱器62を復水器57からRPV50に向かってこの順番に設置して構成されている。復水器57と復水ポンプ59との間の給水配管58には、水素注入装置66が接続されている。給水配管58には、復水浄化装置60をバイパスするバイパス配管65が接続されている。
原子炉水浄化系は、再循環系配管54と給水配管58とを連絡する浄化系配管67に、浄化系ポンプ68、再生熱交換器69、非再生熱交換器70及び炉水浄化装置71を設置して構成されている。浄化系配管67は、再循環ポンプ53より上流で再循環系配管54に接続されている。
RPV50内の冷却水は、再循環ポンプ53で昇圧され、再循環系配管54を通ってジェットポンプ52のノズル(図示せず)からジェットポンプ52のベルマウス(図示せず)内に噴出される。このノズルの周囲に存在する炉水も、ノズルから噴出される噴出流の作用により、ベルマウス内に吸引される。ジェットポンプ52から吐出された炉水は、炉心51に供給され、燃料棒内の核燃料物質の核分裂で発生する熱によって加熱される。加熱された炉水の一部が蒸気になる。この蒸気は、RPV50から主蒸気配管55を通ってタービン56に導かれ、タービン56を回転させる。タービン56に連結された発電機(図示せず)が回転され、電力が発生する。タービン56から排出された蒸気は、復水器57で凝縮され、水になる。
この水は、給水として給水配管58を通り、RPV50内に供給される。給水配管58を流れる給水は、復水ポンプ59で昇圧され、復水浄化装置60で不純物が除去され、給水ポンプ63でさらに昇圧され、低圧給水加熱器61及び高圧給水加熱器62で加熱される。抽気配管64で主蒸気配管55、タービン56から抽気された抽気蒸気は、低圧給水加熱器61及び高圧給水加熱器62にそれぞれ供給され、給水の加熱源となる。
図5に記載した放射性物質付着抑制皮膜形成装置1を用いて、本実施例に係る原子力プラントの構成部材への放射性物質付着抑制皮膜形成処理を行う。放射性物質付着抑制皮膜形成装置1は、原子力プラントの稼働停止中に浄化系配管67に取り付けられ、皮膜の形成処理が終了した後は撤去可能な構成を有する。以下に、本実施例において用いられる放射性物質付着抑制皮膜形成装置1の詳細な構成を、図6を用いて説明する。
図6に示すように、放射性物質付着抑制皮膜形成装置1は、大きく分けると循環配管2、pH調整剤注入装置12、過酸化水素注入装置7(酸化剤供給部)、内部に加熱器19を設置したサージタンク17、循環ポンプ20、26、フィルタ21、分解装置25、陽イオン(カチオン)交換樹脂塔23、混床樹脂塔24及びホッパ5を備えている。
循環配管2には、開閉弁27、循環ポンプ20、弁28,29,30,31、サージタンク17、循環ポンプ26、弁32及び開閉弁33が、上流より、この順に設けられている。
弁28をバイパスして循環配管2に接続された配管34には、弁35及びフィルタ21が設置されている。循環配管2には、弁29をバイパスする配管36が接続されている。配管36には、冷却器22及び弁37が設置されている。両端が循環配管2に接続されて弁30をバイパスする配管38には、陽イオン交換樹脂塔23及び弁40が設置されている。両端が配管38に接続されて陽イオン交換樹脂塔23及び弁40をバイパスする配管39には、混床樹脂塔24及び弁41が設置されている。陽イオン交換樹脂塔23は、内部に、陽イオン交換樹脂を充填した樹脂層を有している。混床樹脂塔24は、内部に、陽イオン交換樹脂及び陰イオン交換樹脂を充填した樹脂層を有している。
さらに、循環配管2には、弁43及び分解装置25が設置される配管42が弁31をバイパスして接続される。分解装置25の内部には、例えば、ルテニウムを活性炭の表面に添着した活性炭触媒が充填されている。サージタンク17は、弁31と循環ポンプ26との間で循環配管2に設置されている。
pH調整剤注入装置12は、薬液タンク13、注入ポンプ14及び注入配管16を有する。薬液タンク13は、注入ポンプ14及び弁15を有する注入配管16によって循環配管2に接続されている。薬液タンク13には、pH調整剤であるヒドラジンが貯留されている。循環配管2において、注入配管16が循環配管2に接続されている部位と開閉弁35との間には、pH計83が設置されている。
過酸化水素注入装置7(酸化剤供給部)は、薬液タンク8、注入ポンプ9、注入配管44及び注入配管84を有する。薬液タンク8は、注入ポンプ9及び弁45を有する注入配管44によって分解装置25の上流において配管42に接続されている。薬液タンク8は、酸化剤(例えば、過酸化水素またはオゾン)を貯留している。注入配管84は、弁85を有し、注入ポンプ9と弁45との間の注入配管44に接続され、他の一端は、弁32とpH計83との間にて循環配管2に接続されている。
サージタンク17の上端部には、配管75が接続されている。配管75は、循環ポンプ26と弁32との間で循環配管2に接続されている。配管75には、弁3及びエゼクタ4が設置されている。エゼクタ4には、ホッパ5が接続されている。循環配管2のpH計83と開閉弁33との間及び開閉弁27と循環ポンプ20との間には、弁46を設けた配管47の両端部が接続されている。ホッパ5は、過マンガン酸カリウム等の酸化除染剤又はシュウ酸等の還元除染剤を、循環配管2を流れる液に添加するための薬剤供給部である。この薬剤供給部は、酸化除染剤を添加する場合は、酸化除染剤供給部とも呼ぶ。一方、還元除染剤を添加する場合は、還元除染剤供給部とも呼ぶ。
分解装置25は、シュウ酸を始めとする有機酸及びpH調整剤のヒドラジンを分解できる構成を有している。つまり、化学除染に使用する薬剤としては、廃棄物量の低減化を考慮して水及び二酸化炭素に分解できる有機酸または無害な気体として放出可能で廃棄物を増やさないヒドラジンを用いている。
図5において、RPV50内の冷却水は、炉心51に装荷された燃料集合体に含まれる核燃料物質の核分裂に伴って発生する放射線の照射を受けて放射線分解を起こし、過酸化水素及び酸素などの酸化性化学種を生ずる。この酸化性化学種によって、冷却水と接触する原子力プラントの構成部材の腐食電位が上昇する。このため、BWRプラントでは、応力腐食割れに対する環境緩和対策として、水素注入装置66から給水に水素を注入して、この水素と冷却水に含まれる過酸化水素及び酸素などの酸化性化学種を反応させることによって、冷却水の酸化性化学種濃度を低減させ、原子力プラントの構成部材の腐食電位を低下させる運転が行われている。
BWRプラントにおいて、この給水に水素を注入しながら行う運転を、水素注入水質(HWC:Hydrogen Water Chemistry)運転といい、BWRプラントにおいて水素注入を行わない運転を、通常水質(NWC:Normal Water Chemistry)運転という。水素注入により腐食電位を低下させるBWRプラントの運転は、水素注入を運転中継続することが望ましいが、水素注入が中断される場合があり、この水素注入が中断されている場合におけるBWRプラントの運転は、NWC運転であり、原子力プラント構成部材の腐食電位は高い状態になる。
再循環系配管54内を流れる炉水の一部は、浄化系ポンプ68の駆動によって浄化系配管67内に流入し、再生熱交換器69及び非再生熱交換器70を通って冷却され、炉水浄化装置71によって不純物を取り除かれる。浄化された炉水は、再生熱交換器69で加熱されて浄化系配管67及び給水配管58を経てRPV50内に戻される。
BWRプラントは、1つの運転サイクルの運転が終了した後に停止される。この運転停止後に、BWRプラントに対して定期検査が実施される。この定期検査が終了した後、BWRプラントが再度起動される。この定期検査の期間中において、炉心51内の一部の燃料集合体が新燃料集合体と交換される。すなわち、炉心51内の一部の燃料集合体が、使用済燃料集合体としてRPV50から取り出され、燃焼度0GWd/tの新燃料集合体が炉心51に装荷される。BWRプラントの運転停止後で定期検査での各機器の点検を実施する前に、BWRプラントの配管等に対する皮膜形成処理が実施される。
次に、図4〜6を用いて、本実施例に係る放射性物質付着抑制皮膜の形成方法について説明する。本実施例では、例えば、炭素鋼製の原子炉浄化系の浄化系配管67に設けられた浄化系ポンプ68、再生熱交換器69、非再生熱交換器70等の点検、保守作業が計画されている定期検査において、点検作業員または保守作業員の放射線被ばく低減のため、浄化系配管67に対して化学除染を実施する場合を想定している。このとき、浄化系配管67に対して、図4に示すステップS1〜S15の各工程が実施される。なお、以下においては、図5及び6の符号も使用して説明する。
運転を経験したBWRプラントでは、RPV50内の冷却水が流れる再循環系配管54及び浄化系配管67等の内面に、放射性物質を含む酸化皮膜が形成されており、この酸化皮膜が化学除染により除去される。本実施例の化学除染方法は、BWRプラントの炭素鋼部材を対象に行うものであり、炭素鋼製の配管である浄化系配管67等の内面から酸化皮膜を除去し、放射性物質付着抑制皮膜を形成する処理である。浄化系配管67に対する化学除染では、図5に示す放射性物質付着抑制皮膜形成装置1が用いられる。以下、各ステップについて詳述する。
(1)ステップS1:準備工程
初めに、放射性物質付着抑制皮膜形成装置1を、皮膜形成処理対象物である配管系、すなわち、運転が停止された原子力プラントの配管系に接続する準備工程(ステップS1)を実施する。放射性物質付着抑制皮膜形成装置1は仮設設備であり、放射性物質付着抑制皮膜形成装置1に接続された循環配管2の両端が、化学除染対象物である炭素鋼製の浄化系配管67に接続される。
BWRプラントの運転停止後に、例えば、再循環系配管54に接続されている浄化系配管67に設置されている弁171のボンネットを開放して循環配管2の一端を弁171のフランジに接続する。これにより、循環配管2の一端が浄化系ポンプ68の上流で浄化系配管67に接続される。他方、浄化系ポンプ68の下流側で浄化系配管67に設置された弁74のボンネットを開放して再生熱交換器69側を封鎖する。放射性物質付着抑制皮膜形成装置1の循環配管2の他端を弁74のフランジに接続する。これにより、循環配管2の一端が浄化系ポンプ68の下流で浄化系配管67に接続され、浄化系配管67及び循環配管2を含む閉ループが形成される。
放射性物質付着抑制皮膜形成装置1が浄化系配管67に接続された後で、後述するステップS2において循環ポンプ20,26を駆動する前に、循環配管2、サージタンク17及び弁171と弁74の間の浄化系配管67内に、水を充填する。この水は、例えば、サージタンク17から注入される。
(2)ステップS2:酸化除染工程
循環水の温度を調節し、酸化除染を実施する。まず、放射性物質付着抑制皮膜形成装置1の開閉弁27,33を閉じて、弁28,29,30,31,32及び46を開き、他の弁を閉じた状態で、循環ポンプ20,26を起動して、サージタンク17内の水を循環配管2内で循環させる。続いて、開閉弁27、33以外の弁の開閉を操作して循環配管につながる各配管のエア抜きを行う。エア抜き終了後、弁28,29,30,31,32及び46以外の弁は閉じ、開閉弁27,33を開き、他の弁を閉じた状態で、循環ポンプ20、26を運転したままにしておき、弁46を閉じてサージタンク17内の水を循環配管2及び浄化系配管67内で循環させる。そして、サージタンク17内に設置された加熱器19によって、循環配管2及び浄化系配管67内を循環する循環水を加熱し、循環水の温度を約90℃に調節する。
次に、弁3を開いて、ホッパ5内に投入された過マンガン酸カリウム(酸化除染剤)がエゼクタ4を通して配管75内に供給され、さらに、配管75内を流れる水によりサージタンク17内に導かれる。過マンガン酸カリウムがサージタンク17内で90℃の水に溶解し、酸化除染剤(過マンガン酸カリウム水溶液)が生成される。この酸化除染剤は、循環ポンプ26で昇圧され、サージタンク17から循環配管2を経て浄化系配管67内に供給される。酸化除染剤は、浄化系配管67の内面に形成されている酸化皮膜などの汚染物(放射性核種を含む)を酸化して溶解する(酸化除染工程)。この酸化除染工程において除去される酸化皮膜は、主にクロムを含む酸化皮膜(Cr酸化皮膜)である。
酸化除染が終了した後、ホッパ5内に投入されたシュウ酸が、エゼクタ4から配管75内を流れる酸化除染剤に供給され、サージタンク17内に導かれる。このシュウ酸によって、酸化除染剤に含まれている過マンガン酸イオンが分解される(酸化除染剤分解工程)。
(3)ステップS3:第1の還元除染工程
酸化除染剤分解工程の終了後に、酸化除染を行った浄化系配管67の内面に対する第1の還元除染工程が実施される。本実施例の化学除染方法における還元除染について、以下に詳細に説明する。
ステップS2の酸化除染剤分解工程において、ホッパ5内のシュウ酸を配管75内に供給し続けると、やがて過マンガン酸イオンが消失し、サージタンク17内でシュウ酸水溶液(還元除染剤)が生成される。このシュウ酸水溶液にpH調整剤を注入する。90℃のシュウ酸水溶液がサージタンク17から循環配管2を通して浄化系配管67に供給される。循環配管2を流れている90℃で溶存酸素が飽和しているシュウ酸水溶液に、pH調整剤であるヒドラジンがpH調整剤注入装置12により注入される。
具体的には、弁15を開いて注入ポンプ14を駆動する。この結果、薬液タンク13内のヒドラジンが注入配管16を通って循環配管2内に注入される。ヒドラジンの注入によって90℃のシュウ酸水溶液のpHが2から3までの範囲内(例えば、pH2.5)に調節される。シュウ酸水溶液のpHを2から3までの範囲内に調節することによって、炭素鋼製の浄化系配管67の過度の溶解が抑制される。ヒドラジンの循環配管2への注入量は、pH計83で測定された循環配管2内を流れるシュウ酸水溶液のpH測定値に基づいて制御される。具体的には、pH測定値が例えば2.5になるように、注入ポンプ14の回転速度(または弁15の開度)を制御することにより調節される。
循環ポンプ20、26が駆動されているため、90℃でpH2.5のシュウ酸水溶液が、化学除染対象物である浄化系配管67内に供給される。シュウ酸水溶液のシュウ酸濃度は2000ppmである。このシュウ酸水溶液が浄化系配管67の内面に接触すると、浄化系配管67の内面に付着している酸化皮膜がシュウ酸によって溶解される。この還元除染工程において除去される酸化皮膜は、主にFe酸化皮膜である。酸化皮膜には、放射性核種を含む腐食生成物が含まれている。酸化皮膜に含まれるFe(II)の溶解または浄化系配管を構成する炭素鋼の溶解によって生じたFe2+の一部は、シュウ酸イオンと結合して、シュウ酸鉄(II)の沈殿物を形成する。
つぎに、陽イオン交換樹脂塔23への通水を行う。酸化除染剤分解工程が終了した後、弁40を開いて弁30の開度を調節し、浄化系配管67から循環配管2に排出され戻されたシュウ酸水溶液の一部が、陽イオン交換樹脂塔23に供給され、陽イオン交換樹脂塔23内の陽イオン交換樹脂と接触する。浄化系配管67の還元除染によりシュウ酸水溶液に溶出した放射性核種(例えば、Co‐60)及びFe2+等の金属陽イオンが、陽イオン交換樹脂塔23内の陽イオン交換樹脂に吸着されて除去される。
陽イオン交換樹脂塔23で金属陽イオンが除去されたシュウ酸水溶液は、弁30を通過したシュウ酸水溶液と混合され、サージタンク17内に導かれる。90℃でpH2.5のシュウ酸水溶液が、循環配管2から浄化系配管67に供給される。このシュウ酸水溶液は、浄化系配管67及び循環配管2で形成される閉ループ内を循環することにより、浄化系配管67の内面において還元除染剤(還元除染の媒体)として作用する。還元除染が行われている間、シュウ酸水溶液の一部は、陽イオン交換樹脂塔23に導かれ、シュウ酸水溶液に含まれる金属陽イオンが陽イオン交換樹脂塔23で除去される。
(4)ステップS4:第1の還元除染剤分解工程
浄化系配管67(除染対象部)の線量率低下傾向が収まったところで(言い換えると、線量率がほぼ一定値となったところで)、次のステップである第1の還元除染剤分解工程に移行する。線量率低下傾向が収まった時点は、例えば、線量率の低下速度が前の1時間に比べて1/10以下になった時点とする。この線量率の下げ止まりは、シュウ酸によって溶解された酸化皮膜、或いは炭素鋼部材から溶解したFe2+がシュウ酸と結合し、配管の表面を被覆し、放射性核種を含む酸化皮膜の溶解が抑制されたことによる。
還元除染剤の分解に当たっては、弁43を開いて、弁31を閉じ、分解装置25に還元除染剤を通水する。弁45を開いて注入ポンプ9を起動し、タンク8の過酸化水素を分解装置25の直前で循環水に注入する。分解装置25では循環水に残っているシュウ酸及びヒドラジンが過酸化水素と触媒の作用で分解される。ヒドラジンはシュウ酸よりも早く分解される。シュウ酸濃度が10ppmに低下したとき、シュウ酸の分解が終了する。シュウ酸の分解が終了した後、注入ポンプ9を停止して弁45を閉じ、薬液タンク8から分解装置25への過酸化水素の供給を停止する。さらに、弁31を全開にして弁43を閉じる。
(5)ステップS5:第1の浄化工程
シュウ酸及びヒドラジンの分解後、加熱器19への通電を停止し、加熱器19によるシュウ酸水溶液の加熱を停止し、弁35、37、41を開き、弁28、29、30を閉じる。循環配管2からポンプ20に流入したシュウ酸水溶液は、配管34を通ってフィルタ21に供給される。フィルタ21では、シュウ酸水溶液に含まれた微細な固形物が除去される。フィルタ21から排出されたシュウ酸水溶液は、冷却器22で冷却され、シュウ酸水溶液の温度が、例えば、60℃になるまで冷却される。60℃になったシュウ酸水溶液は、混床樹脂塔24に供給される。混床樹脂塔24は、シュウ酸水溶液に含まれる不純物(陰イオン等)及び残存しているシュウ酸を除去する。これにより、混床樹脂塔24から排出された水溶液の導電率が低下する。この水溶液のシュウ酸濃度及びヒドラジン濃度を分析し、それぞれの濃度が所定値より下がったことを確認した後、循環ポンプ20、26を停止する。これにより、浄化工程S5が終了する。
酸化除染工程S2〜第1の浄化工程S5は、任意の回数繰り返して実施することができる。例えば、酸化除染工程S2〜第1の浄化工程S5の除染回数を3回とした場合は、S2〜S5の各工程を2回繰り返した後、ステップS6における判断でS2に戻り、3回目の最終除染を実施する。
(6)ステップS7:酸化除染工程
上記S2〜S6の除染工程が終了した後、酸化除染工程に移行する。酸化除染工程S7は、S2と同様に実施し、酸化除染開始から所定の時間経過後に第2の還元除染工程S8に移行する。
(7)ステップS8:第2の還元除染工程
第1の還元除染工程S3では、還元除染剤としてシュウ酸水溶液を用いたが、本工程では還元除染剤として、シュウ酸と、シュウ酸よりも分解速度が遅い他の有機酸の混合水溶液を用いる。還元除染剤が異なるため、本実施例では、シュウ酸に加えて有機酸を混合した還元除染剤を用いて実施する本工程を「第2の還元除染工程」と称し、第1の還元除染工程と区別している。他の有機酸としては、後述する第2の還元除染剤分解工程S9において、シュウ酸分解後も還元除染剤中に残存することが可能な有機酸を用いる。具体的には、ギ酸又はマロン酸が好ましい。以下では、ギ酸を用いる工程について説明する。
S8において、ホッパ5内のシュウ酸を配管75内に供給し続けると、やがて過マンガン酸イオンが消失し、続いてシュウ酸とギ酸をホッパ5に供給して配管75内に供給し続けると、サージタンク17内でシュウ酸‐ギ酸水溶液(還元除染剤)が生成される。
このシュウ酸‐ギ酸水溶液にpH調整剤を注入する。90℃のシュウ酸水溶液がサージタンク17から循環配管2を通して浄化系配管67に供給される。循環配管2を流れている90℃で溶存酸素が飽和しているシュウ酸‐ギ酸水溶液に、pH調整剤であるヒドラジンがpH調整剤注入装置12により注入される。
具体的には、弁15を開いて注入ポンプ14を駆動する。この結果、薬液タンク13内のヒドラジンが注入配管16を通って循環配管2内に注入される。ヒドラジンの注入によって90℃のシュウ酸水溶液のpHが2〜3までの範囲内(例えば、pH2.5)に調節される。シュウ酸水溶液のpHを2〜3までの範囲内に調節することによって、炭素鋼製の浄化系配管67の過度の溶解が抑制される。ヒドラジンの循環配管2への注入量は、pH計83で測定された循環配管2内を流れるシュウ酸水溶液のpH測定値に基づいて、このpH測定値が例えば2.5になるように、注入ポンプ14の回転速度(または弁15の開度)を制御することにより調節される。
循環ポンプ20、26が駆動されているため、90℃でpH2.5のシュウ酸水溶液が、化学除染対象物である浄化系配管67内に供給される。シュウ酸‐ギ酸水溶液のシュウ酸濃度は500ppm、ギ酸1000ppmである。このシュウ酸‐ギ酸水溶液が浄化系配管67の内面に接触すると、浄化系配管67の内面に付着している酸化皮膜がシュウ酸‐ギ酸によって溶解される。酸化皮膜には、放射性核種を含む腐食生成物が含まれている。第1の還元除染工程では、除染剤としてシュウ酸を単独で用いたが、この場合、酸化皮膜に含まれるFe(II)の溶解または浄化系配管の炭素鋼の溶解によって生じたFe2+の一部は、シュウ酸イオンと結合して、シュウ酸鉄(II)の沈殿物を形成する。しかしながら、第2の還元除染工程S8ではギ酸も存在するため、シュウ酸鉄(II)が溶解し、部材表面へのシュウ酸鉄(II)皮膜の形成は抑制される。
次に、陽イオン交換樹脂塔23への通水を行う。酸化除染が終了した後、弁40を開いて弁30の開度を調節し、浄化系配管67から循環配管2に排出され戻されたシュウ酸‐ギ酸水溶液の一部が、陽イオン交換樹脂塔23に供給され、陽イオン交換樹脂塔23内の陽イオン交換樹脂と接触する。浄化系配管67の還元除染によりシュウ酸‐ギ酸水溶液に溶出した放射性核種(例えば、Co‐60)及びFe2+等の金属陽イオンが、陽イオン交換樹脂塔23内の陽イオン交換樹脂に吸着されて除去される。
陽イオン交換樹脂塔23で金属陽イオンが除去されたシュウ酸‐ギ酸水溶液は、弁30を通過したシュウ酸‐ギ酸水溶液と混合され、サージタンク17内に導かれる。90℃でpH2.5のシュウ酸‐ギ酸水溶液が、循環配管2から浄化系配管67に供給される。このシュウ酸‐ギ酸水溶液は、浄化系配管67及び循環配管2で形成される閉ループ内を循環することにより、浄化系配管67の内面において還元除染の媒体として作用する。還元除染が行われている間、シュウ酸‐ギ酸水溶液の一部は、陽イオン交換樹脂塔23に導かれ、シュウ酸‐ギ酸水溶液に含まれる金属陽イオンが陽イオン交換樹脂塔23で除去される。
(8)ステップS9:第2の還元除染剤分解工程
配管線量率が設定線量率以下になるか、所定の還元除染時間が経過したところで、次の第2の還元除染剤分解工程(還元除染剤一部分解工程(ステップS9))に移行する。還元除染剤の一部分解に当たっては、弁43を開いて、弁31を閉じ、分解装置25にシュウ酸‐ギ酸還元除染剤を通水する。弁45を開いて注入ポンプ9を起動し、タンク8の過酸化水素を分解装置25の直前で循環水に注入する。分解装置25では、循環水に残っているシュウ酸、ギ酸及びヒドラジンが過酸化水素と触媒の作用で分解される。ヒドラジンはシュウ酸よりも早く分解され、シュウ酸はギ酸よりも早く分解される。分解工程での系統水中に含まれるシュウ酸及びギ酸の濃度は、例えばサンプリング水をイオンクロマトグラフで分析することができる。シュウ酸濃度が10ppmに低下したとき、シュウ酸‐ギ酸還元除染剤の分解を終了する。このとき、ギ酸はシュウ酸の10倍以上の濃度で残留している。このギ酸の存在によって炭素鋼部材の表面の溶解は継続するため、部材の表面にシュウ酸鉄(II)が形成されることは無い。
(9)ステップS10:Ni金属皮膜形成原料添加工程
S9においてシュウ酸が10ppm以下になったところで、次のNi金属皮膜形成原料添加工程へ移行する(ステップS10)。本工程では、Ni金属皮膜形成原料の添加に備え、過酸化水素の注入を停止すると共に陽イオン交換樹脂塔23と分解装置25はバイパスする。具体的には弁30、弁31を開き、弁40、弁43を閉じる。
Ni金属皮膜形成原料としては、部材の表面にNi金属皮膜を形成することができるものを用いる。本実施例では、第2の還元除染工程において還元除染剤としてギ酸を用いているので、ギ酸を含むギ酸ニッケルを用いると、皮膜の形成効率が高くなる。
ギ酸ニッケルは粉末の試薬であるが、溶解時のNiとギ酸のモル比が1:1.2程度になるようなギ酸水溶液に添加すると、ギ酸ニッケルの粉末は溶解する。このギ酸ニッケル水溶液をホッパ5から添加する。目標濃度としては、例えばNi濃度で200ppmとする。
(10)ステップS11:還元剤添加工程
続いて、次の還元剤添加工程(ステップS11)へ移行する。本実施例では、還元剤としてヒドラジンを用いる。還元剤添加工程では、処理液のpHを指標にヒドラジン注入量を制御する。具体的には、弁15を開いて注入ポンプ14を駆動する。この結果、薬液タンク13内のヒドラジンが注入配管16を通って循環配管2内に注入される。ヒドラジンの注入によって90℃のギ酸ニッケル水溶液のpHを6〜8までの範囲内(例えば、pH7)に調節する。
循環ポンプ20、26が駆動されているため、90℃でpH6〜8のギ酸ニッケル水溶液が、皮膜形成の対象物である浄化系配管67内に供給される。このヒドラジンでpH7に調整されたギ酸ニッケル水溶液が浄化系配管67の内面に接触すると、炭素鋼製の浄化系配管67の表面でNiイオンが還元され、浄化系配管67の内面にNi皮膜が形成される。
ヒドラジンの循環配管2への注入量は、pH計83で測定された循環配管2内を流れるギ酸ニッケル水溶液のpH測定値に基づいて、このpH測定値が6〜7なるように、注入ポンプ14の回転速度(または弁15の開度)を制御することにより調節される。Ni金属皮膜の形成を所定時間(例えば、4時間)実施した後、次の工程に移行する。
(11)ステップS12:第2の浄化工程
第2の浄化工程(ステップS12)では、化学除染及び皮膜の形成に関与したシュウ酸、ギ酸及びヒドラジンを分解し、浄化する。具体的な手順として、弁40を開いて弁30を閉じ、循環水を陽イオン交換樹脂塔23に通水する。続いて弁43を開いて弁31を閉じ、循環水を触媒が充填された分解装置25に通水する。続いて、弁45を開いてポンプ9を駆動し、分解装置25に流れ込む循環水にタンク8内の過酸化水素を注入する。これにより、Niイオンが陽イオン交換樹脂塔23で除去され、ギ酸とヒドラジンが分解装置25で過酸化水素の分解反応に伴って水と二酸化炭素と窒素に分解される。分解は、ギ酸とヒドラジンがそれぞれ10ppm以下になるまで継続する。サンプリング水中のギ酸とヒドラジンが10ppm以下になったところで加熱器19をオフにし、弁37を開けて弁29を閉め循環水を冷却器22に通水して60℃以下にする。60℃以下になった循環水を混床樹脂塔24に通水して浄化するため、弁41を開けて弁30、弁40を閉める。浄化はシュウ酸、ギ酸及びヒドラジンがそれぞれ例えば1ppm以下になるまで継続する。浄化終了後、弁29、弁30を開いて弁37、弁41を閉じ、次の貴金属添加工程(ステップS13)に移行する。
(12)ステップS13:貴金属添加工程
貴金属添加工程(ステップS13)では、貴金属として白金(Pt)を用いる。本工程では、加熱器19をオンにして循環水の温度を例えば60℃になるように維持する。続いてPtの目標濃度(例えば、1ppm)に必要な白金イオンを含む薬剤(例えば、Na[Pt(OH)])を含む水溶液を、ホッパ5からエゼクタ4を介して配管75を通してサージタンク17内の循環水に供給する。ポンプ26及びポンプ20が稼働状態にあるので、サージタンク17で調整されたPtイオンを含む溶液はNi金属皮膜を形成された炭素鋼配管を含めた系統中を循環する。Pt溶液注入終了後、次の還元剤添加工程(ステップS14)へ移行する。
(13)ステップS14:還元剤添加工程
還元剤添加工程(ステップS14)では、所定のヒドラジン濃度、例えば10ppmになる量をpH調整剤注入装置12から注入する。注入したヒドラジンは、循環水中に既に存在するPtイオンを還元し、金属に還元されたPt粒子は循環配管や浄化系炭素鋼配管の表面に析出する。炭素鋼配管には既にNi金属皮膜が形成されているので、Pt粒子はこのNi金属皮膜の表面に付着する。
(14)ステップS15:第3の浄化工程
Pt粒子付着処理終了後は、廃液の浄化を行う。浄化は混床樹脂塔24を使用する。加熱器19をオフにし、弁41を開け、弁30を閉じることで浄化が開始される。循環水の導電率、pH及び不純物濃度が排水基準を満たしたところで、浄化を終了する。最後の浄化工程終了時において循環配管2及び浄化系配管67内に残留する水は、廃液となり、これらの配管外に排出される。その後、開閉弁27、33を閉じ、弁46を開いて、循環配管2及び配管47内に水を充填し、循環ポンプ20、26を駆動する。循環配管2及び配管47で形成される閉ループ内を循環し、循環配管2等の内面を洗浄する。
洗浄終了後、循環配管2及び配管47内の水は廃液となり、これらの配管外に排出される。これにより、循環配管2、浄化系配管67及び配管47から排出された上記の各廃液は、放射性廃液として処理される。第3の浄化工程終了後、循環配管2が浄化系配管67から取り外され、浄化系配管67が元の状態に復旧される。そして、定期検査終了後にBWRプラントが起動される。BWRプラント起動後、浄化系配管67の表面に形成されたNi金属皮膜は、高温の炉水にさらされることによって、Niフェライト皮膜に変換する。このNiフェライト皮膜が浄化系配管67の防食皮膜となる。さらに、Niフェライト皮膜に付着しているPt粒子が放射性物質の付着を防止する。
上述したように、本実施例によれば、最後の還元除染剤分解工程S9において、シュウ酸を分解した後にシュウ酸以外の有機酸が残存する状態を作り出すことで、炭素鋼表面へのシュウ酸鉄(II)の析出を抑制し、シュウ酸鉄(II)が析出していない炭素鋼表面の状態で、次の工程のNi金属皮膜形成を行うことができるので、炭素鋼配管に直接Ni金属皮膜を形成することができる。言い換えると、炭素鋼配管の表面とNi金属皮膜との間に、シュウ酸鉄(II)が介在することが無い。したがって、続くPt粒子付着処理で、炭素鋼表面に直接付着したNi金属皮膜にPtを付着させることができ、この炭素鋼、Ni金属皮膜及びPt付着粒子がこの順で積層された積層構造は、炭素鋼とNi金属皮膜の間にシュウ酸鉄(II)を挟まないので、BWR運転再開後の高温水通水時においてもシュウ酸鉄(II)の熱分解に起因するNi金属皮膜の剥離を誘発しない。このため、BWR運転再開後において炭素鋼、Ni金属皮膜(炉水に接触後、Niフェライト皮膜に変換)及びPt付着粒子の構造が維持され、放射性核種の再付着を抑制することができる。なお、本実施例では第2の還元除染工程S8においてシュウ酸にギ酸を添加していたが、ギ酸の代わりにマロン酸を添加したでも同様の効果を得ることができることを確認している。
本発明の他の好適な実施例である実施例2における炭素鋼部材の放射性物質付着抑制方法について、図7を用いて説明する。図7は実施例2に係る放射性物質付着抑制方法の一例を示すフローチャートである。本実施例は、実施例1と同様、沸騰水型原子力プラント(BWRプラント)に本発明に係る放射性物質付着抑制方法を適用した例である。
本実施例では、炭素鋼製の浄化系配管67の化学除染を行うとき、酸化除染と還元除染を1回ずつ行い、還元除染の際にはシュウ酸、ヒドラジンに加えてギ酸を添加しておく。これは、BWRの運転条件によっては複数サイクルの酸化還元除染を繰り返さなくとも、一回の酸化還元除染で線量が下がる場合があるので、そのような場合を想定した実施例である。すなわち、実施例1の図4に示すステップS1及びS7〜S15が実施され、実施例1のS2〜S6の工程が省略される。本実施例の化学除染及びその後のNi金属皮膜形成及びPt粒子付着処理は、実施例1で用いた放射性物質付着抑制皮膜形成装置1が用いられる。なお、以下においては、図5及び図6の符号も使用して説明する。
BWRプラントの運転停止時において、まず、放射性物質付着抑制皮膜形成装置1の循環配管2の両端部を実施例1と同様にRPV50に連絡される炉水浄化系配管67に接続する(S1)。
その後、実施例1のステップS7を実施する。つまり、実施例2では、このS7の酸化除染工程が、最後の酸化除染工程に相当する。酸化除染工程S7は、実施例1のS7と同様に、酸化除染開始から所定の時間経過後に、第2の還元除染工程S8に移行する。
次のステップS8では、これが最終の還元除染工程に相当するため、還元除染剤としてシュウ酸に加えギ酸を添加した除染剤を使用する。ステップS8において、ホッパ5内のシュウ酸を配管75内に供給し続けると、やがて過マンガン酸イオンが消失し、続いてシュウ酸とギ酸をホッパ5に供給して配管75内に供給し続けるとサージタンク17内でシュウ酸‐ギ酸水溶液(還元除染剤)が生成される。以降は、実施例1のS8と同様の手順で除染を実施する。還元除染開始後、配管線量が目標線量まで下がったことを確認し、次の第2の還元除染剤分解工程ステップS9を実施する。その他の手順は、実施例1と同様である。
本実施例は、実施例1による各効果を得ることができる。本実施例では、炭素鋼製の浄化系配管67の化学除染が1サイクルで完了する場合に適用でき、その場合は化学除染工程を短くした上でNi金属皮膜形成及びPt粒子付着処理ができるので、施工工程を短くした上で、実施例1と同様に、BWR運転再開後の放射性核種再付着抑制という効果を得ることができる。
本発明の他の好適な実施例である実施例3における放射性物質付着抑制皮膜の形成方法について、図8及び図9を用いて説明する。図8は実施例3に係る放射性物質付着抑制皮膜の形成方法の一例を示すフローチャートである。本実施例は、実施例1と同様、沸騰水型原子力プラント(BWRプラント)に本発明に係る放射性物質付着抑制皮膜の形成方法を適用した例である。
本実施例では、図8に示すステップS1〜S15が実施される。S1〜S8は実施例1と同様である。S9で、ギ酸を含有する還元除染剤を分解装置25に通水してギ酸、シュウ酸及びヒドラジンの分解を開始する。分解開始後、シュウ酸濃度が10ppmを下回るまでの間、還元除染剤の分解を継続するが、その時のpH計83の値が3を越える場合は、ギ酸が不足してpHが上昇していることを示しているので、pHが3を上回らないようにギ酸を添加する。ギ酸が不足してpH3を上回るとシュウ酸鉄(II)が析出してくるので、これを防ぐためにギ酸を添加するのである。
図9はpHとシュウ酸濃度及びギ酸濃度との関係を示すグラフである。ギ酸よりもシュウ酸の方が強い酸であるため、同じ濃度でもシュウ酸の方が低いpHを示す。シュウ酸の分解が進んで来て100ppmを下回ると、シュウ酸ではpH3を維持することができない。一方、ギ酸はシュウ酸よりも弱い酸であるため、同じpHを示す濃度はギ酸の方が高い濃度になる。図9に示すように、シュウ酸の分解が進んでシュウ酸濃度100ppmとなったところで溶液のpHを3以下に保つためには、ギ酸が300ppm以上必要である。
そこで、本実施例では、第2の還元除染剤分解工程S9において、還元除染剤中のシュウ酸濃度が10ppm未満であるか否かを判断し(S9a)、シュウ酸濃度が10ppm以上である場合、さらにpHが3より大きいか否かを判断し(S9b)、pHが3より大きい場合、ギ酸を添加する(S9c)。
還元除染剤の分解が進み、S9aにおいてシュウ酸濃度が10ppm未満となったところで、Ni金属皮膜形成のためのNi金属皮膜形成原料添加工程(S10)を行う。これ以降は、実施例1と同様である。
本実施例は、実施例1による各効果を得ることができる。本実施例では、シュウ酸及びギ酸の分解が進んでシュウ酸濃度10ppm未満であるか否かを逐次監視し、pHが、シュウ酸鉄(II)析出防止に有効なギ酸濃度を上回ったことをpH計83で判断し、速やかにギ酸を追加することができるので、シュウ酸鉄(II)の析出を確実に抑制することができる。これにより、炭素鋼の部材の表面に直接Ni金属皮膜を形成できるので、形成するPt粒子付きNi金属皮膜が運転再開後も部材との密着性を安定して維持できる。したがって、実施例1と同様に、BWR運転再開後の放射性核種の再付着を抑制する効果を得ることができる。
以上、説明したように、本発明によれば、運転停止中の原子力プラントを構成する部材の表面に、原子力プラント再稼働後も放射性物質の付着を抑制することが可能な放射性物質付着抑制皮膜を形成する方法を提供することができることが示された。
なお、本発明は上記した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施例は本発明を分かり易く説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えることが可能であったり、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることも可能である。また、各実施例の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
1…放射性物質付着抑制皮膜形成装置、2…循環配管、3,15,27,28,29,30,31,32,33,35,37,40,41,43,45,46,…弁、38,39…配管、4…エゼクタ、5…ホッパ、6…、7…過酸化水素注入装置、8,13…薬液タンク、9,14…注入ポンプ、11…原子炉格納容器、12…pH調整剤注入装置、16,44,84…注入配管、17…サージタンク、19…加熱器、20,26…循環ポンプ、21…フィルタ、22…冷却器、23…陽イオン交換樹脂塔、24…混床樹脂塔、25…分解装置、40,41,…弁、41…、49…原子炉、50…原子炉圧力容器、51…炉心、52…ジェットポンプ、53…再循環ポンプ、54…再循環系配管、55…主蒸気配管、56…タービン、57…復水器、58…給水配管、59…復水ポンプ、60…復水浄化装置、61…低圧給水加熱器、62…高圧給水加熱器、63…給水ポンプ、64…抽気配管、65…バイパス配管、66…水素注入装置、67…浄化系配管、68…浄化系ポンプ、69…再生熱交換器、70…非再生熱交換器、71…炉水浄化装置、74,171…弁、75…配管、83…pH計。

Claims (8)

  1. 原子力プラントを構成する部材を除染する化学除染工程と、前記化学除染工程の後の前記部材の表面に、放射性物質の付着を抑制することが可能な皮膜を形成する皮膜形成工程と、を有し、
    前記化学除染工程は、前記部材に酸化除染及び還元除染のうちの少なくとも一方を任意の回数実施した後に、シュウ酸と、前記シュウ酸よりも分解速度が遅い有機酸とを含む還元除染剤を用いて前記部材を除染する還元除染工程と、
    前記還元除染工程の後に、前記還元除染剤に含まれる前記シュウ酸が分解され、かつ、前記有機酸の一部が残存している状態まで前記還元除染剤を分解する還元除染剤分解工程と、を有し、
    前記皮膜形成工程は、前記還元除染剤分解工程の後の前記部材の表面にニッケルを含む皮膜を形成する工程と、前記ニッケルを含む皮膜に貴金属粒子を付着させる工程と、を有し、
    前記還元除染剤分解工程において、前記シュウ酸及び前記有機酸の濃度を測定し、前記シュウ酸の濃度が所定の値以下まで低下する前に前記有機酸の濃度が所定の値以下に低下した場合は、前記有機酸を添加して前記シュウ酸の濃度が所定の値以下になるまで前記還元除染剤の分解を行うことを特徴とする放射性物質付着抑制皮膜の形成方法。
  2. 原子力プラントを構成する部材を除染する化学除染工程と、前記化学除染工程の後の前記部材の表面に、放射性物質の付着を抑制することが可能な皮膜を形成する皮膜形成工程と、を有し、
    前記化学除染工程は、前記部材に酸化除染及び還元除染のうちの少なくとも一方を任意の回数実施した後に、シュウ酸と、前記シュウ酸よりも分解速度が遅い有機酸とを含む還元除染剤を用いて前記部材を除染する還元除染工程と、
    前記還元除染工程の後に、前記還元除染剤に含まれる前記シュウ酸が分解され、かつ、前記有機酸の一部が残存している状態まで前記還元除染剤を分解する還元除染剤分解工程と、を有し、
    前記皮膜形成工程は、前記還元除染剤分解工程の後の前記部材の表面にニッケルを含む皮膜を形成する工程と、前記ニッケルを含む皮膜に貴金属粒子を付着させる工程と、を有し、
    前記還元除染剤分解工程において、前記還元除染剤のpHの値を測定し、
    前記還元除染剤のpHの値が所定の値を上回った場合は、前記有機酸を添加して前記還元除染剤のpHの値を所定の値以下とし、前記シュウ酸が所定の濃度以下になるまで前記還元除染剤の分解を行うことを特徴とする放射性物質付着抑制皮膜の形成方法。
  3. 前記化学除染工程は、酸化除染剤として過マンガン酸イオンを含む水溶液を用いた酸化除染と、還元除染剤としてシュウ酸を含む水溶液を用いた還元除染とを任意の回数実施した後、過マンガン酸イオンを含む水溶液を用いた酸化除染を実施し、前記還元除染において用いた前記還元除染剤に、シュウ酸よりも分解速度が遅い有機酸を添加して前記還元除染工程を実施することを特徴とする請求項1または2に記載の放射性物質付着抑制皮膜の形成方法。
  4. 前記シュウ酸の所定の濃度は10ppmであり、前記有機酸の所定の濃度は100ppmであることを特徴とする請求項記載の放射性物質付着抑制皮膜の形成方法。
  5. 前記有機酸が、ギ酸又はマロン酸であることを特徴とする請求項1ないしのいずれか1項に記載の放射性物質付着抑制皮膜の形成方法。
  6. 前記ニッケルを含む皮膜がニッケル金属皮膜であり、
    前記貴金属粒子が白金粒子であることを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1項に記載の放射性物質付着抑制皮膜の形成方法。
  7. 前記皮膜形成工程において形成される前記ニッケルを含む皮膜はニッケル金属皮膜であり、
    前記ニッケル金属皮膜は、前記原子力プラントの再稼働後、炉水と接触することでニッケルフェライト皮膜を形成することを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1項に記載の放射性物質付着抑制皮膜の形成方法。
  8. 前記有機酸がギ酸であり、
    前記ニッケルを含む皮膜を形成する工程において、前記ニッケルを含む皮膜の原料としてギ酸ニッケルを添加することを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1項に記載の放射性物質付着抑制皮膜の形成方法。
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