JP4981713B2 - 内燃機関の吸気冷却装置およびこれを用いた自動車 - Google Patents

内燃機関の吸気冷却装置およびこれを用いた自動車 Download PDF

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Description

本発明は、内燃機関の吸気冷却装置およびこれを用いた自動車に関するものである。
ガソリンエンジン等の内燃機関では、過給器によって吸気量を増加して出力を高めることが広く行われている。
過給器によって吸気を圧縮すると、吸気の温度が増加し、ガソリンエンジンへの吸入温度が上昇するので、充填効率が低下するとともに、混合気温度が上昇してノッキングが発生し易くなる。
ノッキングを抑制するためには、点火時期を遅らせたり、混合気の空燃比を濃くしたりすることが行なわれるが、これらは出力および燃費の悪化をもたらす。
このため、外気を冷熱源としたインタークーラを用いて過給器から送られる吸気を冷却することが広く行われている。
この冷却を効果的に行うものとして、たとえば、特許文献1に示されるように、外気を用いて過給器からの吸気を冷却する第一熱交換器の下流側に、車室内冷房装置の冷凍回路を循環する冷媒によって吸気を冷却する第二熱交換器を備えたものが提案されている。
これは、第一熱交換器の出口部における吸気温度を測定し、この吸気温度が所定値を越えると、ノッキングが発生する可能性があるとし、第二熱交換器が作動され、吸気を冷却する。したがって、内燃機関のスパークプラグへの点火時期を遅らせることなく、かつ、空燃比を過濃にすることなく、ノッキングの発生を防止できるので、内燃機関の出力向上および燃費の節約を行うことができる。
特開昭62−153518号公報
ところで、第二熱交換器に冷媒が供給されると、その分車室内の冷房に用いられる冷媒が少なくなるので、たとえば、所定の冷房能力を求められる場合、圧縮機の能力を高める必要がある。圧縮機は、内燃機関によって駆動されているので、内燃機関の出力は圧縮機の能力増加分に見合う分増加する。すなわち、内燃機関の出力を大きくするため、燃料消費率が大きくなり、内燃機関の運転効率は低下する。
特許文献1に示されるものは、第一熱交換器の出口部における吸気温度が所定値を越えると、ノッキングが発生する可能性があると判断している、言い換えると、間接的に判断しているので、この判断は現実にノッキングが発生するタイミングに対して余裕を持ったタイミングとなる。
したがって、必ずしも必要でない時期にも冷媒によって吸気を冷却することとなるので、その分内燃機関の運転効率が低下することになる。
本発明は、上記課題に鑑み、必要な時期に冷媒によって吸気を冷却でき、高効率運転を行える内燃機関の吸気冷却装置およびこれを用いた自動車を提供するものである。
上記課題を解決するために、本発明は以下の手段を採用する。
すなわち、本発明の内燃機関の吸気冷却装置は、過給器から内燃機関への吸気通路に、上流側に位置する外気によって吸気を冷却するインタークーラーと、該インタークーラーに対して前記吸気通路の下流側に位置し、空調用の冷凍回路を循環する前記吸気を冷却する吸気冷却用蒸発器とが備えられた内燃機関の吸気冷却装置であって、前記内燃機関のノッキング状態を検出するノッキングセンサと、前記吸気冷却用蒸発器への前記冷媒の供給路を開閉する開閉弁と、を備え、記ノッキングセンサがノッキング状態を検知した際に、前記開閉弁が開放されるようにしてノッキングの発生を抑制する吸気冷却モードを、点火時期を遅らせるおよび/または空燃比を増加させることによってノッキングの発生を抑制するエンジン動作モードに優先して行うことを特徴とする。
本発明によれば、ノッキングセンサが内燃機関のノッキング状態を検出すると、吸気冷却用蒸発器への冷媒の供給路に設けられた開閉弁が開放され、この供給路を通って冷媒が吸気冷却用蒸発器へ流入し、吸気通路を通る吸気を冷却する。
吸気が冷却されると、内燃機関へ吸入される吸気の温度が低下するので、充填効率が向上するとともに、ノッキングの発生を防止することができる。
したがって、内燃機関の、たとえば、点火プラグへの点火時期を遅らせることなく、かつ、空燃比を過濃にすることなく、ノッキングの発生を防止できるので、内燃機関の出力向上および燃費の節約、言い換えると高効率運転を行うことができる。
また、開閉弁の開放タイミングがノッキング状態を検出したときであるので、冷却を求められるぎりぎりのタイミングで吸気の冷却が行われることになる。これにより、吸気蒸発器は、不必要な時期に冷媒が供給されることがないので、必ずしも必要でない時期に、たとえば、空調能力を維持するために余分な出力を必要としない。したがって、内燃機関の運転効率が不必要に低下することがないので、内燃機関は高効率運転を行うことができる。
なお、ここで「ノッキング状態」とは、ノッキングおよびその前兆状態を含んでいる。
上記発明の内燃機関の吸気冷却装置では、前記ノッキングセンサは、前記内燃機関の振動を検知するものとしてもよい。
また、上記発明では、前記ノッキングセンサは、前記内燃機関の筒内圧力を検知するものとしてもよい。
また、本発明の内燃機関の吸気冷却装置では、前記冷凍回路は、前記開閉弁が開放された場合、前記冷媒を圧縮して供給する圧縮機の能力を調節し、空調能力を所定に維持するようにされていることを特徴とする。
開閉弁が開放され、冷媒が吸気蒸発器へ供給されると、その分の冷房に用いられる冷媒が少なくなる。本発明では、この場合、冷媒を圧縮して供給する圧縮機の能力を調節し、空調能力を所定に維持するようにされているので、空調能力の低下を抑制することができる。
なお、圧縮機の能力を調節するとは、たとえば、可変容量式の圧縮機では、冷媒の吐出容量を増加させること、あるいは、一般に圧縮機への動力伝達を断接するクラッチの接続時間を増加させることである。これにより圧縮機から吐出される冷媒量を増加できるので、吸気蒸発器に冷媒を供給しても、空調用の冷媒量を確保することができる。
また、本発明の内燃機関の吸気冷却装置では、前記吸気冷却用蒸発器は、運転中常時所定量の冷媒を受け入れるようにされていることを特徴とする。
このように、吸気冷却用蒸発器は、運転中常時所定量の冷媒を受け入れるようにされているので、運転中に吸気冷却用蒸発器は常に冷却され、言い換えると、予冷されていることになる。これにより、吸気冷却用蒸発器は低温に保たれるので、開閉弁が開放されて冷媒が吸気冷却用蒸発器に供給されると、この冷媒は吸気冷却用蒸発器を冷却するのに用いられことなく直ぐに吸気を冷却することができる。
したがって、ノッング状態を検出して開閉弁を開放すると、遅滞なく吸気を冷却することができる。
この場合、所定量は、エネルギーロスをできるだけ避ける意味で、吸気冷却用蒸発器を所定の温度に維持できる程度の少量とするのが好ましい。
また、本発明の内燃機関の吸気冷却装置では、前記内燃機関の出力が増大した場合、前記冷凍回路を流れる冷媒の全量が前記吸気冷却用蒸発器へ流れるようにされていることを特徴とする。
内燃機関の出力が増大するときには、それに伴い吸気量が増大するので、それを冷却するには大量の冷熱が必要となる。
本発明では、このような場合、冷凍回路を流れる冷媒の全量が前記吸気冷却用蒸発器へ流れる、すなわち、空調用途、たとえば、車内空調機器には冷媒を供給しないようにしているので、吸気を十分に冷却することができる。
また、本発明の自動車は、上記に記載の内燃機関の吸気冷却装置を備えていることを特徴とする。
このように、内燃機関が高効率運転を行うことができる吸気冷却装置を用いているので、内燃機関の出力向上および燃費の節約、言い換えると高効率運転を行うことができる。
本発明によれば、内燃機関のノッキング状態を検出するノッキングセンサと、吸気冷却用蒸発器への冷媒の供給路を開閉する開閉弁と、を備え、開閉弁はノッキングセンサがノッキング状態を検知した際に、開放されるように構成されているので、内燃機関の、たとえば、スパークプラグへの点火時期を遅らせることなく、かつ、空燃比を過濃にすることなく、ノッキングの発生を防止できるので、内燃機関の出力向上および燃費の節約、言い換えると高効率運転を行うことができる。
また、開閉弁の開放タイミングがノッキング状態を検出したときであるので、内燃機関の運転効率が不必要に低下することがなく、内燃機関は高効率運転を行うことができる。
以下、本発明の一実施形態にかかる自動車のガソリンエンジン(内燃機関)1に用いられる吸気冷却装置3について、図1〜図3を参照しながら説明する。
図1は、本実施形態にかかる吸気冷却装置3を備えたガソリンエンジン1および車両空調装置5の概略構成を示すブロック図である。
ガソリンエンジン1には、エンジン本体7と、吸気管(吸気通路)9と、燃料供給管11と、排気管13と、過給器15と、制御装置17とが備えられている。燃料供給管11のエンジン本体7側は、吸気管9と合流している。
エンジン本体7には複数のシリンダ19が備えられている。シリンダ19のシリンダヘッドには、点火プラグ21と、接続されている吸気管9の開閉を行う吸気弁23と、接続されている排気管13の開閉を行う排気弁25とが取り付けられている。
ピストン27は、シリンダ19の内部にその長手方向に摺動可能に保持されている。一端がピストン27の下部に回動可能に取り付けられたコネクティングロッド29は、他端部が図示しないクランクに取り付けられたクランクロッド31の先端に回動自在に取り付けられている。クランクロッド31およびコネクティングロッド29はリンク機構を形成し、ピストン27の直線状の往復動を回転運動に変換する機能を有している。
過給器15には、シリンダ19の排気によって回転駆動されるタービン33と、タービン33と同軸的に連結され、タービン33の回転に伴い回転駆動され空気を圧縮するブロア35とが備えられている。
ブロア35によって圧縮された空気(吸気)は、吸気管9を通ってシリンダ19へ供給される。
車両空調装置5には、冷媒を圧縮して高温高圧のガス状とする圧縮機37と、圧縮機37からのガス状冷媒を外気によって冷却し液化するコンデンサ39と、液化した冷媒を送るレシーバ41と、冷媒を減圧する空調膨張弁43と、車室内の空気および冷媒の間で熱交換するエバポレータ45と、が備えられている。
圧縮機37、コンデンサ39、レシーバ41、空調膨張弁43およびエバポレータ45を循環するように空調冷凍回路47が形成されている。
圧縮機37には、回転軸の端部に電磁クラッチ38を介してプーリ40が断接可能に取り付けられている。
プーリ40は、クランクに固定して取り付けられたクランクプーリ42とベルト44によって接続され、クランクの回転によって回転駆動される。
圧縮機37は、電磁クラッチ38の断接によってガソリンエンジン1から駆動されたり、駆動されなくされたりする。
吸気管9の中途には、吸気冷却装置3が備えられている。
吸気冷却装置3には、吸気と外気との間で熱交換するインタークーラ49と、空調冷凍回路47を循環する冷媒と吸気との間で熱交換を行う吸気冷却用蒸発器(以下、単に「吸気蒸発器」という。)51とが備えられている。
空調冷凍回路47には、レシーバ41の下流側の点Aからエバポレータ45の下流側の点Bとの間を接続するバイパス冷凍回路(冷凍回路)53が備えられている。バイパス冷凍回路53は、吸気蒸発器51を通過するように構成されている。バイパス冷凍回路53には、吸気蒸発器51の上流側に冷媒を減圧するバイパス膨張弁55が備えられている。
バイパス膨張弁55は、電磁式の開閉弁としても機能する。
制御装置17は、自動車の総合的な制御を行なうものである。制御装置17には、ガソリンエンジン1の動作たとえば、燃料噴射、点火時期、ノッキング、アイドル回転速度等を制御する制御部としてのエンジンECU57と、車両空調装置5の動作を制御する制御部としてのA/CECU59とが備えられている。
エンジンECU57およびA/CECU59は、図示しない入出力装置、制御プログラムや制御マップ等を記憶した記憶装置(ROM、RAM等)、中央処理装置(CPU)、タイマカウンタ等を備えて構成される。
エンジンECU57の記憶装置には、ノッキングの発生を防止するノッキング抑制制御プログラムが記憶されている。
ノッキング制御プログラムには、主モードとして吸気蒸発器51によって吸気を冷却してノッキングを防止する吸気冷却モード71と、ガソリンエンジン1のエンジン動作、たとえば、点火時期、空燃比等を制御してノッキングを防止するエンジン動作モード73と、が備えられている。
さらに、主モードと併用される各種サブモードが備えられている。サブモードとして、たとえば、吸気冷却モード71が作動中に、空調能力を維持する空調維持モード75、同じくガソリンエンジン1の出力増加に伴い吸気蒸発器51への冷媒を増加させる冷媒冷却強化モード等が備えられている。
ディトリビュータ60は、点火プラグ21に電気を送り点火するものである。エンジンECU57は、ディストリビュータ60を制御し、複数の点火プラグに所定の順序で電気を送るようにする。
シリンダ19の外周部には、シリンダ19の振動を検出する、たとえば、圧電式のノッキングセンサ61が取り付けられている。ノッキングセンサ61としては圧電式に限らず、適宜形式のものを用いてもよい。
また、ノッキングセンサ61は、たとえば、シリンダ19の内部に検出部を有し、筒内圧力を検出するものを用いるようにしてもよい。
クランク部には、クランクの回転数、すなわち、ガソリンエンジン1の回転数を検出する回転数センサ63が取り付けられている。
吸気管9の過給器15へ入る前には、空気の流量を検出するエアフローセンサ65が取り付けられている。
吸気管9のインタークーラ49の出口部には、同部の吸気温度を検出する吸気温度センサ67が取り付けられている。
エバポレータ45の車室内への吹出し部には、吹き出される車室内空気の温度を検出する空気温度センサ69が取り付けられている。
ノッキングセンサ61、回転数センサ63、エアフローセンサ65および吸気温度センサ67の検出信号は、エンジンECU57に入力されるようにされている。
空気温度センサ69の検出信号はA/CECU59に入力されるようにされている。
なお、エンジンECU57およびA/CECU59には、図示していないがこれ以外にも必要な各部の状況を示す情報が入力されるようにされている。
以上のとおり構成された吸気冷却装置3を備えたガソリンエンジン1のノッキング抑制動作について図2および図3を参照して説明する。
図2は、吸気冷却モード71およびエンジン動作モード73を併用した動作のフローを示すフロー図である。図3は、空調維持モード75の動作のフローを示すフロー図である。図2および図3のフローは例示されたものであって、これ以外のフローとしてもよい。
図2によるノッキング抑制動作について説明する。
ガソリンエンジン1が始動されると、エンジンECU57はガソリンエンジン1の動作の制御を開始する(ステップS1)と、エンジンECU57は、ノッキングセンサ61、回転数センサ63、エアフローセンサ65および吸気温度センサ67等を始めとする各種センサから、検出値を受取り、シリンダ振動、エンジン回転数、吸気流量、吸気温度等の状態を把握する(ステップS2)。
なお、ノッキングセンサ61が、筒内圧力を検出するものの場合は、シリンダ振動の換わりに筒内圧力の情報を用いることになる。また、吸気温度は、シリンダ19への導入部での温度を測定するようにしてもよい。
エンジンECU57は、これらの情報に基づいて制御演算、たとえば、適正点火時期の算出、適正空燃比(燃料噴射量)の算出を行い(ステップS3)、それに基づいてガソリンエンジン1の動作を制御する。これはガソリンエンジン1の作動中に常時行われる。
たとえば、エンジンECU57は、算出された適正点火時期に対応し、ディストリビュータ60にそれを指示する。ディストリビュータ60は、この指示に応じたタイミングで各点火プラグ21を点火する。
エンジンECU57は、ノッキングセンサ61からのシリンダ振動の情報に基づいてノッキングの有無を判定する(ステップS4)。
ノッキングが発生すると、シリンダ19は異常な振動モードで振動することになるので、検出されたシリンダ振動情報を予め記憶していた定常運転中における振動モードと比較してノッキングの発生か否かを判定する。
この時、完全なノッキングでなくても、ノッキングしそうな場合には、振動モードが変動するので、ノッキングの前兆を捉えることができる。
ステップS4で、ノッキング無と判定されると、エンジンECU57は、A/CECU59に吸気膨張弁55を閉じるように指示する(ステップS5)。A/CECU59は、吸気膨張弁55の開閉状態をチェックし、それが開いていれば、閉じる。一方、吸気膨張弁55が閉じていれば何もしない。
ステップS4で、ノッキング有と判定されると、エンジンECU57は、A/CECU59に吸気膨張弁55を開くように指示する(ステップS6)。この指示によってA/CECU59は、吸気膨張弁55を開く。吸気膨張弁55が開かれると、液状の冷媒がバイパス冷凍回路53を通って吸気蒸発器51に供給される。
この冷媒は、吸気管を通る吸気と熱交換される際、蒸発しこの蒸発潜熱によって吸気を冷却する。
吸気が冷却されると、シリンダ19(ガソリンエンジン1)へ吸入される吸気の温度が低下するので、充填効率が向上するとともに、ノッキングの発生を抑制することができる。
したがって、ガソリンエンジン1の、たとえば、点火プラグへの点火時期を遅らせることなく、かつ、空燃比を過濃にすることなく、ノッキングの発生を抑制できるので、ガソリンエンジン1の出力向上および燃費の節約、言い換えると高効率運転を行うことができる。
また、吸気膨張弁55の開放タイミングが、ノッキングセンサによってノッキングしそうな状態を検出したときであるので、冷却を求められるぎりぎりのタイミングで吸気の冷却が行われることになる。
これにより、吸気蒸発器51は、不必要な時期、言い換えると、ノッキングが発生しそうにない時期に冷媒が供給されることがない。これにより、対策、すなわち、吸気蒸発器による冷却が必ずしも必要でない時期に、冷媒を吸気蒸発器51に流すことがないので、たとえば、空調能力を維持するために余分なガソリンエンジン1の出力を必要としない。
したがって、ガソリンエンジン1の運転効率が不必要に低下することがないので、ガソリンエンジン1は高効率運転を行うことができる。
このとき、エンジンECU57は、図2に示されるように、吸気冷却モード71とエンジン動作モード73とを併用することができる。
ステップS4で、ノッキング有と判定されると、エンジンECU57は、A/CECU59から吸気膨張弁55の開閉状況の情報を得、吸気膨張弁55が開いているか判定する(ステップS7)。
吸気膨張弁55が閉じているとステップS6に入り、上記と同様な処置をして吸気膨張弁55を開く。
吸気膨張弁55が開いていると、エンジン動作モード73に入ることになる。
これは、エンジンECU57が通常ノッキング防止としては、吸気冷却モード71を優先して用いるようにしているからである。
このように、エンジン動作モード73を併用するのは、たとえば、ガソリンエンジン1の出力が急激に増加し、通常の吸気冷却モード71ではノッキングの抑制が十分でないと判断される場合である。
エンジン動作モード73に入ると、エンジンECU57は、エンジン動作、たとえば、点火時期を遅らせる(遅角)および/または空燃比を増加(燃料噴射量を増加)させることによってノッキングの発生を抑制する(ステップS8)。
次いで、ステップS4と同様にノッキングの有無を判定する(ステップS9)。
ステップS9で、ノッキング無と判定されると、エンジンECU57は、エンジン動作によるノッキング回避を停止し、エンジン動作を元の状態に戻す(ステップS10)。
ステップS4で、ノッキング有と判定されると、エンジンECU57は、エンジン動作によるノッキング回避を継続する。
吸気冷却モード71によって吸気蒸発器51に冷媒が流されると、その分エバポレータ45を流れる冷媒が減少し、車室内の冷房能力が低下することになる。
エンジンECU57は、吸気蒸発器51に冷媒が流されている場合に、車室内の冷房能力の低下を抑制すべく空調維持モード75を用いるようにA/CECU59に指示することもできる。なお、A/CECU59が独自に空調維持モード75を実施することもある。
この空調維持モード75について、図3に基づいて説明する。
A/CECU59が空調維持モード75を開始する(ステップS21)と、A/CECU59は、空気温度センサ69等の各種センサから、外気温度、日射量、エバポレータ45から吹き出される空気の温度(エバポレータ後空気温度)等の状態を把握する(ステップS22)。
A/CECU59は、これらの検出値に基づいて目標とするエバポレータ後空気温度(目標温度)を算出する(ステップS23)。
次いで、空気温度センサ69によって検出されたエバポレータ後空気温度(検出温度)と目標温度とを比較する(ステップS24)。
目標温度が検出温度よりも小さい場合には、そのままとする。
目標温度が検出温度よりも大きい場合には、圧縮機37の冷媒供給能力を増加させる(ステップS25)。
圧縮機37の冷媒供給能力の増加は、たとえば、断接クラッチ38の接時間を増加させ、圧縮機の稼働率を増加させる、あるいは、可変容量式の圧縮機では、容量を増加させることで行う。
このように、空調維持モード75では、エバポレータ後空気温度が目標温度以上にならないように圧縮機37の冷媒供給能力が調節されるので、車室内の冷房能力が低下することを防止できる。
また、エンジンECU57は、冷媒冷却強化モードを備えている。冷媒冷却強化モードは、吸気冷却モード71の場合に、空調冷凍回路47への冷媒の供給を停止し、冷媒の全量を吸気蒸発器51へ供給するようにするものである。
このようにすると、吸気蒸発器51における冷却量が格別に増加するので、たとえば、ガソリンエンジン1の出力が急速に増大するのに伴う吸気量の増大に対して効果的に冷却することができる。
なお、この場合、全量ではなく通常よりも増加させるようにしてもよい。
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において適宜変更することができる。
たとえば、本実施形態では、吸気膨張弁55は開閉弁の機能と膨張弁の機能を併せ持つものであるが、これは、開閉弁と膨張弁とを別個に備えるようにしてもよい。
また、本実施形態では、吸気蒸発器51は冷媒が供給されているか、供給されていないかのいずれかであるが、吸気蒸発器51に、ガソリンエンジン1の運転中常時少量の冷媒を供給するようにしてもよい。
たとえば、バイパス冷凍回路53とは別に常時開放された吸気蒸発器51に供給する配管を設けてもよいし、吸気膨張弁55を常時少し開くようにしてもよい。
このように、吸気蒸発器51は、運転中常時少量の冷媒を受け入れるようにされているので、運転中に吸気蒸発器51は常に冷却され、言い換えると、予冷されていることになる。
これにより、吸気蒸発器51は比較的低温に保たれるので、吸気膨張弁55が開放されて冷媒が吸気蒸発器51に供給されると、この冷媒は吸気蒸発器51を冷却するのに用いられことなく直ぐに吸気を冷却することができる。
したがって、ノッチング状態を検出して吸気膨張弁55を開放すると、遅滞なく吸気を冷却することができる。
なお、常時供給される冷媒量を少量としているのは、エネルギーロスをできるだけ避ける意味である。この量は、吸気蒸発器51を所定の温度に維持できる程度とされている。
また、本実施形態では、吸気冷却モード71を優先させているが、参考用変形例として、エンジン動作モード73を優先させて行い、冷媒冷却強化モードを併せ実施することでその不具合を解消するようにしてもよい。
すなわち、エンジン動作モード73が作動すると、点火プラグへの点火時期を遅らせるおよび/または空燃比を過濃にするので、ガソリンエンジン1の運転効率は低下するが、吸気冷却モード71を作動することによって吸気を冷却して運転効率の低下をある程度解消することができる。
本発明の一実施形態にかかる吸気冷却装置を備えたガソリンエンジンおよび車両空調装置の概略構成を示すブロック図である。 本発明の第一実施形態にかかる吸気冷却モードおよびエンジン動作モードを併用した動作のフローを示すフロー図である。 本発明の第一実施形態にかかる空調維持モードの動作のフローを示すフロー図である。
符号の説明
1 ガソリンエンジン
3 吸気冷却装置
9 吸気管
15 過給器
47 空調冷凍回路
49 インタークーラ
51 吸気蒸発器
53 バイパス冷凍回路
55 吸気膨張弁
61 ノッキングセンサ

Claims (7)

  1. 過給器から内燃機関への吸気通路に、上流側に位置する外気によって吸気を冷却するインタークーラーと、該インタークーラーに対して前記吸気通路の下流側に位置し、空調用の冷凍回路を循環する前記吸気を冷却する吸気冷却用蒸発器とが備えられた内燃機関の吸気冷却装置であって、
    前記内燃機関のノッキング状態を検出するノッキングセンサと、
    前記吸気冷却用蒸発器への前記冷媒の供給路を開閉する開閉弁と、を備え、
    前記ノッキングセンサがノッキング状態を検知した際に、前記開閉弁が開放されるようにしてノッキングの発生を抑制する吸気冷却モードを、点火時期を遅らせるおよび/または空燃比を増加させることによってノッキングの発生を抑制するエンジン動作モードに優先して行うことを特徴とする内燃機関の吸気冷却装置。
  2. 前記ノッキングセンサは、前記内燃機関の振動を検知するものであることを特徴とする請求項1に記載の内燃機関の吸気冷却装置。
  3. 前記ノッキングセンサは、前記内燃機関の筒内圧力を検知するものであることを特徴とする請求項1に記載の内燃機関の吸気冷却装置。
  4. 前記冷凍回路は、前記開閉弁が開放された場合、前記冷媒を圧縮して供給する圧縮機の能力を調節し、空調能力を所定に維持するようにされていることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の内燃機関の吸気冷却装置。
  5. 前記吸気冷却用蒸発器は、運転中常時所定量の冷媒を受け入れるようにされていることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載の内燃機関の吸気冷却装置。
  6. 前記内燃機関の出力が増大した場合、前記冷凍回路を流れる冷媒の全量が前記吸気冷却用蒸発器へ流れるようにされていることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれかに記載の内燃機関の吸気冷却装置。
  7. 請求項1から請求項6のいずれかに記載の内燃機関の吸気冷却装置を備えていることを特徴とする自動車。
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