JP6910724B2 - 車両の制御装置 - Google Patents

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本発明は、内燃機関及び車室内を空調するエアコンディショナが搭載された車両の制御装置に関する。
車両の室内の温度調節のために働くエアコンディショナは、内燃機関に従動するコンプレッサにより気体の冷媒を圧縮し、その圧縮した冷媒をコンデンサにおいて放熱させ液体化した後、エバポレータに導いて気化させ、室内の空気と熱交換するものである。
内燃機関と冷媒圧縮用コンプレッサとの間には、両者を断接するクラッチ(特に、マグネットクラッチ)が介在している。内燃機関及び補機の運転制御を司る電子制御装置(Electronic Control Unit)は、エアコンディショナの作動時に、クラッチを締結して内燃機関とコンプレッサとを接続し、コンプレッサを稼働させる。エアコンディショナの非作動時には、クラッチを開放、コンプレッサを内燃機関から切り離してその稼働を停止させる。
内燃機関は本来、車両が走行するために駆動輪に供給するべきエンジントルクを出力する。従って、エアコンディショナの作動時には、車両の駆動輪と冷媒圧縮用コンプレッサとでエンジントルクを取り合うことになる。そこで、運転者がアクセルペダルを踏み込んだときには、その加速要求に見合った車両の加速を得られるよう、クラッチを切断してコンプレッサの稼働を一時中断する、いわゆるエアコンカットを実行することが通例となっている(例えば、下記特許文献を参照)。
車両の動力性能とエアコンディショナの冷房性能とは、背反する関係にある。エアコンカットの実行機会を増やせば、動力性能を確保できる反面、冷房性能が低下する懸念が生じる。この問題は、特に、高気温の地域や季節において顕在化する。
特開2014−028549号公報
本発明は、車両の動力性能とエアコンディショナの冷房性能との両立を図ることを所期の目的としている。
本発明では、内燃機関及び車室内を空調するエアコンディショナが搭載された車両の制御装置であって、エアコンディショナのエバポレータの温度が停止条件温度以下となったら内燃機関とエアコンディショナの冷媒圧縮用コンプレッサとの間に介在するクラッチを切断してコンプレッサの稼働を停止し、その後エバポレータの温度が稼働条件温度以上となったら同クラッチを締結してコンプレッサを稼働する一方、アクセル開度が閾値を上回ったときには、前記クラッチを切断してコンプレッサの稼働を一時中断することとし、エバポレータの温度が停止条件温度以下となった回数を計数し、その回数が所定回数に到達する前は、その回数が所定回数に到達した後と比較して、前記閾値をより高い値に設定する制御装置を構成した。
本発明によれば、車両の動力性能とエアコンディショナの冷房性能との両立を図り得る。
本発明の一実施形態における車両用内燃機関及び制御装置の構成を模式的に示す図。 同実施形態における車両用エアコンディショナの構成を模式的に示す図。 冷媒圧縮用コンプレッサの停止回数が所定回数に到達する前の時期におけるエアコンカットの実行条件を示す図。 冷媒圧縮用コンプレッサの停止回数が所定回数に到達した後の時期におけるエアコンカットの実行条件を示す図。
本発明の一実施形態を、図面を参照して説明する。図1に、車両に搭載される内燃機関の概要を示す。内燃機関は、例えば火花点火式の4ストロークエンジンであり、複数の気筒1(例えば、三気筒エンジン。図1には、そのうち一つを図示している)を具備している。各気筒1の吸気ポート近傍には、燃料を噴射するインジェクタ11を設けている。また、各気筒1の燃焼室の天井部に、点火プラグ12を取り付けてある。点火プラグ12は、点火コイルにて発生した誘導電圧の印加を受けて、中心電極と接地電極との間で火花放電を惹起するものである。点火コイルは、半導体スイッチング素子であるイグナイタとともに、コイルケースに一体的に内蔵される。
吸気を供給するための吸気通路3は、外部から空気を取り入れて各気筒1の吸気ポートへと導く。吸気通路3上には、エアクリーナ31、電子スロットルバルブ32、サージタンク33、吸気マニホルド34を、上流からこの順序に配置している。
排気を排出するための排気通路4は、気筒1内で燃料を燃焼させた結果発生した排気を各気筒1の排気ポートから外部へと導く。この排気通路4上には、排気マニホルド42及び排気浄化用の三元触媒41を配置している。
外部EGR(Exhaust Gas Recirculation)装置2は、いわゆる高圧ループEGRを実現するものである。EGR装置2は、排気通路4における触媒41の上流側と吸気通路3におけるスロットルバルブ32の下流側とを連通する外部EGR通路21と、EGR通路21上に設けたEGRクーラ22と、EGR通路21を開閉し当該EGR通路21を流れるEGRガスの流量を制御するEGRバルブ23とを要素とする。EGR通路21の入口は、排気通路4における排気マニホルド42またはその下流の所定箇所に接続している。EGR通路21の出口は、吸気通路3におけるスロットルバルブ32の下流の所定箇所、具体的にはサージタンク33に接続している。
図2に、車両の室内の空調を行うエアコンディショナ5の構成を示す。エアコンディショナ5は、冷媒を圧縮し高圧化するコンプレッサ51と、圧縮された高圧冷媒を放熱させて液化させるコンデンサ52と、コンデンサ52を強制的に空冷するためのコンデンサファン53と、液化しなかった気体の冷媒を液化した冷媒から分離するレシーバ54と、液化した冷媒を噴出させるエキスパンションバルブ55と、噴出して気化した冷媒を受け入れ室内の空気と熱交換させるエバポレータ56と、高温化した内燃機関の冷却水を受け入れ室内の空気と熱交換させるヒータコア59と、室内の空気を吸引しエバポレータ56に向けて吐出してその空気を再び室内に送り込むブロワファン57と、ブロワファン57から吐出されエバポレータ56を通り抜けた空気をどの程度ヒータコア59に吹き当てるかを調節するエアミックスダンパ50とを要素に含む。コンプレッサ51、コンデンサ52、レシーバ54、エキスパンションバルブ55及びエバポレータ56は、ループする冷媒流路により接続してある。
コンプレッサ51は、内燃機関に付随する補機の一種であり、内燃機関の出力軸であるクランクシャフトからエンジントルクの伝達を受けて回転駆動され、冷媒を圧縮する。本実施形態では、コンプレッサ51として、ベーン式のロータリコンプレッサを想定している。内燃機関のクランクシャフトとコンプレッサ51との間には、両者の接続を断接切換可能なマグネットクラッチ6が介在する。内燃機関に従動するコンプレッサ51の回転数は、エンジン回転数に比例する。
コンデンサ52は、車両のエンジンルームにおける走行風が当たる部位に配置しており、コンデンサファン53を回転させているか否かにかかわらず、車両の走行中にエンジンルームに吹き込む走行風により冷却される。コンデンサ52の背後には、内燃機関の冷却水を放熱させるラジエータ7が控えている。ラジエータ7もまた、走行風により冷却される。
コンデンサファン53は、内燃機関の冷却水を放熱させるラジエータ7を強制的に空冷するためのラジエータファンをも兼ねている。コンデンサファン兼ラジエータファン53は、ラジエータ7の背後に位置し、前方から空気を吸引して後方に吐出することで、コンデンサ52及びラジエータ7をともに冷却する。
ブロワファン57から吐出された空気は、エバポレータ56を通過する際に、冷媒から冷熱を得(冷媒に熱を奪われ)て低温化する。同時に、当該空気に含まれていた水蒸気が凝縮してエバポレータ56に付着し、湿度が低下する。エバポレータ56は、夏期に室内の温度を低下させる冷房のためだけでなく、冬季に室内の湿度を低下させて車両の窓ガラスの曇りを低減する役割をも担う。
エアミックスダンパ50は、エバポレータ56を通過した空気のうち、ヒータコア59を通過して室内に向かう空気の量と、ヒータコア59を迂回して室内に向かう空気の量との割合を調節する。このエアミックスダンパ50により、室内に吹き出す風の温度を調整することが可能である。
本実施形態の車両の制御装置たるECU0は、プロセッサ、メモリ、入力インタフェース、出力インタフェース等を有したマイクロコンピュータシステムである。
ECU0の入力インタフェースには、車両の実車速を検出する車速センサから出力される車速信号a、内燃機関のクランクシャフトの回転角度及びエンジン回転数を検出するクランク角センサ(エンジン回転センサ)から出力されるクランク角信号b、運転者によるアクセルペダルの踏込量またはスロットルバルブ32の開度をアクセル開度(車両の走行のための駆動源である内燃機関に対して要求されるエンジン負荷率)として検出するセンサから出力されるアクセル開度信号c、吸気通路3、特にサージタンク33内の吸気温及び吸気圧を検出する温度・圧力センサから出力される吸気温・吸気圧信号d、内燃機関の温度を示唆する冷却水温を検出する水温センサから出力される水温信号e、外気温を検出する外気温センサから出力される外気温信号f、内燃機関の複数の気筒1を内包しているシリンダブロックの振動の大きさを検出する振動式のノックセンサから出力される振動信号g、エバポレータ56若しくはその近傍またはその下流の温度を検出する温度センサから出力されるエバポレータ温信号h、エアコンディショナ5のコンデンサ52から流下する(コンデンサの下流52かつエキスパンションバルブ55の上流の)冷媒の圧力を検出する冷媒圧センサから出力される冷媒圧信号m、車室内の温度を検出する室内温センサから出力される室内温信号t等が入力される。
ECU0の出力インタフェースからは、点火プラグ12のイグナイタに対して点火信号i、インジェクタ11に対して燃料噴射信号j、スロットルバルブ32に対して開度操作信号k、EGRバルブ23に対して開度操作信号l、マグネットクラッチ6に通電する電気回路上のスイッチに対してクラッチ締結信号o等を出力する。
ECU0のプロセッサは、予めメモリに格納されているプログラムを解釈、実行し、運転パラメータを演算して内燃機関の運転を制御する。ECU0は、内燃機関の運転制御に必要な各種情報a、b、c、d、e、f、g、h、m、tを入力インタフェースを介して取得し、エンジン回転数を知得するとともに気筒1に充填される吸気(新気)量を推算する。そして、それらエンジン回転数及び吸気量に基づき、吸気量に見合った要求燃料噴射量、燃料噴射タイミング(一度の燃焼に対する燃料噴射の回数を含む)、点火タイミング、要求EGR率(または、EGRガス量)、エアコンディショナ5のコンプレッサ51の稼働のON/OFF等といった各種運転パラメータを決定する。ECU0は、運転パラメータに対応した各種制御信号i、j、k、l、oを出力インタフェースを介して印加する。
気筒1に充填された混合気への火花点火のタイミングは、そのときの内燃機関の運転領域[エンジン回転数,アクセル開度(または、サージタンク33内吸気圧、気筒1に充填される吸気(新気)量若しくは燃料噴射量)]に応じて設定する基本タイミングに、ノックコントロールシステムによる補正量を加味して決定する。ECU0のメモリには予め、内燃機関の運転領域と、これに対応する基本タイミングとの関係を規定したマップデータが格納されている。しかして、ECU0は、振動信号gを参照して気筒1におけるノッキングの有無を判定し、ノッキングが起こったと判定した場合には、以後ノッキングが起こらなくなるまで当該気筒1の点火タイミングを徐々に遅角させる、即ち基本タイミングに加味する遅角補正量を増加させる。他方、ノッキングが起こっていないと判定した場合には、ノッキングが起こらない限りにおいて(また、MBT(Minimum advance for Best Torque)を上限として)当該気筒1の点火タイミングを徐々に進角させる、即ち基本タイミングに加味する遅角補正量を減少させる。
また、ECU0は、エアコンディショナ5を作動させる旨の指令が車両の運転者を含む搭乗者によって与えられ、コンプレッサ51を稼働させて冷媒の圧縮を実行するべき状況において、マグネットクラッチ6を締結し、内燃機関のクランクシャフトとコンプレッサ51とを接続する。コンプレッサ51を稼働させるべき状況とは、例えば、エバポレータ温信号hを参照して知得されるエバポレータ56の温度が稼働条件温度よりも上昇したときである。エアコンディショナ5を作動させるべき旨の指令は、例えば、搭乗者がコックピット内に設けられたエアコンスイッチを手指でONに操作することを通じて行われる。
そして、コンプレッサ51を停止するべき状況では、マグネットクラッチ6の締結を解除して、内燃機関のクランクシャフトとコンプレッサ51とを切り離す。コンプレッサ51を停止するべき状況とは、例えば、エバポレータ56の温度が停止条件温度以下となったときである。停止条件温度の値は、稼働条件温度の値よりも幾分(例えば、1℃ないし2℃程度)低い。
稼働条件温度及び/または停止条件温度は、恒常的に一定としてもよいが、実現するべき目標車室内温度や、ブロワファン57の吐出風量に応じて上下させてもよい。その場合には、目標車室内温度が低いほど、または風量が多いほど、稼働条件温度及び/または停止条件温度を低く設定することになる。
なお、ECU0は、コンプレッサ51を稼働させる場合、コンプレッサ51を稼働させない場合と比較して、同じアクセルペダルの踏込量に対するスロットルバルブ32の開度をより大きく拡大し、気筒1に充填される吸気量及び燃料噴射量を増量する。これにより、コンプレッサ51が消費するエンジントルクを補う。
さらに、ECU0は、コンプレッサ51を稼働させるべき状況にあっても、運転者がアクセルペダルを踏み込み、アクセル開度が閾値を上回ったときには、その加速要求に見合った車両加速度を得られるよう、一時的にマグネットクラッチ6の締結を解除してコンプレッサ51の稼働を中断する、いわゆるエアコンカットを実行する。
本実施形態のECU0は、イグニッションスイッチ(または、イグニッションキー)がOFFからONに操作されて内燃機関を冷間始動した後、エバポレータ56の温度が停止条件温度以下となってコンプレッサ51を停止した回数を計数している。その上で、エバポレータ56の温度が停止条件温度以下となった回数が所定回数に到達する前と、到達した後とで、エアコンカットの実行条件となるアクセル開度の閾値を変更することで、エアコンディショナ5の冷房性能と車両の動力性能とを両立させるようにしている。
図3に、エバポレータ56の温度が停止条件温度以下となった回数が所定回数に到達する前の時期における、アクセル開度と比較するべき閾値を例示する。閾値は、現在の車両の車速、サージタンク33内の吸気温、及びノックコントロールシステムによる点火タイミングの遅角補正量等に応じて変動し得る。図3中に一点鎖線で表しているように、吸気温が所定値(例えば、70℃)以下である場合には、閾値を車速によらず一定(例えば、(全開を100%として)アクセル開度85%)とする。
これに対し、図3中に実線で表しているように、吸気温がそれよりも高い所定値(例えば、80℃)以上であるか、ノックコントールシステムによる点火タイミングの遅角補正量が所定値(例えば、5°CA(クランク角度))以上である場合には、ある車速(例えば、25km/h)以下の領域において、閾値をより引き下げてエアコンカットを実行しやすくする。また、当該車速領域における閾値は、吸気温が高いほど低位の値に設定する。
翻って、図4に、エバポレータ56の温度が停止条件温度以下となった回数が所定回数に到達した後の時期における、アクセル開度と比較するべき閾値を例示する。全体的な傾向として言えることは、車速、吸気温、点火タイミングの遅角補正量等を同等としたときに、エバポレータ56の温度が停止条件温度以下となった回数が所定回数に到達する前の時期における閾値よりも、その回数が所定回数に到達した後の時期における閾値の方が低い、つまり後者の時期の方がエアコンカットを実行しやすいということである。その閾値は、車速が低下するほど低くなる。
しかも、ある車速(例えば、約20km/h)以下の領域においては、吸気温が高いほど閾値を低位の値に設定する。図4中、二点鎖線は吸気温が所定値(例えば、60℃)以下である場合の閾値を表し、破線は吸気温がより高い所定値(例えば、65℃)である場合の閾値を表し、一点鎖線は吸気温がそれよりも高い所定値(例えば、70℃)である場合の閾値を表している。並びに、実線は、吸気温がさらに高い所定値(例えば、80℃)以上であるか、ノックコントールシステムによる点火タイミングの遅角補正量が所定値(例えば、5°CA)以上である場合の閾値を表している。図3及び図4にそれぞれ示したエアコンカット実行条件の閾値は、予めECU0のメモリに格納されている。
本実施形態では、エバポレータ56の温度が停止条件温度以下となった回数と比較するべき所定回数を、一回としている。即ち、本実施形態のECU0は、内燃機関の冷間始動後、エバポレータ56の温度が停止条件温度まで低下する前の時期には、図3に示している冷房性能を重視した閾値を用いてエアコンカットを実行する。そして、一度エバポレータ56の温度が停止条件温度まで低下したならば、以後は図4に示している動力性能を重視した閾値を用いてエアコンカットを実行する。
但し、上記の所定回数を、二回以上に定めることを妨げない。所定回数を二回とする場合、内燃機関の冷間始動後、エバポレータ56の温度が停止条件温度まで低下してコンプレッサ51を停止した回数が二度以上となったら図4に示す閾値を用いてエアコンカットを実行し、それ以前は図3に示す閾値を用いてエアコンカットを実行する、ということになる。
ECU0が計数している、エバポレータ56の温度が停止条件温度以下となった回数のカウンタは、イグニッションスイッチがONからOFFに操作されて内燃機関を停止するとき(トリップの終了時)に0にリセットする。エアコンディショナ5で使用している冷媒の比熱は大きく、一旦これが冷却されると、コンプレッサ51を停止してある程度の時間が経過したとしても、エバポレータ56は低温状態を保つ。よって、再びコンプレッサ51を稼働させれば、速やかにエバポレータ56を冷房に必要十分な温度まで冷却することが可能である。であるから、イグニッションスイッチがONとなっているトリップ中にカウンタをリセットする必要はない。
本実施形態では、内燃機関及び車室内を空調するエアコンディショナ5が搭載された車両の制御装置0であって、アクセル開度が閾値を上回ったときには、内燃機関とエアコンディショナ5の冷媒圧縮用コンプレッサ51との間に介在するクラッチ6を切断してコンプレッサ51の稼働を一時中断することとし、エアコンディショナ5のエバポレータ56の温度が所定値即ち停止条件温度以下に低下する前は、エバポレータ56の温度が停止条件温度以下に低下した後と比較して、前記閾値をより高い値に設定する制御装置0を構成した。
並びに、本実施形態では、内燃機関及び車室内を空調するエアコンディショナ5が搭載された車両の制御装置であって、エアコンディショナ5のエバポレータ56の温度が停止条件温度以下となったら内燃機関とエアコンディショナ5の冷媒圧縮用コンプレッサ51との間に介在するクラッチ6を切断してコンプレッサ51の稼働を停止し、その後エバポレータ56の温度が稼働条件温度以上となったら同クラッチ6を締結してコンプレッサ51を稼働する一方、アクセル開度が閾値を上回ったときには、前記クラッチ6を切断してコンプレッサ51の稼働を一時中断することとし、エバポレータ56の温度が停止条件温度以下となった回数を計数し、その回数が所定回数に到達する前は、その回数が所定回数に到達した後と比較して、前記閾値をより高い値に設定する制御装置0を構成した。
本実施形態によれば、車両の動力性能とエアコンディショナ5の冷房性能との両立を図ることが可能となる。即ち、内燃機関の冷間始動後、エバポレータ56の温度が十分に低下するまでの間は、エアコンカットの実行条件としてアクセル開度と比較するべき閾値を引き上げ、エアコンカットの実行機会を減らして、換言すれば冷媒圧縮用コンプレッサ51の稼働時間を増して、可及的速やかにエバポレータ56を冷却することができる。そして、エバポレータ56の温度が十分に低下したら、以後はアクセル開度と比較するべき閾値を引き下げ、エアコンカットの実行機会を増やして、エンジントルクを積極的に車両の駆動輪に供給し、車両の動力性能を高めることができる。
なお、本発明は以上に詳述した実施形態に限られるものではない。例えば、内燃機関と冷媒圧縮用コンプレッサ51とを繋ぐクラッチ6は、マグネットクラッチには限定されない。クラッチ6は、作動液圧(油圧)により駆動されて内燃機関とコンプレッサ51との間を断接切換する態様のものであっても構わない。
また、気筒1でノッキングが起こったことを検知する手段は、振動式のノックセンサには限定されない。気筒1の膨脹行程において点火プラグ12の電極を流れるイオン電流信号を参照して、ノッキングの有無を判定することも可能である。
その他、各部の具体的構成や具体的な処理の手順は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。
本発明は、内燃機関及びこれに従動する冷媒圧縮用コンプレッサが搭載された車両の制御に適用できる。
0…制御装置(ECU)
5…エアコンディショナ
51…冷媒圧縮用コンプレッサ
56…エバポレータ
6…クラッチ
a…車速信号
c…吸気温・吸気圧信号
g…振動信号
h…エバポレータ温信号
o…クラッチ締結信号

Claims (1)

  1. 内燃機関及び車室内を空調するエアコンディショナが搭載された車両の制御装置であって、
    エアコンディショナのエバポレータの温度が停止条件温度以下となったら内燃機関とエアコンディショナの冷媒圧縮用コンプレッサとの間に介在するクラッチを切断してコンプレッサの稼働を停止し、その後エバポレータの温度が稼働条件温度以上となったら同クラッチを締結してコンプレッサを稼働する一方、
    アクセル開度が閾値を上回ったときには、前記クラッチを切断してコンプレッサの稼働を一時中断することとし、
    エバポレータの温度が停止条件温度以下となった回数を計数し、その回数が所定回数に到達する前は、その回数が所定回数に到達した後と比較して、前記閾値をより高い値に設定する制御装置。
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