JP7415247B2 - 吸気冷却システム - Google Patents

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Description

本発明は、車両のエンジンの吸気を冷却する吸気冷却システムに関する。
エンジンの燃焼室に供給される空気(以下「吸気」ともいう。)を冷却することによりノッキングを抑制する技術が知られている。例えば、特許文献1は、吸気冷却用エバポレータを備える吸気冷却システムを開示している。当該吸気冷却用エバポレータは、車室内の温度の調整を行う空調装置の冷媒通路から冷媒の供給を受け、冷媒と吸気とを熱交換させることにより、吸気を冷却するように構成されている。
国際公開2019/073769号
特許文献1記載の吸気冷却システムは、車室に供給される空気(以下「車室用空気」ともいう。)を冷却するエバポレータとは別に、吸気冷却用エバポレータを備えている。このため、当該吸気冷却システムは、構成が複雑になったり、製造コストが増加したりするという課題があった。
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、簡易な構成により、車室に供給する空気の冷却と、エンジンの吸気の冷却と、を行うことができる吸気冷却システムを提供することを目的とする。
本発明者は、車室用空気の迅速な冷却のために高い冷却能力が要求されるタイミングと、エンジンの吸気の冷却が必要なタイミングと、が重複する可能性は低いという、車両の特性を見出し、本発明の完成に至った。以下、この点について詳述する。
例えば、夏季に車両に乗り込んだ乗員は、車室内の温度(例えば35℃)を目標温度(例えば28℃)まで低下させるために、空調装置に冷房運転を開始させる。このとき、空調装置は、車室に迅速に低温空気を供給するために、エバポレータの冷却能力を高める。このように、車室用空気の迅速な冷却のために高い冷却能力が要求されるタイミングは、冷房運転の開始直後であることが多い。
これに対し、乗員が車両に乗り込んで空調装置に冷房運転を開始させた直後は、車両のエンジンの温度はまだ比較的低いため、エンジンのノッキングが発生する可能性は低い。したがって、冷房運転の開始直後にエンジンの吸気の冷却が必要になる能性は低い。
冷房運転の開始から所定時間が経過し、車室内の温度が目標温度に近づくと、空調装置はエバポレータの冷却能力を低下させてよい。この頃には、エンジンの温度が比較的高くなっており、エンジンのノッキングが発生する可能性が高まる。つまり、エンジンの吸気の冷却が必要になる可能性が高い。
このように、車室用空気の迅速な冷却のために高い冷却能力が要求されるタイミングと、エンジンの吸気の冷却が必要なタイミングと、が重複する可能性は低い。これより、本発明者らは、各冷却を、別個のエバポレータを用いることなく、単一のエバポレータを用いて行うことができるという知見を得た。
このような知見の下、本発明は、車両のエンジンの吸気を冷却する吸気冷却システムであって、気相の冷媒を圧縮して液相に変化させるコンプレッサと、コンプレッサから供給される冷媒を膨張させる膨張弁と、内部に冷媒通路が形成され、所定方向における一端部寄りの部分に冷媒通路の入口が設けられ、所定方向における他端部寄りの部分に冷媒通路の出口が設けられ、膨張弁から供給され冷媒通路を流れる冷媒と、外表面を所定方向と直交する方向に流れる空気とを熱交換させることにより、冷媒を気化させるとともに空気を冷却するエバポレータと、を備え、エバポレータは、車両に搭載された空調装置が車室に供給する空気が、入口寄りに位置するエバポレータの第1領域を通過し、エンジンの吸気が、第1領域よりも出口側に位置するエバポレータの第2領域を通過し得るように配置されている。
ほぼ単相流(液相)としてエバポレータ内の冷媒通路の入口に流入した冷媒は、気化しながら冷媒通路を流れることで混相流に変化し、ほぼ単相流(気相)として出口から流出する。つまり、冷媒通路の入口に近い領域では、液相冷媒の割合が高く、冷媒通路の出口に近い領域では、気相冷媒の割合が高い。液相冷媒は、潜熱のため、気相冷媒と比べて高い冷却能力を発揮する。したがって、エバポレータのうち、冷媒通路の入口に近い領域は、冷媒通路の出口に近い領域と比べて、迅速且つ効果的に空気を冷却し得る。
そこで、上記構成では、車室用空気をエバポレータの第1領域に通過させて冷却し、エンジンの吸気をエバポレータの第2領域に通過させて冷却する。エバポレータ内の冷媒通路の入口寄りに位置する第1領域は、第1領域よりも出口側に位置する第2領域と比べて、迅速且つ効果的に空気を冷却することができる。このように、車室用空気をエバポレータの第1領域において優先的に冷却することにより、吸気の冷却に先駆けて、車室用空気を迅速に冷却することが可能になる。
また、車室用空気を第1領域において冷却している間に、エバポレータの構造体における熱伝導により、第2領域を予冷することができる。この結果、エンジンの吸気の冷却が必要となった場合に、第2領域において吸気を迅速に冷却することが可能になる。
本発明において、好ましくは、吸気冷却システムは、膨張弁を制御するコントローラを備え、コントローラは、エンジンの吸気を冷却する場合は、エンジンの吸気を冷却しない場合と比べて膨張弁の開度を大きくする。
この構成によれば、エンジンの吸気を冷却する場合は、エバポレータ内の冷媒通路において液相冷媒が存在する領域を冷媒通路の出口側に拡大することができる。これにより、第2領域に存在する液相冷媒の量を増加させ、確実にエンジンの吸気を冷却することが可能になる。
本発明において、好ましくは、吸気冷却システムは、膨張弁を制御するコントローラを備え、コントローラは、エンジンの吸気の冷却度合が高い場合は、エンジンの吸気の冷却度合が低い場合と比べて膨張弁の開度を大きくする。
この構成によれば、エンジンの吸気の冷却度合が高い場合は、エバポレータ内の冷媒通路において液相冷媒が存在する領域を冷媒通路の出口側に拡大することができる。これにより、第2領域に存在する液相冷媒の量を増加させ、確実にエンジンの吸気を冷却することが可能になる。
本発明において、好ましくは、吸気冷却システムは、エバポレータにおける第1領域と第2領域の割合を変更するダンパを備え、コントローラは、空調装置が車室に空気を供給し且つエンジンの吸気を冷却しない場合は、空調装置が車室に空気を供給し且つエンジンの吸気を冷却する場合と比べて、第1領域の割合を大きくするようにダンパを制御する。
この構成によれば、エンジンの吸気を冷却しない場合は、エンジンの吸気を冷却する場合と比べて第1領域の割合を大きくすることにより、エバポレータにより冷却される車室用空気の流量を大きくすることができる。この結果、エバポレータを大型化することなく、車室用空気の流量を十分なものにすることが可能になる。
本発明によれば、簡易な構成により、車室に供給する空気の冷却と、エンジンの吸気の冷却と、を行うことができる吸気冷却システムを提供することが可能になる。
実施形態に係る吸気冷却システムを搭載した車両の模式図である。 エバポレータを示す模式図である。 コントローラを示すブロック図である。 コントローラが実行する処理を示すフローチャートである。 コントローラが実行する処理を示すフローチャートである。 コントローラが実行する処理を示すフローチャートである。 エバポレータ及びダンパを示す模式図である。 エバポレータ及びダンパを示す模式図である。 エバポレータ及びダンパを示す模式図である。 エバポレータ及びダンパを示す模式図である。
以下、添付図面を参照しながら、実施形態に係る吸気冷却システム1について説明する。
<車両>
まず、図1を参照しながら、実施形態に係る吸気冷却システム1を搭載した車両100について説明する。図1は、吸気冷却システム1を搭載した車両100の模式図である。
車両100の前端寄りの部分には、エンジン120を収容するエンジンルーム110が形成されている。エンジン120は、複数の燃焼室121を有しており、インジェクタ(不図示)から燃焼室121に噴射される燃料を燃焼させ、トルクを発生させる内燃機関である。エンジン120が発生させたトルクは、エンジン120の出力軸(不図示)からパワートレイン(不図示)を介して車輪(不図示)に伝達され、車両100の走行に用いられるほか、後述するコンプレッサ31の駆動にも用いられる。燃焼室121の圧力PCは、筒内圧力センサ54により検知される。
エンジンルーム110には吸気ダクト130が収容されており、この吸気ダクト130の内部には吸気通路130aが形成されている。吸気通路130aは、後述する空調装置9を介して取り込んだ空気を流し、スロットル弁133を介してエンジン120の燃焼室121に供給する(以下、この空気を「吸気」ともいう。)。
車両100の乗員は、アクセルペダル115を踏み込むことにより、エンジン120が発生させるトルクを調整する。アクセルペダル115の踏み込み量が変化すると、インジェクタから噴射される燃料の量と、スロットル弁133を通過する吸気の量とが変化し、燃焼室121における燃料の燃焼が調整される。
<吸気冷却システムの構成>
吸気冷却システム1は、エンジン120のノッキングを抑制することを目的として車両100に搭載されている。具体的には、吸気冷却システム1は、吸気通路130aを流れる吸気を冷却し、これにより燃焼室121における燃料の燃焼温度を低下させるために搭載されている。
図1乃至図3を参照しながら、吸気冷却システム1の構成について説明する。図2は、エバポレータ4を示す模式図であり、図3は、コントローラ6を示すブロック図である。図1に示されるように、吸気冷却システム1は、冷媒通路2を備えている。また、吸気冷却システム1は、冷媒通路2に設けられたコンプレッサ31と、コンデンサ33と、エバポレータ4と、膨張弁37と、コントローラ6と、を備えている。後述するように、これらの構成の一部は空調装置9でも用いられる。
冷媒通路2は、冷媒を流して循環させるように構成されている。冷媒通路2は、第1冷媒通路21と、第2冷媒通路22と、第3冷媒通路23と、を有している。第1冷媒通路21は、コンプレッサ31が吐出した冷媒を、コンデンサ33に供給するように構成されており、第2冷媒通路22は、コンデンサ33を通過した冷媒を、膨張弁37を介してエバポレータ4に供給するように構成されており、第3冷媒通路23は、エバポレータ4を通過した冷媒を、コンプレッサ31に供給するように構成されている。
コンプレッサ31は、エンジン120の出力軸に連結されている。コンプレッサ31は、出力軸の回転に基づいて駆動し、冷媒を圧縮して吐出するように構成されている。コンプレッサ31はクラッチ(不図示)を内蔵しており、当該クラッチは制御信号に基づいて制御される。コンプレッサ31の吐出圧力は、クラッチに送信する制御信号を変更することにより調整可能である。
コンデンサ33は、車両100のグリル111の近傍に配置される熱交換器である。グリル111は、車両100の前端に設けられた開口部である。コンデンサ33は、グリル111からエンジンルーム110内に流入する空気が、コンデンサ33の外表面を流れるように配置されている。コンデンサ33の内部には通路が形成されており、第1冷媒通路21から供給された冷媒が当該通路を通過し、第2冷媒通路22に排出される。
エバポレータ4は、熱交換器であり、後述する空調装置9のケーシング91内に配置されている。図2に示されるように、エバポレータ4は、X軸方向寸法がY軸方向寸法及びZ軸方向寸法よりも小さい偏平形状を呈している。
エバポレータ4は、コア4C1~4C6により構成されている。各コアは、複数のチューブ(不図示)の集合体である。各チューブはZ軸方向に延び、且つ、Y軸方向に互いに間隔を空けて配置されており、その内部に冷媒を流す冷媒通路41が形成されている。1つのコアに属するチューブは、全て同一方向に冷媒を流すように構成されている。
コア4C1とコア4C2、コア4C3とコア4C4、及び、コア4C5とコア4C6は、それぞれ、-Z方向端部において互いに連通している。また、コア4C2とコア4C3、及びコア4C4とコア4C5は、それぞれ、+Z方向端部において互いに連通している。これにより、エバポレータ4の内部には、概ね矢印A21のように、コア4C1~4C6の順に冷媒を通過させる冷媒通路41が形成されている。
エバポレータ4は、Y軸方向における端部4a,4bを有している。ここで、Y軸方向は本発明に係る「所定方向」の一例である。また、端部4aは、本発明に係る「一端部」の一例であり、端部4bは、本発明に係る「他端部」の一例である。端部4aには、冷媒通路41の入口41aが形成されており、端部4bには、冷媒通路41の出口41bが形成されている。上述した冷媒通路2の第1冷媒通路21は、入口41aに接続されており、冷媒通路2の第2冷媒通路22は、出口41bに接続されている。出口41bから第2冷媒通路22に流出する冷媒の温度Tは、出口41bに設けられた温度センサ52(図1参照)により検知される。エバポレータ4は、エバポレータ4をX軸方向に通過する(詳細には、隣り合うチューブの間をX軸方向に流れる)空気と、冷媒通路41を流れる冷媒とを熱交換させるように構成されている。
図1に示される膨張弁37は、制御信号に基づいて弁体(不図示)が姿勢を変更する電磁弁である。膨張弁37は、冷媒通路2の第2冷媒通路22に設けられ、全閉状態と全開状態との間で開度を変更することができる。膨張弁37とエバポレータ4との間の第2冷媒通路22を流れる冷媒の圧力PLは、冷媒圧力センサ55により検知される。
コントローラ6は、メモリ(不図示)等のデバイスから成る電子制御ユニットである。図3に示されるように、コントローラ6は、エンジン回転数センサ51、温度センサ52、アクセル開度センサ53、筒内圧力センサ54、及び冷媒圧力センサ55から検知信号を受信するように構成されている。コントローラ6は、各検知信号に基づいて所定の演算を行うことにより、エンジン120の回転数、エバポレータ4の出口41b近傍の冷媒の温度T、アクセルペダル115の踏み込みに基づくスロットル弁133の開度、燃焼室121の圧力PC、及び膨張弁37とエバポレータ4の間を流れる冷媒の圧力PL等の情報を取得する。
また、コントローラ6は、取得した情報に基づいて制御信号や要求信号を生成する。コントローラ6は、この制御信号や要求信号をコンプレッサ31、膨張弁37や、後述する空調装置9のブロワ95、ダンパD1~D4、及びエンジン120に送信することにより、各要素を制御する。
さらに、コントローラ6は、取得した情報に基づいて、その時点のエンジン120の駆動状態が、「ノッキング発生域」と「非ノッキング発生域」のいずれに属するかを判定する。ここで、「ノッキング発生域」は、エンジン120のノッキングが比較的発生し易い駆動状態であり、「非ノッキング発生域」は、「ノッキング発生域」と比べてエンジン120のノッキングが比較的発生し難い駆動状態である。コントローラ6のメモリには、エンジン120への要求トルクや回転数等に基づいて「ノッキング発生域」及び「非ノッキング発生域」を定めるマップが記憶されている。コントローラ6は、その時点のエンジン120への要求トルク等を算出し、この算出値に基づいてマップを参照することにより、上記判定を行う。
<空調装置の構成>
車両100は、空調装置9を搭載している。空調装置9は、車両100の車室内の温度を調整するために搭載されており、吸気冷却システム1と冷媒を共用して運転する。車両100の乗員は、車室に設けられたスイッチ(不図示)を操作することにより、空調装置9に運転開始及び運転停止を指示したり、車室内の温度の目標値を設定したりすることができる。空調装置9は、ケーシング91と、ブロワ95と、と、ヒータ96と、ダンパD1~D4と、を備えている。
ケーシング91は空調装置9の筐体である。ケーシング91の外側面には、吸込口91aと、供給口91b~91eが形成されている。供給口91bは、上述した吸気ダクト130に接続されている。また、供給口91c~91eは、それぞれ、車室のフロントガラスに空気を導くダクト、乗員の顔に空気を導くダクトや、乗員の足元に空気を導くダクト(いずれも不図示)に接続されている。さらに、ケーシング91には、車室外又は車室内から空気を取り込むダクト97が接続されている。ダクト97を介してケーシング91内に取り込まれ、後述するようにエンジン120の燃焼室121に供給される空気は、上述した「吸気」に相当する。したがって、以下の説明では、ダクト97を介してケーシング91内に取り込まれ、その後にエンジン120の燃焼室121に供給される空気を「吸気」ともいう。
上述したように、ケーシング91内にはエバポレータ4が配置されている。さらに、ケーシング91内には、エバポレータ4を通過させることなく吸気を流す連絡通路92と、エバポレータ4に空気を導く上流側通路93と、エバポレータ4を通過した空気を流す下流側通路94と、が形成されている。連絡通路92は、ダクト97により取り込まれた空気を供給口91bに導くように構成されている。下流側通路94は、エンジン側通路94a及び車室側通路94bを有している。エンジン側通路94aは、矢印A13で示されるように、エバポレータ4を通過した空気を供給口91bに導く。車室側通路94bは、矢印A14で示されるように、エバポレータ4を通過した空気を供給口91c~91eに導く。
ブロワ95は、制御信号に基づいて駆動する電動送風機であり、空調装置9のケーシング91内に配置されている。ブロワ95は、吸込口91aを介してケーシング91外から空気を吸引し、当該空気を上流側通路93に向けて吹き出す。尚、本明細書では、ブロワ95が上流側通路93に向けて吹き出し、後述するように供給口91c~91eを介して車室に供給される空気を「車室用空気」ともいう。
ヒータ96は、車室側通路94bに配置されている。ヒータ96は、電力の供給を受けて発熱し、ヒータ96を通過する車室用空気を加熱する。
ダンパD1~D4は、ケーシング91内の空気の指向性を変更する機器である。ダンパD1~D4は、制御信号に基づいて駆動するアクチュエータ(不図示)により、所定範囲内で揺動可能に構成されている。
ダンパD1は、連絡通路92と上流側通路93との間に設けられている。ダンパD1は、実線で示される第1位置P11と、破線で示される第2位置P12と、の間で揺動可能に構成されている。
ダンパD2は本発明に係る「ダンパ」の一例であり、上流側通路93に設けられている。ダンパD3は、下流側通路94のエンジン側通路94aと車室側通路94bとの間に設けられおり、エバポレータ4を挟んでダンパD2と対向している。ダンパD2,D3は、実線で示される出口側位置P21,P31と、破線で示される入口側位置P22,P32と、の間で揺動可能に構成されている。
ダンパD4は、車室側通路94bに設けられている。ダンパD4は、ヒータ96を通過する通路を開閉するように構成されている。
<吸気冷却システム及び空調装置の動作>
(1)車室内の温度の調整のみが行われる場合
エンジン120のノッキングが生じるおそれが比較的低く、且つ、車両100の乗員が空調装置9に運転を指示している場合、吸気冷却システム1及び空調装置9は、吸気を冷却することなく、車室内の温度を調整するように動作する。このとき、コンプレッサ31及びブロワ95が駆動し、膨張弁37は開状態となる。
ダンパD1は、第1位置P11に配置される。これにより、上流側通路93がダンパD1により遮蔽される。ダクト97を介してケーシング91内に取り込まれた吸気は、矢印A11で示されるように、連絡通路92に流入する。この吸気は、ケーシング91の供給口91bから吸気ダクト130に供給され、吸気ダクト130内の吸気通路130aを流れて、エンジン120の燃焼室121に供給される。
ダンパD2は、出口側位置P21に配置される。これにより、ブロワ95から吹き出されて上流側通路93に流入した車室用空気は、エバポレータ4のうち入口41a寄りに位置する領域に供給される。本明細書では、エバポレータ4のうち車室用空気が供給される領域を「第1領域R1」という(図7参照)。下流側通路94に配置されているダンパD3は、ダンパD2と対応する出口側位置P31に配置されている。
コンプレッサ31は、エンジン120の出力軸の回転に基づいて駆動し、気相の冷媒を圧縮するとともに、第1冷媒通路21に吐出する。冷媒は、コンプレッサ31において圧縮されることにより液相となり、その温度と圧力が上昇する。
コンプレッサ31から吐出された液相の冷媒は、次に、コンデンサ33に供給される。当該冷媒は、コンデンサ33内の通路を流れる際に、グリル111から流入してコンデンサ33の外表面を流れる空気と熱交換することにより、冷却される。コンデンサ33内の通路を通過した冷媒は、第2冷媒通路22に排出される。
第2冷媒通路22を流れる冷媒は、次に膨張弁37に供給される。冷媒は、この膨張弁37を通過する際に膨張し、その温度が低下する。
膨張弁37を通過した低温の冷媒は、次にエバポレータ4に供給される。当該冷媒は、エバポレータ4内の冷媒通路41を流れる際に、上述したエバポレータ4の第1領域R1を通過する車室用空気と熱交換することにより、気化する。すなわち、エバポレータ4の外表面を流れる車室用空気は、冷媒との熱交換により冷却される。エバポレータ4内の冷媒通路41を通過した冷媒は、第3冷媒通路23により再びコンプレッサ31に供給される。
エバポレータ4の第1領域R1を通過した車室用空気は、下流側通路94に流入する。この車室用空気は、出口側位置P31に配置されているダンパD3により、車室側通路94bに導かれる。車室側通路94bを流れる車室用空気は、ダンパD4の位置に基づいてヒータ96を通過又は迂回した後、供給口91c~91eの少なくとも1つを介して、車両100の車室に供給される。
(2)吸気の冷却及び車室内の温度の調整が行われる場合
エンジン120のノッキングが生じるおそれが比較的高く、且つ、車両100の乗員が空調装置9に運転を指示している場合、吸気冷却システム1及び空調装置9は、吸気を冷却しつつ、車室内の温度を調整するように動作する。このとき、コンプレッサ31及びブロワ95が駆動し、膨張弁37が開状態となる。
このときの膨張弁37の開度は、エンジン120の吸気の冷却度合が高いほど、大きく設定される。詳細には、エンジン120のノッキングが生じるおそれが高いほど、単位時間あたりにエンジン120の吸気から奪う必要がある熱量も大きくなるところ、膨張弁37の開度は、当該熱量が大きいほど、大きく設定される。
ダンパD1は、第2位置P12に配置される。これにより、連絡通路92がダンパD1により遮蔽される。ダクト97を介してケーシング91内に取り込まれた吸気は、矢印A12で示されるように、上流側通路93に流入する。
ダンパD2は、中間位置P23(図8参照)に配置される。中間位置P23は、出口側位置P21と入口側位置P22との間の位置である。ダクト97を介して上流側通路93に流入した吸気は、エバポレータ4のうち出口41b寄りに位置する領域に供給される。本明細書では、エバポレータ4のうち吸気が供給される領域を「第2領域R2」という(図8参照)。
エバポレータ4の第2領域R2を通過して冷却された吸気は、下流側通路94に流入する。この吸気は、出口側位置P31と入口側位置P32との間の中間位置P33(図8参照)に配置されているダンパD3により、矢印A13で示されるように、エンジン側通路94aに導かれる。そして、吸気は、ケーシング91の供給口91bから吸気ダクト130に供給され、吸気ダクト130内の吸気通路130aを流れて、エンジン120の燃焼室121に供給される。
また、ブロワ95から吹き出されて上流側通路93に流入した車室用空気が、エバポレータ4の第1領域R1に供給される。ダンパD2が中間位置P23に配置されているため、この場合の第1領域R1のサイズは、上述した「(1)車室内の温度の調整のみが行われる場合」の第1領域R1のサイズと比べて小さい。
エバポレータ4の第1領域R1を通過した車室用空気は、下流側通路94に流入する。この車室用空気は、中間位置P33に配置されているダンパD3により、車室側通路94bに導かれる。車室側通路94bを流れる車室用空気は、ダンパD4の位置に基づいてヒータ96を通過又は迂回した後、供給口91c~91eの少なくとも1つを介して、車両100の車室に供給される。
(3)吸気の冷却のみが行われる場合
エンジン120のノッキングが生じるおそれが比較的高く、且つ、車両100の乗員が空調装置9に運転を指示していない場合、吸気冷却システム1及び空調装置9は、車室内の温度を調整することなく、吸気を冷却するように動作する。このとき、ブロワ95は駆動することなくコンプレッサ31が駆動し、膨張弁37は開状態となる。
ダンパD1は、第2位置P12に配置される。これにより、連絡通路92がダンパD1により遮蔽される。ダクト97を介してケーシング91内に取り込まれた吸気は、矢印A12で示されるように、上流側通路93に流入する。
ダンパD2は、入口側位置P22に配置される。ダクト97を介して上流側通路93に流入した吸気は、エバポレータ4の第2領域R2に供給される。ダンパD2が入口側位置P22に配置されているため、この場合の第2領域R2のサイズは、上述した「(1)車室内の温度の調整のみが行われる場合」及び「(2)吸気の冷却及び車室内の温度の調整が行われる場合」の第2領域R2のサイズと比べて大きい。
エバポレータ4の第2領域R2を通過して冷却された吸気は、下流側通路94に流入する。この吸気は、入口側位置P32に配置されているダンパD3により、矢印A13で示されるように、エンジン側通路94aに導かれる。そして、ケーシング91の供給口91bから吸気ダクト130に供給され、吸気ダクト130内の吸気通路130aを流れて、エンジン120の燃焼室121に供給される。
また、ブロワ95から吹き出されて上流側通路93に流入した車室用空気が、エバポレータ4の第1領域R1に供給される。ダンパD2が入口側位置P22に配置されているため、この場合の第1領域R1のサイズは、上述した「(1)車室内の温度の調整のみが行われる場合」や「(2)吸気の冷却及び車室内の温度の調整が行われる場合」の第1領域R1のサイズと比べて小さい。
エバポレータ4の第1領域R1を通過した車室用空気は、下流側通路94に流入する。この車室用空気は、入口側位置P32に配置されているダンパD3により、車室側通路94bに導かれる。車室側通路94bを流れる車室用空気は、ダンパD4の位置に基づいてヒータ96を通過又は迂回した後、供給口91c~91eの少なくとも1つを介して、車両100の車室に供給される。
<コントローラが実行する処理>
次に、図4乃至図10を参照しながら、コントローラ6が実行する処理について説明する。図4乃至図6は、コントローラ6が実行する処理を示すフローチャートである。図7乃至図10は、エバポレータ4及びダンパD2,D3を示す模式図である。
まず、コントローラ6は、図4に示されるステップS1で、空調装置9が運転中であるか否かを判定する。空調装置9が運転中であると判定した場合(S1:YES)、コントローラ6は、ステップS2に進む。
ステップS2で、コントローラ6は、車室用空気の冷却のためにエバポレータ4に供給する必要がある冷媒の流量Qrが、閾値Qr1以上であるか否かを判定する。例えば夏季に乗員が車両100に乗り込んだ直後など、車室内の温度と目標温度とが大きく乖離している場合は、流量Qrも大きくなる。流量Qrが閾値Qr1以上であると判定した場合(S2:YES)、コントローラ6は、車室用空気の冷却を優先させるべく、ステップS3に進む。
ステップS3で、コントローラ6は、ダンパD2を出口側位置P21に配置し、ダンパD3を出口側位置P31に配置する。これにより、ブロワ95が吹き出した車室用空気は、図7に矢印A71,A72で示されるように、エバポレータ4の第1領域R1を通過する。
ステップS4で、コントローラ6は、膨張弁37の開度を比較的大きいVo1に設定する。これにより、入口41aからエバポレータ4内に流入する液相冷媒の流量が比較的大きくなり、エバポレータ4内における液相冷媒及び気相冷媒の分布は、概ね図7に示されるとおりとなる。すなわち、第1領域R1の広範囲に亘って液相冷媒が存在する。これにより、車室用空気は、第1領域R1を通過する際に液相冷媒と熱交換を行い、迅速に冷却される。
ステップS5で、コントローラ6は、過熱度SHを算出する。過熱度SHは、エバポレータ4における冷媒の気化の度合を示す指標である。過熱度SHが過大である場合は、冷媒が入口41aに近い範囲で気化してしまい、液相冷媒がエバポレータ4内の十分な範囲に存在していないと推定される。一方、過熱度SHが過小である場合は、エバポレータ4内で冷媒が十分に気化しておらず、出口41bから液相冷媒が流出するおそれがあると推定される。冷媒が液相のまま、第3冷媒通路23によりコンプレッサ31に供給されると、コンプレッサ31が冷媒を圧縮する際の負荷が過大となり、コンプレッサ31が損傷するおそれがある。したがって、過熱度SHは適正範囲に維持される必要がある。
過熱度SHを算出する際、コントローラ6は、まず、冷媒圧力センサ55から受信する検知信号に基づいて所定の演算をおこなうことにより、膨張弁37とエバポレータ4との間を流れる冷媒の圧力PLを取得する。次に、コントローラ6は、この圧力PLに基づいて、メモリに記憶されているマップを参照することにより、冷媒の飽和温度を特定する。次に、コントローラ6は、温度センサ52から受信する検知信号に基づいて所定の演算を行うことにより、エバポレータ4の冷媒通路41の出口41bにおける冷媒の温度Tを取得する。そして、コントローラ6は、冷媒の飽和温度と、出口41bにおける冷媒の温度Tとに基づいて所定の演算を行うことにより、過熱度SHを算出する。
ステップS6で、コントローラ6は、膨張弁37の開度を調整するための第1調整処理を実行する。図5を参照しながら、この第1調整処理について説明する。第1調整処理は、膨張弁37の開度を比較的大きくした場合に実行される処理である。
ステップS21で、コントローラ6は、過熱度SHが閾値SH11よりも大きく且つ閾値SH12よりも小さいか否かを判定する。閾値SH11,SH12は、それぞれ、膨張弁37の開度を比較的大きくした場合に過熱度SHが適正範囲にあるか否かを評価するための下限値、上限値である。過熱度SHが閾値SH11よりも大きく且つ閾値SH12よりも小さいと判定した場合(S21:YES)、すなわち、過熱度SHが適正範囲にある場合、コントローラ6はステップS22に進む。そして、ステップS22で、コントローラ6は、膨張弁37の開度を維持する。
これに対し、過熱度SHが閾値SH11よりも大きく且つ閾値SH2よりも小さいと判定しなかった場合(S21:NO)、すなわち、過熱度SHが適正範囲にない場合、コントローラ6はステップS23に進む。
ステップS23で、コントローラ6は、過熱度SHが閾値SH11以下であるか否かを判定する。過熱度SHが閾値SH11以下であると判定した場合(S23:YES)、すなわち、過熱度SHが過小である場合、コントローラ6はステップS24に進む。
ステップS24で、コントローラ6は、膨張弁37の開度を減少させる。これにより、膨張弁37を介してエバポレータ4に供給される液相冷媒の流量が減少し、過熱度SHが上昇する。
一方、ステップS23で、過熱度SHが閾値SH11以下であると判定しなかった場合(S23:NO)、すなわち、過熱度SHが過大である場合、コントローラ6はステップS25に進む。そして、ステップS25で、コントローラ6は、膨張弁37の開度を増加させる。これにより、膨張弁37を介してエバポレータ4に供給される液相冷媒の流量が増加し、過熱度SHが低下する。
再び図4を参照しながら説明を続ける。ステップS2で、流量Qrが閾値Qr1以上であると判定しなかった場合(S2:NO)、コントローラ6は、ステップS7に進む。
ステップS7で、コントローラ6は、ダンパD2を中間位置P23に配置し、ダンパD3を中間位置P33に配置する。これにより、ブロワ95が吹き出した車室用空気は、図8に矢印A81,A82で示されるように、エバポレータ4の第1領域R1を通過する。このときの第1領域R1のサイズは、ダンパD2,D3が出口側位置P21,P31に配置されている場合のもの(図7参照)よりも小さい。また、ダクト97を介してケーシング91内に取り込まれた吸気は、矢印A83,A84で示されるように、エバポレータ4の第2領域R2を通過する。
ステップS8で、コントローラ6は、エンジン120の吸気の冷却が必要か否かを判定する。具体的には、コントローラ6は、その時点のエンジン120の駆動状態がノッキング発生域に属している場合に、エンジン120の吸気の冷却が必要であると判定する。コントローラ6は、アクセルペダル115の踏み込み量等からエンジン120への要求トルク等を算出し、エンジン120の回転数や要求トルクに基づき、メモリに記憶されているマップを参照することにより、当該判定を行う。この他にも、コントローラ6は、筒内圧力センサ54により検知される燃焼室121の圧力PCの最大値が所定の閾値を越えた場合に、エンジン120の駆動状態がノッキング発生域に属していると判定してもよい。エンジン120の吸気の冷却が必要であると判定した場合(S8:YES)、コントローラ6は、ステップS9に進む。
ステップS9で、コントローラ6は、膨張弁37の開度を比較的大きいVo2に設定する。開度Vo2は、上述したステップS4における開度Vo1よりも大きい(Vo2>Vo1)。また、開度Vo2は、エンジン120の吸気の冷却度合が高いほど、大きく設定される。これにより、入口41aからエバポレータ4内に流入する液相冷媒の流量が比較的大きくなり、エバポレータ4内における液相冷媒及び気相冷媒の分布は、概ね図8に示されるとおりとなる。液相冷媒は、第1領域R1を超えて、第2領域R2にも存在している。これにより、車室用空気、吸気は、それぞれ、第1領域R1、第2領域R2を通過する際に液相冷媒と熱交換を行い、迅速に冷却される。ステップS9の処理の実行後、コントローラ6は、ステップS10,S11で、上述したステップS5,S6と同様の処理を実行する。
これに対し、ステップS8で、エンジン120の吸気の冷却が必要であると判定しなかった場合(S8:NO)、つまり、その時点のエンジン120の駆動状態がノッキング発生域に属していない場合、コントローラ6は、ステップS12に進む。
ステップS12で、コントローラ6は、膨張弁37の開度を比較的小さいVo3に設定する。開度Vo3は、上述したステップS4における開度Vo1や、ステップS9における開度Vo2よりも小さい(Vo2>Vo1>Vo3)。これにより、入口41aからエバポレータ4内に流入する液相冷媒の流量が比較的小さくなり、エバポレータ4内における液相冷媒及び気相冷媒の分布は、概ね図9に示されるとおりとなる。液相冷媒は、第1領域R1領域の一部に存在しており、第2領域R2には存在しない。これにより、車室用空気は、第1領域R1を通過する際に液相冷媒と熱交換を行い、冷却される。
ステップS13で、コントローラ6は、上述したステップS5と同様に、過熱度SHを算出する。
ステップS14で、コントローラ6は、膨張弁37の開度を調整するための第2調整処理を実行する。図6を参照しながら、この第2調整処理について説明する。第2調整処理は、膨張弁37の開度を比較的小さくした場合に実行される処理である。
ステップS31で、コントローラ6は、過熱度SHが閾値SH21よりも大きく且つ閾値SH22よりも小さいか否かを判定する。閾値SH21,SH22は、それぞれ、膨張弁37の開度を比較的小さくした場合に過熱度SHが適正範囲にあるか否かを評価するための下限値、上限値である。過熱度SHが閾値SH21よりも大きく且つ閾値SH22よりも小さいと判定した場合(S31:YES)、すなわち、過熱度SHが適正範囲にある場合、コントローラ6はステップS32に進む。そして、ステップS32で、コントローラ6は、膨張弁37の開度を維持する。
これに対し、過熱度SHが閾値SH11よりも大きく且つ閾値SH2よりも小さいと判定しなかった場合(S31:NO)、すなわち、過熱度SHが適正範囲にない場合、コントローラ6はステップS33に進む。
ステップS33で、コントローラ6は、過熱度SHが閾値SH22以上であるか否かを判定する。過熱度SHが閾値SH22以上であると判定した場合(S33:YES)、すなわち、過熱度SHが過大である場合、コントローラ6はステップS34に進む。
ステップS34で、コントローラ6は、膨張弁37の開度を増加させる。これにより、膨張弁37を介してエバポレータ4に供給される液相冷媒の流量が増加し、過熱度SHが低下する。
一方、ステップS33で、過熱度SHが閾値SH22以上であると判定しなかった場合(S33:NO)、すなわち、過熱度SHが過小である場合、コントローラ6は、ステップS35に進む。そして、ステップS35で、コントローラ6は、膨張弁37の開度を減少させる。これにより、膨張弁37を介してエバポレータ4に供給される冷媒の流量が減少し、過熱度SHが増加する。
再び図4を参照しながら説明を続ける。ステップS1で、空調装置9が運転中であると判定しなかった場合(S1:NO)、コントローラ6は、ステップS15に進む。
ステップS15で、コントローラ6は、上述したステップS8と同様に、エンジン120の吸気の冷却が必要か否かを判定する。エンジン120の吸気の冷却が必要であると判定しなかった場合(S15:NO)、コントローラ6は、処理を終了する。一方、エンジン120の吸気の冷却が必要であると判定した場合(S15:YES)、コントローラ6は、ステップS16に進む。
ステップS16で、コントローラ6は、ダンパD2を入口側位置P22に配置し、ダンパD3を入口側位置P32に配置する。これにより、ダクト97を介してケーシング91内に取り込まれた吸気は、図10に矢印A101,A102で示されるように、エバポレータ4の第2領域R2を通過する。このときの第1領域R1のサイズは、ダンパD2,D3が出口側位置P21,P31や中間位置P23,P33に配置されている場合のもの(図7乃至図9参照)よりも小さい。一方、このときの第2領域R2のサイズは、ダンパD2,D3が出口側位置P21,P31や中間位置P23,P33に配置されている場合のもの(図7乃至図9参照)よりも大きい。
ステップS17で、コントローラ6は、膨張弁37の開度を比較的大きいVo2に設定する。これにより、入口41aからエバポレータ4内に流入する液相冷媒の流量が比較的大きくなり、エバポレータ4内における液相冷媒及び気相冷媒の分布は、概ね図10に示されるとおりとなる。液相冷媒は、第1領域R1を超えて、第2領域R2にも存在している。これにより、吸気は、第2領域R2を通過する際に液相冷媒と熱交換を行い、迅速に冷却される。ステップS17の処理の実行後、コントローラ6は、ステップS18,S19で、上述したステップS5,S6と同様の処理を実行する。
<作用効果>
上記構成では、車室用空気をエバポレータ4の第1領域R1に通過させて冷却し、エンジン120の吸気をエバポレータ4の第2領域R2に通過させて冷却する。エバポレータ4内の冷媒通路41の入口41a寄りに位置する第1領域R1は、第1領域R1よりも出口41b側に位置する第2領域R2と比べて、迅速且つ効果的に空気を冷却することができる。このように、車室用空気をエバポレータ4の第1領域R1において優先的に冷却することにより、吸気の冷却に先駆けて、車室用空気を迅速に冷却することが可能になる。
また、車室用空気を第1領域R1において冷却している間に、エバポレータ4の構造体における熱伝導により、第2領域R2を予冷することができる。この結果、エンジン120の吸気の冷却が必要となった場合に、第2領域R2において吸気を迅速に冷却することが可能になる。
また、吸気冷却システム1は、膨張弁37を制御するコントローラ6を備えている。コントローラ6は、エンジン120の吸気を冷却する場合は、エンジン120の吸気を冷却しない場合と比べて膨張弁37の開度を大きくする。
この構成によれば、エンジン120の吸気を冷却する場合は、エバポレータ4内の冷媒通路41において液相冷媒が存在する領域を冷媒通路41の出口41b側に拡大することができる。これにより、第2領域R2に存在する液相冷媒の量を増加させ、確実にエンジン120の吸気を冷却することが可能になる。
また、コントローラ6は、エンジン120の吸気の冷却度合が高い場合は、エンジン120の吸気の冷却度合が低い場合と比べて膨張弁37の開度を大きくする。
この構成によれば、エンジン120の吸気の冷却度合が高い場合は、エバポレータ4内の冷媒通路41において液相冷媒が存在する領域を冷媒通路41の出口41b側に拡大することができる。これにより、第2領域R2に存在する液相冷媒の量を増加させ、確実にエンジン120の吸気を冷却することが可能になる。
また、吸気冷却システム1は、エバポレータ4における第1領域R1と第2領域R2の割合を変更するダンパD2を備えている。コントローラ6は、エンジン120の吸気を冷却しない場合は、エンジン120の吸気を冷却する場合と比べて、第1領域R1の割合を大きくするようにダンパD2を制御する。
この構成によれば、空調装置9が車室に空気を供給し且つエンジン120の吸気を冷却しない場合は、空調装置9が車室に空気を供給し且つエンジン120の吸気を冷却する場合と比べて第1領域R1の割合を大きくすることにより、エバポレータ4により冷却される車室用空気の流量を大きくすることができる。この結果、エバポレータ4を大型化することなく、車室用空気の流量を十分なものにすることが可能になる。
以上説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。実施形態が備える各要素並びにその配置、材料、条件、形状及びサイズ等は、例示したものに限定されるわけではなく、適宜変更することができる。
1 吸気冷却システム
31 コンプレッサ
37 膨張弁
4 エバポレータ
41 冷媒通路
41a 入口
41b 出口
6 コントローラ
100 車両
120 エンジン
121 燃焼室
D2 ダンパ

Claims (4)

  1. 車両のエンジンの吸気を冷却する吸気冷却システムであって、
    気相の冷媒を圧縮して液相に変化させるコンプレッサと、
    前記コンプレッサから供給される冷媒を膨張させる膨張弁と、
    内部に冷媒通路が形成され、所定方向における一端部寄りの部分に前記冷媒通路の入口が設けられ、前記所定方向における他端部寄りの部分に前記冷媒通路の出口が設けられ、前記膨張弁から供給され前記冷媒通路を流れる冷媒と、外表面を前記所定方向と直交する方向に流れる空気とを熱交換させることにより、該冷媒を気化させるとともに該空気を冷却するエバポレータと、を備え、
    前記エバポレータは、
    前記車両に搭載された空調装置が車室に供給する空気が、前記入口寄りに位置する前記エバポレータの第1領域を通過し、
    前記エンジンの吸気が、前記第1領域よりも前記出口側に位置する前記エバポレータの第2領域を通過し得るように配置されている、吸気冷却システム。
  2. 前記膨張弁を制御するコントローラを備え、
    前記コントローラは、前記エンジンの吸気を冷却する場合は、前記エンジンの吸気を冷却しない場合と比べて前記膨張弁の開度を大きくする、請求項1に記載の吸気冷却システム。
  3. 前記膨張弁を制御するコントローラを備え、
    前記コントローラは、前記エンジンの吸気の冷却度合が高い場合は、前記エンジンの吸気の冷却度合が低い場合と比べて前記膨張弁の開度を大きくする、請求項1又は2に記載の吸気冷却システム。
  4. 前記エバポレータにおける前記第1領域と前記第2領域の割合を変更するダンパを備え、
    前記コントローラは、前記空調装置が車室に空気を供給し且つ前記エンジンの吸気を冷却しない場合は、前記空調装置が車室に空気を供給し且つ前記エンジンの吸気を冷却する場合と比べて、前記第1領域の割合を大きくするように前記ダンパを制御する、請求項2又は3に記載の吸気冷却システム。
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