JP4979319B2 - リチウム含有複合酸化物の製造方法 - Google Patents
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Description
M元素が少なくともMnを含有し、かつM元素源として、M元素含有カルボン酸塩水溶液を使用し、該M元素含有カルボン酸塩が、カルボキシル基を2つ以上有するか、又はカルボキシル基と水酸基若しくはカルボニル基との合計が2つ以上有するカルボン酸塩であり、かつ、酸素含有雰囲気における焼成により予め製造した、N元素源、又はN元素源及びフッ素源を含むリチウム複合酸化物粉末と上記M元素含有カルボン酸塩水溶液とを混合し、又は上記リチウム複合酸化物粉末と上記M元素含有カルボン酸塩水溶液とフッ素源とを混合し、得られる混合物から水媒体を除去した後、酸素含有雰囲気において300〜1100℃で焼成することを特徴とするリチウム含有複合酸化物の製造方法。
(2)上記M元素含有カルボン酸塩が、クエン酸、マロン酸、乳酸及び酒石酸からなる群から選ばれる少なくとも1種の酸塩である上記(1)に記載の製造方法。
(3)上記M元素含有カルボン酸塩水溶液が、pH2〜12を有する上記(1)又は(2)に記載の製造方法。
(4)粒子表面付近のMn濃度が粒子中心付近のMn濃度より高い上記(1)〜(3)のいずれかに記載の製造方法。
(5)N元素源が、ニッケル塩、コバルト塩、及びニッケル−コバルト共沈物からなる群から選ばれる少なくとも1種である上記(1)〜(4)のいずれかに記載の製造方法。
(6)N元素源が、水酸化コバルト、オキシ水酸化コバルト、四三酸化コバルト及び炭酸コバルトからなる群から選ばれる少なくとも1種である上記(1)〜(4)のいずれかに記載の製造方法。
(7)M元素が、Mnを含有し、かつ、Ti、Zr、Hf、Nb、Ta、Mg、Sn、Zn、及びAlからなる群から選ばれる少なくとも1種の元素を含む上記(1)〜(6)のいずれかに記載の製造方法。
本発明の製造方法により得られるリチウムコバルト複合酸化物などのリチウム含有複合酸化物が、何故に上記のごとき、リチウム二次電池用正極として優れた特性を発揮するかについては必ずしも明らかではないが、ほぼ次のように考えられる。
コバルト酸リチウムに代表されるリチウムコバルト複合酸化物は、電池の充電状態、つまり、リチウムイオンを引き抜いた状態では構造が不安定になり、加熱すると電解液の有機溶媒と粒子界面で反応してコバルト酸リチウムと酸化コバルトに分解し大きな発熱を生じる。一方、スピネルマンガンに代表されるリチウムマンガン複合酸化物は、リチウムイオンを引き抜いた状態での安定性は、リチウムコバルト複合酸化物より安定であり、リチウムコバルト複合酸化物との混合によって熱安定性が向上する。そこで、リチウム−コバルト−マンガン複合酸化物やリチウム−コバルト−ニッケル−マンガン複合酸化物が提案されているが、マンガンを添加すると、活物質の重量あたりの容量が低下するとともに、粉体粒子の密度が低下するので、体積あたりの容量が大きいのが問題であった。
本発明の製造方法では、粒子の表面付近のマンガン濃度が高いので少量で熱安定性に対する効果が発現し、安定性が向上し、密度低下の少ない正極活物質が得られる。さらに、少なくともマンガンを含有するM元素含有カルボン酸塩水溶液を使用し、これを他の成分の原料粉末又はリチウム複合酸化物と反応させるので、従来の固相反応や共沈反応法により得られる正極活物質に比べて高密度で、より高容量化が可能と考えられる。
上記一般式において、N元素は、Co、Mn及びはNiからなる群から選ばれる少なくとも1種である。なかでも、Co、Ni、CoとNi、MnとNi、又はCoとNiとMnである場合が好ましい。
M元素は、Co、Ni以外の遷移金属元素、Al及びアルカリ土類金属からなる群から選ばれる少なくとも1種の元素であるが、少なくともMnを含有する。ここで、上記の遷移金属元素は、周期表の4族、5族、6族、7族、8族、9族、10族、11族、又は12族の遷移金属を表す。なかでも、M元素は、Mnに加えて、Ti、Zr、Hf、Nb、Ta、Mg、Sn、Zn及びAlからなる群から選ばれる少なくとも1種の元素を含むことが好ましい。特に、容量発現性、安全性、サイクル耐久性などの見地より、M元素は、Mnに加えて、Ti、Zr、Nb、Mg又はAlを含むのが好ましい。
また、本発明において、Mn以外のM元素がMgとM2(M2はTi、Zr、Ta、及びNbからなる群から選ばれる少なくとも1種の元素である)とからなり、M2とMgが原子比で好ましくは1/40〜2/1好ましくは1/30〜1/5であり、かつyが好ましくは0.005≦y≦0.025、特に好ましくは0.01≦y≦0.02である場合には、電池性能のバランス、即ち、初期重量容量密度、初期体積容量密度、安全性、充放電サイクル安定性のバランスがよいので特に好ましい。
また、本発明において、Mn以外のM元素がMgとAlであり、さらにZrを含有すると、特に電池性能のバランス、即ち、初期重量容量密度、初期体積容量密度、安全性、充放電サイクル安定性のバランスがよいので特に好ましい。この場合、MgとAlの合計モル数の1/2〜1/20のZrの共存が好ましい。
本発明で使用される上記M元素含有カルボン酸塩水溶液の濃度は、後の工程で乾燥により水媒体を除去する必要がある点から高濃度の方が好ましい。しかし、高濃度過ぎると粘度が高くなり、正極活物質を形成する他の元素源粉末との均一混合性が低下し、またN元素源粉末に溶液が浸透しにくくなるので、好ましくは1〜30重量%、特には4〜20重量%が好ましい。
本発明において、N元素がCoである場合、リチウム複合酸化物中のLiと、N元素とM元素の合計のモル比Li/(N+M)は、特に0.97〜1.03であることが好ましい。この場合、リチウム複合酸化物の粒成長が促進され、より高密度な粒子を得ることができる。
(c)N元素源、及び必要に応じてフッ素源を含むリチウム複合酸化物粉末を酸素含有雰囲気における焼成により予め製造し、該リチウム複合酸化物粉末と、上記M元素含有カルボン酸塩水溶液と、必要に応じてフッ素源とを混合し、得られる混合物から水媒体を除去した後、酸素含有雰囲気において300〜1100℃で焼成する方法。
乾燥、造粒方式として、スプレードライを用いた場合は、造粒後の二次粒子からなる造粒粒子径は、湿式粉砕後のN元素源粉砕粒子径、噴霧形式、加圧気体供給速度、スラリー供給速度、乾燥温度等を選ぶことにより制御できる。
本発明で平均粒径(D50)とは、体積基準で粒度分布を求め、全体積を100%とした累積カーブにおいて、その累積カーブが50%となる点の粒径である、体積基準累積50%径(D50)を意味する。粒度分布は、レーザー散乱粒度分布測定装置で測定した頻度分布及び累積体積分布曲線で求められる。粒径の測定は、粒子を水媒体中に超音波処理などで充分に分散させて粒度分布を測定する(例えば、Leeds & Northrup社製マイクロトラックHRAX−100などを用いる)ことにより行なわれる。
なお、上記の(c)のプロセスでは、予めリチウム複合酸化物が形成されているので、M元素含有カルボン酸塩水溶液と混合後の焼成は、酸素含有雰囲気において300〜1100℃、好ましくは350〜650℃で行うことができる。
リチウム含有複合酸化物粒子の場合、平均粒径(D50)とは、一次粒子が相互に凝集、焼結してなる二次粒径についての体積平均粒径であり、粒子が一次粒子のみからなる場合は、一次粒子についての体積平均粒径を意味する。
[例1]
コバルト含量が59.8%である、平均粒径13μmのオキシ水酸化コバルト198.87gと、リチウム含量が18.7%の炭酸リチウム76.43g、水酸化マグネシウム
1.20g、水酸化アルミニウム1.60gとを乳鉢で混合し、酸素含有雰囲気下990℃で14時間焼成し、Li1.0Co0.98Mg0.01Al0.01O2を得た。
焼成物を解砕し得られたリチウム含有複合酸化物粉末の粒度分布をレーザー散乱式粒度分布測定装置を用いて水溶媒中にて測定した結果、平均粒径D50が12.3μm、D10が5.7μm、D90が18.7μmであり、BET法により求めた比表面積が0.28m2/gの略球状のリチウム含有複合酸化物粉末を得た。
このリチウム含有複合酸化物粉末について、X線回折装置(理学電機社製RINT 2100型)を用いてX線回折スペクトルを得た。CuKα線を使用した粉末X線回折において、2θ=66.5±1°の(110)面の回折ピーク半値幅は0.111°であった。この粉末のプレス密度は3.10g/cm3であった。
このリチウム含有複合酸化物粉末について、X線回折装置(理学電機社製RINT 2100型)を用いてX線回折スペクトルを得た。CuKα線を使用した粉末X線回折において、2θ=66.5±1°の(110)面の回折ピーク半値幅は0.112°であった。この粉末のプレス密度は3.07g/cm3であった。
そして、上記正極体シートを打ち抜いたものを正極に用い、厚さ500μmの金属リチウム箔を負極に用い、負極集電体にニッケル箔20μmを使用し、セパレータには厚さ25μmの多孔質ポリプロピレンを用い、さらに電解液には、濃度1MのLiPF6/EC+DEC(1:1)溶液(LiPF6を溶質とするECとDECとの重量比(1:1)の混合溶液を意味する。後記する溶媒もこれに準じる。)を用いてステンレス製簡易密閉セル型リチウム電池をアルゴングローブボックス内で2個組み立てた。
正極体シートが、マロン酸マンガン水溶液を加える前のリチウム含有複合酸化物を用いて作製されたものである以外は、例1同様に電極を作製し、評価を行った。
その結果、25℃、2.5〜4.3Vにおける正極電極層の初期重量容量密度は、153mAh/gであり、30回充放電サイクル後の容量維持率は98.2%であった。
また、走査型差動熱量計にて5℃/分の速度で昇温して発熱開始温度を測定した結果、4.3V充電品の発熱曲線の発熱開始温度は153℃であった。
炭酸マンガン7.04gと、乳酸22.06gに水50.90gを加えて混合し、乳酸マンガン水溶液を作製した。コバルト含量が59.8%である、平均粒径13μmのオキシ水酸化コバルト195.10gと、乳酸マンガン水溶液を加えて混合しスラリーとした。このスラリーを攪拌しながら乾燥機にて120℃、4時間乾燥した。この粉末にリチウム含量が18.7%の炭酸リチウム75.76gを混合し、酸素含有雰囲気下990℃で14時間焼成し、Li1.0Co0.97Mn0.03O2を得た。焼成物を解砕し得られたリチウム含有複合酸化物粉末の粒度分布をレーザー散乱式粒度分布測定装置を用いて水溶媒中にて測定した結果、平均粒径D50が13.1μm、D10が6.5μm、D90が19.0μmであり、BET法により求めた比表面積が0.30m2/gの略球状のリチウム含有複合酸化物粉末を得た。
また、正極体シートが、上記リチウム含有複合酸化物粉末を用いて作製されものである以外は、例1と同様に電極を作製、評価を行った結果、25℃、2.5〜4.3Vにおける正極電極層の初期重量容量密度は、150mAh/gであり、30回充放電サイクル後の容量維持率は97.6%であった。
また、走査型差動熱量計にて5℃/分の速度で昇温して発熱開始温度を測定した結果、4.3V充電品の発熱曲線の発熱開始温度は168℃であった。
炭酸マンガン7.04gとコバルト含量が59.8%である、平均粒径13μmのオキシ水酸化コバルト195.10gとを乳鉢で混合した。この粉末にリチウム含量が18.7%の炭酸リチウム75.76gを混合し、酸素含有雰囲気下990℃で14時間焼成し、Li1.0Co0.97Mn0.03O2を得た。焼成物を解砕し得られたリチウム含有複合酸化物粉末の粒度分布をレーザー散乱式粒度分布測定装置を用いて水溶媒中にて測定した結果、平均粒径D50が12.5μm、D10が5.5μm、D90が18.8μmであり、BET法により求めた比表面積が0.32m2/gの略球状のリチウム含有複合酸化物粉末を得た。
また、正極体シートが、上記リチウム含有複合酸化物粉末を用いて作製されたものである以外は、例1と同様に電極を作製、評価を行った結果、25℃、2.5〜4.3Vにおける正極電極層の初期重量容量密度は、146mAh/gであり、30回充放電サイクル後の容量維持率は95.9%であった。
また、走査型差動熱量計にて5℃/分の速度で昇温して発熱開始温度を測定した結果、4.3V充電品の発熱曲線の発熱開始温度は163℃であった。
コバルト含量が59.8%である、平均粒径13μmのオキシ水酸化コバルト195.10gとリチウム含量が18.7%の炭酸リチウム75.76gとを混合し、酸素含有雰囲気下990℃で14時間焼成し、LiCoO2を得た。焼成物を解砕し得られたリチウム含有複合酸化物粉末の粒度分布をレーザー散乱式粒度分布測定装置を用いて水溶媒中にて測定した結果、平均粒径D50が12.4μm、D10が5.9μm、D90が18.5μmであり、BET法により求めた比表面積が0.29m2/gの略球状のリチウム含有複合酸化物粉末を得た。
このリチウム含有複合酸化物粉末について、X線回折装置(理学電機社製RINT 2100型)を用いてX線回折スペクトルを得た。CuKα線を使用した粉末X線回折において、2θ=66.5±1°の(110)面の回折ピーク半値幅は0.120°であった。この粉末のプレス密度は3.07g/cm3であった。
また、走査型差動熱量計にて5℃/分の速度で昇温して発熱開始温度を測定した結果、4.3V充電品の発熱曲線の発熱開始温度は170℃であった。
正極体シートが、例5におけるマロン酸及び乳酸にマンガンを溶解した水溶液で処理する前のLiCoO2を用いて作製されたものである以外は、例1同様に電極を作製、評価を行った。
その結果、25℃、2.5〜4.3Vにおける正極電極層の初期重量容量密度は、159mAh/gであり、30回充放電サイクル後の容量維持率は95.1%であった。
また、走査型差動熱量計にて5℃/分の速度で昇温して発熱開始温度を測定した結果、4.3V充電品の発熱曲線の発熱開始温度は156℃であった。
マグネシウム含量が25.8%の炭酸マグネシウム1.94gと、クエン酸7.21gに水58.25gを加えて溶解し、さらにアルミニウム含量が4.4%の乳酸アルミニウム12.6gを加え混合し、マグネシウム及びアルミニウムが溶解した水溶液を作製した。コバルト含量が59.8%である、平均粒径13μmのオキシ水酸化コバルト198.87gに、上記で作製した水溶液を加えて混合し、スラリーとした。このスラリーを攪拌しながら乾燥機にて120℃、4時間乾燥して得た粉末に、リチウム含量が18.7%の炭酸リチウム76.43gを加えて混合し、酸素含有雰囲気下990℃で14時間焼成し、Li1.0Co0.98Mg0.01Al0.01O2を得た。平均粒径D50が12.0μm、D10が5.6μm、D90が18.1μmであり、BET法により求めた比表面積が0.27m2/gの略球状のリチウム含有複合酸化物粉末を得た。
このリチウム含有複合酸化物粉末について、X線回折装置(理学電機社製RINT 2100型)を用いてX線回折スペクトルを得た。CuKα線を使用した粉末X線回折において、2θ=66.5±1°の(110)面の回折ピーク半値幅は0.111°であった。この粉末のプレス密度は3.13g/cm3であった。
このリチウム含有複合酸化物粉末について、X線回折装置(理学電機社製RINT 2100型)を用いてX線回折スペクトルを得た。CuKα線を使用した粉末X線回折において、2θ=66.5±1°の(110)面の回折ピーク半値幅は0.110°であった。この粉末のプレス密度は3.11g/cm3であった。
そして、上記正極体シートを打ち抜いたものを正極に用い、厚さ500μmの金属リチウム箔を負極に用い、負極集電体にニッケル箔20μmを使用し、セパレータには厚さ25μmの多孔質ポリプロピレンを用い、さらに電解液には、濃度1MのLiPF6/EC+DEC(1:1)溶液(LiPF6を溶質とするECとDECとの重量比(1:1)の混合溶液を意味する。後記する溶媒もこれに準じる。)を用いてステンレス製簡易密閉セル型リチウム電池をアルゴングローブボックス内で2個組み立てた。
また、他方の電池については、それぞれ4.3Vで10時間充電し、アルゴングローブボックス内で解体し、充電後の正極体シートを取り出し、その正極体シートを洗滌後、径3mmに打ち抜き、ECとともにアルミニウム製カプセルに密閉し、走査型差動熱量計にて5℃/分の速度で昇温して発熱開始温度を測定した。その結果、4.3V充電品の発熱曲線の発熱開始温度は172℃であった。
炭酸マンガン4.69gとマロン酸8.70gに水46.71gを加えて溶解し、さらにジルコニウム含量14.4%の炭酸ジルコニウムアンモニウム水溶液1.29gを加えて混合し、マンガン−ジルコニウムマロン酸塩水溶液を作製した。共沈法により合成した平均粒径15μのオキシ水酸化ニッケルコバルトNi0.8Co0.2OOHを183.38gと、マンガン−ジルコニウムマロン酸水溶液とを混合しスラリーとした。このスラリーを攪拌しながら乾燥機にて120℃、4時間乾燥し得た粉末と、リチウム含量18.7%の炭酸リチウム77.51gとを乳鉢で混合し、酸素含有雰囲気下990℃で14時間焼成し、Li1.01(Ni0.783Co0.196Mn0.02Zr0.001)0.99O2を得た。平均粒径13.8μm、D10が7.1μm、D90が19.5μmであり、比表面積が0.40m2/gの略球状のリチウム含有複合酸化物粉末を得た。
また、他方の電池については、それぞれ4.3Vで10時間充電し、アルゴングローブボックス内で解体し、充電後の正極体シートを取り出し、その正極体シートを洗滌後、径3mmに打ち抜き、ECとともにアルミニウム製カプセルに密閉し、走査型差動熱量計にて5℃/分の速度で昇温して発熱開始温度を測定した。その結果、4.3V充電品の発熱曲線の発熱開始温度は176℃であった。
共沈法により合成した平均粒径15μのオキシ水酸化ニッケルコバルトNi0.8Co0.2OOHを187.59gと、リチウム含量18.7%の炭酸リチウム77.41gとを乳鉢で混合し、酸素含有雰囲気下990℃で14時間焼成し、Li1.01(Ni0.8Co0.2)0.99O2を得た。平均粒径13.5μm、D10が7.1μm、D90が19.1μmであり、比表面積が0.42m2/gの略球状のリチウム含有複合酸化物粉末を得た。
また、他方の電池については、それぞれ4.3Vで10時間充電し、アルゴングローブボックス内で解体し、充電後の正極体シートを取り出し、その正極体シートを洗滌後、径3mmに打ち抜き、ECとともにアルミニウム製カプセルに密閉し、走査型差動熱量計にて5℃/分の速度で昇温して発熱開始温度を測定した。その結果、4.3V充電品の発熱曲線の発熱開始温度は169℃であった。
Claims (7)
- リチウム源、N元素源及びM元素源を含む混合物、又はリチウム源、N元素源、M元素源及びフッ素源を含む混合物を焼成することによる、一般式LipNxMyOzFa(但し、Nは、Co、Mn及びNiからなる群から選ばれる少なくとも1種の元素であり、Mは、Co及びNi以外の遷移金属元素、Al及びアルカリ土類金属元素からなる群から選ばれる少なくとも1種の元素であり、0.9≦p≦1.2、0.95≦x<2.00、0<y≦0.05、1.9≦z≦4.2、0≦a≦0.05)で表されるリチウム含有複合酸化物の製造方法であって、
M元素が少なくともMnを含有し、かつM元素源として、M元素含有カルボン酸塩水溶液を使用し、該M元素含有カルボン酸塩が、カルボキシル基を2つ以上有するか、又はカルボキシル基と水酸基若しくはカルボニル基との合計が2つ以上有するカルボン酸塩であり、かつ、酸素含有雰囲気における焼成により予め製造した、N元素源、又はN元素源及びフッ素源を含むリチウム複合酸化物粉末と上記M元素含有カルボン酸塩水溶液とを混合し、又は上記リチウム複合酸化物粉末と上記M元素含有カルボン酸塩水溶液とフッ素源とを混合し、得られる混合物から水媒体を除去した後、酸素含有雰囲気において300〜1100℃で焼成することを特徴とするリチウム含有複合酸化物の製造方法。 - 上記M元素含有カルボン酸塩が、クエン酸、マロン酸、乳酸及び酒石酸からなる群から選ばれる少なくとも1種の酸塩である請求項1に記載の製造方法。
- 上記M元素含有カルボン酸塩水溶液が、pH2〜12を有する請求項1又は2に記載の製造方法。
- 粒子表面付近のMn濃度が粒子中心付近のMn濃度より高い請求項1〜3のいずれか1項に記載の製造方法。
- N元素源が、ニッケル塩、コバルト塩、及びニッケル−コバルト共沈物からなる群から選ばれる少なくとも1種である請求項1〜4のいずれか1項に記載の製造方法。
- N元素源が、水酸化コバルト、オキシ水酸化コバルト、四三酸化コバルト及び炭酸コバルトからなる群から選ばれる少なくとも1種である請求項1〜4のいずれか1項に記載の製造方法。
- M元素が、Mnを含有し、かつ、Ti、Zr、Hf、Nb、Ta、Mg、Sn、Zn、及びAlからなる群から選ばれる少なくとも1種の元素を含む請求項1〜6のいずれか1項に記載の製造方法。
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