JP4978032B2 - プリント配線板及びその製造方法 - Google Patents

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本発明は、プリント配線板の配線層に抵抗素子を予め作り込んだ抵抗素子内蔵プリント配線板及びその製造方法に関する。
近年、電子機器の小型化、高機能化の動向に伴い、プリント配線板の配線密度向上の要求が高まっている。 それらの要求に伴い、基板の中に受動素子を作り込み高密度化する技術が広く展開されようとしている。
プリント配線板内部に受動素子のひとつである抵抗体を形成する手段として、絶縁基板上に銅配線により電極を形成し、その電極間に導電性物質と樹脂を混合してなる抵抗ペーストをスクリーン印刷、焼成して形成する手法が報告されている。
図3はその具体例を示す断面図である。図示のように、絶縁層13の上に銅配線からなる電極12が形成され、その間に抵抗体11が設けられている。
従来、銅電極部−抵抗ペースト間の接触抵抗を緩和するために、銅配線層の電極部と抵抗体との間に銀ペースト層を介在する手法が用いられてきた。すなわち、銅配線層形成から抵抗体を印刷するまでの待機時間中に、銅配線層の表面が大気により酸化され、抵抗体との接触性が低下する恐れがある。そこで、銅配線層上を銀ペーストにより被覆することによって酸化を防止する。
図4は電極部と抵抗体との間に銀ペーストを介在したプリント配線板の具体例を示す断面図である。
図示のように、絶縁層23の上に銅配線からなる電極22が形成され、その間に銀ペースト24を介して抵抗体21が設けられている。
しかし、上記銀ペースト層は表面が平滑でないために、スクリーン印刷により抵抗体を形成する際の印刷条件の制御が難しく、抵抗ペーストのかすれ、にじみ等の印刷不良が発生しやすかった。そのため、抵抗素子内蔵プリント配線板の製品間で抵抗値に大きなばらつきが生じる問題があった。さらに、長期にわたる使用により、銀電極間でイオンマイグレーションが発生し、抵抗素子の抵抗値が低下するという問題があった。
上述の問題を解決する手法として、銅電極部と抵抗ペーストの間に介在するように置換型無電解銀めっき処理により銀めっき層を形成する方法が提案されている(例えば特許文献1参照)。銀めっき処理を施すことにより、銅配線層の酸化に対して耐性が高く、かつ銅配線層表面を平滑に形成することができる。これにより、抵抗ペーストの印刷時のかすれやにじみの発生、だれを生じ難くなる。さらに、イオンマイグレーションを発生し難くなることが報告されている。
特開平11-4056号公報
しかしながら、絶縁樹脂積層前に実施する配線層の表面粗化において銀ペースト層または銀めっき層形成領域と銅配線の境界部において電気化学反応により銅配線のエッチングレートが異常に早くなり、銅配線の細りやえぐれによって断線が発生する恐れがあるという問題がある。
また、電気化学反応による銅配線の細りやえぐれの発生を防ぐ方法として、銀めっきと銅配線の境界部を抵抗体から抵抗ペーストを延長して被覆する方法が考えられる。
しかし、前述の方法で抵抗素子を形成した場合、銅配線−抵抗ペーストに界面が生じ、この界面における接触抵抗の影響が大きく、高温高湿条件下では界面の腐食等により抵抗値が大きく増大することが確認された。
そこで本発明の目的は、抵抗体のスクリーン印刷による抵抗値の作り込み精度に優れ、積層前表面粗化処理においても電気化学反応による断線が発生せず、さらに、高温高湿試験においても抵抗値変動が小さい抵抗素子内蔵プリント配線板及びその製造方法を提供することにある。
上述の目的を達成するため、本発明は、絶縁層と配線層との積層構造を有し、前記配線層は配線を有し、前記配線層の少なくとも1層に抵抗体と電極部とからなる一つ以上の抵抗素子を内蔵したプリント配線板であって、互いに離間して配置された一対の前記電極部と該両電極部がそれぞれ接続された前記配線の一部とが置換型無電解銀めっきにより被覆され、前記抵抗体は、前記置換型無電解銀めっきされた前記両電極部間に抵抗ペーストにより形成されており、前記置換型無電解銀めっきと前記配線の境界部が保護層により被覆され、前記保護層と前記抵抗体とが分離されて配置され、前記保護層は前記抵抗体を形成する抵抗ペーストと同一の抵抗ペーストで形成されていることを特徴とする。
また本発明は、絶縁層と配線層との積層構造を有し、前記配線層は配線を有し、前記配線層の少なくとも1層に抵抗体と電極部とからなる一つ以上の抵抗素子を内蔵したプリント配線板の製造方法であって、互いに離間して配置された一対の前記電極部と、前記両電極部がそれぞれ接続される前記配線とを形成する工程と、前記抵抗素子の電極部と前記配線の一部を置換型無電解銀めっきにより被覆する工程と、前記置換型無電解銀めっきされた前記電極部間に配置される前記抵抗と、前記銀めっきと前記配線の境界部のそれぞれを被覆する保護層とを、同一の抵抗ペーストを用いてスクリーン印刷版で同時に形成する工程とを備えることを特徴とする。
本発明のプリント配線板及びその製造方法によれば、抵抗ペーストからなる抵抗体と電極部の界面に銀めっき被膜が形成されているために、接触抵抗増大による抵抗値の経時変動を抑制することが可能となる。
また、保護層により被覆されることによって銀めっき被膜の表面露出領域が縮小するため、イオンマイグレーションが抑制可能となる。また、配線層と同配線層上の銀めっきの境界部が保護層により被覆されているため、上層積層工程前に実施する配線層の粗化工程において、電気化学反応に伴う配線部の断線を抑制することが可能となる。
本発明の実施の形態では、銀めっきにより被覆された電極部と、この電極部との間に抵抗ペーストにより形成された抵抗体を配置し、銀めっきと銅配線との境界部を抵抗体と分離された保護層により被覆したものである。そして、保護層に抵抗ペーストを使用することで、一種または多種の抵抗ペーストをスクリーン印刷したときにスクリーン版の仕様を一部修正することにより、スクリーン印刷により抵抗体と同時に任意のペーストからなる保護層が形成できるようになる。また、銀めっき被膜の露出面積を縮小することができるため、抵抗素子形成後、さらに上層積層工程迄の工程滞留時間中に銀めっき被膜が酸化することによる抵抗値変動を抑制することが可能となる。
さらに、保護層を抵抗体と同一の抵抗ペーストを使用することにより、スクリーン版の仕様を一部修正することで、抵抗体と同時にスクリーン印刷により保護層が形成できるために、新たに工程を増やす必要が無い。また、銀めっき被膜の露出面積を縮小することができるため、抵抗素子形成後、さらに上層積層工程迄の工程滞留時間中に銀めっき被膜が酸化することによる抵抗値変動を抑制することが可能となる。
また、抵抗体は、導電性フィラーを分散させた抵抗ペーストを用いることで、一般に高温焼成が必要とされる抵抗体形成を、250°C以下の低い温度で焼成でき、耐熱性の低い有機基板上に抵抗素子形成が可能となる。
また、銅配線の厚さを10μm以上、35μm以下となるように調整した基板を用いることにより、銀めっき処理時の細りやえぐれにも断線することなく十分な銅厚を確保でき、さらに抵抗ペースト印刷時に銅配線の凹凸の影響を受けることなく、優れた印刷特性を有することが可能となる。
さらに、保護層に導電性ペーストを使用し、厚の薄い銅配線を形成する際に、銀めっき処理時の電気化学反応による配線の細りやえぐれが引き起こす断線から回復することができる。
以下、本発明の実施の形態を図面を用いて詳細に説明する。
図1は本発明の実施の形態による抵抗素子内蔵プリント配線板を説明する図であり、図1(a)はプリント配線板における抵抗素子部分の構造例を示す断面図、図1(b)はプリント配線板における抵抗素子部分の構造例を示す平面図である。
本例における抵抗素子内蔵プリント配線板300は絶縁層33と配線層との積層構造を有し、配線層は銅配線34を有し、銅配線34の一部と該銅配線34に接続され、抵抗素子の両端部に対向して設けられた一対の電極部34a、34b上に銀めっき被膜32が形成されている。そして、電極部34aと電極部34bとの間には、抵抗ペーストからなる抵抗体31が差し渡し状態に配置され、この抵抗体31の両端部は銀めっき被膜32を介して電極部34aと電極部34bに電気的に接続されている。また、銀めっき被膜32と銅配線34の境界上部および側面部が抵抗体31とは分離され、抵抗ペーストからなる保護層35により被覆された構造になっている。
なお、抵抗体31と一対の電極部34a、34bは抵抗素子を構成する。
つまり、電極部34a、34bの表面が銀めっき被膜32により被覆されているため、電極34a、34bの表面が酸化することによる接触抵抗増大が引き起こす抵抗値変動を抑制でき、さらに銀めっき被膜32と銅配線34の境界上部および側面部が保護層35により被覆されているため、抵抗素子形成後において積層前処理として銅配線の表面粗化処理等を施すことにより生じる、銀めっきと銅配線の境界上部の電気化学反応による線の細りやえぐれを防止することができる。
したがって、本例における抵抗素子は、銅配線の一部が抵抗素子の電極の役割を果たし、この銅電極上に置換型無電解銀めっき被膜を介して抵抗体が形成されており、かつ銅配線と該銅配線上の銀めっきの境界部を保護している保護層が抵抗体とは分離されているため、抵抗体と銅電極間に界面は生じず、抵抗体と銅電極間の接触抵抗を抑えることができる。
また、本例における抵抗素子の保護層35は、抵抗体を形成している抵抗ペーストを使用してなる。そのため、スクリーン版を一部修正することにより、銀めっきを被覆した銅配線形成後に抵抗体をスクリーン印刷する際、同時に保護層を形成することができる。
また、本例における抵抗体31は、熱硬化性樹脂と導電性フィラーを主成分としている。ここで、前記熱硬化性樹脂としては、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ポリイミド樹脂等の熱硬化性樹脂、およびこれらを変性した樹脂、またはこれら樹脂と熱可塑性樹脂の混合物等を用いることが好ましい。また、導電性フィラーとしては、ケッチェレンブラック、アセチレンブラック、グラファイト、活性炭素等安価なカーボンを用いることが好ましい。導電性フィラー以外にシリカ等無機フィラーが添加されていても良い。市販のカーボンペーストをそのまま使用することもできる。
また、抵抗素子の保護層35は、抵抗体31を形成している導電性ペーストを使用することができる。そのため、厚さの薄い銅配線を形成する際に、銀めっき処理時の電気化学反応による配線の細りやえぐれが引き起こす断線から回復することが可能となる。
以下の実施例により本発明を詳細に説明する。
図2は、本例のプリント配線板における工程の一部を示した断面図である。まず、両面銅箔付絶縁樹脂(商品名:CCL-HL830 三菱ガス化学製)からなる絶縁層42を準備した。
次いで、ドライフィルムレジスト(商品名:RY3215 日立化成製)をロールラミネータにて110°Cで熱圧着して貼り付け、露光、現像した後エッチングすることにより配線パターンの導体層41を得た。次に、ドライフィルムを5wt%の水酸化ナトリウム水溶液に浸漬し、剥離した。
次に、ドライフィルムレジスト(商品名:RY3237 日立化成製)43をロールラミネータにて110°Cで熱圧着して貼り付け、露光、現像によりレジストフィルムが抵抗素子の電極部のみで開口したパターンを得た。次に、10wt%の硫酸水溶液(25°C)で1分間酸洗浄し、純水で洗浄後、プレディップ(商品名:SSP-700P 四国化成製)(40°C)にて40秒間浸漬し、置換銀めっき(商品名:SSP-700 四国化成製)(40°C)にて5分間処理することにより、レジストフィルムが開口している抵抗素子電極部において約0.5μm厚の置換型無電解銀めっき被膜44を形成した。次に、ドライフィルムを5wt%の水酸化ナトリウム水溶液に浸漬し、剥離した。
次に、カーボンペースト(商品名:TU-100-8M アサヒ化学研究所製)を200メッシュ、線径=40μmのステンレスメッシュ版を用いて、一対の置換銀めっきと電極との間を電気的に接続できるようにスクリーン印刷により抵抗体45を形成した。このとき、抵抗体の形成と同時に、配線と銀めっきとの境界部も被覆するように抵抗ペーストからなる保護層46を抵抗体31分離された状態に設けた。また、これとは別に、抵抗体から延長して配線と銀めっきとの境界部までも被覆するように抵抗ペーストで被覆し、抵抗体と一体となった保護層を備えた抵抗素子を設けた。印刷に使用した抵抗体のカーボンペーストは、粘度を回転粘度計(商品名:ビスコテスターVT-04 RION製)にて測定したところ、700dPa・s前後であった。また、前記一対の電極間に挟まれる抵抗素子の設計値は、幅0.6mm、長さ0.6mmであった。
このようにして抵抗体が印刷された基板を90°Cで15分間乾燥させた後、さらに窒素雰囲気下、150°Cで30分間の焼成を施した。
前述のように抵抗体を形成した基板上に、プリプレグ(商品名:GEA-67N 日立化成製)を用いて、先に抵抗体を形成した誘電体シート47を真空プレス機にて貼りあわせ、ビアホール48の形成、めっき、配線形成、ソルダーレジストパターン49の形成、端子部へのニッケル金めっき仕上げを施して、受動素子内蔵プリント配線板を製造した。
このようにして製造された受動素子内蔵プリント配線板について90°Cで4時間減圧乾燥した後に20°C、40%(定常状態)に5時間曝し、その時の抵抗値を初期値にとり、高温高湿試験(85°C、85%、200h)後の抵抗値変化を算出した。抵抵抗体から延長した保護層を設けた抵抗体の抵抗値が9.5%上昇したのに対して、抵抗体とは分離された保護層を設けたものは2.5%にとどまった。
本発明の実施の形態による抵抗素子内蔵プリント配線板の一例を示す断面図および平面図である。 図1に示す抵抗素子内蔵プリント配線板の製造工程の一部を示す断面図である。 従来の抵抗素子を内蔵したプリント配線板の一例を示す断面図である。 従来の抵抗素子を内蔵したプリント配線板の他の例を示す断面図である。
31……抵抗体、32……銀めっき被膜、33……絶縁層、34……配線、34a、34b……電極部、35……保護層、41……導体層(銅)、42……絶縁層、43……レジスト、44……銀めっき被膜、45……抵抗体、46……保護層、47……絶縁層、48……ビアホール、49……ソルダーレジスト、300……抵抗素子内蔵プリント配線板。

Claims (5)

  1. 絶縁層と配線層との積層構造を有し、前記配線層は配線を有し、前記配線層の少なくとも1層に抵抗体と電極部とからなる一つ以上の抵抗素子を内蔵したプリント配線板であって、
    互いに離間して配置された一対の前記電極部と該両電極部がそれぞれ接続された前記配線の一部とが置換型無電解銀めっきにより被覆され、
    前記抵抗体は、前記置換型無電解銀めっきされた前記両電極部間に抵抗ペーストにより形成されており
    前記置換型無電解銀めっきと前記配線の境界部が保護層により被覆され、
    前記保護層と前記抵抗体とが分離されて配置され、
    前記保護層は前記抵抗体を形成する抵抗ペーストと同一の抵抗ペーストで形成されている、
    ことを特徴とするプリント配線板。
  2. 前記抵抗素子に接続される配線が銅より形成されていることを特徴とする請求項1記載のプリント配線板。
  3. 前記抵抗体は、少なくとも熱硬化性樹脂に導電性フィラーを分散させた抵抗ペーストにより形成されていることを特徴とする請求項1または2記載のプリント配線板。
  4. 前記銅により形成された配線は、膜厚が10μm以上、35μm以下となるように調整したことを特徴とする請求項2記載のプリント配線板。
  5. 絶縁層と配線層との積層構造を有し、前記配線層は配線を有し、前記配線層の少なくとも1層に抵抗体と電極部とからなる一つ以上の抵抗素子を内蔵したプリント配線板の製造方法であって、
    互いに離間して配置された一対の前記電極部と、前記両電極部がそれぞれ接続される前記配線とを形成する工程と、
    前記抵抗素子の電極部と前記配線の一部を置換型無電解銀めっきにより被覆する工程と、
    前記置換型無電解銀めっきされた前記電極部間に配置される前記抵抗と、前記銀めっきと前記配線の境界部のそれぞれを被覆する保護層とを、同一の抵抗ペーストを用いてスクリーン印刷版で同時に形成する工程とを備える、
    ことを特徴とするプリント配線板の製造方法。
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