JP2010225990A - 印刷素子内蔵プリント配線板 - Google Patents
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Abstract
【課題】印刷素子の作り込み精度に優れ、積層前表面粗化処理においても電気化学反応による断線が発生せず、さらに、高温高湿試験においても特性変動が小さい印刷素子内蔵プリント配線板を提供すること。
【解決手段】前記配線層の少なくとも1層に一つ以上の印刷素子を配置したプリント配線板において、前記印刷素子に接続される配線が銅より形成されており、前記印刷素子の電極部が前記銅配線の一部を異種金属めっきにより被覆されたものであり、前記金属めっきにより被覆された電極部と該電極部間に印刷素子を配置し、前記金属めっきと銅配線の境界上部および側面を保護層により被覆したものであり、さらに前記保護層が印刷素子より独立した構造を有する。
【選択図】図1
【解決手段】前記配線層の少なくとも1層に一つ以上の印刷素子を配置したプリント配線板において、前記印刷素子に接続される配線が銅より形成されており、前記印刷素子の電極部が前記銅配線の一部を異種金属めっきにより被覆されたものであり、前記金属めっきにより被覆された電極部と該電極部間に印刷素子を配置し、前記金属めっきと銅配線の境界上部および側面を保護層により被覆したものであり、さらに前記保護層が印刷素子より独立した構造を有する。
【選択図】図1
Description
本発明は、プリント配線板に印刷素子をあらかじめ作りこんだ印刷素子内蔵プリント配線板に関する。
近年、電子機器の小型化、高機能化の動向にともないプリント配線板の配線密度向上の要求が高まっている。それらの要求に伴い、基板の中に受動素子を作り込み高密度化する技術が広く展開されようとしている。
プリント配線板内部に受動素子のひとつである抵抗体を形成する手段として、図4の模式断面図に示すように、絶縁基板上に銅配線により電極を形成し、その電極間に導電性物質と樹脂を混合してなる抵抗ペーストをスクリーン印刷、焼成し形成する手法が報告されている。
また、銅電極部−抵抗ペースト間の接触抵抗を緩和するために、図5の模式断面図に示すように、銅配線層の電極部と抵抗体との間に銀ペースト層を介在する手法も用いられてきた。すなわち、銅配線層形成から抵抗体を印刷するまでの待機時間中に、銅配線層の表面が大気により酸化され、抵抗体との接触性が低下する恐れがある。そこで、銅配線層上を銀ペーストにより被覆することによって、酸化を防止する。
しかし、上記銀ペースト層は表面が平滑でないために、スクリーン印刷により印刷素子を形成する際の印刷条件の制御が難しく、ペーストのかすれ、にじみ等の印刷不良が発生しやすかった。そのため、印刷素子内蔵プリント配線板の製品間で抵抗値に大きなばらつきが生じる問題があった。さらに、長期にわたる使用により、銀電極間でイオンマイグレーションが発生し、抵抗素子の抵抗値が低下するという問題があった。
上述の問題を解決する手法として、銅電極部と印刷素子の間に介在するように異種金属によるめっき処理が考案されている。代表例として、置換型無電解銀めっき処理により銀めっき層を形成する方法が発明されている(例えば、特開平11−4056号)。銀めっき処理を施すことにより、銅配線層の酸化に対して耐性が高く、かつ銅配線層表面を平滑に形成することができる。これにより、ペーストの印刷時のかすれやにじみの発生、だれを生じ難くなる。さらに、イオンマイグレーションを発生し難くなることが報告されている。
しかしながら、この配線層上に更に別の絶縁層と別の配線層とを積層して多層配線板を積層しようという場合、前記別の絶縁層を積層する前に、この別の絶縁層と配線層との接着性を改善するため、配線層の表面にエッチング処理を施して粗面化することが通常である。そして、この粗面化処理の際に、銀ペースト層または銀めっき層形成領域と銅配線の境界部において、電気化学反応により銅配線のエッチングレートが異常に早くなり、銅配線の細りやえぐれによって断線が発生する恐れがあるという問題がある。
電気化学反応による銅配線の細りやえぐれの発生を防ぐ方法として、銀めっきと銅配線の境界部を抵抗体から抵抗ペーストを延長して被覆する方法が考えられる。しかしながら、前述の方法で抵抗素子を形成した場合、銅配線−抵抗ペーストに界面が生じ、前記界面における接触抵抗の影響が大きく、高温高湿条件下では界面の腐食等により抵抗値が大きく増大することが確認された。
本発明の目的は、印刷素子の作り込み精度に優れ、積層前表面粗化処理においても電気化学反応による断線が発生せず、さらに、高温高湿試験においても特性変動が小さい印刷素子内蔵プリント配線板を提供することである。
上記課題を解決するためになされた請求項1に係る発明は、絶縁層と配線層からなる多層プリント配線板であって、前記配線層の少なくとも1層に一つ以上の印刷素子を配置したプリント配線板において、前記印刷素子に接続される配線が銅より形成されており、前記印刷素子の電極部が前記銅配線の一部を異種金属めっきにより被覆されたものであり、前記金属めっきにより被覆された電極部と該電極部間に印刷素子を配置し、前記金属めっきと銅配線の境界上部および側面を保護層により被覆したものであり、さらに前記保護層が印刷素子より独立した構造を有することを特徴とするプリント配線板である。
このように、印刷素子の電極部が、銅と異なる異種金属のめっきにより形成されているので、素子と電極部界面における接触抵抗の変動を抑制するための材料設計において自由度が広がった。
また、印刷素子の電極部上に形成されるめっき層による電極構造は、銀ペーストを電極部上に形成する場合と比較して、電極部分の厚みを薄くできるため、従来の様にペースト印刷時におけるかすれ、にじみ等の印刷不良を軽減することが可能となった。
また、電気化学反応が起こりやすいめっき境界部を保護層で被覆しているため銅配線の細りやえぐれによる断線を防ぐことが可能となった。さらに、保護層が印刷素子より独立した構造を有しており、保護層が印刷素子と物理的に離隔して設けられているため、銅配線層との界面を生じることなく素子を形成することができ、高温高湿条件下における抵抗値変動、特性変動を抑制することが可能となった。
請求項2に係る発明は、前記印刷素子が導電性ペーストより形成された抵抗素子を用いることにより、小型化、集積化が困難な抵抗体において実装面積を大幅に削減できるとともに基板厚を減少できる。
請求項3に係る発明は、前記電極部への金属めっきが置換型無電解銀めっきにより形成されている。無電解銀めっき処理を施すことにより、銅配線層の酸化に対して耐性が高くなり、かつ銅配線層表面を平滑に形成することができるようになった。これにより、ペーストの印刷時のかすれやにじみの発生、だれを生じ難くなる。さらに、イオンマイグレーションを発生し難くなった。
請求項4に係る発明は、金属めっきと銅配線の境界線上部および側面を保護するための保護層に未硬化の熱硬化性樹脂を使用することにより、めっき境界線上部に保護層が密着しやすく大気中での暴露を防ぐことが可能となった。また、印刷素子同様スクリーン印刷機を用いて形成し、素子同様にオーブンによる焼成、硬化が可能なため、保護層用としてスクリーン版の一部を修正するだけで新たな設備等の導入は不要となった。
請求項5に係る発明は、前記保護層に印刷素子と同一のペーストを使用することにより
、スクリーン印刷したときにスクリーン版の仕様を一部修正することにより、スクリーン印刷により抵抗体と同時に任意のペーストからなる保護層が形成できるようになった。さらに銀めっき被膜の露出面積を縮小することができるため、抵抗素子形成後、さらに上層積層工程迄の工程滞留時間中に銀めっき被膜が酸化することによる抵抗値変動を抑制することが可能となった。
、スクリーン印刷したときにスクリーン版の仕様を一部修正することにより、スクリーン印刷により抵抗体と同時に任意のペーストからなる保護層が形成できるようになった。さらに銀めっき被膜の露出面積を縮小することができるため、抵抗素子形成後、さらに上層積層工程迄の工程滞留時間中に銀めっき被膜が酸化することによる抵抗値変動を抑制することが可能となった。
請求項6に係る発明は、前記保護層は、電極間に形成される抵抗体と同一の抵抗ペーストを使用していることを特徴とする抵抗素子内蔵プリント配線板である。このとき、スクリーン版の仕様を一部修正することにより、抵抗体と同時にスクリーン印刷により保護層が形成できるために、新たに工程を増やす必要が無くなった。
請求項7に係る発明は、前記抵抗体は、導電性フィラーを分散させた抵抗材料を用いることで、一般に高温焼成が必要とされる抵抗体形成を、250℃以下の低い温度で焼成でき、耐熱性の低い有機基板上に抵抗素子形成が可能となった。
請求項8に係る発明は、銅配線層を銅厚が10μm以上、35μm以下となるように調整した基板を用いることにより、銀めっき処理時の細りやえぐれにも断線することなく十分な銅厚を確保でき、さらに抵抗ペースト印刷時に銅配線層の凹凸の影響を受けることなく、優れた印刷特性を有することが可能となった。
請求項9に係る発明は、前記保護層は、導電性ペーストを使用してなり、銅厚の薄い銅配線層を形成する際に、銀めっき処理時の電気化学反応による配線の細りやえぐれが引き起こす断線から回復することができる。
請求項10に係る発明は、前記保護層として用いる導電性ペーストに電気伝導率の高い銀ペーストを用いることにより、銀めっき処理時にめっき境界において断線が発生した際も断線による抵抗を発生させず、素子の電気的特性を劣化させることがなくなった。
本発明によれば、抵抗ペーストからなる抵抗体と銅電極の界面に銀めっき被膜が形成されているために、接触抵抗増大による抵抗値の経時変動を抑制することが可能となった。
また、保護層により被覆されることによって銀めっき被膜の表面露出領域が縮小するため、イオンマイグレーションが抑制可能となった。また銅配線層と同銅配線層上の銀めっきの境界部が保護層により被覆されているため、上層積層工程前に実施する配線層粗化工程において、電気化学反応に伴う銅配線部の断線を抑制することが可能となった。
本発明の実施形態の一例を説明する。
図1は、本発明の抵抗素子内蔵プリント配線板における抵抗素子構成を図2のX−Y断面で示した模式断面図である。また、図2はその模式平面図である。
本発明における抵抗素子内蔵プリント配線板では、抵抗素子の銅電極部上に銀めっき被膜が形成されており、抵抗素子電極部間に、抵抗ペーストからなる抵抗体が電気的に接続し、かつ銀めっきと銅配線の境界上部および側面が抵抗体とは独立した保護層により被覆するように形成された構造になっている。
つまり、抵抗素子電極部の表面が銀めっき被膜により被覆されているため、銅電極表面が酸化することによる接触抵抗増大が引き起こす抵抗値変動を抑制でき、さらに銀めっきと銅配線の境界上部および側面が保護層により被覆されているため、抵抗素子形成後において積層前処理として銅配線層の表面粗化処理等を施すことにより生じる、銀めっきと銅配線の境界上部の電気化学反応による配線層の細りやえぐれを防止することができる。
本発明における抵抗素子は、銅配線の一部が電極の役割を果たし、この銅電極上に置換型無電解銀めっき被膜を介して抵抗体が形成されており、かつ、銅配線層と同銅配線層上の銀めっきの境界部を保護している保護層が抵抗体より独立しているため、抵抗体と銅電極間に界面は生じず、抵抗体と銅電極間の接触抵抗を抑えることができる。
本発明における抵抗素子の保護層は、抵抗体を形成している抵抗ペーストを使用することができる。そのため、スクリーン版を一部修正することにより、銀めっきを被覆した銅配線形成後に抵抗体をスクリーン印刷する際、同時に保護層を形成することができる。
本発明における抵抗体は、熱硬化性樹脂と導電性フィラーを主成分とするものが使用できる。ここで、前記熱硬化性樹脂としては、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ポリイミド樹脂等の熱硬化性樹脂、およびこれらを変性した樹脂、またはこれら樹脂と熱可塑性樹脂の混合物等を用いることが好ましい。また、導電性フィラーとしては、ケッチェレンブラック、アセチレンブラック、グラファイト、活性炭素等安価なカーボンを用いることが好ましい。導電性フィラー以外にシリカ等無機フィラーが添加されていても良い。市販のカーボンペーストをそのまま使用することもできる。
本発明における抵抗素子の保護層は、抵抗体を形成している導電性ペーストをそのまま使用することができる。そのため、銅厚の薄い銅配線層を形成する際に、銀めっき処理時の電気化学反応による配線の細りやえぐれが引き起こす断線から回復することが可能となる。
以下の実施例により本発明を詳細に説明する。図4は、本発明の受動素子内蔵プリント配線板における工程の一部を示した模式断面図である。まず、両面銅箔付絶縁樹脂(商品名:CCL−HL830 三菱ガス化学製)からなる絶縁層を準備した。
次いで、ドライフィルムレジスト(商品名:RY3215 日立化成製)をロールラミネータにて110℃で熱圧着して貼り付け、露光、現像した後エッチングすることにより配線パターンの導体層を得た。次に、前記ドライフィルムを5wt%の水酸化ナトリウム水溶液に浸漬し、剥離した。
次に、ドライフィルムレジスト(商品名:RY3237 日立化成製)をロールラミネータにて110℃で熱圧着して貼り付け、露光、現像によりレジストフィルムが抵抗素子の電極部のみで開口したパターンを得た。次に、10wt%の硫酸水溶液(25℃)で1分間酸洗浄し、純水で洗浄後、プレディップ(商品名:SSP−700P 四国化成製)(40℃)にて40秒間浸漬し、置換銀めっき(商品名:SSP−700 四国化成製)(40℃)にて5分間処理することにより、レジストフィルムが開口している抵抗素子電極部において約0.5μm厚の置換型無電解銀めっき被膜を形成した。次に、前記ドライフィルムを5wt%の水酸化ナトリウム水溶液に浸漬し、剥離した。
次に、カーボンペースト(商品名:TU−100−8M アサヒ化学研究所製)を200メッシュ、線径=40μmのステンレスメッシュ版を用いて、一対の前記置換銀めっき電極間を電気的に接続できるようにスクリーン印刷により抵抗体を形成した。このとき、抵抗体の形成と同時に、前記抵抗体と独立した状態、および抵抗体から延長しての前記銀めっきとの境界部も被覆するように抵抗ペーストからなる保護層を設けた。印刷に使用した抵抗体のカーボンペーストは、粘度を回転粘度計(商品名:ビスコテスターVT−04
RION製)にて測定したところ、700dPa・s前後であった。また、前記一対の電極間に挟まれる抵抗素子の設計値は、幅0.6mm、長さ0.6mmであった。
RION製)にて測定したところ、700dPa・s前後であった。また、前記一対の電極間に挟まれる抵抗素子の設計値は、幅0.6mm、長さ0.6mmであった。
このようにして抵抗体が印刷された基板を90℃で15分間乾燥させた後、さらに窒素雰囲気下、150℃で30分間の焼成を施した。
前述のように抵抗体を形成した基板上に、プリプレグ(商品名:GEA−67N 日立化成製)を用いて、先に抵抗体を形成した誘電体シートを真空プレス機にて貼りあわせ、ビアホール形成、めっき、配線形成、ソルダーレジストパターン形成、端子部へのニッケル金めっき仕上げを施して、受動素子内蔵プリント配線板を製造した。
このようにして製造された受動素子内蔵プリント配線板について90℃で4時間減圧乾燥した後に20℃、40%(定常状態)に5時間曝し、その時の抵抗値を初期値にとり、高温高湿試験(85℃、85%、200h)後の抵抗値変化を算出した。抵抗体から延長した保護層を設けた抵抗体の抵抗値が9.5%上昇したのに対して、抵抗体と独立した保護層を設けたものは2.5%にとどまった。
Claims (10)
- 絶縁層と配線層からなる多層プリント配線板であって、前記配線層の少なくとも1層に一つ以上の印刷素子を配置したプリント配線板において、前記印刷素子に接続される配線が銅より形成されており、前記印刷素子の電極部が前記銅配線の一部を異種金属めっきにより被覆されたものであり、前記金属めっきにより被覆された電極部と該電極部間に印刷素子を配置し、前記金属めっきと銅配線の境界上部および側面を保護層により被覆したものであり、さらに前記保護層が印刷素子より独立した構造を有することを特徴とする印刷素子内蔵プリント配線板。
- 前記印刷素子が導電性ペーストにより形成された抵抗素子であることを特徴とする請求項1記載のプリント配線板。
- 前記金属めっきが置換型無電解銀めっきにより形成されたことを特徴とする請求項1記載のプリント配線板。
- 前記保護層が未硬化の熱硬化性樹脂を使用して形成されることを特徴とする請求項1記載のプリント配線板。
- 前記保護層が印刷素子と同一のペーストにより形成されたことを特徴とする請求項2記載のプリント配線板。
- 前記保護層が、スクリーン印刷版を用いて、抵抗体と同時に形成されたものであることを特徴とする請求項5記載のプリント配線板。
- 前記抵抗体が、少なくとも熱硬化性樹脂に導電性フィラーを分散させた抵抗材料により構成されていることを特徴とする請求項1記載のプリント配線板。
- 前記銅配線層の厚みが10μm〜35μmであることを特徴とする請求項1記載のプリント配線板。
- 前記保護層が導電性ペーストにより形成されていることを特徴とする請求項1記載のプリント配線板。
- 前記保護層が銀ペーストにより形成されていることを特徴とする請求項1記載のプリント配線板。
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JP2009073566A JP2010225990A (ja) | 2009-03-25 | 2009-03-25 | 印刷素子内蔵プリント配線板 |
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CN111725436A (zh) * | 2020-06-09 | 2020-09-29 | 武汉华星光电半导体显示技术有限公司 | 基板及其制备方法、显示面板 |
-
2009
- 2009-03-25 JP JP2009073566A patent/JP2010225990A/ja active Pending
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