JP2007027238A - 抵抗素子、それを内蔵した多層配線基板および抵抗素子の抵抗値調整方法 - Google Patents

抵抗素子、それを内蔵した多層配線基板および抵抗素子の抵抗値調整方法 Download PDF

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Abstract

【課題】配線基板に内蔵する抵抗素子を形成する際に抵抗体の形成時に形成不良が発生するとトリミングの範囲を超えてしまい、抵抗値を調整することができなかった。
【解決手段】本発明では、第一の電極と第二の電極と両電極間を接続する抵抗体とを備え、抵抗体をトリミングすることで抵抗値の調整が可能な抵抗素子において、前記第二の電極の端部は前記第一の電極の端部に対して傾斜している、あるいは前記第二の電極の端部は曲線であることを特徴とする抵抗素子とすることで、同じ基本形状の抵抗素子から大きな幅を持って抵抗値を調整することが可能となった。また、精度の高い加工が行える抵抗素子を得ることができた。
【選択図】図1

Description

本発明は、内部に抵抗素子を有するプリント配線板において、絶縁基板上へ一対の電極とその間に配置された抵抗体からなる抵抗素子を内蔵したプリント配線板の製造方法に係るものであり、特に、従来の方法より、抵抗体のトリミング調整範囲が広く、抵抗体の不良率を減少することができる。
近年、携帯電話やデジカメなどの機器の小型化と軽量化が進むにつれて、プリント配線板に実装する素子においては、素子の小型化や素子同士の間隔の削減といった従来の実装技術は対応が難しくなり、これら素子をプリント配線板内に内蔵した素子内蔵多層プリント配線基板への期待が高まっている。受動素子(キャパシタ、抵抗、インダクタ)は既存のチップ素子を埋め込めば機器メーカーが必要とする特性を比較的容易に満たすことができるが、素子を内蔵した基板が厚くなってしまうという問題点がある。薄い部品や薄膜素子で十分に特性を満たすことができる方法の開発などが急がれている。
抵抗素子の抵抗値は、同じ材料によって抵抗体を形成した場合、その抵抗素子の電極間の距離と抵抗体の断面積によって決定される。抵抗素子の抵抗値を所望の値にするために、基板上に抵抗素子を形成した後に、抵抗値を調整するためにレーザー加工を用いたトリミングという手法が用いられている(図5)。トリミングは、形成した抵抗素子の抵抗値を測定しながらレーザー加工によって抵抗体部分を切断して断面積を減少させ、目的の値まで抵抗値を切断上昇させるものである。
トリミングの手法には、特許文献1のように抵抗体を切断するだけではなく、加熱によって抵抗値を調整する方法もあるが、この方法では抵抗の調整範囲が狭いという欠点がある。
特願平4−95350
カーボンペーストを抵抗体にした抵抗素子は、印刷によって配線電極上にカーボンペーストインクを印刷して形成するか、ニッケル、鉄、リン等を含む金属皮膜をめっきによって形成する方法が採られている。しかし、印刷法の場合は、印刷の状況や配線の密度や電極配置によってカーボンペーストのインク厚みが変化し、抵抗素子の抵抗値にバラツキが発生していた。また、場合によっては印刷不良などが発生し、形成した抵抗素子の抵抗値が予想よりも大きくなり、トリミングによって抵抗値を調整することができない場合があった。
トリミングは、一般に抵抗体部分をトリミング用のレーザー加工によって抵抗体を切断し抵抗値を高くすることで所望の抵抗値に調整している(図5)。印刷不良によって抵抗値が高くなった場合には、それ以上調整することができないため、その抵抗素子は不良となってしまう。
一方、めっき抵抗皮膜で形成した抵抗体についても、めっき抵抗皮膜自体の抵抗値が低いため、例えば酸に浸漬するなどして抵抗体の抵抗値をあげる処理を施すことがある。また、めっき抵抗皮膜は形成後の加熱処理によっても抵抗値が変動する。これらの変化の程度は予測することが難しく、目標とする抵抗値に納めることが難しいという問題があった。
これを使用可能な範囲に調整するために印刷抵抗同様にトリミングを行うが、現在の抵抗素子構造では調整できる範囲が狭く、抵抗素子が不良品となる問題があった。
さらにめっき抵抗素子の場合は特に抵抗体面積が小さく、現行のトリミング用レーザーのスポットサイズでは、十分な抵抗値となるまで抵抗体をトリミングすることが困難という問題もあった。
そして、印刷かめっきかにかかわらず、抵抗素子を多層配線基板の内層に埋め込む場合には、素子と基板が一体となるため、一つの素子の不良によって基板全体が損なわれてしまう。よって収率の悪化によって基板全体のコストが上昇するという問題があった。
請求項1に係る第一の発明は第一の電極と第二の電極と両電極間を接続する抵抗体とを備え、抵抗体をトリミングすることで抵抗値の調整が可能な抵抗素子において、前記第二の電極の端部は前記第一の電極の端部に対して傾斜していることを特徴とする抵抗素子である。
また、請求項2に係る第二の発明は、第一の電極と第二の電極と両電極間を接続する抵抗体とを備え、抵抗体をトリミングすることで抵抗値の調整が可能な抵抗素子において、少なくとも前記第二の電極の端部は曲線であることを特徴とする抵抗素子である。
第二の電極の端部は第一の電極の端部に対して傾斜しているので、または少なくとも第二の電極の端部は曲線であるので、抵抗体をトリミングする際に第一の電極の端部と第二の電極の端部の間隔のもっとも小さい部分からトリミングを開始することで、急激に抵抗素子電極の間隔が広がるため、抵抗値を大きく引き上げることが可能になる。すなわち、大きく抵抗値を調整することができるので、同じ形状の抵抗素子から、広い幅をもって所定の抵抗値に対応した抵抗素子を得ることが可能となる。
請求項3に係る第3の発明は、第一の電極及び第二の電極は表面に金、銀、パラジウムのいずれかを含むめっき皮膜を有し、当該めっき被膜を介して抵抗体と接続されていることを特徴とする請求項1または2記載の抵抗素子である。
抵抗素子電極と抵抗体とが金、銀、パラジウムのいずれかを含むめっき皮膜を介して接続されているため、電極と抵抗体の接触部の酸化を防止するので、抵抗素子が内蔵され、さまざまな環境下で配線基板が使用された場合に抵抗素子の抵抗変化を防止することができる。
請求項4に係る第4の発明は、請求項1乃至3記載の抵抗素子の抵抗値調整方法であって、第一の電極の端部と第二の電極の端部の間隔のもっとも小さい部分を含み、第二の電極の端部に沿って抵抗体をトリミングする粗調整工程と、第一の電極の端部と平行に抵抗体をトリミングする微調整工程とを具備することを特徴とする抵抗素子の抵抗値調整方法である。
第一の電極の端部と第二の電極の端部の間隔のもっとも小さい部分から第二の電極の端部に沿って抵抗体のトリミングを開始することで、急激に抵抗素子電極の間隔が広がるため、抵抗値を大きく引き上げることができる。次いで第一の電極の端部に平行にトリミングを行い抵抗体の断面積を小さくすることで、抵抗値を少しづつ引き上げることができ、所望の抵抗値に容易に調整できる。また、最初に大きく抵抗値を調整することができるので、広い幅をもって所定の抵抗値に対応させることが可能となる。
請求項5に係る第5の発明は、複数の絶縁層と複数の配線層を具備する多層配線基板において、請求項1乃至3記載の抵抗素子を形成した絶縁層を内層に具備することを特徴とする素子内蔵多層配線基板。
請求項6に係る第6の発明は、複数の絶縁層と複数の配線層を具備する多層配線基板において、配線層と請求項1乃至3記載の抵抗素子とを備える絶縁層を内層に具備し、前記第一の電極と前記第二の電極の厚みは同じ絶縁層が備える配線層よりも薄いことを特徴とする素子内蔵多層配線基板である。
抵抗素子の電極が、同じ層に設けられた配線層の厚みよりも薄いため、電極上に形成された抵抗体の厚みを吸収することができ、多層配線基板の内層に抵抗素子が納められても、上層の絶縁層に厚みの差が響きにくく、平坦な絶縁層を形成することができ、従って信頼性の高い配線の配設を行うことができる。また、抵抗体が抵抗ペーストの印刷によって形成される場合、電極の厚みが薄いためにカスレが起こりにくく、製造時の歩留まりが向上する。
本発明によれば、調整できる抵抗値の範囲が広い抵抗素子を得ることができるので、一つの基本形態から幅広い所望の抵抗値を有する抵抗素子に調整できる。そのため、抵抗素子そのものや、抵抗素子が納められている多層配線基板の良品率を著しく向上させることができる。これにより基板そのもののコストダウンにつなげることができる。
また、粗調整と微調整を行うことができる構造であるため、抵抗素子の抵抗値を所望の値に精度良く納める事ができる。
本発明の配線基板構造を図1を用いて説明する。
本発明の抵抗素子は、第一の電極と第二の電極と両電極間を接続する抵抗体とを備え、抵抗体をトリミングすることで抵抗値の調整が可能な抵抗素子であって、前記第一の電極の端部は前記第二の電極の端部に対して傾斜しているという特徴を有する。
また、本発明の抵抗素子は、第一の電極と第二の電極と両電極間を接続する抵抗体とを備え、抵抗体をトリミングすることで抵抗値の調整が可能な抵抗素子であって、少なくとも前記第二の電極の端部は曲線であるという特徴を有する。
本発明の抵抗素子を製造する方法としては、銅箔上に金属薄膜で抵抗層を形成した積層シートを用いる方法、絶縁層(コア層含む)上にめっきで抵抗皮膜を形成する方法、抵抗性の厚膜ポリマー(抵抗ペースト)を印刷する方法などがある。抵抗値、精度、形状、価格などから用途に応じて形成方法を選択していく必要がある。
本発明の抵抗素子は、例えば図1(a)に示すような抵抗素子を形成するための第一の電極1と第二の電極2を備えている。第一の電極1および第二の電極2は導電性のよい材料、通常は金属、好ましくは銅により形成されている。第二の電極の端部21は、従来の形状と異なり対向する第一の電極の端部11に対して傾斜している。
本発明の抵抗素子の他の例では、例えば図1(b)に示すような形状の抵抗素子を形成するための第一の電極1と第二の電極2を備えている。第二の電極の端部21は、従来の形状と異なり曲線である。
これらの電極上に抵抗ペーストを印刷して抵抗体3を形成することで図1(a)又は(b)に示す抵抗素子を形成することができる。抵抗ペーストは樹脂中にカーボンフィラーを分散させたものが好ましく用いられる、また、ニッケル等を含む金属皮膜をパターン状に設けることもできる。薄く均一な皮膜をパターン状に形成しやすいことから、無電解めっきを好ましく行うことができる。このようにして抵抗値調節の可能な抵抗素子を得る。この状態では、従来の抵抗素子(図5(a))と比較して傾斜した端部または曲線の端部の影響で抵抗値はかなり低くなっている。
次いで抵抗値の調節について図1(a)に示す端部が傾斜している電極を有する抵抗素子を例に取り述べる。
まず、第一の電極と第二の電極との間の抵抗値を測定しながら、所望の抵抗値に近づくまで粗調整を行う。例えば、図2(a)のように粗調整工程によるトリミングライン31のトリミングをレーザー加工により行う。
粗調整では、第一の電極と第二の電極の間の距離が最も近い部分を第二の電極の端部21に沿って抵抗体を切り離すようにレーザーをあてると、電極間の距離が広がるのと同じ効果が得られるため、大きく抵抗値を上げることができ、好ましい。
続いて抵抗素子4の抵抗値を測定しながら、第一の電極と第二の電極の間の中央付近を横切るように切断していく。例えば、図2(b)のように微調整工程によるトリミングライン32のトリミングをレーザー加工により行う。
微調整では、第一の電極と第二の電極の間の中央付近を、第一の電極と第二の電極を結ぶラインとは垂直になるように切り離して行くことで、効率よく抵抗体の断面積を縮小し、抵抗値を引き上げることができる。
このように粗調整と微調整を行うことで、一つの基本形状の抵抗素子を幅広い抵抗値に対応させることができる。また、精度の高い抵抗値の調整を行うことができる。また、抵抗体を形成する際に、抵抗ペーストが設定値より薄くなり抵抗値が高くなった場合でも調整範囲に抑え込むことが可能で、抵抗素子の収率を大幅に向上することが可能となった。
具体的には、トリミング前の抵抗値が400Ωで形成されていれば、トリミングライン31を作る過程で抵抗値を950Ωになるように加工し、次にトリミングライン32を形成することで、1KΩの抵抗に加工する。微調整工程によるトリミングラインの形成は、図6に示すように複数本行うこともできる。
次に、本発明の抵抗素子及びこれを内層の絶縁層上に具備する素子内蔵多層配線基板の製造工程について図1を用いて説明する。
本発明の抵抗素子は、絶縁性で平坦な層の上に形成することができる。最表面が絶縁性であればよく、下層に他の配線層が形成されていたり、ガラスクロス等の補強材を含んでいてもよい。導通を測るためのビアホールやスルーホールが形成されているもよい。
まず、平坦な絶縁層の上に一対の電極を、対向させて間隔を開けて形成する。この際、すくなくともいずれか一方の電極の端部は、他方の電極の端部に対して傾斜するように、あるいは曲線を有するように形成する。
電極の形成方法は、絶縁層上にパターン状に導体層を形成できる方法であればよく、パターン状にシード層を形成した上に無電解めっき、ついで電解めっきで形成する方法や、一旦一面に導体層を形成した後、必要部分をレジストで保護しエッチングをする方法などが挙げられる。絶縁層上に一面に導体層を形成する方法としては、全面にめっきを行う方法の他、金属箔に絶縁性フィルムを貼り合わせる方法や、金属箔に絶縁性材料を塗布して絶縁層とする方法が挙げられる。誘電性材料を積層すれば、隣接してキャパシタを形成することもできる。
この際、素子内蔵多層配線基板とするためには、抵抗素子電極と同工程で同じ絶縁層上に配線層も形成することが好ましい。さらに、抵抗素子電極を配線層よりも薄くなるように(図3、図4)、例えば抵抗素子電極以外をレジストで保護してエッチングするなどの方法で加工することができる。
抵抗体を印刷法により形成する際に、抵抗素子電極の厚みが20μm以上になるとスクリーン印刷時に配線層の凹凸によって印刷版が基板に追従できなくなるため、印刷のかすれが発生することがある。これを防止するため、配線パターンならびに配線電極を形成した後に、再度レジストパターンニングとエッチングを行って、配線電極部だけを膜厚が20μm以下になるようにエッチングする。この配線電極上に抵抗体を形成し、トリミングすることで精度の高い抵抗素子が得られるとともに、印刷時の印刷不良の発生も防止することができる。また、抵抗素子電極を薄くすることで、抵抗素子電極上に抵抗体を形成しても、その厚みを抵抗素子電極と配線層との厚みの差が吸収するため、上層に形成される絶縁層や配線層に素子の厚みが影響しにくく、精度の向上が期待できて好ましい。
次いで、一方の電極と他方の電極を接続するように抵抗体を形成する。配線層及び電極が形成された絶縁層(コア層含む)上にめっきで抵抗皮膜を形成する方法、やはり絶縁層上に形成された電極に対応させて抵抗性の厚膜ポリマー(抵抗ペースト)を印刷する方法などがある。
抵抗ペーストとしては、熱硬化性樹脂にカーボンフィラーを分散させたものが好ましい。抵抗ペーストはメタルマスク等を用いてスクリーン印刷によりパターン状に積層することができる。スクリーン印刷後、例えば90℃のオーブンで30分の仮ベークを行い、その後に本ベークとして200℃,60分のベークを行って硬化させ、抵抗体とする。本ベーク時には、配線基板の配線パターンが酸化するため、加熱時に窒素などの不活性ガスを流しながらベークすることが望ましい。ベーク後の抵抗体の厚みは、15μmから20μmになる程度が適当である。
抵抗素子電極上に抵抗体を形成する前に、少なくとも抵抗素子電極のうち抵抗体が積層される部分に貴金属の薄膜を形成することが好ましい。貴金属皮膜を形成したことで、抵抗体と抵抗素子電極間の接触抵抗が安定化し、さまざまな環境下でも安定した抵抗値を得ることが可能となる。
貴金属としては金、銀、パラジウム等が挙げられ、特に銀が好ましい。なかでも置換銀めっきは、銀めっき液に浸漬することで銅の配線電極上に析出するため、電極を薄くするために形成したレジストパターンを残したまま銀めっき液に浸漬することで抵抗体を形成する部分のみに銀めっきを析出させることができる。置換銀めっきは0.5μm以上の厚みで抵抗素子電極上に施すことが好ましい。
また、導体層(例えば銅箔)上に抵抗性皮膜をめっき等で形成し、これを絶縁層と貼り合わせて、あるいはこの上に絶縁性材料を塗布等により絶縁層として形成して、導体層と抵抗皮膜のパターニングを行って用いることもできる。このようにして抵抗素子電極と、これを接続する、トリミング可能な抵抗体からなる抵抗素子を得ることができる。
次いで、絶縁層上に形成された、抵抗体をトリミングすることで抵抗値の調節が可能な抵抗素子の抵抗値を測定しながら抵抗体のトリミングを行う。
先に述べたように、まず電極間の距離が最も小さい部分から、第二の電極の端部に沿って、電極間の距離を広げるように抵抗体を切り離してゆく。こうすることで抵抗素子の抵抗値を大きく引き上げることができる(粗調整工程)。
次いで、いずれかの電極に極端に近くない部分を、好ましくは電極間の中央付近を、抵抗体を横断するように切り離してゆく。こうして抵抗体の断面積を小さくすることで抵抗素子の抵抗値を少しづつ引き上げることができる(微調整工程)。
トリミングにはレーザーを用いることができる。レーザーにはYAG、UV−YAG、エキシマなどのレーザーを用いることができる。YAGレーザーを用いたトリミングが一般的である。
抵抗素子を多層配線基板に内蔵する場合には、例えば、下層に絶縁層を介して配線層を形成した基板を用い、この上に本発明の抵抗素子を形成する。抵抗値の調整後、抵抗素子及び配線層上に例えば片面銅張積層板の絶縁層側が来るように積層し、ビアホール等で下層の素子及び配線層との導通を図る。こうして内層に抵抗素子を有する素子内蔵6層配線基板8を得る事ができる(図4)。
本発明の抵抗素子の構造ならびに製造方法を図1(a)、図2および図7を用いて説明する。
実施例1の抵抗素子は、カーボンフィラーを含む熱硬化性の樹脂からなる抵抗ペーストをスクリーン印刷で抵抗素子電極上に形成し、熱硬化を行うことで抵抗体としている。
具体的には、図1(a)の第一の電極1と第二の電極2、及び配線層(図示せず)は、コア層51(絶縁層)としての0.4mm厚のガラスエポキシ絶縁基板上に導体層61である18μm厚の銅箔が両面に貼付けてある通常の両面銅箔つき基板(図7(a))にドライフィルムレジスト52(日立化成工業製:RY3315)を110℃でラミネートし(図7(b))、配線パターンのマスクを用いて露光ならびに現像を行い(図7(c))、導体層を配線層と電極のパターンにエッチングすることによって形成している(図7(d)、(e))。露光ならびに現像条件は、ドライフィルムの標準条件で、露光量60mJ/cm、現像は炭酸ソーダ1%溶液でスプレー(スプレー圧:0.1MPa)15秒でレジストパターンを形成することができる。露光は、高圧水銀ランプを用いた両面プリンタ(オーク製作所)で行った。
エッチングは、塩化第二鉄溶液を用いたスプレー装置で、0.25MPaのスプレー圧、60℃で1分〜5分の条件で行った(図7(d))。エッチング終了後に3%の水酸化ナトリウム溶液に浸漬することでドライフィルムレジストの除去を行った(図7(e))。
電極形状は、図1(a)のように第二の電極2から第一の電極1に向かって第二の電極から突起部21が伸びた形状をしている。
配線層及び抵抗素子電極を形成した後に、抵抗体3を形成するためにスクリーン印刷で抵抗ペーストをスクリーン印刷した。スクリーン印刷後に90℃のオーブンで30分の仮ベークを行い、その後に本ベークとして200℃,60分のベークを行った。本ベーク時には、配線基板の配線パターンが酸化するため、加熱時に窒素などの不活性ガスを流しながらベークを行った。ベーク後の抵抗体の厚みは、15μmから20μmの範囲であり、抵抗体の大きさは遠い方の電極間が600μm、近い方の電極間が400μm、幅が400μm、トリミング前の抵抗値は300Ωであった。
抵抗体3を形成後に抵抗値調整のためにYAGレーザー加工の行えるトリミング装置で第二の電極2の端部21が独立するようにトリミングライン31を形成していく(図2(a))。トリミング時に抵抗値を測定しながら切断していくが、電極の端部21が独立していくことで、抵抗素子4の抵抗値は大きく増大していく。こうして抵抗値の粗調整を行った。粗調整後の抵抗素子の抵抗値は950Ωであった。
次に微調整を行うためトリミングライン32を、粗調整同様、抵抗素子4の抵抗値を測定しながら切断していった(図2(b))。微調整後の抵抗素子の抵抗値は1kΩであった。また、同様の方法で同じ基本形状の抵抗値調節可能な抵抗素子から1kΩの抵抗値となる抵抗素子を10素子加工したが、そのバラツキは±3%であった。
この結果、トリミング前と比較して抵抗値が700Ωも増加した抵抗素子を得ることができた。これは、同じ基本形状の抵抗素子から、700Ω以上(あるいは3倍以上の)の幅をもって任意の抵抗値を有する抵抗素子を得ることができることを意味する。
以下、本発明の抵抗素子の他の例について図6を用いて説明する。
抵抗値の調節が可能な抵抗素子の形成までを実施例1と同様に行った後、図6のようにトリミングを行った。まず、トリミング装置によって抵抗値の粗調整を行うため、トリミングライン31の加工を行い、加工前に300Ωであった抵抗値を950Ωまで大きくした。次に抵抗値を微調整するためにトリミングライン32を形成し、抵抗値を990Ωまで大きくした。さらに第二の微調整工程であるトリミングライン33を設けて最終調整を行い、1kΩの抵抗値を有する抵抗素子を10素子加工したところ、そのバラツキは±1%であった。
この方法により、実施例1よりも精度が向上した抵抗素子を形成することができる。精度の要求によって、実施例1でも2の方法でも抵抗素子を調整することは可能である。
以下、実施例について図3を用いて説明する。
実施例1と同様に配線層及び抵抗素子電極を形成した後、全面にフォトレジストを積層し、パターン露光・現像を行い、抵抗素子電極を露出させる。なお、エッチング前の配線層及び抵抗素子電極の厚みは25μmであった。この抵抗素子電極の厚みが12μmとなるようにエッチングを行った後、フォトレジストを剥離し、あとは実施例と同様に抵抗ペーストの印刷・硬化を行って抵抗体を形成した。このようにして形成した抵抗素子は、実施例1では100素子中印刷のカスレによる不良が3素子発生したのに対し、実施例3ではカスレによる印刷不良は発生しなかった。
実施例3と同様に抵抗素子電極を厚さ12μmにエッチングした後、レジストパターンを残したまま、銀めっき液に浸漬することで薄く加工した銅の抵抗素子電極表面に置換銀めっきを0.5μmの厚みで形成した。その後、レジストの剥離を行い、あとは実施例3と同様に抵抗素子を製造した。
抵抗素子電極の薄型化と銀めっきを一連の工程で行えたので、工程の簡略化が可能になった。
また、銀めっきを形成したことで、抵抗体と配線電極部の接触抵抗が安定化し、さまざまな環境下でも安定した抵抗値を得ることが可能となった。
これらの抵抗素子は、形成後にプリント配線基板の工程で絶縁樹脂を積層し、配線基板内部に内蔵化される。本発明の構造によって精度の高い抵抗素子を内蔵することが可能である。
本発明の他の抵抗素子の構造ならびに製造方法を図1(a)および図8を用いて説明する。
実施例5の抵抗素子は、無電解ニッケルめっき皮膜を抵抗体としている。
実施例1と同様に抵抗素子電極までを形成した。電極形状は、図1(a)のように第二の電極2の端部21は第一の電極1の端部11に対して傾斜した形状をしている。
配線層及び抵抗素子電極を形成した後に、抵抗体3を形成するために基板全体に無電解ニッケルめっきを行った(図8(a))。無電解ニッケルめっき液には、奥野製薬工業の高抵抗めっき液(トップにコロンFY−2)を使用し、絶縁樹脂の無電解めっき工程で前処理を行った後に、液温90℃、めっき時間3分でめっきを行い、シート抵抗300Ω/□のめっき抵抗皮膜69であるニッケル被膜を形成する。
次に抵抗素子電極上の必要な部分にだけ抵抗体3を形成するため、ニッケル皮膜上にドライフィルムレジストをラミネートする(図8(b))。レジスト52には、15μmのドライフィルムレジスト(日立化成工業製:RY−3315)を使用し、抵抗体3となる部分にレジストパターンが残るようにマスクを形成し、露光ならびに現像を行う。これによって図8(c)のような状態が形成できる。次に余分な部分のニッケルめっき膜を除去するため、10%硫酸溶液に硫酸銅200g/lを溶解したエッチング液に浸漬し、ニッケル被膜の除去を行う。(図8(d)参照)エッチングの条件は、温度80℃で2〜5分で溶解可能である。不要なニッケルめっき皮膜を除去した後、5%の水酸化ナトリウム溶液でレジストを除去し、抵抗体3と、第一の電極1、突起部21を有する第二の電極2からなる抵抗素子を形成することができる(図8(e)参照)。
抵抗体の厚みは、0.1μmから0.5μmの範囲であり、抵抗体の大きさは遠い方の電極間が400μm、近い方の電極間が300μm、幅が200μm、トリミング前の抵抗値は50Ωであった。
実施例1と同様、抵抗体3を形成後に抵抗値調整のためにYAGレーザー加工の行えるトリミング装置で第二の電極2の端部21が独立するようにトリミングライン31を形成していく。トリミング時に抵抗値を測定しながら切断していくが、電極の端部21が独立していくことで、抵抗素子4の抵抗値は大きく増大していく。こうして抵抗値の粗調整を行った。粗調整後の抵抗素子の抵抗値は450Ωであった。
次に微調整を行うためトリミングライン32を、粗調整同様、抵抗素子4の抵抗値を測定しながら切断していった。微調整後の抵抗素子の抵抗値は500Ωであった。また、同様の方法で同じ基本形状の抵抗値調節可能な抵抗素子から500Ωの抵抗値となる抵抗素子を10素子加工したが、そのバラツキは±3%であった。
この結果、トリミング前と比較して抵抗値が450Ωも増加した抵抗素子を得ることができた。これは、同じ基本形状の抵抗素子から、450Ω以上(あるいは10倍以上)の幅をもって任意の抵抗値を有する抵抗素子を得ることができることを意味する。
この抵抗素子では、めっき抵抗皮膜の膜厚のバラツキにより抵抗値がバラついていても、抵抗値の調整幅が広いため抵抗値を設定値に調整することが可能となった。これにより、抵抗素子の収率を大幅に向上することができた。
本発明の抵抗素子の他の例について説明する。
実施例5で記載しためっき抵抗皮膜を抵抗体とする抵抗値の調整が可能な抵抗素子を形成した後、抵抗値を高くするために、基板全体を3wt%の過硫酸アンモニウム溶液に2分間浸漬した。この処理により、ニッケル抵抗皮膜がエッチングされ抵抗体の断面積が減少するので、抵抗値が300Ω/□から400〜500Ω/□となった。この抵抗体を実施例1と同様に粗調整、微調整のトリミングを施すことで所望の抵抗値に収めることができた。このように抵抗値のバラツキが大きくても調整幅が大きいため、抵抗素子の収率が高い基板を提供できた。
本発明の抵抗素子及び素子内蔵多層配線基板は、受動素子を配線基板内層に埋め込むことで、配線基板全体の小型化が図れ、電子機器の軽薄短小化を促進する原動力ともなる。配線長を短くすることもできるので高速化対応が可能である。また、実装エリアにスペースが生まれより高機能な部品を実装することが可能となる。
本発明の抵抗素子の一実施例を示す上面図である。 本発明の抵抗素子の抵抗値調整方法を示す説明図である。 本発明の抵抗素子の断面図である。 本発明の素子内蔵多層配線基板の断面図である。 従来の抵抗素子とそのトリミングの様子を示す上面図である。 本発明の実施の形態を示す上面図である。 本発明の素子内蔵配線基板の製造工程の一例を示す説明図である。 本発明の素子内蔵配線基板の製造工程の一例を示す説明図である。
符号の説明
1 第一の電極
11 第一の電極の端部
2 第二の電極
21 第二の電極の端部
3 抵抗体
31 粗調整工程によるトリミングライン
32 微調整工程によるトリミングライン
33 微調整工程による二番目のトリミングライン
39 トリミングライン
4 抵抗素子
5 絶縁層
51 コア層
52 レジスト
53 レジストパターン
6 配線層
61 導体層
69 めっき抵抗皮膜
7 ビアホール
71 スルーホール
8 素子内蔵6層配線基板

Claims (6)

  1. 第一の電極と第二の電極と両電極間を接続する抵抗体とを備え、抵抗体をトリミングすることで抵抗値の調整が可能な抵抗素子において、
    前記第二の電極の端部は前記第一の電極の端部に対して傾斜していることを特徴とする抵抗素子。
  2. 第一の電極と第二の電極と両電極間を接続する抵抗体とを備え、抵抗体をトリミングすることで抵抗値の調整が可能な抵抗素子において、
    少なくとも前記第二の電極の端部は曲線であることを特徴とする抵抗素子。
  3. 第一の電極及び第二の電極は表面に金、銀、パラジウムのいずれかを含むめっき皮膜を有し、当該めっき被膜を介して抵抗体と接続されていることを特徴とする請求項1記載の抵抗素子。
  4. 請求項1乃至3記載の抵抗素子の抵抗値調整方法であって、
    第一の電極の端部と第二の電極の端部の間隔のもっとも小さい部分を含み、第二の電極の端部に沿って抵抗体をトリミングする粗調整工程と、第一の電極の端部と平行に抵抗体をトリミングする微調整工程とを具備することを特徴とする抵抗素子の抵抗値調整方法。
  5. 複数の絶縁層と複数の配線層を具備する多層配線基板において、請求項1乃至3記載の抵抗素子を形成した絶縁層を内層に具備することを特徴とする素子内蔵多層配線基板。
  6. 複数の絶縁層と複数の配線層を具備する多層配線基板において、配線層と請求項1乃至3記載の抵抗素子とを備える絶縁層を内層に具備し、前記第一の電極と前記第二の電極の厚みは同じ絶縁層が備える配線層よりも薄いことを特徴とする素子内蔵多層配線基板。
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