JP4977962B2 - 化学機械研磨パッド、その製造方法及び半導体ウエハの化学機械研磨方法 - Google Patents
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Description
さらに詳しくは、研磨性能を低下させることなく、光を透過させることができる化学機械研磨パッドおよびその製造方法並びに半導体ウエハの研磨方法に関する。
本発明は、光学式終点検出装置を用いた半導体ウエハの研磨等に利用される。
しかし、上記の研磨パッドでは、窓を設けることにより研磨パッドの研磨性能の低下や不均一化を生ずることが危惧され、また、そのため窓を大きくしたり、窓の数を増やすことにより、光学式終点検出装置による終点検出を確実に行うことのできる窓が形成され、かつ研磨性能を損なわない研磨パッドを得ることは困難であった。
前記透光性部材は、非水溶性材料と、該非水溶性材料中に分散されている水溶性粒子からなり、
前記非水溶性材料の少なくとも一部は架橋重合体であり、そして
該透光性部材を研磨面に平行な面で切断した場合の断面形状が、長径を短径で除した値が1を超え2.64以下である値の楕円形状であることを特徴とする、化学機械研磨パッドにより達成される。
本発明の化学機械研磨パッドは、研磨基体及び該研磨基体に融着している透光性部材とを有する。また、該透光性部材を研磨面に平行な面で切断した場合の断面形状が、長径を短径で除した値(アスペクト比)が1を超え2.64以下である楕円形状である。
本発明の化学機械研磨パッドを構成する研磨基体の平面形状は特に限定されず、例えば、円盤状や多角柱状、例えば四角柱等とすることができる。また、その大きさはも特に限定されない。しかし、本発明の化学機械研磨パッドを装着して使用する化学機械研磨装置の定盤に適合するような形状及び大きさとすることが好ましい。厚みは、例えば0.1mmを超え且つ100mm以下、好ましくは特に1〜10mmとすることができる。
このうち、前者の素材は、水溶性粒子が研磨時に水系媒体と固形分とを含有するスラリーの水系媒体と接触し、溶解または膨潤して脱離し、そして、脱離により形成されたポアにスラリーを保持できる。一方、後者の素材は、空洞として予め形成されているポアにスラリーを保持できる。
このうち、熱可塑性樹脂としては、例えば1,2−ポリブタジエン樹脂、ポリエチレンの如きポリオレフィン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリアクリル樹脂例えば(メタ)アクリレート系樹脂等、ビニルエステル樹脂(アクリル樹脂を除く)、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリフッ化ビニリデンの如きフッ素樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアセタール樹脂等を挙げることができる。
また、これらの有機材料は、酸無水物基、カルボキシル基、ヒドロキシル基、エポキシ基、アミノ基等により変性されたものであってもよい。変性により、後述する水溶性粒子や、スラリーとの親和性を調節することができる。
これらの有機材料は1種のみを用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記架橋を行う方法は特に限定されず、例えば有機過酸化物、硫黄、硫黄化合物等を用いた化学架橋、電子線照射等による放射線架橋などにより行うことができる。
これら架橋重合体の含有量は特に限定されないが、非水溶性マトリックス全体の、好ましくは30体積%以上、より好ましくは50体積%以上、さらに好ましくは70体積%以上であり100体積%であってもよい。非水溶性マトリックス中の架橋重合体の含有量が30体積%未満では十分に架橋重合体を含有する効果を発揮させることができない場合がある。
この水溶性粒子は、ポアを形成する効果以外にも、研磨パッド中においては、研磨パッドの押し込み硬さを大きくする効果を有する。例えば、水溶性粒子を含有することにより本発明の研磨パッドのショアD硬度を、好ましくは35以上、より好ましくは50〜90、さらに好ましくは60〜85そして通常100以下にすることができる。ショアD硬度が35を超えると、被研磨体に負荷できる圧力を大きくでき、これに伴い研磨速度を向上させることができる。さらに加えて、高い研磨平坦性が得られる。従って、この水溶性粒子は、研磨パッドにおいて十分な押し込み硬さを確保できる中実体であることが特に好ましい。
この水溶性粒子の含有量は、非水溶性材料と水溶性粒子との合計を100体積%とした場合に、水溶性粒子は、好ましくは1〜60体積%、より好ましくは1〜40体積%、さらに好ましくは2〜30体積%である。この範囲の含有量とすることで、高い研磨速度と、硬度および機械的強度に優れた研磨パッドを得やすくなる利点がある。
このような非水溶性マトリックス材中に分散する空洞の大きさは、平均値で、好ましくは0.1〜500μm、より好ましくは0.5〜100μmである。
上記水溶性粒子を製造時にマトリックス材中に分散させる方法は特に限定されない。例えばマトリックス材、水溶性粒子、必要に応じてその他の添加剤を混練りして分散体を得る。得られる分散体の形状は特に限定されない。例えば、ペレット、クラム、粉末等の形状で得られる。この混練りにおいては、マトリックス材が加工しやすいように、好ましくは加熱されて混練りされるが、このときの温度において、水溶性粒子は固体であることが好ましい。
これらが固体であることにより、水溶性粒子は前述した好ましい平均粒子径を呈する状態で分散されやすくなる。従って、使用するマトリックス材の加工温度により、水溶性粒子の種類を選択することが好ましい。
透光性部材は、研磨パッドの一部に、例えば研磨基体の研磨面と共通面を形成するように、設けられた透光性を有する部位を形成する部材をいう。
この透光性部材を研磨面に平行な面で切断した場合の断面形状は、その長径を短径で除した値(アスペクト比)が1を超え2.64以下である楕円形状である。ここで、「楕円形状」とは、例えば図1のような数学的な楕円形のほか、図2のような鶏卵型などの変形した略楕円形状を含む概念である。上記アスペクト比は、好ましくは1.5〜2.64である。化学機械研磨パッドの断面形状が円形である場合、透光性部材は、その長径方向が、研磨面の直径方向に平行に位置することが好ましい。
この透光性部材と上記した研磨基体とは、融着して一体化している。
具体的な融着方法は特に限定されない。例えば、(1)後述するように透光性部材または研磨基体の一方を金型に保持させ、他方の部材を仕込み融着させるインサート成形方法、(2)透光性部材および研磨基体を所定の形状に作製した後、嵌合させ、接触面を、赤外線溶接、高周波溶接、マイクロ波溶接および超音波溶接等により溶融させて接合させる方法、(3)透光性部材および研磨基体の接合しようとする表面に溶剤を使用して接合させる方法等が挙げられる。
本発明の研磨パッドは透光性部材と研磨基体が融着されているため、透光性部材と研磨基体との間に間隙を有さず、そのため、スラリーが研磨パッドの裏面側に漏れ出ることはない。
この透光性部材の数は特に限定されず、1つであっても、2つ以上であってもよい。また、その配置も特に限定されないが、本発明の化学機械研磨パッドを装着して使用する化学機械研磨装置の終点検出用の光が通過する部分に、上記透光性部材を位置させることができるような研磨パッド上の位置に配置されるべきである。
研磨面の総面積に占める透光性部材の面積の割合は、好ましくは10%以下であり、より好ましくは0.005〜10%であり、更に好ましくは0.005〜5%であり、特に好ましくは0.01〜1%である。この範囲の面積とすることにより、確実な終点検出と、高い研磨性能を実現することができる。
透光性部材が有する透光性は、通常、透光性部材の厚さを2mmとした場合に、波長100〜3,000nmの間のいずれかの波長における透過率が0.1%以上であるか、または波長100〜3,000nmの間の任意の波長域における積算透過率が0.1%以上であることが好ましい。この透過率または積算透過率は1%以上であることが好ましく、2%以上であることがより好ましく、3%以上がさらに好ましく、4%以上が特に好ましい。但し、この透過率または積算透過率は必要以上に高い必要はなく、例えば、50%以下であり、さらには30%以下であってもよく、特に20%以下であってもよい。
この透過率は厚さ2mmの試験片に所定の波長における吸光度が測定できるUV吸光度計等の装置を用いて、各波長における透過率を測定した時の値である。積算透過率についても、同様に測定した所定の波長域における透過率を積算して求めることができる。
上記透光性部材は、非水溶性マトリックス材と、必要に応じて添加される水溶性粒子とから構成される。水溶性粒子を添加場合には、該水溶性粒子は、非水溶性マトリックス材中に分散されることが好ましい。
これらの架橋重合体は、前記研磨基体の説明で既に詳述したものと同じものが適用できる。
上記水溶性粒子は、透光性部材中に分散されている。また、前述の様に研磨時に外部から供給される水系媒体との接触により空孔を形成することができる物質である。
この水溶性粒子の形状、大きさ、透光性部材中の含有量および材料は、前記研磨基体で詳述した水溶性粒子と同じものを適用できる。
この水溶性粒子は、空孔を形成する機能以外にも、透光性部材の押し込み硬さを、研磨パッドの他部と整合させる機能を有する。研磨パッドは、研磨時に付加する圧力を大きくし、研磨速度を向上させ、高い平坦性を得るためにショアーD硬度を研磨パッドの全体において35〜100とすることが好ましい。しかし、所望のショアーD硬度をマトリックス材の材質からのみ得ることは困難であることも多く、このような場合は、水溶性粒子を含有させることで空孔を形成する以外にショアーD硬度を研磨パッドの他部と同程度に向上させることが可能となる。このような理由から水溶性粒子は、研磨パッド内において十分な押し込み硬さを確保できる中実体であることが好ましい。
前記水溶性粒子を製造時にマトリックス材中に分散させる方法は、前記研磨基体で述べた方法と同じ方法が適用できる。
この固定用層としては、例えば、両面テープを用いて形成された層、例えば接着剤層とその外表面上に形成された剥離層とを備えた層、および、接着剤の塗布などにより形成された接着剤層等を挙げることができる。接着剤の塗布により形成された接着剤層の外表面上には剥離層を設けることができる。
これら固定用層のうちでも、両面テープを用いて形成された層は、予め剥離層を有しているため好ましい。また、いずれの固定用層であっても剥離層を備えることで、使用時まで接着層を保護でき、使用時にはこの層を剥離することで研磨パッドを研磨装置に容易に固定できる。
また、固定用層は、固定用層を構成する材料自体の透光性は特に限定されない。固定用層を構成する材料が透光性を有さない場合や、透光性が低い場合には、透光性部材に対応する部位に貫通孔等を設けることができる。この貫通孔は、透光性部材の面積より大きくてもよく、小さくてもよく、さらには、同じ面積であってもよい。
固定用層に貫通孔を設けることにより、透過光の通過路には固定用層が形成されていない態様としてもよい。
本発明の研磨パッドの製造方法は特に限定されないが主に以下のインサート成形金型を用いた製造方法により製造することが好ましい。
本発明の研磨パッドの製造方法に用いることができるインサート成型用金型は、あらかじめ成形された透光性部材または研磨基体の位置決めをするための凸部および/または凹部を有する。
この透光性部材または研磨基体の位置決めをするための凸部および/または凹部の位置、形状、大きさおよび数等は透光性部材または研磨基体の位置決めができれば特に限定されない。
また、研磨基体を位置決めするための凸部としては、例えば、図8に示されているように、研磨基体の透光性部材装着用の穴に嵌合するように、下部金型72に円盤状、うすい四角柱上の突起物721を配置するもの、または研磨基体に予め設けられた窪みに嵌合するようなドット状、点状および長尺状等の突起等を配置するものが挙げられる。
一方、透光性部材を位置決めするための凹部としては、例えば、図9に示されているように、透光性部材が嵌合するように、下部金型72に、円形状、四角形状の窪み722を設けたもの、または透光性部材に予め設けられたドット状、点状および長尺状等の複数の突起が嵌合するような窪みを配置するものが挙げられる。
さらに、研磨基体を位置決めするための凹部としては、例えば、研磨基体の低部に予め設けられたドット状、点状および長尺状等の複数の突起と嵌合するように窪み等を配置するものがあげられる。
本発明の研磨パッド製造方法は、金型内に透光性部材または研磨基体を保持できキャビティ内に透光性部材または研磨基体の構成材料を仕込むことができるものであれば特に限定されない。本発明の研磨パッドを容易に製造するためには、前記したインサート成形金型を用いることが好ましい。
(1)透光性部材を構成するためのマトリックスと水溶性物質等を予め混練り等に付し分散体を得る。この得られた分散体を成形用キャビティを有する金型内で成形して透光性部材を作製する。
次いでこの透光性部材をキャビティを有する金型内にセットし、その後混練り等に付し得られた研磨基体を構成する分散体を仕込んで成形することにより研磨パッドを得る方法。
より具体的には、位置決めをできる凸部(図7参照。)を有するインサート成形金型の該凸部に、予め成形された透光性部材を保持する。その後、金型を締め、その後金型内の残余の空間に、混練り等により得られた研磨基体を構成する分散体を注入口から仕込む。その後、冷却、固化して、研磨パッドを成形することができる。また、上記金型を閉める前に、研磨基体を構成する分散体を直接仕込み、その後上記金型を締めて成形してもよい。
より具体的には、位置決めできる凸部(図8参照。)を有するインサート成形金型の該凸部に、あらかじめ所定の形状に成形された研磨基体を保持する。その後、金型を締め、その後混練り等により得られた透光性部材を構成する分散体を注入口から仕込んで成形することができる。また、上記金型を閉める前に、透光性部材を構成する分散体を直接仕込み、その後上記金型を締めて成形してもよい。
透光性部材の高さと研磨基体の厚みは基本的に同じである必要はない。さらには、成型後に研磨紙等を用いて研削することにより、研磨面の平坦性を向上させるとともに、パッドを所望の厚みに加工してもよい。
本発明の研磨パッドの研磨面には使用済みスラリーの排出性を向上させる目的等で必要に応じて溝およびドットパターンを所定の形状で形成することができる。このような溝およびドットパターンを必要とする場合は、上記の透光性部材の薄肉化により生じる研磨パッドからの凹みを表面側に形成することで得ることもできる。
本発明の研磨パッドは、その裏面上に積層される支持層を備える研磨複層体として提供することもできる。
上記「支持層」は、研磨パッドの研磨面とは反対側の裏面上に積層された層である。支持層の透光性の有無は問わないが、透光性部材の透光性と同等かまたはそれを上回る透光性を有する材料からなる支持体を用いることで研磨複層体における透光性を確保することができる。この場合、支持体のうち、透光性部材に相当する場所に貫通孔を形成してもよいが、無くてもよい。
一方、透光性を有さない支持体を用いる場合には、透光性部材に相当する場所に貫通孔を形成することにより、研磨複層体の透光性を確保できる。
支持層を構成する材料は特に限定されず、種々の材料を用いることができるが、所定の形状および性状への成形が容易であり、適度な弾力性を付与できること等から有機材料を用いることが好ましい。この有機材料としては、前述した透光性部材を構成するマトリックス材として適用される種々の材料と同じ材料を用いることができる。支持層を構成する材料と、透光性部材および/または研磨基体のマトリックス材を構成する材料とは同一であっても異なっていてもよい。
支持層の数は限定されず、1層であっても、2層以上であってもよい。さらに、2層以上の支持層を積層する場合には各層は同じものであっても、異なるものであってもよい。また、この支持層の硬度も特に限定されないが、研磨パッドよりも軟質であることが好ましい。これにより、研磨複層体全体として、十分な柔軟性を有し、被研磨面の凹凸に対する適切な追随性を備えることができる。
本発明の半導体ウエハの研磨方法は、本発明の研磨パッドを用いる半導体ウエハの研磨方法であって、該半導体ウエハの研磨終点の検出を光学式終点検出装置を用いて行うことを特徴とする。
上記光学式終点検出装置は、研磨パッドの裏面側から透光性部材を通して研磨面側へ光を透過させ、被研磨体表面で反射された光から被研磨面の研磨終点を検出することができる装置である。その他の測定原理については、特に限定されない。
本発明の半導体ウエハの研磨方法としては、例えば、図10に示すような研磨装置を用いることができる。回転可能な定盤2と、回転および縦横への移動が可能な加圧ヘッド3と、スラリーを単位時間に一定量ずつ定盤上に滴下できるスラリー供給部5と、定盤の下方に設置された光学式終点検出部6とを備える装置である。
この研磨に際しては、光学式終点検出部6から所定の波長または波長域の終点検出用光R1を、定盤の下方から透光性部材12を透過させて半導体ウエハ4の被研磨面に向けて照射する。すなわち、定盤は自身が透光性を有するか、または一部が切り欠かれることで終点検出用光が透過できる。そして、この終点検出用光R1が半導体ウエハ4の被研磨面で反射された反射光R2を光学式終点検出部6で捉え、この反射光から被研磨面の状況を観測しながら研磨を行うことができる。
また、被研磨体としては、例えば、埋め込み材料を伴う被研磨体および埋め込み材料を伴わない被研磨体等が挙げられる。
上記ストッパ層を構成するストッパ材料としてはSi3N4、TaNおよびTiN等の窒化物系材料、タンタル、チタン、タングステン等の金属系材料等が挙げられる。
上記絶縁材料としては、酸化シリコン(SiO2)膜、SiO2中に少量のホウ素およびリンを添加したホウ素リンシリケート膜(BPSG膜)、SiO2にフッ素をドープしたFSG(Fluorine doped silicate glass)と呼ばれる絶縁膜、低誘電率の酸化シリコン系絶縁膜等が挙げられる。
上記熱酸化膜は、高温にしたシリコンを酸化性雰囲気に晒し、シリコンと酸素あるいはシリコンと水分を化学反応させることにより形成することができる。
上記PETEOS膜は、テトラエチルオルトシリケート(TEOS)を原料として、促進条件としてプラズマを利用して化学気相成長で成膜することができる。
上記HDP膜はテトラエチルオルトシリケート(TEOS)を原料として、促進条件として高密度プラズマを利用して化学気相成長で成膜することができる。
上記熱CVD法により得られる酸化シリコン膜は、常圧CVD法(AP−CVD法)または減圧CVD法(LP−CVD法)により得ることができる。
上記ホウ素リンシリケート膜(BPSG膜)は、常圧CVD法(AP−CVD法)または減圧CVD法(LP−CVD法)により得ることができる。
さらに、上記低誘電率の酸化シリコン系絶縁膜は、原料を回転塗布法等によって基体上に塗布した後、酸化性雰囲気下で加熱して得ることができ、例えば、トリエトキシシランを原料とするHSQ膜(Hydrogen Silsesquioxane膜)や、テトラエトキシシランに加え、メチルトリメトキシシランを原料の一部として含むMSQ膜(Methyl Silsesquioxane膜)等が挙げられる。
また、ポリアリーレン系ポリマー、ポリアリレンエーテル系ポリマー、ポリイミド系ポリマー、ベンゾシクロブテンポリマー等の有機ポリマーを原料とする低誘電率の絶縁膜等が挙げられる。
一方、埋め込み材料を伴わない被研磨体としては、ポリシリコンおよびベアシリコン等が挙げられる。
1.研磨パッドの製造
1−1.表面処理したβ−シクロデキストリンの製造
水溶性粒子であるβ−シクロデキストリン((株)横浜国際バイオ研究所製、品名「デキシパール β−100」、平均粒径20μm)100重量部を混合ミキサー(カワタ(株)製「スーパーミキサーSMZ−3SP」)中に入れ、400rpmで攪拌しながら、噴霧スプレーを用いγ−アミノプロピルトリエトキシシラン(日本ユニカ(株)製、品名「A−1100」)0.5重量部を5分間に亘り噴霧しながら混合し、その後更に2分間400rpmで攪拌を続けた。その後、取り出した粒子を130℃に設定された真空乾燥機中で粒子の水分含有率が5000ppm以下になるまで加熱乾燥を行い、表面処理したβ−シクロデキストリンを得た。
後に架橋されてマトリックス材となる1,2−ポリブタジエン(JSR(株)製、品名「JSR RB830」)66.5体積%及びポリスチレン((株)PSジャパン製、品名「HF−55」)28.5体積%、並びに水溶性物質として上記で製造した表面処理したβ−シクロデキストリン5体積%を、160℃に加熱されたルーダーにて混練した。その後、パークミルD40(商品名、日本油脂(株)製。ジクミルパーオキシドを40質量%含有する。)を、1,2−ポリブタジエンとポリスチレンとの合計を100質量部として換算した0.4質量部(ジクミルパーオキシドの純品に換算して0.16質量部に相当する。)を添加してさらに混練した後、プレス金型内にて160℃で7分間架橋反応させ、直径790mm、厚さ3.2mmの円盤状の成形体を得た。次いで(株)加藤機械製エンドミルを用いてプレ研磨基体の中心から195mmのところを中心として、長径方向が研磨基体の直径方向となるように、長径58mm、短径22mmの楕円形状の穴(アスペクト比2.64)を形成し、楕円形状の穴を有する研磨基体を製造した。
後に架橋されて透光性部材となる1,2−ポリブタジエン(品名「JSR RB830」)98体積%及び水溶性物質として上記1−1で製造した表面処理したβ−シクロデキストリン2体積%とを、160℃に加熱されたルーダーにて混練した。その後、パークミルD40を、1,2−ポリブタジエンを100質量部として換算した0.4質量部(ジクミルパーオキシドの純品に換算して0.16質量部に相当する。)を添加して、さらに混練することにより、透光性部材組成物を製造した。
次いで、上記で製造した研磨基体をプレス金型内に再びセットし、形成した楕円形の穴部に、上記透光性部材組成物を充填して180℃で8分間架橋反応させて成形し、直径790mm、厚さ3.2mmの円盤形状の成形体を得た。この成形体を、ワイドベルトサンダー機器((株)名南製作所製)の挿入口にセットし、ローラーを500rpmで回転させながら、成形体の表面及び裏面を粒度メッシュ#120、#150、#220、#320のサンドペーパー(ノバテック社製)順次用いて、成形体を0.1m/秒の速さで動かしながら、各メッシュあたり0.08mmずつ研削した(総研削量0.32mm)。次いで、裏面のみ更に#600のサンドペーパー(ノバテック社製)を用いて上記と同様のローラー回転数及び成形体移動速度にて0.06mm研削した。さらに、(株)加藤機械製の溝加工機を用いて、研磨面側に溝幅0.5mm、ピッチ2mm、溝深さ1mmの同心円状の溝(溝の断面形状は矩形である。)を、パッド研磨面の中心から20mm離れたところより外側の部分に形成することにより、研磨パッドを製造した。
2−1.パターン付きウエハの研磨試験
上記で製造した研磨パッドの裏面に、3M社製両面テープ「#422」をラミネートした後、アプライドマテリアル社製化学機械研磨装置「Applied Reflexion」に装着し、12インチパターン付きウエハ(品名「SEMATECH−754」)を被研磨体として、以下の条件にて化学機械研磨を行った。
定盤回転数:120rpm
研磨ヘッド回転数:36rpm
研磨圧力:
リテーナーリング圧:7.5psi
Zone 1圧:6.0psi
Zone 2圧:3.0psi
Zone 3圧:3.5psi
研磨機械研磨用水系分散体:CMS7401、CMS7452(以上、ともに商品名、JSR(株)製)および水を1:1:2(質量比)で混合したもの。
化学機械研磨用水系分散体供給量:300mL/分
上記「1.化学機械研磨パッドの製造」と同様にして製造した研磨パッドを用いて、直径12インチの銅膜付きパターンなしウエハを被研磨体として、研磨時間を1分とした他は上記「2−1.パターン付きウエハの研磨試験」と同様にして化学機械研磨を行った。
被研磨体につき、直径方向に、両端からそれぞれ5mmの範囲を除いて均等にとった33点について研磨前後の銅膜の厚さを測定し、この測定結果から、下記式により、研磨速度及び面内均一性を計算した。
研磨量 = 研磨前の銅膜の厚さ−研磨後の銅膜の厚さ
研磨速度 = 膜厚量の平均値÷研磨時間
面内均一性 =(研磨量の標準偏差÷研磨量の平均値)×100(%)
その結果、研磨速度は8550Å/分であり、面内均一性は3.0%であった。なお、面内均一性の値が5%以下のとき、面内均一性は良好であるといえる。
研磨パッドの製造
後に架橋されてマトリックス材となる1,2−ポリブタジエン(JSR(株)製、品名「JSR RB830」)64体積%及びスチレン−ブタジエンエラストマー(JSR(株)製、品名「JSR TR2827」)16体積%、並びに水溶性物質として実施例1の「1−1.」で製造した表面処理したβ−シクロデキストリン20体積%を、160℃に加熱されたルーダーにて混練した。その後、パークミルD40(商品名、日本油脂(株)製。ジクミルパーオキシドを40質量%含有する。)を、1,2−ポリブタジエンとスチレン−ブタジエンエラストマーとの合計を100質量部として換算した0.4質量部(ジクミルパーオキシドの純品に換算して0.16質量部に相当する。)を添加してさらに混練した後、プレス金型内にて160℃で7分間架橋反応させ、直径790mm、厚さ3.2mmの円盤状の成形体を得た。次いで(株)加藤機械製エンドミルを用いてプレ研磨基体の中心から195mmのところを中心として、長径方向が研磨基体の直径方向となるように、長径50mm、短径48mmの楕円柱状の穴(アスペクト比1.04)を形成し、楕円形状の穴を有する研磨基体を製造した。
研磨性能の試験
上記で製造した研磨パッドを使用した他は、実施例1の「2.研磨性能の試験」と同様にして、研磨試験を行った。結果を表1に示す。
研磨パッドの製造
後に架橋されてマトリックス材となる1,2−ポリブタジエン(JSR(株)製、品名「JSR RB830」)を80体積%および水溶性物質として実施例1の「1−1.」で製造した表面処理したβ−シクロデキストリン20体積%を、160℃に加温されたルーダーにて混練りした。その後、パークミルD40を、1,2−ポリブタジエンを100質量部として換算した0.8質量部(ジクミルパーオキシドの純品に換算して0.32質量部に相当する。)を添加して更に混練りした後、プレス金型内にて160℃で7分間架橋反応させ、直径790mm、厚さ3.2mmの円盤状の成形体を得た。次いで(株)加藤機械製エンドミルを用いてプレ研磨基体の中心から195mmのところを中心として、長径方向が研磨基体の直径方向となるように、長径70mm、短径7mmの楕円柱状の穴(アスペクト比10)を形成し、楕円形状の穴を有する研磨基体を製造した。
研磨性能の試験
上記で製造した研磨パッドを使用した他は、実施例1の「2.研磨性能の試験」と同様にして、研磨試験を行った。結果を表1に示す。
研磨パッドの製造
(1)透光性部材の製造
プレポリマー(ユニロイヤルケミカル社製、品名「バイブラセンB670」100重量部を容器中に仕込み80℃で攪拌しながら、実施例1の「1−1.」で製造した表面処理したβ−シクロデキストリンの3重量部を加え、更にトリメチロールプロパン10.8重量部を加えて3分間攪拌した。180mm×180mm×3mmの矩形空洞を有する金型内に上記混合物を注入し、110℃、30分間保持して反応を行った後、脱型して成形体を得た。この成形体につき、楕円形状の打ち抜き機を用いて打ち抜きを行い、長径120mm、短径6mmの楕円形状(アスペクト比20)であり、厚さ3mmの透光性部材を得た。
4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(住化バイエルウレタン(株)製、品名「スミジュール44S」)58重量部を反応容器中に仕込み、60℃で攪拌しながら分子の両末端に2個の水酸基を有する数平均分子量650のポリテトラメチレングリコール(三菱化学(株)製、品名「PTMG650」)5.1重量部と数平均分子量250のポリテトラメチレングリコール(三菱化学(株)製、品名「PTMG250」)17.3重量部を加え、攪拌しながら90℃で2時間保温して反応させ、その後冷却して末端イソシアネートプレポリマーを得た。なお、この末端イソシアネートプレポリマーには21重量%の未反応の4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートを含んでおり、残りの79重量%が両末端イソシアネートプレポリマーである混合物であった。
末端に2個の水酸基を有する1,4−ビス(β−ヒドロキシエトキシ)ベンゼン(三井化学ファイン(株)製、品名「BHEB」)12.6重量部を攪拌容器中120℃で2時間加温し融解させたのち、3個の水酸基を有するトリメチロールプロパン(BASFジャパン(株)製、品名「TMP」)7重量部を攪拌させながら加え、10分間混合溶解させ、鎖延長剤の混合物を得た。
上記で得られた水溶性粒子が分散された末端イソシアネートプレポリマー94.9重量部をアジター混合機中で90℃に加温および攪拌しながら、120℃に加温した上記で得られた鎖延長剤混合物19.6重量部を加え、1分間混合し、研磨基体用組成物を得た。
直径600mm、厚さ3mmの円盤型空洞を有する金型内に、円盤の中心から100mmの位置を中心として、楕円形状の長径方向が円盤の直径方向になるように、上記(2)で得た透光性部材を配置した。その後、上記(3)で製造した研磨基体用組成物を、金型内の残余の空洞を満たす量を注入し、110℃で30分間保持してポリウレタン化反応を行い、その後脱型した。更にギヤーオーブン中110℃で16時間ポストキュアを行い、楕円形状の窓部を有し、水溶性粒子の分散した直径600mm、厚さ3mmのポリウレタンシートを得た。
研磨性能の試験
上記で製造した研磨パッドを使用した他は、実施例1の「2.研磨性能の試験」と同様にして、研磨試験を行った。結果を表1に示す。
実施例1において、「1−4.研磨パッドの製造」において、研磨基体の楕円形状の穴部に相当する部分に、平面形状及び大きさが穴と同じであり、高さが0.78mmの凸部を有する金型を使用した以外は実施例1と同様にして実施し、研磨パッドを製造した。この研磨パッドは、透光性領域の裏面が、研磨基体の裏面よりも0.7mm凹んだ凹部となっていた。
この研磨パッドを用いて、実施例1の「2.研磨性能の試験」と同様にして研磨試験を実施した。結果を表1に示す。
研磨パッドの製造
実施例1の「1−2.楕円形状の穴を有する研磨基体の製造」と同様にして、楕円形状の穴を有する研磨基体を製造した。
これとは別に、実施例1の「1−3.透光性部材組成物の製造」と同様にして製造した透光性部材組成物を180℃で10分間加熱して成形し、これを上記楕円形状の穴と同じ形状であり、かつ穴のサイズよりもわずかに小さくなるようにカットし、透光性部を製造した。なお、この透光性部につき、実施例1と同様にして透過率を測定した結果、5回の平均積算透過率は25%であった。
研磨性能の試験
上記で製造した研磨パッドを使用した他は、実施例1の「2.研磨性能の試験」と同様にして、研磨試験を行った。結果を表1に示す。
Claims (6)
- 研磨面を有する研磨基体及び該研磨基体に融着している透光性部材とを有し、
前記透光性部材は、非水溶性材料と、該非水溶性材料中に分散されている水溶性粒子からなり、
前記非水溶性材料の少なくとも一部は架橋重合体であり、そして
該透光性部材を研磨面に平行な面で切断した場合の断面形状が、長径を短径で除した値が1を超え2.64以下である値の楕円形状であることを特徴とする、化学機械研磨パッド。 - 研磨基体が円盤状であり、透光性部材の長径方向が研磨基体の直径方向である、請求項1に記載の化学機械研磨パッド。
- 上記架橋重合体が1,2−ポリブタジエンである、請求項1または2に記載の化学機械研磨パッド。
- 上記水溶性粒子が、その外表面の少なくとも一部の上にエポキシ樹脂、ポリイミド、ポリアミドまたはポリシリケートから構成される外殻を備えたものである、請求項1〜3のいずれか一項に記載の化学機械研磨パッド。
- 研磨基体と透光性部材との融着を、インサート成型用金型内で行うことを特徴とする、請求項1に記載の化学機械研磨パッドの製造方法。
- 半導体ウエハを化学機械研磨パッドで化学機械研磨する方法であって、請求項1の化学機械研磨パッドを用い、化学機械研磨の終点を、請求項1に記載の化学機械研磨パッドの透光性部材を通して光学式終点検出装置により検出することを特徴とする、半導体ウエハの化学機械研磨方法。
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