JP2008027971A - 化学機械研磨パッドおよび化学機械研磨方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】硬度の異なる二層の絶縁体層を有する半導体装置の化学機械的研磨において高度の平坦性が得られ、材料の剥がれやスクラッチ等の表面欠陥が発生することのない化学機械研磨パッドおよび化学機械研磨方法を提供すること。
【解決手段】化学機械研磨パッドは、(A)エラストマーおよび(B)下記一般式(1)
Figure 2008027971

(式(1)中、R、R、RおよびRはそれぞれ独立に水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数6〜10のアリール基、炭素数2〜10のアルケニル基、炭素数3〜10のシクロアルキル基または炭素数7〜10のアルアルキル基を表す。)
で表わされる繰り返し単位を有し粘度平均分子量が100,000〜7,000,000である高分子化合物を含有する組成物から形成された研磨層を有する。
【選択図】なし

Description

本発明は、化学機械研磨パッドおよび化学機械研磨方法に関する。更に詳しくは、半導体装置の配線形成工程において、誘電率の低い絶縁体層を有する半導体装置、または誘電率の高い絶縁体層および誘電率の低い絶縁体層からなる二層構造の絶縁体層を有する半導体装置の化学機械的研磨に特に好適に使用でき、十分に平坦化された精度の高い仕上げ面を与える化学機械研磨パッドおよびそれを用いた化学機械研磨方法に関する。
近年、半導体装置の高密度化に伴い、半導体装置内に形成される配線の微細化が進んでいる。この配線の更なる微細化の要請に応えるべく、ダマシン法と呼ばれる技術が多く採用されている。この技術は、絶縁体層中に形成された溝等に配線材料を埋め込んだ後、化学機械研磨の技術を用いて溝以外の部分に堆積した余剰の配線材料を除去することによって、所望の配線を形成する技術である。
ダマシン法において、配線材料としては電気抵抗値の低い材料が有利であることから銅または銅合金が用いられることが多い。しかし、銅または銅合金と絶縁体とが直接接触していると銅原子の絶縁体層中への拡散が起こり、半導体装置の電気特性が低下する問題が生ずるので、これを避けるためのバリア層が形成されることが行われている(特許文献1参照。)。バリア層を構成する材料としては、タンタル、チタン、窒化タンタル、窒化チタン等の高硬度の材料が使われることが多い。
このようなバリア層が形成された半導体装置の製造においては、化学機械研磨工程によって余剰の配線材料を除去した後、更にバリア層を除去することによってダマシン配線が形成されることになる。これらの研磨においては、余剰の配線材料を除去する第一研磨工程と、バリア層を除去する第二研磨工程とからなる二段階の化学機機械研磨が好ましく行われている。
ところで、配線の微細化がより一層進むにつれて配線幅が非常に細くなってきており、配線材料の選択のみによっては所望の電気特性が達成できなくなっている。そこで、絶縁体層の材料として誘電率の低い絶縁体を用いる配線構造が採用されてきている(特許文献2参照。)。しかし、誘電率の低い絶縁体材料は、従来から使用されている絶縁体と比較して機械的強度に劣り、化学機械研磨工程の際に剥がれや「スクラッチ」と呼ばれる引っ掻き傷状の表面欠陥が発生し易いことのほか、バリア層との密着性が不足しているとの問題がある。
このような問題を解決するため、誘電率の低い絶縁体層とバリア層との間に、より強固な絶縁体層(キャップ層)を形成して誘電率の低い絶縁体層のダメージを低減するとともに、各層の密着を確保する方法が提案されている(特許文献3参照。)。このようなキャップ層が形成された半導体装置は、バリア層の下の絶縁体層が、下層に誘電率の低い絶縁体層を有し上層に誘電率の高い絶縁体層を有する二層構造となる。半導体装置の製造における化学機械研磨工程に際して、半導体装置にキャップ層が形成されている場合には、第一研磨工程において余剰の配線材料を除去し、次いで第二研磨工程においてバリア層を除去した後更にキャップ層を除去することによって目的の配線が形成されることになる。
上記のような構造の半導体装置の製造における化学機械研磨の第二研磨工程では、被研磨面の高度の平坦性を得るために上層の誘電率の高い(硬度の高い)絶縁体層を速やかに除去し、下層の誘電率の低い(機械的強度の弱い)絶縁体層の除去を極力抑える必要がある。すなわち、誘電率の高い絶縁体層の研磨速度(RIn−1)の、誘電率の低い絶縁体層の研磨速度(RIn−2)に対する比(RIn−1/RIn−2)が低いことが要求される。
上記の要求を充たすべく、化学機械研磨の際に使用する化学機械研磨用水系分散体の改良検討がなされている。例えば特許文献4には、砥粒のほか特定の水溶性ポリマーまたは特定の界面活性剤を含有する水系分散体が提案されている。この技術によると、誘電率の高い絶縁体層の研磨速度をほぼ維持しつつ誘電率の低い絶縁体層の研磨速度を抑制することができしかも誘電率の低い絶縁体の電気特性を全く損なうことがなく、また、誘電率の低い絶縁体の化学機械研磨を行う場合であっても実質的に材料の剥がれやスクラッチ等の表面欠陥が発生することがない。
しかし、特定構造の半導体装置の化学機械研磨工程に各別の化学機械研磨用水系分散体を要するとなると、水系分散体の在庫管理やプロセス管理が煩雑となるほか、工場の各ラインにおける水系分散体の切り替えに伴いスループットの低下が不可避である。そこで、従来から使用している汎用の化学機械研磨用水系分散体を、上記の如き新しい構造の半導体装置にも適用したいとの要望が出されつつある。
特開平8−139092号公報 特開2004−31637号公報 特開2003−77920号公報 特開2005−158867号公報 特開09−132705号 特開2001−278985号公報 日本化学会編、実験化学講座28 高分子合成、第4版、丸善(株)、1992年5月発行、pp160〜195
本発明は、上記事情に鑑みなされたものであり、特別の化学機械研磨用水系分散体を用いずとも、誘電率の低い絶縁体層を有する半導体装置の化学機械研磨において材料の剥がれやスクラッチ等の表面欠陥が発生することがなく、また誘電率の高い絶縁体層および誘電率の低い絶縁体層からなる二層構造の絶縁体層を有する半導体装置の化学機械的研磨において高度の平坦性が得られしかも材料の剥がれやスクラッチ等の表面欠陥が発生することのない化学機械研磨パッドおよびそれを用いた化学機械研磨方法を提供することにある。
本発明によると、本発明の上記課題は第一に、(A)エラストマーおよび(B)下記一般式(1)
Figure 2008027971
(式(1)中、R、R、RおよびRはそれぞれ独立に水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数6〜10のアリール基、炭素数2〜10のアルケニル基、炭素数3〜10のシクロアルキル基または炭素数7〜10のアルアルキル基を表す。)
で表わされる繰り返し単位を有し粘度平均分子量が100,000〜7,000,000である高分子化合物を含有する組成物から形成された研磨層を有することを特徴とする化学機械研磨パッドによって達成される。
本発明の上記課題は第二に、上記の化学機械研磨パッドを使用して被研磨体を研磨することを特徴とする化学機械研磨方法によって達成される。
本発明の化学機械研磨パッドの研磨層を形成するための組成物は、(A)エラストマーおよび(B)上記一般式(1)で表わされる繰り返し単位を有し粘度平均分子量が100,000〜7,000,000である高分子化合物を含有する。以下、本発明の化学機械研磨パッドの研磨層を形成するための組成物が含有する各成分について説明する。
(A)エラストマー
本発明の化学機械研磨パッドの研磨層を形成するための組成物に用いられる(A)エラストマーとは、未架橋の状態でエラストマー性を呈する重合体のほか、架橋されることによってエラストマー性を呈する重合体をも含む概念である。このようなエラストマーとしては、例えば熱可塑性スチレン系エラストマー、熱可塑性ポリオレフィンエラストマー(TPO)、熱可塑性ポリウレタンエラストマー(TPU)、熱可塑性ポリエステルエラストマー(TPEE)、熱可塑性ポリアミドエラストマー(TPAE)、共役ジエン系エラストマー、シリコーン樹脂系エラストマー、フッ素樹脂系エラストマー等を挙げることができる。
上記熱可塑性スチレン系エラストマーとしては、例えばポリスチレン−ポリブタジエン−ポリスチレンブロック共重合体(SBS)、SBSの水素添加ブロック共重合体(SEBS)等を挙げることができる。
上記熱可塑性ポリオレフィンエラストマーとしては、例えばエチレン・プロピレン・ジエンゴム等を挙げることができる。
上記熱可塑性ポリウレタンエラストマーとしては、例えばウレタンゴム、ポリエステル系ウレタンゴム、ポリエーテル系ウレタンゴム等を挙げることができる。
上記熱可塑性ポリエステルエラストマーとしては、例えばアクリルゴム、エチレン−アクリレートゴム等を挙げることができる。
上記熱可塑性ポリアミドエラストマーとしては、例えばポリアミド等からなるハードセグメントと、ポリエーテルまたはポリエステルからなるソフトセグメントとによって構成されたエラストマー等を挙げることができ、ポリアミドの例としては、例えばナイロン6、ナイロン66等を上げることができる。
上記共役ジエン系エラストマーとしては、例えば共役ジエン(共)重合体、すなわち共役ジエンの単独重合体もしくは複数種の共役ジエンの共重合体または共役ジエンとその他のモノマーとの共重合体を挙げることができる。
上記の共役ジエンとしては、例えば1,3−ブタジエン、イソプレン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、2−メチル−1,3−ペンタジエン、1,3−ヘキサジエン、4,5−ジエチル−1,3−オクタジエン等を挙げることができる。
上記のその他のモノマーとしては、例えば不飽和カルボン酸エステル、シアン化ビニル化合物、不飽和芳香族化合物、不飽和脂肪族化合物等を挙げることができる。不飽和カルボン酸エステルとしては、例えばメチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、i−プロピル(メタ)アクリレート、シクロへキシル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート等を挙げることができる。シアン化ビニル化合物としては、例えば(メタ)アクリロニトリル、α−クロロアクリロニトリル、シアン化ビニリデン等を挙げることができる。更に不飽和芳香族化合物としては、スチレン、ヒドロキシスチレン等を、また不飽和脂肪族化合物としては、イソブチレン等を、それぞれ挙げることができる。
共役ジエン系エラストマーが、共役ジエンとその他のモノマーとの共重合体である場合、その他のモノマーの共重合割合は、共役ジエンとその他のモノマーとの合計量に対して好ましくは90重量%以下であり、より好ましくは80重量%以下である。
上記共役ジエン系エラストマーの具体例としては、例えばブタジエンゴム、1,2−ポリブタジエン、スチレン・ブタジエンゴム、アクロルニトリル・ブタジエンゴム、ブタジエン・メチル(メタ)アクリレートゴム、イソブチレン・イソプレンゴム等を挙げることができる。
上記シリコーン樹脂系エラストマーとしては、例えばビニルメチルシリコーンゴム、フェニルメチルシリコーンゴム、フェニルビニルメチルシリコーンゴム等を挙げることができる。
上記フッ素樹脂系エラストマーとしては、例えばフッ化ビニリデン系ゴム、テトラフルオロエチレン−プロピレン系ゴム等を挙げることができる。
(A)エラストマーとしては、共役ジエン(共)重合体を含有することが好ましく、かかる共役ジエン(共)重合体としては1,3−ブタジエンの単独重合体または1,3−ブタジエンとその他のモノマーとの共重合体が好ましく、より好ましくは1,3−ブタジエンの単独重合体であり、特に1,2−ポリブタジエンが好ましい。
(A)エラストマーに占める共役ジエン(共)重合体の割合としては、(A)エラストマーの全量に対して好ましくは10重量%以上であり、より好ましくは20重量%以上であり、特に30重量%以上であることが好ましい。(A)エラストマーの全部が共役ジエン(共)重合体であってもよい。
かかる(A)エラストマーは、その一部または全部が架橋されているものであってもよい。
(B)高分子化合物
本発明の化学機械研磨パッドの研磨層を形成するための組成物に用いられる(B)高分子化合物は、下記一般式(1)
Figure 2008027971
(式(1)中、R、R、RおよびRはそれぞれ独立に水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数6〜10のアリール基、炭素数2〜10のアルケニル基、炭素数3〜10のシクロアルキル基または炭素数7〜10のアルアルキル基を表す。)
で表わされる繰り返し単位を有する。
上記炭素数1〜10のアルキル基としては例えばメチル基、エチル基、プロピル基等;
上記炭素数6〜10のアリール基としては例えばフェニル基、トリル基、キシリル基等;
上記炭素数2〜10のアルケニル基としては例えばエテニル基、1−プロペニル基、イソプロペニル基等;
上記炭素数3〜10のシクロアルキル基としては例えばシクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等;
上記炭素数7〜10のアルアルキル基としては例えばベンジル基、メチルベンジル基、フェネチル基等を、それぞれ挙げることができる。
このような(B)高分子化合物の具体例としては、例えばポリオキシエチレン、ポリビニルアルコール、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェノールエーテル、ポリプロピレングリコール、ポリオキシプロピレンブチルエーテル、ポリオキシプロピレングリセリルエーテル、ポリオキシプロピレンソルビット、オキシエチレン−エピクロロヒドリン共重合体、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート共重合体、ポリオキエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルセチルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブチルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンヘキシレングリコールエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレントリメチロールプロパン、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリセリルエーテル、エーテル結合を繰り返し単位として含むモノマーとオレフィンとの共重合体、塩素含有ポリエーテル、ポリアセタール樹脂、アルキルグルコシド、ポリオキシエチレン脂肪酸アミン等のほか、特許文献5および特許文献6に記載されたポリマー等を挙げることができる。
本発明の化学機械研磨パッドの研磨層を形成するための組成物に用いられる(B)高分子化合物は、その粘度平均分子量(Mv)が100,000〜7,000,000である。この値は、好ましくは300,000〜6,000,000であり、より好ましくは500,000〜5,000,000である。高分子化合物の粘度平均分子量が100,000未満であると、高分子化合物が実質的に水溶性となり、化学機械研磨の際の化学機械研磨用水系分散体との接触によりその大部分が溶解して離脱してしまい、所期の効果を発現できないか、あるいは所期の効果を発揮できたとしても使用開始直後の短時間でその効果が消失してしまうこととなり、好ましくない。一方、高分子化合物の粘度平均分子量が7,000,000を超えると、(A)エラストマーと混和し難くなり、研磨層を形成するための組成物の調製の際に良好な分散が得難くなる。
ここで粘度平均分子量(Mv)は、粘性率測定によって求められる固有粘度[η]を、下記数式(1)
Figure 2008027971
(式中、[η]は高分子化合物の固有粘度であり、Kおよびaはそれぞれ定数であり、Mvは粘度平均分子量である。)
で表わされるマーク−ホーウィンク−桜田の関係式に代入して求めることができる。なお、上記数式中の定数Kおよびaは、高分子および溶媒の種類ならびに温度によってそれぞれ定まり、例えば25℃において溶媒を水として本発明に好適に用いられる(B)高分子化合物を測定する場合には、K=49.9×10、a=0.67程度である。
(B)高分子化合物の使用量としては、(A)エラストマーおよび(B)高分子化合物の合計を100重量部としたときに(B)高分子化合物が1〜40重量部となる量とすることが好ましい。この値は、より好ましくは3〜30重量部であり、更に5〜20重量部であることが好ましい。
その他の成分
本発明の化学機械研磨パッドの研磨層を形成するための組成物は、上記の(A)エラストマーおよび(B)高分子化合物を必須の成分とするが、必要に応じてその他の成分を含有していてもよい。このようなその他の成分としては、(C)水溶性粒子、(D)架橋剤および(E)その他の添加剤を挙げることができる。
(C)水溶性粒子
(C)水溶性粒子は、化学機械研磨パッドの研磨層中に粒子として分散して存在し、化学機械研磨の際、化学機械研磨用水系分散体と接触したときに化学機械研磨パッドから離脱し、パッドの表面近傍に空孔(ポア)を形成する機能を有する粒子である。この離脱は、水系分散体中に含有される水等との接触により溶解することで生じてもよく、この水等を含有して膨潤してコロイド状となることにより生じるものであってもよい。
(C)水溶性粒子は、ポアを形成する効果以外にも、化学機械研磨パッドとしたときのパッドの押し込み硬さを大きくする効果を有する。このことにより、被研磨体に負荷できる圧力を大きくでき、これに伴い研磨速度を向上することができ、より高い研磨平坦性が得られる。したがって、(C)水溶性粒子は、化学機械研磨パッドにおいて十分な押し込み硬さを確保できる中実体であることが好ましい。
(C)水溶性粒子を構成する材料は特に限定されないが、例えば有機系水溶性粒子および無機系水溶性粒子が挙げられる。有機系水溶性粒子としては、デキストリン、シクロデキストリン、マンニット、糖類(乳糖等)、セルロース類(ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース等)、でんぷん、蛋白質、水溶性の感光性樹脂、スルフォン化ポリイソプレン、スルフォン化イソプレン共重合体等から形成されたものが挙げられる。更に、無機系水溶性粒子としては、酢酸カリウム、硝酸カリウム、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム、塩化カリウム、臭化カリウム、リン酸カリウム、硝酸マグネシウム等から形成されたものが挙げられる。
これらのうち、有機系水溶性粒子を用いることが好ましく、特にシクロデキストリンを好ましく用いることができる。
これらの(C)水溶性粒子は、上記各材料を単独で使用することができ、または2種以上を組み合わせて用いることができる。更に所定の材料からなる1種の水溶性粒子であってもよく、異なる材料からなる2種以上の水溶性粒子であってもよい。
(C)水溶性粒子の分子量としては、5,000以下であることが好ましく、より好ましくは500〜3,000である。また、(C)水溶性粒子の平均粒径は0.1〜500μmであることが好ましく、より好ましくは0.5〜100μmである。この範囲の分子量、平均粒径の水溶性粒子を使用することにより、パッド表面近傍に形成されるポアの分散性と化学機械研磨用水系分散体の保持能力、およびパッドの機械的強度のバランスに優れた化学機械研磨パッドとすることができる。
(C)水溶性粒子は、研磨パッド内において表層に露出した場合にのみ水等に溶解または膨潤し、研磨パッドの研磨層の内部では吸湿してさらには膨潤しないことが好ましい。このため水溶性粒子は最外部の少なくとも一部に吸湿を抑制する外殻を備えることができる。この外殻は水溶性粒子に物理的に吸着していても、水溶性粒子と化学結合していても、さらにはこの両方により水溶性粒子に接していてもよい。このような外殻を形成する材料としては、例えばエポキシ樹脂、ポリイミド、ポリアミド、ポリシリケート、シランカップリング剤等を挙げることができる。なお(C)水溶性粒子は、外殻を有する水溶性粒子と外殻を有さない水溶性粒子とからなっていてもよく、外殻を有する水溶性粒子はその表面のすべてが外殻に被覆されていなくても十分に上記効果を得ることができる。
(C)水溶性粒子の使用量は、(A)エラストマーと(B)高分子化合物の合計を100重量部とした場合に300重量部以下であることが好ましく、より好ましくは1〜300重量部以下であり、さらに好ましくは1〜150重量部であり、特に1.5〜100重量部であることが好ましい。また、(C)水溶性粒子が、化学機械研磨パッドの体積に占める割合は、全体の90体積%以下であることが好ましく、より好ましく0.7〜60体積%であり、特に1.0〜40体積%であることが好ましい。
この範囲内の使用量、含有量とすることにより、良好な研磨性能を示す化学機械研磨パッドとすることができる。
(D)架橋剤
(D)架橋剤としては、例えば過酸化水素、有機架橋剤、無機架橋剤を挙げることができる。有機架橋剤としては有機化酸化物を挙げることができ、その具体例としては例えば過酸化ジクミル、過酸化ジエチル、過酸化ジ−t−ブチル、過酸化ジアセチル、過酸化ジアシル等を;無機架橋剤としては例えば硫黄等を、それぞれ挙げることができる。
(D)架橋剤としては、取扱い性および化学機械研磨工程における汚染性がないこと等の観点から、有機過酸化物を用いることが好ましい。
(D)架橋剤の添加量としては、(A)エラストマー100重量部に対して、好ましくは3.0重量部以下であり、より好ましくは0.01〜3.0重量部であり、更に好ましくは0.02〜3.0重量部であり、特に好ましくは0.1〜2.0重量部である。
(E)その他の添加剤
本発明の化学機械研磨パッドの研磨層を形成するための組成物は、上記した以外に必要に応じて充填剤、軟化剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、滑剤、可塑剤等の各種の添加剤を任意的に含有することができる。
組成物
本発明の化学機械研磨パッドの研磨層を形成するための組成物の製造方法は特に限定されないが、例えば、所定の有機材料等の必要な材料を混練機等により混練して調製することができる。混練機としては公知のものを用いることができる。例えば、ロール、ニーダー、バンバリーミキサー、押出機(単軸、多軸)等の混練機を挙げることができる。
(C)水溶性粒子を含有する研磨パッドの研磨層を製造する場合のパッド用組成物には、当該水溶性粒子が含まれることとなる。組成物の混練時には加工し易いように加熱して混練されるところ、混練時の温度において水溶性粒子は固体であることが好ましい。固体の状態を維持しつつ混練することにより、水溶性粒子を前記の好ましい平均粒径のままで分散させることができる。したがって、使用する(A)エラストマーおよび(B)高分子化合物の加工温度により水溶性粒子の種類を選択することが好ましい。
混練の際の条件は、パッド用組成物の成分や使用する混練機等により適宜に設定されるべきであるが、例えば好ましくは80〜130℃、より好ましくは100〜120℃において、1〜5分間混練されることが好ましい。
研磨層
本発明の化学機械研磨パッドの有する研磨層は、上記の組成物から形成される。
上記の如くして調製された組成物は、次いで研磨パッドの研磨層の概形に成形される。研磨パッドの研磨層概形を成形する方法としては、例えば所望の概形と契合する金型を用いて成形する方法、組成物をシート状に成形し次いでこれを所望の形状に切り出す方法等を挙げることができる。成形の際の条件としては、加熱温度が好ましくは80〜200℃、より好ましくは100〜180℃において、加熱処理時間が好ましくは3〜60分、より好ましくは5〜30分間である。
本発明の化学機械研磨パッドの研磨層の形状は特に限定されないが、例えば円盤状、多角形状等とすることができ、本発明の化学機械研磨パッドを装着して使用する研磨装置に応じて適宜選択することができる。
研磨層の大きさも特に限定されないが、円盤状のパッドでは、例えば直径150〜1,200mm、特に500〜800mm、厚さ1.0〜5.0mm、特に厚さ1.5〜3.0mmとすることができる。
研磨層のショアーD硬度は、好ましくは35〜100であり、より好ましくは40〜90である。このような硬さとすることで、高い研磨速度で良好な表面状態の被研磨面を与える化学機械研磨パッドとすることができる。
本発明の化学機械研磨パッドの研磨層は、研磨面および/または被研磨面に任意の形状の溝や凹部を備えていてもよい。このような溝や凹部は、組成物を研磨層の概形に形成した後に切削加工によって形成してもいいし、概形を形成するのに金型による場合には、所望の溝または凹部と契合する凸部を有する金型を用いる方法によってもよい。
化学機械研磨パッド
本発明の化学機械研磨パッドは、上記の如くして形成された研磨層のみからなる単層型のパッドであっていてもよいし、パッドの非研磨面(裏面)上に支持層を備える多層型パッドであることもできる。
上記支持層は、化学機械研磨パッドを研磨層の裏面側で支える層である。この支持層の特性は特に限定されないが、研磨層に比べてより軟質であることが好ましい。より軟質な支持層を備えることにより、研磨層の厚さが薄い場合(例えば、1.0mm以下)であっても、研磨時にパッドが浮き上がることや、研磨層の表面が湾曲すること等を防止でき、安定して研磨を行うことができる。この支持層の硬度は、研磨層の硬度の90%以下が好ましく、更に好ましくは50〜90%であり、特に好ましくは50〜80%であり、就中50〜70%が好ましい。
化学機械研磨方法
本発明の化学機械研磨方法は、上記した本発明の化学機械研磨パッドを用いて被研磨体を研磨するものである。本発明の化学機械研磨方法を適用することのできる被研磨体を構成する材料としては、例えば配線材料、バリア層を構成する材料および絶縁体からなる群から選択される少なくとも1つを挙げることができる。
上記配線材料としては、例えばアルミニウム、タングステン、銅、金等の金属またはこれらの金属を含有する合金であることができ、銅または銅を含有する合金であることが好ましい。
上記バリア層を構成する材料としては、例えばタンタル、チタン、窒化タンタル、窒化チタン、チタン・ニオブ合金等を挙げることができる。これらのうち、タンタルまたは窒化タンタルが好ましい。
絶縁体としては、誘電率の高い絶縁体および誘電率の低い絶縁体を挙げることができる。誘電率の高い絶縁体としては、その比誘電率が好ましくは3.5を超え、より好ましくは3.5を超えて4.2以下の絶縁体であり、具体的には例えば酸化シリコン、酸化シリコンに微量のホウ素およびリンをドープしたホウ素リンシリケート(BPSG)、酸化シリコンに微量のフッ素をドープした絶縁体(FSG)等を挙げることができる。酸化シリコンとしては、例えば熱酸化膜、PETEOS(Plasma Enhanced−TEOS(tetraorthosilicate))、HDP(High Density Plasma Enhanced−TEOS)、熱CVD法による酸化シリコン等を挙げることができる。誘電率の低い絶縁体とは、その比誘電率が上記の誘電率の高い絶縁体の比誘電率よりも相対的に低い絶縁体を意味し、その比誘電率が3.5以下であることが好ましく、3.0以下であることがより好ましい。このような絶縁体としては、例えばトリエトキシシランを原料とするHSQ(Hydrogen Silsesquioxane)、テトラエトキシシランと少量のメチルトリメトキシシランを原料とするMSQ(Methyl Silsesquioxane)、その他のシラン化合物を原料とする誘電率の低い絶縁体、有機ポリマー等を挙げることができる。有機ポリマーの例としては、例えばポリアリーレン、ポリアリーレンエーテル、ポリイミド、ベンゾシクロブテン等を挙げることができる。誘電率の低い絶縁体がHSQ、MSQまたはその他のシラン化合物を原料とする誘電率の低い絶縁体である場合には、原料に例えば適当な有機ポリマー粒子等を混合して用いることにより、当該ポリマーが加熱工程で焼失して空孔が形成された絶縁体であってもよい。
本発明の化学機械研磨方法を適用することのできる好ましい被研磨体としては、上記した材料のうち、誘電率の低い絶縁体からなる層を含む被研磨体、上層に誘電率の高い絶縁体層(第一の絶縁体層)を有し下層に前記第一の絶縁体層よりも比誘電率の低い第二の絶縁体層を有する二層構造の絶縁体層を有する被研磨体が好ましい。このうち後者の被研磨体を本発明の化学機械研磨方法によって研磨する場合、第一の絶縁体層の研磨速度(RIn−1)の第二の絶縁体層の研磨速度(RIn−2)に対する比(RIn−1/RIn−2)を、好ましくは2.0以下とすることができ、より好ましくは1.8以下、更に1.2以下とすることができる。本発明の化学機械研磨方法このような研磨速度比を示すことにより、硬度の異なる二種の絶縁体材料からなる二層構造の絶縁体層を有する被研磨体を研磨する場合でも、極めて高度の平坦性を与えることができる。
本発明の化学機械研磨方法を適用することのできる好ましい被研磨体としてより詳しくは、例えば凹部を有する絶縁体層にバリア層を介して堆積された配線材料たる金属を有する被研磨体を挙げることができる。特に絶縁体層が、誘電率の低い絶縁体からなる被研磨体であるか、あるいは絶縁体層が誘電率の高い第一の絶縁体層からなる上層と誘電率の低い第二の絶縁体層からなる下層とを有する二層構造である被研磨体が好適である。
このような構造を有する被研磨体の化学機械研磨は、配線材料のうち凹部以外に堆積された部分を除去してバリア層を露出するまで行われる第一研磨工程と、凹部以外の部分に形成されたバリア層、またはバリア層と第一の絶縁体層とを除去する第二研磨工程とからなる二段階研磨が好ましく行われる。本発明の化学機械研磨パッドは、このうち第二研磨工程に極めて好適に使用することができる。
以下、本発明の化学機械研磨方法の被研磨体の特に好ましい具体例につき、図を参照して説明するが、本発明の化学機械研磨方法の被研磨体はこれに限定されるものではない。
図1(a)〜(c)は本発明の化学機械研磨方法の被研磨体の一具体例を示すものである。図1(a)の被研磨体は、基板11と、基板11上に設けられた凹部20を有する絶縁体層12と、これらの上に設けられたバリア層13と、更にその上に堆積された配線材料14とを含む。
配線材料14は、バリア層13を介して凹部20に埋設されている。ここで、基板11は例えばシリコン基板である。バリア層13は異なる材料からなる二層構造であってもよい。
このような被研磨体を化学機械研磨するには、まず第一研磨工程において、配線材料14のうち、凹部20に埋没された部分以外の部分をバリア層13が露出するまで化学機械研磨する(図1(b)参照)。次いで、第二研磨工程において、バリア層13を絶縁体層12が露出するまで化学機械研磨する(図1(c)参照)。なお、第一研磨工程をバリア層13上に若干量の配線材料14を残して終了する場合もあるが、この場合は第二研磨工程において上記に加えバリア層13上に残存した配線材料14も除去することになる。
これにより、バリア層13のうち凹部20の底部および内壁面以外に位置する部分が除去され、図1(c)に示す配線構造体1が得られる。
本発明の化学機械研磨方法は、このうち第二研磨工程に極めて好適に適用することができ、絶縁体層12の電気的性質が変化せず、材料剥がれやスクラッチ等の表面欠陥が発生することなく精度の高い被研磨面を得ることができる。特に絶縁体層12が、誘電率の低い絶縁膜からなる場合であっても上記の利点を得ることができる点で極めて有用である。
図2(a)〜(c)は本発明の化学機械研磨方法の被研磨体の別の一具体例を示すものである。図2(a)の被研磨体は、絶縁体層112が誘電率の高い第一の絶縁体層21と、誘電率が低い第二の絶縁体層22とからなる二層構造であること以外は、図1(a)に示す構造と同様の構造を有し、図1(a)に示す構成要素と同じ構成要素は同じ符号が付されている。ここで、第一の絶縁体層21はキャップ層としての機能を有する。
このような被研磨体を化学機械研磨するには、まず第一研磨工程において、配線材料14のうち、凹部20に埋没された部分以外の部分をバリア層13が露出するまで化学機械研磨する(図2(b)参照)。次いで、第二研磨工程において、バリア層13および第一の絶縁体層21を、第二の絶縁体層22が露出するまで化学機械研磨する(図2(c)参照)。なお、第一研磨工程をバリア層13上に若干量の配線材料14を残して終了する場合もあるが、この場合は第二研磨工程において上記に加えバリア層13上に残存した配線材料14も除去することになる。
これにより、バリア層13のうち凹部20の底部および内壁面以外に位置する部分ならびに第一の絶縁体層21が除去され、図2(c)に示す配線構造体1が得られる。
本発明の化学機械研磨方法を、第二の具体例の第二研磨工程に適用すると、第一の具体例と同様の利点が得られるほか、硬度の異なる二層構造を有する絶縁体層の研磨であるにもかかわらず、平坦性の極めて高度な被研磨面を与える。このことは、本発明の化学機械研磨方法によると、上記したとおり誘電率の高い絶縁体層(第一の絶縁体層)の研磨速度(RIn−1)の、誘電率の低い絶縁体層(第二の絶縁体層)の研磨速度(RIn−2)に対する比(RIn−1/RIn−2)が最適の値であることによる。
図3(a)〜(c)は本発明の化学機械研磨方法の被研磨体の更に別の一具体例を示すものである。図3(a)の被研磨体は、基板11の上部、絶縁体層12の下部に、第三の絶縁体層31および第四の絶縁体層32が設けられている以外は図1(a)に示す構造と同様の構造を有し、図1(a)に示す構成要素と同じ構成要素は同じ符号が付されている。第三の絶縁体層31を構成する材料としては例えばシリコン酸化物等を挙げることができ、第四の絶縁体層31を構成する材料としては例えばシリコン窒化物等を挙げることができる。
このような被研磨体の化学機械研磨は図1の被研磨体と同様に行うことができ、本発明の化学機械研磨方法によれば図1の被研磨体と同様の利点が得られる。
本発明の化学機械研磨方法において、使用する化学機械研磨用水系分散体の種類は問わず、誘電率の低い絶縁体層を研磨するために特別に調製された水系分散体を用いなくても所期の効果を得ることができる。例えば、誘電率の低い絶縁体層からなる被研磨面の表面状態向上のために好んで添加される水溶性ポリマーや特定の界面活性剤を含有しない化学機械研磨用水系分散体を使用した場合でも、誘電率の低い絶縁体層の化学機械研磨において材料の剥がれやスクラッチ等の表面欠陥が発生することがなく、また誘電率の低い絶縁体層および誘電率の高い絶縁体層からなる二層構造の絶縁体層を有する半導体装置の化学機械的研磨において高度の平坦性が得られしかも材料の剥がれやスクラッチ等の表面欠陥が発生することがない。
上記本発明の化学機械研磨方法に使用される水系分散体が含有しなくてもよい水溶性ポリマーとしては、例えばポリアクリル酸およびその塩、ポリメタクリル酸およびその塩、ポリビニルアルコール等のアニオン性ポリマー;
ポリエチレンイミン、ポリビニルピロリドン等のカチオン性ポリマー;
ポリアクリルアミド等の両性ポリマー;
ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド等のノニオン性ポリマーを挙げることができる。
上記本発明の化学機械研磨方法に使用される水系分散体が含有しなくてもよい界面活性剤としては、カルボン酸塩、スルホン酸塩、硫酸エステル塩、リン酸エステル塩等のアニオン系界面活性剤;
ポリエチレングリコール型界面活性剤、アセチレングリコール、アセチレングリコールのエチレンオキサイド付加物、アセチレンアルコール等の非イオン性界面活性剤を挙げることができる。
本発明の化学機械研磨方法は、市販の化学機械研磨装置(例えば、LGP510、LGP552(以上、ラップマスターSFT(株)製)、EPO−112、EPO−222(以上、(株)荏原製作所製)、Mirra(アプライドマテリアルズ社製)、AVANTI−472(ノベラスシステムズ社製)等)を用いて、公知の研磨条件で行なうことができる。
研磨条件は、使用する研磨装置によって適宜に設定されるべきであるが、例えば研磨装置としてMirraを使用する場合、例えば下記の条件とすることができる。
定盤回転数:好ましくは30〜120rpm、より好ましくは40〜110rpm
ヘッド回転数:好ましくは30〜120rpm、より好ましくは40〜110rpm
定盤回転数/ヘッド回転数比:好ましくは0.5〜2、より好ましくは0.7〜1.5
研磨圧力:好ましくは0.5〜2.5psi、より好ましくは1.0〜2.0psi
化学機械研磨用水系分散体供給速度:好ましくは50〜300ml/分、より好ましくは100〜200ml/分
本発明では、第一研磨工程と第二研磨工程とを、同一の研磨装置を用い、被研磨体を装着したまま、連続的に行ってもよく、また、同一の研磨装置を用い、第一研磨工程の終了後に被研磨体をいったん取り外し、供給する研磨用水系分散体を切り替えた後に取り外した被研磨体をあらためて装着して第二研磨工程を実施してもよい。
また、第一研磨工程と第二研磨工程とを別個の研磨装置を用いて実施してもよい。
実施例1
[1]化学機械用研磨パッドの製造
(A)エラストマーとして1,2−ポリブタジエン(JSR(株)製「JSR RB820」)を90重量部、(B)高分子化合物としてポリエチレンオキサイド(明成化学工業(株)製、商品名「アルコックスE−30」、粘度平均分子量500,000)を10重量部および(C)成分としてβ−シクロデキストリン((株)横浜国際バイオ研究所製、商品名「デキシーパールβ−100」)65重量部を、120℃に加熱された押出機にて、120rpmで2分間混練した。その後、過酸化ジクミル(商品名「パークミルD」、日本油脂(株)製)の0.4重量部を添加し、更に120℃、60rpmで2分間混練することにより化学機械研磨パッド用組成物を調製した。この化学機械研磨パッド用組成物を、金型内にて180℃で10分間加熱して成形し、直径60cm、厚さ2.8mmの円盤状の成形体を得た。次いでこの成型体の一面に、市販の切削加工機((株)加藤機械製)を用いて、溝幅0.5mm、ピッチ2mm、溝深さ1.4mmの、研磨面の中心を中心とする同心円状の溝を形成し、化学機械研磨パッドを製造した。なお、ここで製造した化学機械研磨パッドに含有される(C)水溶性粒子の平均粒径は15μmであり、パッド全体に占める(C)水溶性粒子の体積率は、30体積%であった。
[2]化学機械研磨性能の評価
上記[1]で製造した化学機械研磨パッドを、市販の化学機械研磨装置(アプライドマテリアルズ社製、型式「Mirra」)に装着し、下記のウェハを被研磨体として、以下の条件で研磨した。
(1)被研磨体
・膜厚15,000Åの銅膜が積層された8インチ熱酸化膜付きシリコン基板
・膜厚1,500Åのタンタル膜が積層された8インチ熱酸化膜付きシリコン基板
・膜厚10,000ÅのPETEOS膜(比誘電率k=3.8の誘電率の高い絶縁体である。)が積層された8インチシリコン基板
・膜厚4,000Åの「ブラックダイアモンド」(商品名、アプライドマテリアルズジャパン(株)製,比誘電率k=2.8の誘電率の低い絶縁体である。以下、「BD」ともいう。)が積層された8インチシリコン基板
・膜厚5,000ÅのMSQタイプの絶縁体(JSR(株)製、比誘電率k=2.3の誘電率の低い絶縁体である。以下、「LKD」ともいう。)が積層された8インチシリコン基板
(2)研磨条件
・化学機械研磨用水系分散体:CMS8401、CMS8452(共にJSR(株)製)およびイオン交換水を1:2:3(重量比)で混合した水系分散体
・化学機械研磨用水系分散体供給速度:200mL/分
・ヘッド押し付け圧:3.0psi
・プラテン回転数:80rpm
・ヘッド回転数:80rpm
・研磨時間:60秒
(3)研磨速度の評価方法
銅膜およびタンタル膜については、電気伝導式膜厚測定器(KLA−TENCOR社製、形式「オムニマップRS75」)を用いて、研磨処理前後の膜厚を測定し、化学機械研磨により減少した膜厚および研磨時間から研磨速度を算出した。
PETEOS、BDおよびLKDについては、光干渉式膜厚測定器(ナノメトリクス・ジャパン(株)製、型式「ナノスペックモデル6100」)を用いて、研磨処理前後の膜厚を測定し、化学機械研磨により減少した膜厚および研磨時間から研磨速度比を算出した。結果を以下に示す。
・銅の研磨速度(R):650Å/min
・タンタルの研磨速度(R):560Å/min
・PETEOSの研磨速度(RIn−1):810Å/min
・BDの研磨速度(RIn−2(BD)):960Å/min
・LKDの研磨速度(RIn−2(LKD)):950Å/min
ここで、誘電率の高い第一の絶縁体であるPETEOSの研磨速度(RIn−1)と、誘電率の低い第二の絶縁体であるBDまたはLKDの研磨速度(RIn−2)との研磨速度比をRIn−1/RIn−2を求めたところ、BD、LKDの双方について1.2であった。
(4)スクラッチ数の評価方法
化学機械研磨後のBDおよびLKDにつき、欠陥検査装置(ケーエルエー・テンコール(株)製、型式「KLA2351」)を用い、検査波長を可視光とし、明視野、ピクセルサイズ0.39μm、しきい値(欠陥検出感度)50の条件にて被研磨面全面あたりの欠陥数を計測した。KLA2351が欠陥とカウントしたものの全部につき、装置のディスプレイに一つずつ表示し、欠陥がスクラッチであるか否かを見極め、スクラッチ数を計測した。なお、比較例5については欠陥数が多かったため、全欠陥のうちから無作為に抽出した100個について上記の見極めを行い、見極めを行った欠陥に占めるスクラッチの割合を全欠陥数に乗じることにより被研磨面全面あたりのスクラッチ数を算出した。結果を表3に示した。なお、装置が欠陥としてカウントしたもののうち、スクラッチではないものとは、例えば付着したゴミ、ウェハ製造時に発生したシミ等を挙げることができる。
(5)絶縁膜剥がれの評価
化学機械研磨後のBDおよびLKDにつき、絶縁体層の剥離を目視にて確認したところ、双方とも剥離は確認できなかった。
実施例2〜8、比較例1、2
実施例1において、(A)ないし(C)成分の種類および量を表1に記載の通りに変更した他は実施例1と同様にして化学機械研磨パッドを製造し、評価した。結果は表2および表3に示した。
比較例3
実施例1において、(A)ないし(C)成分の種類および量を表1に記載の通りに変更したが、化学機械研磨パッド用組成物の混練の際に分散不良となり、化学機械研磨パッドの製造はできなかった。
比較例4
化学機械研磨パッドとして発泡ポリウレタン製研磨パッド(ニッタ・ハース(株)製、商品名「SUPREME」)を使用した他は実施例1と同様にして評価した。結果は表2および表3に示した。
比較例5
化学機械研磨パッドとして発泡ポリウレタン製研磨パッド(ニッタ・ハース(株)製、商品名「IC1010」)を使用した他は実施例1と同様にして評価した。結果は表2および表3に示した。
Figure 2008027971
なお、表1中、(A)ないし(C)成分の種類欄に記した略称は、それぞれ下記のものを意味する。
(A)エラストマー
RB820:JSR(株)製、商品名「JSR RB820」(1,2−ポリブタジエン)
(B)高分子化合物
E−30:明成化学工業(株)製、商品名「アルコックスE−30」(ポリエチレンオキサイド、粘度平均分子量 500,000)
E−240:明成化学工業(株)製、商品名「アルコックスE−240」(ポリエチレンオキサイド、粘度平均分子量 5,000,000)
P230:三洋化成工業(株)製、商品名「ペレスタット230」(エーテル−オレフィン共重合体、粘度平均分子量 150,000)
PEO1:非特許文献1(日本化学会編、実験化学講座28 高分子合成、第4版、丸善(株)、1992年5月発行、pp160〜195)に準じて合成したポリエチレンオキサイド、粘度平均分子量 50,000
PEO2:非特許文献1に準じて合成したポリエチレンオキサイド、粘度平均分子量 8,500,000
(C)水溶性粒子
CB:(株)横浜国際バイオ研究所製、商品名「デキシーパールβ−100」(β−シクロデキストリン)
また、表中の「−」は、該当欄に相当する成分を使用しなかったことを意味する。
Figure 2008027971
Figure 2008027971
本発明の化学機械研磨方法が適用される被研磨体の一具体例を示す断面概略図。 本発明の化学機械研磨方法が適用される被研磨体の別の一具体例を示す断面概略図。 本発明の化学機械研磨方法が適用される被研磨体の更に別の一具体例を示す断面概略図。
符号の説明
1,2,3 配線構造体
1a,2a,3a 被研磨体
11 基板
12 絶縁体層
13 バリア層
14 配線材料層
20 凹部
21 第一の絶縁体層
22 第二の絶縁体層
31 第三の絶縁体層
32 第四の絶縁体層
112 絶縁体層

Claims (7)

  1. (A)エラストマーおよび(B)下記一般式(1)
    Figure 2008027971
    (式(1)中、R、R、RおよびRはそれぞれ独立に水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数6〜10のアリール基、炭素数2〜10のアルケニル基、炭素数3〜10のシクロアルキル基または炭素数7〜10のアルアルキル基を表す。)
    で表わされる繰り返し単位を有し粘度平均分子量が100,000〜7,000,000である高分子化合物を含有する組成物から形成された研磨層を有することを特徴とする、化学機械研磨パッド。
  2. (A)エラストマーおよび(B)高分子化合物の合計を100重量部としたときの(B)高分子化合物の量が1〜40重量部である、請求項1に記載の化学機械研磨パッド。
  3. (A)エラストマーが共役ジエン(共)重合体を含有する、請求項1に記載の化学機械研磨パッド。
  4. 組成物が更に(C)水溶性粒子を含有する、請求項1に記載の化学機械研磨パッド。
  5. 請求項1に記載の化学機械研磨パッドを使用して被研磨体を研磨することを特徴とする、化学機械研磨方法。
  6. 被研磨体が、第一の絶縁体層および該第一の絶縁体層よりも比誘電率の低い第二の絶縁体層を有するものである、請求項5に記載の化学機械研磨方法。
  7. 第一の絶縁体層の研磨速度(RIn−1)の第二の絶縁体層の研磨速度(RIn−2)に対する比(RIn−1/RIn−2)が2.0以下である、請求項6に記載の化学機械研磨方法。
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