JP2006055983A - 化学機械研磨パッド用組成物、化学機械研磨パッド及び化学機械研磨方法 - Google Patents
化学機械研磨パッド用組成物、化学機械研磨パッド及び化学機械研磨方法 Download PDFInfo
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Abstract
【解決手段】 組成物は(A)ポリスチレン又はスチレン共重合体、(B)ジエン系(共)重合体(ただし、(A)成分に該当するものを除く。)及び(C)架橋剤を含有する化学機械研磨パッド用組成物であって、JIS K6300−2に準じて振動式加硫試験機により18分間歪みを加えた後のトルクが0.05〜0.50N・mであることを特徴とする。
化学機械研磨パッドは、上記組成物から形成される。
【選択図】 なし
Description
従来、化学機械研磨では微細な気泡を含有するポリウレタンフォームを研磨パッドとして用い、この樹脂の表面に開口する穴(以下、「ポア」という)にスラリーを保持させて研磨が行われている。このとき、化学機械研磨パッドの表面(研磨面)に溝を設けることにより研磨速度及び研磨結果を向上することが知られている(例えば、特許文献1〜3参照。)。
しかし、化学機械研磨パッドの材料としてポリウレタンフォームを用いると、発泡を自在に制御することは極めて困難であるため、パッドの品質がばらつき、研磨速度及び加工状態がばらつくことが問題となっている。特に、引っ掻き傷状の表面欠陥(以下、「スクラッチ」という。)が発生する場合があり、改善が望まれている。また、ポリウレタンは一般に耐水性に劣るため、パッドの寿命の点で問題点を有している。
ところで、近年、半導体装置の微細化を目的として、微細素子分離(Shallow Trench Isolation)、いわゆるSTI技術が検討されている。この技術は、シリコン基板に溝を形成した後、絶縁膜材料を堆積し、化学機械研磨工程により余剰の絶縁膜を除去するものである。STI技術では、化学機械研磨工程において研磨対象となるものが主として絶縁膜である。STIにおいては、主たる砥粒として酸化セリウムを含有する化学機械研磨用水系分散体を用いて化学機械研磨を行うことにより、表面欠陥の少ない被研磨面を高速に得られることが報告されている。(例えば、特許文献8、9参照。)。しかし、主たる砥粒として酸化セリウムを含有する化学機械研磨用水系分散体を用いて絶縁膜を研磨する際に、長寿命である利点を有する、マトリクス樹脂中に水溶性ポリマーを分散させた研磨パッドを使用すると、研磨速度が十分ではない場合があり、問題となっている。
(A)ポリスチレン又はスチレン共重合体、(B)ジエン系(共)重合体(ただし、(A)成分に該当するものを除く。)及び(C)架橋剤を含有する化学機械研磨パッド用組成物であって、JIS K6300−2に準じて振動式加硫試験機により下記の条件で18分間歪みを加えた後のトルクが0.05〜0.50N・mであることを特徴とする、化学機械研磨パッド用組成物によって達成される。
測定温度:170℃
圧力:490kPa
振幅角:±1°
ねじり振動数:100cpm
(A)ポリスチレン又はスチレン共重合体、(B)ジエン系(共)重合体(ただし、(A)成分に該当するものを除く。)及び(C)架橋剤を含有する化学機械研磨パッド用組成物であって、JIS K6300−2に準じて振動式加硫試験機により下記の条件で18分間歪みを加えた後のトルクが0.05〜0.50N・mである。
測定温度:170℃
圧力:490kPa
振幅角:±1°
ねじり振動数:100cpm
本発明の化学機械研磨パッド用組成物は、(A)ポリスチレン又はスチレン共重合体を含有する。
上記スチレン共重合体としては、スチレン及びスチレンと共重合可能な他の単量体との共重合体であることができる。スチレンと共重合させることができる他の単量体としては、例えば脂肪族共役ジエン化合物、不飽和カルボン酸エステル化合物、シアン化ビニル化合物等を挙げることができる。
上記不飽和カルボン酸エステル化合物としては、例えばメチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、i−プロピル(メタ)アクリレート、シクロへキシル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート等;
上記シアン化ビニル化合物としては、例えば(メタ)アクリロニトリル、α−クロロアクリロニトリル、シアン化ビニリデン等を挙げることができる。
スチレン共重合体中に含有されるスチレンの含有量としては、好ましくは10質量%以上であり、更に好ましくは10質量%以上である。スチレン含有量が20質量%未満であると、化学機械研磨工程において、十分な研磨速度が得られない場合がある。
本発明の化学機械研磨パッド用組成物は、(B)ジエン系(共)重合体(ただし、スチレン共重合体を除く。)を含有する。
上記ジエン系(共)重合体としては、1,3−ブタジエン系重合体、イソプレン系重合体等を挙げることができる。
上記1,3−ブタジエン系重合体は、1,3−ブタジエンの単独重合体又は1,3−ブタジエン共重合体であり、ここで1,3−ブタジエン共重合体とは、1,3−ブタジエン及び1,3−ブタジエンと共重合可能な他の単量体との共重合体を意味する。1,3−ブタジエンと共重合させることができる他の単量体としては、例えば不飽和カルボン酸エステル化合物、シアン化ビニル化合物、等を挙げることができる。
上記不飽和カルボン酸エステル化合物としては、例えばメチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、i−プロピル(メタ)アクリレート、シクロへキシル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート等;
上記シアン化ビニル化合物としては、例えば(メタ)アクリロニトリル、α−クロロアクリロニトリル、シアン化ビニリデン等を挙げることができる。
上記1,3−ブタジエン系共重合体の具体例としては、例えば、ブタジエン・アクリロニトリルゴム、ブタジエン・メチルメタクリレートゴム等を挙げることができる。
上記イソプレン系重合体としては例えばイソプレンゴム、天然ゴム等を挙げることができる。
本発明の化学機械研磨パッド用組成物は、(C)架橋剤を含有する。
上記(C)架橋剤としては、例えば有機過酸化物、過酸化水素、硫黄等を挙げることができる。
このような架橋剤としては、ハンドリング性及び化学機械研磨工程における汚染性がないことの観点から有機過酸化物を用いることが好ましい。有機過酸化物としては、例えば、ジクミルパーオキシド、ジエチルパーオキシド、ジ−t−ブチルパーオキシド、ジアセチルパーオキシド、ジアシルパーオキシド等を挙げることができる。
架橋剤の使用量としては、(B)ジエン系(共)重合体100質量部に対して好ましくは0.01〜0.4質量部である。
本発明の化学機械研磨パッド用組成物は、上記した(A)ポリスチレン又はスチレン共重合体、(B)ジエン系(共)重合体及び(C)架橋剤を必須成分として含有するものであるが、必要に応じて(D)酸無水物構造を有する重合体、(E)水溶性粒子、(F)その他の配合剤を含有することができる。
本発明の化学機械研磨用パッドの原料として使用することができる(D)酸無水物構造を有する重合体は、下記式(1)で表される酸無水物構造を有する重合体である。
上記(1)主鎖に酸無水物構造を有する重合体は、例えば、酸無水物構造を有する単量体の重合体又は酸無水物構造を有する単量体と酸無水物構造を有しない単量体との共重合体として得ることができる。
上記酸無水物構造を有する単量体としては、例えば無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸、無水エンドメチレンテトラヒドロフタル酸等を上げることができる。上記酸無水物構造を有しない単量体としては、例えば共役ジエン化合物、芳香族系単量体、(メタ)アクリル酸エステル化合物等を挙げることができる。
芳香族系単量体としては、例えばスチレン、α−メチルスチレン、o−ヒドロキシスチレン、m−ヒドロキシスチレン、p−ヒドロキシスチレン等;
(メタ)アクリル酸エステル化合物としては、例えばメチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシメチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノメチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート等をそれぞれ挙げることができる。
上記ポリオレフィンとしては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、エチレン/プロピレン共重合体、エチレン/ブテン共重合体等;
上記ジエン系(共)重合体としては、例えば、ブタジエンゴム、1,2−ポリブタジエン、スチレン/ブタジエン共重合体、イソプレンゴム等をそれぞれ挙げることができる。
また、上記酸無水物構造を有する単量体としては、上記した(1)主鎖に酸無水物構造を有する重合体を合成するために用いる酸無水物基を有する単量体として例示したものを挙げることができる。
上記分子内に少なくとも2つの酸無水物構造を有する化合物としては、例えば無水ピロメリット酸、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物等;
分子内に酸無水物構造とカルボキシル基を有する化合物としては、例えば無水トリメリット酸等をそれぞれ挙げることができる。
これらのうち、(2)主鎖に酸無水物構造を有さず側鎖にのみ酸無水物構造を有する重合体を使用することが好ましく、ポリオレフィン又はジエン系(共)重合体の水素添加物を、炭素−炭素二重結合を有するジカルボン酸無水物で変性したものを使用することが更に好ましく、無水マレイン酸変性ポリエチレン、無水マレイン酸変性ポリプロピレン及び無水マレイン酸変性スチレン/ブタジエン共重合体が特に好ましい。
なお、この酸価は、酸無水物構造もこの酸価の測定条件においては開環して、酸として計量されることになる。
(E)水溶性粒子は、化学機械研磨パッド中において化学機械用水系分散体と接触することにより化学機械研磨用パッドから離脱し、パッドの表面近傍にポアを形成する機能を有する粒子である。この離脱は、水系分散体中に含有される水等との接触により溶解することで生じてもよく、この水等を含有して膨潤し、ゲル状となることで生じるものであってもよい。更に、この溶解又は膨潤は水によるものばかりでなく、メタノール等のアルコール系溶剤を含有する水系混合媒体との接触によるものであってもよい。
水溶性粒子は、ポアを形成する効果以外にも、化学機械研磨パッドとしたときのパッドの押し込み硬さを大きくする効果を有する。このことにより、被研磨体に負荷できる圧力を大きくでき、これに伴い研磨速度を向上させることができる。更に加えて、高い研磨平坦性が得られる。従って、この水溶性粒子は、研磨パッドにおいて十分な押し込み硬さを確保できる中実体であることが特に好ましい。
これらのうち、有機系水溶性粒子を用いることが好ましく、特にシクロデキストリンを好ましく用いることができる。
これらの水溶性粒子は、上記各材料を単独又は2種以上を組み合わせて用いることができる。更に、所定の材料からなる1種の水溶性粒子であってもよく、異なる材料からなる2種以上の水溶性粒子であってもよい。
(E)水溶性粒子の使用量は、(A)ポリスチレン又はスチレン共重合体と(B)ジエン系(共)重合体及び任意的に使用される(D)酸無水物構造を有する重合体の使用量の合計を100質量部とした場合に50質量部以下であることが好ましく、より好ましくは40質量部以下であり、さらに好ましくは0.5〜40質量部であり、特に5〜30質量部であることが好ましい。
また、(E)水溶性粒子の含有量は、本発明の化学機械研磨用パッド全体の体積の90体積%以下であることが好ましく、より好ましくは0.1〜90体積%であり、さらに好ましくは0.1〜60体積%であり、特に0.5〜40体積%であることが好ましい。
この範囲内の使用量、含有量とすることにより、良好な研磨性能を示す化学機械研磨用パッドを製造することのできる組成物とすることができる。
その他、本発明の化学機械研磨パッド用組成物は、充填剤、軟化剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、滑剤、可塑剤等の各種の添加剤を任意的に含有することもできる。
本発明の化学機械研磨パッド用組成物は、上記の通り、(A)ポリスチレン又はスチレン共重合体、(B)ジエン系(共)重合体及び(C)架橋剤を必須成分として含有し、更に必要に応じて(D)酸無水物構造を有する重合体、(E)水溶性粒子又は(F)その他の配合剤を任意的に含有することができる。
本発明の化学機械研磨パッド用組成物を調製する方法は特に限定されないが、例えば、所定の材料を混練機等により混練して調製することができる。混練機としては公知のものを用いることができる。例えば、ロール、ニーダー、バンバリーミキサー、押出機(単軸、多軸)等の混練機を挙げることができる。
なお、組成物の混練時には加工し易いように加熱して混練されるところ、本発明の化学機械研磨パッド用組成物が(E)水溶性粒子を含有するものである場合には、混練時の温度において(E)水溶性粒子が固体であることが好ましい。固体の状態を維持しつつ混練することにより、(E)水溶性粒子を前記の好ましい平均粒径のままで分散させることができる。従って、使用する材料の加工温度により、(E)水溶性粒子の種類を選択することが好ましい。
測定温度:170℃
圧力:490kPa
振幅角:±1°
ねじり振動数:100cpm
上記トルクは、好ましくは0.10〜0.50N・mである。
なお、上記において、「cpm」は“Cycles Per Minute”を表す。
この範囲のトルク値を示す化学機械研磨パッド用組成物を使用することにより、高い研磨速度を有する化学機械研磨パッドを製造することができる。
本発明の化学機械研磨パッドは、上記した本発明の化学機械研磨パッド用組成物から製造される。
その製造方法は適宜の方法によることができるが、例えば本発明の化学機械研磨パッド用組成物を所望の概形に成形する方法によることができる。
本発明の化学機械研磨パッドの形状は特に限定されないが、例えば、円盤状、多角形状等とすることができ、本発明の化学機械研磨パッドを装着して使用する研磨装置に応じて適宜選択することができる。
化学機械研磨パッドの大きさも特に限定されないが、円盤状のパッドでは、例えば、直径150〜1200mm、特に500〜800mm、厚さ1.0〜5.0mm、特に厚さ1.5〜3.0mmとすることができる。
本発明の化学機械研磨パッドのショアーD硬度は、好ましくは35〜100であり、より好ましくは50〜90であり、更に好ましくは60〜85である。このような硬さとすることで、十分な研磨速度と良好な表面状態の被研磨面を与える化学機械研磨パッドとすることができる。
上記支持層は、化学機械研磨パッドを研磨面の裏面側で支える層である。この支持層の特性は特に限定されないが、パッド本体に比べてより軟質であることが好ましい。より軟質な支持層を備えることにより、パッド本体の厚さが薄い場合(例えば、1.0mm以下。)であっても、研磨時にパッド本体が浮き上がることや、研磨層の表面が湾曲すること等を防止でき、安定して研磨を行うことができる。この支持層の硬度は、パッド本体の硬度の90%以下が好ましく、更に好ましくは50〜90%であり、特に好ましくは50〜80%であり、就中50〜70%が好ましい。
上記したような本発明の化学機械研磨パッドは、平坦な被研磨面が得られるとともに、高い研磨速度を与えることができ、かつ十分な寿命を有するものである。
本発明の化学機械研磨パッドは、市販の研磨装置に装着し、公知の方法により化学機械研磨に使用することができる。
その場合の被研磨体、使用する化学機械研磨用水系分散体の種類は問わないが、特に酸化セリウム(セリア)を主砥粒として含有する化学機械研磨用水系分散体を用いてSTI工程において絶縁膜を研磨する場合、及びセリア又は酸化ケイ素(シリカ)を主砥粒として含有する化学機械研磨用水系分散体を用いて多層化配線基板の層間絶縁膜を研磨する場合に好適に使用することができる。
上記熱酸化膜は、高温にしたシリコンを酸化性雰囲気に晒し、シリコンと酸素あるいはシリコンと水分を化学反応させることにより形成されたものである。
上記PETEOS膜は、テトラエチルオルトシリケート(TEOS)を原料として、促進条件としてプラズマを利用して化学気相成長で形成されたものである。
上記HDP膜はテトラエチルオルトシリケート(TEOS)を原料として、促進条件として高密度プラズマを利用して化学気相成長で形成されたものである。
上記熱CVD法により得られる酸化シリコン膜は、常圧CVD法(AP−CVD法)又は減圧CVD法(LP−CVD法)により形成されたものである。
上記ホウ素リンシリケート膜(BPSG膜)は、常圧CVD法(AP−CVD法)又は減圧CVD法(LP−CVD法)により形成されたものである。
また、上記FSGと呼ばれる絶縁膜は、促進条件として高密度プラズマを利用して化学気相成長で形成されたものである。
実施例1
[1]化学機械研磨パッド用組成物の調製
(A)成分としてポリスチレン(PSジャパン(株)製、商品名「HF55」)40質量部、(B)成分として1,2−ポリブタジエン(JSR(株)製、商品名「JSR RB830」、1,2−結合含量:90%)60質量部及び(E)成分としてβ−シクロデキストリン((株)横浜国際バイオ研究所製、商品名「デキシーパールβ−100」)16.8質量部を120℃に予備加熱された押出機にて150℃、60rpmにて2分混練した。その後、パークミルD40(商品名、日本油脂(株)製。過酸化ジクミルを40質量%含有する。)0.30質量部(過酸化ジクミル換算で0.12質量部に相当する。)を添加し、更に120℃、60rpmにて2分混練し、化学機械研磨パッド用組成物を得た。
次に、上記[1]で得た組成物の硬化トルクを測定した。
JSRトレーディング(株)製、「キュラストメータWP」を使用し、ダイスを170℃に加熱した後、上記[1]で得た組成物を4gとり、ダイスにセットした。次いでダイスを閉じ、温度170℃、圧力490kPa、振幅角:±1°、ねじり振動数100cpmにて18分間歪みを加えた後のトルクを測定したところ、0.110N・mであった。
上記[1]で得た組成物をパッド成型用金型にセットし、170℃で18分間加熱して、直径60cm、厚さ2.8mmの成形体を得た。次いでこの成形体の片面に、加藤機械(株)製の切削加工機を用いて、溝幅0.5mm、溝深さ1.4mm、ピッチ2.0mmの同心円状の溝を形成し、化学機械研磨パッドを製造した。
なお、ここで製造した化学機械研磨パッドに含有される(E)成分の平均粒径は15μmであり、パッド全体に占める(E)成分の体積率は10体積%であった。
(A)セリアを主砥粒として含む水系分散体を用いた絶縁膜研磨の評価:
(1)研磨速度の評価
上記で製造した化学機械研磨パッドを化学機械研磨装置「LAPMASTER LGP510」(STF社製)に装着し、8インチPETEOS膜付きウェハを被研磨剤として、以下の条件で化学機械研磨した。
化学機械研磨用水系分散体:セリアおよびポリアクリル酸アンモニウムをそれぞれ1質量%ずつ含む水系分散体。
化学機械研磨用水系分散体供給量:100mL/分
研磨ヘッド押し付け圧:400g/cm2
研磨ヘッド回転数:70rpm
定盤回転数:50rpm
研磨時間:60秒
上記化学機械研磨の被研磨材である8インチPETEOS膜付きウェハにつき、外周5mmを除いて直径方向に均等に21点とり、これら特定点について、研磨前後のPETEOS膜の厚さの差と研磨時間から、各特定点における研磨速度を算出した。
これら21点における研磨速度の平均値を研磨速度として算出したところ、4,700Å/分であった。
なお、各特定点におけるPETEOS膜の厚さは、光学式膜厚計によって測定した。
上記21点の特定点における研磨前後のPETEOS膜の厚さの差(この量を「研磨量」とする。)について下記計算式により面内均一性を算出したところ、14%であった。
面内均一性=(研磨量の標準偏差÷研磨量の平均値)×100(%)
なお、この値が15%以下の時、面内均一性は良好であるといえる。
上記した研磨条件の下で、8インチPETEOS膜付きウェハを連続して化学機械研磨した。ここで、ウェハを1枚研磨するごとに、脱イオン水を100mL/分で供給しつつ、100メッシュダイヤモンドを使用したドレッサーにより、10秒間のインターバル・ドレッシングを行った。
研磨したウェハ50枚ごとに研磨速度を算出し、前回までの研磨速度の平均値から15%以上減じた研磨速度を2回続けて記録した時点を、化学機械研磨パッドの寿命として記録したところ、1,200枚であった。
(i)研磨速度の評価
上記のように製造した化学機械研磨パッドを化学機械研磨装置(型式「EPO112」、(株)荏原製作所製)に装着し、8インチPETEOS膜付きウェハを被研磨体として、以下の条件で研磨した。
スラリー供給量:150ml/分
ヘッド押し付け圧:400g/cm2
定盤回転数:50rpm
ヘッド回転数:80rpm
研磨後の被研磨体について、上記 「セリアを主砥粒として含む水系分散体を用いた絶縁膜研磨の評価」と同様にして研磨速度の平均値を算出した。この結果を表2に示す。
上記のように製造した化学機械研磨パッドを化学機械研磨装置(型式「EPO112」、(株)荏原製作所製)に装着し、パターン付き8インチPETEOS膜ウェハ「SKW 7−2」(SKW社製、シリコンウェハに各種の線幅の溝(深さ0.8μm)を形成し、その上にPETEOSを厚さ2.0μmで体積させたテスト用ウェハ。PETEOSの表面には、シリコンウェハに形成された溝に対応する幅及び深さの溝が形成されている。)を被研磨材として以下の条件にて化学機械研磨した。
化学機械研磨用水系分散体:「CMS1101」(砥粒としてシリカを含むJSR(株)製の化学機械用水系分散体である。)及び脱イオン水を、体積比1:2で混合したもの
スラリー供給量:150ml/分
ヘッド押し付け圧:400g/cm2
定盤回転数:50rpm
ヘッド回転数:80rpm
上記条件にて、PETEOS膜を0.8μm研磨・除去した後のSKW 7−2につき、微細形状測定装置(KLA‐Tencor社製、形式「P−10」)を用いて、ライン・アンド・スペース=250μm/250μmの部分における、シリコンウェハに形成された溝部以外に相当する部分から測定した溝中央部に相当する部分の窪み量を測定し、この両のディッシングとした。結果を表2に示す。
実施例1において、各成分の種類と量を表1に記載の通りに変更した他は実施例1と同様にして化学機械研磨パッド用組成物を調製し、その硬化トルクを測定した。結果を表1に示す。
また、その化学機械研磨パッド用組成物を使用して実施例1と同様にして化学機械研磨パッドを製造し、化学機械研磨性能及び寿命の評価を行った。結果を表2に示す。
(A)成分
GPPS:ポリスチレン(PSジャパン(株)製、商品名「HF55」)
SEBS:スチレン−(エチレン/ブチレン)−スチレンブロック共重合体(旭化成(株)製、商品名「タフテックH1052」、スチレン含量=20質量%)
AS:アクリロニトリル−スチレン共重合体(テクノポリマー(株)製、商品名「920FF」、スチレン含量=75質量%)
HIPS:スチレン−ブタジエン共重合体(PSジャパン(株)製、商品名「AG102」、スチレン含量=75質量%)
SBS:スチレン−ブタジエン共重合体(ジェイエスアールクレイトンエラストマー(株)製、商品名「TR2827」、スチレン含量=24質量%)
(B)成分
RB:1,2−ポリブタジエン(JSR(株)製、商品名「JSR RB830」)
また、表中の「−」は該当欄に相当する成分を使用しなかったことを意味する。
なお、(C)成分である過酸化ジクミルは、日本油脂(株)製「パークミルD40」として添加したが、表1に記載の添加量は、純品に換算した値である。
Claims (4)
- (A)ポリスチレン又はスチレン共重合体、(B)ジエン系(共)重合体(ただし、(A)成分に該当するものを除く。)及び(C)架橋剤を含有する化学機械研磨パッド用組成物であって、JIS K6300−2に準じて振動式加硫試験機により下記の条件で18分間歪みを加えた後のトルクが0.05〜0.50N・mであることを特徴とする、化学機械研磨パッド用組成物。
測定温度:170℃
圧力:490kPa
振幅角:±1°
ねじり振動数:100cpm - 更に(E)水溶性粒子を含有する請求項1に記載の化学機械研磨パッド用組成物。
- 請求項1又は2に記載の化学機械研磨パッド用組成物から形成された、化学機械研磨パッド。
- 請求項3に記載の化学機械研磨パッドを用いて被研磨体を研磨することを特徴とする、化学機械研磨方法。
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JP2008027971A (ja) * | 2006-07-18 | 2008-02-07 | Jsr Corp | 化学機械研磨パッドおよび化学機械研磨方法 |
JP2008207307A (ja) * | 2007-02-28 | 2008-09-11 | Toray Ind Inc | 相互侵入高分子網目構造体、研磨パッドおよび相互侵入高分子網目構造体の製造方法 |
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