JPWO2009072405A1 - 化学機械研磨パッドおよび化学機械研磨方法 - Google Patents

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Abstract

(A)非水溶性マトリックスの前駆体成分および(B)水溶性物質を含有する組成物から形成された研磨層を有する化学機械研磨パッドであって、上記(A)非水溶性マトリックスの前駆体成分はその全量を100質量部とした場合に、(A−1)(a1)不飽和カルボン酸および不飽和カルボン酸無水物よりなる群から選ばれる少なくとも1種の不飽和化合物と、(a2)上記(a1)以外の不飽和化合物と、のランダム共重合体またはブロック共重合体を60〜100質量部含有するものであることを特徴とする、化学機械研磨パッド。

Description

本発明は、化学機械研磨パッドおよび化学機械研磨方法に関する。
近年の半導体装置等の製造において、優れた平坦性を有する表面を形成することができる研磨方法として、化学機械研磨方法(Chemical Mechanical Polishing、一般に「CMP」と略称される。)が広く用いられている。この化学機械研磨方法においては、化学機械研磨パッドの材質により研磨結果が大きく変化することが知られており、様々な組成の化学機械研磨パッドが提案されている。
例えば特開2002−134445号公報にはカルボキシル基のような親水性官能基を有するモノマーの重合体を、研磨パッドを構成する成分として組み込んで研磨パッド表面の親水性を向上させることにより、研磨速度の向上を行う技術が開示されている。しかしこの技術は、均一なパッド組成物を得ることが難しく、被研磨面の平坦性が損なわれるとの問題がある。
また、特開2004−343099号公報には、架橋ジエンエラストマーと酸無水物変性された重合体(グラフト重合体)とをブレンドした材料を用いて研磨パッドを製造することにより、研磨速度を向上させるとともに、被研磨面の平坦性を向上する技術が開示されている。この技術によると、確かに研磨速度および被研磨面の平坦性の向上にある程度の効果を奏することが確認されている。しかしながらこの技術は、ブレンド材料におけるグラフト重合体の使用割合を多くするとパッドの機械的強度を損なうため、パッド中の酸無水物基の含有割合の向上には限界があり、その結果、上記効果が発現される程度には一定の限界がある。
本発明は、前記事情に鑑みなされたものであり、その目的は、研磨速度に優れ、且つ被研磨面の平坦性、すなわち被研磨面における研磨量の面内均一性に優れ、スクラッチの少ない化学機械研磨パッドおよび該研磨パッドを用いた化学機械研磨方法を提供することにある。
本発明によれば、本発明の前記課題は、第一に、
(A)非水溶性マトリックスの前駆体成分および(B)水溶性物質を含有する組成物から形成された研磨層を有する化学機械研磨パッドであって、
上記(A)非水溶性マトリックスの前駆体成分はその全量を100質量部とした場合に、
(A−1)(a1)不飽和カルボン酸および不飽和カルボン酸無水物よりなる群から選ばれる少なくとも1種の不飽和化合物と、
(a2)上記(a1)以外の不飽和化合物と、のランダム共重合体またはブロック共重合体
を60〜100質量部含有するものである、化学機械研磨パッドによって達成される。
本発明の前記課題は、第二に、
上記の化学機械研磨パッドを用いて被研磨物を化学機械研磨する、化学機械研磨方法によって達成される。
本発明の化学機械研磨パッドは、(A)非水溶性マトリックスの前駆体成分および(B)水溶性物質を含有する組成物から形成された研磨層を有する。
以下、本発明の化学機械研磨パッドの研磨層を形成するための組成物(以下、「研磨層形成用組成物」ともいう。)の各成分について説明する。
<(A)非水溶性マトリックスの前駆体成分>
本発明に用いられる(A)非水溶性マトリックスの前駆体成分は、少なくとも(A−1)(a1)不飽和カルボン酸および不飽和カルボン酸無水物よりなる群から選ばれる少なくとも1種の不飽和化合物(以下、「不飽和化合物(a1)」という。)と、
(a2)上記(a1)以外の不飽和化合物(以下、「不飽和化合物(a2)」という。)と、のランダム共重合体またはブロック共重合体(以下、これらランダム共重合体およびブロック共重合体を総称して「共重合体(A−1)」ともいう。)を含有する。共重合体(A−1)におけるランダム共重合体およびブロック共重合体とは、それぞれグラフト重合体(例えば酸無水物変性重合体)を含まない概念である。共重合体(A−1)としては、不飽和化合物(a1)と不飽和化合物(a2)のランダム共重合体であることが好ましい。
上記不飽和化合物(a1)としては、例えば不飽和モノカルボン酸、不飽和ジカルボン酸およびその無水物ならびに2価以上の多価カルボン酸のモノ〔(メタ)アクリロイロキシアルキル〕エステルよりなる群から選択される少なくとも1種の不飽和化合物を好ましく使用することができる。これらの具体例としては、不飽和モノカルボン酸として例えばアクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、α−クロルアクリル酸、けい皮酸等;
不飽和ジカルボン酸またはその無水物として例えばマレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、無水イタコン酸、シトラコン酸、無水シトラコン酸、メサコン酸等;
2価以上の多価カルボン酸のモノ〔(メタ)アクリロイロキシアルキル〕エステルとして例えばこはく酸モノ(2−アクリロイロキシエチル)、こはく酸モノ(2−メタクリロイロキシエチル)、フタル酸モノ(2−アクリロイロキシエチル)、フタル酸モノ(2−メタクリロイロキシエチル)等、をそれぞれ挙げることができる。
これらのうち、不飽和モノカルボン酸が好ましく、特にアクリル酸またはメタクリル酸が好ましい。
上記不飽和化合物(a2)としては、上記不飽和化合物(a1)との共重合が可能である限り特に制限されないが、例えば芳香族ビニル化合物、インデンおよびその誘導体、脂肪族共役ジエンならびにα−オレフィンよりなる群から選択される少なくとも1種の不飽和化合物が好ましく例示される。
これらの具体例としては、芳香族ビニル化合物として例えばスチレン、α−メチルスチレン、o−ビニルトルエン、m−ビニルトルエン、p−ビニルトルエン等;
インデンおよびその誘導体として例えばインデン、1−メチルインデン等;
脂肪族共役ジエンとして例えば1,3−ブタジエン、イソプレン等;
α−オレフィンとして例えばエチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン等、をそれぞれ挙げることができる。
これらのうち、α−オレフィンが好ましく、特にエチレンが好ましい。
共重合体(A−1)としては、特に、不飽和化合物(a1)として(メタ)アクリル酸を、不飽和化合物(a2)としてエチレンを用いて得られた、(メタ)アクリル酸とエチレンとのランダム共重合体またはブロック共重合体が好ましく、(メタ)アクリル酸とエチレンとのランダム共重合体がとりわけ好ましい。
共重合体(A−1)における不飽和化合物(a1)の共重合割合は、5〜20質量%であることが好ましく、より好ましくは5〜15質量%であり、さらに好ましくは7〜15質量%である。不飽和化合物(a1)の共重合割合が5質量%未満であると、得られる化学機械研磨パッド研磨面の表面の親水性が不足し、化学機械研磨時に供給される化学機械水系分散体の保持能力に乏しくなって研磨速度が損なわれるとともにスクラッチ数が増大する場合があるほか、研磨面の機械的強度が不足して化学機械研磨パッドの耐久性に乏しくなる場合があるため好ましくない。一方、不飽和化合物(a1)の共重合割合が20質量%を超えると、得られる共重合体(A−1)の重合度が低下し、高分子量の共重合体が得られないために、研磨パッドの機械強度が低下し、化学機械研磨パッドの耐久性に乏しくなる場合があるため好ましくない。
共重合体(A−1)の重量平均分子量は10,000〜200,000であることが好ましく、より好ましくは20,000〜150,000である。
共重合体(A−1)としては、市販品を用いてもよい。かかる市販品としては、例えばレクスパールA210K(日本ポリエチレン(株)製)、ニュクレルAN4225C、同N2030H、同N5130H、同N1560、同N0200H(以上、三井・デュポンポリケミカル(株)製)等を挙げることができる。
上記の如き共重合体(A−1)を含有する前駆体成分から製造された非水溶性マトリックスを有する化学機械研磨パッドは、化学機械研磨工程において必要な機械的強度(適度な硬度等)を有するとともに、化学機械研磨時に供給される化学機械研磨用水系分散体中の砥粒との親和性に優れるため、高い研磨速度を示し、且つ高度の面内均一性を有する被研磨物を与えることができることとなるため、好ましい。
本発明に用いられる(A)非水溶性マトリックスの前駆体成分は、その全量を100質量部とした場合に上記の如き共重合体(A−1)を60〜100質量部、好ましくは70〜95質量部、より好ましくは70〜90質量部含有する。
本発明に用いられる(A)非水溶性マトリックスの前駆体成分は、少なくとも上記の如き共重合体(A−1)を含有するが、それ以外に必要に応じて(A−2)他の重合体、(A−3)分子内に2個以上の炭素−炭素二重結合を有する化合物(以下、「多官能性化合物(A−3)」という。)等を含有してもよい。
上記(A−2)他の重合体としては、例えば熱可塑性樹脂、エラストマー、ゴム、硬化樹脂(熱硬化性樹脂、光硬化性樹脂等を熱、光等によって硬化した樹脂)等が好ましい。多くの化学機械研磨用水系分散体が含有する強酸または強アルカリに対して安定であり、且つ吸水による軟化が少ないことから熱可塑性樹脂またはエラストマーがより好ましい。
上記熱可塑性樹脂としては、例えば1,2−ポリブタジエン樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、フッ素樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアセタール樹脂等を挙げることができる。上記ポリオレフィン樹脂としては例えばポリエチレン等を、前記フッ素樹脂としては例えばポリフッ化ビニリデン等を、それぞれ挙げることができる。
上記エラストマーとしては、例えばジエンエラストマー、ポリオレフィンエラストマー(TPO)、スチレン系エラストマー、熱可塑性エラストマー、シリコーンエラストマー、フッ素エラストマー等を挙げることができる。前記ジエンエラストマーとしては、例えば1,2−ポリブタジエン等を挙げることができる。前記スチレン系エラストマーとしては、例えばスチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体(SBS)、その水素添加ブロック共重合体(SEBS)等を挙げることができる。前記熱可塑性エラストマーとしては、例えば熱可塑性ポリウレタンエラストマー(TPU)、熱可塑性ポリエステルエラストマー(TPEE)、ポリアミドエラストマー(TPAE)等を挙げることができる。
上記硬化樹脂としては、例えばウレタン樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリウレタン−ウレア樹脂、ウレア樹脂、ケイ素樹脂、フェノール樹脂、ビニルエステル樹脂等を挙げることができる。
これらのうち、特に好ましくは1,2−ポリブタジエン樹脂である。
これらの重合体(A−2)は1種のみを用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
(A)非水溶性マトリックスの前駆体成分における(A−2)他の重合体の含有割合は、(A)非水溶性マトリックスの前駆体成分の全量を100質量部とした場合に、好ましくは40質量部以下であり、より好ましくは5〜30質量部であり、さらに10〜30質量部であることが好ましい。
上記多官能性化合物(A−3)としては、例えばエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(PEG#200)ジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(PEG#400)ジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(PEG#600)ジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ジアリルフタレート、テトラアリルオキシエタン、トリアリルイソシアヌレート、N,N’−m−フェニレンビスマレイミド、N,N’−トルイレンビスマレイミド、トリアリルイソシアヌレート、トリメタアリルイソシアヌレート、ジビニルベンゼン、トリアリルイソシアヌレート等を挙げることができる。なお、上記において、「PEG#200」、「PEG#400」および「PEG#600」は、それぞれ三洋化成(株)製のポリエチレングリコールの商品名であり、例えば「ポリエチレングリコール(PEG#200)ジ(メタ)アクリレート」とは、ポリエチレングリコールPEG#200の両末端の水酸基がそれぞれ(メタ)アクリル酸とエステル結合を形成した化合物を意味する。
これらのうち、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリアリルイソシアヌレートまたはジビニルベンゼンが好ましい。
(A)非水溶性マトリックスの前駆体成分における多官能性化合物(A−3)の含有割合は、(A)非水溶性マトリックスの前駆体成分の全量を100質量部とした場合に、好ましくは10質量部以下であり、より好ましくは1〜10質量部であり、さらに1〜8質量部であることが好ましい。
<(B)水溶性物質>
本発明に使用される(B)水溶性物質は、化学機械研磨時に供給される化学機械研磨用水系分散体と接触することにより研磨パッドの研磨面から離脱して、化学機械研磨用水系分散体を保持することのできる空孔(ポア)を形成する機能を有する物質である。研磨面から脱離するに際しては、水に溶解する態様の他、水との接触により膨潤またはゾル化して脱離する態様も含む。
かかる(B)水溶性物質は、有機水溶性物質、無機水溶性物質のいずれであってもよい。
有機水溶性物質としては、例えば糖類(でんぷん、デキストリンおよびシクロデキストリンの如き多糖類、乳糖、マンニット等)、セルロース類(ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース等)、蛋白質、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸、ポリエチレンオキサイド、水溶性の感光性樹脂、スルホン化ポリイソプレン、スルホン化イソプレン共重合体等を挙げることができる。
無機水溶性物質としては、例えば酢酸カリウム、硝酸カリウム、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム、臭化カリウム、リン酸カリウム、硫酸カリウム、硫酸マグネシウムおよび硝酸カルシウム等を挙げることができる。
(B)水溶性物質としては、上記のうちの1種類を用いてもよいし、2種類以上を混合して用いてもよい。
(B)水溶性物質は、得られる化学機械研磨パッドの研磨面の硬度を適正な値とすることができるという観点から、中実体であることが好ましい。
また、(B)水溶性物質は、粒子状であることが好ましい。その平均粒径は、好ましくは0.1〜500μmであり、より好ましくは0.5〜100μmである。(B)水溶性物質の平均粒径を上記の範囲とすることにより、高い研磨速度を示し、かつ機械的強度に優れた化学機械研磨パッドを得ることができる。
なお、(B)水溶性物質は、化学機械研磨パッドの研磨層において表層に露出した場合にのみ水等に溶解または膨潤し、研磨層の内部では吸湿せず、さらには膨潤しないことが好ましい。このため(B)水溶性物質は最外部の少なくとも一部に吸湿を抑制する外殻を備えていてもよい。この外殻は(B)水溶性物質に物理的に吸着していても、(B)水溶性物質と化学結合していても、さらにはこの両方により(B)水溶性物質に接していてもよい。このような外殻を形成する材料としては、例えばエポキシ樹脂、ポリイミド、ポリアミド、ポリシリケート、シランカップリング剤等を挙げることができる。この場合、(B)水溶性物質は、外殻を有する水溶性物質と外殻を有さない水溶性物質とからなっていてもよく、外殻を有する水溶性物質はその表面のすべてが外殻に被覆されていなくても十分に前記効果を得ることができる。
本発明で使用される研磨層形成用組成物における(B)水溶性物質の使用割合は、(A)非水溶性マトリックスの前駆体成分100質量部に対して1〜300質量部であることが好ましく、1〜250質量部であることがより好ましく、さらに好ましくは3〜200質量部である。
(B)水溶性物質の含有量を上記の範囲とすることにより、高い研磨速度を示し且つ適正な硬度および機械的強度を持つ化学機械研磨パッドとすることができる。
<架橋剤>
本発明で使用される研磨層形成用組成物は、上記の如き(A)非水溶性マトリックスの前駆体成分および(B)水溶性物質を必須の成分として含有するが、その他に架橋剤を含有していてもよい。
本発明の化学機械研磨パッドの研磨層は、後述の通り、架橋構造を有していることが好ましいが、研磨層形成用組成物が架橋剤を含有している場合には、架橋構造の形成を加熱により行うことができることとなる。
かかる架橋剤としては、例えば有機過酸化物、硫黄、硫黄化合物等を挙げることができる。これらのうち、有機過酸化物を使用することが好ましい(以下、有機過酸化物を用いる架橋構造形成方法を「PO架橋」ともいう。)。有機過酸化物としては、例えば過酸化ジクミル、過酸化ジエチル、過酸化ジ−t−ブチル、過酸化ジアセチル、過酸化ジアシル等を挙げることができる。
架橋剤の使用量は、(A)非水溶性マトリックスの前駆体成分100質量部に対して好ましくは10質量部以下であり、より好ましくは0.1〜8質量部である。この範囲の使用量とすることにより、化学機械研磨工程においてスクラッチの発生が抑制され、かつ研磨速度の高い化学機械研磨パッドを得ることができる。
<研磨層形成用組成物の調製方法>
本発明で使用される研磨層形成用組成物を得る方法は特に限定されない。例えば、上記の各成分を混練機等を用いて公知の方法により混練して得ることができる。混練機としては従来より公知のものを用いることができる。例えばロール、ニーダー、バンバリーミキサー、押出機(単軸、多軸)等の混練機を挙げることができる。混練の際の温度は、使用する成分の種類により適宜に設定するべきであるが、例えば70〜150℃であることが好ましい。
<化学機械研磨パッドの研磨層の形成方法>
本発明の化学機械研磨パッドの研磨層は、上記の如き組成物から製造される。
上記の組成物を適当な温度および圧力下で所望の形状に成型することにより、(A)非水溶性マトリックスの前駆体成分は非水溶性マトリックスを形成し、その中に(B)水溶性物質が分散した研磨層を得ることができる。
本発明の化学機械研磨パッドの研磨層は、架橋構造を有していることが好ましい。研磨パッドの研磨層が架橋構造を有することにより、上記(A)非水溶性マトリックスの前駆体成分から形成された非水溶性マトリックスが適度の弾性回復力を有することとなり、研磨時に化学機械研磨パッドにかかるずり応力による変位を小さく抑えることができ、また、研磨時およびドレッシング時に非水溶性マトリックスが過度に引き延ばされ塑性変形してポアが埋まることや、研磨層の表面が過度に毛羽立つこと等を効果的に抑制できる。したがって、ドレッシング時にもポアが効率よく形成され、研磨時のスラリーの保持性の低下が防止でき、毛羽立ちが少なく優れた研磨平坦性を実現することができることとなり、好ましい。
架橋構造の形成方法としては、特に限定されない。
本発明に使用される研磨層形成用組成物が上記架橋剤を含有しないものである場合には例えば電子線照射による電子線架橋によることができ、上記架橋剤を含有するものである場合には例えば電子線架橋のほか加熱による架橋を行うことができる。
架橋構造の形成を電子線照射により行う場合には、上記組成物を好ましくは100〜170℃の温度において好ましくは5〜50MPaの圧力下で所望の形状の成型体とし、これに電子線照射を行なうことにより、架橋構造を有する研磨層を得ることができる。
前記成型体に対して電子線を照射する工程において、電子線の照射量は10〜400kGy(Gy:グレイ、J/kg)の範囲であることが好ましく、より好ましくは25〜300kGyでり、さらに好ましくは50〜200kGyである。電子線の照射量が10kGy未満では電子線によるラジカル発生が不十分のため架橋度が過度に小さいため好ましくない。400kGyを超えると研磨層において分子切断が生じ、得られる研磨層の機械的強度の低下が生じるため好ましくない。
前記成型体に対して電子線を照射する工程において、電子線の加速電圧は0.5〜3MVの範囲であることが好ましく、より好ましくは0.7〜2.0MVであり、さらに好ましくは0.8〜1.5MV、最も好ましくは0.9〜1.2MVである。照射電圧が0.5MV未満では成型体の表層部で捕獲吸収される電子の割合が相対的に多くなり、研磨層内部における架橋が不十分となるため好ましくなく、一方、3MVを超えると成型体の発熱が大きくなり、成型体を構成する材料の変質が発生するとともに、分子切断が起こり、得られる研磨層の機械的強度の低下が生じるため好ましくない。
ここで、電子線の加速電圧は、前記成型体に対する透過性により適切に設定されることが好ましい。電子線の透過の程度は、成型体の厚みおよび電子線の運動エネルギーに依存する。その照射厚みに従って厚み方向に均一に透過可能に電子線の照射条件を調節することにより、厚み方向で架橋度が均一である成型体とすることができ、好ましい。また、その照射厚みに従って厚み方向に不均一に透過するように電子線の照射条件を調節すると、適度に厚み方向で架橋度が異なる研磨層を得ることができる。
加速電圧は、例えば概略以下のようにして設定されることが好ましい。
例えば成型体の比重が1である場合、成型体の厚みが2mm未満であれば、電子線の加速電圧は好ましくは0.5MV以上、さらに好ましくは0.8MV以上である。成型体の厚みが2mm以上3mm未満であれば、加速電圧は好ましくは0.8MV以上であり、さらに好ましくは1MV以上である。また、厚み3mm以上4mm未満の場合、加速電圧は好ましくは1.2MV以上、さらに好ましくは1.5MV以上である。厚み4〜5mmの場合、加速電圧は好ましくは1.7MV以上、さらに好ましくは2MV以上である。成型体の厚みに対して加速電圧が低すぎる場合には、電子線が厚み方向に貫通せずに十分な電子線照射効果が期待できない。厚みに対して必要な加速電圧は成型品の比重に比例する。従って、例えば成型体の比重が0.8の場合に必要な加速電圧は比重が1の場合の加速電圧の0.8倍である。
一方、架橋構造の形成を熱により行う場合には、上記架橋剤を含有する組成物を好ましくは150〜190℃の温度において好ましくは5〜50Paの圧力下で所望の形状に成型することにより、架橋構造を有する研磨層を得ることができる。
上記のようにして得られる研磨層の形状としては、例えば円盤状(円柱状)、多角柱状等であることができ、円盤状であることが好ましい。
研磨層の大きさとしては、例えば円盤状である場合、その研磨面(円柱の一方の底面)の直径が例えば150〜1,200mmであることができ、特に500〜820mmであることができる。研磨パッドの厚みとしては、例えば0.5〜5.0mmであることができ、特に1.0〜3.0mm、就中1.5〜3.0mmであることができる。
また、上記研磨層は、その研磨面またはその裏面に適当な凹部を有することができる。凹部の形状としては、同心円状の溝、放射状の溝、円形の凹部および多角形の凹部ならびにこれらの組み合わせ等を挙げることができる。
<化学機械研磨パッド>
本発明の化学機械研磨パッドは、上記の如くして形成された研磨層を有する。
本発明の化学機械研磨パッドは、上記の如き研磨層のみからなる単層の研磨パッドであることができ、あるいは上記の如き研磨層の裏面側に支持層を備える多層型パッドであることができる。
上記支持層は、化学機械研磨パッドを研磨面の裏面側で支える層である。この支持層の特性は特に限定されないが、研磨層に比べてより軟質であることが好ましい。より軟質な支持層を備えることにより、研磨層の厚みが薄い場合であっても、研磨時に研磨パッドが浮き上がることや、研磨層の表面が湾曲すること等を防止でき、安定して研磨を行うことができる。
支持層の平面形状は、研磨層の平面形状と同じ平面形状であり、かつ同じ大きさであることが好ましい。支持層の厚みとしては、0.1〜5mmであることが好ましく、0.2〜2.0mmとすることがより好ましい。
<化学機械研磨方法>
本発明の化学機械研磨方法は、上記の如き本発明の化学機械研磨パッドを用いて被研磨物を化学機械研磨するものである。
上記の如き本発明の研磨パッドは、市販の化学機械研磨装置に装着して、適当な化学機械研磨用水系分散体を用いて、公知の方法に準じて化学機械研磨工程に供することができる。
被研磨面を構成する材料としては、配線材料たる金属、バリアメタルおよび絶縁体ならびにこれらの組み合わせからなる材料を挙げることができる。前記配線材料たる金属としては、例えばタングクテン、アルミニウム、銅およびこれらのうちの少なくとも一種を含有する合金等を挙げることができる。前記バリアメタルとしては、タンタル、窒化タンタル、ニオブ、窒化ニオブ等を挙げることができる。前記絶縁体としては、例えばSiO、SiOに少量のホウ素およびリンを添加したホウ素リンシリケート(BPSG)、SiOにフッ素をドープしたFSG(Fluorine−Doped Silicate Glass)と呼ばれる絶縁体、および低誘電率の酸化シリコン系絶縁体等を挙げることができる。SiOとしては、例えば熱酸化膜、PETEOS(Plasma Enhanced−TEOS)、HDP(High Density Plasma Enhanced−TEOS)、熱CVD法により得られるSiO等を挙げることができる。
以下、実施例により、本発明をさらに具体的に説明する。
実施例1
(A)非水溶性マトリックスの前駆体成分として共重合体(A−1)であるアクリル酸−エチレン共重合体(商品名「レクスパールA210K」、日本ポリエチレン(株)製、アクリル酸7質量%およびエチレン93質量%のランダム共重合体である。)100質量部および(B)水溶性物質としてβ−シクロデキストリン(商品名「デキシパールβ−100」、塩水港精糖(株)製、平均粒径15μm)38質量部を140℃に調温された二軸押出機にて混練することにより、研磨層形成用組成物のペレットを得た。
このペレットを金型内で140℃に加熱して可塑化した後、金型内の温度を30℃に冷却して固化させることにより、直径840mm、厚み3.5mmの円盤状のシート状の成型体を作成した。
次いでこのシート状成型体を、スキャン方式の電子線照射装置((株)NHVコーポレーション製、型式「EPS−3000」)にセットして常温・常圧下で、電圧1MV、電子線量25kGyの条件下で8パスさせて電子線照射による電子線架橋を行った。その後、ワイドベルトサンダーを用いて電子線架橋されたシート状成型体の厚み調整を行い、厚み2.5mmとした。
さらに、厚み調製後のシート状成型体につき、(株)加藤機械製の溝加工機を用いて、幅0.5mm、深さ1.0mm、ピッチ1.5mmの同心円状の溝(溝の断面形状は矩形である。)を切削加工により形成し、研磨面に溝を有する研磨層を作製した。
この研磨層を単層の化学機械研磨パッドとして用いて、以下のように化学機械研磨を行い、その研磨性能を評価した。
[化学機械研磨]
上記化学機械研磨パッドの溝を加工していない面へ3M社製両面テープ#422をラミネートした後、アプライドマテリアル社製の化学機械研磨装置「Applied Reflexion」に装着し、片面表面にCu膜(膜厚1,500nm)を有する12インチのシリコンウェハを被研磨物として、以下の条件にてCu膜の化学機械研磨を行った。
定盤回転数:120rpm
研磨ヘッド回転数:100rpm
研磨圧力:RP/Zone1/Zone2/Zone3 = 7.5/6.0/3.0/3.5 [psi]
研磨機械研磨用水系分散体:CMS7401、CMS7452(ともにJSR(株)製)および水の1:1:6(質量比)混合物
水系分散体供給速度:300mL/分
研磨時間:1分
[研磨速度および研磨量の面内均一性の評価]
研磨後のウェハの被研磨面の直径方向に、両端からそれぞれ5mmの範囲を除いて均等に33点の特定点を設定し、これら特定点について化学機械研磨前後のCu膜の厚みを測定した。この測定結果から、下記式により、研磨速度および研磨量の面内均一性を計算した。
研磨量 = 研磨前のCu膜厚−研磨後のCu膜厚
研磨速度 = 研磨量の平均値/研磨時間
研磨量の面内均一性(%) =(研磨量の標準偏差÷研磨量の平均値)×100
[スクラッチ数の評価]
研磨後のウェハの被研磨面につき、ケーエルエー・テンコール社製「サーフスキャンSP1」を用いて被研磨面全面あたりのスクラッチ数を計測した。
以上の評価結果を第2表に示した。
実施例2
(A)非水溶性マトリックスの前駆体成分として、共重合体(A−1)であるアクリル酸−エチレン ランダム共重合体「レクスパールA210K」60質量部および他の重合体(A−2)である1,2−ポリブタジエン(熱可塑性樹脂、商品名「RB830」、JSR(株)製)40質量部を用いたほかは実施利1と同様にして研磨層を作製した。この研磨層を単層の化学機械研磨パッドとして用いて実施例1と同様にしてその研磨性能を評価した。評価結果は第2表に示した。
実施例3
(A)非水溶性マトリックスの前駆体成分として使用した共重合体(A−1)の種類および量ならびに(B)水溶性物質の種類および量を、それぞれ第1表に記載のとおりとしたほかは実施例1と同様にして研磨層を作製し、これを単層の化学機械研磨パッドとして用いてその研磨性能を評価した。評価結果は第2表に示した。
実施例4
(A)非水溶性マトリックスの前駆体成分として共重合体(A−1)であるアクリル酸−エチレン ランダム共重合体「レクスパールA210K」90質量部および多官能性化合物(A−3)であるトリアリルイソシアヌレート「TAIC」(日本化成(株)製)10質量部と、(B)水溶性物質としてβ−シクロデキストリン「デキシパールβ−100」1質量部とを、140℃に調温された二軸押出機にて混練することにより、研磨層形成用組成物のペレットを得た。
このペレットを用いたほかは実施例1と同様にして研磨層を作製し、これを単層の化学機械研磨パッドとして用いてその研磨性能を評価した。評価結果は第2表に示した。
実施例5
(A)非水溶性マトリックスの前駆体成分として、共重合体(A−1)であるメタクリル酸−エチレン共重合体(商品名「AN4225C」、三井デュポンポリケミカル(株)製、メタクリル酸5質量%およびエチレンが95質量%のランダム共重合体である。)70質量部、他の重合体(A−2)であるスチレン−ブタジエン共重合体(商品名「TR2827」、JSR(株)製)27質量部および多官能性化合物(A−3)であるトリアリルイソシアヌレート「TAIC」3質量部と、(B)水溶性物質としてβ−シクロデキストリン「デキシパールβ−100」8質量部とを、120℃に加熱されたニーダーにて混練した。その後、有機過酸化物として「パークミルD40」(商品名、日本油脂(株)製、過酸化ジクミルを40質量%含有する。)1質量部(純品の過酸化ジクミルに換算して0.4質量部に相当する。)を添加し、さらに混練した後、金型内にて170℃で18分間、加熱による架橋反応(PO架橋)を行なって成型し、直径840m、厚み3.5mmの円盤状のシート状成型体を得た。
このシート状成型体を用いたほかは実施例1と同様にして研磨層を作製し、これを単層の化学機械研磨パッドとして用いてその研磨性能を評価した。評価結果は第2表に示した。
実施例6〜7および9〜12
(A)非水溶性マトリックスの前駆体成分として使用した各単位成分の種類および量ならびに(B)水溶性物質の種類および量を、それぞれ第1表に記載のとおりとしたほかは実施例1と同様にして研磨層を作製し、これを単層の化学機械研磨パッドとして用いてその研磨性能を評価した。評価結果は第2表に示した。
なお、実施例9において(B)水溶性物質として使用したポリエチレンオキシドは、得られた研磨層中で平均粒径7μmの粒子状で存在していた。
実施例8、13および14
(A)非水溶性マトリックスの前駆体成分として使用した各単位成分の種類および量、(B)水溶性物質の種類および量ならびに架橋剤の種類および量を、それぞれ第1表に記載のとおりとしたほかは実施例5と同様にして研磨層を作製し、これを単層の化学機械研磨パッドとして用いてその研磨性能を評価した。評価結果は第2表に示した。
比較例1
非水溶性マトリックスの前駆体成分としてグラフト共重合体である無水マレイン酸変性スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体の水素添加物(商品名「タフテック1911」、旭化成(株)製、酸価;2mg CHONa/g、2.07mg KOH/gに相当)20質量部および1,2−ポリブタジエン「RB830」80質量部、水溶性物質としてβ−シクロデキストリン「デキシパールβ−100」38質量部を用いたほかは実施例5と同様にして研磨層を作製し、これを単層の化学機械研磨パッドとして用いてその研磨性能を評価した。評価結果は第2表に示した。
比較例2
非水溶性マトリックスの前駆体成分として使用した各単位成分の種類および量ならびに水溶性物質の種類および量を、それぞれ第1表に記載のとおりとしたほかは実施例1と同様にして研磨層を作製し、これを単層の化学機械研磨パッドとして用いてその研磨性能を評価した。評価結果は第2表に示した。
比較例3〜5
非水溶性マトリックスの前駆体成分として使用した各単位成分の種類および量ならびに水溶性物質の種類および量を、それぞれ第1表に記載のとおりとしたほかは実施例5と同様にして研磨層を作製し、これを単層の化学機械研磨パッドとして用いてその研磨性能を評価した。評価結果は第2表に示した。
Figure 2009072405
Figure 2009072405
上記第1表において、各成分の略称はそれぞれ以下の意味である。
<共重合体(A−1)>
A210K:アクリル酸−エチレン共重合体(商品名「レクスパールA210K」、日本ポリエチレン(株)製、アクリル酸7質量%およびエチレン93質量%のランダム共重合体である。)
N0200H:メタクリル酸−エチレン共重合体(商品名「ニュクレルN0200H」、三井・デュポンポリケミカル(株)製、メタクリル酸2質量%およびエチレン98質量%のランダム共重合体である。)
AN4225C:メタクリル酸−エチレン共重合体(商品名「AN4225C」、三井・デュポンポリケミカル(株)製、メタクリル酸5質量%およびエチレン95質量%のランダム共重合体である。)
N2030H:メタクリル酸−エチレン共重合体(商品名「ニュクレルN2030H」、三井・デュポンポリケミカル(株)製、メタクリル酸20質量%およびエチレン80質量%のランダム共重合体である。)
N1560:メタクリル酸−エチレン共重合体(商品名「ニュクレルN1560」、三井・デュポンポリケミカル(株)製、メタクリル酸15質量%およびエチレン85質量%のランダム共重合体である。)
<他の重合体(A−2)>
RB830:1,2−ポリブタジエン(熱可塑性樹脂、商品名「RB830」、JSR(株)製)
TR2827:スチレン−ブタジエン ランダム共重合体(商品名「TR2827」、JSR(株)製)
TT1911:無水マレイン酸変性スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体の水素添加物(グラフト共重合体、商品名「タフテック1911」、旭化成(株)製、酸価;2mg CHONa/g、2.07mg KOH/gに相当)
PAA:ポリアクリル酸(商品名「アクアリックH」、(株)日本触媒製)
PE:ポリエチレン(商品名「YF30」、日本ポリエチレン(株)製)
比較例1、2および5では、他の重合体(A−2)としてそれぞれ2種類の重合体を併用した。
<多官能性化合物(A−3)>
TAIC:トリアリルイソシアネート(商品名「TAIC」、日本化成(株)製)
TMP:トリメチロールプロパントリメタクリレート(商品名「アクリエステルTMP」、三菱レイヨン(株)製)
<(B)水溶性物質>
β−CD:β−シクロデキストリン(商品名「デキシパールβ−100」、塩水港精糖(株)製、平均粒径15μm)
PEO:ポリエチレンオキシド(商品名「アルコックスE30」、明成化学工業(株)製)
K2SO4:硫酸カリウム(大塚化学(株)製、平均粒径50μm)
<架橋剤>
PQD40:パークミルD40(商品名、日油(株)製、過酸化ジクミルを40質量%含有する。第1表においては、純品の過酸化ジクミルに換算した値を示した。)
Figure 2009072405
Cuの化学機械研磨工程においては、研磨速度600nm/min以上、研磨量の面内均一性6%以下およびスクラッチ60個以下であれば良好な研磨特性を有すると考えられる。第2表によれば、実施例1〜14における本発明の化学機械研磨パッドは良好な研磨特性を有することが明らかとなった。これに対し本願発明ではない比較例1〜5の化学機械研磨パッドは研磨速度、研磨量の面内均一性およびスクラッチ性能のすべてについて良好な結果を示したものはない。
以上説明してきたとおり、本発明によれば、研磨速度に優れ、研磨量の面内均一性に優れ且つスクラッチの少ない被研磨面を与える化学機械研磨パッドおよび化学機械研磨方法が提供される。

Claims (9)

  1. (A)非水溶性マトリックスの前駆体成分および(B)水溶性物質を含有する組成物から形成された研磨層を有する化学機械研磨パッドであって、
    上記(A)非水溶性マトリックスの前駆体成分はその全量を100質量部とした場合に、
    (A−1)(a1)不飽和カルボン酸および不飽和カルボン酸無水物よりなる群から選ばれる少なくとも1種の不飽和化合物と、
    (a2)上記(a1)以外の不飽和化合物と、のランダム共重合体またはブロック共重合体
    を60〜100質量部含有するものであることを特徴とする、化学機械研磨パッド。
  2. 上記(A−1)共重合体における不飽和化合物(a1)の共重合割合が5〜20質量%である、請求項1に記載の化学機械研磨パッド。
  3. 上記(A−1)共重合体における不飽和化合物(a1)が不飽和モノカルボン酸であり、不飽和化合物(a2)がα−オレフィンである、請求項1または2に記載の化学機械研磨パッド。
  4. 上記(A)非水溶性マトリックスの前駆体成分が、さらに分子内に2個以上の炭素−炭素二重結合を有する化合物を含有する、請求項1または2に記載の化学機械研磨パッド。
  5. 上記(A)非水溶性マトリックスの前駆体成分が、さらに1,2−ポリブタジエン樹脂を含有する、請求項1または2に記載の化学機械研磨パッド。
  6. 上記組成物における(B)水溶性物質の含有割合が、(A)非水溶性マトリックスの前駆体成分100質量部に対して1〜300質量部である、請求項1または2に記載の化学機械研磨パッド。
  7. 上記研磨層が架橋構造を有する、請求項1または2に記載の化学機械研磨パッド。
  8. 研磨層の架橋構造が電子線照射により形成されたものである、請求項7に記載の化学機械研磨パッド。
  9. 請求項1または2に記載の化学機械研磨パッドを用いて被研磨物を化学機械研磨することを特徴とする、化学機械研磨方法。
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