JP7365836B2 - 研磨パッド - Google Patents
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[1] 一部に終点検出窓を備える研磨層を有する研磨パッドであって、前記終点検出窓は、浸潤状態になると体積が膨張する材料から構成される、研磨パッド。
[2] 前記終点検出窓の前記材料の湿潤状態のときのD硬度は、乾燥状態のD硬度よりも低い、[1]に記載の研磨パッド。
[3] 前記終点検出窓は、添加剤としてポリアクリル酸ナトリウムを含むポリウレタン、ポリウレア又はポリウレタンポリウレアである、[1]又は[2]に記載の研磨パッド。
研磨パッド3の構造について図3を用いて説明する。研磨装置1に備えられる研磨パッド3は、図3のように、研磨パッド3を貫通している少なくとも一つの終点検出窓5(図3では、2つの終点検出窓5を備える)を有する研磨層4と、クッション層6とを含む。研磨パッド3は、終点検出窓5を有するため、光源13、光学式センサ14を用いて被研磨物8の研磨状況の確認を光学的に実施できる。
研磨パッド3の形状は円盤状が好ましいが、特に限定されるものではなく、また、大きさ(径)も、研磨パッド3を備える研磨装置1のサイズ等に応じて適宜決定することができ、例えば、直径10cm~1m程度とすることができる。
なお、本発明の研磨パッド3は、研磨層4がクッション層6に接着層7を介して接着されていることが好ましいが、研磨層4のみから構成されていてもよい。
研磨パッド3は、クッション層6に配設された両面テープ等によって研磨装置の研磨定盤10に貼付される。研磨パッド3は、研磨装置によって被研磨物8を押圧した状態で回転駆動され、被研磨物を研磨する。
研磨パッド3は、被研磨物を研磨するための層である研磨層4を備える。研磨層4を構成する材料は、ポリウレタン樹脂、ポリウレア樹脂、及びポリウレタンポリウレア樹脂を好適に用いることができ、より好ましくはポリウレタン樹脂を用いることができる。
研磨層4の大きさ(径)は、研磨パッド3と同様であり、直径10cm~2m程度とすることができ、研磨層4の厚みは、通常1~5mm程度とすることができる。
研磨層4は、研磨装置1の研磨定盤10と共に回転され、その上にスラリー9を流しながら、スラリーの中に含まれる化学成分や砥粒を、被研磨物8と一緒に相対運動させることにより、被研磨物8を研磨する。研磨層4の表面に同心円状、格子状、放射状などの溝加工が施されることにより、スラリー9の保持や排出を調整することができ、研磨特性を変えることが可能である。
研磨層4は、少なくとも一つの終点検出窓5を有する。終点検出窓5は、光学的手段により、研磨の終点を確認するためのものであるため透光性を有する。したがって、終点検出窓5は、透光性が高い方が好ましい。また、本発明の終点検出窓5は、スラリーや水を吸収して、膨潤して軟化する特徴を有する。すなわち、終点検出窓5は、スラリー9等と接触した表面は軟らかくなるが、内部が硬いままの状態になる。終点検出窓5の表面のみ軟化することにより、軟化した部分が研磨中に摩耗しつつ、内部は硬度を維持するため、内部まで急激に大きく摩耗されることがない。なお、スラリーや水と接触すると膨潤して、研磨層4の表面よりも終点検出窓5の表面の方が高くなる場合があるが、その場合であっても、膨潤した部分は硬度が低下するため、摩耗により研磨層4と同程度の高さとなる。
このような終点検出窓5を設けることにより、従来のように、被研磨物が終点検出窓で傷つくという問題がなくなり、一方、終点検出窓を軟らかくして、凹みが生じて研磨屑やスラリーが凹んだところに溜まってしまうという問題もなくなる。すなわち、スクラッチの発生を抑制し、検出精度への影響も最小限に抑えることができる。
終点検出窓5の数は、通常は1つ又はそれ以上あればよい。終点検出窓5の直径は、1cm~15cm程度が好ましく、厚みは研磨層4と同様で、通常1~5mm程度である。終点検出窓5の詳細については、<<終点検出窓の製造方法>>の項で説明する。
クッション層6は、樹脂を含浸させた含浸不織布、合成樹脂等の可撓性を有する材料、気泡構造を有する発泡体等から構成されるため、研磨層4の被研磨物8への当接をより均一にすることができる。本発明において、研磨パット3は、研磨層4のみから構成されてもよいが、クッション層6に接着させることが好ましい。
また、クッション層6においては、光検知を行うための光を通過させることができるように、終点検出窓5の設置位置に対応する部分に、終点検出窓5と同じ数の穴を形成することが必要である。
接着層7は、クッション層6と研磨層4を接着させるための層であり、通常、両面テープ又は接着剤から構成される。両面テープ又は接着剤は、当技術分野において公知のものを使用することができる。
本発明の研磨パッド3を備えた研磨装置1は、すでに説明したように、光学的手段により研磨状態を確認できる。例えば図1に示すように、研磨装置1を有する研磨定盤10は、光源13、光学式センサ14を備える。光源13から出された光が、研磨定盤10の下から上へ向けて通過し、さらにクッション層6の穴、さらには、研磨パッド3の終点検出窓5を通過して、被研磨物8に到着し、被研磨物8に反射して戻ってきた光を光学式センサ14が感知する。このように光源13と光学式センサ14は、研磨定盤10と一緒に回転することにより、研磨しながら、研磨状況を確認できる。
本発明の終点検出窓の製造方法について説明する。
終点検出窓5の材料としては、スラリーや水と接触した部分が膨潤し、硬度が低下する材料であって、かつ、透光性を有する材料であれば、特に限定されるものではないが、終点検出窓5は、研磨層4と同様の働き、すなわち、被研磨物8を研磨する働きも要求される場合もあるため、主成分は研磨層4と同様の成分が好ましい。すなわち、終点検出窓8の材料の主成分はポリウレタン樹脂、ポリウレア樹脂、及びポリウレタンポリウレア樹脂が好ましく、ポリウレタン樹脂がより好ましい。具体的な主成分の材料としては、例えば、ウレタン結合含有ポリイソシアネート化合物と硬化剤とを反応させて得られる材料を挙げることができる。
本明細書において、膨潤度とは、材料(ポリマー)の吸水前後の重量変化量をいう。本発明においては、終点検出窓5の被研磨物8と接触する表面が、研磨層4の被研磨物8と接触する表面と同じ程度の高さを有することが望ましいため、終点検出窓5の膨潤度は0~30%であることが好ましく、2~25%であることがより好ましく、5~20%であることがさらに好ましい。
なお、本明細書において膨潤度は、終点検出窓5の水の浸漬前後の重量により測定することができる。終点検出窓5を4cm×4cmの正方形に切り抜いてサンプルとし、温度23℃(±2℃)、湿度50%(±5%)の条件の下に12時間静置した後の重量を精密天秤にて測定する。次に、このサンプルを蒸留水中に浸漬し、30分間水に浸漬した後、サンプルを取り出し、表面の水分のみを拭き取り、サンプルを水に浸漬した後の重量を精密天秤にて測定する。これらの重量の値を用い、以下の式にて研磨シートの表面層の膨潤度を算出する。
膨潤度(%)=(水に浸漬後のサンプル重量-水に浸漬前のサンプル重量)/水に浸漬前のサンプル重量×100
本明細書において、D硬度(タイプD)とは、材料(ポリマー)の硬さを示すものである。本発明においては、終点検出窓5が水を吸収して、軟化することが必要であるため、終点検出窓5の湿潤状態のD硬度は乾燥状態のD硬度より低い。具体的には、湿潤状態と乾燥状態のD硬度の差の下限は5以上であることが好ましく、10以上であることがより好ましく、15以上であることがさらに好ましい。上限については、特に限定されていないが、例えば、30以下である。
また、終点検出窓5の表面が軟化した際に、研磨層4の表面と同じ程度の摩耗性を有することが望ましく、研磨層4と終点検出窓5の湿潤状態のD硬度の差の上限は25以下であることが好ましく、23以下であることがより好ましく、20以下であることがさらに好ましい。下限については、特に限定されていないが、例えば、5以上である。
なお、D硬度は、JISK6253-1997/ISO7619に準じて、テクロック社製D型硬度計(GS702)を用いることにより、測定することができる。具体的には終点検出窓5の湿潤状態のD硬度は、40℃の脱イオン水中に30分間浸漬して湿潤させた終点検出窓を取り出し、軽くろ紙で水気を拭き取りすぐに測定を開始する。終点検出窓は、少なくとも厚さ4.5mm以上になるように設定する。また、D硬度は、加圧板を試料に接触させた後、2秒後の数値を読み取る。
本明細書において、摩耗速度とは、一定の時間単位に摩耗除去された量をいう。本発明においては、終点検出窓5と研磨層4の摩耗速度は同じ程度であることが望ましく、研磨層4と終点検出窓5の摩耗速度の差は10~300であることが好ましく、20~270であることがより好ましく、30~250であることがさらに好ましい。
なお、摩耗速度の評価は、研磨層及び終点検出窓のテーバー磨耗試験による磨耗減量によって行った。磨耗減量は、日本工業規格(JIS K 6902)のテーバー摩耗試験に準じた方法で行い、40℃の水を研磨層及び終点検出窓に滴下しつつ、320番手のサンドペーパーを用いて測定することができる。
終点検出窓5は、光を通過させるため、使用頻度が高い300~800nmにおける透過率が高いことが好ましい。例えば、660nmの光の透過率が、好ましくは、50%以上、より好ましくは60%以上、さらに好ましくは70%以上、より一層好ましくは80%以上である。透過率が高ければ、エラーが生じにくく、高い精度で測定することができる。透過率の測定は、分光光度計(日立製作所製、U-3210 Spectro Photometer)を用いて測定することができ、このときの試料厚さは10mmである。
本発明の終点検出窓5の製造のために、ポリウレタン樹脂成形体(硬化樹脂)の原料として、ウレタン結合含有ポリイソシアネート化合物、硬化剤を準備する。また、添加剤として吸水性高分子も用意する。ここで、ウレタン結合含有ポリイソシアネートは、ポリウレタン樹脂成形体を形成するための、ウレタンプレポリマーである。終点検出窓5をポリウレア樹脂成型体やポリウレタンポリウレア樹脂成形体にする場合は、それに応じたプレポリマーを用いる。
ウレタン結合含有ポリイソシアネート化合物(ウレタンプレポリマー)は、下記ポリイソシアネート化合物とポリオール化合物とを、通常用いられる条件で反応させることにより得られる化合物であり、ウレタン結合とイソシアネート基を分子内に含むものである。また、本発明の効果を損なわない範囲内で、他の成分がウレタン結合含有ポリイソシアネート化合物に含まれていてもよい。
本明細書において、ポリイソシアネート化合物とは、分子内に2つ以上のイソシアネート基を有する化合物を意味する。
ポリイソシアネート化合物としては、分子内に2つ以上のイソシアネート基を有していれば特に制限されるものではない。例えば、分子内に2つのイソシアネート基を有するジイソシアネート化合物としては、m-フェニレンジイソシアネート、p-フェニレンジイソシアネート、2,6-トリレンジイソシアネート(2,6-TDI)、2,4-トリレンジイソシアネート(2,4-TDI)、ナフタレン-1,4-ジイソシアネート、ジフェニルメタン-4,4’-ジイソシアネー卜(MDI)、4,4’-メチレン-ビス(シクロヘキシルイソシアネート)(水添MDI)、3,3’-ジメトキシ-4,4’-ビフェニルジイソシアネート、3,3’-ジメチルジフェニルメタン-4,4’-ジイソシアネート、キシリレン-1、4-ジイソシアネート、4,4’-ジフェニルプロパンジイソシアネート、トリメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、プロピレン-1,2-ジイソシアネート、ブチレン-1,2-ジイソシアネート、シクロヘキシレン-1,2-ジイソシアネート、シクロヘキシレン-1,4-ジイソシアネート、p-フェニレンジイソチオシアネート、キシリレン-1,4-ジイソチオシアネート、エチリジンジイソチオシアネート等を挙げることができる。これらのポリイソシアネート化合物は、単独で用いてもよく、複数のポリイソシアネート化合物を組み合わせて用いてもよい。
本明細書において、ポリオール化合物とは、分子内に2つ以上の水酸基(OH)を有する化合物を意味する。
プレポリマーとしてのウレタン結合含有ポリイソシアネート化合物の合成に用いられるポリオール化合物としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール(DEG)、ブチレングリコール等のジオール化合物、トリオール化合物等;ポリ(オキシテトラメチレン)グリコール(又はポリテトラメチレンエーテルグリコール)(PTMG)等のポリエーテルポリオール化合物を挙げることができる。これらの中でも、PTMGが好ましい。PTMGの数平均分子量(Mn)は、500~2000であることが好ましく、600~1300であることがより好ましく、650~1000であることがさらにより好ましい。数平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィー(Gel Permeation Chromatography:GPC)により測定することができる。なお、ポリウレタン樹脂からポリオール化合物の数平均分子量を測定する場合は、アミン分解等の常法により各成分を分解した後、GPCによって推定することもできる。
上記ポリオール化合物は単独で用いてもよく、複数のポリオール化合物を組み合わせて用いてもよい。
上記したように、終点検出窓5の材料として、高吸水性高分子を添加剤として用いることができる。混合方法は、特に限定されるものではないが、通常、ポリイソシアネート化合物などと混合させる。材料としては、ポリアクリル酸塩系、ポリスルホン酸塩系、無水マレイン酸塩系、ポリアクリルアミド系、ポリビニルアルコール系、ポリエチレンオキシド系等を用いることができ、例えば、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリ乳酸を用いることができる。
本発明の終点検出窓5の製造方法では、混合工程において硬化剤(鎖伸長剤ともいう)をウレタン結合含有ポリイソシアネート化合物などと混合させる。硬化剤を加えることにより、その後の成形体成形工程において、ウレタン結合含有ポリイソシアネート化合物の主鎖末端が硬化剤と結合してポリマー鎖を形成し、硬化する。
硬化剤としては、例えば、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、イソホロンジアミン、ジシクロヘキシルメタン-4,4’-ジアミン、3,3’-ジクロロ-4,4’-ジアミノジフェニルメタン(MOCA)、4-メチル-2,6-ビス(メチルチオ)-1,3-ベンゼンジアミン、2-メチル-4,6-ビス(メチルチオ)-1,3-ベンゼンジアミン、2,2-ビス(3-アミノ-4-ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2-ビス[3-(イソプロピルアミノ)-4-ヒドロキシフェニル]プロパン、2,2-ビス[3-(1-メチルプロピルアミノ)-4-ヒドロキシフェニル]プロパン、2,2-ビス[3-(1-メチルペンチルアミノ)-4-ヒドロキシフェニル]プロパン、2,2-ビス(3,5-ジアミノ-4-ヒドロキシフェニル)プロパン、2,6-ジアミノ-4-メチルフェノール、トリメチルエチレンビス-4-アミノベンゾネート、及びポリテトラメチレンオキサイド-di-p-アミノベンゾネート等の多価アミン化合物;エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリメチレングリコール、テトラエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、1,4-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、2,3-ブタンジオール、1,2-ブタンジオール、3-メチル-1,2-ブタンジオール、1,2-ペンタンジオール、1,4-ペンタンジオール、2,4-ペンタンジオール、2,3-ジメチルトリメチレングリコール、テトラメチレングリコール、3-メチル-4,3-ペンタンジオール、3-メチル-4,5-ペンタンジオール、2,2,4-トリメチル-1,3-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,5-ヘキサンジオール、1,4-ヘキサンジオール、2,5-ヘキサンジオール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、ネオペンチルグリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、トリメチロールメタン、ポリ(オキシテトラメチレン)グリコール、ポリエチレングリコール、及びポリプロピレングリコール等の多価アルコール化合物が挙げられる。また、多価アミン化合物が水酸基を有していてもよく、このようなアミン系化合物として、例えば、2-ヒドロキシエチルエチレンジアミン、2-ヒドロキシエチルプロピレンジアミン、ジ-2-ヒドロキシエチルエチレンジアミン、ジ-2-ヒドロキシエチルプロピレンジアミン、2-ヒドロキシプロピルエチレンジアミン、ジ-2-ヒドロキシプロピルエチレンジアミン等を挙げることができる。多価アミン化合物としては、ジアミン化合物が好ましく、例えば、3,3’-ジクロロ-4,4’-ジアミノジフェニルメタン(メチレンビス-o-クロロアニリン)(以下、MOCAと略記する。)を用いることがさらに好ましい。
混合工程では、前記準備工程で得られた、ウレタン結合含有ポリイソシアネート化合物(ウレタンプレポリマー)、添加剤、硬化剤を混合機内に供給して攪拌・混合する。混合工程は、上記各成分の流動性を確保できる温度に加温した状態で行われる。
混合工程では、少なくとも、ウレタン結合含有ポリイソシアネート化合物(ウレタンプレポリマー)、添加剤、硬化剤を、混合機内に供給して攪拌・混合する。混合順序に特に制限はないが、ウレタン結合含有ポリイソシアネート化合物と、硬化剤、添加剤及び必要に応じて他の成分を混合した混合液とを用意し、両方を混合器内に供給して混合撹拌することが好ましい。このようにして、成形体成形用の混合液が調製される。混合工程は、上記各成分の流動性を確保できる温度に加温した状態で行われる。
成形体成形工程では、前記混合工程で調製された成形体成形用混合液を30~100℃に予熱した棒状の型枠内に流し込み一次硬化させた後、100~150℃程度で10分~5時間程度加熱して二次硬化させることにより硬化したポリウレタン樹脂(ポリウレタン樹脂成形体)を成形する。このとき、ウレタンプレポリマー、硬化剤が反応してポリウレタン樹脂を形成することにより該混合液は硬化する。
なお、前記型枠には、凹凸やねじ切り構造が設けられることにより、終点検出窓5が成形された研磨層4から外れることを防止することができる。
終点検出窓5に気泡が含まれていると、光源13からの光が気泡で反射してしまい、光の透過率が低下し、終点検出の精度に影響を及ぼすことが考えられる。したがって、終点検出窓5に気泡が含まれないようにするために、例えば、材料を準備する段階で十分に減圧脱泡を行うことが挙げられる。
本発明の研磨層4の製造方法について説明する。研磨層4の材料としては、研磨に用いることができる材料であれば、特に限定されるものではないが、例えば、ウレタン結合含有ポリイソシアネート化合物と硬化剤とを反応させて得られるポリウレタン樹脂材料を使用することができる。
本発明の研磨パッド3が有する研磨層4は、少なくとも一つの終点検出窓5を備える。この終点検出窓5を備えた研磨層4について、説明する。
図7に示すように、まず、円柱状の終点検出窓5を製造する。この製造方法としては、材料を押し出し成形してもよいし、研削等により、円柱状に成形してもよい。なお、終点検出窓5の側面は、研磨層4との嵌め合いやすくするために、必要に応じて凹凸やねじ切り構造が設けることができる。
次に、研磨層4の材料となるウレタンプレポリマーと硬化剤と中空微粒子を混合機内に供給して攪拌・混合する。円柱状の終点検出窓5を備えた状態で、その周りに研磨層4の材料を硬化させ、円柱状の終点検出窓5を備えたブロック状の研磨層4を成形する。
最後に、所望の研磨パッド3の形状になるように、研磨層4を切り出し、所定の形状の研磨層4にすることができる。
終点検出窓5を備えた研磨層4は上述のとおりに形成することができるが、これに限定されるものではない。
2,4-トリレンジイソシアネート(2,4-TDI)、2,6-トリレンジイソシアネート(2,6-TDI)及び数平均分子量650のポリ(オキシテトラメチレン)グリコール(PTMG))を反応させてなるNCO当量504のイソシアネート基末端ウレタンプレポリマー100部を第1液タンクに仕込み、保温した。次に、第1液とは別途に、硬化剤としてのMOCA20部に、ポリアクリル酸ナトリウム2部を添加混合し、混合液を得た。得られた混合液を第2液タンク内で保温した。第1液タンク、第2液タンクの夫々の液体を、注入口を2つ具備した混合機に夫々の注入口から注入した。注入した2液を混合攪拌しながら予熱した成形機の金型へ注入した後、型締めをし、30分間、加熱し一次硬化させた。一次硬化させた成形物を脱型後、オーブンにて130℃で2時間二次硬化し、終点検出窓として用いられるウレタン樹脂成形物を得た。得られた終点検出窓は、乾燥状態のD硬度は45であり、浸潤状態のD硬度は36であった。そして、膨潤度は110%であった。
一方、2,4-トリレンジイソシアネート(2,4-TDI)、数平均分子量650ポリ(オキシテトラメチレン)グリコール(PTMG)及びジエチレングリコール(DEG)を反応させてなるNCO当量460のイソシアネート基末端ウレタンプレポリマー100部に、殻部分がアクリロニトリル-塩化ビニリデン共重合体からなり、殻内にイソブタンガスが内包された粒子の大きさが15~25μm(平均粒径:20μm)の膨脹させた中空微粒子2.8部を添加混合し、第1液タンクに仕込み、保温した。次に、第1液とは別途に、硬化剤としてMOCA25.5部及びポリプロピレングリコール(PPG)8.5部を添加混合し、第2液タンク内で保温した。第1液タンク、第2液タンクの夫々の液体を、注入口を2つ具備した混合機に夫々の注入口から注入した。前記終点検出窓を金型内に設置し、注入した2液を混合攪拌しながら予熱した成形機の金型へ注入した後、型締めをし、30分間、加熱し一次硬化させた。一次硬化させた成形物を脱型後、オーブンにて130℃で2時間二次硬化し、ウレタン樹脂成形物を得た。得られたウレタン樹脂成形物を25℃まで放冷した後に、再度オーブンにて120℃で5時間加熱してから1.3mmの厚みにスライスし、研磨層を得た。得られた研磨層は4枚重ねにしてD硬度を測定し、D硬度は53であった。
さらに、研磨層の研磨面とは反対側の面に両面テープを貼り付け、クッション層に貼り合わせ、研磨パットを得た。得られた研磨パットは終点検出窓と研磨層の摩耗速度の差が5~30であった。
1 研磨装置
2 入射光
2a,2b 反射光
3 研磨パッド
4、41、42 研磨層
4a、41a、42a 研磨層の表面
5、51、52 終点検出窓
5a.51a、52a 終点検出窓の表面
6 クッション層
7 接着層
8 被研磨物
9 スラリー
10 研磨定盤
11 基盤
12 薄膜
13 光源
14 光学式センサ
15 砥粒、研磨屑
16 保持定盤
Claims (2)
- 一部に終点検出窓を備える研磨層を有する研磨パッドであって、前記終点検出窓は、浸潤状態になると体積が膨張する材料から構成され、添加剤としてポリアクリル酸ナトリウムを含むポリウレタン、ポリウレア又はポリウレタンポリウレアである、研磨パッド。
- 前記終点検出窓の前記材料の湿潤状態のときのD硬度は、乾燥状態のD硬度よりも低い、請求項1に記載の研磨パッド。
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