JP4973685B2 - 定着装置および画像形成装置 - Google Patents
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Description
上記定着ローラは、未定着画像を記録シートに溶融定着させるために加熱されており、近年、短い時間で昇温可能な電磁誘導加熱方式の定着装置が主流となりつつある。
この電磁誘導加熱方式の定着装置の中には、例えば、図6(b)に示すように、誘導発熱層を有する無端状の定着ベルト1154の内側に、これの内径よりも外径が小さな定着ローラ1150を挿入すると共に、定着ベルト1154の外側から定着ベルト1154を介して定着ローラ1150を加圧ローラ1160で圧接して定着ニップNを確保しつつ、定着ベルト1154の外側に前記誘導発熱層を発熱させるための磁束を発生させる磁束発生部1170が設けられた、いわゆるゆるばめ方式の定着装置がある。
また、ローラ軸1151の軸方向の両端部には、定着ベルト1154の前記軸方向における蛇行を防止するための1対の鍔状のベルト規制部材1157が嵌め込まれ、ローラ軸1151と一体に回転するように構成されている。
このため、定着ベルトの周回時における外径が安定しにくく、定着ベルトと磁束発生部1170との対向部分における距離L0も不安定となり、定着ベルト1154の発熱量が変動する懼れがある。
なお、同図6(a)は、定着装置1005のY方向の端部のみを示しているが、Y’方向の端部もY方向の端部と同様の構成を有している。
本願発明者が、この原因を調べたところ、定着ベルト1154の縁部に摩耗が生じ、定着ベルト1154の幅が縮小していることが判明した。
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであって、定着ベルト1154の縁部が摩耗しても、定着ベルト1154の蛇行および外形形状をより確実に規制可能な定着装置を提供することを目的とする。
このため、ベルトが摩耗しても、ベルトがベルト規制部材の円筒部分の内側から外側へと抜け出ることがなく、ベルトの蛇行および外形形状をより確実に規制することができる。
また、前記ベルト規制部材は、前記円筒の底部において、上記円筒の内周から所定距離以内の範囲が、前記ベルトとの当接面となっており、さらに、前記当接面に隣接する中心寄りの範囲に、定着ニップにおいて、前記ベルトとの接触を避けるように後退するテーパー部が形成されていることが望ましい。
図1は、本実施の形態にかかるタンデム型のフルカラープリンタの概略構成を示す図である。
同図に示すように、このプリンタ1は、画像プロセス部3、給紙部4、定着部5および制御部60を備えており、ネットワーク(例えばLAN)に接続されて、外部の端末装置(不図示)からのプリントジョブの実行指示を受け付けると、その指示に基づいてイエロー、マゼンタ、シアンおよびブラック色からなるトナー像を形成し、これらを多重転写してフルカラーの画像形成を実行する。以下、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各再現色をY、M、C、Kと表し、各再現色に関連する構成部分の番号にこのY、M、C、Kを添字として付加する。
画像プロセス部3は、Y〜K色のそれぞれに対応する作像部3Y,3M,3C,3K、光学部10、中間転写ベルト11などを備えている。
作像部3Yは、感光体ドラム31Y、その周囲に配設された帯電器32Y、現像器33Y、一次転写ローラ34Y、感光体ドラム31Yを清掃するためのクリーナ35Yなどを備えており、感光体ドラム31Y上にY色のトナー像を作像する。
中間転写ベルト11は、無端状のベルトであり、駆動ローラ12と従動ローラ13に張架されて矢印A方向に回転駆動される。
光学部10は、レーザダイオードなどの発光素子を備え、制御部60からの駆動信号によりY〜K色の画像形成のためのレーザ光Lを発し、感光体ドラム31Y〜31Kを露光走査させる。
各静電潜像は、現像器33Y〜33Kにより現像されて感光体ドラム31Y〜31K上にY〜K色のトナー像が、中間転写ベルト11上の同じ位置に重ね合わせて一次転写されるようにタイミングをずらして実行される。
一方、給紙部4は、記録シートSを収容する給紙カセット41と、給紙カセット41内の記録シートSを搬送路43上に1枚ずつ繰り出す繰り出しローラ42と、繰り出された記録シートSを二次転写位置46に送り出すタイミングをとるためのタイミングローラ対44などを備えており、中間転写ベルト11上のトナー像の移動タイミングに合わせて給紙部4から記録シートSを二次転写位置に給送し、二次転写ローラ45の作用により中間転写ベルト11上のトナー像が一括して記録シートS上に二次転写される。
<定着部>
図2は、定着部5の部分断面斜視図である。
定着ローラ150と加圧ローラ160は平行に配され、加圧ローラ160を不図示の付勢機構で定着ローラ150側に付勢することにより、両ローラ間に定着ニップNが形成され、この定着ニップNを記録シートSが通過することにより記録シートS上に形成されたトナー像Tが溶融・加圧されて定着するようになっている。
<磁束発生部>
図3は、本実施の形態における定着部5の要部の横断面図(定着ローラ150の軸に直交する断面)である。
磁束発生部170は、誘導コイル171を有し、定着ベルト154の周回経路外側であり、定着ベルト154を挟んで加圧ローラ160と対向する位置に、定着ベルト154に対し所定の間隔、例えば1〜2〔mm〕の間隔を空けた状態でベルト幅方向に沿うように配置される。
この磁束が定着ベルト154の発熱層の、主に誘導コイル171と対向している部分を貫き、この部分に渦電流を発生させて発熱させる。
なお、図示していないが定着ベルト154の温度を検出するためのセンサが別途配置されており、このセンサの検出信号により定着ベルト154の現在の温度を検出し、この検出温度に基づきニップ領域の温度が目標温度、例えば180〔℃〕に維持されるように誘導コイル171への電力供給が制御される。
<加圧ローラ>
加圧ローラ160は、同3図に示すように、ローラ軸161、弾性層162および離型層163を備え、不図示の駆動機構により回転駆動される。
弾性層162は、例えば、シリコーンスポンジゴムなどからなる外径が35mm、内径が20mmの円筒体である。
離型層154cは、例えば、厚みが20μmのPFA(Poly(tetrafluoriethylene-co-perfluoropropylvinylether))等のフッ素系樹脂からなる。
定着ベルト154は、同図に示すように、内側から発熱層154a、弾性層154b、離型層154cがこの順で積層され、内径が定着ローラ150の外径よりも大きい無端ベルトである。
発熱層154aは、磁束発生部170から発せられた磁束により誘導加熱されるものであり、例えば、厚さが40μ程度のニッケルからなる。
弾性層154bは、例えば、厚さが200μ程度のシリコーンゴムからなる。
離型層154cは、例えば、厚さが20μ程度のPFAからなり、定着ベルト154表面の離型性を高めている。
定着ローラ150は、ローラ軸151の両端部を除く周面に弾性層152が形成されたものである。
弾性層152は、外径が38mm、内径が20mmの円筒体であって、高弾性および高断熱性を有する材料、例えば、シリコーンゴムのスポンジ体からなる。
これは、弾性層152の定着ニップNが形成される領域において、加圧ローラ160の押圧により変形が生じ、ローラ軸151の軸方向の両端側へと押しやられる部分の逃げ場を確保するためである。
図4は、本発明の実施の形態の定着ローラ150の断面図である。
なお、同図には、定着ローラ150の周囲に配された磁束発生部170および加圧ローラ160も合わせて示されている。
また、縮径部151aにはローラ軸方向(Y軸方向)に延びるキー溝151cが設けられており、さらに、縮径部151bには周方向に延びる溝151dが設けられている。
そして、縮径部151aには、略円筒状の弾性層規制部材153が挿嵌されている。
そして、縮径部151aに、鍔状のエンドプレート156が圧入され、固定されている。
ベルト規制部材18とエンドプレート156との間には、圧縮コイルばね155が介挿されており、ベルト規制部材18を定着ベルト154のある側(Y方向側)へと付勢している。
また、縮径部151bの溝151dには、Eリング157が装着されており、当該装着状態において、Eリング157が、ベルト規制部材19の背面(Y方向側の面)に当接することにより、ベルト規制部材19のローラ軸方向(Y軸方向)の移動を規制している。
これにより、ベルト規制部材18および19は、定着ベルト154の両縁部(Y方向およびY’方向の縁部)と絶えず接触を保っている。
<弾性層規制部材>
次に、弾性層規制部材153について説明する。
弾性層規制部材153は、PPS(Polyphenylenesulfide)などの材料からなる略円筒形状の部材であって、弾性層152の左側(Y’方向側)端部に当接して、その軸方向の変形を規制するものである。
このため、弾性層規制部材153が無い場合、定着ニップ領域に侵入した弾性層152の両端面は、側方(Y軸方向)に膨らもうとし、さらに、定着ニップNから離脱した弾性層152の両端面は、再び元の形状に戻ろうとする。
弾性層規制部材153は、このような剥離や破損を防止するために弾性層152の両端部における形状変化を抑制するためのものである。
これは、弾性層規制部材153に外挿されるベルト規制部材18が、ローラ軸151の周方向に回転したとしても、この力を弾性層152のY’方向側の端部に伝えないようにして、当該端部の変形をより少なく抑えるためである。
<ベルト規制部材>
続いて、ベルト規制部材18,19について詳細に説明する。
ベルト規制部材18,19のそれぞれにおいて、上記有底円筒状の底に相当する部分(以下、「底部」という。)182,192に定着ベルト154の縁部を接触させ、定着ベルト154の蛇行を抑制すると共に、上記有底円筒状の円筒に相当する部分(以下、「円筒部」という。)181,191の内周面に定着ベルト154の端部の外周面を接触させて、ベルト周回時における定着ベルト154の周回軌跡を安定させるものである。
これにより、定着ベルト154の両端部と、ベルト規制部材18,19との接触が生じている部分のみならず、その間にある周面の外形形状が安定し、磁束発生部170との距離が一定に保たれる。
各ベルト規制部材18,19の底部182,192は、それぞれ円筒部181,191との境界にあるコーナ部が円形状となっており、当該コーナ部から内方中心へと向かう0mm以上、3mm以下の範囲に、Y軸に垂直な環状の平面部182c,192cを有し、これらの平面部182c,192cに定着ベルト154の縁部が当接する。
これらテーパー部182b、192bを設けることによって、次のような効果が得られる。
このため、定着ニップNにおいて、定着ベルト154の縁部とベルト規制部材18及び19の相対的な移動方向が急激に変化し、摩耗が促進されやすい(図3参照)。
<圧縮コイルばね>
圧縮コイルばね155は、ベルト規制部材18をベルト規制部材19に向けて付勢するものである。
このため、圧縮コイルばね155によるベルト規制部材18への付勢力は、摩擦力より僅かに大きい値にすることが望ましい。
本実施の形態では、ベルト規制部材18の質量が40gとなっているため、定着ベルト154の摩耗の最大許容量がXmmであるとすると、圧縮コイルばね155がXmm伸びたときの付勢力が0.12N以上で、かつ、定着ベルト154の座屈が生じないことが必要である。
実際には、圧縮コイルばね155の付勢力の設定は、定着ベルト154の蛇行に起因して生じるY軸方向の力も考慮に入れる必要があると思われる。
ここで、定着ベルト154は、Y方向もしくはY’方向のどちらかに偏った位置で周回しようとすることが経験上わかっている。
このため、加圧ローラ160とこれに従動する定着ローラ150とに挟まれた定着ベルト154は、Y方向寄りに偏った位置で周回しようとする。このとき、定着ベルト154の蛇行に起因して生じる力は、Y方向に作用する力が主となる。この力は、溝151dに装着されたEリング157により受け止められているので、圧縮コイルばね155の付勢力の設定をする上では無視しても構わない。
一方、加圧ローラ160を回転させる駆動力を伝達するギヤを、加圧ローラ160のY方向の端部に設けた場合は、上記と状況が逆転するため、定着ベルト154の蛇行に起因して生じるY’方向の力をキャンセルする力を上記付勢力に加算して付勢力を設定する必要がある。
図3に戻って、定着ベルト154が周回駆動される際、定着ベルト154の回転中心と定着ローラ150の回転軸との位置が一致していないため、定着ベルト154の縁部と、ベルト規制部材18およびベルト規制部材19との当接部分同士の相対速度や移動方向にずれが生じて、当接部分同士が擦れ合う。
ここで、定着ベルト154のY軸方向における幅が長さL1分短くなったとすると、ベルト規制部材18はローラ軸方向(Y軸方向)に滑動自在となっており、圧縮コイルばね155により、ベルト規制部材18がベルト規制部材19へと近づく方向に付勢され、平面部182cが定着ベルト154の縁部と当接しているため、同図5に示すように、定着ベルト154の幅の縮小に伴ってY方向へ長さL1分移動する。
なお、ベルト規制部材19は、ベルト規制部材18のようにY軸方向にスライドしないことを除けば、ベルト規制部材18と同様の機能を有する。
本発明は、上述のような実施の形態に限られるものではなく、次のような変形例も実施することができる。
(1)上記実施の形態では、定着ベルト154は、内側から発熱層154a、弾性層154b、離型層154cがこの順で積層されるとしたが、これに限るものではなく、少なくとも発熱層154aが含まれているベルトでありさえすればよい。
(3)また、上記実施の形態では、ベルト規制部材18およびベルト規制部材19のうち、ベルト規制部材18だけが圧縮コイルばね155により付勢されていたが、場合によっては、定着ローラ150の両端部に、ベルト規制部材18と同様の構成を適用してもよいであろう。
(4)また、上記実施の形態では、ベルト規制部材18および19は、それぞれテーパー部182b、192bを有しているとしたが、このようなテーパー部182b、192bを有していなくてもよい。
(5)上記実施の形態では、ベルト規制部材18は、中心に設けられた円筒部182aを有しているとしたが、これに限らず、円筒部182aに代えて、ベルト規制部材19の透孔192aのような、単なる透孔を設けても構わない。
また、上記実施の形態および上記変形例の内容をそれぞれ組み合わせるとしてもよい。
3 画像プロセス部
3Y,3M,3C,3K 作像部
4 給紙部
5 定着部
10 光学部
11 中間転写ベルト
12 駆動ローラ
13 従動ローラ
18,19 ベルト規制部材
31 感光体ドラム
32 帯電器
33 現像器
34 一次転写ローラ
35 クリーナ
41 給紙カセット
42 ローラ
43 搬送路
44 タイミングローラ対
45 二次転写ローラ
46 二次転写位置
60 制御部
71 排出ローラ対
72 排出トレイ
150 定着ローラ
151 ローラ軸
151a 縮径部
151b 縮径部
151c キー溝
151d 溝
151e 中央部
152 弾性層
153 弾性層規制部材
153a キー部
154 定着ベルト
154a 発熱層
154b 弾性層
154c 離型層
156 エンドプレート
157 Eリング
160 加圧ローラ
161 ローラ軸
162 弾性層
163 離型層
170 磁束発生部
171 誘導コイル
182,192 底部
182a 円筒部
182b テーパー部
182c 平面部
182c,192c 平面部
192a 透孔
Claims (5)
- 無端状のベルトの周回経路内側に配されている第1ローラを、前記ベルトの周回経路外側から当該ベルトを介して第2ローラで押圧して、当該ベルト表面と当該第2ローラの間に定着ニップを確保すると共に、前記ベルトを周回させつつ電磁誘導により加熱して、未定着画像の形成されたシートを前記定着ニップに通して、前記未定着画像の熱定着を行う定着装置であって、
第1ローラの軸方向両端部には、それぞれ有底円筒状であって、当該円筒の内周に前記ベルトの外周の一部が接触すると共に、前記円筒の底部に前記ベルトの縁部が接触して、前記ベルトの蛇行および外径を規制する1対のベルト規制部材が配設されており、
このうち少なくとも一方のベルト規制部材が、前記軸方向において滑動自在となっており、他方のベルト規制部材に向かって付勢される構成を有することを特徴とする定着装置。 - 前記第1ローラは、ローラ軸芯と、当該ローラ軸芯における両端部を除く部分を被覆する弾性層とを有し、
さらに、
前記ローラ軸芯の端部に係合され、前記弾性層の端部に当接して当該弾性層の第1ローラの軸方向における変位を規制する弾性層規制部材とを備え、
前記1対のベルト規制部材のうち、滑動自在となっている方の第1ローラへの前記配設は、第1ローラの径方向において、当該ベルト規制部材が前記弾性層規制部材を介して前記ローラ軸芯に係合することにより行われていることを特徴とする請求項1に記載の定着装置。 - さらに、
前記弾性層規制部材の第1ローラの周方向への回転を規制する回転規制手段を備えることを特徴とする請求項2に記載の定着装置。 - 前記ベルト規制部材は、
前記円筒の底部において、
上記円筒の内周から所定距離以内の範囲が、前記ベルトとの当接面となっており、
さらに、前記当接面に隣接する中心寄りの範囲に、定着ニップにおいて、前記ベルトとの接触を避けるように後退するテーパー部が形成されていることを特徴とする請求項2に記載の定着装置。 - 請求項1から4のいずれかに記載の定着装置を有する画像形成装置。
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