JP4968830B2 - 環状ジチオカーボネート基を有するラジカル重合性化合物 - Google Patents
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Description
また、特開2002−275216号公報(特許文献3)には、高屈折率化が可能となるジチオラン環構造を有する(メタ)アクリレート化合物が提言されている。これらの化合物の屈折率は高い。しかし、構造としてスルフィドを有するため、光による硬化性は良好であるが、パーオキサイドを開始剤に用いた熱硬化による成形ではスルフィドの酸化が起こりやすいため、重合性のコントロールの点で必ずしも十分ではなかった。
即ち、本発明は以下の1〜20に関する。
2.前記一般式(1)のR1〜R3が水素原子であり、かつXがメチレン基である前記1に記載のラジカル重合性化合物。
3.前記1に記載のラジカル重合性化合物が、一般式(2)で示されることを特徴とするラジカル重合性化合物。
4.一般式(2)のR1〜R3が水素原子、R4がメチル基であり、かつXがメチレン基である前記3に記載のラジカル重合性化合物。
5.前記1〜4に記載のラジカル重合性化合物の重合体。
6.前記1〜4に記載のラジカル重合性化合物と他のラジカル重合性化合物との共重合体。
7.請求項1〜4に記載のラジカル重合性化合物とメチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、i−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート、エトキシ化シクロヘキサンジメタノールジ(メタ)アクリレートのいずれかから選択される少なくとも一種のラジカル重合性モノマーとの共重合物。
8.前記1〜4に記載のラジカル重合性化合物を含む光学材料用組成物。
9.一般式(3)で示されるメルカプト化合物を(メタ)アクリル酸ハロゲン化物と反応させることを特徴とする前記3に記載のラジカル重合性化合物の製造方法。
10.一般式(3)で示されるメルカプト化合物をハロプロピオン酸のハロゲン化物と反応させ、ハロプロピオン酸チオエステルとし、当該ハロプロピオン酸チオエステルを脱ハロゲン化水素することを特徴とする前記3に記載のラジカル重合性化合物の製造方法。
11.一般式(3)において、R1〜R3の少なくとも一つが水素原子ではないメルカプト化合物。
12.一般式(3)において、Xがメチレン基であるメルカプト化合物。
13.一般式(3)において、R1〜R3の少なくとも一つが水素原子ではなく、かつXがメチレン基であるメルカプト化合物。
14.光導波路、光学レンズ、光学用封止剤、光学用接着剤、光学フィルム、導光板に用いることを特徴とする、前記8に記載の光学材料用組成物。
15.前記8に記載の光学材料用組成物から得られた光導波路。
16.前記8に記載の光学材料用組成物から得られた光学レンズ。
17.前記8に記載の光学材料用組成物から得られた光学用封止剤。
18.前記8に記載の光学材料用組成物から得られた光学用接着剤。
19.前記8に記載の光学材料用組成物から得られた光学フィルム。
20.前記8に記載の光学材料用組成物から得られた導光板。
<環状ジチオカーボネート基を有し、かつラジカル重合性の二重結合を有するラジカル重合性化合物>
本発明のラジカル重合性化合物は、下記一般式(1)で示される環状ジチオカーボネート基を有し、かつラジカル重合性の二重結合を有することを特徴とする化合物である。
その具体例としては、水素原子、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基などが挙げられる。
これらの中で、屈折率を上げる観点においては、水素原子、メチル基が好ましい。
その具体例としては、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基などが挙げられる。また、これらのアルキレン基は炭素数1〜4において分岐しているアルキル基を有してもいてもよい。これらのアルキレン基の中で、屈折率を上げる観点においては、メチレン基が最も好ましい。
一般式(1)の環状ジチオカーボネート基およびラジカル重合性の二重結合は1分子内に少なくとも1つは必須であるが、それぞれ独立に複数個の基があってもよい。好ましい例としては下記一般式(2)で示される化合物である。
一般式(2)で示される化合物の具体例としては下記一般式(4)〜(7)で示される化合物が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
一般式(3)のメルカプト化合物は、そのメルカプト基がハロゲン原子である化合物を公知の方法によりメルカプト化することにより得ることができる。例えば、一般式(3)中のメルカプト基がハロゲン原子である化合物を水硫化ソーダと反応させることにより得ることができる。水硫化ソーダの使用量は特に制限されるものではないが、通常、一般式(3)中のメルカプト基がハロゲン原子である化合物1モルに対して1〜20モルである。中でも1〜5モルが好ましく、1〜2モルが更に好ましい。1モル未満では反応収率が低くなり、また20モルを超えると経済性が悪くなる。
本発明の一般式(2)で示されるラジカル重合性化合物は、一般式(3)で示されるメルカプト化合物を原料として、公知の方法により(メタ)アクリル酸チオエステル化することにより製造される。
該反応は、無触媒下で副生するハロゲン化水素を反応系外に除去しながら行う方法と、ハロゲン化水素捕集剤を加えて行う方法のどちらも利用できる。
該ハロゲン化水素捕集剤の使用量としては特に制限はないが、上記一般式(3)のメルカプト化合物1モルに対して0.1〜20モルであり、好ましくは0.5〜5モルである。
重合禁止剤としては、p−ベンゾキノン、ナフトキノン、2,5−ジフェニル−p−ベンゾキノン等のキノン類、ハイドロキノン、p−t−ブチルカテコール、2,5−ジ−t−ブチルハイドロキノン等の多価フェノール類、ハイドロキノンモノメチルエーテル、ジ−t−ブチルパラクレゾール、α−ナフトールなどのフェノール類が挙げられる。
このようにして得られた一般式(1)で示される重合性化合物は、蒸留や抽出、再結晶、クロマトグラフィーや活性炭、活性白土、合成吸着剤等の処理により精製することができる。
該脱ハロゲン化水素剤としては、例えば、トリエチルアミン、ピリジン、ピコリン、ジメチルアニリン、ジエチルアニリン、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン(DABCO)、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン(DBU)等の有機塩基、あるいは、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、酸化マグネシウム等の無機塩基などが例示される。
反応は、無溶媒で行ってもよく、あるいは不活性溶媒中で行ってもよい。かかる溶媒としては、反応に対して不活性な溶媒であれば特に限定するものではなく、例えば、水、有機溶媒あるいはこれらの混合系で行ってもよい。
かかる重合禁止剤としては、例えば、4−メトキシフェノール、2,6−ジ−tert−ブチルクレゾール、ハイドロキノン、フェノチアジン等の公知の各種化合物を挙げることができる。
本発明の一般式(1)のラジカル重合性化合物は、ラジカル重合により、熱や紫外線、電子線等により容易に重合することができる。
また、他のラジカル重合性化合物と共重合することにより、共重合体とすることもできる。一般式(1)のラジカル重合性化合物や他のラジカル重合性化合物が多官能のラジカル重合性を有する場合、重合体は架橋構造を有することになり、この場合は硬化物ともいえる。
ただし、他のラジカル重合性化合物は上記に限定されるわけではない。また、これらのラジカル重合性化合物は目的の物性を得るために2種以上併用しても良い。
本発明の光学材料用組成物は一般式(1)のラジカル重合性化合物を含む重合性(硬化性)組成物である。必要に応じて、ラジカル重合開始剤、他のラジカル重合性化合物を含んでもよい。
また、多官能のラジカル重合性化合物を含有させたものは架橋して使用できるため、光学材料用としてより好ましい。
他のラジカル重合性化合物、ラジカル重合開始剤、重合(硬化)方法については一般式(1)のラジカル重合性化合物の重合体の項の記載と同様である。但し、硬化物からの除去の問題があるので溶媒は用いない方が好ましい。
離型剤の配合量は、他の配合物の種類、量等により変わるが、一般的には、光学材料用組成物中の全ラジカル重合性成分100質量部に対して、0.01〜2質量部が好ましく、0.03〜1.7質量部がより好ましく、0.05〜1.4質量部が最も好ましい。離型剤が0.01質量部未満では十分な効果が期待できず、2質量部を超えると経済的に好ましくない。
また、硬化温度の操作については、硬化時の収縮やひずみを考慮すると、昇温しながら徐々に硬化する方法が好ましい。一般的には0.5〜100時間、好ましくは3〜50時間、さらに好ましくは10〜30時間かけて硬化するのがよい。
1.屈折率(nD)およびアッベ数
使用機種:アタゴ社製 アッベ屈折率計1T
測定方法:9mm×16mm×4mmの試験片を作製し、「アッベ屈折率計1T」を用いて、25℃における屈折率(nD)及びアッベ数(νD)を測定した。接触液はジヨードメタンを使用した。
使用機種:日本電子社製 JEOL EX−400(400MHz)
測定方法:重水素化クロロホルムに溶解し、内部標準物質にテトラメチルシランを使用して測定した。
3.FT−IR
使用機種:パーキンエルマー社製 Spectrum GX
測定方法:KBr板を用いて、液膜法で測定した。
得られた淡黄色粘稠液体の減圧蒸留(沸点:121℃/40Pa)を行ったところ、無色透明液体を得た(収量:40.3g;淡黄色粘稠液体の仕込み量105.5gに対する量)。この液体の1H−NMR、FT−IRを測定し、目的化合物である4−メルカプトメチル−1,3−ジチオラン−2−オン(式17)であることを確認した。
得られた淡黄色液体の減圧蒸留を行い(沸点:141〜147℃/26.6Pa)、無色透明液体を得た(収量:8.7g;無色透明液体の仕込み量27gに対する量)。この液体の1H−NMR及びFT−IRを測定し、目的化合物であるS−[4−(1,3−ジチオラン−2−オン)−イル−メチル]メタクリルチオエート(式19)であることを確認した。
実施例3で得られた式(19)で示される化合物(1.5g)に、ラジカル重合開始剤であるジクミルパーオキシド(日本油脂株式会社製,商品名:パークミルD,45.9mg)を加え、2枚のガラス板とシリコンチューブスペーサーからなる厚さ4mmの型に流し込んだ。これをオーブンに入れ、50℃で2時間加熱し、次いで2時間かけて100℃に昇温し、そのまま100℃で2時間加熱するという硬化温度プログラムで熱硬化させた。
この結果、無色透明な硬化物が得られ、その物性を測定した。結果を表1に示す。
実施例3で得られた式(19)で示される化合物(1.06g)、メタクリル酸n−ブチル(和光純薬工業株式会社製,0.44g)、ラジカル重合開始剤であるジクミルパーオキシド(日本油脂株式会社製,商品名:パークミルD,41.4mg)を混合し、2枚のガラス板とシリコンチューブスペーサーからなる厚さ4mmの型に流し込んだ。これをオーブンに入れ、50℃で2時間加熱し、次いで2時間かけて100℃に昇温し、そのまま100℃で2時間加熱するという硬化温度プログラムで熱硬化させた。
この結果、無色透明な硬化物が得られ、その物性を測定した。結果を表1に示す。
実施例3で得られた式(19)で示される化合物(1.23g)、エトキシ化シクロヘキサンジメタノールジメタクリレート(新中村化学工業株式会社製,商品名:NKエステルCHD−4E,0.82g)、ラジカル重合開始剤であるジクミルパーオキシド(日本油脂株式会社,商品名:パークミルD,61.5mg)を混合し、2枚のガラス板とシリコンチューブスペーサーからなる厚さ4mmの型に流し込んだ。これをオーブンに入れ、50℃で2時間加熱し、次いで2時間かけて100℃に昇温し、そのまま100℃で2時間加熱するという硬化温度プログラムで熱硬化させた。
この結果、無色透明な硬化物が得られ、その物性を測定した。結果を表1に示す。
実施例3で得られた式(19)で示される化合物(1.17g)、ジシクロペンタニルメタクリレート(日立化成工業株式会社製、商品名:FA−513M、0.79g)、ラジカル重合開始剤である1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシ−2−エチルエヘキサノエート(日本油脂株式会社製,商品名:パーオクタO,9.8mg)、1,1−ジ(t−ヘキシルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン(日本油脂株式会社製,商品名:パーヘキサTMH,9.8mg)を混合し、2枚のガラス板とシリコンチューブスペーサーからなる厚さ4mmの型に流し込んだ。これをオーブンに入れ、50℃で2時間加熱し、次いで2時間かけて100℃に昇温し、そのまま100℃で2時間加熱するという硬化温度プログラムで熱硬化させた。
この結果、無色透明な硬化物が得られ、その物性を測定した。結果を表1に示す。
特開2005−36084号公報の[0068]参考製造例2に基づき、式(20)で示される化合物(5−(メタクリロイルオキシ)メチル−1,3−オキサチオラン−2−チオン)を合成した。
この結果得られた硬化物は褐色透明であった。その物性を測定した。結果を表1に示す。
Claims (18)
- 前記一般式(1)のR1〜R3が水素原子であり、かつXがメチレン基である請求項1に記載のラジカル重合性化合物。
- 一般式(2)のR1〜R3が水素原子、R4がメチル基であり、かつXがメチレン基である請求項3に記載のラジカル重合性化合物。
- 請求項1〜4のいずれか1項に記載のラジカル重合性化合物の重合体。
- 請求項1〜4のいずれか1項に記載のラジカル重合性化合物と他のラジカル重合性化合物との共重合体。
- 前記の他のラジカル重合性化合物が、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、i−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート、エトキシ化シクロヘキサンジメタノールジ(メタ)アクリレートのいずれかから選択される少なくとも一種である請求項6に記載の共重合体。
- 請求項1〜4のいずれか1項に記載のラジカル重合性化合物を含む光学材料用組成物。
- 一般式(3)のXがメチレン基である請求項11に記載のメルカプト化合物。
- 請求項8に記載の光学材料用組成物から得られた光導波路。
- 請求項8に記載の光学材料用組成物から得られた光学レンズ。
- 請求項8に記載の光学材料用組成物から得られた光学用封止剤。
- 請求項8に記載の光学材料用組成物から得られた光学用接着剤。
- 請求項8に記載の光学材料用組成物から得られた光学フィルム。
- 請求項8に記載の光学材料用組成物から得られた導光板。
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