JP4967437B2 - 透明導電膜の製造方法および透明導電膜 - Google Patents
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Description
例えば透光性電磁波遮蔽膜として用いられる透明導電膜を形成する方法として、格子状の金属配線を形成する方法があるが、この方法はフォトリソグラフィープロセスやめっきプロセスを必要とするため煩雑であり、高コストである。
また、透明電極として用いられる透明導電膜は、一般に錫を添加した酸化インジウムの薄膜(ITO膜)からなっているが、原料の資源枯渇が問題となっており代替材料が求められている。また、ITO膜は成膜に時間がかかる上に高価な設備を必要とするなど様々な問題がある。
下記特許文献2では、基材表面に金属のナノ粉末を含む乳濁液を塗布することにより網目パターンを形成するプロセスが示されている。
また、上記特許文献2の方法では、得られる網目パターンにむらが生じやすく、設計通りのパターン形状を再現性良く得ることが難しい。
本発明は、上記の課題を解決するためになされたものであって、低抵抗かつ高透過率の透明導電膜を再現性良く製造できる方法、および該方法によって得られる透明導電膜を提供することを目的とする。
また本発明は、本発明の製造方法によって得られる透明導電膜を提供する。
本発明においては塗布液として有機溶剤相中に水滴が分散したW/O型(油中水滴型)エマルジョンで、導電性粒子が有機溶剤相中に分散しているものを用いる。この塗布液が基材上に塗布されると、多数の水滴が有機溶剤相を介して互いに隣接している状態が形成される。
本発明では、基材表面に親水性領域が疎水性領域によって隔てられた網目パターンが形成されているため、該水滴が濡れ広がる領域が制御される。すなわち、水滴は、親水性領域の形状と略同一形状に濡れ広がり、該水滴どうしの間に、導電性粒子を含む有機溶剤相が存在している状態となる。そして、この状態で乾燥されることにより疎水性領域にのみ導電性粒子を付着させることができる。こうして、付着領域が制御された導電性粒子による網目パターンが形成され、しかる後に加熱処理を施して導電性粒子を焼結させることにより導電性粒子による網目状パターンを有する透明導電膜が得られる。
<基材>
本発明において、透明導電膜を形成する基材の材質としては、ガラスや樹脂フィルム等任意のものを適宜用いることができる。水に対する濡れ性制御や密着性向上等の目的のためにプライマー層が形成された基材を用いてもよい。
本発明で用いられる塗布液は、水相と有機溶剤相からなるW/O型エマルジョンであって、有機溶剤相中に導電性粒子が含まれている。具体的には、有機溶剤と、水と、導電性微粒子と、増粘剤および/または界面活性剤とを含有するW/O型エマルジョンが好ましい。また有機溶剤の一部として含フッ素有機溶剤を用いることがより好ましい。
塗布液の好ましい第1の形態は、下記(a)〜(e)成分を含有する。
(a)比誘電率が3〜15であり、かつ、気圧0.1MPaの状態での沸点が40〜120℃である、水と混和しない含フッ素有機溶剤A、
(b)表面張力が25mN/m以上であり、気圧0.1MPaの状態での沸点が50〜250℃の範囲で、かつ、含フッ素有機溶剤Aの沸点よりも高い、水と混和しない有機溶剤B、
(c)水、
(d)メディアン径が5μm以下である導電性粒子、
(e)増粘剤および/または界面活性剤。
塗布液の第1の形態において、前記(a)含フッ素有機溶剤Aの含有量が20〜90質量%、(b)有機溶剤Bの含有量が3〜60質量%、(c)水の含有量が5〜50質量%、(d)導電性粒子の含有量が1〜12質量%であることが好ましい。
含フッ素有機溶剤Aは、比誘電率が3〜15であり、沸点が40〜120℃であり、水と混和しない。
本発明において、溶剤の極性の指標として比誘電率を用いる。該比誘電率は静電容量法により測定して求める。測定は温度25℃、周波数10kHzの条件で行う。比誘電率の値が高いほど溶剤の極性は高い。
本発明において、溶剤の沸点は気圧0.1MPaの状態での値とする。溶剤の沸点の値が低いほど、蒸発速度は速い。
本発明において、含フッ素有機溶剤Aが「水と混和しない」とは、温度25℃の含フッ素有機溶剤Aの100gに溶解する水の量が0.3g以下であることを意味する。
含フッ素有機溶剤Aが導電性粒子の分散性に優れている理由としては、含フッ素有機溶剤Aの比誘電率が特定の範囲であり適度な極性を有すること、および含フッ素化合物からなるため表面張力が低くて導電性粒子表面となじみやすいことが挙げられる。また、含フッ素有機溶剤Aには水がほとんど溶解しないため、水と混合してW/O型エマルジョンとした場合でも導電性粒子の分散性が低下しない。
さらに、塗布液に表面張力が比較的低い含フッ素有機溶剤Aを含有させることにより、塗布液の良好な塗布性が得られる。
含フッ素有機溶剤Aの極性が、比誘電率が3以上であると、導電性粒子の良好な分散性が得られる。一方、該比誘電率が15以下であると、含フッ素有機溶剤Aに水が溶解し難く、安定性が良好なW/O型エマルジョン状態が得られる。含フッ素有機溶剤Aの比誘電率のより好ましい範囲は3〜10である。
含フッ素有機溶剤Aの沸点が40〜120℃であると適度な蒸発速度が得られるため、塗布液の取り扱い性が良く、乾燥工程を効率的に行える。含フッ素有機溶剤Aの沸点のより好ましい範囲は50〜90℃である。
本発明において、含フッ素有機溶剤Aが2種以上の含フッ素有機溶剤の混合物である場合、「含フッ素有機溶剤Aの沸点が上記の範囲内である」ということは、該混合物に含まれる各含フッ素有機溶剤の沸点の全てが(共沸混合物の場合は共沸点が)、上記の範囲内であることを意味する。
上記に挙げた含フッ素有機溶剤のうちで、より好ましいのは3,3−ジクロロ−1,1,1,2,2−ペンタフルオロプロパン(略称:HCFC−225ca)、1,3−ジクロロ−1,1,2,2,3−ペンタフルオロプロパン(略称:HCFC−225cb)である。
含フッ素有機溶剤Aは1種類を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
本発明で用いられる有機溶剤Bは、表面張力が25mN/m以上であり、沸点が50〜250℃の範囲であって含フッ素有機溶剤Aの沸点よりも高く、水と混和しない。
本発明において、溶剤の表面張力の値は輪環法によって求める。測定は温度25℃で行う。
また有機溶剤Bは含フッ素有機溶剤Aよりも沸点が高いため、塗布液が乾燥される過程で有機溶剤Bよりも含フッ素有機溶剤Aの方が先に蒸発する。これにより、水滴どうしの間に存在する有機溶剤相の表面張力が効率よく上昇するため、有機溶剤Bの添加によって網目パターンの線幅が細くなる効果が良好に得られる。
本発明において、有機溶剤Bが2種以上の有機溶剤の混合物である場合、「有機溶剤Bの表面張力が上記の範囲内である」ということは、該混合物に含まれる各有機溶剤の表面張力の全てが、上記の範囲内であることを意味する。
また有機溶剤Bの沸点と、塗布液中に共存している含フッ素有機溶剤Aの沸点との差は有機溶剤Aが含フッ素有機溶剤Bよりも先に蒸発することによる上記効果を良好に得るために、10℃以上が好ましく、20℃以上がより好ましい。
本発明において、有機溶剤Bが2種以上の有機溶剤の混合物である場合、「有機溶剤Bの沸点が上記の範囲内である」ということは、該混合物に含まれる各有機溶剤の沸点の全てが、上記の範囲内であることを意味する。また「有機溶剤Bの沸点が含フッ素有機溶剤Aの沸点よりも高い」とは、該混合物に含まれる各有機溶剤の沸点のうち最も低い温度が、含フッ素有機溶剤Aの沸点よりも高いことを意味する。また「有機溶剤Bの沸点と含フッ素有機溶剤Aの沸点との差」は該混合物に含まれる各有機溶剤の沸点のうち最も低い温度と、含フッ素有機溶剤Aの沸点との差を意味する。含フッ素有機溶剤Aが混合物である場合、ここでの含フッ素有機溶剤Aの沸点は、共沸混合物の場合は共沸点を指し、共沸しない混合物の場合は含フッ素有機溶剤Aに含まれる各含フッ素有機溶剤の沸点のうち最も高い温度を指す。
かかる極性基を有する有機溶剤B1の好ましい例としては1−ブトキシ−2−プロパノール、シクロヘキサノン、酢酸−3−メトキシブチル、シクロヘキサノール、エチレングリコールモノ−n−ブチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートが挙げられる。有機溶剤B1としては、1−ブトキシ−2−プロパノール、シクロヘキサノールが特に好ましい。
有機溶剤B1は1種類を用いてもよく、複数種類を混合して用いてもよい。
有機溶剤B2は1種類を用いてもよく、複数種類を混合して用いてもよい。
有機溶剤Bとして、極性基を有する有機溶剤B1だけを用いてもよく、極性基を持たない有機溶剤B2だけを用いてもよく、有機溶剤B1の1種以上と有機溶剤B2の1種以上を併用してもよい。有機溶剤B1と有機溶剤B2を併用することがより好ましい。
また極性基を持たない有機溶剤B2においては、温度25℃の有機溶剤B2の100gに溶解する水の量が0.5g以下であることを意味する。より良好な状態の網目パターンを得るためには0.3g以下がより好ましい。上記に有機溶剤B2の例として挙げた各溶剤はいずれも、温度25℃の溶剤100gに溶解する水の量が0.5g以下である。
有機溶剤Bとして極性基を有する有機溶剤B1を用いる場合、その使用量は、塗布液中における含有量が15質量%以下であることが好ましい。10質量%以下がより好ましく、6質量%以下がさらに好ましい。該有機溶剤B1の含有量が15質量%以下であると水滴が壊れ難く塗布液の安定性が良い。有機溶剤B1の添加効果を充分に得るには、有機溶剤B1を塗布液中0.3質量%以上配合させることが好ましい。
塗布液中における水の含有量は5〜50質量%の範囲が好ましい。水の含有量が上記の範囲であると、網目パターンにおいて導電性粒子が存在しない領域(水滴に相当する領域)が適度な面積割合で形成され、良好な透過率が得られる。水の含有量は10〜40質量%の範囲がより好ましい。
導電性粒子としては、メディアン径が5μm以下のものが好ましい。
本発明における導電性粒子のメディアン径は、0.4μm以上の場合はレーザー回折散乱法により求め、0.4μm未満の場合は動的光散乱法により求める。レーザー回折散乱法で求めたメディアン径が0.4μm未満であり、かつ動的光散乱法で求めたメディアン径が0.4μm以上となった場合は、動的光散乱法で求められる値を用いる。
導電性粒子のメディアン径が5μm以下であると、導電性粒子どうしの良好な接触状態が得られ、低抵抗な透明導電膜が得られる。2.5μm以下がより好ましく、1.5μm以下がさらに好ましい。
該導電性粒子のメディアン径の下限値は特に制限されない。小さいほど取り扱い性が困難となりコストも高くなるため、0.005μm以上が好ましい。0.03μm以上がより好ましく、0.15μm以上がさらに好ましい。
金属粒子の形状は球状、粒状、針状、フレーク状など任意の形状のものを用いることができる。
導電性粒子は1種を用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
例えば表面が親水性である金属粒子は、疎水化処理剤を用いて予め疎水化処理しておくことが好ましい。疎水化処理剤としては、炭素数が8〜24の脂肪酸または脂肪族アミンが好適である。具体例としてはステアリン酸、オレイン酸、オクチルアミン、ドデシルアミン、オレイルアミン、オクタデシルアミンが挙げられる。疎水化処理剤を用いた表面処理方法としては、乾式混合法、湿式混合法、フラッシング法等の公知の手法を用いることができる。
塗布液には(e1)増粘剤と(e2)界面活性剤の一方または両方が添加されていることが好ましい。
(e1)増粘剤
(e1)増粘剤は増粘効果を有するものであり、これを塗布液に含有させることにより、W/O型エマルジョンの安定性が向上する。また塗布液に揺変性を付与して液だれを防止できるため、塗布液の塗布性を向上できる。(e1)増粘剤としては、変性尿素、変性ポリアクリルアミド、変性セルロース、水添ひまし油、脂肪酸アマイド、酸化ポリエチレン、12−ヒドロキシステアリン酸等が好適に用いられる。(e1)増粘剤は1種類を用いてもよく、2種類以上を混合して用いてもよい。増粘剤として、界面活性剤としての作用を有するものを用いてもよく、変性尿素または変性ポリアクリルアミドが特に好ましい。
(e2)界面活性剤とは分子内に親水性基と疎水性基の両方を有する化合物であり、これを塗布液に含有させることにより、W/O型エマルジョンの安定性が向上する。
(e2)界面活性剤としては、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤、ノニオン界面活性剤、高分子界面活性剤のうちいずれを用いてもよい。界面活性剤として、増粘剤としての作用を有するものを用いてもよい。
界面活性剤の具体例としてはラノリン、ロジン、コレステリン、レシチン、及びこれらの誘導体、重金属セッケン、ソルビタン脂肪酸エステル類が挙げられる。(e2)界面活性剤は1種類を用いてもよく、2種類以上を混合して用いてもよい。
上記に挙げた界面活性剤のうち、HLB(親水親油バランス)値が3〜9の範囲であるソルビタン脂肪酸エステル類が特に好適である。ソルビタン脂肪酸エステル類のHLB値はグリフィン法から求められる値(HLB値=20×親水部の式量の総和/分子量)とする。かかるソルビタン脂肪酸エステルの具体例としては、モノオレイン酸ソルビタンエステル、モノステアリン酸ソルビタンエステル、モノパルミチン酸ソルビタンエステル、モノラウリン酸ソルビタンエステルが挙げられる。
塗布液中における(e1)増粘剤の含有量は0〜2質量%の範囲が好ましく、0〜1質量%の範囲がより好ましい。(e1)増粘剤が0質量%の場合は、(e2)界面活性剤を必須成分として塗布液に含有させる。
塗布液中における(e2)界面活性剤の含有量は0〜2質量%の範囲が好ましく、0〜1質量%の範囲がより好ましい。(e2)界面活性剤が0質量%の場合は、(e1)増粘剤を必須成分として塗布液に含有させる。
塗布液には、上記(a)〜(e)の各成分のほかに、水と混和する有機溶剤(以下、水混和性有機溶剤という)が含有されていてもよい。
本発明において、水混和性有機溶剤が「水と混和する」とは、該水混和性有機溶剤が水酸基、エステル基、ケトン基、アミド基、アミノ基、およびカルボキシル基からなる群より選ばれる少なくとも1種類の極性基を有する場合では、温度25℃の水混和性有機溶剤の100gに溶解する水の量が15gを超えることを意味する。また前記極性基を持たない場合では、温度25℃の水混和性有機溶剤の100gに溶解する水の量が0.5gを超えることを意味する。
例えば、溶液状の(e1)増粘剤を用いる場合、これに含まれている水混和性の有機溶剤(例えばN−メチルピロリドン)が、上記水混和性有機溶剤に該当する。
塗布液中における水混和性有機溶剤の含有量は10質量%以下であることが好ましい。該水混和性有機溶剤の含有量が10質量%以下であると液滴が壊れ難く、塗布液の安定性が良い。該水混和性有機溶剤の含有量は6質量%以下がより好ましく、4質量%以下がさらに好ましい。
かかる導電性粒子前駆体として、金属酸化物、有機金属化合物、有機金属塩等を用いることができ、好ましい具体例としては酸化銀、水酸化銅、脂肪酸銀が挙げられる。
塗布液中における導電性粒子前駆体の含有量は、塗布液の安定性の点で3質量%以下であることが好ましい。2質量%以下がより好ましく、1質量%以下がさらに好ましい。
また本発明では、前記塗布液の第1の形態において、(a)含フッ素有機溶剤Aを用いない塗布液、または該(a)含フッ素有機溶剤Aの含有量が少ない塗布液を用いても、同様に透明導電膜を再現性良く形成できる。
すなわち、塗布液の好ましい第2の形態として、前記(a)含フッ素有機溶剤Aの含有量が20質量%未満(ゼロでもよい)、前記(b)有機溶剤Bの含有量が25〜80質量%、前記(c)水の含有量が10〜55質量%、前記(d)導電性粒子の含有量が1〜12質量%である塗布液を用いてもよい。その他の成分は第1の形態と同様である。
なお、(a)含フッ素有機溶剤Aの含有量がゼロの場合、(b)有機溶剤Bの沸点に関して「含フッ素有機溶剤Aの沸点よりも高い」という制限は無い。
塗布液の第2の形態において、塗布液組成が上記範囲内であると、網目パターンにおいて導電性粒子が存在しない領域(水滴に相当する領域)が適度な面積割合で形成される。また、有機溶剤Bの表面張力が高いため、線幅が細く、残渣の少ない網目パターンが形成でき、これにより低抵抗かつ高透過率な透明導電膜を得ることができる。
第1の形態および第2の形態の塗布液は、上記(a)〜(e)の各成分および必要に応じてその他の成分を混合し、撹拌してW/O型エマルジョンとすることによって調製できる。
上記(a)〜(e)の各成分の混合順序は特に規定されないが、以下の順序で混合することが好ましい。
まず、(a)含フッ素有機溶剤Aおよび(b)有機溶剤Bに(e)増粘剤および/または界面活性剤を添加して均一に混合する。次に(d)導電性粒子を加えて均一に混合した後、最後に(c)水を加えて撹拌して、均一に乳化させる。このように水を最後に加えることで、導電性粒子の凝集を抑制できる。
乳化させる手段としてはインペラー式撹拌機、ローター/ステーター式分散機、超音波分散機、高圧分散機など公知の装置を用いることができる。
<工程(I):網目パターンの形成>
本発明においては、まず、基材表面に親水性領域が疎水性領域によって隔てられた網目パターンを形成する。該網目パターンにおいて、網目の目開きの部分が親水性領域に相当し、線の部分が疎水性領域に相当する。該網目パターンを形成する方法としては分解法、改質法、感光性樹脂法、印刷法等の公知の方法を用いることができる。
また、これらの手法により親水性領域が疎水性領域によって隔てられた網目パターンを形成した後に、水に対する濡れ性を調整するために、さらに紫外線照射処理、紫外線オゾン処理、放射線照射処理、コロナ放電処理、またはプラズマ処理を行ってもよい。
疎水性基材としてはポリエステル等の樹脂フィルム、または疎水性化合物によるプライマー層が形成されたガラス基材が好ましい。プライマー層としてフェニルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン等のフェニル基を有するシラン化合物を用いると、フェニル基が紫外線により分解しやすいため、より少ないエネルギーで網目パターンを形成できるため好適である。熱によって疎水性基が分解されて親水性となる有機化合物と光照射により熱を発生する物質を組み合わせて用いてもよく、酸によって疎水性基が分解されて親水性となる有機化合物と、光照射により酸を発生する物質を組み合わせてもよい。改質法により親水性官能基を形成させた後に、さらに有機化合物をグラフト結合させてもよい(例えば、特開2005−347423号公報)。
親水性領域における水の接触角が35°を超えると、親水性領域内に導電性粒子が残存するおそれがあり、そうなると透明道電電膜の透過率が低下する。該親水性領域における水の接触角は30°以下がより好ましく、25°以下がさらに好ましい。
疎水性領域における水の接触角が60°未満であると、1個の水滴が疎水性領域をまたがって形成されるおそれがあり、そうなると導電性粒子による網目パターンの制御が困難となるため好ましくない。疎水性領域における水の接触角が120°を超えると、疎水性領域が有機溶剤をはじいて導電性粒子による網目パターンが切断されやすくなり、そうなると低抵抗の透明導電膜が得られないため好ましくない。疎水性領域における水の接触角が65〜120°の範囲であることがより好ましく、70〜110°の範囲がさらに好ましい。
基板表面に形成された前記網目パターンにおいて、「疎水性領域の面積/親水性領域の面積」で表される面積比の値が0.05〜0.6の範囲であることが望ましい。該面積比の値が0.05未満では透明導電膜が高抵抗となり、0.6を超えると透明導電膜の透過率が低下する。該面積比の値のより好ましい範囲は0.07〜0.4の範囲であり、さらに好ましい範囲は0.1〜0.25の範囲である。
疎水性領域の着色の程度は可視光(波長400〜700nm)の透過率の平均値で評価することができる。可視光の透過率が50%以下であると着色の効果により透明導電膜の外観が向上する。領域の可視光透過率が30%以下であればより好ましく、15%以下であればさらに好ましい。
次いで、前記網目パターンが形成された基材上に、有機溶剤相中に導電性粒子を含むW/O型エマルジョンからなる塗布液を塗布する。
基材上に塗布液を塗布する方法としては、バーコート、ダイコート、ロールコート、スプレーコート、スピンコート、ディップコート、フローコート等の公知の方法を用いることができる。
塗布液の塗布量は、基材に対して、固形分として0.1〜15g/m2の範囲が好ましい。0.1g/m2以上であると抵抗値の低い透明導電膜が得られ易く、15g/m2以下であると透過率の高い透明導電膜が得られ易い。0.5〜10g/m2の範囲がより好ましい。
乾燥条件は特に規定されない。大気中で放置して自然乾燥させてもよく、雰囲気中の温度や湿度を適宜調整してもよく、有機溶剤の蒸気を用いて雰囲気制御を行ってもよい。
乾燥後、加熱処理を行って、疎水性領域に付着した導電性粒子、すなわち網目パターンを形成している導電性粒子を焼結させることにより透明導電膜が得られる。
この加熱処理は、大気中で行ってもよく、蟻酸蒸気の存在下で行ってもよい。蟻酸蒸気の役割は明確ではないが、蟻酸蒸気の存在下で加熱処理すると、導電性粒子表面の酸化膜が除去され、処理温度が低温でも導電性粒子どうしの焼結が進行しやすくなると推測される。したがって、基材としてポリマーフィルム基材などの耐熱性が低い材質を用いる場合は、加熱処理を蟻酸蒸気の存在下で行うことが好ましい。
加熱処理における処理温度は、蟻酸蒸気の存在下で行う場合は50〜101℃の範囲が好ましい。50℃以上であると導電性粒子どうしを充分に焼結し易い。導電性粒子の焼結が不充分であると透明導電膜の抵抗値が高くなる。101℃を超えると蟻酸の沸点以上の温度となるため取り扱いが難しくなる。
加熱処理を蟻酸蒸気がない状態で行う場合、処理温度は120℃以上が好ましい。120℃以上であると導電性粒子どうしを充分に焼結し易い。上限は基材の変形が生じない温度であればよく、基材の耐熱性に応じて設定できる。例えば600℃以下が好ましく、500℃以下がより好ましい。
加熱時間は、導電性粒子どうしの焼結が充分に行われる範囲で適宜設定できる。短すぎると焼結が不充分となり、長すぎると非効率的である。例えば、1〜120分の範囲が好ましい。
また、透明導電膜の外観を向上させるために黒化処理を行ってもよい。黒化処理方法としては酸化処理、硫化処理、黒色めっき処理等が挙げられる。
また、光学特性の向上と膜強度の向上のためにオーバーコート層の形成やポリマーフィルムのラミネート処理を行ってもよい。
また、基材上に網目パターンを形成した後に、これを、他の基材上に転写してもよい。転写は、上記加熱処理の前に行ってもよく、加熱処理の後に行ってもよい。
このように、網目パターンにむらが生じ難いため外観に優れており、特にディスプレイに適用される用途に好適である。また再現性が良いため歩留まりが安定し、生産安定性が良い。
さらに、塗布液がエマルジョンであり導電性粒子の沈降が抑制されるため、粒子径の大きい導電性粒子を用いても透明導電膜を形成することができる。したがって、比較的粒径が大きくて安価な導電性粒子を用いることができるため、低コストで透明導電膜を製造できる。
また特に前記第1の形態の塗布液を用いると、塗布液における導電性粒子の分散状態および網目パターンにおける導電性粒子の配列状態の安定性が高いため、低抵抗かつ高透過率の透明導電膜を安定して製造できる。
以下の例において、数平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー法により、ポリスチレンを標準物質として測定した。
下記合成例1において、酸価(mgKOH/g)および1分子中のエチレン性二重結合の数は、原料である単量体の配合割合から算出した理論値である。
C6FMA:CH2=C(CH3)COOCH2CH2(CF2)6F、
MAA:メタクリル酸、
2−HEMA:2−ヒドロキシエチルメタクリレート、
V−70:2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)(和光純薬社製、商品名V−70)、
2−ME:2−メルカプトエタノール、
BEI:1,1−(ビスアクリロイルオキシメチル)エチルイソシアネート(昭和電工社製、商品名カレンズBEI)、
DBTDL:ジブチル錫ジラウレート、
BHT:2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、
IR907:ラジカル開始剤(チバ−ガイギー社製、商品名IRGACURE−907)、
DEAB:4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、
CCR1115:クレゾールノボラック型エポキシアクリレート(日本化薬社製、商品名CCR−1115、固形分60質量%。)、
A−9530は、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートとジペンタエリスリトールペンタアクリレートの混合物(新中村化学工業社製、商品名NKエステルA−9530)、
KBM503:γ−(マタクリロキシプロピル)トリメトキシシラン(信越化学工業社製、商品名KBM−503)、
DEGDM:ジエチレングリコールジメチルエーテル、
IPA:イソプロパノール。
本例は、感光性樹脂法により網目パターンを形成する方法において用いる含フッ素重合体の合成例である。
(共重合)
撹拌機を備えた内容積1Lのオートクレーブに、アセトン(556.0g)、C6FMA(124.8g)、MAA(19.2g)、2−HEMA(96.0g)、連鎖移動剤2−ME(4.7g)及び重合開始剤V−70(3.9g)を仕込み、窒素雰囲気下に撹拌しながら、30℃で24時間重合させ、共重合体1の溶液を得た。該溶液のガスクロマトグラフィー分析を行い、各モノマーの残存割合を調べたところ、各モノマーの転化率は、C6FMAが86%、MAAが87%、2−HEMAが91%であった。得られた共重合体1のアセトン溶液に水を加え再沈精製し、次いで石油エーテルにて再沈精製し、真空乾燥し、共重合体1の239gを得た。数平均分子量は3940であった。
次いで、上記で得られた共重合体1にエチレン性二重結合を導入して含フッ素重合体(A−1)を調製した。
すなわち、温度計、撹拌機、加熱装置を備えた内容量300mLのガラス製フラスコに、上記で得た共重合体1(100g)、BEI(76.3g)、DBTDL(0.31g)、BHT(3.8g)及びアセトン(100g)を仕込み、撹拌しながら、25℃で48時間反応させ、含フッ素重合体(A−1)の溶液を得た。得られた含フッ素重合体(A−1)のアセトン溶液に水を加え再沈精製し、次いで石油エーテルにて再沈精製し、真空乾燥し、含フッ素重合体(A−1)の151gを得た。数平均分子量は7250であった。含フッ素重合体(A−1)の赤外分光分析を行ったところ、アクリロイル基のC=C伸縮振動に由来する吸収帯(1635cm−1)、アクリロイル基のCH2面内変角振動に由来する吸収帯(1409cm−1)、およびアクリロイル基のCH2面外変角振動に由来する吸収帯(810cm−1)が存在すること、またBEIのNCO伸縮振動に由来する吸収帯(2274cm−1)が消失していたことから、含フッ素重合体(A−1)中にアクリロイル基が存在することが確認された。
得られた含フッ素重合体におけるフッ素原子の含有率は14.3%、1分子中のC=C数は26.7個、酸価(mgKOH/g)は30であった。
以下の方法で基材に表面処理を施して基材A〜Dを用意した。いずれの基材も、表面処理を施した面を塗布面とする。なお、水の接触角の測定は、接触角計(協和界面科学株式会社製、CA−X150型)を用いて静滴法で行った。接触角測定を行う際の液量は1μLとした。
網目状のパターンを有しない基材Aを作製した。
すなわち、エタノール10gに3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン0.25g、テトラエトキシシラン1.1gおよび1質量%硝酸水溶液2.1gを加えて2時間撹拌した。この液をガラス板上にスピンナーを用いて、シラン化合物を塗布した後、150℃で30分間定温乾燥機中で乾燥させ、塗膜を形成し、基材Aとした。なお、塗膜の膜厚は100nmであった。水の接触角は48°であった。
改質法により基材表面に網目パターンを形成した。
すなわち、エタノール10.5gにフェニルトリエトキシシラン0.6g、テトラエトキシシラン0.5gおよび1質量%硝酸水溶液1.5gを加えて2時間撹拌した。この液をガラス板上にスピンナーを用いて、シラン化合物を塗布した後、150℃で30分間低温乾燥機中で乾燥させ、塗膜を形成した。なお、塗膜の膜厚は100nmであった。
上記塗膜が形成された基材にクロムマスク付石英フォトマスクを介して低圧水銀灯により露光量800mJ/cm2を照射して低圧水銀灯照射部が低圧水銀灯未照射部によって隔てられた網目パターンを形成した。
フォトマスクの形状を、基材B−1は、一辺の長さ150μmの正方形状透光部と線幅15μmの遮光部からなる格子パターン、
基材B−2は、一辺の長さ200μmの正方形状透光部と線幅15μmの遮光部からなる格子パターン、
基材B−3は、一辺の長さ75μmの正六角形状透光部と線幅15μmの遮光部からなるハニカムパターン、
基材B−4は、一辺の長さ100μmの正六角形状透光部と線幅10μmの遮光部からなるハニカムパターンとした。
基材B−1、B−2、B−3、B−4において、低圧水銀灯照射部が親水性領域であり、低圧水銀灯未照射部が疎水性領域である。疎水性領域の線幅は基材B−1、B−2、B−3がそれぞれ15μm、基材B−4が10μmであり、疎水性領域の面積/親水性領域の面積は基材B−1、B−2、B−3、B−4でそれぞれ0.21、0.16、0.24、0.12である。
上記と同様の条件で基材表面にパターン化されていない2cm×2cmの低圧水銀灯照射領域と、パターン化されていない2cm×2cmの低圧水銀灯未照射領域を作製したところ、水の接触角は照射領域が18°、未照射領域が74°であった。
感光性樹脂法により基材表面に網目パターンを形成した。
すなわち、上記で調製した含フッ素重合体(A−1)の1質量部、感光性樹脂(B)としてCCR1115の8.18質量部、光重合開始剤(C)としてIR907の0.65質量部とDEABの0.16質量部、ラジカル架橋剤(D)としてA−9530の5.13質量部、シランカップリング剤(E)としてKBM503の0.51質量部、および希釈剤(F)としてDEGDMの236.7質量部を配合してネガ型感光性組成物を得た。該ネガ型感光性組成物において、全固形分に対する含フッ素重合体(A―1)の割合は8質量%であった。
次いで、ガラス基材上にスピンナーを用いて、ネガ型感光性組成物を塗布した後、100℃で2分間ホットプレート上で乾燥させ、塗膜を形成した。次に塗膜にクロムマスク付石英フォトマスク(基材C:一辺の長さ100μmの正方形状遮光部と線幅10μmの透光部からなる逆格子パターン)を介して、超高圧水銀灯により露光量200mJ/cm2を照射した。次いで、未露光部分を0.2質量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液に40秒間浸漬して現像し、未露光部を水により洗い流し、乾燥させた。次いで、ホットプレート上、220℃で1時間加熱した。得られた塗膜の膜厚は52nmであった。さらに低圧水銀灯により露光量400mJ/cm2を照射してガラス基材露出部が樹脂硬化物形成部によって隔てられた網目パターンを形成し、基材Cとした。
また基材Cと同様の条件で基材表面にパターン化されていない5cm×5cmのガラス基材露出部と、パターン化されていない5cm×5cmの樹脂硬化物形成部を作製して水の接触角を測定したところ、接触角は基材露出部が26°、樹脂硬化物形成部が98°であった。
分解法により基材表面に網目パターンを形成した。
すなわち、ガラス基材をエタノールでリンスした後に、低圧水銀灯により露光量1200mJ/cm2を照射して表面を洗浄した。
褐色サンプル瓶にIPAを2.5g、メタクリレートシリコーン(信越化学工業株式会社製、品番:X−22−164−C)の10質量%IPA溶液を0.1g、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(新中村化学工業株式会社製、品番:A−DPH)の1質量%IPA溶液を0.2g、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン(チバ・ガイギー社製、品番:IRGACURE907)の1質量%IPA溶液を0.06g加えて、均一に混合した。この液を、ガラス基材にスピンナーを用いて塗布した。塗膜の膜厚は4nmであった。
上記、塗膜が形成されたガラス基材にクロムマスク付石英フォトマスク(一辺の長さ100μmの正方形状遮光部と線幅10μmの透光部からなる逆格子パターン)を介して、超高圧水銀灯により露光量100mW/cm2で30秒照射した。次に、基材をIPAに浸漬した後にリンスし、さらに基材をエタノールに浸漬した後にリンスすることで網目パターンを形成し、基材Eとした。
基材Eにおいて、低圧水銀灯照射部が疎水性領域であり、低圧水銀灯未照射部が親水性領域である。疎水性領域の線幅は10μmであり、疎水性領域の面積/親水性領域の面積は0.25である。
上記と同様の条件で基材表面にパターン化されていない2cm×2cmの低圧水銀灯未照射領域と、パターン化されていない2cm×2cmの低圧水銀灯照射領域を作製したところ、水の接触角は未照射領域が12°、照射領域が101°であった。
以下の参考例および実施例における、基材表面の接触角(親水性領域および疎水性領域)、疎水性領域の線幅、疎水性領域と親水性領域の面積比、塗布液の特徴、得られた透明導電膜の物性評価を表1にまとめて示す。
透明導電膜の透過率測定には分光光度計(株式会社日立ハイテクノロジー製、型番U−4100)を用いた。測定は波長600nmで行った。表面処理を行っていないガラス基材のみで測定した時の透過率を透過率100%とした。
透明導電膜の表面抵抗は次に示す方法により求めた。基材上で透明導電膜が形成されている部分が18mm×20mmの長方形となるように透明導電膜の一部を削って除去した。続いて透明導電膜が露出している部分が18mm×18mmの正方形となるように、透明導電膜の両端に導電性ペースト(藤倉化成株式会社製、商品名ドータイト、型番D−550)をそれぞれ5mm×18mmの長方形状に塗布した。導電性ペーストと透明導電膜が重なっている領域は透明導電膜の両端でそれぞれ1mm×18mmであった。導電性ペーストを70℃で1時間乾燥させて電極を形成した。透明導電膜の両端にある電極間の抵抗値をディジタルテスター(横河電機株式会社製、型番7544−02F)を用いて測定し、表面抵抗とした。
下記の各成分を用いて塗布液を調製した。
(a)含フッ素有機溶剤A:HCFC−225caとHCFC−225cbの混合物(商品名AK−225、旭硝子株式会社製)(共沸点54℃、比誘電率4.5)、6.1g。
(b)有機溶剤B:極性基を有する有機溶剤B1として1−ブトキシ−2−プロパノール(沸点170℃、表面張力26.4mN/m)、0.14g、および極性基を持たない有機溶剤B2としてトルエン(沸点111℃、表面張力28.3mN/m)、0.75g。
(c)水:蒸留水1.8g。
(d)導電性粒子:メディアン径1.0μmの粒状銀粉(商品名AgC156I、福田金属箔粉株式会社製)、0.38g。
(e1)増粘剤:変性尿素のN−メチルピロリドン溶液(商品名BYK−410、固形分含有量52質量%、ビックケミージャパン株式会社製)、14.6mg。このうち約7.6mgが変性尿素で、約7mgがN−メチルピロリドン(水混和性有機溶剤)。
(e2)界面活性剤:ソルビタンモノオレート(HLB値4.3)、6.4mg。
得られた塗布液を、基材Aに、固形分として、2.5g/m2だけフローコートした後に室温で乾燥させ、さらに大気中で150℃30分の加熱処理を行ったところ透明導電膜が得られた。
透明導電膜は表面抵抗1.1Ω/□、透過率85.0%であった。透明導電膜を光学顕微鏡で観察したところ図1に示すランダムな網目パターンが形成されていた。
基材として基材B−1を用いた他は参考例1と同様にして透明導電膜を製造した。
得られた透明導電膜は表面抵抗1.0Ω/□、透過率85.7%であった。透明導電膜を光学顕微鏡で観察したところ図2に示す格子状の網目パターンが形成されていた。
基材として基材B−2を用いた他は参考例1と同様にして透明導電膜を製造した。
得られた透明導電膜は表面抵抗1.2Ω/□、透過率85.8%であった。透明導電膜を光学顕微鏡で観察したところ図3に示す格子状の網目パターンが形成されていた。
基材として基材B−3を用いた他は参考例1と同様にして透明導電膜を製造した。
得られた透明導電膜は表面抵抗1.0Ω/□、透過率86.6%であった。透明導電膜を光学顕微鏡で観察したところ図4に示すハニカム状の網目パターンが形成されていた。
[実施例4]
基材として基材B−4を用いて、導電性粒子をメディアン径2.3μmのフレーク状銀粉(商品名AgC239、福田金属箔粉株式会社製)0.38gに変更した他は参考例1と同様にして透明導電膜を製造した。
得られた透明導電膜は表面抵抗0.9Ω/□、透過率83.9%であった。透明導電膜を光学顕微鏡で観察したところ図5に示すハニカム状の網目パターンが形成されていた。
基材として基材Cを用いた他は参考例1と同様にして透明導電膜を製造した。
得られた透明導電膜は表面抵抗0.9Ω/□、透過率86.6%であった。透明導電膜を光学顕微鏡で観察したところ図6に示す格子状の網目パターンが形成されていた。
基材として基材Dを用いた他は参考例1と同様にして透明導電膜を製造した。
得られた透明導電膜は表面抵抗0.9Ω/□、透過率87.9%であった。透明導電膜を光学顕微鏡で観察したところ図7に示す格子状の網目パターンが形成されていた。
本例では塗布液の組成を下記のとおり(a)含フッ素有機溶剤Aを含有しない組成に変更した。基材は基材Cを用いた。その他は参考例1と同様とした。
(b)有機溶剤B:極性基を有する有機溶剤B1として1−ブトキシ−2−プロパノール(沸点170℃、表面張力26.4mN/m)、0.10g、および極性基を持たない有機溶剤B2としてトルエン(沸点111℃、表面張力28.3mN/m)、4.88g。
(c)水:蒸留水2.0g。
(d)導電性粒子:メディアン径1.0μmの粒状銀粉(商品名AgC156I、福田金属箔粉株式会社製)、0.40g。
(e1)増粘剤:変性尿素のN−メチルピロリドン溶液(商品名BYK−410、固形分含有量52質量%、ビックケミージャパン株式会社製)、13.8mg。このうち約7.2mgが変性尿素で、約6.6mgがN−メチルピロリドン(水混和性有機溶剤)。
(e2)界面活性剤:ソルビタンモノオレート(HLB値4.3)、5.6mg。
得られた透明導電膜は表面抵抗8.8Ω/□、透過率79.5%であった。透明導電膜を光学顕微鏡で観察したところ図8に示す格子状の網目パターンが形成されていた。
本例では含フッ素有機溶剤を用いた実施例5と比較すると表面抵抗値は高いものの、実用に問題のないレベルであり、透過率も良好であった。
Claims (8)
- 基材上に透明導電膜を形成する方法であって、(I)基材表面に親水性領域が疎水性領域によって隔てられた網目パターンを形成する工程と、(II)前記網目パターンが形成された基材上に、有機溶剤相中に導電性粒子を含むW/O型エマルジョンからなる塗布液を塗布し、乾燥させて、前記疎水性領域に導電性粒子を付着させる工程と、(III)前記疎水性領域に付着した導電性粒子を焼結させる工程を有することを特徴とする透明導電膜の製造方法。
- 前記親水性領域の静滴法による水の接触角が35°以下である請求項1に記載の透明導電膜の製造方法。
- 前記疎水性領域の静滴法による水の接触角が60〜120°の範囲である請求項1または請求項2に記載の透明導電膜の製造方法。
- 前記疎水性領域の線幅が3〜25μmの範囲である請求項1〜3のいずれか一項に記載の透明導電膜の製造方法。
- 「疎水性領域の面積/親水性領域の面積」で表される面積比の値が0.05〜0.6の範囲である請求項1〜4のいずれか一項に記載の透明導電膜の製造方法。
- 前記塗布液が、(a)比誘電率が3〜15であり、かつ、気圧0.1MPaの状態での沸点が40〜120℃である、水と混和しない含フッ素有機溶剤A、(b)表面張力が25mN/m以上であり、気圧0.1MPaの状態での沸点が50〜250℃の範囲で、かつ、含フッ素有機溶剤Aの沸点よりも高い、水と混和しない有機溶剤B、(c)水、(d)メディアン径が5μm以下である導電性粒子および(e)増粘剤および/または界面活性剤を含有しており、前記(a)含フッ素有機溶剤Aの含有量が20〜90質量%、(b)有機溶剤Bの含有量が3〜60質量%、(c)水の含有量が5〜50質量%、(d)導電性粒子の含有量が1〜12質量%であるW/O型エマルジョンからなる請求項1〜5のいずれか一項に記載の透明導電膜の製造方法。
- 前記導電性粒子が金、銀、銅、白金、ニッケル、パラジウムおよびルテニウムからなる群より選ばれる1種以上を含む請求項1〜6のいずれか一項に記載の透明導電膜の製造方法。
- 請求項1〜7のいずれか一項に記載の透明導電膜の製造方法によって得られる透明導電膜。
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