JP2014096369A - 透明導電性フィルム及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】大面積でも低抵抗で抵抗の均一性に優れ、かつ透過性が高く、軽量で柔軟性に富む透明導電性フィルム及び簡便に得ることができるその製造方法を提供する。
【解決手段】透明フィルム基材11上に導電性パターンを有する透明導電性フィルムの製造方法であって、少なくとも親水性溶媒21と疎水性溶媒及び導電性繊維を含むエマルション22を塗布することにより、前記導電性繊維を含有する導電性パターンを形成することを特徴とする透明導電性フィルムの製造方法。
【選択図】図1

Description

本発明は、有機発光素子、無機電界発光素子、液晶表示素子、電子ペーパー、太陽電池、電磁波シールド、タッチパネル等の各種分野において好適に用いることができる、高く均一な導電性と良好な透明性を併せ持ち、かつ製造コストを大幅に軽減することができる透明導電性フィルム及びその製造方法に関するものである。
有機発光素子、無機電界発光素子、液晶表示素子、電子ペーパー、太陽電池、電磁波シールド、タッチパネル等の各種分野における透明電極材料として、特定の金属酸化物が好適に用いられている。具体例としては、錫や亜鉛をドープした酸化インジウム(ITO、IZO)、アルミニウムやガリウムをドープした酸化亜鉛(AZO、GZO)、フッ素やアンチモンをドープした酸化錫(FTO、ATO)等が挙げられる。
一般に、金属酸化物透明導電膜の作製には、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法等の気相製膜法が用いられる。しかしながら、これらの製膜方法は真空環境を必要とするため装置が大掛りかつ複雑なものとなり、また製膜に大量のエネルギーを消費するため、製造コストや環境負荷を軽減できる技術の開発が求められていた。また、一方で、液晶ディスプレイやタッチディスプレイに代表されるように、デバイスの大面積化が指向されており、それに伴い、透明電極のさらなる導電性向上と軽量化や柔軟性に対する要請が高まっていた。
このような要請に対して、π共役系高分子に代表される導電性高分子材料を、適当な溶媒に溶解または分散し、必要に応じてバインダー成分を加えて、塗布や印刷等の液相成膜法により透明電極を形成する方法が提案されている。しかし、導電性高分子を用いた透明電極は、真空成膜法によるITOやZnO等の金属酸化物透明電極に較べると、導電性は低くかつ透明性にも劣るため、適用可能な分野が限定されるという課題があった。
導電性に優れる透明電極として、プラズマテレビ等の電磁波遮蔽体としても利用される金属メッシュを用いた透明電極が知られている。透明電極として機能し得る金属メッシュの製造方法としては、以下のような様々な方法が提案されている。
1)金属薄膜をフォトリソグラフィー法でエッチング加工する方法(例えば、特許文献1参照)
2)メッキ触媒を印刷法でパターン印刷した後、金属メッキを施す方法(例えば、特許文献2参照)
3)銀塩感光材料にパターン露光した後、現像し、さらに金属メッキを施す方法(例えば、特許文献3参照)
4)基板上に形成したポリシラン膜を選択的に光照射して、露光部に親水化ポリシラン部の潜像パターンを形成し、パラジウム塩を接触・還元させ触媒層を形成した後、金属メッキを施す方法(例えば、特許文献4参照)
5)チオール反応性化合物を付着させた透明基板表面にマスク露光し、未露光部分にメッキ触媒を担持させた後に金属メッキを施す方法(例えば、特許文献5参照)。
しかし、これらの製造方法は、原材料のロスが多かったり工程が複雑だったりするため、製造コストが高いという問題を有していた。さらに、金属メッキを必要とする製造方法では、メッキ処理によってパターンのライン幅が太くなるため透明性が低下することが課題であった。
これに対して、導電性ナノ粉末によって自発的に得られるネットワークパターンで基材を被覆する方法が開示されている(例えば、特許文献6参照)。この方法では、金属ナノ粒子を含む分散液を塗布し乾燥することにより、金属ナノ粒子の凝集体から構成されたメッシュ状の導電パターンを形成することが可能であるため、製造コストの削減に有効である。しかし、この方法で得られる導電性材料の導電性は、上記1)〜3)の従来技術に比較し、満足できるレベルにはなかった。また、基材上に形成される導電パターンを制御することができないため、ランダムなメッシュパターンしか形成することができず、メッシュ開口部の形も大きさも様々で、かつメッシュの線幅も不揃いであるため、基材上で均一な導電性を得ることができなかった。
特開平10−338848号公報 特開平11−170420号公報 特開2004−221564号公報 特開平10−326957号公報 特開2007−329302号公報 特表2005−530005号公報
本発明は以上のような事情に鑑みてなされたものであり、解決すべき課題は、透明導電性フィルムにおける製造コストの削減と、加えて導電性と透明性の両立と、導電性の均一性の向上にある。従って本発明の目的は、大面積でも低抵抗で抵抗の均一性に優れ、かつ透過性が高く、軽量で柔軟性に富む透明導電性フィルム及び簡便に得ることができるその製造方法を提供することにある。
本発明に係る上記課題は、以下の手段により解決される。
1.透明フィルム基材上に導電性パターンを有する透明導電性フィルムの製造方法であって、少なくとも親水性溶媒と疎水性溶媒及び導電性繊維を含むエマルションを塗布することにより、前記導電性繊維を含有する導電性パターンを形成することを特徴とする透明導電性フィルムの製造方法;
2.透明フィルム基材上に導電性パターンを有する透明導電性フィルムの製造方法であって、透明フィルム基材表面にパターン様の親水性領域と疎水性領域を形成した後、少なくとも親水性溶媒と疎水性溶媒及び導電性繊維を含むエマルションを塗布することにより、透明フィルム基材表面の前記疎水性領域に導電性繊維を含有する導電性パターンと、前記親水性領域に開口部を形成することを特徴とする前記1に記載の透明導電性フィルムの製造方法;
3.前記親水性溶媒が水であり、前記疎水性溶媒が炭化水素系溶剤である、前記1または2に記載の透明導電性フィルムの製造方法;
4.前記親水性溶媒と疎水性溶媒及び導電性繊維を含むエマルションが油中水滴型(W/O型)であり、かつ前記導電性繊維が疎水性溶媒中に分散されていることを特徴とする前記1〜3のいずれか1項に記載の透明導電性フィルムの製造方法;
5.前記導電性繊維が、金属ナノワイヤ及びカーボンナノチューブの群から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする前記1〜4のいずれか1項に記載の透明導電性フィルムの製造方法;
6.透明フィルム基材上に、少なくとも導電性繊維を含有する導電性パターンを有する透明導電性フィルムであって、前記1〜5のいずれか1項に記載の透明導電性フィルムの製造方法により製造されたことを特徴とする透明導電性フィルム。
本発明によれば、大面積でも低抵抗で抵抗の均一性に優れ、かつ光透過性が高く、軽量で柔軟性に富む透明導電性フィルムを簡便に低コストで得ることができる。すなわち、本発明により、有機発光素子、無機電界発光素子、液晶表示素子、電子ペーパー、太陽電池、電磁波シールド、タッチパネル等の各種分野へ好ましく適用可能なフレキシビリティの高い透明導電性フィルムとその製造方法の提供が可能となる。
本願発明者は、上記課題を解決すべく鋭意検討する過程において、親水性溶媒と疎水性溶媒、及び何れかの溶媒への親和性を付与した導電性繊維を含むエマルションを透明フィルム基材上に塗布・乾燥することによって、前記1)〜3)の従来技術に匹敵する導電性や透明性を簡便に得ることができることを見出した。さらに、表面に親水性領域と疎水性領域をパターン形成した透明フィルム基材に、親水性溶媒と疎水性溶媒、及び何れかの溶媒への親和性を付与した導電性繊維を含むエマルションを塗布・乾燥することによって、透明フィルム基材表面のパターン様の親水性領域と疎水性領域に、導電性繊維を含有する導電性パターンを形成することができることを見出し、本発明に至った。
本発明においては、導電性材料として導電性繊維を用いることにより、導電性微粒子を用いる従来技術(例えば前記特許文献6等)に比較して、個々の導電性材料(=導電性繊維)で長い導電パスを形成できるため、優れた導電性が得られ、かつ導電性繊維が束状に集合して導電性パターンを形成するため、導電性微粒子を用いる場合に比較し、導電性材料間の接触が一次元(点)から二次元(線)に拡張されることにより、従来技術の課題であった接触抵抗の影響を大幅に軽減することが可能となる。
また、本発明において塗布・乾燥後に得られる導電性パターンは、十分な厚みを有しているため、基板にメッキ触媒を付与するだけの前記4)や5)等の従来技術とは異なり、基本的にメッキ処理を行わなくとも十分な導電性を発現できる。また、透明フィルム基材の極性(親水性または疎水性)と塗布液の極性の双方から、導電性繊維が堆積する領域が規制されるため、所望のパターンを形成することができる点も従来技術とは異なっており、本発明が有する大きな特徴である。
本発明の透明導電性フィルムの製造方法では、少なくとも親水性溶媒と疎水性溶媒及び導電性繊維を含むエマルションを塗布することにより導電性パターンを形成する。この特徴は、請求項1〜6に係る発明に共通する技術的特徴である。また、透明フィルム基材表面にパターン様の親水性領域と疎水性領域を任意に形成した後、少なくとも親水性溶媒と疎水性溶媒及び導電性繊維を含むエマルションを塗布することにより、所望の導電性パターンを形成することも可能である。
なお、本発明において、「透明」とは、JIS K 7361−1(ISO 13468−1に対応)の「プラスチック−透明材料の全光線透過率の試験方法」に準拠した方法で測定した可視光波長領域における全光線透過率が60%以上であることをいう。
以下、本発明とその構成要素、及び本発明を実施するための最良の形態等について詳細な説明をする。
〔親水性溶媒〕
本発明に用いられる親水性溶媒としては、溶解度パラメーター(SP値)が20以上のものが好ましく、29.9以上がさらに好ましい。具体的には、水(47.9)、多価アルコール、低級アルコールからなる群から選ばれる1種以上を用いることが好ましい。多価アルコールとして、エチレングリコール(29.9)、ジエチレングリコール(24.8)、トリエチレングリコール(21.9)、テトラエチレングリコール(20.3)、プロピレングリコール(25.8)等の2価アルコール、グリセリン(33.8)、ジグリセリン、トリグリセリン、ポリグリセリン、トリメチロールプロパン等の3価アルコール、ジグリセリン、トリグリセリン、ポリグリセリン、ペンタエリスリトール、ソルビトール等の4価以上のアルコール、ソルビトール等のヘキシトール、グルコース等のアルドース、ショ糖等の糖骨格を有する化合物、その他ペンタエリスリトール等が挙げられる。低級アルコールとしてはイソプロパノール(23.5)、ブチルアルコール(23.3)、エチルアルコール(26.9)が挙げられる。これらは1種以上併用してもよい。なお括弧内は、溶解度パラメーターのδ値を示す。これらの中で、本発明に係る親水性溶媒としては、少なくとも水を含むことが特に好ましい。
〔疎水性溶媒〕
本発明に用いられる疎水性溶媒としては、好ましくは溶解度パラメーター(SP値)が、20.0未満の有機溶媒であり、具体的には、好ましくは炭化水素系溶剤もしくはシリコーン系溶剤またはそれらの混合物である。炭化水素系溶剤として、例えば、ヘキサン(14.9)、ヘプタン(14.3)、ドデカン(16.2)、シクロヘキサン(16.8)、メチルシクロヘキサン(16.1)、オクタン(16.0)、水添トリイソブチレン等の脂肪族炭化水素、ベンゼン(18.8)、トルエン(18.2)、エチルベンゼン(18.0)、キシレン(18.0)等の芳香族炭化水素、クロロホルム(19.3)、1,2ジクロロエタン(19.9)、トリクロロエチレン(19.1)等のハロゲン系炭化水素等を例示することができ、シリコーン系溶剤として、例えば、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ヘキサメチルジシロキサン、オクタメチルトリシロキサン等が例示される。これらの中でヘキサン(14.9)、シクロヘキサン(16.8)が特に好ましい。これらは1種以上併用してもよい。本発明に係る好ましい疎水性溶媒は、後述のように親水性溶媒との組み合わせによって異なり、適宜選択して用いることができる。
〔導電性繊維〕
本発明に係る導電性繊維とは、導電性を有し、かつその長さが直径(太さ)に比べて十分に長い形状を持つものであり、概ね長さと直径の比率(長さ/直径=アスペクト比)が5以上、好ましくは20以上のものである。形状としては中空チューブ状、ワイヤ状、ファイバー状のもの等があり、例えば、金属でコーティングした有機繊維や無機繊維、導電性金属酸化物繊維、金属ナノワイヤ、炭素繊維、カーボンナノチューブ等がある。本発明においては、透明性の観点から太さが300nm以下の導電性繊維であることが好ましく、併せて導電性も満足するために、導電性繊維は金属ナノワイヤ及びカーボンナノチューブの群から選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
本発明に係る導電性繊維には、親水性溶媒あるいは疎水性溶媒の何れかへの親和性を高めるために表面処理を施すことが好ましい。表面にパターン様の親水性領域と疎水性領域を形成した透明フィルム基材を用いる場合、どちらの溶媒への親和性を高めるかは、導電性繊維を含有する導電性パターンを、透明フィルム基材表面の親水性と疎水性の何れの領域に形成するかで選択され、導電性パターンを親水性領域に形成する場合には、導電性繊維は親水性溶媒への親和性を高めるよう表面処理されることが好ましく、逆に、導電性パターンを疎水性領域に形成する場合には、導電性繊維は疎水性溶媒への親和性を高めるよう表面処理されることが好ましい。また、このような表面処理は、導電性繊維形成過程で、所望の溶媒への親和性を高めることが可能な化合物を分散剤として使用することで処理することもできるし、導電性繊維形成後に処理することもできる。
このような目的で用いることができる表面処理剤としては、親水性溶媒への親和性を高めるよう表面処理する場合には、親水性溶媒に近い溶解度パラメーターを有する化合物が好ましく、一方、疎水性溶媒への親和性を高めるよう表面処理する場合には、疎水性溶媒に近い溶解度パラメーターを有する化合物が好ましい。また、導電性繊維の少なくとも表面が金属の場合には、該化合物がアミノ基、チオール基、ジスルフィド基、アミド基、カルボン酸基、ホスフィン基、スルホン酸基等の金属に配位することのできる官能基を1つ以上有する化合物であることが好ましい。
加えて、本願発明者は、親水性溶媒に対して疎水性溶媒の乾燥速度が速い場合には、導電性繊維は疎水性溶媒への親和性を高めるよう表面処理されることが好ましく、逆に、親水性溶媒に対して疎水性溶媒の乾燥速度が遅い場合には、導電性繊維は親水性溶媒への親和性を高めるよう表面処理されることが好ましいことを見出した。この理由としては、親水性溶媒に対して疎水性溶媒の乾燥速度が速く、かつ導電性繊維を疎水性溶媒への親和性を高めるよう表面処理した場合を例にとると、図1に示すようなメカニズムによるものと推定される。即ち、表面に親水性領域と疎水性領域をパターン様に形成した透明フィルム基材に、本発明に係る親水性溶媒と疎水性溶媒及び導電性繊維を含むエマルションを塗布すると、各溶媒の液滴同士が互いに凝集して、親水性領域には親水性溶媒が、一方の疎水性領域には疎水性溶媒が各々分離した状態のウェット塗膜が形成される。導電性繊維は、疎水性溶媒に対する親和性が高められているので、専ら疎水性溶媒中に存在する(図1−A)。乾燥速度の速い疎水性溶媒が蒸発するに従い、疎水性溶媒中の導電性繊維密度が高まり、導電性繊維同士が凝集して沈降堆積するようになるが、親水性溶媒に規制されるため導電性繊維は拡散することなく疎水性領域上に厚みを増して堆積していく(図1−B,C)。疎水性溶媒が蒸発した後、親水性溶媒も蒸発してしまうと、疎水性領域上に導電性繊維が堆積した導電性パターンが得られる(図1−D)。
本発明における好ましい態様は、取り扱い性、経済性、環境適性等から、親水性溶媒として水を使用することが好ましく、その場合、他の本発明に係る構成要素の条件としては、疎水性溶媒は水(親水性溶媒)より乾燥速度が速く、導電性繊維は疎水性溶媒への親和性を高めるよう表面処理され、基材表面は導電性パターンを形成する部分が疎水性領域となるよう処理されている態様を挙げることができる。
(金属ナノワイヤ)
一般に、金属ナノワイヤとは、金属元素を主要な構成要素とする線状構造体のことをいう。特に、本発明における金属ナノワイヤとは、原子スケールからnmサイズの直径を有する線状構造体を意味する。
本発明に係る導電性繊維に適用される金属ナノワイヤとしては、1つの金属ナノワイヤで長い導電パスを形成するために、平均長さが3μm以上であることが好ましく、さらには3〜500μmが好ましく、特に、3〜300μmであることが好ましい。併せて、長さの相対標準偏差は40%以下であることが好ましい。また、平均直径は、透明性の観点からは小さいことが好ましく、一方で、導電性の観点からは大きい方が好ましい。本発明においては、金属ナノワイヤの平均直径として10〜300nmが好ましく、30〜200nmであることがより好ましい。併せて、直径の相対標準偏差は20%以下であることが好ましい。
本発明に係る金属ナノワイヤの金属組成としては特に制限はなく、貴金属元素や卑金属元素の1種または複数の金属から構成することができるが、貴金属(例えば、金、白金、銀、パラジウム、ロジウム、イリジウム、ルテニウム、オスミウム等)及び鉄、コバルト、銅、錫からなる群に属する少なくとも1種の金属を含むことが好ましく、導電性の観点から少なくとも銀を含むことがより好ましい。また、導電性と安定性(金属ナノワイヤの硫化や酸化耐性、及びマグレーション耐性)を両立するために、銀と、銀を除く貴金属に属する少なくとも1種の金属を含むことも好ましい。本発明に係る金属ナノワイヤが2種類以上の金属元素を含む場合には、例えば、金属ナノワイヤの表面と内部で金属組成が異なっていてもよいし、金属ナノワイヤ全体が同一の金属組成を有していてもよい。
本発明において金属ナノワイヤの製造手段には特に制限はなく、例えば、液相法や気相法等の公知の手段を用いることができる。また、具体的な製造方法にも特に制限はなく、公知の製造方法を用いることができる。例えば、Agナノワイヤの製造方法としては、Adv.Mater.,2002,14,833〜837;Chem.Mater.,2002,14,4736〜4745等、Auナノワイヤの製造方法としては特開2006−233252号公報等、Cuナノワイヤの製造方法としては特開2002−266007号公報等、Coナノワイヤの製造方法としては特開2004−149871号公報等を参考にすることができる。特に、上述した、Adv.Mater.及びChem.Mater.で報告されたAgナノワイヤの製造方法は、水系で簡便にかつ大量にAgナノワイヤを製造することができ、また銀の導電率は金属中で最大であることから、本発明に関わる金属ナノワイヤの製造方法として好ましく適用することができる。
(カーボンナノチューブ)
カーボンナノチューブは、厚さ数原子層のグラファイト状炭素原子面(グラフェンシート)が筒形に巻かれた形状からなる炭素系繊維材料であり、その周壁の構成数から単層ナノチューブ(SWNT)と多層ナノチューブ(MWNT)とに大別され、また、グラフェンシートの構造の違いからカイラル(らせん)型、ジグザグ型、アームチェア型に分けられ、各種のものが知られている。
本発明に係る導電性微粒子に適用されるカーボンナノチューブとしては、いずれのタイプのカーボンナノチューブも用いることができ、また、これらの種々のカーボンナノチューブを複数混合して用いてもよいが、導電性に優れた単層カーボンナノチューブであることが好ましく、さらには金属性のアームチェア型単層カーボンナノチューブであることがより好ましい。
本発明に係るカーボンナノチューブの形状としては、1つのカーボンナノチューブで長い導電パスを形成するために、アスペクト比(=長さ/直径)が大きい、すなわち細くて長い単層カーボンナノチューブであることが好ましい。例えば、アスペクト比が102以上、好ましくは103以上のカーボンナノチューブが挙げられる。カーボンナノチューブの平均長さは、3μm以上であることが好ましく、さらには3〜500μmが好ましく、特に、3〜300μmであることが好ましい。併せて、長さの相対標準偏差は40%以下であることが好ましい。また、平均直径は100nmより小さいことが好ましく、1〜50nmが好ましく、1〜30nmであることがより好ましい。併せて、直径の相対標準偏差は20%以下であることが好ましい。
本発明で使用されるカーボンナノチューブの製造方法は特に限定されるものではなく、二酸化炭素の接触水素還元、アーク放電法、レーザー蒸発法、CVD法、気相成長法、一酸化炭素を高温高圧化で鉄触媒と共に反応させて気相で成長させるHiPco法等の公知の手段を用いることができる。また、副生成物や触媒金属等の残留物を除去するために、洗浄法、遠心分離法、ろ過法、酸化法、クロマトグラフ法等の種々の精製法によって、より高純度化されたカーボンナノチューブの方が、各種機能を十分に発現できることから好ましい。
本発明において、金属ナノワイヤやカーボンナノチューブの長さや直径、アスペクト比の平均値は、十分な数のサンプルについて電子顕微鏡写真を撮影し、個々のサンプル像の計測値の算術平均から求めることができる。サンプルの長さは、本来直線状に伸ばした状態で測定するべきであるが、現実には屈曲している場合もあるため、電子顕微鏡写真から画像解析装置を用いてサンプルの投影直径及び投影面積を算出し、円柱体を仮定して算出してもよい(長さ=投影面積/投影直径)。また、長さや直径の相対標準偏差は、測定値の標準偏差を平均値で除した値に100を乗じた値で表す。サンプル数は、少なくとも100個以上が好ましく、300個以上であることがさらに好ましい。
相対標準偏差[%]=測定値の標準偏差/平均値×100
〔エマルション〕
本発明の透明導電性フィルムの製造方法では、少なくとも親水性溶媒と疎水性溶媒及び導電性繊維を含むエマルションが塗布液として用いられる。本発明において、エマルションとは、一方の溶剤が他方の溶剤中に微粒子状の液滴となって分散(乳化)している状態を表し、親水性溶媒の液滴が疎水性溶媒中に分散している油中水滴型と(所謂W/O型)、疎水性溶媒の液滴が親水性溶媒中に分散している水中油滴型(所謂O/W型)の何れの乳化状態を用いてもよいが、W/O型のエマルションであることがより好ましい。前記のように、本発明に係る導電性繊維には、親水性溶媒あるいは疎水性溶媒の何れかへの親和性を高めるために表面処理を施すことができるので、親水性溶媒と疎水性溶媒がエマルションを構成した状態においても、導電性繊維は専ら何れかの溶媒中に分散した状態で存在させることができる。
本発明に係るエマルションの調製方法に特に制限はなく、少なくとも親水性溶媒と疎水性溶媒を含む液体を、高速攪拌機や超音波分散機等の機械的な手段を用いて乳化させることにより調製することができる。また、必要に応じて乳化剤を使用することもできるが、W/O型のエマルションを形成するためにはHLB値(親水親油バランス)が小さい乳化剤を用いることが好ましい。導電性繊維は乳化処理時に添加してもよいが、親和性を高めた方の溶剤中に予め分散しておくことが好ましい。
上記、本発明に係るエマルション塗布液には、透明なバインダー材料や添加剤を含んでいてもよい。透明なバインダー材料としては、ポリエステル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、アクリルウレタン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、セルロース系樹脂、ブチラール系樹脂等を単独あるいは複数併用して用いることができる。これらは、エマルション塗布液に含有させて用いることもできるし、別の塗布液として準備して本発明に係る導電性パターン形成後にオーバーコートしてもよい。添加剤としては、可塑剤、酸化防止剤や硫化防止剤等の安定剤、界面活性剤、溶解促進剤、重合禁止剤、染料や顔料等の着色剤等が挙げられる。
なお、本発明における「塗布」とは、一般的な塗布法をはじめとして、液相成膜法の全てを含むものである。従って、本発明における塗布では、ロールコート法、バーコート法、ディップコーティング法、スピンコーティング法、キャスティング法、ダイコート法、ブレードコート法、バーコート法、グラビアコート法、カーテンコート法、スプレーコート法、ドクターコート法等を用いることができる。また、必要に応じて印刷法やインクジェット法等を用いることもできる。
〔透明フィルム基材〕
本発明に用いられる透明フィルム基材(以下、単に基材ともいう)には特に制限はなく、その材料、形状、構造、厚み等については公知のものの中から適宜選択することができる。例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート、変性ポリエステル等のポリエステル系樹脂フィルム、ポリエチレン(PE)樹脂フィルム、ポリプロピレン(PP)樹脂フィルム、ポリスチレン樹脂フィルム、環状オレフィン系樹脂等のポリオレフィン類樹脂フィルム、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン等のビニル系樹脂フィルム、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)樹脂フィルム、ポリサルホン(PSF)樹脂フィルム、ポリエーテルサルホン(PES)樹脂フィルム、ポリカーボネート(PC)樹脂フィルム、ポリアミド樹脂フィルム、ポリイミド樹脂フィルム、アクリル樹脂フィルム、トリアセチルセルロース(TAC)樹脂フィルム等を挙げることができるが、可視域の波長(380〜780nm)における透過率が80%以上である樹脂フィルムであれば、本発明に係る透明樹脂フィルムに好ましく適用することができる。中でも透明性、耐熱性、取り扱いやすさ、強度及びコストの点から、二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム、二軸延伸ポリエチレンナフタレートフィルム、ポリエーテルサルホンフィルム、ポリカーボネートフィルムであることが好ましく、二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム、二軸延伸ポリエチレンナフタレートフィルムであることがより好ましい。
基材には、塗布液の濡れ性や接着性を確保するために、表面処理を施すことや易接着層を設けることができる。表面処理や易接着層については従来公知の技術を使用できる。例えば、表面処理としては、コロナ放電処理、火炎処理、紫外線処理、高周波処理、グロー放電処理、活性プラズマ処理、レーザー処理等の表面活性化処理を挙げることができる。また、易接着層としては、ポリエステル、ポリアミド、ポリウレタン、ビニル系共重合体、ブタジエン系共重合体、アクリル系共重合体、ビニリデン系共重合体、エポキシ系共重合体等を挙げることができる。透明フィルム基材が二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムである場合は、フィルムに隣接する易接着層の屈折率が1.57〜1.63とすることで、フィルム基材と易接着層との界面反射を低減して透過率を向上させることができるのでより好ましい。屈折率を調整する方法としては、酸化スズゾルや酸化セリウムゾル等の比較的屈折率の高い酸化物ゾルとバインダー樹脂との比率を適宜調整して塗設することで実施できる。易接着層は単層でもよいが、接着性を向上させるためには2層以上の構成にしてもよい。
〔基材表面にパターン様の親水性領域と疎水性領域を形成する方法〕
本発明において、基材表面にパターン様の親水性領域と疎水性領域を形成する方法に特に制限はなく、例えば、疎水性基材表面に親水性層を形成した後、機械的なエネルギーを加えて親水性層を除去し、疎水性領域をパターン様に形成することもできるし、逆に、親水性基材表面に疎水性層を形成した後、機械的なエネルギーを加えて疎水性層を除去し、親水性領域をパターン様に形成することもできる。また、基材表面に親水性層を形成した後、電磁波等のエネルギーを加えて化学的に表面層にパターン様の疎水性層を形成することもできるし、逆に、基材表面に疎水性層を形成した後、電磁波等のエネルギーを加えて化学的に表面層にパターン様の親水性層を形成することもできる。
本発明において好ましく用いることができる具体的な方法としては、基材表面にポリシラン化合物を含む疎水性層を形成した後、該ポリシラン化合物含有層にパターン様に光露光することによって、基材表面にパターン様の親水性領域を形成する方法を挙げることができる。この場合、好ましく用いることができるポリシラン化合物は、少なくとも下記構造単位(1)を有するものである。ポリシラン化合物の構造は、前記構造単位(1)を有する限り、鎖状(直鎖状、分岐鎖状)、環状構造等であってもよい。
(式中、R及びRは、水素原子、アルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基、アルコキシ基、またはアリールオキシ基を表し、同一または異なってもよい。)
上記方法において、基材の表面層はポリシラン単独で構成してもよく、ポリシランと、光ラジカル発生剤及び/または酸化剤とを組み合わせて構成してもよい。ポリシランは、光照射によってSi−Si結合が切断され、ヒドロキシル基等の親水基が生成するが、光ラジカル発生剤は、ラジカル(特にハロゲンラジカル)により効率よく、Si−Si結合を切断し、酸化剤はSi−Si結合間に容易に酸素を挿入することによって、ポリシランの光に対する感度の向上に寄与する。また、基材の表面層は、さらにシロキサン化合物を含有していてもよい。シロキサン化合物を添加することにより、基材の表面層に柔軟性を付与することができる。
基材表面へのポリシラン化合物含有層の塗布方法は、均一な厚さの薄膜を形成可能であれば、特に限定されず、慣用の塗布方法や印刷方法を用いることができる。基材上に形成されるポリシラン化合物含有層は、乾燥厚で0.05〜30μm、好ましくは0.1〜10μm、さらに好ましくは0.5〜5μm程度である。塗布した感光性組成物の乾燥方法は、自然乾燥でもよいし、加熱(例えば、40〜100℃程度で)して乾燥してもよい。
ポリシランを用いる親水性領域と疎水性領域の形成方法では、光照射により親水領域と疎水領域とを形成することができる。すなわち、ポリシラン層で構成された基材表面は、高い撥水性を有する疎水性表面を形成しているが、光照射された部分は、ポリシランのSi−Si結合が切断され、ヒドロキシル基(シラノール基)等の親水基が生成して親水性領域を形成する。ヒドロキシル基等の親水基を形成するためには、酸素や水蒸気を含有する雰囲気、通常、空気中で光照射するのが好ましい。従って、この方法では、基材表面を選択的に露光することによって、基材表面に露光部と未露光部とで表面張力の異なるサイトを形成することができる。
露光の方法としては、マスクを介してパターン露光することによって一括してパターン様の親水性領域を形成してもよいし、個々のサイトを選択的に露光してパターン様の親水性領域を形成してもよいが、簡便性の観点から、マスクを介したパターニングが好ましい。露光する光としては、例えば、可視光線、紫外線、X線、γ線等を用いることができるが、通常、可視光線を含む紫外線が用いられる。光の波長に特に制限はないが、ポリシランが感光性を有する波長、例えば150〜600nmが好ましく、200〜400nmがより好ましく、300〜400nmが特に好ましい。照射光量は、ポリシラン層の厚さ1μm当り0.05〜50J/cm、好ましくは0.1〜10J/cm、より好ましくは0.1〜5J/cm程度である。照射光量が0.1mJ/cmより大きければ、Si−Si結合を効率良くSi−O結合に変換することができる。また、本発明においては、露光部のポリシラン含有層の表層のみを疎水性から親水性に変えることができればよく、ポリシラン含有層内部にはSi−Si結合が残っている状態であってもよいため、50J/cmを超える光照射は経済的ではない。
光源としては、例えば、低圧及び高圧水銀灯、キセノンランプ、メタルハライドランプ、レーザー(例えば、He−Cdレーザー、Arレーザー、YAGレーザー、エキシマレーザー)等を例示できるが、これらの光源のうち、特にマスクを介した枚葉のパターニングにおいては、安価で取扱いが容易な水銀灯を好適に用いることができる。連続的にパターニングする場合には、レーザー光(例えば、エキシマレーザー光)をパターン様に走査してパターン露光することもできる。なお、基材が透明である場合は、基材の裏側から露光することもできる。
本発明において好ましく用いることができるその他の方法として、基材表面に金属酸化物からなる疎水性層を形成した後、該金属酸化物層にパターン様に光露光することによって、基材表面にパターン様の親水性領域を形成する方法を挙げることができる。この場合、金属酸化物膜の材料として、光触媒性の金属酸化物を好ましく用いることができる。なお、本発明において、光触媒性の金属酸化物とは、光の照射を受けて親水性/疎水性の極性が変化する金属酸化物を意味している。具体的には、酸化チタン、チタンと他のアルカリ土類金属との酸化物、酸化亜鉛、酸化錫、酸化ゲルマニウム、酸化アルミニウム、酸化ビスマスや、それらの混合物等を挙げることができる。中でも、酸化チタンと酸化亜鉛を好ましく用いることができ、特に酸化チタンが感度等の点で好ましい。
酸化チタン含有層や酸化亜鉛含有層を基材表面に設けるには、例えば酸化チタン微結晶または酸化亜鉛微結晶の分散物を基材表面に塗設する方法や、基材表面に蒸着、スパッタリング、イオンプレーティング、CVD等の方法で酸化チタンや酸化亜鉛層を設ける方法や、チタニウムブトキシドのようなチタン有機化合物を基材表面に塗布した後、熱酸化を施して酸化チタン層とする方法、触媒を基材表面に塗布した後、無電解メッキによって酸化亜鉛層を形成する方法等、既知の任意の方法を用いることができるが、真空蒸着またはスパッタリングによって酸化チタン含有層や酸化亜鉛含有層を形成する方法を用いることが好ましい。
基材表面に親水性領域を形成させるために光照射する際用いられる光源としては、光触媒性金属化合物の感光域の波長の光、即ち、光吸収域に相当する波長の光を発する光源である。例えば光触媒性金属化合物が酸化チタンの場合では、アナターゼ型が387nm以下、ルチル型が413nm以下の紫外部に感光域を有している。従って、使用される光源は、これらの波長領域の光を発する光源であり、主として紫外線を発する光源といえる。具体的には、低圧及び高圧水銀灯、キセノンランプ、メタルハライドランプ、レーザー等を用いることができる。
感光域の波長の光照射を受けた領域は、光触媒作用によって親水性となる。親水性とするための照射光量は、0.1〜1000J/cm、好ましくは0.2〜100J/cm、より好ましくは0.2〜10J/cmである。また、光触媒反応には相反則が成立することが多く、例えば10mW/cmで100秒の露光を行っても、1W/cmで1秒の露光を行っても、同じ効果が得られる場合も多く、このような場合には、活性光を発光する光源の選択の幅は広くなる。
上記光源のうち、特にマスクを介した枚葉のパターニングにおいては、安価で取扱いが容易な水銀灯を好適に用いることができる。連続的にパターニングする場合には、レーザー光をパターン様に走査してパターン露光することもできる。なお、基材が透明である場合は、基材の裏側から露光することもできる。
なお、本発明においてパターン様とは、ラインを一様な網目状、直線様あるいは曲線様のストライプ状あるいは櫛型等に配置したものや、ラインやエリアを正三角形、二等辺三角形、直角三角形等の三角形、正方形、長方形、菱形、平行四辺形、台形等の四角形、(正)六角形、(正)八角形等の(正)n角形、円、楕円、星形等に配置したもの、それらを組み合わせて配置したもの、幾何学図形のラインパターンを規則的に組み合わせて配置したもの等を意味する。実用上の具定例としては、プラズマテレビ等の電磁波遮蔽体としても利用されるメッシュ(グリッド)パターンや、各種電子デバイスのプリント配線パターン等を挙げることができる。
〔透明導電性フィルム〕
本発明の透明導電性フィルムは、基材上に、少なくとも導電性繊維を含有する導電性パターンを有する透明導電性フィルムであって、上記の透明導電性フィルムの製造方法により製造されたことを特徴とする透明導電性フィルムである。
本発明の透明導電性フィルムの厚さには特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、一般的に10μm以下であることが好ましく、厚さが薄くなるほど透明性が向上するためより好ましい。
本発明の透明導電性フィルムの全光線透過率は、60%以上、好ましくは70%以上、特に好ましくは80%以上であることが望ましい。全光透過率は、分光光度計やヘイズメーター等を用いた公知の方法に従って測定することができる。
本発明の透明導電性フィルムにおける電気抵抗値としては、表面抵抗率として10Ω/□以下であることが好ましく、10Ω/□以下であることがより好ましく、10Ω/□以下であることが特に好ましい。表面抵抗率は、例えば、JIS K6911、ASTM D257等に準拠して測定することができ、また市販の表面抵抗率計を用いて簡便に測定することもできる。
本発明の透明導電性フィルムには、必要に応じてハードコート層やノングレアコート層、バリアコート層、アンカーコート層、キャリア輸送層、キャリア蓄積層等の各種機能性層を付与することもできる。ハードコート層やノングレアコート層を付与する場合には、透明フィルム基材を挟み本発明に係る導電性繊維を含有する導電性パターンとは反対側に配置させることが好ましく、バリアコート層を付与する場合には、透明フィルム基材と本発明に係る導電性繊維を含有する導電性パターンの間に配置させることが好ましく、アンカーコート層やキャリア輸送層、キャリア蓄積層を付与する場合には、透明フィルム基材に対して本発明に係る導電性繊維を含有する導電性パターンと同じ側に配置させることが好ましい。
本発明の透明導電性フィルムは、例えば、有機ELや無機ELディスプレイや照明、液晶ディスプレイ、各種電子ペーパー、太陽電池等のフレキシブル透明電極として好ましく用いることができる。従来のITOフィルム等を、10cmやA4サイズ程度、あるいはそれ以上といった大きな面積の電極として使用する場合、給電部からの距離が遠い部分では電極での電圧降下によって悪影響が出る。一方、本発明の透明導電性フィルムを用いたフレキシブル透明面電極では、導電性に優れた導電性繊維(例えば金属ナノワイヤ)でパターン構造を形成することにより、給電部から遠い部分にもほとんど電圧降下なく電流を供給できるため特に有効である。
以下、実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。なお、実施例において「%」の表示を用いるが、特に断りがない限り「質量%」を表す。
実施例1
《銀ナノワイヤ分散液の調製》
参考文献「Adv.Mater.,2002,14,833〜837」に記載の方法を参考に、還元剤としてエチレングリコール(EG、関東化学社製)を、形態制御剤兼保護コロイド剤としてポリビニルピロリドン(PVP:平均分子量130万、アルドリッチ社製)を使用し、かつ核形成工程と粒子成長工程とを分離して粒子形成を行い、銀ナノワイヤを形成した。ワイヤ形成後の反応液に、分画分子量0.2μmの限外濾過膜を用いて脱塩水洗処理を施した後、溶媒をトルエンに置換して銀ナノワイヤのトルエン分散液NW−1を得た。
《銀ナノ粒子分散液の調製》
特開2005−36309号公報の実施例に記載の方法を参考に銀ナノ粒子を形成した。銀ナノ粒子形成後の反応液に、分画分子量1万の限外濾過膜を用いて脱塩水洗処理した後、溶媒をトルエンに置換して銀ナノ粒子のトルエン分散液NP−1を得た。
《銀ナノワイヤを含むエマルション塗布液EM−1の調製》
銀ナノワイヤのトルエン分散液NW−1をトリクロロエチレンに加え、超音波分散機を用いて分散処理を行った。この液に、水と乳化剤を加えて高速攪拌機で良く攪拌して乳化した後、さらに超音波分散機を用いて分散処理を行い、W/O型のエマルション塗布液EM−1を調製した。
《銀ナノワイヤ塗布液の調製》
銀ナノワイヤのトルエン分散液NW−1を、上記EM−1の調製で用いたトリクロロエチレン+水と同量のトリクロロエチレンに加え、超音波分散機を用いて分散処理を行い、銀ナノワイヤの塗布液D−1を調製した。
《銀ナノ粒子を含むエマルション塗布液EM−2の調製》
上記EM−1の調製において、NW−1の代わりに銀ナノ粒子のトルエン分散液NP−1を使用した以外はEM−1と同様にしてエマルション分散液EM−2を調製した。
〔透明導電性フィルムSA−11の作製:本発明〕
厚さ100μm、透過率92%(裏面に反射防止加工)のポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム基材に、セシルドロップ法(静滴法)による水の接触角が約50°になるようコロナ放電処理を施した後、前記エマルション塗布液EM−1を目付け量が0.25g/mとなるようにダイコーターを用いて塗布し乾燥して、透明PETフィルム基材上に銀ナノワイヤの導電性パターンを有する透明導電性フィルムSA−11を作製した。得られた透明導電性フィルムの電子顕微鏡写真を図2に示す。
〔透明導電性フィルムSA−12の作製:比較例〕
厚さ100μm、透過率92%(裏面に反射防止加工)のポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム基材に、前記塗布液D−1を目付け量が0.25g/mとなるようにダイコーターを用いて塗布し乾燥した。このようにして、透明PETフィルム基材上に銀ナノワイヤが分散した透明導電性フィルムSA−12を作製した。
〔透明導電性フィルムSA−13の作製:比較例〕
上記透明導電性フィルムSA−11の作製において、エマルション塗布液をEM−2に変更した以外は同様にして、透明導電性フィルムSA−13を作製した。
《透明導電性フィルムの評価》
以上のように作製した各透明導電性フィルムについて、下記の方法に従って表面抵抗率及び全光透過率の測定を行った。
〔表面抵抗率の測定〕
表面抵抗率は、JIS K 7194:1994(導電性プラスチックの4探針法による抵抗率試験方法)に準拠して、三菱化学社製ロレスタ−GP(MCP−T610型)を用いて測定した。
〔全光透過率の測定〕
全光透過率は、JIS K 7361−1:1997に準拠して、スガ試験機社製のヘイズメーターHGM−2Bを用いて測定した。
以上により得られた測定結果を表1に示す。
表1より、本発明の製造方法を用いて作製された透明導電性フィルムSA−11は、比較例の銀ナノワイヤの分散液を塗布したSA−12や銀ナノ粒子を用いたSA−13に比較し、表面抵抗率と透過率の双方において優れた特性を有していることが分かる。
実施例2
〔透明導電性フィルムSA−21の作製:本発明〕
厚さ100μm、透過率92%(裏面に反射防止加工)のポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム基材に、フェニルメチルポリシランのトルエン溶液(濃度8%)をバーコーターを用いて塗布し乾燥して、厚さ0.5μmの疎水性のポリシラン層を形成した。続いて、PETフィルム表面のポリシラン層に、グリッド状のフォトマスク(ライン幅/ピッチ=5μm/250μm)を重ね、低圧水銀灯を用いて254nmの紫外線を10mJ/cmの光量で照射してパターン露光を行い、開口部領域を親水化した。
上記処理を施したPETフィルムに、前記エマルション塗布液EM−1を目付け量が0.3g/mとなるようにダイコーターを用いて塗布し乾燥した。
このようにして、透明PETフィルム基材上にグリッド状の銀ナノワイヤ導電性パターンを有する透明導電性フィルムSA−21を作製した。
〔透明導電性フィルムSA−22の作製:比較例〕
上記透明導電性フィルムSA−21の作製法において、エマルション塗布液をEM−2に変更した以外は同様にして、透明PETフィルム基材上にグリッド状の銀ナノ粒子導電性パターンを有する透明導電性フィルムSA−22を作製した。
《エマルション塗布液の調製》
実施例1のエマルション塗布液EM−1の調製において、トリクロロエチレンを其々メチルシクロヘキサンまたはエチルベンゼンに変更した以外はEM−1と同様にして、エマルション塗布液EM−3とEM−4を調製した。
また、前記EM−2の調製において、トリクロロエチレンを其々メチルシクロヘキサンまたはエチルベンゼンに変更した以外はEM−2と同様にして、エマルション塗布液EM−5とEM−6を調製した。
〔透明導電性フィルムSA−23〜24の作製:本発明〕
上記透明導電性フィルムSA−21の作製法において、エマルション塗布液をそれぞれEM−3及びEM−4に変更した以外は同様にして、グリッド状の銀ナノワイヤ導電性パターンを有する透明導電性フィルムSA−23及びSA−24を作製した。
〔透明導電性フィルムSA−25〜26の作製:比較例〕
上記透明導電性フィルムSA−21の作製法において、エマルション塗布液をそれぞれEM−5及びEM−6に変更した以外は同様にして、グリッド状の銀ナノ粒子導電性パターンを有する透明導電性フィルムSA−25及びSA−26を作製した。
《透明導電性フィルムの評価》
以上のように作製した各透明導電性フィルムについて、導電性パターンの電子顕微鏡写真を撮影し、パターニング性(グリッド形状の再現性)の官能評価を行った。さらに、実施例1と同様に、各透明導電性フィルムの表面抵抗率及び全光透過率の測定を行った。
以上により得られた測定結果を表2に示す。
表2より、本発明の製造方法を用いて作製した透明導電性フィルムSA−21、23、24は、比較例の銀ナノ粒子を用いたSA−22、25、26と同等のパターニング性を有しながら、表面抵抗率と透過率の双方において優れた特性を有することが分かる。
本発明の製造方法の好ましい一態様を表す概略図である。 実施例1の本発明の透明導電性フィルムSA−11の電子顕微鏡写真である。
11 透明フィルム基材
12 親水性領域
13 疎水性領域
21 親水性溶媒
22 疎水性溶媒+導電性繊維

Claims (6)

  1. 透明フィルム基材上に導電性パターンを有する透明導電性フィルムの製造方法であって、少なくとも親水性溶媒と疎水性溶媒及び導電性繊維を含むエマルションを塗布することにより、前記導電性繊維を含有する導電性パターンを形成することを特徴とする透明導電性フィルムの製造方法。
  2. 透明フィルム基材上に導電性パターンを有する透明導電性フィルムの製造方法であって、透明フィルム基材表面にパターン様の親水性領域と疎水性領域を形成した後、少なくとも親水性溶媒と疎水性溶媒及び導電性繊維を含むエマルションを塗布することにより、透明フィルム基材表面の前記疎水性領域に導電性繊維を含有する導電性パターンと、前記親水性領域に開口部を形成することを特徴とする請求項1に記載の透明導電性フィルムの製造方法。
  3. 前記親水性溶媒が水であり、前記疎水性溶媒が炭化水素系溶剤である、請求項1または2に記載の透明導電性フィルムの製造方法。
  4. 前記親水性溶媒と疎水性溶媒及び導電性繊維を含むエマルションが油中水滴型(W/O型)であり、かつ前記導電性繊維が疎水性溶媒中に分散されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の透明導電性フィルムの製造方法。
  5. 前記導電性繊維が、金属ナノワイヤ及びカーボンナノチューブの群から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の透明導電性フィルムの製造方法。
  6. 透明フィルム基材上に、少なくとも導電性繊維を含有する導電性パターンを有する透明導電性フィルムであって、請求項1〜5のいずれか1項に記載の透明導電性フィルムの製造方法により製造されたことを特徴とする透明導電性フィルム。
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