JP4967265B2 - 非水電解液蓄電素子用電極構造体、該電極構造体の製造方法、および非水電解液蓄電素子 - Google Patents
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Description
一般的な非水電解液蓄電素子は主に正極板、負極板、電極間の電気的接触を防ぐセパレータ、及び非水電解液から構成されているが、非水電解液は抵抗が高いため、鉛蓄電池等に比べると電極は薄く面積が広い設計となっている。
正極板及び負極板としては、金属箔等の集電体の上に充放電可能な活物質と必要に応じて結着剤及び/又は導電剤を含む電極活物質層を形成し、プレスした後、該電極活物質層が形成された集電体を、所定の幅にトリミングし所定の長さにスリットしたもの(後述する捲回型電極構造体に使用される)、又は、所定のサイズ及び形状に打ち抜いたもの(後述する積層型電極構造体に使用される)が用いられている。リチウムイオン二次電池の場合は、正極及び負極に異なる活物質を使用するが、キャパシタの場合は正極及び負極において同じ活物質を使用することが多い。
電池の大型化を推進するにあたって、特に自動車及び家庭用ロードレベリング装置等のスペースが限られる用途の電池の場合は、捲回タイプの電極板を使用した時に生じるデッドボリューム(活かされない空間)が問題となる。デッドボリュームとは、例えば、複数の捲回型蓄電素子を互いに接するように積層して組電池とした場合に、捲回型蓄電素子の曲面同士が接し、それらの間に生じる蓄電素子が存在しない空間、又は捲回型電極構造体を矩形状の容器に収納した場合に、該容器の四隅に生じる電極板が存在しない空間をいう。
また、積層型及び捲回型電極構造体には、電流の集中による熱損失などを抑えるために複数の電流取出し端子(リードタブ、リード線等)を設けることが多い。積層型電極構造体の場合、枚葉状電極板の集電体の幅方向の両側縁部若しくは一側縁部に設けられた非形成部に電流取出し端子を取り付けたり、該非形成部をそのまま又は該非形成部から不要部分を切り落とすことで所定形状にトリミングし、電流取出し端子として用いる。一方、捲回型電極構造体の場合、集電体の幅方向の側縁部に存在する集電体の露出部(いわゆる耳部)つまり電極活物質層の長手方向に連続する非形成部に電流取出し端子を取り付ける。該電流取出し端子を接合する際の作業性を考慮して長手方向に連続する非形成部を広くすると、電極板を圧延する際、電極活物質層の形成部と非形成部の長手方向の延び率が異なるため、歪んでシワが生じるなど非形成部が変形し易く、作業性が悪く、安定した生産が困難となる。
a)該電極構造体から正極板と負極板の電流取出し端子が電極板の幅方向の同じ側に引き出されるように、一方の非形成部群(第1の非形成部群)に取り付けられた正極板の電流取出し端子、及び、他方の非形成部群(第2の非形成部群)に取り付けられた負極板の電流取出し端子。
b)該電極構造体から正極板と負極板の電流取出し端子が電極板の幅方向の異なる側に引き出されるように、第1の非形成部群に取り付けられた正極板の電流取出し端子、及び、第2の非形成部群に取り付けられた負極板の電流取出し端子。
c)該電極構造体から正極板と負極板の電流取出し端子が電極板の幅方向の同じ側に引き出され、且つ、第1及び第2の非形成部群の両方から正極板及び負極板の両方の電流取出し端子が引き出されるように、非形成部群の捲回方向における両端に重ならないようにそれぞれまとめて取り付けられた正極板の電流取出し端子及び負極板の電流取出し端子。
a)該電極構造体から正極板と負極板の電流取出し端子が電極板の幅方向の同じ側に引き出されるように、正極板の電流取出し端子を一方の非形成部群(第1の非形成部群)に取り付け、負極板の電流取出し端子を他方の非形成部群(第2の非形成部群)に取り付ける工程、
b)該電極構造体から正極板と負極板の電流取出し端子が電極板の幅方向の異なる側に引き出されるように、正極板の電流取出し端子を第1の非形成部群に取り付け、負極板の電流取出し端子を第2の非形成部群に取り付ける工程、及び、
c)該電極構造体から正極板と負極板の電流取出し端子が電極板の幅方向の同じ側に引き出され、且つ、第1及び第2の非形成部群の両方から正極板及び負極板の両方の電流取出し端子が引き出されるように、非形成部群の捲回方向における両端に正極板の電流取出し端子と負極板の電流取出し端子を重ならないようにそれぞれまとめて取り付ける工程。
さらに、本発明は捲回型の電極構造体であるが、従来の捲回型電極構造体とは異なり、集電体の長手方向へ電極活物質層が間欠的に配置されるため、電極板が変形することなく非形成部を設けることができ、作業性がよい。
a)該電極構造体から正極板と負極板の電流取出し端子が電極板の幅方向の同じ側に引き出されるように、一方の非形成部群(第1の非形成部群)に取り付けられた正極板の電流取出し端子、及び、他方の非形成部群(第2の非形成部群)に取り付けられた負極板の電流取出し端子。
b)該電極構造体から正極板と負極板の電流取出し端子が電極板の幅方向の異なる側に引き出されるように、第1の非形成部群に取り付けられた正極板の電流取出し端子、及び、第2の非形成部群に取り付けられた負極板の電流取出し端子。
c)該電極構造体から正極板と負極板の電流取出し端子が電極板の幅方向の同じ側に引き出され、且つ、第1及び第2の非形成部群の両方から正極板及び負極板の両方の電流取出し端子が引き出されるように、非形成部群の捲回方向における両端に重ならないようにそれぞれまとめて取り付けられた正極板の電流取出し端子及び負極板の電流取出し端子。
尚、以下においては、正極又は負極活物質層を形成する方法として、間欠塗工法を代表例として説明するが、本発明において集電体上に間欠的に配置された形成部と非形成部は、他の方法で製造されたものも含む。例えば、集電体の全面に活物質層を形成した後で、その一部の領域から活物質層を除去することによって形成部と非形成部を形成してもよい。
本発明において、活物質層の形成部とは、集電体上の活物質層が形成された領域を意味し、非形成部とは、集電体上の活物質層が形成されていない領域、典型的には集電体の露出面を意味する。
一方、負極板は、少なくとも負極活物質を含有する負極用活物質層材料を集電体の少なくとも一面に塗工して、負極活物質層を形成することによって作成される。
一方、負極活物質としては、従来から非水電解液二次電池の負極活物質として用いられている材料を用いることができ、例えば、天然グラファイト、人造グラファイト、アモルファス炭素、カーボンブラック、又は、これらの成分に異種元素を添加したもののような炭素質材料が好んで用いられる。
負極活物質の粒子形状は特に限定されないが、例えば、鱗片状、塊状、繊維状、球状のものが使用可能である。
電極活物質層材料中の活物質の配合割合は、溶剤を除く配合成分を基準(固形分基準)とした時に通常は70〜98.5重量%、好ましくは75〜96重量%とする。
電極活物質層材料中の結着材の配合割合は、固形分基準で通常は0.5〜15重量%、好ましくは3〜10重量%とする。
また、その他に添加する成分についても特に制限はなく、例えば、電極活物質層の導電性を改善するための導電助剤又はスラリーの塗工適性を改善する増粘剤などを用いることができる。
電極活物質層材料は、適宜選択した活物質、必要に応じて結着材、および他の配合成分を適切な溶剤中にいれ、ホモジナイザー、ボールミル、サンドミル、ロールミルまたはプラネタリーミキサー等の分散機により混合分散して、スラリー状に調製できる。
リチウムイオン二次電池の正極集電体やキャパシタの集電体としては、通常アルミニウム箔が好ましく用いられる。一方、リチウムイオン二次電池の負極板の集電体としては、電解銅箔又は圧延銅箔等の銅箔が好ましく用いられる。集電体の厚さは捲回工程に支障がない限り特に制限はないが、通常、5〜100μm程度の集電体が用いられ、特に好ましくは、8〜50μm程度の集電体が用いられる。
a)該電極構造体から正極板と負極板の電流取出し端子が電極板の幅方向の同じ側に引き出されるように、正極板の電流取出し端子を一方の非形成部群(第1の非形成部群)に取り付け、負極板の電流取出し端子を他方の非形成部群(第2の非形成部群)に取り付ける工程、
b)該電極構造体から正極板と負極板の電流取出し端子が電極板の幅方向の異なる側に引き出されるように、正極板の電流取出し端子を第1の非形成部群に取り付け、負極板の電流取出し端子を第2の非形成部群に取り付ける工程、及び、
c)該電極構造体から正極板と負極板の電流取出し端子が電極板の幅方向の同じ側に引き出され、且つ、第1及び第2の非形成部群の両方から正極板及び負極板の両方の電流取出し端子が引き出されるように、非形成部群の捲回方向における両端に正極板の電流取出し端子と負極板の電流取出し端子を重ならないようにそれぞれまとめて取り付ける工程。
図1は、本発明の非水電解液蓄電素子用電極板1の一例を模式的に示した図であり、集電体2の少なくとも一面に、集電体2の長手方向へ電極活物質層3が間欠的に、すなわち電極活物質層3と非塗工部4が交互に配置されてなり、集電体2の長手方向の各電極活物質層3のピッチ(5(1)、5(2)、・・・5(n))が異なっている。上記電極活物質層(塗工部)のピッチとは、各電極活物質層(塗工部)の集電体の長手方向(塗工流れ方向)の一辺の長さの起点(又は終点)6と、当該電極活物質層(塗工部)の前又は後に形成された電極活物質層(塗工部)の集電体の長手方向(塗工流れ方向)の同じ側の一辺の長さの起点(又は終点)6との間の距離をいう。
各塗工部のピッチが異なるとは、ランダムに異なることも、所定の規則性を持って異なることも含まれる。
本発明における正極板又は負極板のそれぞれにおいて、電極活物質層は、図2に示すような電極構造体を形成するために、ほぼ同一の長さ及び大きさであることが望ましい。一方、正極板と負極板の電極活物質層の長さ及び大きさはほぼ同一である必要はなく、例えば、リチウムイオン二次電池の場合、過充電が行われた時に負極の非塗工部にリチウムが析出して樹枝状に蓄積し、セパレータを突き抜けて正極に至って内部短絡を引き起こし、これにより発熱、発火を生じさせる恐れがあるため、負極板の形状を正極板の形状よりも大きくすることが一般的である。
電池1セル分9(図1参照)とは、電池1セルに使用する電極板の部分、つまり1つの電極構造体を形成するひとつながりの部分をいい、その長さに特に制限はない。
上記各電極活物質層のピッチの設定は、通常、電極の厚さ、セパレータの厚さ、積層回数、誤差を考慮して設定することができる。この時、各ピッチにおける非塗工部の長さは、図2から分かるように、長さを調節すべき非塗工部を含むピッチよりも内側に捲回される電極板及びセパレータの厚さの合計に近い値である。捲回のための巻き芯が存在する場合は、その厚さを含める。また、捲回時の巻取りテンションの設定によって、該ピッチを微調整することが好ましい。
尚、本発明の非水電解液蓄電素子用電極構造体において、正極板及び負極板の集電体の少なくとも一面へ電極活物質層を所定パターン状に設ける際、電極板を捲回した時に捲き始めである捲きの中心部においては、周回面の平坦な領域であっても非形成部としてもよい。この場合、該非形成部の集電体の長手方向の長さは、周回面の平坦な領域の集電体の長手方向の長さの略整数倍となる。また、電極板を捲回した時の最外周においても、周回面の平坦な領域を非形成部としてもよい。
上述したように、原則として本発明におけるパターンのピッチは、捲回した状態で形成部同士を同位置に重ねることができるように、各形成部がほぼ同じ大きさになるように設定されるが、このように捲き始めにあたる集電体の箇所において、非形成部の形成を省略した結果、例外的に、一部の形成部が、他の形成部とは異なる集電体の長手方向の長さを有してもよい。
尚、電極活物質層は、複数回塗工、乾燥を繰り返すことにより形成してもよい。
プレス加工は、例えば、金属ロール、弾性ロール、加熱ロールまたはシートプレス機等を用いて行う。本発明においてプレス温度は、活物質層の塗工膜を乾燥させる温度よりも低い温度とする限り、室温で行っても良いし又は加温して行っても良いが、通常は室温(室温の目安としては15〜35℃である。)で行う。
ロールプレスは、ロングシート状の負極板を連続的にプレス加工できるので好ましい。ロールプレスを行う場合には定位プレス、定圧プレスのいずれを行っても良い。プレスのライン速度は通常、5〜50m/min.とする。ロールプレスの圧力を線圧で管理する場合、加圧ロールの直径に応じて調節するが、通常は線圧を4.9N(0.5kgf/cm)〜9.8kN(1tf/cm)とする。
また、シートプレスを行う場合には通常、4903〜73550N/cm2(500〜7500kgf/cm2)、好ましくは29420〜49033N/cm2(3000〜5000kgf/cm2)の範囲に圧力を調節する。プレス圧力が小さすぎると活物質層の均質性が得られにくく、プレス圧力が大きすぎると集電体を含めて電極板自体が破損してしまう場合がある。活物質層は、一回のプレスで所定の厚さにしてもよく、均質性を向上させる目的で数回に分けてプレスしてもよい。
尚、一般的に、プレスによって電極板の寸法(主に電極活物質層の寸法)は変化する。電極活物質層の組成物、塗工量、集電体の種類、目標密度等によってその変化率は異なるが、通常数%程度の寸法変化が起こる。従って、電極板のプレス工程前にパターン形成工程を行う場合、最終的に捲回する電極板における形成部と非形成部の各々の長さ及び電極板の寸法の変化率から、パターン形成時の寸法仕様を決定する必要がある。尚、電極板のプレス工程後にパターンを形成する場合や、プレス工程を含まない場合には、電極寸法の変化率を考慮する必要がない。
電極活物質層の重量については、特に制限はないが、例えば、炭素系の材料を使用する場合、通常、電極活物質層の重量(片面)は、10〜200g/m2程度である。また、金属酸化物等の材料を使用する場合は、通常20〜400g/m2程度である。蓄電素子の設計や材料の選択によっては上記以外の範囲であってもよい。
上記電極板を用いて蓄電素子を作製する際には、形成部と非形成部の間の非形成部に適宜、電流取出し端子を取り付けることが好ましい。例えば、図3〜図5に示すように、電流取出し端子を取り付けることができる。電極板の2箇所以上に電流取出し端子を取り付けて、引き出した各電流取出し端子を集約することにより集電抵抗が少なくなり、高出力且つ充放電時の発熱を抑えた電池を得ることが可能になる。電流取出し端子は公知の電流取出し端子でよく、例えば集電体に溶接すること等により固定することができる。
通常、正極板及び負極板を、ポリエチレン製多孔質フィルムのようなセパレータを介して矩形断面を有する渦巻状に捲回し、外装容器の内部空間にフィットする形状及び大きさの電極構造体を作製し、外装容器に挿入する。挿入後、正極板に取り付けられた電流取出し端子を外装容器に設けた正極端子に接続し、一方、負極板に取り付けられた電流取出し端子を外装容器に設けた負極端子に接続し、外装容器に非水電解液を充填し、密封することによって、本発明に係る電極構造体を備えた非水電解液蓄電素子が完成する。外装容器には金属缶やラミネートパックなどの一般的に使用できる外装材が使用可能であり、ラミネート材を使用する場合には電流取出し端子をそのまま外装材の外に出し、電極端子として用いることも可能である。
電気二重層キャパシタを作製する場合には、溶質として4級アンモニウム塩等がしばしば使用される。例えば、Et4NPF6、Bu4NPF6、Bu4NBF4等の4級アンモニウム塩が用いられる。
正極用活物質としてLiCoO2粉末を90重量部と、正極用導電剤としてアセチレンブラックを5重量部と、正極用結着材としてポリフッ化ビニリデンを5重量部と、固形分が組成物中60重量%になるように溶剤としてN−メチル−ピロリドンを用いて、これらをプラネタリーミキサーで混合することにより、正極活物質層材料の調製を行った。
集電体として厚さ20μmのアルミ箔を使用し、ダイヘッドで間欠的に供給するダイコート法を用いて、正極活物質層材料を塗工した。一面あたりの塗工量は約270g/m2となるようにし、両面に同じパターンで塗工した。電池1セル分において、塗工部の長さは99mmに固定し、非塗工部の長さは初期値を0.5mmと設定し、各ピッチごとに0.4mmずつ長手方向に長くなるように20回塗布した。また、各電池1セル分には、捲きの中心部及び最外周として非塗工部を各600mm設けた。
また、負極用活物質として人造黒鉛を97重量部と、増粘剤としてカルボキシメチルセルロースを1重量部と、負極用結着材としてスチレン−ブタジエンゴムを2重量部と、固形分が組成物中48重量%になるように溶剤としてイオン交換水を用いて、これらをプラネタリーミキサーで混合することにより、負極活物質層材料の調製を行った。
集電体として厚さ14μmの銅箔を使用し、ダイヘッドで間欠的に供給するダイコート法を用いて、負極活物質層材料を塗工した。一面あたりの塗工量は約120g/m2となるようにし、両面に同じパターンで塗工した。電池1セル分において、塗工部の長さは100.5mmに固定し、非塗工部の長さは初期値を0.5mmに設定し、各ピッチごとに0.4mmずつ長手方向に長くなるように20回塗布した。また、各電池1セル分には、捲きの中心部及び最外周として非塗工部を各600mm設けた。
その後、正極活物質層が形成された集電体の幅が120mm、負極活物質層が形成された集電体の幅が125mmとなるようにスリット処理を行い、正極板及び負極板を作成した。
正極板及び負極板を厚さ30μmのセパレータを挟んで重ね、非塗工部を約100mmの長さまで矩形状に巻き取り、続いて正極板と負極板の塗工部が交互に重なるように20ピッチ分を巻き取った。外周一周分は非塗工部を更に巻き、ポリイミドテープで固定することで、正極板と負極板の電極活物質層が交互に積層された形状の電極構造体を得た。
実施例1と同様に正極活物質層材料の調製を行った。集電体として厚さ20μmのアルミ箔を使用し、ダイコート法を用いて、正極活物質層材料を連続塗工した。一面あたりの塗工量は約270g/m2となるようにし、両面に塗工した。
また、実施例1と同様に負極活物質層材料の調製を行った。集電体として厚さ14μmの銅箔を使用し、ダイコート法を用いて、負極活物質層材料を連続塗工した。一面あたりの塗工量は約120g/m2となるようにし、両面に塗工した。
次に、正極板及び負極板において、電極活物質層が形成された集電体上にポリエチレン/PET(ポリエチレンテレフタレート)のラミネートフィルムを重ね、矩形状の熱板で圧着してポリエチレンを電極活物質層に溶融浸透固化した後剥離することにより、電極活物質層を除去し、非塗工部を形成した。該矩形状は、幅は電極活物質層の幅であり、長さは初期値が正極の場合は0.5mm、負極の場合は0.9mmとし、各ピッチ毎に0.4mmずつ長手方向に長くなるように形成され、電極活物質層の長さは各ピッチにおいて正極の場合は99mm、負極の場合は100.5mmとし、20ピッチを電池1セル分とした。
このようにして、電池1セル分において、塗工部の長さが99mmに固定され、非塗工部の長さが初期値0.5mmから各ピッチごとに0.4mmずつ長手方向に長くなるようなパターンが、正極の集電体の両面に形成された。また、電池1セル分において、塗工部の長さが100.5mmに固定され、非塗工部の長さが初期値0.9mmから各ピッチごとに0.4mmずつ長手方向に長くなるようなパターンが、負極の集電体の両面に形成された。尚、各電池1セル分には、捲きの中心部及び最外周として非塗工部をそれぞれ50mm設けた。
その後、正極活物質層を形成した集電体は幅120mm、負極活物質層を形成した集電体は幅125mmとなるようにスリット処理を行い、正極板及び負極板を作成した。
これら正極板及び負極板を厚さ30μm及び幅130mmのセパレータを挟んで重ね、捲き芯となる幅100mm×高さ130mm、厚さ約0.5mmのPP(ポリプロピレン)板に、正極板、セパレータ、負極板、セパレータの順に重なるようにしてポリイミドテープで固定し、非塗工部を約100mmの長さまで矩形状に巻き取り、続いて正極板と負極板の塗工部が交互に積層するように電極活物質層20ピッチ分を巻き取った。外周であるPP板はポリイミドテープで固定し、正極板と負極板の電極活物質層が交互に積層した電極構造体を得た。
実施例2と同様に集電体上に正極活物質層、及び負極活物質層を連続塗工した。塗工の際、塗工時に形成された集電体の幅方向の両側縁に位置する非塗工部は、いずれか一の側縁部をリード線溶接部として使用する目的でそれぞれ7mm幅とした。
上記正極及び負極の集電体をロールプレス機にて、正極および負極の塗工部厚さが170μmとなるように圧延し、打ち抜き機(トムソン刃タイプ)で正極の集電体を125×100mm(塗工部120×100mm及び集電体の幅方向の一側縁の非塗工部5×100mmを含む)の大きさの矩形状に20回打ち抜き、同様に、負極の集電体を130×101mm(塗工部125×101mm及び集電体の幅方向の一側縁の非塗工部5×101mmを含む)の大きさの矩形状に20回打ち抜き、20枚の正極板及び20枚の負極板を得た。
打ち抜いた正極板及び負極板の全ての非塗工部にリード線を溶接し、同様に打ち抜いた厚さ30μm、130×105mmのセパレータを挟んで正極板と負極板を交互に積層した。
積層する時に、正極板、負極板、及びセパレータの大きさが全て異なるため、安定して精度良く積み重ねることが困難であり、生産性は著しく悪かった。また、電極板を打ち抜いた後に電極板の切断面からの電極活物質層の脱落粉を除去する工程及び専用の装置が必要であった。
実施例2と同様に正極活物質層、及び負極活物質層を連続塗工した。塗工の際、塗工時に形成された集電体の幅方向の両側縁に位置する非塗工部は、そのまま電流取出し端子として利用できるようにそれぞれ50mm幅とした。正極及び負極の活物質層が形成された集電体をロールプレス機にて、正極および負極の塗工部の厚さが170μmとなるように圧延したところ、塗工部の延びによって集電体の幅方向の両側縁に位置する非塗工部付近にシワが入り、先の工程に進むことはできなかった。
1a…負極板
1b…正極板
2(2a,b)…集電体
3(3a,3b)…電極活物質層
4(4a,4b)…非塗工部
5(1)、5(2)、・・5(n)…各電極活物質層のピッチ
6…各電極活物質層の集電体の長手方向の一辺の長さの起点又は終点
7(7a,7b)…電流取出し端子
8…テープ
9…電池1セル分
10…電極構造体
11(11a,11b)…セパレータ
12…形成部群
13a…第1の非形成部群
13b…第2の非形成部群
Claims (3)
- セパレータを間に挟んで重ねて捲回した正極板と負極板を備える非水電解液蓄電素子用電極構造体であって、該正極板と該負極板は、集電体と該集電体の少なくとも一面へ所定パターン状に設けられた電極活物質層を備え、該パターンは少なくとも集電体の長手方向へ電極活物質層が間欠的に配置された形成部と、該形成部の間の電極活物質層が存在しない非形成部とからなり、該正極板と該負極板の間にセパレータを挟んで、周回面の平坦な領域と180度方向転換する領域とが周回方向へ交互に連なる矩形状に捲回した状態において、該正極板の形成部と該負極板の形成部が周回面の平坦な領域において交互に重なり、該正極板の非形成部と該負極板の非形成部が周回面の180度方向転換する領域において交互に重なり、以下a)〜c)のいずれかの電流取出し端子を有することを特徴とする、非水電解液蓄電素子用電極構造体。
a)該電極構造体から正極板と負極板の電流取出し端子が電極板の幅方向の同じ側に引き出されるように、一方の非形成部群(第1の非形成部群)に取り付けられた正極板の電流取出し端子、及び、他方の非形成部群(第2の非形成部群)に取り付けられた負極板の電流取出し端子。
b)該電極構造体から正極板と負極板の電流取出し端子が電極板の幅方向の異なる側に引き出されるように、第1の非形成部群に取り付けられた正極板の電流取出し端子、及び、第2の非形成部群に取り付けられた負極板の電流取出し端子。
c)該電極構造体から正極板と負極板の電流取出し端子が電極板の幅方向の同じ側に引き出され、且つ、第1及び第2の非形成部群の両方から正極板及び負極板の両方の電流取出し端子が引き出されるように、非形成部群の捲回方向における両端に重ならないようにそれぞれまとめて取り付けられた正極板の電流取出し端子及び負極板の電流取出し端子。 - 断面が矩形状の内部空間を有する容器に前記請求項1に記載の非水電解液蓄電素子用電極構造体を備えたことを特徴とする、非水電解液蓄電素子。
- 非水電解液蓄電素子用電極構造体の製造方法であって、該電極構造体の正極板及び負極板を作成する工程において、集電体に電極活物質層を形成する形成部と形成しない非形成部とが集電体の長手方向へ交互に配列し、且つ、該正極板と該負極板の間にセパレータを挟んで、周回面の平坦な領域と180度方向転換する領域とが周回方向へ交互に連なる矩形状に捲回する時に、該正極板の形成部と該負極板の形成部が周回面の平坦な領域において交互に重なり、該正極板の非形成部と該負極板の非形成部が周回面の180度方向転換する領域において交互に重なるように、電極活物質層のピッチが変化する所定パターン状に、電極活物質層材料を用いて集電体上に電極活物質層を間欠的に形成する工程、及び、以下のいずれかの電流取出し端子を形成する工程を含むことを特徴とする、非水電解液蓄電素子用電極構造体の製造方法。
a)該電極構造体から正極板と負極板の電流取出し端子が電極板の幅方向の同じ側に引き出されるように、正極板の電流取出し端子を一方の非形成部群(第1の非形成部群)に取り付け、負極板の電流取出し端子を他方の非形成部群(第2の非形成部群)に取り付ける工程、
b)該電極構造体から正極板と負極板の電流取出し端子が電極板の幅方向の異なる側に引き出されるように、正極板の電流取出し端子を第1の非形成部群に取り付け、負極板の電流取出し端子を第2の非形成部群に取り付ける工程、及び、
c)該電極構造体から正極板と負極板の電流取出し端子が電極板の幅方向の同じ側に引き出され、且つ、第1及び第2の非形成部群の両方から正極板及び負極板の両方の電流取出し端子が引き出されるように、非形成部群の捲回方向における両端に正極板の電流取出し端子と負極板の電流取出し端子を重ならないようにそれぞれまとめて取り付ける工程。
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