JP4964680B2 - アルミニウム電解コンデンサ用電解液、およびそれを用いたアルミニウム電解コンデンサ - Google Patents

アルミニウム電解コンデンサ用電解液、およびそれを用いたアルミニウム電解コンデンサ Download PDF

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Description

本発明は、電解コンデンサ用電解液及びそれを用いた電解コンデンサに関するものである。
近年、車載電装用電源やデジタル家電の使用電圧の上昇に伴い、電解液の比電導度を4mS/cm以上に維持しつつ、かつ電解液の火花電圧が高い電解液が要望されてきている。
このようなアルミニウム電解コンデンサ用電解液として、N,N,N’−置換アミジン基を有する化合物{たとえば、1−メチルイミダゾール、1,2−ジメチルイミダゾリン等}の4級塩とフタル酸とから構成される電解質と、有機溶媒とを含有する電解液が知られている(特許文献1)。
また、テトラフルオロアルミン酸イオンから構成される電解質と、有機溶媒とを含有する電解液が知られている(特許文献2)。
国際公開第95/15572号パンフレット 特開2003−142346
前者の電解液は、火花電圧が低すぎるという問題点がある。
また、後者の電解液は、火花電圧は高いけれども、テトラフルオロアルミン酸が加水分解してフッ化水素を発生し、電解コンデンサの陽極箔である酸化アルミニウムを腐食させるという問題がある。
本発明は、30℃における電解液の比電導度を4〜25mS/cmに維持しつつ、かつ火花電圧が高く、コンデンサ部材の腐食の心配がないアルミニウム電解コンデンサ用電解液、およびそれを用いたアルミニウム電解コンデンサを提供することを課題とする。
本発明者等は上記課題を解決するべく鋭意検討した結果、本発明に至った。すなわち、本発明は、下記一般式(1)又は(2)で示されるアルキルリン酸エステルアニオン(A)とカチオン(B)から構成される電解質(C)、添加剤(E)および有機溶媒(D)からなる電解液であって、(C)および(D)の重量に基づいて、(C)の含有量が5〜70重量%、(D)の含有量が30〜95重量%、添加剤(E)の含有量が0〜5重量%であり、該電解液中に含まれるリン酸の含有量が1重量%以下であることを特徴とする電解液、および該電解液を使用したアルミニウム電解コンデンサである。
Figure 0004964680
[式中、Rは炭素数1〜10のアルキル基、Rは水素原子又は炭素数1〜10のアルキル基である。]
本発明の電解液は、30℃における電解液の比電導度を4〜25mS/cmに維持しつつ、かつ火花電圧が高く、コンデンサ部材の腐食の心配がない。
<アルキルリン酸エステルのアニオン(A)>
アルキル基(R、R)の炭素数は、比電導度と火花電圧の観点から、1〜10であり、好ましくは1〜8、さらに好ましくは1〜6、特に好ましくは1〜4である。なお、炭素数が小さいほど、比電導度と火花電圧は高くなる。
リン酸は、コンデンサ部材{特に、アルミニウム電解コンデンサの陽極である酸化アルミニウム箔}を腐食させるため、アルキルリン酸エステルアニオンには少なくとも1つのアルキル基を持っている必要がある。コンデンサの使用と共に(125℃における負荷試験を含む)、アルキルリン酸エステルアニオン(A)が加水分解してリン酸が増加する傾向があることから、アルキルリン酸エステルアニオン(A)は一般式(2)で示されるアニオンが好ましく、さらに好ましくはR及びRが共にアルキル基であるアニオンである。
コンデンサ部材(特に酸化アルミニウム箔)の腐食の原因となるリン酸は、電解液の重量に対して、1重量%(以下、重量%をwt%とも記載する) 以下であり、好ましくは
0.5wt%以下、さらに好ましくは0.1wt%以下である。この範囲内であると、コ
ンデンサを長期間使用しても(長期信頼性試験を含む)電気的不具合(電極箔の腐食によ
るショート等)がさらに起こりにくい。
アルキルリン酸エステルアニオン(A)としては、(1)モノアルキルリン酸エステルのモノアニオン及びジアニオン、並びに(2)ジアルキルリン酸エステルのモノアニオンが含まれる。
(1)モノアルキルリン酸エステル{一般式(1)で示されるアルキルリン酸エステルアニオン(ジアニオン)及び一般式(2)で示されるアルキルリン酸エステル(R2が水素原子;モノアニオン)に対応する。}
モノメチルリン酸エステル、モノエチルリン酸エステル、モノプロピルリン酸エステル[モノ(n−プロピル)リン酸エステル、モノ(iso−プロピル)リン酸エステル]、モノブチルリン酸エステル[モノ(n−ブチル)リン酸エステル、モノ(iso−ブチル)リン酸エステル、及びモノ(tert−ブチル)リン酸エステル]、モノペンチルリン酸エステル、モノヘキシルリン酸エステル、モノへプチルリン酸エステル、モノオクチルリン酸エステル[モノ(2−エチルヘキシル)リン酸エステル等]等。
(2)ジアルキルリン酸エステル{一般式(2)で示されるアルキルリン酸エステルアニオン(モノアニオン)に対応する。}
ジメチルリン酸エステル、ジエチルリン酸エステル、ジプロピルリン酸エステル[ジ(n−プロピル)リン酸エステル、ジ(iso−プロピル)リン酸エステル]、ジブチルリン酸エステル[ジ(n−ブチル)リン酸エステル、ジ(iso−ブチル)リン酸エステル、及びジ(tert−ブチル)リン酸エステル]、ジペンチルリン酸エステル、ジヘキシルリン酸エステル、ジヘプチルリン酸エステル、ジオクチルリン酸エステル[ビス(2−エチルヘキシル)リン酸エステル等]等。
アルキルリン酸エステルアニオン(A)は、一種または二種以上を併用してもよく、またモノアニオンとジアニオンの混合物でもよい。
これらのうち、一般式(2)において、R1及びR2が炭素数1〜8のアルキル基であるモノアニオンが好ましく、さらに好ましくはジメチルリン酸エステルアニオン、ジエチルリン酸エステルアニオン、ジ(n−プロピル)リン酸エステルアニオン、ジ(iso−プロピル)リン酸エステルアニオン、ジ(n−ブチル)リン酸エステルアニオン、ジ(iso−ブチル)リン酸エステルアニオン、ジ(tert−ブチル)リン酸エステルアニオン及びビス(2-エチルヘキシル)リン酸エステルアニオンである。
一般に工業的に入手できるアルキルリン酸エステルは、モノアルキルリン酸エステル、ジアルキルリン酸エステル、及びトリアルキルリン酸エステルの混合物であるが、本発明において、アルキルリン酸エステルアニオン(A)としては、ジアルキルリン酸エステルを使用することが好ましい。ジアルキルリン酸エステルアニオンを得る方法は特に限定されないが、イミダゾリウム塩{モノメチル炭酸塩、水酸化物塩等}と工業的に入手できるトリアルキルリン酸エステルとを混合し、加水分解を行うことにより、イミダゾリウムカチオンとジアルキルリン酸エステルアニオンとの塩を得る方法が好ましい。
<カチオン(B)>
カチオン(B)としては、アミジニウムカチオン(B1)、ホスホニウムカチオン及び第4級アンモニウムカチオン等が使用できる。
アミジニウムカチオン(B1)としては、(1)イミダゾリニウムカチオン及び(2)イミダゾリウムカチオンが含まれる。
(1)イミダゾリニウムカチオン
1,2,3,4−テトラメチルイミダゾリニウム、1,3,4−トリメチル−2−エチルイミダゾリニウム、1,3−ジメチル−2,4−ジエチルイミダゾリニウム、1,2−ジメチル−3,4−ジエチルイミダゾリニウム、1−メチル−2,3,4−トリエチルイミダゾリニウム、1,2,3,4−テトラエチルイミダゾリニウム、1,2,3−トリメチルイミダゾリニウム、1,3−ジメチル−2−エチルイミダゾリニウム、1−エチル−2,3−ジメチルイミダゾリニウム、1,2,3−トリエチルイミダゾリニウム、4−シアノ−1,2,3−トリメチルイミダゾリニウム、3−シアノメチル−1,2−ジメチルイミダゾリニウム、2−シアノメチル−1,3−ジメチルイミダゾリニウム、4−アセチル−1,2,3−トリメチルイミダゾリニウム、3−アセチルメチル−1,2−ジメチルイミダゾリニウム、4−メチルカルボオキシメチル−1,2,3−トリメチルイミダゾリニウム、3−メチルカルボオキシメチル−1,2−ジメチルイミダゾリニウム、4−メトキシ−1,2,3−トリメチルイミダゾリニウム、3−メトキシメチル−1,2−ジメチルイミダゾリニウム、4−ホルミル−1,2,3−トリメチルイミダゾリニウム、3−ホルミルメチル−1,2−ジメチルイミダゾリニウム、3−ヒドロキシエチル−1,2−ジメチルイミダゾリニウム、4−ヒドロキシメチル−1,2,3−トリメチルイミダゾリニウム、2−ヒドロキシエチル−1,3−ジメチルイミダゾリニウムなど。
(2)イミダゾリウムカチオン
1,3−ジメチルイミダゾリウム、1,3−ジエチルイミダゾリウム、1−エチル−3−メチルイミダゾリウム、1,2,3−トリメチルイミダゾリウム、1,2,3,4−テトラメチルイミダゾリウム、1,3−ジメチル−2−エチルイミダゾリウム、1−エチル−2,3−ジメチル−イミダゾリウム、1,2,3−トリエチルイミダゾリウム、1,2,3,4−テトラエチルイミダゾリウム、1,3−ジメチル−2−フェニルイミダゾリウム、1,3−ジメチル−2−ベンジルイミダゾリウム、1−ベンジル−2,3−ジメチル−イミダゾリウム、4−シアノ−1,2,3−トリメチルイミダゾリウム、3−シアノメチル−1,2−ジメチルイミダゾリウム、2−シアノメチル−1,3−ジメチル−イミダゾリウム、4−アセチル−1,2,3−トリメチルイミダゾリウム、3−アセチルメチル−1,2−ジメチルイミダゾリウム、4−メチルカルボオキシメチル−1,2,3−トリメチルイミダゾリウム、3−メチルカルボオキシメチル−1,2−ジメチルイミダゾリウム、4−メトキシ−1,2,3−トリメチルイミダゾリウム、3−メトキシメチル−1,2−ジメチルイミダゾリウム、4−ホルミル−1,2,3−トリメチルイミダゾリウム、3−ホルミルメチル−1,2−ジメチルイミダゾリウム、3−ヒドロキシエチル−1,2−ジメチルイミダゾリウム、4−ヒドロキシメチル−1,2,3−トリメチルイミダゾリウム、2−ヒドロキシエチル−1,3−ジメチルイミダゾリウムなど。
ホスホニウムカチオンとしては、炭素数1〜4のアルキルを有するテトラアルキルホスホニウムカチオン{テトラメチルホスホニウム、テトラエチルホスホニウム及びトリエチルメチルホスホニウム等}が挙げられる。
第4級アンモニウムカチオンとしては、炭素数1〜4のアルキルを有するテトラアルキルアンモニウムカチオン{テトラメチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム及びトリエチルメチルアンモニウム等}等が挙げられる。
アミジニウムカチオンは、一種または二種以上を併用してもよい。これらのうち、好ましいのはアミジニウムカチオン(B1)、さらに好ましくは1,2,3,4−テトラメチルイミダゾリニウムカチオン、1−エチル−2,3−ジメチルイミダゾリニウムカチオン、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムカチオン、1−エチル−2,3−ジメチルイミダゾリウムカチオンである。
<電解質(C)>
アルキルリン酸エステルアニオン(A)とカチオン(B)との組み合わせとしては、モノアニオンとモノカチオン、ジアニオンとモノカチオン、モノアニオンとジアニオンの混合物とモノカチオン等が例示できる。
電解質(C)としては、1,2,3,4−テトラメチルイミダゾリニウム・モノメチルリン酸エステルアニオン、1,2,3,4−テトラメチルイミダゾリニウム・ジメチルリン酸エステルアニオン、1,2,3,4−テトラメチルイミダゾリニウム・モノエチルリン酸エステルアニオン、1,2,3,4−テトラメチルイミダゾリニウム・ジエチルリン酸エステルアニオン、1,2,3,4−テトラメチルイミダゾリニウム・モノ(n−プロピル)リン酸エステルアニオン、1,2,3,4−テトラメチルイミダゾリニウム・ジ(n-プロピル)リン酸エステルアニオン、1,2,3,4−テトラメチルイミダゾリニウム・モノ(iso−プロピル)リン酸エステルアニオン、1,2,3,4−テトラメチルイミダゾリニウム・ジ(iso−プロピル)リン酸エステルアニオン、1,2,3,4−テトラメチルイミダゾリニウム・モノ(n−ブチル)リン酸エステルアニオン、1,2,3,4−テトラメチルイミダゾリニウム・ジ(n−ブチル)リン酸エステルアニオン、1,2,3,4−テトラメチルイミダゾリニウム・モノ(iso−ブチル)リン酸エステルアニオン、1,2,3,4−テトラメチルイミダゾリニウム・ジ(iso−ブチル)リン酸エステルアニオン、1,2,3,4−テトラメチルイミダゾリニウム・モノ(tert−ブチル)リン酸エステルアニオン、1,2,3,4−テトラメチルイミダゾリニウム・ジ(tert−ブチル)リン酸エステルアニオン、1,2,3,4−テトラメチルイミダゾリニウム・モノ(2−エチルヘキシル)リン酸エステルアニオン、1,2,3,4−テトラメチルイミダゾリニウム・ビス(2−エチルヘキシル)リン酸エステルアニオン、1−エチルー2,3−ジメチルイミダゾリニウム・モノエチルリン酸エステルアニオン、1−エチルー2,3−ジメチルイミダゾリニウム・ジエチルリン酸エステルアニオン、1−エチルー3−メチルイミダゾリウム・モノエチルリン酸エステルアニオン、1−エチルー3−メチルイミダゾリウム・ジエチルリン酸エステルアニオン、1−エチルー2,3−ジメチルイミダゾリウム・モノエチルリン酸エステルアニオン、及び1−エチルー2,3−ジメチルイミダゾリウム・ジエチルリン酸エステルアニオン等が挙げられる。
<有機溶媒(D)>
有機溶媒(D)としては、(1)アルコール、(2)エーテル、(3)アミド、(4)オキサゾリジノン、(5)ラクトン、(6)ニトリル、(7)カーボネート、(8)スルホン及び(9)その他の有機溶媒が含まれる。
(1)アルコール
1価アルコール(メチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコール、ブチルアルコール、ジアセトンアルコール、ベンジルアルコール、アミノアルコール、フルフリルアルコールなど)、2価アルコール(エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ヘキシレングリコールなど)、3価アルコール(グリセリンなど)、4価以上のアルコール(ヘキシトールなど)など。
(2)エーテル
モノエーテル(エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、テトラヒドロフラン、3−メチルテトラヒドロフランなど)、ジエーテル(エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテルなど)、トリエーテル(ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテルなど)など。
(3)アミド
ホルムアミド(N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N−エチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミドなど)、アセトアミド(N−メチルアセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−エチルアセトアミド、N,N−ジエチルアセトアミドなど)、プロピオンアミド(N,N−ジメチルプロピオンアミドなど)、ピロリドン(N−メチルピロリドン、N−エチルピロリドンなど)、ヘキサメチルホスホリルアミドなど。
(4)オキサゾリジノン
N−メチル−2−オキサゾリジノン、3,5−ジメチル−2−オキサゾリジノンなど。
(5)ラクトン
γ−ブチロラクトン(以下、GBLと記す。)、α−アセチル−γ−ブチロラクトン、β−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、δ−バレロラクトンなど。
(6)ニトリル
アセトニトリル、プロピオニトリル、ブチロニトリル、アクリロニトリル、メタクリルニトリル、ベンゾニトリルなど。
(7)カーボネート
エチレンカーボネート、プロピオンカーボネート、ブチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネートなど。
(8)スルホン
スルホラン、ジメチルスルホキシド、ジメチルスルホンなど。
(9)その他の有機溶媒
1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、芳香族溶媒(トルエン、キシレンなど)パラフィン溶媒(ノルマルパラフィン、イソパラフィンなど)など。
有機溶媒は、一種または二種以上を併用してもよい。これらのうち、アルコール、ラクトン及びスルホンが好ましく、さらに好ましくはγ−ブチロラクトン、スルホラン、エチレングリコールである。
電解質(C)の含有量は、比電導度と有機溶媒への溶解度の観点から、電解質(C)および有機溶媒(D)の重量に基づいて、好ましくは5〜70wt%、特に好ましくは10〜40wt%である。
有機溶媒(D)の含有量は、比電導度の観点から、電解質(C)および有機溶媒(D)の重量に基づいて、好ましくは30〜95wt%、特に好ましくは60〜90wt%である。
本発明の電解液には、さらに水を含有することが好ましい。水を含有すると、コンデンサ部材{陽極箔である酸化アルミニウム箔など}の化成性{陽極箔表面に欠損部分があれば、酸化被膜を形成させてこれを修復する性質}を向上させることができる。一方、水の含有量が多いと、アルキルリン酸エステルアニオンの加水分解が進行しやすくなり、加水分解により生成するリン酸がコンデンサ部材を腐食することとなる。したがって、水を含有する場合、水の含有量は、電解質(C)および有機溶媒(D)の重量に基づいて、好ましくは0.01〜5wt%、更に好ましくは0.05〜1wt%、特に好ましくは0.1〜0.5wt%である。なお、水分は、JIS K0113:2005の「8.カールフィッシャー滴定方法、8.1容量滴定方法」{対応国際規格ISO760:1978;これに開示された開示内容を参照により本出願に取り込む。}に準拠して測定される。
電解質(C)中のアルキルリン酸エステルアニオン(A)とカチオン(B)とのモル比率(A/B)は、コンデンサ部材{アルミニウム電解コンデンサの封口ゴム、及び酸化アルミニウム箔等}の腐食の観点から、好ましくは0.9〜1.1、更に好ましくは0.95〜1.05、特に好ましくは0.98〜1.02である。
比(A/B)が1未満であると、電解液の液性がアルカリ性になり、アルミニウム電解コンデンサの封口ゴムであるブチルゴムが劣化しやすくなり、この結果、電解液がコンデンサから漏れる等の不具合が生じやすくなる。一方、比(A/B)が1を超えると、電解液の液性が酸性になり、陽極の酸化アルミニウム箔が腐食されやすくなり、この結果、ショート等の不具合が生じやすくなる。
本発明の電解液には必要により、電解液に通常用いられる種々の添加剤を添加することができる。該添加剤としては、ホウ酸誘導体(例えば、ホウ酸、ホウ酸と多糖類〔マンニット、ソルビットなど〕との錯化合物、ホウ酸と多価アルコール〔エチレングリコール、グリセリンなど〕との錯化合物など)、ニトロ化合物(例えば、o−ニトロ安息香酸、p−ニトロ安息香酸、m−ニトロ安息香酸、o−ニトロフェノール、p−ニトロフェノールなど)などを挙げることができる。その添加量は、比電導度と電解液への溶解度の観点から、電解質(C)及び有機溶媒(D)の重量に基づいて、好ましくは5wt%以下、特に好ましくは2wt%以下がよい。
本発明の電解液は、アルミニウム電解コンデンサ用として好適である。アルミニウム電解コンデンサとしては、特に限定されず、例えば、捲き取り形のアルミニウム電解コンデンサであって、陽極表面に酸化アルミニウムが形成された陽極(酸化アルミニウム箔)と陰極アルミニウム箔との間に、セパレータを介在させて捲回することにより構成されたコンデンサが挙げられる。本発明の電解液を駆動用電解液としてセパレーターに含浸し、陽陰極と共に、有底筒状のアルミニウムケースに収納した後、アルミニウムケースの開口部を封口ゴムで密閉してアルミニウム電解コンデンサを構成することができる。
次に本発明の具体的な実施例について説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
<実施例1>
ジメチルカーボネート(0.2mol)のメタノール溶液(74wt%)に、2,4−ジメチルイミダゾリン(0.1mol)を滴下して、120℃で15時間攪拌することで、1,2,3,4−テトラメチルイミダゾリニウム・メチルカーボネート塩のメタノール溶液を得た。
メチルリン酸混合エステル(リン酸約1〜3wt%、モノメチルリン酸エステル約44〜49wt%、ジメチルリン酸エステル約44〜49wt%、トリメチルリン酸エステル約3〜5wt%)(AP−1;大八化学工業社製)(0.1mol)を、1,2,3,4−テトラメチルイミダゾリニウム・メチルカーボネート塩(0.1mol)のメタノール溶液に加えることで塩交換反応を行い、1,2,3,4−テトラメチルイミダゾリニウム・メチルリン酸混合エステルアニオンのメタノール溶液を得た。上記溶液を1.0kPa以下の減圧度、50℃で、メタノールの留出がなくなるまで加熱してメタノールを蒸留した後、温度を50℃から100℃に上昇させて30分加熱してモノメチルカーボネート(HOCO2CH3)、メタノール及び二酸化炭素(メタノール及び二酸化炭素は、モノメチルカーボネートの熱分解により僅かに生成する。以下、これらを副生物と略する。)を蒸留することで、電解質(c1){1,2,3,4−テトラメチルイミダゾリニウム・メチルリン酸混合エステルアニオン}を得た。収率は98wt%{1,2,3,4−テトラメチルイミダゾリニウム・メチルカーボネート塩(0.1mol)の重量に基づく収率、以下同様。}であった。
25gの電解質(c1)を75gの有機溶媒(d1){γ−ブチロラクトン(三菱化学社製)}に溶解させることで、本発明の電解液を得た。上記電解液に含まれるリン酸の含有量は0.14wt%であった。水の含有量は0.1wt%であった{以下、同様。}。
<実施例2>
メチルリン酸エステル(AP−1)の代わりにブチルリン酸混合エステル(モノ(n−ブチル)リン酸エステル約20wt%、ジ(n−ブチル)リン酸エステル約60wt%、トリ(n−ブチル)リン酸エステル約20wt%)(DP−4;大八化学工業社製)を用いた他は、実施例1と同様にして、電解質(c2){1,2,3,4−テトラメチルイミダゾリニウム・ブチルリン酸混合エステルアニオン}を得た。収率は99wt%であった。
25gの電解質(c2)を75gの有機溶媒(d1)に溶解させることで、本発明の電解液を得た。上記電解液に含まれるリン酸の含有量は0.03wt%であった。
<実施例3>
メチルリン酸エステル(AP−1)の代わりに2−エチルヘキシルリン酸混合エステル[モノ(2−エチルヘキシル)リン酸エステル約3wt%、ビス(2−エチルヘキシル)リン酸エステル約95wt%、トリス(2−エチルヘキシル)リン酸エステル約2wt%](DP−8R;大八化学工業社製)を用いた他は、実施例1と同様にして、電解質(c3){1,2,3,4−テトラメチルイミダゾリニウム・2−エチルヘキシルリン酸混合エステルアニオン}を得た。収率は99wt%であった。
25gの電解質(c3)を75gの有機溶媒(d1)に溶解させることで、本発明の電解液を得た。上記電解液に含まれるリン酸は0.01wt%であった。
<実施例4>
メチルリン酸エステル(AP−1)の代わりに(iso−プロピル)リン酸混合エステル[モノ(iso-プロピル)リン酸エステル約44〜49wt%、ジ(iso−プロピル)リン酸エステル約44〜49wt%、トリ(iso−プロピル)リン酸エステル約3〜5wt%](PAP;日本化学工業社製)を用いた他は、実施例1と同様にして、電解質(c4){1,2,3,4−テトラメチルイミダゾリニウム・(iso−プロピル)リン酸混合エステルアニオン}を得た。収率は99wt%であった。
25gの電解質(c4)を75gの有機溶媒(d1)に溶解させることで、本発明の電解液を得た。上記電解液に含まれるリン酸の含有量は0.08wt%であった。
<実施例5>
リン酸トリメチル(TMP:大八化学工業社製)(0.1mol)を、実施例1と同様にして得た1,2,3,4−テトラメチルイミダゾリニウム・メチルカーボネート塩(0.1mol)のメタノール溶液に加え、水(0.3mol)を添加し、100℃×20時間攪拌することで、リン酸トリメチルを加水分解すると共に、塩交換反応を行い、1,2,3,4−テトラメチルイミダゾリニウム・ジメチルリン酸エステルモノアニオンのメタノール溶液を得た。上記溶液を1.0kPa以下の減圧度、50℃で、メタノールの留出がなくなるまで加熱してメタノールを蒸留した後、温度を50℃から100℃に上昇させて30分加熱して副生物を蒸留することで、電解質(c5){1,2,3,4−テトラメチルイミダゾリニウム・ジメチルリン酸エステルモノアニオン}を得た。収率は99wt%であった。アニオン中のジメチルリン酸エステルモノアニオンの含有量は99モル%であった。
25gの電解質(c5)を75gの有機溶媒(d1)に溶解させることで、本発明の電解液を得た。上記電解液に含まれるリン酸の含有量は0.14wt%であった。
<実施例6>
リン酸トリメチル(TMP)の代わりにリン酸トリエチル(TEP:大八化学工業社製)を用いた他は、実施例5と同様にして、電解質(c6){1,2,3,4−テトラメチルイミダゾリニウム・ジエチルリン酸エステルモノアニオン}を得た。収率は99wt%であった。アニオン中のジエチルリン酸エステルモノアニオンの含有量は99モル%であった。
25gの電解質(c6)を75gの有機溶媒(d1)に溶解させることで、本発明の電解液を得た。上記電解液に含まれるリン酸の含有量は0.12wt%であった。
<実施例7>
リン酸トリメチル(TMP)の代わりにリン酸トリ(n−プロピル)(Triprop
yl Phosphate:Aldrich社製)を用いた他は、実施例5と同様にし
て、電解質(c7){1,2,3,4−テトラメチルイミダゾリニウム・ジ(n−プロピ
ル)リン酸エステルモノアニオン}を得た。収率は99wt%であった。アニオン中のジ
(n−プロピル)リン酸エステルモノアニオンの含有量は99モル%であった。
25gの電解質(c7)を75gの有機溶媒(d1)に溶解させることで、本発明の電解液を得た。上記電解液に含まれるリン酸の含有量は0.08wt%であった。
<実施例8>
リン酸トリメチル(TMP)の代わりにリン酸トリ(iso−プロピル)(Tripropyl Phosphate:Aldrich社製)を用いた他は、実施例5と同様にして、電解質(c8){1,2,3,4−テトラメチルイミダゾリニウム・ジ(iso−プロピル)リン酸エステルモノアニオン}を得た。収率は99wt%であった。アニオン中のジ(iso−プロピル)リン酸エステルモノアニオンの含有量は99モル%であった。
25gの電解質(c8)を75gの有機溶媒(d1)にで溶解させることで、本発明の電解液を得た。上記電解液に含まれるリン酸の含有量は0.07wt%であった。
<実施例9>
リン酸トリメチル(TMP)の代わりにリン酸トリ(n−ブチル)(TBP:大八化学工業社製)を用いた他は、実施例5と同様にして、電解質(c9){1,2,3,4−テトラメチルイミダゾリニウム・ジ(n−ブチル)リン酸エステルモノアニオン}を得た。収率は99wt%であった。アニオン中のジ(n−ブチル)リン酸エステルモノアニオンの含有量は99モル%であった。
25gの電解質(c9)を75gの有機溶媒(d1)にで溶解させることで、本発明の電解液を得た。上記電解液に含まれるリン酸の含有量は0.04wt%であった。
<実施例10>
ジメチルカーボネート(0.1mol)のメタノール溶液(74重量%)に、1−エチルイミダゾール(0.1mol)を滴下して、120℃で15時間攪拌することで、1−エチル−3−メチルイミダゾリウム・メチルカーボネート塩のメタノール溶液を得た。
リン酸トリエチル(TEP;大八化学工業社製)(0.1mol)を、1−エチル−3−メチルイミダゾリウム・メチルカーボネート塩(0.1mol)のメタノール溶液に加え、水(0.3mol)を添加し、100℃×20時間攪拌することで、リン酸トリエチルを加水分解させると共に、塩交換反応を行い、1−エチル−3−メチルイミダゾリウム・ジエチルリン酸エステルモノアニオンのメタノール溶液を得た。上記溶液を1.0kPa以下の減圧度、50℃で、メタノールの留出がなくなるまで加熱してメタノールを蒸留した後、温度を50℃から100℃に上昇させて30分加熱して副生物を蒸留することで、電解質(c10){1−エチル−3−メチルイミダゾリウム・ジエチルリン酸エステルモノアニオン}を得た。収率は98wt%であった。アニオン中のジエチルリン酸エステルの含有量は99モル%であった。
25gの電解質(c10)を75gの有機溶媒(d1)に溶解させることで、本発明の電解液を得た。上記電解液に含まれるリン酸の含有量は0.12wt%であった。
<実施例11>
1,2,3,4−テトラメチルイミダゾリニウム・メチルリン酸混合エステルアニオンのメタノール溶液について、100℃で30分加熱(副生物の蒸留)を110℃で3時間加熱に変更したこと以外、実施例1と同様にして、電解質(c11){1,2,3,4−テトラメチルイミダゾリニウム・メチルリン酸混合エステルアニオン}を得た。収率は98wt%であった。
25gの電解質(c11)を75gの有機溶媒(d1)に溶解させることで、本発明の電解液を得た。上記電解液に含まれるリン酸の含有量は0.50wt%であった。
<比較例1>
メチルリン酸エステル(AP−1)の代わりにo−フタル酸を用いた他は、実施例1と同様にして、電解質(HC1){1,2,3,4−テトラメチルイミダゾリニウム・o−フタル酸}を得た。収率は99wt%であった。
25gの電解質(HC1)を75gの有機溶媒(d1)に溶解させることで、比較用の電解液を得た。上記電解液に含まれるリン酸の含有量は検出されなかった。
<比較例2>
ジメチルカーボネート(0.2mol)のメタノール溶液(74重量%)に、2,4−ジメチルイミダゾリン(0.1mol)を滴下して、120℃で15時間攪拌することで、1,2,3,4−テトラメチルイミダゾリニウム・メチルカーボネート塩のメタノール溶液を得た。
メチルリン酸混合エステル(AP−1;大八化学工業社製)(0.1mol)を、1,2,3,4−テトラメチルイミダゾリニウム・メチルカーボネート塩(0.1mol)のメタノール溶液に加えることで塩交換反応を行い、1,2,3,4−テトラメチルイミダゾリニウム・メチルリン酸混合エステルモノアニオンのメタノール溶液を得た。上記溶液を1.0kPa以下の減圧度、120℃で、メタノールの留出がなくなるまで加熱してメタノールを蒸留することで、電解質(HC2){1,2,3,4−テトラメチルイミダゾリニウム・メチルリン酸混合エステルモノアニオン}を得た。収率は98wt%であった。
25gの電解質(HC2)を75gの有機溶媒(d1)に溶解させることで、比較用の電解液を得た。上記電解液に含まれるリン酸の含有量は1.18wt%であった。
実施例1〜11、比較例1及び2で得た電解液を用い、比電導度、火花電圧を測定し、その結果を表1に記載した。
比電導度:東亜電波工業株式会社製電導度計CM−40Sを用い、30℃での比電導度を測定した。
火花電圧:陽極に10cm2の高圧用化成エッチングアルミニウム箔、陰極に10cm2のプレーンなアルミニウム箔を用い、25℃において、定電流法(2mA)を負荷したときの電解液の放電電圧を測定した。
リン酸含有量:株式会社島津製作所製イオンクロマトグラフ装置を使用して行った。
カラム:Shim−Pack IC−A1
移動相:2.5mMフタル酸水溶液、及び2.4mM トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン(pH4.0)水溶液の混合溶媒
流量:流速1.5mL/min(商品名:ポンプLP−6A、株式会社島津製作所)
カラムオーブン(CTO−6AS):温度40℃
検出器(CDD−6A):ポラリティ (+)
アニオン中のジアルキルリン酸エステルの含有量:日本電子製AL−300型超伝導NMR装置を使用して測定した。
サンプル調製:5mmΦのNMR管に、サンプル30mg、重水素化メタノール0.3ml、トリエチルアミン0.1mLを加えた。
測定核種:31P
リン酸ジエステルの化学シフト:−2PPM付近、5重線
実施例1〜11及び比較例1〜2で得た電解液を使用して、巻き取り型のアルミニウム電解コンデンサ(定格電圧100WV、静電容量200μF、サイズ;Φ10mm×L16mm)を作成した。
作成したアルミニウム電解コンデンサを負荷試験{125℃下で、500時間放置する}を行った後、損失角の正接(tanδ)、漏れ電流(LC)、リン酸の含有量を測定し、その評価結果を表1に記載した。評価結果は10個の測定結果の平均値を示す。なお、損失角の正接(tanδ)、漏れ電流(LC)は、日本工業規格のJIS C5101−4:1998{対応国際規格IEC60384−4:1985;これに開示された開示内容を参照により本出願に取り込む。以下同様。}に準拠して測定した。
また、JIS C5101−4:1998に準拠して、負荷試験前の静電容量(C0)、負荷試験後の静電容量(C1)を測定し、負荷試験によって低下した静電容量(ΔC)を求め、表1に示した。また、負荷試験前のリン酸の含有量(PO)と負荷試験後のリン酸の含有量(P1)とから、負荷試験によって増加したリン酸の量(ΔP)を求め、表1に示した。
Figure 0004964680
表1から明らかなように、本発明(実施例1〜11)の電解液では30℃における電解液の比電導度を4mS/cm以上に維持しつつ、かつ火花電圧が十分に高かった。一方、比較例1で得た電解液は火花電圧が低いため、100WVの定格電圧で陽極箔がショートしてしまい、静電容量の変化率(ΔC)が著しく大きくなり、損失角の正接(tanδ)、漏れ電流(LC)も共に大幅に増加した。
アニオンとして、メチルリン酸エステルを使用した実施例1、11及び比較例2について、リン酸の含有量を比較すると、リン酸の含有量が高い比較例2において、箔の腐食により陽極箔がショートしてしまい、静電容量の変化率(ΔC)が著しく大きくなり、損失角の正接(tanδ)、漏れ電流(LC)も共に増加した。一方、リン酸の含有量が低い実施例1〜11では、静電容量の変化率(ΔC)、損失角の正接(tanδ)、漏れ電流(LC)、ともに変化量が小さく、信頼性の高いコンデンサを作成することができた。
実施例9で得たジ(n-ブチル)リン酸エステルアニオンを含む電解液は、モノ(n-ブチル)リン酸エステルアニオンとジ(n-ブチル)リン酸エステルアニオンとを含む電解液(実施例2)と比較して、リン酸の増加量(ΔP)が少なく、静電容量の変化率(ΔC)、損失角の正接(tanδ)、漏れ電流(LC)の変化量をさらに小さくすることができた。同様に、実施例5で得たジメチルリン酸エステルアニオンを含む電解できは、モノメチルリン酸エステルアニオンとジメチルリン酸エステルアニオンとを含む電解液(実施例1)と比較して、リン酸の増加量(ΔP)が少なく、静電容量の変化率(ΔC)、損失角の正接(tanδ)、漏れ電流(LC)の変化量をさらに小さくすることができた。また、実施例4と実施例8と比較した場合についても、同様である。
本発明の電解液を使用することで、高い比電導度及び高い火花電圧の両立が可能となり、コンデンサ部材の腐食の心配がないアルミニウム電解コンデンサを実現できる。したがって、市場における使用電源の高耐電圧化が進むなかで、この発明の電解液の市場価値は非常に大きい。

Claims (9)

  1. 下記一般式(1)又は(2)で示されるアルキルリン酸エステルアニオン(A)とカチオン(B)から構成される電解質(C)、添加剤(E)および有機溶媒(D)からなる電解液であって、(C)および(D)の重量に基づいて、(C)の含有量が5〜70重量%、(D)の含有量が30〜95重量%、添加剤(E)の含有量が0〜5重量%であり、該電解液中に含まれるリン酸の含有量が1重量%以下であることを特徴とする電解液。
    Figure 0004964680
    [式中、Rは炭素数1〜10のアルキル基、Rは水素原子又は炭素数1〜10のアルキル基である。]
  2. 一般式(1)及び(2)において、Rが炭素数1〜4のアルキル基であり、Rが水素原子若しくは炭素数1〜4のアルキル基である請求項1に記載の電解液。
  3. アルキルリン酸エステルアニオン(A)が一般式(2)で示されるアニオンである請求項1に記載の電解液。
  4. アニオン(A)が、ジメチルリン酸エステルアニオン、ジエチルリン酸エステルアニオン、ジ−iso−プロピルリン酸エステルアニオン、ジ−n−プロピルリン酸エステルアニオン、ジ−n−ブチルリン酸エステルアニオン、ジ−iso−ブチルリン酸エステルアニオン、及びジ−ter−ブチルリン酸エステルアニオンからなる群より選ばれる少なくとも一種である請求項1〜3のいずれか1項に記載の電解液。
  5. アニオン(A)が、モノメチルリン酸エステルアニオン、ジメチルリン酸エステルアニオン、モノブチルリン酸エステルアニオン、ジブチルリン酸エステルアニオン、モノ(2−エチルヘキシル)リン酸エステルアニオン、及びビス(2−エチルヘキシル)リン酸エステルアニオンからなる群より選ばれる少なくとも一種である請求項1に記載の電解液。
  6. カチオン(B)が、アミジニウムカチオン(B1)である請求項1〜5のいずれか1項に記載の電解液。
  7. カチオン(B)が、1,2,3,4−テトラメチルイミダゾリニウムカチオン、1−エチル−2,3−ジメチルイミダゾリニウムカチオン、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムカチオン、及び1−エチル−2,3−ジメチルイミダゾリウムカチオンからなる群より選ばれる少なくとも1種である請求項1〜6のいずれか1項に記載の電解液。
  8. 有機溶媒(D)が、γ−ブチロラクトン、スルホラン、およびエチレングリコールからなる群より選ばれる少なくとも一種である請求項1〜7のいずれか1項に記載の電解液。
  9. 請求項1〜8のいずれか1項に記載の電解液を用いてなるアルミニウム電解コンデンサ。
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