JP2021150452A - ハイブリッド型電解コンデンサ用液状成分及びハイブリッド電解コンデンサ - Google Patents
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Abstract
【課題】高温環境下にさらされても、脱ドープや液状成分の電解質との反応により導電性高分子が劣化しないため、ESRの低下を抑制するハイブリッド型電解コンデンサに使用されるハイブリッド型電解コンデンサ液状成分を提供する。【解決手段】電解質と水酸基含有化合物(C)とを含有するハイブリッド電解コンデンサ用液状成分であって、前記電解質がリン酸エステルアニオン(A)と第4級アンモニウムカチオン(B)との塩であり、前記水酸基含有化合物(C)が分子量400以下であり、かつアルコール(C1)及び/又は前記(C1)のアルキレンオキシド付加物であり、ハイブリッド電解コンデンサ用液状成分中の前記水酸基含有化合物(C)の水酸基のモル数cと前記リン酸エステルアニオン(A)のモル数aとの比率(c/a)が1〜5000であるハイブリッド電解コンデンサ用液状成分。【選択図】なし
Description
本発明は固体電解質と液状成分を併用した、いわゆるハイブリッド型の電解コンデンサに適用する液状成分、及びこの液状成分を含むハイブリッド型アルミ電解コンデンサに関する。
電子機器のデジタル化に伴い、それらの電源出力側の回路、例えば平滑回路や制御回路に使用されるコンデンサとして、高周波領域において等価直列抵抗(以下、ESRと略す)の小さいコンデンサが求められている。このようなコンデンサとして、導電材料に電解液(液状成分)のみを用いたいわゆるアルミ電解コンデンサがあるが、さらに低ESRとなるように、ポリピロール、ポリアニリン、ポリチオフェンなどの導電性ポリマーの固体電解質を用いた固体電解コンデンサが適用されるようになってきている。
近年、ハイブリッド型電解コンデンサが自動車電装機器等のように過酷な状況下で用いられ、長い寿命が求められる。例えば、自動車電装機器に使用される電解コンデンサは、最高使用温度が85〜150℃といった高温度環境下で長時間使用される。
ハイブリッド型電解コンデンサにおいて高温環境下では液状成分中でドーパント剤を含んだ導電性高分子層からドーパント剤が徐々に抜け出す(いわゆる脱ドープ現象)や液状成分中での電解質との反応による導電性高分子の劣化により、ESRが増加すると問題がある。
そこで、導電性高分子の脱ドープを抑制するために酸成分をカチオンに対して過剰にした液状成分を使用する方法が提案されている。しかしながら、過剰に入れている酸自体の安定性が不十分なため過剰に入れた酸が分解してしまい、脱ドープ抑制の効果がなくなる問題がある(特許文献1)。また、過剰に入れている酸として、安定な無機酸を入れる方法も提案されているが、無機酸自体の反応性が高いため、大量に入れてしまうと腐食や導電性高分子との反応を起こすという問題がある(特許文献2)。
本発明は、漏れ電流が小さく、高温環境下にさらされても、静電容量及びESRの低下を抑制することができ、かつ腐食の少ないハイブリッド型電解コンデンサ液状成分を提供することである。
本発明者らは、上記の目的を達成するべく検討を行った結果、本発明に到達した。
すなわち、本発明は、電解質と水酸基含有化合物(C)とを含有するハイブリッド電解コンデンサ用液状成分であって、前記電解質がリン酸エステルアニオン(A)と第4級アンモニウムカチオン(B)との塩であり、前記水酸基含有化合物(C)が分子量400以下であり、かつアルコール(C1)及び/又は前記(C1)のアルキレンオキシド付加物であり、ハイブリッド電解コンデンサ用液状成分中の前記水酸基含有化合物(C)の水酸基のモル数cと前記リン酸エステルアニオン(A)のモル数aとの比率(c/a)が1〜5000であるハイブリッド電解コンデンサ用液状成分;該ハイブリッド電解コンデンサ用液状成分を含むハイブリッド電解コンデンサである。
すなわち、本発明は、電解質と水酸基含有化合物(C)とを含有するハイブリッド電解コンデンサ用液状成分であって、前記電解質がリン酸エステルアニオン(A)と第4級アンモニウムカチオン(B)との塩であり、前記水酸基含有化合物(C)が分子量400以下であり、かつアルコール(C1)及び/又は前記(C1)のアルキレンオキシド付加物であり、ハイブリッド電解コンデンサ用液状成分中の前記水酸基含有化合物(C)の水酸基のモル数cと前記リン酸エステルアニオン(A)のモル数aとの比率(c/a)が1〜5000であるハイブリッド電解コンデンサ用液状成分;該ハイブリッド電解コンデンサ用液状成分を含むハイブリッド電解コンデンサである。
本発明のハイブリッド型電解コンデンサ用液状成分は、漏れ電流が小さく、高温環境下にさらされても、静電容量の低下及びESRの低下を抑制することができ、かつ腐食が少ないという効果を奏する。
本発明のハイブリッド型電解コンデンサ用液状成分は、電解質と水酸基含有化合物(C)とを含有する。
本発明の液状成分は電解質を必須成分として含有する。
前記電解質はリン酸エステルアニオン(A)と第4級アンモニウムカチオン(B)との塩である。
前記電解質はリン酸エステルアニオン(A)と第4級アンモニウムカチオン(B)との塩である。
前記リン酸エステルアニオン(A)としては、下記一般式(1)又は下記一般式(2)で表されるリン酸エステルアニオン等が挙げられる。
[式(1)中、R1は炭素数1〜8のアルキル基である。]
[式(2)中、R2は炭素数1〜8のアルキル基であり、R3は水素原子又は炭素数1〜8のアルキル基である。]
前記一般式(1)で表されるリン酸エステルアニオン(A1)はアルキル基が1つ置換したモノアルキルリン酸エステルジアニオンである。
前記リン酸エステルアニオン(A1)のアルキル基(R1)の炭素数は1〜8であり、溶解度の観点から、好ましくは1〜6、更に好ましくは1〜4である。なお、炭素数が小さいほど、水酸基含有化合物(C)に対する溶解度は高くなる。
前記アルキルリン酸エステルアニオン(A1)としては、モノメチルリン酸エステルジアニオン、モノエチルリン酸エステルジアニオン、モノプロピルリン酸エステルジアニオン[モノ(n−プロピル)リン酸エステルジアニオン、モノ(iso−プロピル)リン酸エステルジアニオン等]、モノブチルリン酸エステルジアニオン[モノ(n−ブチル)リン酸エステルジアニオン、モノ(iso−ブチル)リン酸エステルジアニオン及びモノ(tert−ブチル)リン酸エステルジアニオン等]、モノペンチルリン酸エステルジアニオン、モノヘキシルリン酸エステルジアニオン、モノへプチルリン酸エステルジアニオン、モノオクチルリン酸エステルジアニオン[モノ(2−エチルヘキシル)リン酸エステルジアニオン等]等が挙げられる。
前記一般式(2)で表されるリン酸エステルアニオン(A2)は、アルキル基が1つ置換したモノアルキルリン酸エステルモノアニオン及び/又はアルキル基が2つ置換したジアルキルリン酸エステルモノアニオンである。
リン酸エステルアニオン(A2)のアルキル基(R2)の炭素数は1〜8であり、水酸基含有化合物(C)に対する溶解度の観点から、好ましくは1〜6、更に好ましくは1〜4である。なお、炭素数が小さいほど、溶解度は高くなる。
リン酸エステルアニオン(A2)のR3は水素原子又は炭素数1〜8のアルキル基であり、アルキル基である場合アルキル基の炭素数は水酸基含有化合物(C)に対する溶解度の観点から、好ましくは1〜6、更に好ましくは1〜4である。なお、炭素数が小さいほど、溶解度は高くなる。
リン酸エステルアニオン(A2)のアルキル基(R2)の炭素数は1〜8であり、水酸基含有化合物(C)に対する溶解度の観点から、好ましくは1〜6、更に好ましくは1〜4である。なお、炭素数が小さいほど、溶解度は高くなる。
リン酸エステルアニオン(A2)のR3は水素原子又は炭素数1〜8のアルキル基であり、アルキル基である場合アルキル基の炭素数は水酸基含有化合物(C)に対する溶解度の観点から、好ましくは1〜6、更に好ましくは1〜4である。なお、炭素数が小さいほど、溶解度は高くなる。
前記アルキルリン酸エステルアニオン(A2)としては、ジメチルリン酸エステルモノアニオン、ジエチルリン酸エステルモノアニオン、ジプロピルリン酸エステル[ジ(n−プロピル)リン酸エステルモノアニオン、ジ(iso−プロピル)リン酸エステルモノアニオン等]、ジブチルリン酸エステルモノアニオン[ジ(n−ブチル)リン酸エステルモノアニオン、ジ(iso−ブチル)リン酸エステルモノアニオン、及びジ(tert−ブチル)リン酸エステルモノアニオン等]、ジペンチルリン酸エステルモノアニオン、ジヘキシルリン酸エステルモノアニオン、ジヘプチルリン酸エステルモノアニオン、ジオクチルリン酸エステルモノアニオン[ビス(2−エチルヘキシル)リン酸エステルモノアニオン等]、
モノメチルリン酸エステルモノアニオン、モノエチルリン酸エステルモノアニオン、モノプロピルリン酸エステルモノアニオン[モノ(n−プロピル)リン酸エステルモノアニオン、モノ(iso−プロピル)リン酸エステルモノアニオン等]、モノブチルリン酸エステルモノアニオン[モノ(n−ブチル)リン酸エステルモノアニオン、モノ(iso−ブチル)リン酸エステルモノアニオン及びモノ(tert−ブチル)リン酸エステルモノアニオン等]、モノペンチルリン酸エステルモノアニオン、モノヘキシルリン酸エステルモノアニオン、モノへプチルリン酸エステルモノアニオン、モノオクチルリン酸エステルモノアニオン[モノ(2−エチルヘキシル)リン酸エステルモノアニオン等]等が挙げられる。
モノメチルリン酸エステルモノアニオン、モノエチルリン酸エステルモノアニオン、モノプロピルリン酸エステルモノアニオン[モノ(n−プロピル)リン酸エステルモノアニオン、モノ(iso−プロピル)リン酸エステルモノアニオン等]、モノブチルリン酸エステルモノアニオン[モノ(n−ブチル)リン酸エステルモノアニオン、モノ(iso−ブチル)リン酸エステルモノアニオン及びモノ(tert−ブチル)リン酸エステルモノアニオン等]、モノペンチルリン酸エステルモノアニオン、モノヘキシルリン酸エステルモノアニオン、モノへプチルリン酸エステルモノアニオン、モノオクチルリン酸エステルモノアニオン[モノ(2−エチルヘキシル)リン酸エステルモノアニオン等]等が挙げられる。
前記リン酸エステルアニオン(A)は、1種又は2種以上を併用してもよく、またモノアニオンとジアニオンの混合物でもよい。
これらのリン酸エステルアニオン(A)のうち、高温時の安定性及び溶解度の観点から、好ましくは一般式(2)で表されるリン酸エステルアニオン(A2)であり、更に好ましくはジメチルリン酸エステルモノアニオン、ジエチルリン酸エステルモノアニオン、ジ(n−プロピル)リン酸エステルモノアニオン、ジ(iso−プロピル)リン酸エステルモノアニオン、ジ(n−ブチル)リン酸エステルモノアニオン、ジ(iso−ブチル)リン酸エステルモノアニオン及びジ(tert−ブチル)リン酸エステルモノアニオンである。
リン酸エステルアニオン(A)の液状成分の全量に対して含有量は高温環境下の安定性及び化成性の観点から好ましくは0.01〜40重量%であり、更に好ましくは0.1〜30重量%であり、特に好ましくは1〜20重量%である。
一般に工業的に入手できるリン酸エステルは、モノアルキルリン酸エステル、ジアルキルリン酸エステル及びトリアルキルリン酸エステルの混合物であるが、本発明において、リン酸エステルアニオン(A)としては、ジアルキルリン酸エステルを使用することが好ましい。ジアルキルリン酸エステルアニオンを得る方法は特に限定されないが、イミダゾリウム塩{モノメチル炭酸塩、水酸化物塩等}と工業的に入手できるトリアルキルリン酸エステルとを混合し、加水分解を行うことにより、イミダゾリウムカチオンとジアルキルリン酸エステルアニオンとの塩を得る方法が好ましい。
前記4級アンモニウムカチオン(B)としては、4級化アミンカチオン、イミダゾリニウムカチオン及びイミダゾリウムカチオン等が挙げられる。
第4級化アミンカチオンとしては、炭素数1〜4のアルキル基を有するテトラアルキルアンモニウムカチオン{テトラメチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム及びトリエチルメチルアンモニウム等}等が挙げられる。
イミダゾリニウムカチオンとしては1,2,3,4−テトラメチルイミダゾリニウム、1,3,4−トリメチル−2−エチルイミダゾリニウム、1,3−ジメチル−2,4−ジエチルイミダゾリニウム、1,2−ジメチル−3,4−ジエチルイミダゾリニウム、1−メチル−2,3,4−トリエチルイミダゾリニウム、1,2,3,4−テトラエチルイミダゾリニウム、1,2,3−トリメチルイミダゾリニウム、1,3−ジメチル−2−エチルイミダゾリニウム、1−エチル−2,3−ジメチルイミダゾリニウム、1,2,3−トリエチルイミダゾリニウム、4−シアノ−1,2,3−トリメチルイミダゾリニウム、3−シアノメチル−1,2−ジメチルイミダゾリニウム、2−シアノメチル−1,3−ジメチルイミダゾリニウム、4−アセチル−1,2,3−トリメチルイミダゾリニウム、3−アセチルメチル−1,2−ジメチルイミダゾリニウム、4−メチルカルボオキシメチル−1,2,3−トリメチルイミダゾリニウム、3−メチルカルボオキシメチル−1,2−ジメチルイミダゾリニウム、4−メトキシ−1,2,3−トリメチルイミダゾリニウム、3−メトキシメチル−1,2−ジメチルイミダゾリニウム、4−ホルミル−1,2,3−トリメチルイミダゾリニウム、3−ホルミルメチル−1,2−ジメチルイミダゾリニウム、3−ヒドロキシエチル−1,2−ジメチルイミダゾリニウム、4−ヒドロキシメチル−1,2,3−トリメチルイミダゾリニウム及び2−ヒドロキシエチル−1,3−ジメチルイミダゾリニウム等が挙げられる。
イミダゾリウムカチオンとしては、1,3−ジメチルイミダゾリウム、1,3−ジエチルイミダゾリウム、1−エチル−3−メチルイミダゾリウム、1,2,3−トリメチルイミダゾリウム、1,2,3,4−テトラメチルイミダゾリウム、1,3−ジメチル−2−エチルイミダゾリウム、1−エチル−2,3−ジメチル−イミダゾリウム、1,2,3−トリエチルイミダゾリウム、1,2,3,4−テトラエチルイミダゾリウム、1,3−ジメチル−2−フェニルイミダゾリウム、1,3−ジメチル−2−ベンジルイミダゾリウム、1−ベンジル−2,3−ジメチル−イミダゾリウム、4−シアノ−1,2,3−トリメチルイミダゾリウム、3−シアノメチル−1,2−ジメチルイミダゾリウム、2−シアノメチル−1,3−ジメチル−イミダゾリウム、4−アセチル−1,2,3−トリメチルイミダゾリウム、3−アセチルメチル−1,2−ジメチルイミダゾリウム、4−メチルカルボオキシメチル−1,2,3−トリメチルイミダゾリウム、3−メチルカルボオキシメチル−1,2−ジメチルイミダゾリウム、4−メトキシ−1,2,3−トリメチルイミダゾリウム、3−メトキシメチル−1,2−ジメチルイミダゾリウム、4−ホルミル−1,2,3−トリメチルイミダゾリウム、3−ホルミルメチル−1,2−ジメチルイミダゾリウム、3−ヒドロキシエチル−1,2−ジメチルイミダゾリウム、4−ヒドロキシメチル−1,2,3−トリメチルイミダゾリウム及び2−ヒドロキシエチル−1,3−ジメチルイミダゾリウム等が挙げられる。
4級アンモニウムカチオン(B)は、1種又は2種以上を併用してもよい。これらのうち、好ましいのはイミダゾリニウムカチオン及びイミダゾリンカチオンであり、さらに好ましくは1,2,3,4−テトラメチルイミダゾリニウムカチオン、1−エチル−2,3−ジメチルイミダゾリニウムカチオン、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムカチオン、1−エチル−2,3−ジメチルイミダゾリウムカチオンである。
4級アンモニウムカチオン(B)の液状成分の全量に対して含有量は高温環境下の安定性及び化成性の観点から好ましくは0.01〜40重量%であり、更に好ましくは0.1〜30重量%であり、特に好ましくは1〜20重量%である。
本発明の液状成分は水酸基含有化合物(C)を必須成分として含有する。
前記水酸基含有化合物(C)は分子量400以下であり、かつアルコール(C1)及び/又は前記(C1)のアルキレンオキシド付加物である。
前記水酸基含有化合物(C)は分子量400以下であり、かつアルコール(C1)及び/又は前記(C1)のアルキレンオキシド付加物である。
分子量400以下のアルコール(C1)としては水酸基を1つだけ含むモノアルコール、水酸基を2つ含むジアルコール及び水酸基を3つ以上含む多価アルコールが挙げられる。
モノアルコールとしては、n−ブタノール、2−ブタノール、t−ブタノール、n−ヘキサノール、n−オクタノール及びベンジルアルコールが挙げられる。
ジアルコールとしては、1,4−ブタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,6−ヘキサンジオール、エチレングリコール及びプロピレングリコール等が挙げられる。
水酸基を3つ以上含む多価アルコールとしては、グリセリン、ジグリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリトリトール、マンニトール、ソルビトール、マンニトールアルキレンオキシド付加物等が挙げられる。
これらのアルコールのうち、高温時の安定性の観点でリン酸エステルアニオン(A)及び4級アンモニウムカチオン(B)に多座配位できるジアルコール及び多価アルコールが好ましい。
前記(C1)のアルキレンオキシド付加物は分子量400以下である。
アルキレンオキシド付加物としては、例えば炭素数2〜4のアルキレンオキシドが挙げられる。
炭素数2〜4のアルキレンオキシドとしては、エチレンオキシド、プロピレンオキシド及びブチレンオキシドが挙げられる。炭素数2〜4のアルキレンオキシドのうち、リン酸エステルアニオン(A)及び4級アンモニウムカチオン(B)の溶解度及び液状成分の粘度の観点から好ましくはエチレンオキシド及びプロピレンオキシドである。
アルキレンオキシド付加物としては、例えば炭素数2〜4のアルキレンオキシドが挙げられる。
炭素数2〜4のアルキレンオキシドとしては、エチレンオキシド、プロピレンオキシド及びブチレンオキシドが挙げられる。炭素数2〜4のアルキレンオキシドのうち、リン酸エステルアニオン(A)及び4級アンモニウムカチオン(B)の溶解度及び液状成分の粘度の観点から好ましくはエチレンオキシド及びプロピレンオキシドである。
前記(C1)のアルキレンオキシド付加物はとしては、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノエチルエーテル、1,4−ブタンジオールモノメチルエーテル、1,4−ブタンジオールモノエチルエーテル、1,2−ヘキサンジオールモノメチルエーテル、1,2−ヘキサンジオールモノエチルエーテル、1,6−ヘキサンジオールモノメチルエーテル及び1,6−ヘキサンジオールモノエチルエーテル等;ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピオレングリコール、トリプロピオングリコール、PEG200(数平均分子量200のポリプロピレングリコール)及びPEG300(数平均分子量300のポリプロピレングリコール)等;グリセリンアルキレンオキシド付加物、ペンタエリスリトールアルキレンオキシド付加物、マンニトールアルキレンオキシド付加物、ソルビトールアルキレンオキシド付加物等が挙げられる。
水酸基含有化合物(C)は、1種又は2種以上を併用してもよい。
水酸基含有化合物(C)の数平均分子量は400以下であり、リン酸エステルアニオン(A)及び4級アンモニウムカチオン(B)の溶解度及び粘度の観点から好ましいのは分子量62〜400であり、更に好ましくは分子量62〜300である。
これらの水酸基含有化合物(C)のうち、特に好ましくは1,4−ブタンジオール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセリンである。
水酸基含有化合物(C)の数平均分子量は400以下であり、リン酸エステルアニオン(A)及び4級アンモニウムカチオン(B)の溶解度及び粘度の観点から好ましいのは分子量62〜400であり、更に好ましくは分子量62〜300である。
これらの水酸基含有化合物(C)のうち、特に好ましくは1,4−ブタンジオール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセリンである。
水酸基含有化合物(C)と液状成分中でリン酸エステルアニオン(A)及び4級アンモニウムカチオン(B)とが溶媒和することにより安定化するという働きをすると推定される。このため高温環境下でも電解質が劣化しにくく、脱ドープや液状成分の電解質との反応により導電性高分子が劣化しないため、ESRの低下を抑制するという効果を発揮する。
水酸基含有化合物(C)の水酸基のモル数cと前記リン酸エステルアニオン(A)のモル数aとの比(c/a)は1〜5000であり、高温環境時の安定性及び化成性の観点から好ましくは10〜1000である。(c/a)が1未満では水酸基による溶媒和が不十分であるため、高環境下でのリン酸エステルアニオン(A)及び/または4級アンモニウムカチオン(B)の安定性が不十分である。一方で5000を超えると化成性が低下する。強く溶媒和しすぎるために、アルミ酸化被膜表面のアニオン濃度が極端に下がって化成性が低下していると推定される。
本発明の液状成分には、リン酸エステルアニオン(A)以外に、更にアニオンとして酸成分を含んでもよい。酸成分としてはアジピン酸、アゼライン酸、1,6−デカンジカルボン酸、フタル酸、マレイン酸、安息香酸等のカルボン酸、リン酸、亜リン酸、ジ亜リン酸等のリン酸誘導体、ホウ酸、ホウ酸エステル等のホウ酸誘導体などが挙げられ、カルボン酸及びホウ酸誘導体が好ましく、さらに好ましくはフタル酸及びホウ酸である。酸成分は酸の状態で含んでいてもよく、中和塩の状態で含んでいてもいい。酸成分の中和塩の対カチオンとしてはアンモニウムカチオン、1級アミンカチオン、2級アミンカチオン、3級アミンカチオン、イミダゾリニウムカチオン及びイミダゾリンカチオン等が挙げられ、好ましくはイミダゾリニウムカチオン及びイミダゾリンカチオンであり、さらに好ましくは1,2,3,4−テトラメチルイミダゾリニウムカチオン、1−エチル−2,3−ジメチルイミダゾリニウムカチオン、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムカチオン及び1−エチル−2,3−ジメチルイミダゾリウムカチオンである。酸成分の添加量は高温環境下の安定性の観点から液状成分の全量に対して20重量%以下が好ましく、さらに好ましくは5重量%以下である。
本発明の液状成分には、さらに粘度の調整用に水酸基含有化合物(C)を除く、有機溶媒も併用してもよい。
この目的で使用される有機溶剤としては、δ‐バレロラクトン、γ−ブチロラクトン、スルホラン並びに分子量400を超えるアルコール及び前記分子量400を超えるアルコールのアルキレンオキシド付加物(ポリエチレングリコール及びポリプロピレングリコール)等が挙げられる。粘度調整用の有機溶剤の液状成分の全量に対して含有量は高温環境下での安定性の観点から50重量%以下が好ましく、より好ましくは10重量%以下であり、併用しないことがさらに好ましい。
この目的で使用される有機溶剤としては、δ‐バレロラクトン、γ−ブチロラクトン、スルホラン並びに分子量400を超えるアルコール及び前記分子量400を超えるアルコールのアルキレンオキシド付加物(ポリエチレングリコール及びポリプロピレングリコール)等が挙げられる。粘度調整用の有機溶剤の液状成分の全量に対して含有量は高温環境下での安定性の観点から50重量%以下が好ましく、より好ましくは10重量%以下であり、併用しないことがさらに好ましい。
さらに、液状成分には、必要により、種々の添加剤を添加することができる。
添加剤としては、ニトロ化合物(例えば、o−ニトロ安息香酸、p−ニトロ安息香酸、m−ニトロ安息香酸、o−ニトロフェノール、p−ニトロフェノールなど)、ポバール、アクリルポリマー、メタクリルポリマーなどを挙げることができる。その含有量は、液状成分への溶解度の観点から、液状成分の重量に基づいて、好ましくは5重量%以下、特に好ましくは0.1〜2重量%がよい。
添加剤としては、ニトロ化合物(例えば、o−ニトロ安息香酸、p−ニトロ安息香酸、m−ニトロ安息香酸、o−ニトロフェノール、p−ニトロフェノールなど)、ポバール、アクリルポリマー、メタクリルポリマーなどを挙げることができる。その含有量は、液状成分への溶解度の観点から、液状成分の重量に基づいて、好ましくは5重量%以下、特に好ましくは0.1〜2重量%がよい。
本発明のハイブリッド型電解コンデンサは、陽極箔の誘電体層とその誘電体層に接触した固体電解質の層とを有するコンデンサ素子から形成されるが、この固体電解質は、例えば、ポリチオフェンやその誘導体等(具体的には、ポリ3,4−エチレンジオキシチオフェンやポリピロールなど)の導電性ポリマーである。
この導電性ポリマーはドーパントが組み込まれており、ドーパントは導電性を発現する役割を担っている。代表的なドーパントは、p−トルエンスルホン酸、ポリスチレンスルホン酸などの酸である。
この導電性ポリマーはドーパントが組み込まれており、ドーパントは導電性を発現する役割を担っている。代表的なドーパントは、p−トルエンスルホン酸、ポリスチレンスルホン酸などの酸である。
本発明のハイブリッド型コンデンサは、コンデンサ素子と一対のリード線と外装体とを有する。一対のリード線はそれぞれ、コンデンサ素子に接続されている。外装体はリード線を他方の端部を外部に導出するようにして、コンデンサ素子を封入している。
外装体は、筒状のケースと、封口体とで構成されており、このケースには液状成分を含浸したコンデンサ素子を収納し、封口体にはリード線をそれぞれ挿通させる貫通孔に通し、ケースの外周面に設けた絞り加工部で圧縮することによって封止する。
外装体は、筒状のケースと、封口体とで構成されており、このケースには液状成分を含浸したコンデンサ素子を収納し、封口体にはリード線をそれぞれ挿通させる貫通孔に通し、ケースの外周面に設けた絞り加工部で圧縮することによって封止する。
本発明のコンデンサ素子は、表面に誘電体層を有する陽極箔と、この陽極箔の誘電体層に接触した固体電解質の層とを有する。
陽極箔はアルミニウム箔をエッチング処理により、粗面化し、さらにその表面に誘電体である陽極酸化皮膜が化成処理によって形成される。
コンデンサ素子は陽極箔以外にさらに、陰極箔とセパレータも有するが、陽極箔と陰極箔とセパレータを積層して巻回することでコンデンサ素子が構成される。そして、陽極箔と陰極箔との間に導電性ポリマーからなる固体電解質の層を作成する。作成方法としては、導電性ポリマー溶液に含浸させ、その後乾燥させる方法や、導電性高分子を電解重合させるなどの方法がある。
以上のように形成されたコンデンサ素子内に形成された固体電解質の隙間に液状成分が入り込み、ハイブリッド型コンデンサが作成される。
陽極箔はアルミニウム箔をエッチング処理により、粗面化し、さらにその表面に誘電体である陽極酸化皮膜が化成処理によって形成される。
コンデンサ素子は陽極箔以外にさらに、陰極箔とセパレータも有するが、陽極箔と陰極箔とセパレータを積層して巻回することでコンデンサ素子が構成される。そして、陽極箔と陰極箔との間に導電性ポリマーからなる固体電解質の層を作成する。作成方法としては、導電性ポリマー溶液に含浸させ、その後乾燥させる方法や、導電性高分子を電解重合させるなどの方法がある。
以上のように形成されたコンデンサ素子内に形成された固体電解質の隙間に液状成分が入り込み、ハイブリッド型コンデンサが作成される。
以下、実施例及び比較例により本発明をさらに説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
<製造例1>
ジメチルカーボネート(0.2モル)のメタノール溶液(74重量%)に、2,4−ジメチルイミダゾリン(0.1モル)を滴下して、120℃で15時間攪拌することで、1,2,3,4−テトラメチルイミダゾリニウム・メチルカーボネート塩のメタノール溶液を得た。
ジメチルカーボネート(0.2モル)のメタノール溶液(74重量%)に、2,4−ジメチルイミダゾリン(0.1モル)を滴下して、120℃で15時間攪拌することで、1,2,3,4−テトラメチルイミダゾリニウム・メチルカーボネート塩のメタノール溶液を得た。
<製造例2>
リン酸ジメチル[(東京化成(株)](0.1モル)を、1,2,3,4−テトラメチルイミダゾリニウム・メチルカーボネート塩(0.1モル)のメタノール溶液に加え、水(0.3モル)を添加し、100℃×20時間攪拌することで、リン酸ジメチル加水分解すると共に、塩交換反応を行い、1,2,3,4−テトラメチルイミダゾリニウム・ジメチルリン酸エステルモノアニオンのメタノール溶液を得た。上記溶液を1.0kPa以下の減圧度、50℃で、メタノールの留出がなくなるまで加熱してメタノールを蒸留した後、温度を50℃から100℃に上昇させて30分加熱してモノメチルカーボネート(HOCO2CH3)、メタノール及び二酸化炭素(メタノール及び二酸化炭素は、モノメチルカーボネートの熱分解により僅かに生成する。以下、これらを副生物と略する。)を留去することで、モノメチルリン酸エステルモノアニオン(A−1)と1,2,3,4−テトラメチルイミダゾリニウム(B−1)との塩を得た。
リン酸ジメチル[(東京化成(株)](0.1モル)を、1,2,3,4−テトラメチルイミダゾリニウム・メチルカーボネート塩(0.1モル)のメタノール溶液に加え、水(0.3モル)を添加し、100℃×20時間攪拌することで、リン酸ジメチル加水分解すると共に、塩交換反応を行い、1,2,3,4−テトラメチルイミダゾリニウム・ジメチルリン酸エステルモノアニオンのメタノール溶液を得た。上記溶液を1.0kPa以下の減圧度、50℃で、メタノールの留出がなくなるまで加熱してメタノールを蒸留した後、温度を50℃から100℃に上昇させて30分加熱してモノメチルカーボネート(HOCO2CH3)、メタノール及び二酸化炭素(メタノール及び二酸化炭素は、モノメチルカーボネートの熱分解により僅かに生成する。以下、これらを副生物と略する。)を留去することで、モノメチルリン酸エステルモノアニオン(A−1)と1,2,3,4−テトラメチルイミダゾリニウム(B−1)との塩を得た。
<製造例3>
リン酸ジメチルの代わりにリン酸トリメチル[(東京化成(株)](0.1モル)を用いた以外は製造例2と同様にジメチルリン酸エステルモノアニオン(A−2)と1,2,3,4−テトラメチルイミダゾリニウム(B−1)との塩を得た。
リン酸ジメチルの代わりにリン酸トリメチル[(東京化成(株)](0.1モル)を用いた以外は製造例2と同様にジメチルリン酸エステルモノアニオン(A−2)と1,2,3,4−テトラメチルイミダゾリニウム(B−1)との塩を得た。
<製造例4>
リン酸ジメチルの代わりにリン酸トリエチル[(東京化成(株)](0.1モル)を用いた以外は製造例2と同様に1,2,3,4−テトラメチルイミダゾリニウム(B−1)とジエチルリン酸エステルモノアニオン(A−3)と1,2,3,4−テトラメチルイミダゾリニウム(B−1)との塩を得た。
リン酸ジメチルの代わりにリン酸トリエチル[(東京化成(株)](0.1モル)を用いた以外は製造例2と同様に1,2,3,4−テトラメチルイミダゾリニウム(B−1)とジエチルリン酸エステルモノアニオン(A−3)と1,2,3,4−テトラメチルイミダゾリニウム(B−1)との塩を得た。
<製造例5>
リン酸ジメチルの代わりにリン酸ジブチル[(東京化成(株)](0.1モル)を用いた以外は製造例2と同様にモノブチルリン酸エステルモノアニオン(A−4)と1,2,3,4−テトラメチルイミダゾリニウム(B−1)との塩を得た。
リン酸ジメチルの代わりにリン酸ジブチル[(東京化成(株)](0.1モル)を用いた以外は製造例2と同様にモノブチルリン酸エステルモノアニオン(A−4)と1,2,3,4−テトラメチルイミダゾリニウム(B−1)との塩を得た。
<製造例6>
リン酸ジメチルの代わりにリン酸トリブチル[(東京化成(株)](0.1モル)を用いた以外は製造例2と同様にジブチルリン酸エステルモノアニオン(A−5)と1,2,3,4−テトラメチルイミダゾリニウム(B−1)との塩を得た。
リン酸ジメチルの代わりにリン酸トリブチル[(東京化成(株)](0.1モル)を用いた以外は製造例2と同様にジブチルリン酸エステルモノアニオン(A−5)と1,2,3,4−テトラメチルイミダゾリニウム(B−1)との塩を得た。
<製造例7>
ジメチルカーボネート(0.2モル)のメタノール溶液(74重量%)に、1−エチルイミダゾール(0.1モル)を滴下して、135℃で12時間攪拌することで、1−エチル−3−メチルイミダゾリウム・メチルカーボネート塩のメタノール溶液を得た。
ジメチルカーボネート(0.2モル)のメタノール溶液(74重量%)に、1−エチルイミダゾール(0.1モル)を滴下して、135℃で12時間攪拌することで、1−エチル−3−メチルイミダゾリウム・メチルカーボネート塩のメタノール溶液を得た。
<製造例8>
リン酸ジメチルの代わりにリン酸トリブチル[(東京化成(株)](0.1モル)、1,2,3,4−テトラメチルイミダゾリニウム・メチルカーボネート塩のメタノール溶液に代わりに1−エチル−3−メチル・メチルカーボネート塩(0.1モル)のメタノール溶液を用いた以外は製造例2と同様にジブチルリン酸エステルモノアニオン(A−5)と1−エチル−3−メチルイミダゾリウム(B−2)との塩を得た。
リン酸ジメチルの代わりにリン酸トリブチル[(東京化成(株)](0.1モル)、1,2,3,4−テトラメチルイミダゾリニウム・メチルカーボネート塩のメタノール溶液に代わりに1−エチル−3−メチル・メチルカーボネート塩(0.1モル)のメタノール溶液を用いた以外は製造例2と同様にジブチルリン酸エステルモノアニオン(A−5)と1−エチル−3−メチルイミダゾリウム(B−2)との塩を得た。
<製造例9>
リン酸ジメチルの代わりにフタル酸[(東京化成(株)](0.1モル)を用いた以外は製造例2と同様にフタル酸モノアニオンと1,2,3,4−テトラメチルイミダゾリニウム(B−1)との塩を得た。
リン酸ジメチルの代わりにフタル酸[(東京化成(株)](0.1モル)を用いた以外は製造例2と同様にフタル酸モノアニオンと1,2,3,4−テトラメチルイミダゾリニウム(B−1)との塩を得た。
<実施例及び比較例>
電解質として製造例2〜6及び8で得られたリン酸エステルアニオン(A)と4級アンモニウムカチオン(B)との塩、水酸基含有化合物(C)としてエチレングリコール[東京化成(株)]、プロピレングリコール[東京化成(株)]、ジエチレングリコール[東京化成(株)]、グリセリン[東京化成(株)]、ポリエチレングリコール(PEG300)[三洋化成工業(株)、数平均分子量300]、マンニトール[東京化成(株)]、その他酸成分であるリン酸[東京化成(株)]、リン酸トリメチル[東京化成(株)]、リン酸トリブチル[東京化成(株)]、ホウ酸[東京化成(株)]、有機溶剤であるγ―ブチルラクトン[東京化成(株)]、ポリエチレングリコール(PEG1000)[三洋化成工業(株)、数平均分子量1000]を表1及び表2に記載の通りの配合比率(重量部)となるように配合し、実施例の液状成分(X−1)〜(X−16)及び比較例の液状成分(X’−1)〜(X’−5)を得た。
なお、表1及び表2中、モルをmolと表記する。
電解質として製造例2〜6及び8で得られたリン酸エステルアニオン(A)と4級アンモニウムカチオン(B)との塩、水酸基含有化合物(C)としてエチレングリコール[東京化成(株)]、プロピレングリコール[東京化成(株)]、ジエチレングリコール[東京化成(株)]、グリセリン[東京化成(株)]、ポリエチレングリコール(PEG300)[三洋化成工業(株)、数平均分子量300]、マンニトール[東京化成(株)]、その他酸成分であるリン酸[東京化成(株)]、リン酸トリメチル[東京化成(株)]、リン酸トリブチル[東京化成(株)]、ホウ酸[東京化成(株)]、有機溶剤であるγ―ブチルラクトン[東京化成(株)]、ポリエチレングリコール(PEG1000)[三洋化成工業(株)、数平均分子量1000]を表1及び表2に記載の通りの配合比率(重量部)となるように配合し、実施例の液状成分(X−1)〜(X−16)及び比較例の液状成分(X’−1)〜(X’−5)を得た。
なお、表1及び表2中、モルをmolと表記する。
次に、上記の液状成分と固体電解質層を用いて、定格電圧50V,静電容量30μFの巻回型のハイブリッド型コンデンサを以下の手順で作成した。
(1)酸化アルミニウム皮膜の誘電体層を表面に有する陽極箔と陰極箔とセパレータとを一定の幅と長さに切断した。そしてリード線を陽極、陰極にカシメによって接続した。
その後、ロール状に巻き取って円筒型にした。さらにその外周側面を絶縁テープで固定しコンデンサ素子を完成させた。次に封止ゴムとリード線を通し装着させた。
(1)酸化アルミニウム皮膜の誘電体層を表面に有する陽極箔と陰極箔とセパレータとを一定の幅と長さに切断した。そしてリード線を陽極、陰極にカシメによって接続した。
その後、ロール状に巻き取って円筒型にした。さらにその外周側面を絶縁テープで固定しコンデンサ素子を完成させた。次に封止ゴムとリード線を通し装着させた。
(2)コンデンサ素子に、ポリ3,4−エチレンジオキシドチオフェン(PEDOT)からなる固体電解質層を形成した。
PEDOTを水溶液に分散させた分散液に作成したコンデンサ素子を含浸した後、そのコンデンサ素子を120℃の恒温槽内で1時間乾燥させた。なお、ドーパントとしてはポリスチレンスルホン酸を適用した。
その後、上記の液状成分(A)をコンデンサ素子に含浸させ、ケースに格納しカシメを行い、コンデンサを完成させた。
なお、実施例、比較例すべてにおいて、固体電解質層は、PEDOTを用いた。
PEDOTを水溶液に分散させた分散液に作成したコンデンサ素子を含浸した後、そのコンデンサ素子を120℃の恒温槽内で1時間乾燥させた。なお、ドーパントとしてはポリスチレンスルホン酸を適用した。
その後、上記の液状成分(A)をコンデンサ素子に含浸させ、ケースに格納しカシメを行い、コンデンサを完成させた。
なお、実施例、比較例すべてにおいて、固体電解質層は、PEDOTを用いた。
初期特性と試験後の特性を、JIS C 5101−1:2019に記載の以下の方法で測定、評価した。結果を表3に示す。
<化成性>
コンデンサを20℃で10mAで昇圧し、定格電圧(50V)1分間印加後の値を漏れ電流として読み取った。漏れ電流の大きさで化成性を下記のように評価した。
○:漏れ電流0.05A以下
△:漏れ電流0.05〜0.3mA
×:漏れ電流0.3mA以上
コンデンサを20℃で10mAで昇圧し、定格電圧(50V)1分間印加後の値を漏れ電流として読み取った。漏れ電流の大きさで化成性を下記のように評価した。
○:漏れ電流0.05A以下
△:漏れ電流0.05〜0.3mA
×:漏れ電流0.3mA以上
<静電容量維持率・ESR維持率・腐食性>
初期評価として、静電容量、ESR、を計測した。
静電容量は120Hz、20℃、ESR値は100kHz、20℃で測定した。コンデンサ素子を125℃、200時間、恒温槽に放置した後に初期評価と同様に再度静電容量とESRの測定を行い、初期との静電容量の低下とESRの上昇で下記のように評価した。
初期評価として、静電容量、ESR、を計測した。
静電容量は120Hz、20℃、ESR値は100kHz、20℃で測定した。コンデンサ素子を125℃、200時間、恒温槽に放置した後に初期評価と同様に再度静電容量とESRの測定を行い、初期との静電容量の低下とESRの上昇で下記のように評価した。
静電容量維持率
○:初期と比較して経変後の静電容量の低下が3%以下
△:初期と比較して経変後の静電容量の低下が3〜10%
×:初期と比較して経変後の静電容量の低下が10%以上
○:初期と比較して経変後の静電容量の低下が3%以下
△:初期と比較して経変後の静電容量の低下が3〜10%
×:初期と比較して経変後の静電容量の低下が10%以上
ESR維持率
○:初期と比較して経変後のESRの上昇が10%以下
△:初期と比較して経変後のESRの上昇が10〜20%
×:初期と比較して経変後のESRの上昇が20%以上
○:初期と比較して経変後のESRの上昇が10%以下
△:初期と比較して経変後のESRの上昇が10〜20%
×:初期と比較して経変後のESRの上昇が20%以上
また、素子の分解を行い、目視にてリード線や陰極に腐食の有無について確認を行い、下記のように評価した。
腐食性
○:腐食なし
△:リード線の一部に腐食がある
×:リード線の大部分と陰極に腐食がある
腐食性
○:腐食なし
△:リード線の一部に腐食がある
×:リード線の大部分と陰極に腐食がある
本発明の実施例のハイブリッド型コンデンサは、初期特性も良好であり、加速試験でも良好な結果となった。
一方、比較例1はリン酸エステルアニオン(A)に対して水酸基含有化合物(C)の水酸基の量が不十分であり、溶媒和による安定化が得られないため、加速試験後にESRの悪化し、リード線にもわずかに腐食が見られた。比較例3は水酸基含有化合物(C)を含まないため、同様に加速試験後に静電容量とESRの悪化し、リード線にも腐食が見られた。また比較例4は分子量が大きなPEGを用いているため、水酸基周りの分子の動きが制限されるためにリン酸エステルアニオン(A)に溶媒和しにくく、十分な安定化が得られなかった。比較例2はリン酸エステルアニオン(A)に対してアルコール及び/又アルコールのアルキレンオキシド付加物(C)の水酸基が大過剰に存在するため、強く溶媒和してアルミ酸化被膜表面のアニオン濃度が極端に下がって化成性が低下した。比較例5はESRの低下が大きかった。カルボン酸アニオンが導電性高分子の脱ドープや導電性高分子との反応に関与して固体電解質層が劣化したと推定される。
一方、比較例1はリン酸エステルアニオン(A)に対して水酸基含有化合物(C)の水酸基の量が不十分であり、溶媒和による安定化が得られないため、加速試験後にESRの悪化し、リード線にもわずかに腐食が見られた。比較例3は水酸基含有化合物(C)を含まないため、同様に加速試験後に静電容量とESRの悪化し、リード線にも腐食が見られた。また比較例4は分子量が大きなPEGを用いているため、水酸基周りの分子の動きが制限されるためにリン酸エステルアニオン(A)に溶媒和しにくく、十分な安定化が得られなかった。比較例2はリン酸エステルアニオン(A)に対してアルコール及び/又アルコールのアルキレンオキシド付加物(C)の水酸基が大過剰に存在するため、強く溶媒和してアルミ酸化被膜表面のアニオン濃度が極端に下がって化成性が低下した。比較例5はESRの低下が大きかった。カルボン酸アニオンが導電性高分子の脱ドープや導電性高分子との反応に関与して固体電解質層が劣化したと推定される。
本発明のハイブリッド型コンデンサは、高温環境下でもESRの低下が抑制され、長寿命であるので、特に家電、車載などの長寿命が求められる用途に好適に用いることができる。
Claims (3)
- 電解質と水酸基含有化合物(C)とを含有するハイブリッド電解コンデンサ用液状成分であって、前記電解質がリン酸エステルアニオン(A)と第4級アンモニウムカチオン(B)との塩であり、前記水酸基含有化合物(C)が分子量400以下であり、かつアルコール(C1)及び/又は前記(C1)のアルキレンオキシド付加物であり、ハイブリッド電解コンデンサ用液状成分中の前記水酸基含有化合物(C)の水酸基のモル数cと前記リン酸エステルアニオン(A)のモル数aとの比率(c/a)が1〜5000であるハイブリッド電解コンデンサ用液状成分。
- 請求項1又は2に記載のハイブリッド電解コンデンサ用液状成分を含むハイブリッド電解コンデンサ。
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JP2020047906A JP2021150452A (ja) | 2020-03-18 | 2020-03-18 | ハイブリッド型電解コンデンサ用液状成分及びハイブリッド電解コンデンサ |
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Cited By (2)
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---|---|---|---|---|
WO2023054502A1 (ja) * | 2021-09-30 | 2023-04-06 | 日本ケミコン株式会社 | 固体電解コンデンサ |
WO2023190203A1 (ja) * | 2022-03-31 | 2023-10-05 | パナソニックIpマネジメント株式会社 | 電解コンデンサ |
-
2020
- 2020-03-18 JP JP2020047906A patent/JP2021150452A/ja active Pending
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