JP4962198B2 - R−Fe−B系希土類焼結磁石およびその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、R2Fe14B型化合物結晶粒(Rは希土類元素)を主相として有するR−Fe−B系希土類焼結磁石およびその製造方法に関し、特に、軽希土類元素RL(NdおよびPrの少なくとも1種)を主たる希土類元素Rとして含有し、かつ、軽希土類元素RLの一部が重希土類元素RH(Dy、Ho、およびTbからなる群から選択された少なくとも1種)によって置換されているR−Fe−B系希土類焼結磁石およびその製造方法に関している。
Nd2Fe14B型化合物を主相とするR−Fe−B系の希土類焼結磁石は、永久磁石の中で最も高性能な磁石として知られており、ハードディスクドライブのボイスコイルモータ(VCM)や、ハイブリッド車搭載用モータ等の各種モータや家電製品等に使用されている。R−Fe−B系希土類焼結磁石をモータ等の各種装置に使用する場合、高温での使用環境に対応するため、耐熱性に優れ、高保磁力特性を有することが要求される。
R−Fe−B系希土類焼結磁石の保磁力を向上する手段として、重希土類元素RHを原料として配合し、溶製した合金を用いることが行われている。この方法によると、希土類元素Rとして軽希土類元素RLを含有するR2Fe14B相の希土類元素Rが重希土類元素RHで置換されるため、R2Fe14B相の結晶磁気異方性(保磁力を決定する本質的な物理量)が向上する。しかし、R2Fe14B相中における軽希土類元素RLの磁気モーメントは、Feの磁気モーメントと同一方向であるのに対して、重希土類元素RHの磁気モーメントは、Feの磁気モーメントと逆方向であるため、軽希土類元素RLを重希土類元素RHで置換するほど、残留磁束密度Brが低下してしまうことになる。
一方、重希土類元素RHは希少資源であるため、その使用量の削減が望まれている。これらの理由により、軽希土類元素RLの全体を重希土類元素RHで置換する方法は好ましくない。
比較的少ない量の重希土類元素RHを添加することにより、重希土類元素RHによる保磁力向上効果を発現させるため、重希土類元素RHを多く含む合金・化合物などの粉末を、軽希土類RLを多く含む主相系母合金粉末に添加し、成形・焼結させることが提案されている。この方法によると、重希土類元素RHがR2Fe14B相の粒界近傍に多く分布することになるため、主相外殻部におけるR2Fe14B相の結晶磁気異方性を効率よく向上させることが可能になる。R−Fe−B系希土類焼結磁石の保磁力発生機構は核生成型(ニュークリエーション型)であるため、主相外殻部(粒界近傍)に重希土類元素RHが多く分布することにより、結晶粒全体の結晶磁気異方性が高められ、逆磁区の核生成が妨げられ、その結果、保磁力が向上する。また、保磁力向上に寄与しない結晶粒の中心部では、重希土類元素RHによる置換が生じないため、残留磁束密度Brの低下を抑制することもできる。
しかしながら、実際にこの方法を実施してみると、焼結工程(工業規模で1000℃から1200℃で実行される)で重希土類元素RHの拡散速度が大きくなるため、重希土類元素RHが結晶粒の中心部にも拡散してしまう結果、期待していた組織構造を得ることは容易でない。
さらにR−Fe−B系希土類焼結磁石の別の保磁力向上手段として、焼結磁石の段階で重希土類元素RHを含む金属、合金、化合物等を磁石表面に被着後、熱処理、拡散させることによって、残留磁束密度をそれほど低下させずに保磁力を回復または向上させることが検討されている(特許文献1、特許文献2、および特許文献3)。
特許文献1は、R´(R´はNd、Pr、Dy、Ho、Tbのうち少なくとも1種)からなる薄膜層を焼結磁石体の被研削加工面に形成し、その後真空または不活性雰囲気中で熱処理を施すことにより、研削加工面の変質層を薄膜層と変質層との拡散反応で改質層となし、保磁力を回復させることを開示している。
特許文献2は、小型磁石の最表面に露出している結晶粒子の半径に相当する深さ以上に金属元素R(このRは、YおよびNd、Dy、Pr、Ho、Tbから選ばれる希土類元素の1種又は2種以上)を成膜しながら拡散させ、それによって加工変質損傷部を改質して(BH)maxを向上させることを開示している。
特許文献3は、厚さ2mm以下の磁石の表面に希土類元素を主体とする化学気相成長膜を形成後熱処理することにより、希土類元素が磁石内部に拡散し、表面近傍の加工劣化層が改質され、磁石特性が回復することを開示している。
特許文献4は、R−Fe−B系微小焼結磁石や粉末の保磁力を回復するため、希土類元素の収着法を開示している。この方法では、収着金属(Yb、Eu、Smなどの沸点が比較的低い希土類金属)をR−Fe−B系微小焼結磁石や粉末と混合した後、攪拌しながら真空中で均一に加熱するための熱処理が行われる。この熱処理により、希土類金属が磁石表面に被着するとともに、内部に拡散する。また特許文献4には、沸点の高い希土類金属(例えばDy)を収着させる実施形態も記載されている。このDyなどを使用した実施形態においては、高周波加熱方式により、Dyなどを選択的に高温に加熱しているが、例えばDyの沸点は2560℃であり、沸点1193℃のYbを800〜850℃に加熱していることや、通常の抵抗加熱では十分に加熱することができないと記載されていることから、Dyは少なくとも1500℃を超える温度に加熱しているものと考えられる。さらに、R−Fe−B系微小焼結磁石や粉末の温度は700〜850℃に保つことが好ましいと記載されている。
特許文献5には、処理室内でDyやTbなどの金属蒸発材料を蒸発させて金属蒸気雰囲気を形成し、処理室内の温度より低く保持したR−Fe−B系焼結磁石を処理室内に搬入し、処理室内と磁石の温度差によって磁石表面に金属蒸発材料を選択的に付着堆積した後処理室から搬出し、別室で加熱して拡散処理を施す方法が開示されている。
特開昭62−074048号公報 特開2004−304038号公報 特開2005−285859号公報 特開2004−296973号公報 WO2006/100968国際公開パンフレット
特許文献1、特許文献2および特許文献3に開示されている従来技術は、いずれも焼結磁石体表面に希土類金属の被膜を成膜し、熱処理によって希土類金属を磁石内部に拡散させている。その結果、磁石表層領域(表面から数十μmの深さまでの領域)では、希土類金属膜と焼結磁石体との界面における希土類金属濃度の大きな濃度差を駆動力として、希土類金属が主相中にも拡散することを避けられず、残留磁束密度Brが低下してしまう。
また、特許文献4に開示されている従来技術においても、Dyなどの希土類金属を充分に気化する温度に加熱し、成膜を行っているため、磁石中の拡散速度よりも成膜速度の方が圧倒的に高く、磁石表面上に厚いDy膜が形成される。その結果、特許文献1〜3の場合と同様に、磁石表層領域では、Dyが主相中にも拡散することを避けられず、残留磁束密度Brが低下してしまう。
また、高周波によって収着原料と磁石の双方を加熱するため、希土類金属のみを充分な温度に加熱し磁石を磁気特性に影響を及ぼさない程度の低温に保持することは容易ではなく、磁石は、誘導加熱されにくい粉末の状態か極微小なものに限られてしまう。
さらに、特許文献1〜4の方法では、成膜処理時に装置内部の磁石以外の部分(例えば真空チャンバーの内壁)にも多量に希土類金属が堆積するため、貴重資源である重希土類元素の省資源化に反することになる。
特許文献5の方法においては、磁石の表面にのみ選択的にDyやTbなどが付着堆積するため、資源的に乏しく高価なDyやTbなどを有効利用できるとしている。しかしながら、特許文献5の方法は、DyやTbなどの金属蒸発材料を配置した処理室を1000℃以上に加熱して金属蒸発材料の飽和雰囲気を形成し、その蒸気雰囲気と磁石の温度差によって磁石表面に金属蒸発材料の厚膜を短時間(実施例では1分)で成膜した後、処理室から取り出し、別途、拡散処理を施すため、この方法においても、特許文献1〜4の場合と同様に、磁石表層領域では、Dyが主相中にも拡散することを避けられず、残留磁束密度Brが低下してしまう。
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、重希土類元素RHが主相結晶粒の内部に粒内拡散することを抑制することにより残留磁束密度をほとんど低下させることなく保磁力を向上させたR−Fe−B系希土類焼結磁石および前記R−Fe−B系希土類焼結磁石の製造方法を提供することにある。
本発明の他の目的は、R−Fe−B系希土類焼結磁石において希少資源である重希土類元素RHを有効活用し、その使用量を低減することにある。
本発明のR−Fe−B系希土類焼結磁石の製造方法は、重希土類元素RH(Dy、Ho、およびTbからなる群から選択された少なくとも1種)を含有するバルク体を処理室内に配置し、前記処理室を700℃以上1100℃以下に加熱することにより、処理室内の少なくとも前記バルク体近傍にRH蒸気雰囲気を形成する工程(A)と、前記処理室内に、R−Fe−B系希土類焼結磁石体を搬入する工程(B)と、前記R−Fe−B系希土類焼結磁石体を前記バルク体と対向配置させて10分以上600分以下の時間保持することにより、前記重希土類元素RHを前記R−Fe−B系希土類焼結磁石体の表面に供給しつつ、前記重希土類元素RHを前記R−Fe−B系希土類焼結磁石体の内部に拡散させる工程(C)とを含む。
好ましい実施形態において、前記工程(C)において、前記バルク体と前記R−Fe−B系希土類焼結磁石体との平均間隔を0.1mm以上300mm以下の範囲内に設定する。
好ましい実施形態において、前記工程(C)において、前記バルク体および前記R−Fe−B系希土類焼結磁石体の温度を700℃以上1100℃以下の範囲内に10分〜600分保持する。
好ましい実施形態において、前記工程(C)において、前記処理室内の雰囲気ガスの圧力を10-5〜500Paの範囲内に調整する。
好ましい実施形態において、前記工程(C)において、前記R−Fe−B系希土類焼結磁石体の温度と前記バルク体の温度との温度差を10分〜600分の間20℃以内に保持する。
好ましい実施形態において、前記工程(B)を行う前、前記R−Fe−B系希土類焼結磁石体を前もって加熱する工程を行う。
本発明のR−Fe−B系希土類焼結磁石は、上記のいずれかの製造方法によって製造されたR−Fe−B系希土類焼結磁石である。
本発明による他のR−Fe−B系希土類焼結磁石は、軽希土類元素RL(NdおよびPrの少なくとも1種)を主たる希土類元素Rとして含有するR−Fe−B系希土類焼結磁石体と、前記R−Fe−B系希土類焼結磁石体の表面に堆積された重希土類元素RH(Dy、Ho、およびTbからなる群から選択された少なくとも1種)の膜とを備える製造途中のR−Fe−B系希土類焼結磁石であって、前記重希土類元素RHの膜が堆積された直後において、前記膜の厚さは1μm以下であり、かつ、軽希土類元素RLの一部が重希土類元素RHによって置換されている。
本発明では、重希土類元素RH(Dy、Ho、およびTbからなる群から選択された少なくとも1種)を焼結磁石体の表面に供給しつつ拡散を行うことにより、重希土類元素RHが主相結晶粒の内部に粒内拡散することを抑制できるため、残留磁束密度がほとんど低下することなく保磁力を向上させたR−Fe−B系希土類焼結磁石を得ることができる。また、希少資源であるRHを有効活用し、その使用量を低減させた前記R−Fe−B系希土類焼結磁石の製造方法を実現できる。
本発明のR−Fe−B系希土類焼結磁石の製造方法では、気化(昇華)しにくい重希土類元素RHのバルク体を処理室内に配置し、700℃以上1100℃以下に加熱することにより処理室内の少なくとも前記バルク体近傍にRH蒸気雰囲気を形成した後、前記処理室内にR−Fe−B系希土類焼結磁石を搬入し、10分以上600分以下の時間保持する。これにより、前記焼結磁石体の表面に重希土類元素RHが飛来するが、RHバルク体の温度が700℃以上1100℃以下であるので、RHバルク体の気化(昇華)をRH膜の成長速度がRHの磁石内部への拡散速度よりも極度に大きくならない程度に抑制しており、焼結磁石体の表面に飛来した重希土類元素RHは速やかに磁石体内部に拡散する。700℃以上1100℃以下の温度範囲は、重希土類元素RHの気化(昇華)がほとんど生じないか比較的生じにくい温度であるが、R−Fe−B系希土類焼結磁石における希土類元素の拡散が活発に生じる温度でもある。このため、磁石体表面に飛来した重希土類元素RHが磁石体表面に膜を形成するよりも優先的に、磁石体内部への粒界拡散を促進させることが可能になる。
なお、本明細書では、重希土類バルク体(RHバルク体)から重希土類RHを焼結磁石体表面に供給しつつ、重希土類RHを焼結磁石体の表面から内部に拡散させることを簡単に「蒸着拡散」と称する場合がある。本発明によれば、焼結磁石体表面の近傍に位置する主相の内部に重希土類元素RHが拡散して行く速度(レート)よりも高い速度で重希土類元素RHが磁石内部に拡散・浸透して行くことになる。
従来、Dyなどの重希土類元素RHの気化(昇華)には、1500℃を超える高温に加熱することが必要であると考えられており、700℃以上1100℃以下の加熱では磁石体表面にDyを析出させることは無理であると考えられていた。しかしながら、本発明者の実験によると、従来の予測に反し、700℃以上1100℃以下でも対向配置された希土類磁石に重希土類元素RHを供給し、拡散させることが可能であることがわかった。
重希土類元素RHの膜(RH膜)を焼結磁石体の表面に形成した後、熱処理により焼結磁石体の内部に拡散させる従来技術では、RH膜と接する表層領域で「粒内拡散」が顕著に進行し、磁石特性が劣化してしまう。これに対し、本発明では、RH膜の成長レートを低く抑えた状態で、重希土類元素RHを焼結磁石体の表面に供給しながら、焼結磁石体の温度を拡散に適したレベルに保持するため、磁石体表面に飛来した重希土類元素RHが、粒界拡散によって速やかに焼結磁石体内部に浸透して行く。このため、表層領域においても、「粒内拡散」よりも優先的に「粒界拡散」が生じ、残留磁束密度Brの低下を抑制し、保磁力HcJを効果的に向上させることが可能になる。
R−Fe−B系希土類焼結磁石の保磁力発生機構はニュークリエーション型であるため、主相外殻部における結晶磁気異方性が高められると、主相における粒界相の近傍で逆磁区の核生成が抑制される結果、主相全体の保磁力HcJが効果的に向上する。本発明では、焼結磁石体の表面に近い領域だけでなく、磁石表面から奥深い領域においても重希土類置換層を主相外殻部に形成することができるため、磁石全体にわたって結晶磁気異方性が高められ、磁石全体の保磁力HcJが充分に向上することになる。したがって、本発明によれば、消費する重希土類元素RHの量が少なくとも、焼結体の内部まで重希土類元素RHを拡散・浸透させることができ、主相外殻部で効率良く重希土類元素RHが濃縮された層を形成することにより、残留磁束密度Brの低下を抑制しつつ保磁力HcJを向上させることが可能になる。
主相外殻部で軽希土類元素RLと置換させるべき重希土類元素RHとしては、蒸着拡散の起こりやすさ、コスト等を考慮すると、Dyが最も好ましい。ただし、Tb2Fe14Bの結晶磁気異方性は、Dy2Fe14Bの結晶磁気異方性よりも高く、Nd2Fe14Bの結晶磁気異方性の約3倍の大きさを有しているので、Tbを蒸着拡散させると、焼結磁石体の残留磁束密度を下げずに保磁力を向上させることが最も効率的に実現できる。Tbを用いる場合は、Dyを用いる場合よりも、高温高真空度で蒸着拡散を行うことが好ましい。
上記説明から明らかなように、本発明では、必ずしも原料合金の段階において重希土類元素RHを添加しておく必要はない。すなわち、希土類元素Rとして軽希土類元素RL(NdおよびPrの少なくとも1種)を含有する公知のR−Fe−B系希土類焼結磁石を用意し、その表面から重希土類元素RHを磁石内部に拡散する。従来の重希土類層のみを磁石表面に形成した場合は、拡散温度を高めても、磁石内部の奥深くまで重希土類元素RHを拡散させることは困難であったが、本発明によれば、重希土類元素RHの粒界拡散により、焼結磁石体の内部に位置する主相の外殻部にも重希土類元素RHを効率的に供給することが可能になる。もちろん、本発明は、原料合金の段階において重希土類元素RHが添加されているR−Fe−B系焼結磁石に対して適用しても良い。ただし、原料合金の段階で多量の重希土類元素RHを添加したのでは、本発明の効果を充分に奏することはできないため、相対的に少ない量の重希土類元素RHが添加され得る。
次に、図1および図2を参照しながら、本発明による拡散処理の好ましい例を説明する。図1は、本発明で好適に用いられ得る蒸着拡散装置の一構成例を示す断面図であり、図2は、その装置の平面構成を示す図である。図2では、上方から装置の内部を透視した構成を概略的に記載している。
図示されている蒸着拡散装置は、準備室10および処理室11の2室を備えている。準備室10の入口側には開閉可能な搬出入口14aが設けられ、処理室11の出口側には開閉可能な搬出入口14cが設けられている。また、準備室10と処理室11との間には開閉可能な搬出入口14bが設けられている。これらの搬出入口14a、14b、14cは、それぞれ独立して開閉することができる。図1に示す例では、搬出入口14aは開いた状態にあるため、準備室10は外部と連通している。一方、搬出入口14b、14cは閉じた状態にあるため、処理室11は準備室10および外部の何れとも連通していない。準備室10および処理室11は、それぞれ、バルブ15を解して排気システムに接続されている。なお、搬出入口14cの外側に後処理室(不図示)を設けても良い。
この装置例では、図1に示すように焼結磁石体1を載置したMo板3が図中左側から右側に向かってコンベア13上を移動することができる。焼結磁石体1の載置に使用される部材は、Mo板に限られず、他の高融点材料(例えば耐熱性セラミックス)から形成されたものであってもよい。また、部材形状も、板状である必要は無く、他の形状(例えば羽状)であってもよい。処理室11には、RHバルク体2が焼結磁石体1と対向するように配置されている。
準備室10および処理室11の内部は、それぞれ、不図示のヒータによって加熱される。このため、準備室10および処理室11のうち高温に加熱される部分は全て高融点材料から形成されている。
Mo板3に静置された焼結磁石体1は、コンベア13によって搬出入口14aを介して準備室10に搬入される。準備室10では、焼結磁石体1の温度および雰囲気圧を調整することができる。温度および雰囲気圧の好ましい値については後述する。焼結磁石体1はMo板3上に静置されたまま搬出入口14bを介して処理室11に搬入される。処理室11における焼結磁石体1は、図2に示すようにコンベア13の両横に配置されたRHバルク体2と所定間隔をあけて対向配置されて所定時間保持される。所定時間経過後は、焼結磁石体1は搬出入口14bを介して準備室10に戻っても良いし、または搬出入口14cを介して外部に搬出されてもよい。
なお、本明細書において、「処理室から焼結磁石体が搬出される」とは、RHバルク体を設置した処理室から焼結磁石体が搬出されることを意味し、必ずしも処理装置全体から外部に搬出されることを意味するものではない。すなわち、処理室11から図1および図2に示す準備室10に戻る場合や、処理室11の搬出入口14cの外に設置され得る不図示の後処理室に搬出される場合も含んでいることとする。
なお、処理室11内での焼結磁石体1およびRHバルク体2の配置構成は、上記の例に限定されず、任意である。ただし、焼結磁石体1とRHバルク体2との間を遮断するような構成は採用されるべきではない。本願における「対向」とは焼結磁石体とRHバルク体が間を遮断されることなく向かい合っていることを意味する。また、「対向配置」とは、主たる表面どうしが平行となるように配置されていることを必要としない。なお、焼結磁石体1とRHバルク体2との間に、高融点金属から形成された例えば網状の部材が配置されていても良い。このような部材は、RHバルク体2から気化または昇華した重希土類元素RHが焼結磁石体1の表面に移動することを「遮断」しないからである。
また、図1および図2においては準備室10および処理室11の2室が横に連結され、焼結磁石体1が水平に移動する連続炉を図示しているが、必ずしもこのような構成に限定されず、準備室10、処理室11の2室が上下方向に連結され、焼結磁石体1が垂直に移動する連続炉であっても構わない。
本発明においては、まず、処理室11内にRHバルク体2を配置し、不図示の加熱装置で処理室11を加熱することにより、処理室11の雰囲気温度を上昇させる。このとき、処理室11の雰囲気温度を、例えば700℃〜1100℃、好ましくは850℃〜1000℃の範囲に調整する。RHバルク体の温度も処理室の雰囲気温度の上昇に従って上昇し、ほどなく前記温度範囲に到達する。この温度領域では、重希土類金属RHの蒸気圧は僅かであり、ほとんど気化せず、処理室11内で重希土類金属RHの蒸気を飽和状態にすることはできない。従来の技術常識によれば、このような温度範囲では、RHバルク体2から蒸発させた重希土類元素RHを焼結磁石体1の表面に供給し、成膜することはできないと考えられていた。
しかしながら、本発明者は、前記温度領域であっても、RHバルク体2の近傍に僅かにRHの蒸気を発生させることができ、焼結磁石体1とRHバルク体2とを接触させることなく、近接配置させることにより、焼結磁石体1の表面に毎時数μm(例えば0.5〜5μm/Hr)の低いレートで重希土類金属を析出させることが可能であり、しかも、焼結磁石体1の温度をRHバルク体2の温度と同じかそれよりも高い適切な温度範囲内に調節することにより、気相から析出した重希土類金属RHを、そのまま焼結磁石体1の内部に深く拡散させ得ることを見出した。この温度範囲は、RH金属が焼結磁石体1の粒界相を伝って内部へ拡散する好ましい温度領域であり、RH金属のゆっくりとした析出と磁石体内部への急速な拡散が効率的に行われることになる。
本発明では、上記のようにして僅かに気化したRHを焼結磁石体表面に低いレートで析出させるため、従来の気相成膜によるRHの析出のように、1100℃を超える高温に処理室内を加熱したり、焼結磁石体やRHバルク体に電圧を付加したり、処理室全体をRH蒸気雰囲気にする必要がない。
本発明では、前述のように、RHバルク体の気化(昇華)を抑制しつつ、焼結磁石体の表面に飛来した重希土類元素RHを速やかに磁石体内部に拡散させる。このためには、RHバルク体2の温度は700℃以上1100℃以下の範囲内に設定するが、温度範囲の上限は1000℃以下にすることが好ましい。なお、焼結磁石体1の温度も、700℃以上1100℃以下の範囲内に設定することが好ましいが、処理室11に搬入された当初は室温〜700℃であってもかまわない。その場合も処理室11内で保持されるうちに焼結磁石体1の温度は上昇するため、処理室11内で10分〜600分の間、700℃以上1100℃以下の範囲内に保持することが好ましく、RHバルク体との温度差を20℃以内に保持していることが更に好ましい。
焼結磁石体1とRHバルク体2の間隔は0.1mm〜300mmに設定することが好ましい。この間隔は、1mm以上50mm以下であることが好ましく、20mm以下であることがより好ましく、10mm以下であることが更に好ましい。このような距離で離れた状態を維持できれば、焼結磁石体1とRHバルク体2の配置関係は上下でも左右でもよい。
処理室11内に焼結磁石体1が保持されている間、焼結磁石体1は一箇所にとどまっていても良いし、前記間隔を保ったままゆっくりと移動していてもよいが、その場合も、RHバルク体2と焼結磁石体1の間隔および温度が前記範囲内に保持されている時間が10分〜600分の範囲に設定されることが好ましい。
焼結磁石体1は前記所定時間経過後、搬出入口14bから元に戻っても良いし、反対側の搬出入口14cから反対側に搬出され、替わりに新たな焼結磁石体1が搬出入口14bから搬入されると言うように、連続的に処理を行っても良い。このように、連続で処理を行えば生産性が向上する。
図示されている例においては、搬出入口14bの前に準備室10が設けられており、焼結磁石体1の温度と雰囲気圧を調整できる。処理室11に搬入される時の焼結磁石体1の温度は処理室11の雰囲気温度−100℃より高いことが好ましく、処理室11の雰囲気温度−20℃より高いことがより好ましい。前記よりも焼結磁石体1の温度が低いと、温度差により焼結磁石体1の表面に必要以上にRHが付着し、RHが磁石体表面に成膜されるより優先的に磁石内部に拡散していくという本発明のメリットが達成されにくくなるからである。また、準備室10内で雰囲気圧を調整することにより、搬出入時の雰囲気の流出入を防ぐことができる。
また、搬出入口14cの後に別に不図示の後処理室を設け、焼結磁石体1を搬出後、前記処理室内で後述の追加熱処理や冷却、時効処理などを行っても良い。
また、気化したRHは上記のような距離範囲内であれば均一なRH雰囲気を形成するので、対向している面の面積は問われず、お互いの最も狭い面積の面が対向していてもよい。発明者の検討によれば、焼結磁石体1の磁化方向(c軸方向)と垂直にRHバルク体を設置した時、RHは最も効率よく焼結磁石体1の内部に拡散することがわかった。これは、RHが焼結磁石体1の粒界相を伝って内部へ拡散する際、磁化方向の拡散速度がその垂直方向の拡散速度よりも大きいからであると考えられる。磁化方向の拡散速度がその垂直方向の拡散速度よりも大きい理由は、結晶構造による異方性の違いによるものと推定される。
従来の蒸着装置の場合、蒸着材料供給部分の周りの機構が障害となったり、蒸着材料供給部分に電子線やイオンを当てる必要があるため、蒸着材料供給部分と被処理物との間に相当の距離を設ける必要があった。このため、本発明のように、蒸着材料供給部分(RHバルク体2)を被処理物(焼結磁石体1)に近接して配置させることが行われてこなかった。その結果、蒸着材料を充分に高い温度に加熱し、充分に気化させない限り、被処理物上に蒸着材料を充分に供給できないと考えられていた。これに対し、本発明では、蒸着材料を気化(昇華)させるための特別な機構を必要とせず、処理室全体の温度を制御することにより、磁石表面にRH金属を析出させることができる。
また、本発明では、RH金属の気化量は少ないが、焼結磁石体1とRHバルク体2とが非接触かつ至近距離に配置されるため、気化したRH金属が焼結磁石体表面に効率よく析出し、処理室内の壁面などに付着することが少ない。さらに、処理室内の壁面がNbなどの耐熱合金やセラミックスなどRHと反応しない材質で作製されていれば、壁面に付着したRH金属は再び気化し、最終的には焼結磁石体表面に析出する。このため、貴重資源である重希土類元素RHの無駄な消費を抑制することができる。
本発明で行う拡散工程の処理温度範囲では、RHバルク体は溶融軟化しにくく、その表面からRH金属が気化(昇華)するため、一回の処理工程でRHバルク体の外観形状に大きな変化は生じず、繰り返し使用することが可能である。また、大掛かりな装置を必要としないため、一般的な真空熱処理炉が活用でき、製造コストの上昇を避けることが可能であり、実用的である。
熱処理時における処理室内は不活性雰囲気であることが好ましい。本明細書における「不活性雰囲気」とは、真空、または不活性ガスで満たされた状態を含むものとする。また、「不活性ガス」は、例えばアルゴン(Ar)などの希ガスであるが、RHバルク体および焼結磁石体との間で化学的に反応しないガスであれば、「不活性ガス」に含まれ得る。不活性ガスの圧力は、大気圧よりも低い値を示すように減圧される。処理室内の雰囲気圧力が大気圧に近いと、RHバルク体からRH金属が焼結磁石体の表面に供給されにくくなるが、拡散量は磁石表面から内部への拡散速度によって律速されるため、処理室内の雰囲気圧力は例えば102Pa以下であれば充分で、それ以上処理室内の雰囲気圧力を下げても、RH金属の拡散量(保磁力の向上度)は大きくは影響されない。拡散量は、圧力よりも焼結磁石体の温度に敏感である。
焼結磁石体の表面に飛来し、析出したRH金属は、雰囲気の熱および磁石界面におけるRH濃度の差を駆動力として、粒界相中を磁石内部に向かって拡散する。このとき、R2Fe14B相中の軽希土類元素RLの一部が、磁石表面から拡散浸透してきた重希土類元素RHによって置換される。その結果、R2Fe14B相の外殻部に重希土類元素RHが濃縮された層が形成される。
このようなRH濃縮層の形成により、主相外殻部の結晶磁気異方性が高められ、保磁力HcJが向上することになる。すなわち、少ないRH金属の使用により、磁石内部の奥深くにまで重希土類元素RHを拡散浸透させ、主相外殻部に効率的にRH濃化層を形成するため、残留磁束密度Brの低下を抑制しつつ、磁石全体にわたって保磁力HcJを向上させることが可能になる。
従来技術によれば、Dyなどの重希土類元素RHが焼結磁石体の表面に堆積する速さ(膜の成長速度)が、重希土類元素RHが焼結磁石体の内部に拡散する速さ(拡散速度)に比較して格段に高かった。このため、焼結磁石体の表面に厚さ数μm以上のRH膜を形成した上で、そのRH膜から重希土類元素RHが焼結磁石体の内部に拡散していた。気相からではなく固相であるRH膜から供給される重希土類元素RHは、粒界を拡散するだけではなく、焼結磁石体の表層領域に位置する主相の内部にも粒内拡散し、残留磁束密度Brの低下を引き起こしていた。主相内部にも重希土類元素RHが粒内拡散し、主相と粒界相との間でRH濃度に差異がなくなる領域は、焼結磁石体の表層領域(例えば厚さ100μm以下)に限定されるが、磁石全体の厚さが薄い場合は、残留磁束密度Brの低下を避けることはできなくなる。
しかしながら、本発明によれば、気相から供給されるDyなどの重希土類元素RHが、焼結磁石体の表面に衝突した後、焼結磁石体の内部に速やかに拡散して行く。このことは、重希土類元素RHが表層領域に位置する主相の内部に拡散する前に、より高い拡散速度で粒界相を通じて焼結磁石体の内部に奥深く浸透して行くことを意味している。
本発明によれば、焼結磁石体の表面から深さ100μmまでの表層領域において、R2Fe14B型化合物結晶粒の中央部における重希土類元素RHの濃度と、R2Fe14B型化合物結晶粒の粒界相における重希土類元素RHの濃度との間に1原子%以上の差異が発生している。残留磁束密度Brの低下を抑制するには、2原子%の濃度差を形成することが好ましい。
また、拡散するRHの含有量は、磁石全体の重量比で0.05%以上1.5%以下の範囲に設定することが好ましい。1.5%を超えると、残留磁束密度Brの低下を抑制できなくなる可能性があり、0.1%未満では、保磁力HcJの向上効果が小さいからである。上記の温度領域および圧力で、10〜180分熱処理することにより、0.1%〜1%の拡散量が達成できる。処理時間は、RHバルク体および焼結磁石体の温度が700℃以上1100℃以下および圧力が10-5Pa以上500Pa以下にある時間を意味し、必ずしも特定の温度、圧力に一定に保持される時間のみを表すのではない。
焼結磁石の表面状態はRHが拡散浸透しやすいよう、より金属状態に近い方が好ましく、事前に酸洗浄やブラスト処理等の活性化処理を行った方がよい。プラズマ処理等の乾式処理であれば、前記準備室10内で行うこともできる。ただし、本発明では、重希土類元素RHが気化し、活性な状態で焼結磁石体の表面に被着すると、固体の層を形成するよりも高い速度で焼結磁石体の内部に拡散していく。このため、焼結磁石体の表面は、例えば焼結工程後や切断加工が完了した後の酸化が進んだ状態にあってもよい。
本発明によれば、主として粒界相を介して重希土類元素RHを拡散させることができるため、処理時間を調節することにより、磁石内部のより深い位置へ効率的に重希土類元素RHを拡散させることが可能である。
RHバルク体の形状・大きさは特に限定されず、板状であってもよいし、不定形(石ころ状)であってもよい。RHバルク体に多数の微小孔(直径数10μm程度)が存在してもよい。RHバルク体は少なくとも1種の重希土類元素RHを含むRH金属またはRHを含む合金から形成されていることが好ましい。また、RHバルク体の材料の蒸気圧が高いほど、単位時間あたりのRH導入量が大きくなり、効率的である。重希土類元素RHを含む酸化物、フッ化物、窒化物などは、その蒸気圧が極端に低くなり、本条件範囲(温度、真空度)内では、ほとんど蒸着拡散が起こらない。このため、重希土類元素RHを含む酸化物、フッ化物、窒化物などからRHバルク体を形成しても、保磁力向上効果が得られない。
本発明によれば、例えば厚さ3mm以上の厚物磁石に対しても、僅かな量の重希土類元素RHを用いて残留磁束密度Brおよび保磁力HcJの両方を高め、高温でも磁気特性が低下しない高性能磁石を提供することができる。このような高性能磁石は、超小型・高出力モータの実現に大きく寄与する。粒界拡散を利用した本発明の効果は、厚さが10mm以下の磁石において特に顕著に発現する。
本発明においては、焼結磁石体の表面全体から重希土類元素RHを拡散浸透させても良いし、焼結磁石体表面の一部分から重希土類元素RHを拡散浸透させても良い。焼結磁石体表面の一部分からRHを拡散浸透させるには、例えば、焼結磁石体のうちRHを拡散浸透させたくない部分をマスキングする等して、上記の方法と同様の方法で熱処理すればよい。このような方法によれば、部分的に保磁力HcJが向上した磁石を得ることができる。
本発明の蒸着拡散工程を経た磁石に対して、さらに追加熱処理を行うと、保磁力(HcJ)をさらに向上させることができる。追加熱処理の条件(処理温度、時間)は、蒸着拡散条件と同様の条件でよく、700℃〜1100℃の温度で、10分〜600分保持することが好ましい。
追加熱処理は、例えば図1および図2に示す例で説明すると、拡散工程終了後、処理室11内のAr分圧を103Pa程度に上げて重希土類元素RHを蒸発させないようにし、そのまま熱処理のみを行ってもよいし、搬出入口14cより不図示の後処理室に移動し、後処理室内において上記条件で熱処理を行ってもよい。
蒸着拡散を施すことにより、焼結磁石体における抗折強度などの機械的強度が向上するため、実用上好ましい。これは、蒸着拡散時において、焼結磁石体に内在する歪の開放が起こったり、加工劣化層が回復したり、重希土類元素RHが拡散していくことにより、主相と粒界相との結晶整合性が向上した結果であると推測される。主相と粒界相との結晶整合性が向上すると、粒界が強化され、粒界破断に対する耐性が向上する。
以下、本発明によるR−Fe−B系希土類焼結磁石を製造する方法の好ましい実施形態を説明する。
(実施形態1)
[原料合金]
まず、25質量%以上40質量%以下の軽希土類元素RLと、0.6質量%〜1.6質量%のB(硼素)と、残部Feおよび不可避的不純物とを含有する合金を用意する。Bの一部はC(炭素)によって置換されていてもよいし、Feの一部(50原子%以下)は、他の遷移金属元素(例えばCoまたはNi)によって置換されていてもよい。この合金は、種々の目的により、Al、Si、Ti、V、Cr、Mn、Ni、Cu、Zn、Ga、Zr、Nb、Mo、Ag、In、Sn、Hf、Ta、W、Pb、およびBiからなる群から選択された少なくとも1種の添加元素Mを0.01〜1.0質量%程度含有していてもよい。
上記の合金は、原料合金の溶湯を例えばストリップキャスト法によって急冷して好適に作製され得る。以下、ストリップキャスト法による急冷凝固合金の作製を説明する。
まず、上記組成を有する原料合金をアルゴン雰囲気中において高周波溶解によって溶融し、原料合金の溶湯を形成する。次に、この溶湯を1350℃程度に保持した後、単ロール法によって急冷し、例えば厚さ約0.3mmのフレーク状合金鋳片を得る。こうして作製した合金鋳片を、次の水素粉砕前に例えば1〜10mmの大きさのフレーク状に粉砕する。なお、ストリップキャスト法による原料合金の製造方法は、例えば、米国特許第5、383、978号明細書に開示されている。
[粗粉砕工程]
上記のフレーク状に粗く粉砕された合金鋳片を水素炉の内部へ収容する。次に、水素炉の内部で水素脆化処理(以下、「水素粉砕処理」と称する場合がある)工程を行う。水素粉砕後の粗粉砕合金粉末を水素炉から取り出す際、粗粉砕粉が大気と接触しないように、不活性雰囲気下で取り出し動作を実行することが好ましい。そうすれば、粗粉砕粉が酸化・発熱することが防止され、磁石の磁気特性の低下が抑制できるからである。
水素粉砕によって、希土類合金は0.1mm〜数mm程度の大きさに粉砕され、その平均粒径は500μm以下となる。水素粉砕後、脆化した原料合金をより細かく解砕するとともに冷却することが好ましい。比較的高い温度状態のまま原料を取り出す場合は、冷却処理の時間を相対的に長くすれば良い。
[微粉砕工程]
次に、粗粉砕粉に対してジェットミル粉砕装置を用いて微粉砕を実行する。本実施形態で使用するジェットミル粉砕装置にはサイクロン分級機が接続されている。ジェットミル粉砕装置は、粗粉砕工程で粗く粉砕された希土類合金(粗粉砕粉)の供給を受け、粉砕機内で粉砕する。粉砕機内で粉砕された粉末はサイクロン分級機を経て回収タンクに集められる。こうして、0.1〜20μm程度(典型的には3〜5μm)の微粉末を得ることができる。このような微粉砕に用いる粉砕装置は、ジェットミルに限定されず、アトライタやボールミルであってもよい。粉砕に際して、ステアリン酸亜鉛などの潤滑剤を粉砕助剤として用いてもよい。
[プレス成形]
本実施形態では、上記方法で作製された磁性粉末に対し、例えばロッキングミキサー内で潤滑剤を例えば0.3wt%添加・混合し、潤滑剤で合金粉末粒子の表面を被覆する。次に、上述の方法で作製した磁性粉末を公知のプレス装置を用いて配向磁界中で成形する。印加する磁界の強度は、例えば1.5〜1.7テスラ(T)である。また、成形圧力は、成形体のグリーン密度が例えば4〜4.5g/cm3程度になるように設定される。
[焼結工程]
上記の粉末成形体に対して、650〜1000℃の範囲内の温度で10〜240分間保持する工程と、その後、上記の保持温度よりも高い温度(例えば1000〜1200℃)で焼結を更に進める工程とを順次行なうことが好ましい。焼結時、特に液相が生成されるとき(温度が650〜1000℃の範囲内にあるとき)、粒界相中のRリッチ相が融け始め、液相が形成される。その後、焼結が進行し、焼結磁石体が形成される。前述の通り、焼結磁石体の表面が酸化された状態でも蒸着拡散処理を施すことができるため、焼結工程の後、時効処理(400℃〜700℃)や寸法調整のための研削を行っても良い。
[蒸着拡散工程]
次に、こうして作製された焼結磁石体に重希土類元素RHを効率良く拡散浸透させて、保磁力HcJを向上させる。具体的には、例えば図1および図2に示す処理室内に重希土類元素RHを含むRHバルク体を配置して加熱することにより、少なくともRHバルク体近傍にRH蒸気雰囲気を形成した後、焼結磁石体を処理室内に搬入してRHバルク体と対向配置させることにより、RHバルク体から重希土類元素RHを焼結磁石体の表面に供給しつつ、焼結磁石体の内部に拡散させる。
本実施形態における拡散工程では、焼結磁石体の温度は処理室内に搬入される前にバルク体の温度と同じかそれ以上に設定されていることが好ましいが、搬入前に室温〜700℃の温度であった焼結磁石体も処理室内で速やかに温度が上昇し、バルク体の温度と同じかそれ以上に保持されることが好ましい。ここで、焼結磁石体の温度をバルク体の温度と同じとは、両者の温度差が20℃以内にあることを意味するものとする。具体的には、RHバルク体の温度を700℃以上1100℃以下の範囲内に設定し、かつ、焼結磁石体の温度を700℃以上1100℃以下の範囲内に設定することが好ましい。また、焼結磁石体とRHバルク体の間隔は、前述の通り、0.1mm〜300mm、好ましくは3mm〜100mm、より好ましくは4mm〜50mmに設定する。
本発明の好ましい実施形態では、重希土類元素RHの膜が堆積された直後において、焼結磁石体の表面に堆積するRH膜の厚さを例えば1μm以下に抑えることが可能である。処理室内におけるRHバルク体の温度を比較的低く設定することにより、RH膜の成長レートを抑制できるからである。また、処理室内に導入する焼結磁石体を前もって加熱しておくことにより、重希土類元素RHの拡散を促進できるため、焼結磁石体の表面に飛来する重希土類元素RHを磁石体の内部に速やかに拡散させることができる。その結果、RH膜は磁石体表面で厚く堆積せず、重希土類元素RHの膜の無駄な使用を避けることができる。なお、重希土類元素RHの膜が堆積された直後においても、軽希土類元素RLの一部が重希土類元素RHによって置換されているため、その後に拡散のための付加的な熱処理を行う必要性は特にない。
蒸着拡散工程時における雰囲気ガスの圧力は、10-5〜500Paであれば、RHバルク体の気化(昇華)が適切に進行し、蒸着拡散処理を行うことができる。効率的に蒸着拡散処理を行うためには、雰囲気ガスの圧力を10-3〜1Paの範囲内に設定することが好ましい。また、RHバルク体および焼結磁石体の温度を700℃以上1100℃以下の範囲内、焼結磁石体とRHバルク体の間隔を0.1mm〜300mmに保持する時間は、10分〜600分の範囲に設定されることが好ましい。ただし、保持時間は、RHバルク体および焼結磁石体の温度が700℃以上1100℃以下、焼結磁石体とRHバルク体の間隔を0.1mm〜300mmおよび圧力が10-5Pa以上500Pa以下にある時間を意味し、必ずしも特定の温度、間隔、圧力に一定に保持される時間のみを表すのではない。
本実施形態における拡散工程は、焼結磁石体の表面状況に敏感ではなく、拡散工程の前に焼結磁石体の表面にAl、Zn、またはSnからなる膜が形成されていてもよい。Al、Zn、およびSnは、低融点金属であり、しかも、少量であれば磁石特性を劣化させず、また上記の拡散の障害ともならないからである。 なお、バルク体は、一種類の元素から構成されている必要はなく、重希土類元素RHおよび元素X(Nd、Pr、La、Ce、Al、Zn、Sn、Cu、Co、Fe、Ag、およびInからなる群から選択された少なくとも1種)の合金を含有していてもよい。このような元素Xは、粒界相の融点を下げるため、重希土類元素RHの粒界拡散を促進する効果が期待できる。このような合金のバルク体とNd焼結磁石とを離間配置した状態で真空熱処理することにより、重希土類元素RHおよび元素Xを磁石表面上に蒸着するとともに、優先的に液相となった粒界相(Ndリッチ相)を介して磁石内部へ拡散させることができる。
また、拡散のための熱処理に際して、粒界相のNd、Prが微量ながら気化するため、元素XがNdおよび/またはPrであれば、蒸発したNdおよび/またはPrを補うことができ、好ましい。
拡散処理の後、前述の追加熱処理(700℃〜1100℃)を行っても良い。また、必要に応じて時効処理(400℃〜700℃)を行うが、追加熱処理(700℃〜1100℃)を行う場合は、時効処理はその後に行うことが好ましい。追加熱処理と時効処理とは、同じ処理室内で行っても良い。
実用上、蒸着拡散後の焼結磁石体に表面処理を施すことが好ましい。表面処理は公知の表面処理でよく、例えばAl蒸着や電気Niめっきや樹脂塗装などの表面処理を行うことができる。表面処理を行う前にはサンドブラスト処理、バレル処理、エッチング処理、機械研削等公知の前処理を行ってもよい。
また、拡散処理の後に寸法調整のための研削を行っても良い。このような工程を経ても、保磁力向上効果はほとんど変わらない。寸法調整のための研削量は、1〜300μm、より好ましくは5〜100μm、さらに好ましくは10〜30μmである。
まず、Nd:32.0、B:1.0、Co:0.9、Cu:0.1、Al:0.2、残部:Fe(質量%)の組成を有するように配合した合金を用いてストリップキャスト法により厚さ0.2〜0.3mmの合金薄片を作製した。
次に、この合金薄片を容器内に充填し、水素処理装置内に収容した。そして、水素処理装置内を圧力500kPaの水素ガス雰囲気で満たすことにより、室温で合金薄片に水素吸蔵させた後、放出させた。このような水素処理を行うことにより、合金薄片を脆化し、大きさ約0.15〜0.2mmの不定形粉末を作製した。
上記の水素処理により作製した粗粉砕粉末に対し粉砕助剤として0.05wt%のステアリン酸亜鉛を添加し混合した後、ジェットミル装置による粉砕工程を行うことにより、粉末粒径が約3μmの微粉末を作製した。
こうして作製した微粉末をプレス装置により成形し、粉末成形体を作製した。具体的には、印加磁界中で粉末粒子を磁界配向した状態で圧縮し、プレス成形を行った。その後、成形体をプレス装置から抜き出し、真空炉により1020℃で4時間の焼結工程を行った。こうして、焼結体ブロックを作製したあと、この焼結体ブロックを機械的に加工することにより、厚さ5mm(磁化方向)×縦7mm×横7mmの焼結磁石体を得た。
この焼結磁石体を0.3%硝酸水溶液で酸洗し、乾燥させた後、図1および図2に示す構成を有する準備室10内に図1に示すMo板3上に静置した状態で配置し、真空排気しながら昇温して900℃、1×10-2Paの雰囲気とした。焼結磁石体の温度が900℃に到達した後120分間保持した。
処理室11内のコンベア13の両側に、純度99.9%のDyから形成され30mm×50mm×5mmのサイズのRHバルク体を配置し、処理室11内を900℃、1×10-2Paの雰囲気に設定した。搬出入口14bのシャッターを開け、焼結磁石体をMo板3上に静置した状態で処理室11内にコンベア13にて搬入した。焼結磁石体とRHバルク体との間隔は10mmに設定した。
焼結磁石体を処理室11内に搬入した後,900℃、1×10-2Paの雰囲気にて120分間保持した。保持後、処理室11にArを導入し冷却した。冷却後の焼結磁石体に対し、500℃、2Pa、120分間時効熱処理を行った後、B−Hトレーサにて磁石特性を測定した(サンプル1)。
準備室10および処理室11での条件を変えた以外はサンプル1と同様の方法でサンプル2〜8を得た。また、サンプル0は、蒸着拡散を行わなかった比較例である。処理条件と磁石特性の結果を表1に示す。なお、特に示さない限り、表中の温度は焼結磁石体温度を意味することとする。この温度は、RHバルク体の温度にほぼ等しい。
Figure 0004962198
サンプル1、10〜12の条件では、準備室10において焼結磁石体の温度を処理室11の雰囲気温度と同じ温度(900℃または850℃)まで上昇させてから焼結磁石体を処理室11に搬入しており、効率的にDyの蒸着拡散が起こり、残留磁束密度(Br)をほとんど低下させずに保磁力(HcJ)が大幅に向上した。
サンプル2の条件では、処理室11に搬入されるときの焼結磁石体の温度は室温(20℃)であり、焼結磁石体が処理室11に搬入された当初は処理室11の雰囲気(RHバルク体近傍の雰囲気)との温度差により表面にDyが急激に蒸着され、その後磁石温度の上昇とともに粒界への拡散が進行していくため、サンプル1に比べ粒内拡散が進行しBrの低下もやや大きくなったものと推定している。
サンプル3、4は、処理室11の雰囲気温度が1150℃と大きいためDyの蒸発量(蒸気圧)が大きくなり、またこのような高温では磁石の主相結晶粒への粒内拡散も極端に進行するため、HcJは大きく向上しているが、Brの低下が著しい。
サンプル5〜8は、処理室11の雰囲気温度が650℃と低いため、Dy蒸着拡散がほとんど起こらず、保磁力HcJの向上がほとんど起こらないか、非常に小さい。
サンプル9は処理時間が7分と短いため、Dy蒸着拡散がほとんど起こらず、保磁力HcJの向上がほとんど起こらないか、非常に小さい。
本発明では、残留磁束密度がほとんど低下することなく保磁力を向上させたR−Fe−B系希土類焼結磁石を得ることができるため、各種電子機器やモータなどの技術分野において好適に利用され得る。また、重希土類元素RHを有効活用し、その使用量を低減できるため、希少資源の保護を図ることもできる。
本発明で好適に用いられ得る蒸着拡散装置の一構成例を示す断面図である。 本発明で好適に用いられ得る蒸着拡散装置の平面構成例を示す図である。
符号の説明
1 焼結磁石体
2 RHバルク体
3 Mo板
10 準備室
11 処理室
13 コンベア
14a 搬出入口
14b 搬出入口
14c 搬出入口
15 バルブ

Claims (7)

  1. 重希土類元素RH(Dy、Ho、およびTbからなる群から選択された少なくとも1種)を含有するバルク体を処理室内に配置し、前記処理室を700℃以上1100℃以下に加熱することにより、処理室内の少なくとも前記バルク体近傍にRH蒸気雰囲気を形成する工程(A)と、
    少なくとも前記バルク体近傍にRH蒸気雰囲気が形成されている前記処理室内に、R−Fe−B系希土類焼結磁石体を搬入する工程(B)と、
    前記R−Fe−B系希土類焼結磁石体を前記バルク体と対向配置させて10分以上600分以下の時間保持することにより、前記重希土類元素RHを前記R−Fe−B系希土類焼結磁石体の表面に供給しつつ、前記重希土類元素RHを前記R−Fe−B系希土類焼結磁石体の内部に拡散させる工程(C)と、を含み、
    前記工程(B)を行う前に前記R−Fe−B系希土類焼結磁石体を前もって加熱する工程を行い、前記工程(C)において前記R−Fe−B系希土類焼結磁石体の温度と前記バルク体の温度との温度差を10分〜600分の間20℃以内に保持する、R−Fe−B系希土類焼結磁石の製造方法。
  2. 前記工程(C)において、前記バルク体と前記R−Fe−B系希土類焼結磁石体との平均間隔を0.1mm以上300mm以下の範囲内に設定する、請求項1に記載のR−Fe−B系希土類焼結磁石の製造方法。
  3. 前記工程(C)において、前記バルク体および前記R−Fe−B系希土類焼結磁石体の温度を700℃以上1100℃以下の範囲内に10分〜600分保持する請求項1に記載のR−Fe−B系希土類焼結磁石の製造方法。
  4. 前記工程(C)において、前記処理室内の雰囲気ガスの圧力を10-5〜500Paの範囲内に調整する、請求項1に記載のR−Fe−B系希土類焼結磁石の製造方法。
  5. 前記工程(B)を行う前において、前記処理室に連結された準備室に前記R−Fe−B系希土類焼結磁石体を搬入し、
    前記工程(B)において、前記準備室から前記処理室に前記R−Fe−B系希土類焼結磁石体を搬入する、請求項1から4のいずれかに記載のR−Fe−B系希土類焼結磁石の製造方法。
  6. 前記R−Fe−B系希土類焼結磁石体を前記処理室に搬入するときの前記R−Fe−B系希土類焼結磁石体の温度を、前記処理室の雰囲気温度−100℃よりも高い値に設定する、請求項5に記載のR−Fe−B系希土類焼結磁石の製造方法。
  7. 請求項1から6のいずれかに記載された製造方法よって製造されたR−Fe−B系希土類焼結磁石。
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