JP4961145B2 - 鋏型ガイドを備えた乗り物座席振動システムのローラガイド - Google Patents

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Description

本発明は、鋏型ガイドを備えた乗り物座席振動システムのローラガイドであって、前記鋏型ガイドに鋏型クロスチューブを備え、該鋏型クロスチューブの2つの端部のそれぞれに、ハブとして機能するピンを1つずつ備え、少なくとも1つのピンには、プラスチック製の第1ローラが回転可能に配置され、該第1ローラがU型の走行レール内を走行し、該第1ローラの直径が、走行レール内を少しの遊びをもって走行するような直径に設定された、ローラガイドに関する(乗り物には、鉄道の車両、自動車、航空機、船舶等を含む)。
そのようなローラガイドは、鋏型振動システムの場合、乗り物座席(vehicle sheet)のベアリング(bearing)として十分よく知られている。この場合、ローラはプラスチックから射出成形部品として製造される。これらのローラは、U型の金属製走行レール中を走行する。大きな負荷が加わった場合、例えば、後端部衝突(rear-end collision)の場合、これらのローラが破損することが多い。ローラの破損は、大抵の場合、乗り物座席の比較的大きな変形という結果を招き、中には、結果的に、乗り物座席の個々の構成物の完全な故障、または乗り物座席全体の故障につながる場合もある。
上述した欠点を避けるため、ローラは金属部品又はプラスチック固体材質部品(plastic solid-material part)として、例えば、旋盤加工部品(turned part)として形成されている。これにより、ローラの破損を防止することはできるが、材料及び製造プロセスが、かなり高価になる。
したがって、本発明の目的は、一方で安価に製造可能でありながら、他方で、極限状態においても、ローラの大きな変形または起こりうるローラの破損によって乗り物座席の変形が起こらないような、ローラガイドを提供することである。
この目的は、請求項1のローラガイドにより達成できる。プラスチック製の第1ローラに加え、第1ローラよりも著しく硬度の大きなディスクがピンに回転可能に取り付けられているという事実により、高負荷が加わってプラスチック製の第1ローラが変形した場合にも、より硬いディスクが走行レール内で誘導(guidance)機能を果たすため、乗り物座席の変形が生じることがない。本願においては、硬度とは材料の強度を意味する。その比率は、通常、少なくとも1:5である。プラスチック製ローラ(例えば、材料強度60N/mmのもの)とスチール製の小板(例えば、材料強度500N/mm)を使用した好ましい使用態様の場合、この比率は、1:8〜1:10である。この比率は、しかしながら、使用する材質によっては、1:10以上であってもよい。このことは、ディスクの代わりに、第1ローラの直径よりもわずかに高さの小さい小板を使用した場合にも、同様に当てはまる。本願においては、わずかに小さな直径とは、通常運転負荷でのローラ圧縮に対して、変形が2つの直径の差の範囲内であることを意味する。材料の種類に応じて、この差は、0.2〜2.0mmの範囲である。ただし、適切な材料でありさえすれば、前記範囲より大きくてもよい。この場合、小板は、走行レールと平坦に接触(bear)することから、安全要素として、より高い安全性を提供する。第1ローラがわずかに変形しただけの場合(特に、破損していない場合)を考えると、ディスク(ディスクの場合はわずかに直径が小さいため)または小板(小板の場合はわずかに高さが小さいため)は、走行レールと接触せず、このため、従来技術の走行特性と変わらない走行特性が得られる。プラスチック製の第1ローラの破損または著しい変形の場合にだけ、これらのディスクまたは小板が、前記第1ローラの機能を果たす。
本発明の意味の範囲内においては、小板とは、長方形の小板も、他のいかなる輪郭の小板(例えば、菱形、三角形、多角形、半円形、又は、楕円形など)も含むと解されるべきである。またこれに関し、そのような小板の高さ(該小板が、ピン上の取り付け位置に配置された際の高さ)とは、垂直方向に重なり合う輪郭面上の2点間の距離の中で最も大きな距離と解されるべきである。この場合(特に小板を長方形として形成する場合)、幅については、ローラの直径より大きくてもよい。がたつきを回避するために、これらの小板を、例えば塗料又は適切なプラスチックで被覆してもよい。
本発明の好ましい発展例として、座席に取り付けられたシートベルトの上部接続部側に位置する鋏型クロスチューブの端部にだけ、ディスク又は小板を配置してもよい。この側の方が大きな負荷がかかるので、第1ローラの変形は、まず、この側で生じるが、ディスク又は小板により、前記変形に対処することができる。他方の側は、さらに大きな力が加わった場合に影響を受けるだけである。
本発明の他の好ましい発展例として、2つの端部のそれぞれに、第1ローラとディスク又は小板を1つずつ配置してもよい。これにより、他方の側も保護されるので、片側だけに実施する場合と比較して、安全性が増す。
ディスク又は小板は、好ましくは、スチールで構成される。スチールで構成することにより、ディスク又は小板は、非常に安定し、また、高負荷によっても破壊されることがない。このため、結果的に乗り物座席に損傷が生じるようなことがなくなる。さらに、そのようなディスクまたは小板は、例えば単純なスタンピング加工(stamping process)等により、非常に容易に製造できる。
本発明の他の好ましい発展例として、ピン上の、鋏型クロスチューブの端部と前記ディスクまたは小板との間に、ディスクの直径または小板の高さよりわずかに大きな直径を有するプラスチック製の第2ローラを回転可能に配置してもよい。このようにすることで、1つのローラ(第1ローラでも第2ローラでもよい)が大きく変形したり破損したりした場合にも、前記ローラガイドは、依然として残りのローラ上で走行レール内を移動できるので、ローラガイドの耐用年数をより長くすることができる。両方のローラに不具合が生じたときにはじめて、ローラより著しく硬い材質からなるディスク又は小板が作用し、いかなる場合にも乗り物座席に結果的損傷を与えないように、二つのローラの機能を担う。
本発明の他の好ましい発展例として、ディスク又は小板が第1ローラと全面で接し、鋏型クロスチューブの端部と平坦に接するかまたは第2ローラと全面で接するようにしてもよい。これにより、ディスク又は小板を、非常に薄いディスク又は小板として形成することができる。なぜなら、ディスク又は小板が第1ローラ及び第2ローラまたは鋏型クロスチューブの端部と接していることにより、ディスク又は小板の歪みが阻止されるからである。この場合、ディスク又は小板の厚さは、1mm〜5mmの範囲にまで薄くすることができる。スチールを使用した実施形態の場合の好ましい厚さは2mmである。
本発明の他の好ましい発展例として、ディスクを、ローラの1つに強固に結合させてもよい。これにより、ハブに取り付ける部品が1つ減り、組み立てが単純になる。これは、妥当な輪郭を有するものであれば、小板についても可能である。辺の数の多い多角形であれば、ほとんど円に近い形にすることができるので、小板がローラより突出することはない。これは、三角形の場合にはあてはまらない。なぜなら、ローラの直径よりわずかに小さい高さの三角形の小板の場合、三角形の角の部分が長く、ローラから突出してしまうからである。
本発明の他の好ましい発展例として、特に射出成形部品のインサート品として、ローラの1つに、ディスクを一体に組み込んでもよい。そのような一体化部品は非常に容易かつ安価に製造可能であり、同時に、大量生産品として高品質なものを製造できる。本段落で述べたことは、小板にも当てはまる。
第1ローラ及び/又は第2ローラは、射出成形部品として形成されることが好ましい。このため、従来技術で知られている、非常に容易かつ安価に製造可能なプラスチック部品を、これら2つのローラに使用することができる。
本発明の他の好ましい発展例については、図示した2つの実施例を参照しながら、より詳細に説明する。
図1に示す第1実施例は、第1ローラ6を介して走行レール4内を誘導される、鋏型クロスチューブ1の2つの端部のうちの1つを示す。以下に説明する構成については、全く同一の構成が、もう1つ、鋏型クロスチューブ1の他の端部(図示略)にも存在する。さらに、提示する解決手段は、鋏型クロスチューブ1のベアリング部全てにおいて実施してもよく、または、事故時に高負荷を受けるベアリング部など、選ばれた箇所に限って実施してもよい。図示した鋏型クロスチューブ1は、鋏型ガイドを備えた乗り物座席振動システムの一部であり、長い間、従来技術として知られている。乗り物座席振動システムの詳細設計については、本発明においては重要事項ではないので、詳細な説明は割愛している。
鋏型クロスチューブ1の端部2に、ピン3が備えられている。このピン3は、ハブとして機能する。ピン3上には、2つの要素、即ち、第1ローラ6及びディスク7が、回転可能に取り付けられている。この場合、ディスク7は、鋏型クロスチューブ1の端部2と、第1ローラ6との間に配置されている。
第1ローラ6及びディスク7は、ともに、U型の走行レール4内に配置されている。また、U型は、2個の突部5が鋏型クロスチューブ1に向かって延びだすように配置されている。走行レール4は、従来技術においてよく知られた部材であり、その設計は当業者の熟知するところであるので、走行レール4の設計についてより詳細に説明する必要は無い。
第1ローラ6は、射出成形部品としてプラスチックから製造される。鋏型クロスチューブ1が走行レール4内を誘導される際の摩擦が小さくなるよう、第1ローラ6の直径は、走行レール4の2つの突部5の間隔よりもわずかに小さく設定することが好ましい。追加してピン3に取り付けられているディスク7(ディスク7については、以下で、設計と機能の両面から説明することにする)を除き、本実施例のローラガイドは、鋏型ガイドを備えた乗り物座席振動システム用のローラガイドとして、従来技術においてよく知られているものである。
本発明の実施例においては、本発明のディスク7はスチール製である。ディスク7は、第1ローラ6のプラスチックよりも著しく硬く、また、ディスク7が負荷の一部を引き受けるため、ローラ6の破損防止に非常に役立つ。それでもローラ6の破損が生じた場合には、ディスク7が完全に負荷を引き受けるため、更なる座席の破損は生じない。事故時のローラ6の破損にともなって生じる座席の更なる破損については、衝突シミュレーションで十分に知られているため、ここでは詳細には説明しない。
ディスク7が負荷を引き受けることができるように、走行レールの2つの突出部5は、鋏型クロスチューブ1の方向に、前記鋏型クロスチューブ1の端部2に到達する長さまで延び出している。このようにすることで、ピン3上に回転可能に配置されたディスク7が、走行レール4内に配置されることになる。この設計により、一方で、第1ローラ6を非常に安価に製造し続けながら、同時に、異常な負荷が加わることによって第1ローラが破損したり大きく変形したりした場合の安全性を高めることが可能となる。この場合、ディスク7の直径は、第1ローラ6の直径よりも、わずかに小さく形成される。このようにすることで、通常の操作(第1ローラ6が破損していないことを前提とする)において、従来技術で知られているような良好なローラ誘導が得られる。なぜなら、この場合、ディスク7が、走行レール4の突部5と接触しないからである。
ディスク7は、歪むことがないので、非常に薄く形成できる(本実施例では、わずか2mmの厚さである)。本実施例においては、第1ローラ6の方向、即ち、鋏型クロスチューブ1から離脱する方向では、ディスク7の全表面が第1ローラ6に接触(bear)することによって、歪みが防止される。さらに、ディスク7の他の表面は、広い面積で、鋏型クロスチューブ1の端部2に接触しているため、鋏型クロスチューブ1の方向への歪みも防止される。このように薄いディスク7は、スタンピング加工(stamping process)等により、非常に安価に製造できるにもかかわらず、第1ローラ6が破損した場合の保護として、非常に素晴らしい機能を果たす。
図2に示す本発明の第2実施例のローラガイドは、概ね、図1に示す第1実施例に対応する。したがって、以下では、第1実施例に対する相違点のみを詳細に説明する。第1実施例と同一の部材又は同一の機能を果たす部材は、同一の参照番号を付す。
第1ローラ6に加え、鋏型クロスチューブ1のピン3上に、第2ローラ8が取り付けられている。この第2ローラ8は、スチール製のディスク7と鋏型クロスチューブ1の端部2との間に配置されている。第2ローラ8は、第1ローラ6の直径よりもわずかに大きな直径を備えている。第2ローラ8も同様にプラスチックで形成され、これもまた、射出成形部品として非常に安価に製造することができる。第2ローラ8の直径が第1ローラ6の直径よりわずかに大きく、同時に、走行レール4の2つの突部5のうちの1つが短くなっているので、ローラ6、8のいずれも、断面で見ると、片方の突部だけにベアリング接触するようになっており(第1ローラ6は上側の突部5に、第2ローラ8は下側の突部5に接触する)、このため、許容誤差の少ない場合にも、ローラ6、8の回転動作が容易になる。このタイプのローラ誘導は、長い間、この技術分野で知られており、このため、より詳細に説明する必要はない。また、このタイプのローラガイドに、安全要素としてディスク7を挿入する場合も、ディスク7の直径は、わずかにローラ6、8の直径より小さくする。突部5の長さは、ローラ6、8の片方又は両方が変形又は破損した場合にも、ディスク7が2つの突部5の内部に位置し、発生する負荷を引き受けることができるように、設定する。
本発明の発展形態として、ディスク7が各ローラ6、8に強固に結合されていてもよい。これにより、組み立てるべき部品点数が削減されるので、組み立てが容易となる。金属製ディスク7をプラスチック製ローラ6、8に結合するための基本的設計に関しては、従来から知られている多くの技術的解決策が利用できる。これらの解決策は当業者にとっては公知であるので、ここで説明する必要はない。
安全要素としてのディスク7に代えて、小さなスチール板(図示略)を使用することができる。特に、ローラ6、8の直径よりもわずかに高さの小さい長方形状の板を使用することができる。この小板は、ローラ6、8に強固に結合させることはできず、又、ローラ6、8に射出成形部品として組み込むこともできず、従って、部品点数削減という効果は実現できないが、走行レールの下側の突部5と平坦なベアリング接触をしており、この結果、安全性が向上できる。このことは、また、原則的に、どのような輪郭の小板についても当てはまる。
第1ローラ6の直径よりも第2ローラ8の直径を大きくする設計の他に、2個のローラ6、8を同一の直径にして実施してもよい。
本発明の第1実施例のローラガイドの部分断面図である。 本発明の第2実施例のローラガイドの部分断面図である。
符号の説明
1…鋏型クロスチューブ(Scissor-type cross tube)
2…端部(End)
3…ピン(Pin)
4…走行レール(Running rail)
5…突部(Limb)
6…第1ローラ(First roller)
7…ディスク(Disc)
8…第2ローラ(Second roller)

Claims (10)

  1. 鋏型ガイドを備えた乗り物座席振動システムのローラガイドであって、前記鋏型ガイドに鋏型クロスチューブ(1)を備え、該鋏型クロスチューブ(1)の2つの端部(2)のそれぞれに、ハブとしてのピン(3)を1つずつ備え、少なくとも1つの該ピン(3)の上にプラスチック製の第1ローラ(6)が回転可能に配置され、該第1ローラ(6)が、U型の走行レール(4)内を走行し、該第1ローラ(6)の直径が、走行レール(4)内を少しの遊びをもって走行するような直径に設定されたローラガイドにおいて、
    前記ピン(3)上の、端から該ピン(3)を突出させている前記鋏型クロスチューブ(1)の端部(2)と前記第1ローラ(6)との間に、該第1ローラ(6)の直径よりわずかに小さな直径を有するディスク(7)が回転可能に配置されるか、又は、該第1ローラ(6)の直径よりわずかに小さな高さを有する小板がピン(3)上に配置され、該ディスク(7)または該小板の硬度が、前記第1ローラ(6)の硬度より、著しく大きく設定されることを特徴とするローラガイド。
  2. 前記ディスク(7)又は前記小板が、前記鋏型クロスチューブ(1)の、座席に取り付けられたシートベルトの上部接続部側の端部にのみ配置されることを特徴とする、請求項1のローラガイド。
  3. 前記第1ローラ(6)、及び、前記ディスク(7)又は前記小板が、2つの端部のそれぞれに1つずつ配置されることを特徴とする請求項1のローラガイド。
  4. 前記ディスク(7)又は前記小板がスチールで構成されることを特徴とする、請求項1〜3いずれかのローラガイド。
  5. 前記ピン(3)上の、前記鋏型クロスチューブ(1)の端部(2)と前記ディスク(7)又は前記小板との間に、ディスク(7)の直径又は小板の高さよりわずかに大きい直径を有する、プラスチック製の第2ローラ(8)が回転可能に配置されることを特徴とする、請求項1〜4いずれかのローラガイド。
  6. 前記ディスク(7)又は前記小板が、前記第1ローラ(6)に全面で接触し、かつ、前記鋏型クロスチューブ(1)の前記端部(2)に平坦に接触するか、又は、前記第2ローラ(8)に全面で接触することを特徴とする、請求項1〜5いずれかのローラガイド。
  7. 前記ディスク(7)が、ローラ(6、8)のうちの1つに強固に結合されることを特徴とする、請求項1〜6いずれかのローラガイド。
  8. 前記ディスク(7)が、ローラ(6、8)のうちの1つに、特に、射出成形部品のインサート品として組み込まれることを特徴とする、請求項7のローラガイド。
  9. 前記ディスク(7)又は前記小板が、1〜5mm、特に好ましくは、2mmの厚さに設定されることを特徴とする、請求項1〜8いずれかのローラガイド。
  10. 第1ローラ(6)及び/又は第2ローラ(8)が、射出成形部品であることを特徴とする、請求項1〜9いずれかのローラガイド。
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