JP4959495B2 - 着色硬化性組成物、それを用いた着色パターン、及び、カラーフィルタ - Google Patents
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Description
また、硬化性組成物により着色領域を形成するためには、所定面積の塗膜を形成する間は乾燥が抑制され、乾燥した塗膜における未硬化の領域では洗浄性の良好なことが要求されている。乾燥した塗膜の洗浄性を向上するには、光硬化性組成物からなる乾燥膜がノズル洗浄溶剤や塗布のために供給される液状の硬化性組成物により溶解しやすいことが必要となる。
カラーフィルタのコントラスト等の色特性の向上には、顔料の粒子径を微細化することが有効であるが、顔料の粒子径を微細化すると顔料粒子の表面積が大きくなるため、顔料粒子間の凝集力が強くなり、高度なレベルでの分散性と分散安定性とを両立することは、困難になる。
一般に、顔料の1次粒子の微細化は、顔料、水溶性の無機塩、該無機塩を実質的に溶解しない水溶性有機溶剤をニーダー等で機械的に混練する方法(ソルトミリング法)がよく知られている。得られた微細顔料の1次粒子の混合物を水中に投入し、ミキサー等で撹拌しスラリー状とする。次に、このスラリーをろ過、水洗して乾燥することにより、顔料の1次粒子の凝集体である2次凝集体として微細顔料が得られる。サンドミル、ボールミル等の通常の分散機での分散工程は、顔料の1次粒子の凝集体である2次凝集体をほぐして1次粒子に近い状態の分散体を得る工程である。
また、分散工程時に、側鎖に複素環を有する高分子化合物を顔料分散剤として使用することで、分散安定性に優れた顔料分散組成物、それを用いた着色感光性組成物により、コントラストの高いカラーフィルタを得ようとする技術も提案されている(例えば、特許文献3参照。)。
しかしながら、実用上のニーズの観点から、微細な顔料における更に高度な分散性、及び分散安定性が望まれていた。
本発明の目的は、微細化された顔料を含有する場合においても、顔料の分散性、分散安定性に優れ、スリット塗布によっても異物などの生成が抑制され、均一性の高い着色膜を形成することができ、該乾燥着色膜の洗浄性、溶解性に優れた着色硬化性組成物を提供することにある。
本発明のさらなる目的は、上記本発明の着色硬化性組成物を用いて形成された異物の生成が抑制され、均一な色相を達成しうる着色パターン、及び、該着色パターンを備えてなるコントラストに優れたカラーフィルタを提供することにある。
本発明の着色感光性組成物は、(A)塩化ナトリウム(NaCl)の存在下で微粒子化された顔料、(B)アルカリ可溶性樹脂、(C)重合性化合物、(D)光重合開始剤、(E)溶剤、及び(F)後述する高分子分散剤(分散樹脂C)を含有する着色硬化性組成物であって、前記(A)顔料が前記着色硬化性組成物の全固形分に対し、40質量%〜70質量%含み、かつ該着色硬化性組成物を基板に塗布し、乾燥して得られた塗膜に対する水の接触角が60°以上であることを特徴とする。
本発明の好ましい態様は以下の通りである。
(1)前記着色硬化性組成物を基板に塗布し、乾燥して得られた塗膜の表面粗さが0.1nm〜8nmの範囲にあること。
(2)顔料の微細化工程において、塩化ナトリウムに加え、高分子化合物を共存させて微細化を行って得られた顔料を使用すること。
このような着色パターンはカラープルーフ等の画像形成、或いは、カラーフィルタの着色画素や遮光膜として有用である。
本発明の請求項4に係るカラーフィルタは、基板上に、前記本発明の着色パターンを備えることを特徴とする。
このようなカラーフィルタは、液晶表示装置や固体撮像素子に有用である。
このため、この着色感光性組成物を基材上に塗布し、露光、硬化して得られる着色パターンは、均一で透明性に優れ、且つ、パターン形成性も良好であることから、画像形成材料のみならず、優れた色特性が求められるカラーフィルタの着色領域、即ち、着色画素やブラックマトリックスを形成するために好適に用いられ、スリット塗布適性に優れることから、液晶表示装置などの大面積のカラーフィルタを生産性よく製造することができ、このような用途に特に有用である。
また、本発明によれば、上記本発明の着色硬化性組成物を用いることで、異物の生成が抑制され、均一な色相を達成しうる着色パターン、及び、該着色パターンを備えてなるコントラストに優れたカラーフィルタを提供することができる。
本発明の着色感光性組成物は、(A)塩化ナトリウム(NaCl)の存在下で微粒子化された顔料、(B)アルカリ可溶性樹脂、(C)重合性化合物、(D)光重合開始剤、(E)溶剤、及び(F)後述する高分子分散剤(分散樹脂C)を含有する着色硬化性組成物であって、
前記(A)顔料が前記着色硬化性組成物の全固形分に対し、40質量%〜70質量%含み、
かつ該着色硬化性組成物を基板に塗布し、乾燥して得られた塗膜に対する水の接触角が60°以上であることを特徴とする。
(水との接触角の測定方法)
着色硬化性組成物をガラス基板上に膜厚1.5μmとなるように塗布し、90℃のオーブンで60秒間乾燥させて乾燥塗膜を形成し、室温(25℃)下で該乾燥塗膜の水との接触角を、協和界面化学(株)製 Drop Master DM500を用いて、該乾燥膜上にDIW(脱イオン水)を滴下してから5分後の静的接触角を測定する。
このような手段により高濃度の微細な顔料を含む組成物のスリット塗布適性が向上し、塗布工程中における凝集や異物生成が抑制され、均一で表面が平滑な乾燥塗膜が形成されることから、水との接触角が60°以上の乾燥塗膜が形成される。
(a)特定粒子径を有する塩化ナトリウムの共存下で微細化された有機顔料を使用する。
(b)分子内に、有機色素構造、複素環構造のような顔料に対する吸着能を有する構造と、複素環構造、ウレア基、ウレタン基、炭素数4以上の炭化水素基、アルコキシシリル基、エポキシ基、イソシアネート基、及びイオン性官能基などの複数構造を有する、本願出願人が先に提案した特願2006−278118明細書に特定分散樹脂(B−1)として記載された如き顔料分散剤を用いて顔料を分散する。
以下、本発明の着色硬化性組成物に含まれる各成分について順次説明する。
<(A)塩化ナトリウム(NaCl)の存在下で微粒子化された顔料>
本発明の着色硬化性組成物において着色剤として用いる顔料は、塩化ナトリウム(NaCl)の存在下で微粒子化された顔料であることを特徴とする。
即ち、i)顔料を、ii)水溶性の無機塩である塩化ナトリウム、さらに、iii)実質的にii)塩化ナトリウムを溶解しない少量の水溶性の有機溶剤、及び、所望により、顔料を分散するのに用いる高分子分散剤を混合し、ニーダー等で機械的に混練する工程(この工程をソルトミリングと称する)、この混合物を水中に投入し、ハイスピードミキサー等で撹拌しスラリー状とする工程、更に、このスラリーを濾過、水洗して、その後、乾燥する工程を経て得られた顔料を用いる。
[i)顔料]
本発明で用いる顔料としては、従来公知の種々の無機顔料又は有機顔料を適宜選択して用いることができる。
顔料としては、本発明の加工顔料がカラーフィルタの着色パターンに用いられ、その際に高透過率であることが好ましいこと等を考慮すると、有機顔料が好ましく、また、なるべく粒子サイズの小さいものを使用することが好ましい。
顔料分散組成物及びこれを含有する感光性組成物のハンドリング性を考慮すると、加工顔料の平均1次粒子径としては、100nm以下が好ましく、30nm以下がより好ましく、5〜25nmが最も好ましい。該粒径が前記範囲内であると、透過率が高く、色特性が良好であると共に、高いコントラストのカラーフィルタを形成するのに有効である。
平均1次粒子径は、SEM或いはTEMで観察し、粒子が凝集していない部分で粒子サイズを100個計測し、平均値を算出することによって求める。
なお、ミリング工程に供される前の顔料の粒子径としては、100nm〜300nm程度である。
C.I.Pigment Red 1,2,3,4,5,6,7,9,10,14,17,22,23,31,38,41,48:1,48:2,48:3,48:4,49,49:1,49:2,52:1,52:2,53:1,57:1,60:1,63:1,66,67,81:1,81:2,81:3,83,88,90,105,112,119,122,123,144,146,149,150,155,166,168,169,170,171,172,175,176,177,178,179,184,185,187,188,190,200,202,206,207,208,209,210,216,220,224,226,242,246,254,255,264,270,272,279、
C.I.Pigment Yellow 1,2,3,4,5,6,10,11,12,13,14,15,16,17,18,20,24,31,32,34,35,35:1,36,36:1,37,37:1,40,42,43,53,55,60,61,62,63,65,73,74,77,81,83,86,93,94,95,97,98,100,101,104,106,108,109,110,113,114,115,116,117,118,119,120,123,125,126,127,128,129,137,138,139,147,148,150,151,152,153,154,155,156,161,162,164,166,167,168,169,170,171,172,173,174,175,176,177,179,180,181,182,185,187,188,193,194,199,213,214、
C.I.Pigment Orange 2,5,13,16,17:1,31,34,36,38,43,46,48,49,51,52,55,59,60,61,62,64,71,73、
C.I.Pigment Green 7,10,36,37、
C.I.Pigment Blue 1,2,15,15:1,15:2,15:3,15:4,15:6,16,22,60,64,66,79,79のCl置換基をOHに変更したもの,80、
C.I.Pigment Violet 1,19,23,27,32,37,42、
C.I.Pigment Brown 25,28、
C.I.Pigment Black 1,7等を挙げることができる。
但し、本発明においてはこれらに限定されるものではない。
C.I.Pigment Yellow 11,24,108,109,110,138,139,150,151,154,167,180,185、
C.I.Pigment Orange 36,71、
C.I.Pigment Red 122,150,171,175,177,209,224,242,254,255,264、
C.I.Pigment Violet 19,23,32、
C.I.Pigment Blue 15:1,15:3,15:6,16,22,60,66、
C.I.Pigment Green 7,36,37、
C.I.Pigment Black 1,7
例えば、赤の顔料としては、アントラキノン系顔料、ペリレン系顔料、ジケトピロロピロール系顔料を単独で、又は、それらの少なくとも1種と、ジスアゾ系黄色顔料、イソインドリン系黄色顔料、キノフタロン系黄色顔料又はペリレン系赤色顔料、アントラキノン系赤色顔料、ジケトピロロピロール系赤色顔料と、を混合して用いることができる。
例えば、アントラキノン系顔料としては、C.I.ピグメント・レッド177が挙げられ、ペリレン系顔料としては、C.I.ピグメント・レッド155、C.I.ピグメント・レッド224が挙げられ、ジケトピロロピロール系顔料としては、C.I.ピグメント・レッド254が挙げられ、色再現性の点でC.I.ピグメント・イエロー83、C.I.ピグメント・イエロー139又はC.I.ピグメント・レッド177との混合が好ましい。また、赤色顔料と他顔料との質量比は、100:5〜100:80が好ましい。100:4以下では400nmから500nmの光透過率を抑えることが困難で色純度を上げることが出来ない場合がある。また100:81以上では発色力が下がる場合がある。特に、上記質量比としては、100:10〜100:65の範囲が最適である。なお、赤色顔料同士の組み合わせの場合は、色度に併せて調整することができる。
例えば、このような例としては、C.I.ピグメント・グリーン7、36、37とC.I.ピグメント・イエロー83、C.I.ピグメント・イエロー138、C.I.ピグメント・イエロー139、C.I.ピグメント・イエロー150、C.I.ピグメント・イエロー180又はC.I.ピグメント・イエロー185との混合が好ましい。緑顔料と黄色顔料との質量比は、100:5〜100:200が好ましい。上記質量比が100:5未満では400〜450nmの光透過率を抑えることが困難となり色純度を上げることができない場合がある。また100:200を越えると主波長が長波長寄りになりNTSC目標色相からのずれが大きくなる場合がある。上記質量比としては100:20〜100:150の範囲が特に好ましい。
特に好適な例として、C.I.ピグメント・ブルー15:6とC.I.ピグメント・バイオレット23との混合を挙げることができる。
青色顔料と紫色顔料との質量比は、100:0〜100:100が好ましく、より好ましくは100:70以下である。
また、カーボンブラックとチタンブラックとの質量比は、100:0〜100:60の範囲が好ましい。100:61以上では、分散安定性が低下する場合がある。
本発明において、ソルトミリングで使用するii)塩化ナトリウムは、体積基準のメディアン粒子径(D50)が1〜50μm、95%粒子径(D95)が80μm以下であり、Mg含有量が0.002〜0.08重量%の塩化ナトリウムであることが好適である。塩化ナトリウムは、有機顔料を微細化する際に摩砕助剤として機能する。塩化ナトリウムの体積基準のメディアン粒子径(D50)は1〜20μmであることが好ましく、95%粒子径(D95)は30μm以下であることが好ましい。更に、特にコントラスト比が高いカラーフィルタが求められる場合には、有機顔料の微細化処理に用いられる塩化ナトリウムも微細であることが必要であり、体積基準のメディアン粒子径(D50)が1〜10μm、95%粒子径(D95)は20μm以下の塩化ナトリウムが好適に用いられる。
有機顔料の微細化に影響を及ぼす因子は、塩化ナトリウムの粒子径だけではなく、塩化ナトリウムの形状も重要な因子である。即ち、塩化ナトリウムの粒子径が同等である場合には、固体の塩化ナトリウムの形状は角ばった形状のものを用いて混練することが、角のない、丸身を帯びた形状の塩化ナトリウムを用いるよりも、微細でかつ均一な粒子径に整粒された微細有機顔料を製造することが可能となる。このことから、塩化ナトリウムの粒子形状は、直方体などの4面体に近い形状、不定形である場合には、鋭角的な突起を有する形状が好ましく、球形、紡錘形や、なだらかな表面を有する8面体、12面体などの多面体は好ましくない。
原料塩化ナトリウム中のMg含有量が0.08重量%より多い場合には、角がとれ丸まった形状になり、表面も滑らかになる。一方、Mg含有量が0.08重量%以下の原料塩化ナトリウムを粉砕すると、角ばった形状で粗い表面の塩化ナトリウム粒子になる。また、Mg含有量が0.002重量%より少ない塩化ナトリウムは、試薬レベルで高コストとなり、工業的に使用しにくい。
したがって、本発明でソルトミリングに使用する塩化ナトリウムは、Mg含有量が0.002〜0.08重量%であり、好ましくは、Mg含有量が0.005〜0.05重量%の範囲の塩化ナトリウムである。
塩化ナトリウムの使用量は、有機顔料の種類によって異なるが、有機顔料1重量部に対し、塩化ナトリウム1〜30重量部であることが好ましく、より好ましくは塩化ナトリウム5〜15重量部である。有機顔料に対する塩化ナトリウムの比率が大きいほど微細化効果が大きいが、1回の顔料処理量が少なくなり高コストの要因となる。
本発明では、前述の如き、特定の粒子径、Mg含有量、水分含有量で、粒子形状も制御された特定のii)塩化ナトリウムを使用することにより、従来と比べて塩化ナトリウムの使用量を増加させずに、高品質の微細な有機顔料を製造することができる。
ソルトミリング処理で使用するiii)水溶性有機溶剤は、有機顔料および塩化ナトリウムの混合物を適度な固さにするためのものであり、水に溶解し、かつ塩化ナトリウムを実質的に溶解しないものであれば特に限定されない。
水溶性有機溶剤としては、具体的には、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール等の粘性の高い水溶性有機溶剤が好適なものとして挙げられる。
水溶性有機溶剤の使用量は、有機顔料の種類、塩化ナトリウムの添加量によって異なるが、有機顔料1重量部に対して、一般的に0.1〜5重量部であり、好ましくは1〜2重量部である。
有機顔料と塩化ナトリウムと水溶性有機溶剤との混合物を混練する前または混練中に、必要に応じて、先に述べたiv)高分子分散剤や、樹脂、界面活性剤等を添加してもよい。
ここで用いうるiv)高分子分散剤としては、通常、顔料分散時に添加される、後述する(F)高分子分散剤などを挙げることができる。
iv)高分子分散剤を加えるタイミングは、ソルトミリング工程の初期にすべてを添加してもよく、分割して添加してもよい。このような高分子分散剤を共存させて得られる微細化顔料は、顔料粒子表面が高分子分散剤により被覆されることになり、得られる顔料の分散性及び分散安定性が一層向上する。
最初に、混練物を水中に投入し、加熱して塩化ナトリウムを完全に溶解する。加熱温度と温水量は、塩化ナトリウムを完全に溶解することができれば、限定されない。次に、フィルタープレス等のろ過機でろ過・水洗し、塩化ナトリウムと水溶性有機溶剤とを十分に除去する。洗浄に当たっては、濾液の比伝導度などで洗浄度合いを調整できる。
フィルタープレス等のろ過機から取り出したプレスケーキは、箱型乾燥機やバンド乾燥機で乾燥し、さらにハンマーミル等で粉砕して粉末の微細有機顔料とすることができる。また、プレスケーキは、再び水を加えてスラリー化した後、スプレードライヤーで乾燥し、粉末の微細有機顔料とすることもできる。
次に、本発明の顔料分散組成物について説明する。
本発明の顔料分散組成物は、上記本発明の加工顔料を有機溶剤中に分散してなる。
また、本発明の加工顔料を有機溶剤中に分散する際、さらに、顔料誘導体や顔料分散剤を適宜必要に応じて使用することが好ましい態様である。
顔料分散組成物中の(A)本発明に係る特定顔料の含有量は、顔料分散組成物の用途などに応じて適宜選択される。具体的には、例えば、液晶カラーディスプレイ用途の場合、色再現域と取り扱い性(粘度)の点から、5〜50質量%が好ましく、10〜30質量%がより好ましく、10〜20質量%が更に好ましい。
顔料分散組成物で用いられる有機溶剤は、特に制限はなく、公知のものの中から適宜選択することができ、例えば、1−メトキシ−2−プロピルアセテート、1−メトキシ−2−プロパノール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル等の(ポリ)アルキレングリコールモノアルキルエーテル及びこれらの酢酸エステル類;酢酸エチル、酢酸n−プロピル、酢酸i−プロピル、酢酸n−ブチル、酢酸i−ブチル等の酢酸エステル類;ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素類;メチルエチルケトン、アセトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン類;エタノール、プロパノール、ブタノール、ヘキサノール、シクロヘキサノール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、グリセリン等のアルコール類、などが挙げられる。これらの中でも、アルキレングリコールモノアルキルエーテル類、及びその酢酸エステル類、酢酸エステル類、メチルエチルケトン、などが好ましい。
これらの有機溶剤は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
顔料分散組成物が後述する感光性組成物の調製に用いられる場合には、取り扱い性の観点から、加工顔料や分散剤などを含む固形分濃度が5〜50質量%となるように含有することができる。
顔料分散組成物を調製するに際しては、必要に応じて、顔料誘導体が添加される。
本発明においては、分散剤と親和性のある部分、或いは、極性基を導入した顔料誘導体を顔料表面に吸着させ、これを分散剤の吸着点として用いることで、顔料を微細な粒子として顔料分散組成物中に分散させることができ、また、その再凝集をも防止することができる。つまり、顔料誘導体は顔料表面を改質することで、高分子分散剤の吸着を促進させる効果を有する。
そのため、顔料誘導体を含有する顔料分散組成物は、コントラストが高く、透明性に優れたカラーフィルタを形成する際に有用である。
本発明の着色感光性組成物を調製するのに有用な顔料分散組成物において、顔料の分散性をより向上させる目的で、下記式で表される(F)高分子分散剤を含有する。
公知の顔料分散剤としては、高分子分散剤〔例えば、ポリアミドアミンとその塩、ポリカルボン酸とその塩、高分子量不飽和酸エステル、変性ポリウレタン、変性ポリエステル、変性ポリ(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル系共重合体、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物〕、及び、ポリオキシエチレンアルキルリン酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、アルカノールアミン等を挙げることができる。
高分子分散剤は、その構造から更に、直鎖状高分子、末端変性型高分子化合物、グラフト型高分子化合物、ブロック型高分子化合物に分類することができる。
本発明においては、本願が目的とする効果の著しい、後述の(F)高分子分散剤(分散樹脂C)を必須成分として含有する。
なかでも、高分子分散剤としては、下記構造で表される分散樹脂Cが挙げられる。
以下、本発明に使用しうる高分子分散剤である、ブロック型高分子化合物、グラフト型高分子化合物、及び末端変性型高分子化合物のそれぞれについて説明する。
高分子分散剤として用いられるブロック型高分子化合物としては、特に限定されないが、顔料吸着ブロックと、顔料に吸着しないブロックと、からなるブロック型高分子化合物が挙げられる。
顔料吸着ブロックを構成する単量体としては、特に制限されないが、例えば、顔料に吸着し得る官能基を有するモノマーが挙げられる。具体的には、有機色素構造或いは複素環構造を有するモノマー、酸性基を有するモノマー、塩基性窒素原子を有するモノマーなどを挙げることができる。
以下、顔料吸着ブロックを構成する単量体として好適な、有機色素構造或いは複素環構造を有するモノマー、酸性基を有するモノマー、及び塩基性窒素原子を有するモノマーについて説明する。
より具体的には、特に制限されないが、以下のような構造のモノマーを挙げることができる。
カルボキシル基を有するビニルモノマーとして、(メタ)アクリル酸、ビニル安息香酸、マレイン酸、マレイン酸モノアルキルエステル、フマル酸、イタコン酸、クロトン酸、桂皮酸、アクリル酸ダイマーなどが挙げられる。
また、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートなどの水酸基を有する単量体と無水マレイン酸や無水フタル酸、シクロヘキサンジカルボン酸無水物のような環状無水物との付加反応物、ω−カルボキシ−ポリカプロラクトンモノ(メタ)アクリレートなども利用できる。
更に、カルボキシル基の前駆体として、無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸などの無水物含有モノマーを用いてもよい。
なお、これらの中では、共重合性やコスト、溶解性などの観点から(メタ)アクリル酸が特に好ましい。
具体的には、例えば、以下の構造のモノマーを挙げることができる。
イオン性ビニルモノマー(アニオン性ビニルモノマー、カチオン性ビニルモノマー)の例としては、アニオン性ビニルモノマーとして、前記酸性基を有するビニルモノマーのアルカリ金属塩や、有機アミン(例えば、トリエチルアミン、ジメチルアミノエタノール等の3級アミン)との塩などが挙げられ、カチオン性ビニルモノマーとしては、前記含窒素ビニルモノマーを、ハロゲン化アルキル(アルキル基:C1〜18、ハロゲン原子:塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子);塩化ベンジル、臭化ベンジル等のハロゲン化ベンジル;メタンスルホン酸等のアルキルスルホン酸エステル(アルキル基:C1〜18);ベンゼンスルホン酸、トルエンスルホン酸等のアリールスルホン酸アルキルエステル(アルキル基:C1〜18);硫酸ジアルキル(アルキル基:C1〜4)等で4級化させたもの、ジアルキルジアリルアンモニウム塩などが挙げられる。
顔料に吸着しないブロックを構成するこれらの単量体は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
また、アルカリ現像処理が必要な顔料分散組成物に適用する場合には、上記の顔料に吸着しないブロックを構成する単量体と、酸性基を有するビニルモノマーと、を併用してもよい。
ビニルエステル類の例としては、ビニルアセテート、ビニルクロロアセテート、ビニルプロピオネート、ビニルブチレート、ビニルメトキシアセテート、及び安息香酸ビニルなどが挙げられる。
マレイン酸ジエステル類の例としては、マレイン酸ジメチル、マレイン酸ジエチル、及びマレイン酸ジブチルなどが挙げられる。
フマル酸ジエステル類の例としては、フマル酸ジメチル、フマル酸ジエチル、及びフマル酸ジブチルなどが挙げられる。
イタコン酸ジエステル類の例としては、イタコン酸ジメチル、イタコン酸ジエチル、及びイタコン酸ジブチルなどが挙げられる。
オレフィン類の例としては、エチレン、プロピレン、イソブチレン、ブタジエン、イソプレンなどが挙げられる。
マレイミド類の例としては、マレイミド、ブチルマレイミド、シクロヘキシルマレイミド、フェニルマレイミドなどが挙げられる。
(メタ)アクリロニトリルの例としては、メタクリロニトリル、アクリロニトリルなどが挙げられる。
カルボキシル基を有するビニルモノマーとしては、(メタ)アクリル酸、ビニル安息香酸、マレイン酸、マレイン酸モノアルキルエステル、フマル酸、イタコン酸、クロトン酸、桂皮酸、アクリル酸ダイマーなどが挙げられる。
また、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートなどの水酸基を有する単量体と無水マレイン酸や無水フタル酸、シクロヘキサンジカルボン酸無水物のような環状無水物との付加反応物、ω−カルボキシ−ポリカプロラクトンモノ(メタ)アクリレートなども利用できる。
更に、カルボキシル基の前駆体として無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸などの無水物含有モノマーを用いてもよい。
なおこれらの中では、共重合性やコスト、溶解性などの観点から(メタ)アクリル酸が特に好ましい。
更に、酸性基を有するビニルモノマーとして、フェノール性ヒドロキシル基を含有するビニルモノマーやスルホンアミド基を含有するビニルモノマーなども利用することができる。
例えば、リビング重合、イニファータ法等が知られている。更に他の方法として、顔料吸着基を有する単量体又は顔料吸着基を有しない単量体をラジカル重合する際に、チオールカルボン酸、又は、2−アセチルチオエチルエーテル、10−アセチルチオデカンチオール等の分子内にチオエステルとチオール基とを含有する化合物を共存させて重合して得られた重合体を水酸化ナトリウムやアンモニア等のアルカリで処理して、片末端にチオール基を有する重合体とし、得られた片末端にチオール基を有する重合体の存在下でもう一方のブロックの単量体成分をラジカル重合する方法も知られている。これらの中でも、リビング重合が好適である。
本発明において、顔料分散組成物を調製する際、所望により用いられるグラフト型高分子化合物については、特に制限されないが、特開昭54−37082号公報、特開昭61−174939号公報などに記載のポリアルキレンイミンとポリエステル化合物を反応させた化合物、特開平9−169821号公報に記載のポリアリルアミンの側鎖のアミノ基をポリエステルで修飾した化合物、特開昭60−166318号公報に記載のポリエステルポリオール付加ポリウレタン等が好適に挙げられ、更に、特開平9−171253号公報や、マクロモノマーの化学と工業(アイピーシー出版部、1989年)などにあるように、重合性オリゴマー(以下、マクロモノマーと称する)を共重合成分とするグラフト型高分子化合物も好適に挙げることができる。
このようなアルキル基の具体的な例としては、メチル基、エチル基、ヘキシル基、オクチル基、トリフルオロメチル基、カルボキシメチル基、メトキシカルボニルメチル基などが挙げられる。
R74としては、水素原子、メチル基が特に好ましい。
このようなアリール基の具体的な例としては、フェニル基、ナフチル基、トリル基、キシリル基、プロピルフェニル基、ブチルフェニル基、オクチルフェニル基、ドデシルフェニル基、メトキシフェニル基、エトキシフェニル基、ブトキシフェニル基、デシルオキシフェニル基、クロロフェニル基、ジクロロフェニル基、ブロモフェニル基、メトキシカルボニルフェニル基、エトキシカルボニルフェニル基、ブトキシカルボニルフェニル基等が挙げられる。
このようなアリール基のうち、無置換アリール基、又は、ハロゲン原子、アルキル基、若しくはアルコキシ基で置換されたアリール基が好ましく、特に、無置換アリール基、又は、アルキル基で置換されたアリール基が好ましい。
このようなアルキル基の具体的な例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘプチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基、2−クロロエチル基、2−ブロモエチル基、2−メトキシカルボニルエチル基、2−メトキシエチル基、2−ブロモプロピル基、2−ブテニル基、2−ペンテニル基、3−メチル−2−ペンテニル基、2−ヘキセニル基、4−メチル−2−ヘキセニル基、ベンジル基、フェネチル基、3−フェニルプロピル基、ナフチルメチル基、2−ナフチルエチル基、クロロベンジル基、ブロモベンジル基、メチルベンジル基、エチルベンジル基、メトキシベンジル基、ジメチルベンジル基、ジメトキシベンジル基、シクロヘキシル基、2−シクロヘキシルエチル基、2−シクロペンチルエチル基、ビシクロ〔3.2.1〕オクト−2−イル基、1−アダマンチル基、ジメチルアミノプロピル基、アセチルアミノエチル基、N,N−ジブチルアミノカルバモイルメチル基などが挙げられる。
このようなアルキル基のうち、無置換アルキル基、又は、ハロゲン原子、アリール基、若しくは水酸基で置換されたアルキル基が好ましく、特に、無置換アルキル基が好ましい。
このアリール基に導入しうる置換基としては、ハロゲン原子、アルキル基、アルケニル基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アシルアミノ基等が挙げられる。
このようなアリール基の具体的な例としては、フェニル基、ナフチル基、トリル基、キシリル基、プロピルフェニル基、ブチルフェニル基、オクチルフェニル基、ドデシルフェニル基、メトキシフェニル基、エトキシフェニル基、ブトキシフェニル基、デシルオキシフェニル基、クロロフェニル基、ジクロロフェニル基、ブロモフェニル基、メトキシカルボニルフェニル基、エトキシカルボニルフェニル基、ブトキシカルボニルフェニル基、アセトアミドフェニル基、プロピオアミドフェニル基、ドデシロイルアミドフェニル基、等が挙げられる。
このようなアリール基のうち、無置換アリール基、又は、ハロゲン原子、アルキル基、若しくはアルコキシ基で置換されたアリール基が好ましく、特に、アルキル基で置換されたアリール基が好ましい。
具体的には、一般式(6)で表される構成単位を有するマクロモノマーと、該マクロモノマーと共重合可能なエチレン性不飽和モノマーと、の共重合が挙げられる。
高分子分散剤として用いられる末端変性型高分子化合物としては、例えば、特開平9−77994号公報や、特開2002−273191号公報などに記載されているポリマーの末端に官能基を有する高分子化合物を挙げることができる。
1.官能基含有の重合開始剤を用いて重合(例えば、ラジカル重合、アニオン重合、カチオン重合など)で合成する方法
2.官能基含有の連鎖移動剤を用いてラジカル重合で合成する方法
また、本発明においては、前述の特定グラフト型高分子化合物をさらに顔料分散剤として顔料分散組成物中に添加し、一般的な分散剤として用いてもよい。
顔料分散剤の量がこの範囲内であると、十分な顔料分散効果が得られる。ただし、分散剤の最適な添加量は、使用する顔料の種類、溶剤の種類などの組み合わせ等により、適宜、調整される。
顔料分散組成物を調製するに際しては、上記高分子分散剤以外にも、界面活性剤等の分散剤を用いることもできる。
顔料分散組成物は、各種の混合機、分散機を使用して混合分散する混合分散工程を経ることによって、調製することができる。
なお、混合分散工程は、混練分散とそれに続けて行なう微分散処理からなるのが好ましいが、混練分散を省略することも可能である。
分散時間としては、3〜6時間程度が好適である。
また、ビーズによる微分散処理は、主として、縦型もしくは横型のサンドグラインダー、ピンミル、スリットミル、超音波分散機等、及び、0.01〜1mmの粒径のガラス、ジルコニア等でできたビーズを用いることができる。
なお、混練、分散についての詳細は、T.C.Patton著”Paint Flow and Pigment Dispersion”(1964年 John Wiley and Sons社刊)等に記載されている。
本発明の着色硬化性組成物は、既述の(A)塩化ナトリウム(NaCl)の存在下で微粒子化された顔料と、(E)溶剤と、さらに所望により(F)高分子分散剤と、を含む顔料分散組成物、(B)アルカリ可溶性樹脂、(C)重合性化合物、(D)光重合開始剤を含有することを特徴とする。更に、必要に応じて、界面活性剤などの他の成分を含んでいてもよい。
以下、本発明の着色硬化性組成物を構成する各成分について詳述する。
本発明の着色硬化性組成物における顔料分散組成物の含有量は、着色硬化性組成物の全固形分(質量)に対して、(A)顔料の含有量が40〜70質量%の範囲となる量が好ましく、顔料の含有量が45〜60質量%の範囲となる量がより好ましい。
顔料分散組成物の含有量がこの範囲内であると、色濃度が充分で優れた色特性を確保するのに有効である。
本発明の着色硬化性組成物は、アルカリ可溶性樹脂を含有する。
アルカリ可溶性樹脂としては、線状有機高分子重合体であって、分子(好ましくは、アクリル系共重合体、スチレン系共重合体を主鎖とする分子)中に少なくとも1つのアルカリ可溶性を促進する基(例えば、カルボキシル基、リン酸基、スルホン酸基など)を有するアルカリ可溶性樹脂の中から適宜選択することができる。このうち、更に好ましくは、有機溶剤に可溶で弱アルカリ水溶液により現像可能なものである。
この他、2−ヒドロキシエチルメタクリレートを共重合したもの等も有用なものとして挙げられる。
前記アルキル(メタ)アクリレート及びアリール(メタ)アクリレートの具体例としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、トリル(メタ)アクリレート、ナフチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート等を挙げることができる。
好ましい共重合可能な他の単量体は、CH2=CR7R8、CH2=C(R7)(COOR9)、フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、及びスチレンから選択される少なくとも1種であり、特に好ましくは、CH2=CR7R8、及び/又は、CH2=C(R7)(COOR9)である。
本発明の着色硬化性組成物を構成する重合性化合物としては、少なくとも1個の付加重合可能なエチレン性不飽和基を有し、沸点が常圧で100℃以上である化合物が好ましく、中でも、4官能以上のアクリレート化合物がより好ましい。
更に、日本接着協会誌Vol.20、No.7、300〜308頁に光硬化性モノマー及びオリゴマーとして紹介されているものも使用できる。
これらの市販品としては、ウレタンオリゴマーUAS−10、UAB−140(山陽国策パルプ社製)、UA−7200」 (新中村化学社製、DPHA−40H(日本化薬社製)、UA−306H、UA−306T、UA−306I、AH−600、T−600、AI−600(共栄社製)などが挙げられる。
重合性化合物の着色硬化性組成物中における含有量としては、該組成物の全固形分100質量部に対して、20〜200質量部が好ましく、より好ましくは50〜120質量部である。重合性化合物の含有量がこの範囲内であると、硬化反応を充分に行うことができる。
光重合開始剤としては、例えば、特開平57−6096号公報に記載のハロメチルオキサジアゾール、特公昭59−1281号公報、特開昭53−133428号公報等に記載のハロメチル−s−トリアジン等活性ハロゲン化合物、米国特許USP−4318791、欧州特許公開EP−88050A等の各明細書に記載のケタール、アセタール、又はベンゾインアルキルエーテル類等の芳香族カルボニル化合物、米国特許USP−4199420明細書に記載のベンゾフェノン類等の芳香族ケトン化合物、Fr−2456741明細書に記載の(チオ)キサントン系又はアクリジン系化合物、特開平10−62986号公報に記載のクマリン系又はビイミダゾール系の化合物、特開平8−015521号公報等のスルホニウム有機硼素錯体等、等を挙げることができる。
また、これらの光重合開始剤を併用することもできる。
本発明において必要に応じて増感色素を添加することが好ましい。この増感色素が吸収しうる波長の露光により上記重合開始剤成分のラジカル発生反応や、それによる重合性化合物の重合反応が促進されるものである。このような増感色素としては、公知の分光増感色素又は染料、又は光を吸収して光重合開始剤と相互作用する染料又は顔料が挙げられる。
本発明に用いられる増感色素として好ましい分光増感色素又は染料は、多核芳香族類(例えば、ピレン、ペリレン、トリフェニレン)、キサンテン類(例えば、フルオレッセイン、エオシン、エリスロシン、ローダミンB、ローズベンガル)、シアニン類(例えば、チアカルボシアニン、オキサカルボシアニン)、メロシアニン類(例えば、メロシアニン、カルボメロシアニン)、チアジン類(例えば、チオニン、メチレンブルー、トルイジンブルー)、アクリジン類(例えば、アクリジンオレンジ、クロロフラビン、アクリフラビン)、フタロシアニン類(例えば、フタロシアニン、メタルフタロシアニン)、ポルフィリン類(例えば、テトラフェニルポルフィリン、中心金属置換ポルフィリン)、クロロフィル類(例えば、クロロフィル、クロロフィリン、中心金属置換クロロフィル)、金属錯体(例えば、下記化合物)、アントラキノン類、(例えば、アントラキノン)、スクアリウム類(例えば、スクアリウム)、等が挙げられる。
特公平37−13034号公報に記載のスチリル系色素;特開昭62−143044号公報に記載の陽イオン染料;特公昭59−24147号公報記載のキノキサリニウム塩;特開昭64−33104号公報記載の新メチレンブルー化合物;特開昭64−56767号公報記載のアントラキノン類;特開平2−1714号公報記載のベンゾキサンテン染料;特開平2−226148号公報及び特開平2−226149号公報記載のアクリジン類;特公昭40−28499号公報記載のピリリウム塩類;特公昭46−42363号公報記載のシアニン類;特開平2−63053号記載のベンゾフラン色素;特開平2−85858号公報、特開平2−216154号公報の共役ケトン色素;特開昭57−10605号公報記載の色素;特公平2−30321号公報記載のアゾシンナミリデン誘導体;特開平1−287105号公報記載のシアニン系色素;特開昭62−31844号公報、特開昭62−31848号公報、特開昭62−143043号公報記載のキサンテン系色素;特公昭59−28325号公報記載のアミノスチリルケトン;特開平2−179643号公報記載の色素;特開平2−244050号公報記載のメロシアニン色素;特公昭59−28326号公報記載のメロシアニン色素;特開昭59−89303号公報記載のメロシアニン色素;特開平8−129257号公報記載のメロシアニン色素;特開平8−334897号公報記載のベンゾピラン系色素が挙げられる。
増感色素の他の好ましい態様として、以下の化合物群に属しており、且つ、350〜450nmに極大吸収波長を有する色素が挙げられる。
例えば、多核芳香族類(例えば、ピレン、ペリレン、トリフェニレン)、キサンテン類(例えば、フルオレッセイン、エオシン、エリスロシン、ローダミンB、ローズベンガル)、シアニン類(例えばチアカルボシアニン、オキサカルボシアニン)、メロシアニン類(例えば、メロシアニン、カルボメロシアニン)、チアジン類(例えば、チオニン、メチレンブルー、トルイジンブルー)、アクリジン類(例えば、アクリジンオレンジ、クロロフラビン、アクリフラビン)、アントラキノン類(例えば、アントラキノン)、スクアリウム類(例えば、スクアリウム)が挙げられる。
以下に、一般式(XIV)で表される化合物の好ましい具体例〔(F−1)〜(F−5)〕を示す。
一般式(XV)で表される化合物の好ましい例としては、以下のもの〔(F−6)〜(F−8)〕が挙げられる。
一般式(XVI)で表される化合物の好ましい例としては、以下のもの〔(F−9)〜(F−11)〕が挙げられる。
一般式(XVII)で表される化合物の好ましい例としては、以下のもの〔(F−12)〜(F−15)〕が挙げられる。
次に、R1、R2、R3の好ましい例について具体的に述べる。好ましいアルキル基の例としては、炭素原子数が1から20までの直鎖状、分岐状、及び環状のアルキル基を挙げることができ、その具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基、エイコシル基、イソプロピル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、1−メチルブチル基、イソヘキシル基、2−エチルヘキシル基、2−メチルヘキシル基、シクロヘキシル基、シクロペンチル基、2−ノルボルニル基を挙げることができる。これらの中では、炭素原子数1から12までの直鎖状、炭素原子数3から12までの分岐状、並びに炭素原子数5から10までの環状のアルキル基がより好ましい。
これらの置換基における、アルキル基の具体例としては、前述のアルキル基が挙げられ、これらは更に置換基を有していてもよい。
中でも、好ましいAとしては、アルコキシ基、チオアルキル基、アミノ基を有するアリール基が挙げられ、特に好ましいAとしてはアミノ基を有するアリール基が挙げられる。
具体例としては、チアゾール類(例えば、チアゾール、4−メチルチアゾール、4−フェニルチアゾール、5−メチルチアゾール、5−フェニルチアゾール、4,5−ジメチルチアゾール、4,5−ジフェニルチアゾール、4,5−ジ(p−メトキシフェニルチアゾール)、4−(2−チエニル)チアゾール、4,5−ジ(2−フリル)チアゾール等)、ベンゾチアゾール類(例えば、ベンゾチアゾール、4−クロロベンゾチアゾール、5−クロロベンゾチアゾール、6−クロロベンゾチアゾール、7−クロロベンゾチアゾール、4−メチルベンゾチアゾール、5−メチルベンゾチアゾール、6−メチルベンゾチアゾール、5−ブロモベンゾチアゾール、4−フェニルベンゾチアゾール、5−フェニルベンゾチアゾール、4−メトキシベンゾチアゾール、5−メトキシベンゾチアゾール、6−メトキシベンゾチアゾール、5−ヨードベンゾチアゾール、6−ヨードベンゾチアゾール、4−エトキシベンゾチアゾール、5−エトキシベンゾチアゾール、テトラヒドロベンゾチアゾール、5,6−ジメトキシベンゾチアゾール、5,6−ジオキシメチレンベンゾチアゾール、5−ヒドロキシベンゾチアゾール、6−ヒドロキシベンゾチアゾール、6ージメチルアミノベンゾチアゾール、5−エトキシカルボニルベンゾチアゾール、等)、ナフトチアゾール類(例えば、ナフト[1,2]チアゾール、ナフト[2,1]チアゾール、5−メトキシナフト[2,1]チアゾール、5−エトキシナフト[2,1]チアゾール、8−メトキシナフト[1,2]チアゾール、7−メトキシナフト[1,2]チアゾール、等)、チアナフテノ−7,6,4,5−チアゾール類(例えば、4−メトキシチアナフテノ−7,6,4,5−チアゾール、等)、オキサゾール類(例えば、4−メチルオキサゾール、5−メチルオキサゾール、4−フェニルオキサゾール、4,5−ジフェニルオキサゾール、4−エチルオキサゾール、4,5−ジメチルオキサゾール、5−フェニルオキサゾール等)、ベンゾオキサゾール類(ベンゾオキサゾール、5−クロロベンゾオキサゾール、5ーメチルベンゾオキサゾール、5−フェニルベンゾオキサゾール、6−メチルベンゾオキサゾール、5,6−ジメチルベンゾオキサゾール、4,6−ジメチルベンゾオキサゾール、6−メトキシベンゾオキサゾール、5−メトキシベンゾオキサゾール、4−エトキシベンゾオキサゾール、5−クロロベンゾオキサゾール、6ーメトキシベンゾオキサゾール、5−ヒドロキシベンゾオキサゾール、6−ヒドロキシベンゾオキサゾール、等)、
具体例としては、ベンゾジチオール類(例えば、ベンゾジチオール、5−t−ブチルベンゾジチオール、5−メチルベンゾジチオール、等)、ナフトジチオール類(例えば、ナフト[1,2]ジチオール、ナフト[2,1]ジチオール、等)、ジチオール類(例えば、4,5−ジメチルジチオール類、4−フェニルジチオール類、4−メトキシカルボニルジチオール類、4,5−ジメトキシカルボニルジチオール類、4,5−ジエトキシカルボニルジチオール類、4,5−ジトリフルオロメチルジチオール、4,5−ジシアノジチオール、4−メトキシカルボニルメチルジチオール、4−カルボキシメチルジチオール、等)等を挙げることができる。
一般式(XVIII−2)中、A及びR1は一般式(XVIII)におけるのと同義であり、R4は一般式(XVIII)におけるR2と、R5は一般式(XVIII)におけるR3と、R6は一般式(XVIII)におけるR1と、それぞれ同義である。
増感色素の含有量がこの範囲であることで、超高圧水銀灯の露光波長に対して高感度であり、膜深部硬化性が得られると共に、現像マージン、パターン形成性の点で好ましい。
(D)光重合開始剤の着色硬化性組成物中における含有量としては、該組成物の全固形分に対して、0.1〜10.0質量%が好ましく、より好ましくは0.5〜5.0質量%である。光重合開始剤の含有量がこの範囲内であると、重合反応を良好に進行させて強度の良好な膜形成が可能である。
本発明の着色硬化性組成物は、一般に、前述の各成分と共に溶剤を用いることで、好適に調製することができる。
用いられる溶剤としては、エステル類、例えば、酢酸エチル、酢酸−n−ブチル、酢酸イソブチル、ギ酸アミル、酢酸イソアミル、酢酸イソブチル、プロピオン酸ブチル、酪酸イソプロピル、酪酸エチル、酪酸ブチル、アルキルエステル類、乳酸メチル、乳酸エチル、オキシ酢酸メチル、オキシ酢酸エチル、オキシ酢酸ブチル、メトキシ酢酸メチル、メトキシ酢酸エチル、メトキシ酢酸ブチル、エトキシ酢酸メチル、エトキシ酢酸エチル;3−オキシプロピオン酸メチル、3−オキシプロピオン酸エチルなどの3−オキシプロピオン酸アルキルエステル類;3−メトキシプロピオン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、2−オキシプロピオン酸メチル、2−オキシプロピオン酸エチル、2−オキシプロピオン酸プロピル、2−メトキシプロピオン酸メチル、2−メトキシプロピオン酸エチル、2−メトキシプロピオン酸プロピル、2−エトキシプロピオン酸メチル、2−エトキシプロピオン酸エチル、2−オキシ−2−メチルプロピオン酸メチル、2−オキシ−2−メチルプロピオン酸エチル、2−メトキシ−2−メチルプロピオン酸メチル、2−エトキシ−2−メチルプロピオン酸エチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、ピルビン酸プロピル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、2−オキソブタン酸メチル、2−オキソブタン酸エチル等;エーテル類、例えばジエチレングリコールジメチルエーテル、テトラヒドロフラン、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールプロピルエーテルアセテート等;ケトン類、例えば、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、2−ヘプタノン、3−ヘプタノン等;芳香族炭化水素類、例えば、トルエン、キシレン;等が挙げられる。
溶剤は、単独で用いる以外に2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明の着色硬化性組成物には、必要に応じて、本発明の効果を損なわない限りにおいて、連鎖移動剤、フッ素系有機化合物、熱重合開始剤、熱重合成分、熱重合防止剤、その他、充填剤、上記のアルカリ可溶性樹脂以外の高分子化合物、界面活性剤、密着促進剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、凝集防止剤などの各種添加物を含有することができる。
本発明の着色硬化性組成物に添加し得る連鎖移動剤としては、例えば、N,N−ジメチルアミノ安息香酸エチルエステルなどのN,N−ジアルキルアミノ安息香酸アルキルエステル、2−メルカプトベンゾチアゾール、2−メルカプトベンゾオキサゾール、2−メルカプトベンゾイミダゾールなどの複素環を有するメルカプト化合物、および脂肪族多官能メルカプト化合物などが挙げられる。
連鎖移動剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
本発明の着色感光性組成物は、フッ素系有機化合物を含有することで、塗布液としたときの液特性(特に、流動性)を向上させ、塗布厚の均一性や省液性を改善することができる。
すなわち、フッ素系有機化合物を含有する着色感光性組成物は、被塗布面と塗布液との界面張力を低下させて被塗布面への濡れ性が改善され、被塗布面への塗布性が向上するため、少量の液量で数μm程度の薄膜を形成した場合であっても、厚みムラの小さい均一厚の膜形成が可能である点で有効である。
具体的な市販品としては、例えば、メガファックF142D、同F172、同F173、同F176、同F177、同F183、同780、同781、同R30、同R08、同F−472SF、同BL20、同R−61、同R−90(大日本インキ(株)製)、フロラードFC−135、同FC−170C、同FC−430、同FC−431、Novec FC−4430(住友スリーエム(株)製)、アサヒガードAG7105,7000,950,7600、サーフロンS−112、同S−113、同S−131、同S−141、同S−145、同S−382、同SC−101、同SC−102、同SC−103、同SC−104、同SC−105、同SC−106(旭ガラス(株)製)、エフトップEF351、同352、同801、同802(JEMCO(株)製)などである。
本発明の着色感光性組成物には、熱重合開始剤を含有させることも有効である。
熱重合開始剤としては、例えば、各種のアゾ系化合物、過酸化物系化合物が挙げられる。
前記アゾ系化合物としては、アゾビス系化合物を挙げることができ、前記過酸化物系化合物としては、ケトンパーオキサイド、パーオキシケタール、ハイドロパーオキサイド、ジアルキルパーオキサイド、ジアシルパーオキサイド、パーオキシエステル、パーオキシジカーボネートなどを挙げることができる。
本発明の着色感光性組成物には、熱重合成分を含有させることも有効である。
熱重合成分としては、本発明の着色感光性組成物により形成された塗膜の強度を上げるために、エポキシ化合物を用いることができる。
前記エポキシ化合物としては、ビスフェノールA型、クレゾールノボラック型、ビフェニル型、脂環式エポキシ化合物などのエポキシ環を分子中に2個以上有する化合物である。例えば、ビスフェノールA型としては、エポトートYD−115、YD−118T、YD−127、YD−128、YD−134、YD−8125、YD−7011R、ZX−1059、YDF−8170、YDF−170など(以上東都化成製)、デナコールEX−1101、EX−1102、EX−1103など(以上ナガセ化成製)、プラクセルGL−61、GL−62、G101、G102(以上ダイセル化学製)の他に、これらの類似のビスフェノールF型、ビスフェノールS型も挙げることができる。また、Ebecryl 3700、3701、600(以上ダイセルユーシービー製)などのエポキシアクリレートも使用可能である。
更に、脂環式エポキシ化合物としては、セロキサイド2021、2081、2083、2085、エポリードGT−301、GT−302、GT−401、GT−403、EHPE−3150(以上ダイセル化学製)、サントートST−3000、ST−4000、ST−5080、ST−5100など(以上東都化成製)などを挙げることができる。
また、1,1,2,2−テトラキス(p−グリシジルオキシフェニル)エタン、トリス(p−グリシジルオキシフェニル)メタン、トリグリシジルトリス(ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、o−フタル酸ジグリシジルエステル、テレフタル酸ジグリシジルエステル、他にアミン型エポキシ樹脂であるエポトートYH−434、YH−434L、ビスフェノールA型エポキシ樹脂の骨格中にダイマー酸を変性したグリシジルエステル等も使用できる。
本発明の着色感光性組成物には、塗布性を改良する観点から、各種の界面活性剤を添加してもよい。界面活性剤としては、前述のフッ素系界面活性剤の他に、ノニオン系、カチオン系、アニオン系の各種界面活性剤を使用できる。
中でも、前記のノニオン系界面活性剤でパーフルオロアルキル基を有するフッ素系界面活性剤や、ノニオン系界面活性剤が好ましい。
これら以外にも、界面活性剤としては、前述の分散剤も使用可能である。
上記以外に、本発明の着色感光性組成物には各種の添加物を添加することができる。
添加物の具体例としては、2−(3−t−ブチル−5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、アルコキシベンゾフェノン等の紫外線吸収剤、ポリアクリル酸ナトリウム等の凝集防止剤、ガラス、アルミナ等の充填剤;イタコン酸共重合体、クロトン酸共重合体、マレイン酸共重合体、部分エステル化マレイン酸共重合体、酸性セルロース誘導体、水酸基を有するポリマーに酸無水物を付加させたもの、アルコール可溶性ナイロン、ビスフェノールAとエピクロルヒドリンとから形成されたフェノキシ樹脂などのアルカリ可溶の樹脂などがある。
具体的には、例えば、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、ピバル酸、カプロン酸、ジエチル酢酸、エナント酸、カプリル酸等の脂肪族モノカルボン酸;シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ブラシル酸、メチルマロン酸、エチルマロン酸、ジメチルマロン酸、メチルコハク酸、テトラメチルコハク酸、シトラコン酸等の脂肪族ジカルボン酸;トリカルバリル酸、アコニット酸、カンホロン酸等の脂肪族トリカルボン酸;安息香酸、トルイル酸、クミン酸、ヘメリト酸、メシチレン酸等の芳香族モノカルボン酸;フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、トリメリト酸、トリメシン酸、メロファン酸、ピロメリト酸等の芳香族ポリカルボン酸;フェニル酢酸、ヒドロアトロパ酸、ヒドロケイ皮酸、マンデル酸、フェニルコハク酸、アトロパ酸、ケイ皮酸、ケイ皮酸メチル、ケイ皮酸ベンジル、シンナミリデン酢酸、クマル酸、ウンベル酸等のその他のカルボン酸が挙げられる。
熱重合防止剤としては、例えば、ハイドロキノン、p−メトキシフェノール、ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ピロガロール、t−ブチルカテコール、ベンゾキノン、4,4′−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2−メルカプトベンゾイミダゾール等が有用である。
このため、この着色感光性組成物を基材上に塗布し、露光、硬化して得られる着色パターンは、均一で透明性に優れ、且つ、パターン形成性も良好であることから、画像形成材料のみならず、優れた色特性が求められるカラーフィルタの着色領域、即ち、着色画素やブラックマトリックスを形成するために用いられることが好ましい。
本発明のカラーフィルタは、基板上に、前述の本発明の着色感光性組成物を用いてなる着色パターンを有することを特徴とする。
ここで、着色パターンとは、3色或いは4色の着色パターン(画素部)と、ブラックマトリクスと、の両方を含むものである。
まず、本発明の着色感光性組成物を、直接又は他の層を介して基板上に、回転塗布、スリット塗布、流延塗布、ロール塗布、バー塗布等の塗布方法により塗布して、着色感光性組成物からなる塗膜を形成する(塗布工程)。その後、塗膜に対し、所定のマスクパターンを介して露光を行う(露光工程)。露光後、塗膜の未硬化部を現像液で現像除去する(現像工程)。これらの工程を経ることで、各色(3色或いは4色)の画素からなる着色パターン、或いは、ブラックマトリックスが形成され、カラーフィルタを得ることができる。
このような方法により、液晶表示素子や固体撮像素子に用いられるカラーフィルタをプロセス上の困難性が少なく、高品質で、かつ、低コストに作製することができる。
本発明の感光性組成物は、乾燥塗膜の親水性に優れることから、スリット塗布性に優れるため、特に大面積の液晶表示素子用途のカラーフィルタの形成に用いて、本発明の効果が著しいといえる。
以下、各工程について詳細に説明する。
まず、塗布工程で用いられる基板について説明する。
本発明のカラーフィルタに用いられる基板としては、例えば、液晶表示素子等に用いられる無アルカリガラス、ソーダガラス、パイレックス(登録商標)ガラス、石英ガラス、及びこれらに透明導電膜を付着させたものや、固体撮像素子等に用いられる光電変換素子基板、例えば、シリコーン基板や、プラスチック基板が挙げられる。
これらの基板上には、各画素を隔離するブラックマトリクスが形成されていたり、密着促進等のために透明樹脂層が設けられたりしていてもよい。
また、プラスチック基板は、その表面に、ガスバリヤー層及び/又は耐溶剤性層を有していることが好ましい。
TFT方式液晶駆動用基板における基板としては、例えば、ガラス、シリコーン、ポリカーボネート、ポリエステル、芳香族ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリイミド等を挙げることができる。これらの基板には、所望により、シランカップリング剤等による薬品処理、プラズマ処理、イオンプレーティング、スパッタリング、気相反応法、真空蒸着等の適宜の前処理を施しておくこともできる。例えば、TFT方式液晶駆動用基板の表面に、窒化ケイ素膜等のパッシベーション膜を形成した基板を用いることができる。
スリットノズル塗布法において、スリット・アンド・スピン塗布法とスピンレス塗布法は、塗布基板の大きさによって条件は異なるが、例えば、スピンレス塗布法により第五世代のガラス基板(1100mm×1250mm)を塗布する場合、スリットノズルからの着色感光性組成物の吐出量は、通常、500〜2000マイクロリットル/秒、好ましくは800〜1500マイクロリットル/秒であり、また、塗工速度は、通常、50〜300mm/秒、好ましくは100〜200mm/秒である。
また、塗布工程で用いられる着色感光性組成物の固形分としては、通常、10〜20%、好ましくは13〜18%である。
また、固体撮像素子用のカラーフィルタの場合であれば、塗膜の厚み(プリベーク処理後)は、0.5〜2.0μmの範囲が好ましい。
真空乾燥の条件は、真空度が、通常、0.1〜1.0torr、好ましくは0.2〜0.5torr程度である。
また、プリベーク処理は、ホットプレート、オーブン等を用いて50〜140℃の温度範囲で、好ましくは70〜110℃程度であり、10〜300秒の条件にて行なうことができる。なお、プリベーク処理には、高周波処理などを併用してもよい。高周波処理は単独でも使用可能である。
露光工程では、前述のようにして形成された着色感光性組成物からなる塗膜に対し、所定のマスクパターンを介して露光を行う。
露光の際に使用される放射線としては、特に、g線、h線、i線、j線等の紫外線が好ましい。
なお、液晶表示装置用のカラーフィルタを製造する際には、プロキシミティ露光機、ミラープロジェクション露光機により、主として、h線、i線を使用した露光が好ましく用いられる。
また、固体撮像素子用のカラーフィルタを製造する際には、ステッパー露光機にて、主として、i線を使用することが好ましい。
なお、TFT方式液晶駆動用基板を用いてカラーフィルタを製造する際には、用いられるフォトマスクは、画素(着色パターン)を形成するためのパターンの他、スルーホール或いはコの字型の窪みを形成するためのパターンが設けられているものが使用される。
現像工程では、露光後の塗膜の未硬化部を現像液に溶出させ、硬化分のみを基板上に残存させる。
現像温度としては、通常20〜30℃であり、現像時間としては20〜90秒である。
現像液としては、未硬化部における着色感光性組成物の塗膜を溶解する一方、硬化部を溶解しないものであれば、いずれのものも用いることができる。
具体的には、種々の有機溶剤の組合せやアルカリ性の水溶液を用いることができる。
また、アルカリ性の水溶液としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、硅酸ナトリウム、メタ硅酸ナトリウム、アンモニア水、エチルアミン、ジエチルアミン、ジメチルエタノールアミン、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、コリン、ピロール、ピペリジン、1,8−ジアザビシクロ−[5,4,0]−7−ウンデセン等のアルカリ性化合物を、濃度が0.001〜10質量%、好ましくは0.01〜1質量%となるように溶解したアルカリ性水溶液が挙げられる。
アルカリ性水溶液には、例えば、メタノール、エタノール等の水溶性有機溶剤や界面活性剤等を適量添加することもできる。
また、固体撮像素子用のカラーフィルタを製造する場合にはパドル現像も用いられる。
リンス工処理は通常は純水で行うが、省液のために、最終洗浄で純水を用い、洗浄初期は使用済の純水を使用したり、また、基板を傾斜させて洗浄したり、超音波照射を併用したりする方法を用いてもよい。
この加熱処理(ポストベーク)は、現像後の塗膜を、上記条件になるようにホットプレートやコンベクションオーブン(熱風循環式乾燥機)、高周波加熱機等の加熱手段を用いて、連続式或いはバッチ式で行なうことができる。
基板上のブラックマトリックスは、カーボンブラック、チタンブラックなどの黒色顔料の加工顔料を含有する着色硬化性組成物を用い、塗布、露光、及び現像の各工程を経て、その後、必要に応じて、ポストベークすることにより形成することができる。
<顔料粉末の微粒子化(ソルトミリング)処理>
焼結乾燥した食塩(株式会社味食研製「ソフト塩S−50」、Mg含有量0.03%、水分含有量0.11%)を高速回転ミル(ホソカワミクロン株式会社製「ACM−10A型」)で粉砕した。マイクロトラック粒度分析計(日機装株式会社)を用いて、粉砕した食塩の粒度分布を測定したところ、体積基準のメディアン粒子径は6.2μm、95%粒子径は12.8μmであった。また、粉砕塩を走査型電子顕微鏡で観察したところ、角ばった形状で粗い表面の食塩粒子であった。
得られた粉砕塩1000部、ε型銅フタロシアニン顔料(C.I.ピグメントブルー15:6,東洋インキ製造社製「リオノールブルーE」)100部、およびジエチレングリコール110部を1ガロンニーダー(株式会社井上製作所製)中に仕込み、60℃で10時間混練した。次にこの混練物を10Lの温水に投入し、約80℃に加熱しながらハイスピードミキサーで1時間撹拌してスラリー状とし、濾過、水洗して食塩およびジエチレングリコールを除いた後、80℃で一昼夜乾燥後、粉砕して94部の微細化ε型銅フタロシアニン顔料を得た。この顔料粉末の平均一次粒子径を、電子顕微鏡(SEM)にて観察することにより測定したところ25nmであった。
下記組成にて、ホモジナイザーを用いて回転数3,000r.p.m.で3時間撹拌して混合し、混合溶液を調製した。
・Pigment Blue 15:6
(上記で得られた微細化顔料:SEM観察での平均粒子径25nm) 14部
・分散樹脂C:(下記構造の化合物) 2部
・分散剤:(商品名:Disperbyk−161、ビックケミー社製30%溶液)3部
・アルカリ可溶性樹脂: 4部
(ベンジルメタクリレート/メタクリル酸=75/25[質量比]共重合体、
重量平均分子量Mw:5000)のプロピレングリコールモノメチルエー
テルアセテート溶液:固形分:50質量%)
・溶剤:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 73部
上記顔料分散組成物に更に下記組成の成分を添加し、撹拌混合して実施例1の着色感光性組成物(カラーレジスト液)を調製した。
・前記青色顔料含有顔料分散組成物〔(A)顔料含有〕 100部
・(B)アルカリ可溶性樹脂: 10部
(ベンジルメタクリレート/メタクリル酸=75/25[質量比]共重合体、
重量平均分子量Mw:5000のプロピレングリコールモノメチルエーテ
ルアセテート溶液:固形分:50質量%)
・エポキシ樹脂:(商品名:EHPE3150、ダイセル化学工業(株)製) 2部
・(C)重合性化合物: 12部
(ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート)
・(D)光重合開始剤: 3部
4−(o−ブロモ−p−N,N−ジ(エトキシカルボニルメチル))
アミノフェニル)−2,6−ジ(トリクロロメチル)−s−トリアジン
・重合禁止剤:p−メトキシフェノール 0.001部
・フッソ系界面活性剤: 0.02部
(商品名:Megafac R08、大日本インキ化学工業(株)製)
・ノニオン系界面活性剤: 1部
(商品名:エマルゲンA−60、花王(株)製)
・(E)溶剤:(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート) 170部
また、該乾燥塗膜の表面粗さをデジタルインスツルメンツ社製 Nano Scope IIIa(AFM)装置を用いて10μm角のエリアを測定したところ、表面粗さは、5nmであった。
実施例1において、顔料分散組成物調製時に添加する分散樹脂Cの添加量を5部に変更したこと以外、実施例1と同様にして実施例2の着色硬化性組成物(カラーレジスト液)を調製した。
実施例1と同様に実施例2の着色硬化性組成物の乾燥塗布膜と水との接触角を測定したところ、70°であった。また、該乾燥塗膜の表面粗さを同様に測定したところ、表面粗さは、3nmであった。
ソルトミリング処理未実施のε型銅フタロシアニン顔料(C.I.ピグメントブルー15:6,東洋インキ製造社製「リオノールブルーE」)を用い、顔料分散液調製時に添加する分散樹脂Cを添加しないこと以外、実施例1と同様にして比較例1の着色硬化性組成物(カラーレジスト液)を調製した。
実施例1と同様に比較例1の着色硬化性組成物の乾燥塗布膜と水との接触角を測定したところ、50°であった。また、該乾燥塗膜の表面粗さを同様に測定したところ、表面粗さは、13nmであった。
上記実施例1、2及び比較例1で得られた着色硬化性組成物について、以下の評価を行った。結果を下記表1に示す。
乾膜の溶剤に対する溶解性と塗布時の異物発生量を評価した。
1.溶剤溶解性
着色硬化性組成物を100mm×100mmのガラス基板(1737、コーニング社製)上に膜厚1.5μmとなるように塗布し、自然乾燥させて得られた乾燥塗布膜に、該着色感光性組成物の主溶剤であるプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを、室温で10μl滴下し、乾燥塗布膜が完溶するまでに要する時間を測定した。
着色硬化性組成物を550mm×650mmのガラス基板(1737、コーニング社製)上に以下のスリット塗布条件で、ノズル洗浄を行うことなく100枚連続塗布し、100枚目の基板面内において形成された塗膜を目視にて観察し、生成した異物数をカウントした。
(スリット塗布条件)
塗布ヘッド先端の開口部の間隙:50μm
塗布速度:100mm/秒
基板と塗布ヘッドとのクリアランス:150μm
塗布厚(乾燥膜厚):2μm
塗布温度:23℃
3.コントラスト
着色感光性組成物を100mm×100mmのガラス基板(1737、コーニング社製)上に色濃度の指標となるy値が0.090となるように塗布し、90℃のオーブンで60秒間乾燥させた(プリベーク)。その後、塗膜の全面に200mJ/cm2にて(照度20mW/cm2)露光し、露光後の塗膜をアルカリ現像液CDK−1(富士フイルムエレクトロニクスマテリアルズ(株)製)の1%水溶液にて覆い、60秒間静止した。静止後、純水をシャワー状に散布して現像液を洗い流した。そして、上記のように光硬化処理及び現像処理が施された塗膜を220℃のオーブンで1時間加熱処理し(ポストベーク)、着色膜形成基板を作製した。
作成した着色膜形成基板を2枚の偏光板で挟み込み、偏光板が平行時の輝度と直交時の輝度とをトプコン社製のBM−5を用いて測定し、平行時の輝度を直交時の輝度で除して得られる値(=平行時の輝度/直交時の輝度)を、コントラストを評価するための指標とした。
Claims (4)
- (A)塩化ナトリウム(NaCl)の存在下で微粒子化された顔料、(B)アルカリ可溶性樹脂、(C)重合性化合物、(D)光重合開始剤、(E)溶剤、及び(F)下記式で表される高分子分散剤を含有する着色硬化性組成物であって、
前記顔料が前記着色硬化性組成物の全固形分に対し、40質量%〜70質量%含み、
かつ該着色硬化性組成物を基板に塗布し、乾燥して得られた塗膜に対する水の接触角が60°以上である着色硬化性組成物。
- 前記着色硬化性組成物を基板に塗布し、乾燥して得られた塗膜の表面粗さが0.1nm〜8nmの範囲にある請求項1記載の着色硬化性組成物。
- 請求項1又は請求項2に記載の着色硬化性組成物をスリット塗布し、エネルギー付与して硬化してなる着色パターン。
- 基板上に、請求項3に記載の着色パターンを備えることを特徴とするカラーフィルタ。
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