JP4959162B2 - 積層体 - Google Patents

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本発明は特定のぬれ張力を有する積層体とその製造方法に関するものである。さらに詳しくは、接着性および印刷性が長期にわたり持続し、クリアケースやクリアボックス等の組立品に好適な積層体とその製造方法に関するものである。
ポリプロピレンやポリエチレンテレフタレート等の未延伸フィルムやシートは、優れた透明性、折り曲げ加工性、適度な剛性を有していることから、クリアケースやクリアボックス等の組立品に好適な基材として用いられているが、基材表面の疎水性が高く、接着性や印刷性に劣るため、通常、その表面を物理的表面処理(コロナ放電処理等)して親水化し、ぬれ性を高めることで接着性や印刷性を向上させている。
例えばコロナ放電処理は、基材の性質を損なうことなく表面を改質できるため、非常に有効な表面処理方法であるが、時間の経過とともに処理の効果が徐々に消失して表面状態が変化し、印刷が困難になる等の問題が生じたり、その時々の表面状態に適した接着剤、印刷インキを選ばなければならないなどの注意も必要であった。
例えば、延伸フィルムの物理的表面処理における上記の問題を解決するために、アクリル系樹脂とエポキシ化合物を含有する水系の塗工剤をプライマーとして表面に積層し、接着性および印刷性を付与する方法や(特許文献1)、前記塗工剤をプライマーとし表面に積層した後、コロナ処理を施して塗工面のぬれ張力を高め、さらに接着性を改善する方法も開示されている(特許文献2)。
特開平2−3432号公報 特開平8−258232号公報
特許文献1、2に示された積層体は、最終的に延伸されたフィルムに優れた接着性を付与することを目的としたものであり、その製造過程において塗膜を構成する化合物間の架橋・硬化反応を必須とする。そのため100℃以上での乾燥工程が必要であり、耐熱性に乏しい未延伸フィルムまたはシートへの応用は実質的に困難である。また、延伸フィルムでは、クリアケースまたはクリアボックスに応用できるだけの折り曲げ加工性や剛性が失われてしまうという問題がある。しかも40〜55℃の条件下で24時間以上におよぶ熟成期間を必要とするため、生産性に問題があった。さらに、長期間の物理的表面処理効果の維持に関する課題の解決については触れられていない。
本発明者らは鋭意検討した結果、未延伸熱可塑性樹脂基材に塗膜を設けた後に表面のぬれ張力を特定範囲とすることで、接着性および印刷性が長期にわたり保持されるという効果を見出すとともに、本発明が未延伸熱可塑性樹脂基材の加工に好適であることを見出した。
すなわち、本発明の要旨は以下のとおりである。
(1)樹脂塗膜と未延伸熱可塑性樹脂基材からなる積層体であって、塗膜表面のぬれ張力が40〜60mN/mであり、かつ塗膜を構成する樹脂のガラス転移点が35℃以上であり、さらに、塗膜の塗工量が0.005〜0.3g/m であって、塗膜中に界面活性剤を含まないことを特徴とする積層体。
(2)塗膜を構成する樹脂がポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂およびアクリル樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする(1)記載の積層体。
(3)塗膜に酸化スズ系化合物が含まれており、その量が塗膜を構成する樹脂100質量部あたり10〜1000質量部である(1)または(2)記載の積層体。
(4)塗膜にシリカ系化合物が含まれており、その量が塗膜を構成する樹脂100質量部あたり10〜1000質量部である(1)または(2)記載の積層体。
)基材が未延伸熱可塑性樹脂フィルムまたはシートであることを特徴とする(1)〜()のいずれかに記載の積層体。
)基材の熱可塑性樹脂基材がポリオレフィン樹脂またはポリエステル樹脂である(1)〜()のいずれかに記載の積層体。
)(1)〜()のいずれかに記載の積層体から形成されるクリアケースまたはクリアボックス。
)樹脂塗膜を未延伸熱可塑性樹脂基材に積層した後、物理的表面処理を施すことを特徴とする(1)記載の積層体の製造方法。
)物理的表面処理が、光、電子線、イオンビーム、およびプラズマからなる群より選ばれる少なくとも1種を用いた処理であることを特徴とする()記載の積層体の製造方法。
本発明の積層体は、塗膜表面のぬれ張力を40〜60mN/mとしているため、接着性および印刷性に優れている。しかも、物理的表面処理の効果が長期にわたり維持され、優れた接着性および印刷性も維持される。この効果は物理的表面処理の効果が持続し難く、乾燥条件が制限される未延伸基材に特に有効である。特に、塗膜を構成する樹脂のガラス転移点が35℃以上で場合には、物理的表面処理の効果がより長期にわたり維持される。
また、酸化スズ系化合物やシリカ系化合物を加えることで、塗工面同士の耐ブロッキング性、滑り性が付与されているため、ロールでの巻き取りや、積載して保存が可能となる。しかも耐溶剤性も付与される。特に酸化スズ系化合物を添加した場合には、帯電防止性能も付与されているため、塵やほこりの付着も抑えることができる。さらに、塗工量を指定の範囲にすることで、耐スクラッチ性も付与される。耐ブロッキング性、耐溶剤性、滑り性、帯電防止性、耐スクラッチ性も付与されることで、クリアケースやクリアボックス等により好適な積層体となる。
未延伸熱可塑性樹脂基材に樹脂塗膜を積層した後に物理的表面処理を施すという製法を採用することで、物理的表面処理の効果が持続しにくい未延伸熱可塑性樹脂基材に、安定した接着性および印刷性を付与することができる。
以下本発明を詳細に説明する。
本発明における塗膜表面のぬれ張力は、40〜60mN/mであることが必要であり、42〜58mN/mであることが好ましく、44〜56mN/mであることが特に好ましい。ぬれ張力が40mN/m未満では接着性や印刷性が不十分になる場合がある。一方、ぬれ張力が60mN/m以上になるように処理をすると、基材が白化する場合がある。ぬれ張力とはZismanによる臨界表面張力を意味する。これは、JIS K6768記載の方法で測定することができる。
塗膜表面のぬれ張力を40〜60mN/mの範囲とするための物理的表面処理方法としては、光、電子線、イオンビーム、プラズマを用いた処理方法が挙げられ、光を用いた処理方法としては、エキシマレーザーやエキシマランプ、短波長紫外線光を光励起光源とする処理方法が挙げられ、プラズマを用いた処理方法としては、プラズマジェット処理、コロナ放電処理、グロー放電処理等の方法が挙げられる。各物理的表面処理条件は、積層体の表面のぬれ張力が40〜60mN/mになる条件であればよく、例えば、紫外線照射処理条件としては一般的に0.1〜100mW/cmの条件が挙げられ、コロナ放電処理条件としては一般的に5〜50W・min/mの条件が挙げられるが、処理雰囲気により処理効果が異なるため、前記ぬれ張力範囲とするために、適宜処理条件を調整する。
本発明に用いる基材としては、未延伸熱可塑性樹脂基材であれば特に限定されるものではないが、例えば、未延伸熱可塑性樹脂からなるフィルム、シート、合成紙などが挙げられる。熱可塑性樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、アイオノマー、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−ビニルアルコール共重合体などのポリオレフィン樹脂、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン46等のポリアミド樹脂、ポリエチレンテレフタレート(以下、PET)、A−PET、ポリエチレンナフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリトリメチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリブチレンナフタレート、ポリ乳酸等のポリエステル樹脂、塩化ビニル、ポリスチレン樹脂、ポリイミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアリレート樹脂またはそれらの混合物が挙げられる。フィルムまたはシートとして前記樹脂からなるフィルムまたはシート単体またはフィルムまたはシートの積層体が挙げられる。これらの中で、クリアケース用に好適なものは、ポリオレフィン樹脂またはポリエステル樹脂である。基材の厚みは特に限定されず、通常、1〜10000μmの範囲であればよく、10〜1000μmであればさらによい。さらに上記基材は物理的表面処理を施されていてもよく、後述する塗工液の塗工性が良好になる点から上記表面処理が施されていることが好ましい。
本発明に使用する塗膜を構成する樹脂のガラス転移点は35℃以上であることが好ましく、50℃以上であることがより好ましく、60℃以上であることがさらに好ましい。35℃未満では、保存条件によっては本発明の特徴である物理的表面処理効果の経時的な劣化を抑制できない場合がある。このような塗膜を構成する樹脂の具体例としては、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、ビニル樹脂、ポリオレフィン樹脂等が挙げられ、これらを混合して用いてもよい。基材との密着性、水性分散体としたときの分散安定性、取り扱いの容易さの点からポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂が特に好ましい。
ポリウレタン樹脂とは、主鎖中にウレタン結合を含有する高分子であり、例えばポリオール化合物とポリイソシアネート化合物との反応で得られるものである。
ポリウレタン樹脂を構成するポリオール成分としては、特に限定されず、例えば、水、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、メチル−1,5−ペンタンジオール、1,8−オクタンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコールなどの低分子量グリコール類、トリメチロールプロパン、グリセリン、ペンタエリスリトールなどの低分子量ポリオール類、エチレンオキサイドやプロピレンオキサイド単位を有するポリオール化合物、ポリエーテルジオール類、ポリエステルジオール類などの高分子量ジオール類、ビスフェノールAやビスフェノールFなどのビスフェノール類、ダイマー酸のカルボキシル基を水酸基に転化したダイマージオール等が挙げられる。
また、ポリイソシアネート成分としては、芳香族、脂肪族および脂環族の公知ジイソシアネート類の1種または2種以上の混合物を用いることができる。ジイソシアネート類の具体例としては、トリレンジジイソシアネート、4,4´−ジフェニルメタンジイソシアネート、1,3−フェニレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、1,5−ナフチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジメリールジイソシアネート、リジンジイソシアネート、水添4,4´−ジフェニルメタンジイソシアネート、水添トリレンジジイソシアネート、ダイマー酸のカルボキシル基をイソシアネート基に転化したダイマージイソシアネート、およびこれらのアダクト体、ビウレット体、イソシアヌレート体などが挙げられる。また、ジイソシアネート類にはトリフェニルメタントリイソシアネート、ポリメチレンポリフェニルイソシアネートなどの3官能以上のポリイソシアネート類を用いてもよい。
次に、ポリエステル樹脂は、酸成分とアルコール成分から構成されるものである。なお、重合法については特に限定されず、常法により適宜行えばよい。
ポリエステル樹脂の酸成分としては、テレフタル酸、イソフタル酸、オルソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、ビフェニルジカルボン酸、シュウ酸、コハク酸、無水コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、フマル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸、シトラコン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、テトラヒドロフタル酸及びその無水物等を例示できる。また、酸成分として、3官能以上の多塩基酸、例えばトリメリット酸、ピロメリット酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、無水べンゾフェノンテトラカルボン酸、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸等が含まれていてもよい。
ポリエステル樹脂のアルコール成分としては、エチレングリコール、1,2‐プロパンジオール、1,3‐プロパンジオール、1,4‐ブタンジオール、1,5‐ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6‐ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール等が挙げられる。また、アルコール成分としては、3官能以上の多価アルコール、例えばグリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等が含まれていてもよい。
ポリエステル樹脂には、必要に応じて、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸等の脂肪酸やそのエステル形成性誘導体、安息香酸、p−tert−ブチル安息香酸、シクロヘキサン酸、4−ヒドロキシフェニルステアリン酸等の高沸点のモノカルボン酸、ステアリルアルコール、2−フェノキシエタノール等の高沸点のモノアルコール、ε−カプロラクトン、乳酸、β−ヒドロキシ酪酸、p−ヒドロキシ安息香酸等のヒドロキシカルボン酸が共重合されていてもよい。
アクリル樹脂、ビニル樹脂としては、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリル酸アミド、スチレン、置換スチレン、ジビニルベンゼン、塩化ビニル、塩化ビニリデン、アルキルビニルエーテル、ぎ酸ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ピバリン酸ビニル、バーサチック酸ビニル、(メタ)アクリロニトリル等のビニル化合物をラジカル重合して得られる樹脂が挙げられる。
ポリオレフィン樹脂としては、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸−無水マレイン酸共重合体、酸変性ポリエチレン、酸変性ポリプロピレン、酸変性エチレン−プロピレン樹脂、酸変性エチレン−ブテン樹脂、酸変性プロピレン−ブテン樹脂、酸変性エチレン−プロピレン−ブテン樹脂、あるいはこれらの酸変性樹脂にさらにアクリル酸エステル等でアクリル変性したもの等が挙げられる。なお、酸変性とは、無水マレイン酸、マレイン酸、無水イタコン酸、イタコン酸等の不飽和カルボン酸によって変性(具体的には、グラフト変性)されたものである。さらに、上記成分以外に他の成分をとして、1−オクテン、ノルボルネン類等の炭素数6を超えるアルケン類やジエン類、マレイン酸ジメチル、マレイン酸ジエチル、マレイン酸ジブチル等のマレイン酸エステル類、(メタ)アクリル酸アミド類、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテルなどのアルキルビニルエーテル類、ぎ酸ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ピバリン酸ビニル、バーサチック酸ビニル等のビニルエステル類ならびにビニルエステル類を塩基性化合物等でケン化して得られるビニルアルコール、2−ヒドロキシエチルアクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロニトリル、スチレン、置換スチレン、一酸化炭素、二酸化硫黄などがポリオレフィン樹脂全体の10質量%以下程度、含有されていてもよい。さらに、ポリオレフィン樹脂は5〜40質量%の範囲で塩素化されていてもよい。
本発明の積層体に積層されている塗膜には、耐ブロッキング性、耐溶剤性、滑り性、帯電防止性、耐スクラッチ性を付与するために、塗膜を構成する樹脂に加えて酸化スズ系化合物が含まれていることが好ましい。酸化スズ系化合物の量は、塗膜を構成する樹脂100質量部に対して、10〜1000質量部が好ましく、50〜800質量部がより好ましく、100〜500質量部がさらに好ましく、200〜300質量部が特に好ましい。酸化スズ系化合物が10質量部未満では、耐ブロッキング性、塗膜の耐溶剤性、滑り性、帯電防止性能等が低下する傾向にあり、1000質量部を超えると基材との密着性、接着剤の接着性、印刷性が低下する傾向がある。
本発明における酸化スズ系化合物の具体例としては、酸化スズ、アンチモンドープ酸化スズ、インジウムドープ酸化スズ、酸化スズドープインジウム、アルミニウムドープ酸化スズ、タングステンドープ酸化スズ、酸化チタン−酸化セリウム−酸化スズの複合体、酸化チタン−酸化スズの複合体などが挙げられ、それらの溶媒和物や配位化合物も用いることができる。なかでも導電性などの性能に優れ、かつ前記性能とコストのバランスのとれた酸化スズ、アンチモンドープ酸化スズ、酸化スズドープインジウムおよびそれらの溶媒和物や配位化合物が好ましく用いられる。酸化スズ系化合物の数平均粒子径は、100nm以下が好ましい。
例えば、酸化スズ系化合物のゾルとしては市販のものを使用することもできる。酸化スズ水分散体としては、山中化学工業社製EPS−8、アンチモンドープ酸化スズ系水分散体としては、石原産業社製SN100D、酸化スズドープインジウムとしては、シーアイ化成社製ITOなどがある。
本発明の積層体に積層されている塗膜には、耐ブロッキング性、耐溶剤性、滑り性を付与するために、塗膜を構成する樹脂に加えてシリカ系化合物が含まれていることが好ましい。シリカ系化合物の量は、塗膜を構成する樹脂100質量部に対して、10〜1000質量部が好ましく、20〜500質量部がより好ましく、30〜300質量部がさらに好ましく、50〜200質量部が特に好ましい。シリカ系化合物が10質量部未満では、耐ブロッキング性、塗膜の耐溶剤性、滑り性等が低下する傾向にあり、1000質量部を超えると基材との密着性、接着剤の接着性、印刷性が低下する傾向がある。
本発明で使用されるシリカ系化合物に制限はなく、分散安定性の観点から100nm以下の粒子径を有するものが好ましい。後述する塗工工程における利点から、特に、コロイダルシリカが好ましい。コロイダルシリカとは、コロイド状に水に分散させた超微粒子シリカゾルであり、その一次粒子径は通常2〜100nmの範囲である。コロイダルシリカはコロイダルリン酸アルミニウムやメタアルミン酸イオン等の金属イオンなどで表面処理されていてもよい。
上記のコロイダルシリカの製造方法は特に限定されず、市販されたシリカ水分散体を使用することもできる。例えば、日産化学工業社製「スノーテックス」シリーズ、水沢化学社製「ミズカシル」シリーズなどがある。
上記した、酸化スズ系化合物やシリカ系化合物の数平均粒子径は、動的光散乱法によって測定される。
本発明の積層体に積層されている塗膜に添加する化合物として、優れた耐スクラッチ性の発現と帯電防止性能の付与という点から、シリカ系化合物よりも酸化スズ系化合物が好ましい。
また、塗膜を構成する樹脂には、酸化スズ系化合物とシリカ系化合物が同時に含まれていてもよく、その総添加量は、塗膜を構成する樹脂100質量部に対して、10〜1000質量部が好ましく、100〜300質量部がより好ましい。10質量部未満では、耐ブロッキング性、塗膜の耐溶剤性、滑り性等が低下する傾向にあり、1000質量部を超えると基材との密着性、接着剤の接着性、印刷性が低下する傾向がある。
塗膜の耐スクラッチ性、接着剤の接着性などの各種の塗膜性能をさらに向上させるために、架橋剤を添加することが好ましい。その添加量は、塗膜を構成する樹脂100質量部に対して200質量部以下であることが好ましく、その添加量は0.1〜150質量部がより好ましく、5〜100質量部がさらに好ましく、10〜100質量部が特に好ましい。架橋剤の添加量が200質量部を超える場合には、基材との密着性や接着剤による接着性が低下することがある。架橋剤としては、自己架橋性を有する架橋剤、カルボキシル基と反応する官能基を分子内に複数個有する化合物、多価の配位座を有する金属錯体等を用いることができ、このうちイソシアネート化合物、メラミン化合物、尿素化合物、エポキシ化合物、カルボジイミド化合物、オキサゾリン基含有化合物、ジルコニウム塩化合物、シランカップリング剤等が好ましい。また、これらの架橋剤を組み合わせて使用しても良い。中でも、比較的、低温で塗膜性能を向上できる点から、イソシアネート化合物、オキサゾリン基含有化合物が好ましく、イソシアネート化合物がより好ましく、非ブロック型イソシアネート化合物がさらに好ましく、多官能非ブロック型イソシアネート化合物が最も好ましい。
さらに塗膜構成成分として、ワックス、シリコーン系化合物、脂肪酸アミド化合物、脂肪酸金属塩化合物から選ばれる少なくとも1種を含有することが好ましい。これらを含有することで塗膜の滑り性が向上し、耐スクラッチ性などの性能が向上する。ワックスとしては、キャンデリラワックス、カルナバワックスなどの植物ワックス、セラックワックス、ラノリンワックスなどの動物ワックス、モンタンワックス、オゾケライトなどの鉱物ワックス、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックスなどの石油ワックス、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス等を例示することができる。シリコーン系化合物としては、分子内にケイ素−酸素結合(シロキサン結合)を有し、ケイ素原子の側鎖に有機基が結合した化合物であり、例えばアルキルメトキシシラン化合物、アルキルエトキシシラン化合物等が挙げられる。脂肪酸アミド化合物としては、ステアリン酸アミド、ビスステアリン酸アミド、オレイン酸アミド等が挙げられ、脂肪酸金属塩化合物としては、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウム等が挙げられる。
また塗膜の耐水性や基材との密着性の点から、塗膜中の界面活性剤(濡れ剤、消泡剤、分散剤、乳化剤)や保護コロイド化合物などの不揮発性化合物の含有量は塗膜を構成する樹脂100質量部あたり5質量部以下であることが好ましく、1質量部以下がより好ましく、0.1質量部以下がさらに好ましく、添加しないことが最も好ましい。このような化合物は乾燥後も塗膜中に残存し、経時的に塗膜性能を低下させてしまう恐れがあるからである。
本発明の塗膜は、基材の少なくとも片面に積層されていればよい。
塗膜を基材上に形成して積層体とする方法としては、例えば、塗膜構成成分を液状媒体に溶解または分散した塗工液を基材に塗布、乾燥する方法が挙げられる。中でも、揮発性有機化合物(VOC)を低減させる点(環境面)や塗工液の安定性の点から、液状媒体は、水性媒体が好ましい。こうした塗工液は、塗膜を構成する樹脂の水性分散体および酸化スズ系化合物またはシリカ系化合物のゾルを所定の割合で混合することで得ることができる。架橋剤成分を用いる場合には、さらに架橋剤またはその水性分散体を混合する。
塗膜を構成する樹脂の水性分散体を得る方法は特に限定されず、市販されているものを使用してもよく、樹脂を入手してそれを分散する方法やモノマーを水性媒体中で重合して得ることができる。
本発明に用いる塗工液の固形分濃度は積層する塗膜量によって適宜決めればよく、通常0.01〜20質量%であり、透明で均一な塗膜を形成させる点から、0.01〜10質量%が好ましく、0.1〜5質量%がより好ましい。
本発明において、塗膜の塗工量は0.005〜0.3g/mとすることが好ましく、0.008〜0.1g/mがより好ましく、0.01〜0.08g/mがさらに好ましく、0.015〜0.06g/mが特に好ましい。積層量が0.3g/mを超えると塗膜の耐スクラッチ性が悪化し、透明性、基材密着性、耐ブロッキング性が低下する場合がある。積層量が0.005g/m未満では均一に積層することが困難になり、特に酸化スズ系化合物を添加した系では帯電防止性能が悪化する。帯電防止性能は表面固有抵抗値で評価することができ、塵やほこり等の付着を抑える点から、この値が1014Ω/□以下であれば実用上好ましい。
塗工方法としては、例えば、グラビアロールコーティング、リバースロールコーティング、ワイヤーバーコーティング、リップコーティング、エアナイフコーティング、カーテンフローコーティング、スプレーコーティング、浸漬コーティング、はけ塗り法等により各種基材フィルム等の表面に均一にコーティングし、必要に応じて室温付近でセッティングした後、乾燥処理に供することにより、均一な樹脂塗膜を各種基材フィルム等の表面に密着させて形成することができる。このときの加熱装置としては、通常の熱風循環型のオーブンや赤外線ヒーター等を使用すればよい。また、加熱温度や加熱時間としては、被コーティング物である基材フィルム等の特性により適宜選択されるものであるが、経済性を考慮した場合、加熱温度としては、10℃〜フィルム等の樹脂の融点までが好ましく、20℃〜フィルム等の樹脂の融点までがより好ましく、30℃〜フィルム等の樹脂がさらに好ましい。加熱時間としては、1秒〜20分が好ましく、5秒〜15分がより好ましく、10秒〜10分がさらに好ましい。
こうして得られた積層体は、例えば、クリアケース、クリアボックス等の組立品;グラフィックフィルム;製版フィルム;OHPフィルム等の用途に使用することができ、特に、クリアケースやクリアボックス等の組立品には好適である。組立品を形成する方法としては、例えば、フィルムやシートの形状の積層体を箱型になるように折り目をつけ、シアノアクリレート系やホットメルト系の接着剤を用いて箱型に形成する。本発明の積層体は透明性が高いため、箱の中の商品を入れ、陳列させて使用することもでき、中が見えるので商品を確認することができる。また、積層体の一部に印刷を施してもよい。印刷に用いるインキは特に限定されるものではないが、生産性、密着性などの点からUV硬化型のインキを使用することが好ましい。
以下、実施例によって本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、基材フィルムとしては、PPフィルム(厚み300μm、出光ユニテック社製、スーパーピュアレイ)(以下、SP)またはA−PETフィルム(厚み200μm、三菱化学社製)(以下、AP)を用いた。なお、各種評価は塗工フィルムを温度23℃、湿度65%雰囲気下で1日放置後に実施した。
(1)塗膜量(塗工量)
あらかじめ面積と質量を計測した基材に本発明の塗工液を所定量、塗工し、60℃で2分間、乾燥した。得られた積層体の質量を測定し、塗工前の基材の質量を差し引くことで塗膜量を求めた。塗工量と塗工面積から単位面積当りの塗膜量(g/m)を計算した。
(2)ヘイズ
JIS−K7361−1に基づいて、濁度計(日本電色工業株式会社製、NDH2000)を用いて、積層体のヘイズ測定を行った。ただし、この評価値は、各実施例で用いた基材フィルムの濁度(SP:3.1%、AP:0.72%)を含んでいる。
(3)樹脂のガラス転移点温度(Tg) 樹脂水性分散体を風乾後、100度で5時間減圧乾燥し樹脂を分取した。その樹脂10mgをサンプルとし、示差走査熱量測定装置(パーキンエルマー社製、DSC7)を用いて昇温速度10℃/分の条件で測定を行い、求めた。
(4)耐溶剤性
塗工フィルムの塗膜面にn−ヘプタンを染込ませた布で10回擦り、塗膜表面の状態を以下のように評価した。
○:変化なし
△:やや白化
×:白化
(5)帯電防止特性
JIS−K6911に基づいて、株式会社アドバンテスト製デジタル超高抵抗/微少電流計、R8340を用いて、積層体の塗膜の表面固有抵抗値を温度23℃、湿度65%雰囲気下で測定し、評価した。
(6)密着性
基材フィルムと塗膜との密着性をJIS K5400記載のクロスカット法によるテープ剥離(碁盤目試験)により評価した。クロスカットにより、塗布層を100区間にカットし、テープ剥離後残留した塗布層の区間数で、以下の基準により評価した。
○:100区間残留
△:90〜100区間残留
×:0〜90区間残留
(7)耐スクラッチ性
JIS K5400記載の鉛筆硬度測定法に準じて、Bの鉛筆(三菱ユニ社製)を用いて塗膜を5回引っかき、以下のように評価した。
○:傷付きは0回(傷付きなし)
△:傷付きは1回
×:傷付きは2回以上
(8)耐ブロッキング性
塗工フィルムの塗膜面同士を重ね合わせた状態で、200g/cmの負荷をかけ、40℃ 雰囲気下で24時間放置後、剥離させ、その際の剥離の程度および塗膜面の状態(一方の塗膜面に他方の塗工面の剥離跡が残るか否か)とから、以下の基準により判定した。
○:フィルムに軽く触れる程度で剥離する。剥離跡は残らない。
△:フィルムを引っ張ると剥離する。剥離跡は残らない。
×:フィルムは剥離するが、剥離跡が残る。
(9)滑り性
塗工フィルムの塗膜面同士を重ね合わせた状態でフィルムを上下に動かし、その滑り具合を以下のように評価した。
○:抵抗なし
△:やや抵抗有り
×:滑らない
(10)ぬれ張力
JIS K6768記載の測定法に準じて、表面張力が順を追って異なるように調整した標準液(エチレングリコールモノエチルエーテル/ホルムアミド)を処理面に塗布し、フィルムをぬらすと判定された標準液の表面張力を示した。
(11)接着剤の接着性
接着剤はシアノアクリレート系接着剤(商品名「アロンアルファ」プラスチック用、コニシ社製)を用いた。積層体の塗膜表面を、プライマーを染込ませた綿棒で軽く塗った。10分後、接着剤を塗布、塗膜面同士を接着し、温度23℃、湿度65%雰囲気下で24時間後、手で剥離した。
○:基材フィルムが材料破壊した。
×:基材フィルムが材料破壊しなかった。
(12)印刷性1(インキのぬれ性)
紫外線硬化型インキ(T&K TOKA社製、UV STP)を粘度が50〜60mPa・S(25℃)になるように希釈し、これを塗工フィルムにグラビア印刷した際のインキのぬれ性(はじきの程度)を評価した。
○:インキのはじき無し
×:インキのはじき有り
(13)印刷性2(インキの密着性)
上記(11)と同様の印刷を行い、印刷1時間後に基材フィルムとインキとの密着性をJIS K5400記載のクロスカット法によるテープ剥離(碁盤目試験)により評価した。クロスカットにより、インキ層を100区間にカットし、テープ剥離後残留した塗布層の区間数で、以下の基準により評価した。
○:100区間残留
△:80〜100区間残留
×:0〜80区間残留
(14)長期保存後の物性
塗工フィルムを40℃で1ヶ月間、放置後、(10)、(11)、(12)の試験を行った。
(15)粒子径
酸化スズ系化合物およびシリカ系化合物の数平均粒子径はそれぞれ日機装社製マイクロトラック粒度分布計UPA150(Model No.9340)を用いて、動的光散乱法によって測定した。
(ポリウレタン樹脂水性分散体U)
ポリウレタン樹脂水性分散体Uとして三井武田社製タケラックW−6010(Tg:90℃、固形分濃度:30質量%)を使用した。
(ポリエステル樹脂水性分散体P)
ポリエステル樹脂水性分散体Pとしてユニチカ社製エリーテルKZA−3556(Tg:80℃、固形分濃度:30質量%)を使用した。
(アクリル樹脂水性分散体A)
アクリル樹脂水性分散体Aとして楠本化成社製NeoCryl A−633(Tg:63℃、固形分濃度:42質量%)を使用した。
(酸化スズゾルZの調製)
塩化第二スズ五水和物28g(0.1モル)を200mlの水に溶解して0.5Mの水溶液とし、撹拌しながら28%のアンモニア水を添加することでpH1.5の白色酸化スズ超微粒子含有スラリーを得た。得られた酸化スズ超微粒子含有スラリーを70℃まで加熱した後、50℃前後まで自然冷却したうえで純水を加え1Lの酸化スズ超微粒子含有スラリーとし、遠心分離器を用いて固液分離を行った。この含水固形分に800mlの純水を加えて、ホモジナイザーにより撹拌・分散を行った後、遠心分離器を用いて固液分離を行うことで洗浄を行った。洗浄後の含水固形分に純水を75ml加えて酸化スズ超微粒子含有スラリーを調製した。
得られた酸化スズ超微粒子含有スラリーにトリエチルアミン3.0mlを加え撹拌し、透明感が出てきたところで70℃まで昇温した後、加温をやめ自然冷却することで固形分濃度10.5質量%の酸化スズゾルZを得た。数平均粒子径は8nmであった。
(シリカゾルS)
シリカゾルSとして日産化学社製スノーテックスN(固形分濃度:20質量%)を使用した。数平均粒子径は16nmであった。
《塗工液の調製》
(塗工液1の調製)
ポリウレタン樹脂水性分散体Uを、水/イソプロパノールが30/70(質量比)の混合溶媒で10倍に希釈して塗工液1を得た。
(塗工液2の調製)
ポリエステル樹脂水性分散体Pを、水/イソプロパノールが30/70(質量比)の混合溶媒で10倍に希釈して塗工液2を得た。
(塗工液3の調製)
アクリル樹脂水性分散体Aを、水/イソプロパノールが30/70(質量比)の混合溶媒で10倍に希釈して塗工液3を得た。
(塗工液4の調製)
酸化スズゾルZに、ポリウレタン樹脂水性分散体Uを、ポリウレタン樹脂固形分100質量部に対して酸化スズ超微粒子が200質量部となるように混合した後、水/イソプロパノールが30/70(質量比)の混合溶媒で20倍に希釈して塗工液4を得た。
(塗工液5の調製)
酸化スズゾルZに、ポリウレタン樹脂水性分散体Uを、ポリウレタン樹脂固形分100質量部に対して酸化スズ超微粒子が50質量部となるように混合した後、水/イソプロパノールが30/70(質量比)の混合溶媒で20倍に希釈して塗工液5を得た。
(塗工液6の調製)
酸化スズゾルZに、ポリウレタン樹脂水性分散体Uを、ポリウレタン樹脂固形分100質量部に対して酸化スズ超微粒子が800質量部となるように混合した後、水/イソプロパノールが30/70(質量比)の混合溶媒で20倍に希釈して塗工液6を得た。
(塗工液7の調製)
酸化スズゾルZに、ポリエステル樹脂水性分散体Eを、ポリエステル樹脂固形分100質量部に対して酸化スズ超微粒子が200質量部となるように混合した後、水/イソプロパノールが30/70(質量比)の混合溶媒で20倍に希釈して塗工液7を得た。
(塗工液8の調製)
酸化スズゾルZに、アクリル樹脂水性分散体Aを、アクリル樹脂固形分100質量部に対して酸化スズ超微粒子が200質量部となるように混合した後、水/イソプロパノールが30/70(質量比)の混合溶媒で20倍に希釈して塗工液8を得た。
(塗工液9の調製)
シリカSに、ポリウレタン樹脂水性分散体Uを、ポリウレタン樹脂固形分100質量部に対してシリカが200質量部となるように混合した後、水/イソプロパノールが30/70(質量比)の混合溶媒で20倍に希釈して塗工液9を得た。
実施例1
SPのコロナ面に、塗工液1を乾燥後の塗膜量(塗工量)が0.03g/mになるように塗工後、60℃で2分間乾燥して塗工フィルムとし、塗工面のぬれ張力が46mN/mになるようコロナ放電処理(30W・min/m)を施して積層体を得た。
実施例2〜4および7〜11
塗工液1に変えて、塗工液2(実施例2)、塗工液3(実施例3)、塗工液4(実施例4)、塗工液5(実施例7)、塗工液6(実施例8)、塗工液7(実施例9)、塗工液8(実施例10)または塗工液9(実施例11)を用いた以外は実施例1と同様の操作で積層体を得た。
実施例5、6
塗膜量(塗工量)を0.10g/m(実施例5)、0.008g/m(実施例6)に変えた以外は実施例4と同様の操作で積層体を得た。
実施例12
SPのコロナ面に、塗工液1を乾燥後の塗膜量(塗工量)が0.03g/mになるように塗工後、60℃で2分間乾燥して塗工フィルムとし、塗工面のぬれ張力が50mN/mになるようコロナ放電処理(50W・min/m)を施して積層体を得た。
比較例1
塗工液を塗工しないSPのコロナ面を評価した。
比較例2
実施例1において塗工液を塗工した後、物理的表面処理を施さない以外は同様の操作で積層体を得た。この積層体のぬれ張力は38mN/mであった。
比較例3
実施例8において塗工液を塗工した後、物理的表面処理を施さない以外は同様の操作で積層体を得た。この積層体のぬれ張力は38mN/mであった。
実施例1〜12、比較例1〜3の結果をまとめて表1に示す。
実施例13
基材にAPを用いた以外は実施例1と同様の操作で積層体を得た。
実施例14、15および18〜21
塗工液1に代えて、塗工液2(実施例14)、塗工液4(実施例15)、塗工液5(実施例18)、塗工液6(実施例19)、塗工液7(実施例20)または塗工液9(実施例21)を用いた以外は実施例13と同様の操作で積層体を得た。を用いた以外は実施例13と同様の操作で積層体を得た。
実施例16、17
塗膜量(塗工量)を0.10g/m(実施例16)、0.008g/m(実施例17)に変えた以外は実施例13と同様の操作で積層体を得た。
実施例22
APのコロナ面に、塗工液1を乾燥後の塗膜量(塗工量)が0.03g/mになるように塗工後、60℃で2分間乾燥して塗工フィルムとし、塗工面のぬれ張力が50mN/mになるようコロナ放電処理(50W・min/m)を施して積層体を得た。
比較例4
塗工液を塗工しないAPのコロナ面を評価した。
比較例5
実施例13において塗工液を塗工した後、物理的表面処理を施さない以外は同様の操作で積層体を得た。この積層体のぬれ張力は38mN/mであった。
比較例6
実施例15において塗工液を塗工した後、物理的表面処理を施さない以外は同様の操作で積層体を得た。この積層体のぬれ張力は38mN/mであった。
実施例13〜22、比較例4〜6の結果をまとめて表2に示す。
実施例1〜3に示すように、ガラス転移点が35℃以上の樹脂塗膜をPPフィルムに積層した後、物理的表面処理を施し、表面のぬれ張力を本発明の範囲とすることで、接着剤の接着性および印刷性は長期間保存後も維持されていた。酸化スズを添加することで耐溶剤性、耐スクラッチ性、耐ブロッキング性、滑り性、帯電防止性が向上した(実施例4〜10)。そのなかで、塗膜量が増すと耐スクラッチ性は低下するが帯電防止性は向上し、塗膜量が減ると帯電防止性は低下するがが耐スクラッチ性は良好となる傾向が認められた(実施例4〜6)。酸化スズ添加量が増えると耐スクラッチ性は低下するが帯電防止性は向上し、添加量が減ると帯電防止性は低下するが耐スクラッチ性は良好となる傾向が認められた(実施例4、7、8)。また、シリカを添加することによっても耐溶剤性、耐ブロッキング性、滑り性が向上した(実施例11)。また、ぬれ張力が高くなるよう処理しても各種特性は良好であった(実施例12)。これらは全て実際の使用上問題のないレベルにあった。一方、基材フィルム単体では、長期間保存後にコロナ放電処理の効果が減衰し接着性および印刷性が悪化した(比較例1)。塗膜を積層しても、その後物理的表面処理を施さないと、接着性および印刷性は付与できなかった(比較例2、3)。
また実施例13、14に示すように、ガラス転移点が35℃以上の樹脂塗膜をA−PETフィルムに特定量積層した後、物理的表面処理を施し、表面のぬれ張力を本発明の範囲とすることで、接着剤の接着性および印刷性は長期間保存後も維持されていた。酸化スズを添加することで耐溶剤性、耐スクラッチ性、耐ブロッキング性、滑り性、帯電防止性が向上した(実施例15〜20)。そのなかで、塗膜量が増すと耐スクラッチ性は低下するが帯電防止性は向上し、塗膜量が減ると帯電防止性は低下するが耐スクラッチ性は良好となる傾向が認められた(実施例15〜17)。同様に酸化スズ添加量が増えると耐スクラッチ性は低下するが帯電防止性は向上し、添加量が減ると帯電防止性は低下するが耐スクラッチ性は良好となる傾向が認められた(実施例15、18、19)。また、シリカを添加することによっても耐溶剤性、耐ブロッキング性、滑り性が向上した(実施例21)。また、ぬれ張力が高くなるよう処理しても各種特性は良好であった(実施例22)。これらは全て実際の使用上問題のないレベルにあった。一方、基材フィルム単体では、長期間保存後にコロナ放電処理の効果が減衰し接着性および印刷性が悪化した(比較例4)。塗膜を積層しても、その後物理的表面処理を施さないと、接着性および印刷性は付与できなかった(比較例5、6)。

Claims (9)

  1. 樹脂塗膜と未延伸熱可塑性樹脂基材からなる積層体であって、塗膜表面のぬれ張力が40〜60mN/mであり、かつ塗膜を構成する樹脂のガラス転移点が35℃以上であり、さらに、塗膜の塗工量が0.005〜0.3g/m であって、塗膜中に界面活性剤を含まないことを特徴とする積層体。
  2. 塗膜を構成する樹脂がポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂およびアクリル樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項1記載の積層体。
  3. 塗膜に酸化スズ系化合物が含まれており、その量が塗膜を構成する樹脂100質量部あたり10〜1000質量部である請求項1または2記載の積層体。
  4. 塗膜にシリカ系化合物が含まれており、その量が塗膜を構成する樹脂100質量部あたり10〜1000質量部である請求項1または2記載の積層体。
  5. 基材が未延伸熱可塑性樹脂フィルムまたはシートであることを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載の積層体。
  6. 基材の熱可塑性樹脂基材がポリオレフィン樹脂またはポリエステル樹脂である請求項1〜のいずれかに記載の積層体。
  7. 請求項1〜のいずれかに記載の積層体から形成されるクリアケースまたはクリアボックス。
  8. 樹脂塗膜を未延伸熱可塑性樹脂基材に積層した後、物理的表面処理を施すことを特徴とする請求項1記載の積層体の製造方法。
  9. 物理的表面処理が、光、電子線、イオンビーム、およびプラズマからなる群より選ばれる少なくとも1種を用いた処理であることを特徴とする請求項記載の積層体の製造方法。
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