JP4956962B2 - 走行装置及びその制御方法 - Google Patents

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Description

本発明は、例えば人間を搭乗させて二輪で走行する乗り物に使用して好適な走行装置及びその制御方法に関する。詳しくは、筐体の前方及び/または後方に装備した看視装置により筐体の前方及び/または後方の路面状態を判断し、段差部への乗り入れや障害物の回避に際して良好な制御を行うことができるようにしたものである。
例えば人間を搭乗させて二輪で走行する乗り物が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
米国特許第6288505号明細書
例えば、人間を搭乗させて二輪で走行する乗り物として、本願出願人は先に以下に述べるような走行装置を提案(特開2005−6435号公報参照)した。
先ず、本願出願人が提案した同軸二輪車の一実施形態の外観斜視図を図26に示す。図26に示す同軸二輪車1において、車輪軸2の両端には一対の車輪3(右車輪3R及び左車輪3L)が止着されている。この車輪3は、柔軟な特性を有するゴム材で形成されており、その内部には空気や窒素ガス等が充填される。このガス圧を調整して車輪3の柔軟性を調整することにより、機体の振動を吸収し、路面の凹凸による振動や段差による衝撃を低減することができる。
また、車輪軸2には、例えば人間が立ち姿勢で搭乗するための板状体の下に後述する制御装置等が格納される略直方体形状の筐体が接合されたベース4が、車輪軸2回りに傾動可能に支持されている。なお、以下の説明においては、両輪を結ぶ車輪軸2の中間点をX−Y−Z座標系の原点Oと仮定し、この原点Oを通りベース4の主面と平行で且つ車輪軸2に垂直な方向をX軸又はロール軸、原点Oを通る車輪軸方向をY軸又はピッチ軸、原点Oを通りベース4の主面と垂直な方向をZ軸又はヨー軸と定義する。また、同軸二輪車1の前方をX軸の正方向、左方をY軸の正方向、上方をZ軸の正方向とそれぞれ定義する。
ベース4には、図27に示すように、正逆回転可能なモータ10(10R及び10L)が装着されており、モータ10に隣接して、モータ10の回転位置を検出するためのロータリエンコーダ11(11R及び11L)が設けられている。また、モータ10と車輪3との間には、歯車又はタイミングベルトによる減速器12(12R及び12L)が介在されており、モータ10の回転がこの減速器12及びジョイント(図示せず)を介して車輪3に伝達される。
さらに、ベース4には、ベース4のピッチ軸、ヨー軸回りの角速度ωp、ωyawを検出するためのジャイロセンサ13のほか、X、Y、Z軸方向のリニア加速度Ax、Ay、Az及びピッチ軸、ロール軸、ヨー軸回りの角加速度αp、αr、αyawを検出するための加速度センサ14や、ベース4上の負荷重量を検出するための圧力センサ15等の各種センサが内蔵されている。
このうち、圧力センサ15は、図28のAの平面図及び図28のBの側面図に示すようにベース4の板状体を構成する支持台4aと可動台4bとの間の四隅に設けられており、この4つの圧力センサ151、152、153、154のセンサ信号から、ベース4上の負荷の重心座標(Xg、Yg)とその負荷重量Wgとを検出することができる。
すなわち、圧力センサ151〜154のセンサ信号がそれぞれPS1、PS2、PS3、PS4であり、無荷重状態で圧力センサ151〜154にかかる自重がW0である場合、負荷重量Wgは、以下の式(1)のように求められる。
また、圧力センサ151、152、153、154の座標が、それぞれ(Xps,Yps)、(−Xps,Yps)、(―Xps,―Yps)、(Xps,―Yps)である場合に、重心座標(Xg,Yg)は、以下の式(2)のように求められる。
この式(2)において、W14は無荷重状態で圧力センサ151、154にかかる自重を示し、W23は無荷重状態で圧力センサ152、153にかかる自重を示し、W12は無荷重状態で圧力センサ151、152にかかる自重を示し、W34は無荷重状態で圧力センサ153、154にかかる自重を示す。
このようにして、圧力センサ15によりベース4上の負荷による負荷荷重トルクT1が計算できるため、モータ10にその反作用のモーメントを与えることにより、ベース4上でバランスを保ち、姿勢を安定化することが可能となる。
さらにまた、ベース4の下部筐体には、マイクロコンピュータからなる制御装置16が搭載されており、この制御装置16に各種センサ信号、検出信号が入力される。制御装置16は、これらの入力信号に基づいて、後述するようにベース4のピッチ軸角度、ヨー軸角度を適切な値に保ちながら、機体を前進・後退・旋回させるモータトルクを発生するように制御する。
また、この同軸二輪車1は、図29に示すように、車輪軸2回りに傾動可能とされるベース4の重量中心Mが車輪軸2よりも下方に位置するように構成されている。これにより、停止時にも機体の重心位置が最も安定な位置に保たれ、転倒しにくくなる。なお、この図29ではベース4の上面の高さが車輪軸2よりも高くなっているが、ベース4の上面が車輪軸2より低くなっていても構わない。
ここで、ベース4上で姿勢を保つための制御概念について説明する。図30に示すように、ベース4上の負荷、例えば人間の体重による負荷荷重トルクT1に対して、同じモーメントを発生するようにモータトルクTmを制御すると、ベース4はシーソーのように支点を中心にバランスを保つ。このバランスを保つ支点に相当する点、すなわち車輪軸2回りの回転モーメントがゼロとなる点をZMP(Zero Moment Point)と呼ぶ。このZMPが車輪3の路面との接地点に一致するとき、或いは路面との接地面内にあるとき、バランスが保たれてベース4上で姿勢を保つことができる。
この同軸二輪車1に体重Whの人間が搭乗した場合、図31に示すように、人間の傾き角θに応じてベース4の重量中心Mが車輪軸2を中心に傾く。このとき、車輪軸2がバランスをとるための車輪軸トルクT0は以下の式(3)で表され、姿勢を保つためのモータトルクTmは減速器12の減速比をN:1としてT0/Nで表される。
このようにして、上述の同軸二輪車1では、上述の如くベース4の重量中心Mが車輪軸2よりも下方に位置するように構成されているため、式(3)のように、人間の体重Whによるモーメントとベース4の重量Wmによるモーメントとの差分を車輪軸トルクT0として加えるのみでよく、比較的小さいモータトルクでバランスを保つことができる。
さらに、ベース4上で姿勢を保つための力学モデルについて、図32に示すX−Z座標系を用いて詳細に説明する。ここで図32では簡単のため、車輪3は1つであるものとして説明する。また、車輪3、ベース4、及びベース4上の人間をそれぞれリンクとみなし、その重心位置座標をそれぞれ(x0,z0)、(x1,z1)、(x2,z2)とする。さらに、各リンクの質量をそれぞれm0、m1、m2とし、慣性モーメントをI0、I1、I2とする。
定義した点Ω(σ,φ)回りの第iリンク(i=0,1,2)の各運動量は、重心位置座標を(xi,zi)とすると、以下の式(4)で表される。ここで、式(4)においてx、zの上に付されている1つの点は、x、zの1階微分であることを示している。
したがって、全リンクの慣性力によるモーメントは、以下の式(5)で表される。ここで、式(5)においてx、zの上に付されている2つの点は、x、zの2階微分であることを示している。また、全リンクの重力によるモーメントは、重力加速度をgとして以下の式(6)で表される。
この慣性力によるモーメントと重力によるモーメントとの和により、式(7)に示すように、点Ω(σ,φ)回りのモーメントMΩが与えられる。
質量m0である車輪3の重力によるモーメントを除けば、点Ω(σ,φ)を原点にとることで、上述のモーメントMΩは車輪軸2回りのモーメントMaとなる。この車輪軸2回りのモーメントMaは、以下の式(8)で表される。
このモーメントMaを用いて上述のモーメントMΩを表せば、x0=0であるとき、すなわち車輪3の重心位置が車輪軸2上にあるとき、以下の式(9)で与えられる。
ここで、ZMPはモーメントMΩが0である床面上の点と定義される。そこで、車輪軸2の高さをh、ZMPの座標を(σzmp,−h)として式(7)に代入すると、以下の式(10)のようになる。この式(10)をσzmpについて解くことで、ZMPをリンク位置、加速度及び質量により表すことができる。
また、上述した式(9)にZMPの座標(σzmp,−h)を代入すると、以下の式(11)のようになる。なお、この式(11)は、車輪軸2回りのモーメントのつり合いの式を示す。
ここで、ZMPに作用する力を図33に図示する。図33において、FNは床反力、FTは転がり摩擦力、FはFNとFTとの合成ベクトルを表す。なお、床反力FNは実際には車輪3の接地面全体に分布するが、図33ではZMPに集約するものとして表している。この図から車輪軸2回りのモーメントのつり合いの式を表すと、以下の式(12)のようになる。
なお、この式(12)に、以下の式(13)〜(15)を代入すると、上述した式(11)と同じものになる。
ベース4上の姿勢が安定するには、式(12)においてσzmp=0となればよい。すなわち、車輪軸トルクT0=−FT*hが成立すれば姿勢を保つことができる。したがって、T0=FT=0を満たす以下の式(16)に示す状態変数を制御することにより、姿勢を安定させることができる。
このとき、x0、x1は、機構構造により一意に定まるが、m2、I2、x2、z2は、人間であるため不定値である。このm2、I2、x2、z2によるベース4上でのモーメントMtは、以下の式(17)で与えられる。但し、ベース4は、図34のように水平に保たれるものとする。
ここで、負荷が人間である場合には角速度ω2が十分に小さいため、ω2≒0と近似すると、式(18)においてx2とその2階微分値をゼロにするときモーメントMtがゼロになる。x2とその2階微分値をゼロにすることは、ベース4上での負荷荷重トルクT1がゼロとなるようにx0及びx1を制御することと等価と考えてよい。また、この負荷荷重トルクT1によるモーメントMtは、力F2でベース4上の作用点(xf,L)に作用することと等価である。したがって、このxfをゼロにするx0、x1を与えることができればT1=0となり、姿勢を安定に保つ条件を満足することができる。
図34に示すように、ベース4上のジャイロセンサ信号をフィードバック制御してモータトルクTmを与えることによりx0=x1を保つように制御されているとき、xf=x0となるようにモータトルクTmを制御することで姿勢を安定に保つことができる。
具体的には、誤差Ef=xf−x0とするとき、Ef>0であればx0を正の方向に変位させるためにモータトルクTmを負として機体を前進させ、Ef<0であればx0を負の方向に変位させるためにモータトルクTmを正として機体を後退させることで、誤差Efをゼロに収束させることができる。すなわち、A0を正の定数として、Tm=−A0*EfとなるモータトルクTmを与えることでEfをゼロに収束させ、姿勢を安定に保つことができるようになる。
実際には、例えば図35のようにベース4がピッチ軸回りに角度θ0だけ傾いた場合、体重Mの人間によりT1(=Mτ×L)の負荷荷重トルクが発生するため、その負荷荷重トルクT1と逆方向の車輪軸トルクT0を与えるようにモータトルクTmを制御することで、ZMPを車輪3の接地点と一致させ、姿勢を安定に保つことができるようになる。
ここで、ベース4上に人間が搭乗した場合、個人差はあるものの通常1〜2秒の周期で姿勢を保つために足裏に作用させる力を変動させているため、人間の体重による負荷荷重トルクT1は不確定に変化する。したがって、リアルタイムにバランスがとれるようなトルクをモータ10に加算し、負荷変動に対してベース4の角度を一定に保つ必要がある。
そこで、上述の同軸二輪車1は、このような負荷変動をリアルタイムに相殺するために、制御装置16内に図36に示すような制御機構を有している。図36において、減算器20では、姿勢指令であるベース角度指令θrefとジャイロセンサ13及び加速度センサ14によって検出した現在のベース角度θ0との偏差がとられ、この偏差が姿勢制御器21に供給される。姿勢制御器21は、このベース角度指令θrefと現在のベース角度θ0とからモータトルク電流値Tgyr[A]を計算する。
また、調整器22では、圧力センサ15のセンサ信号PS1、PS2、PS3、PS4を用いて負荷荷重トルクT1を推定し、これを相殺するための推定負荷荷重トルク電流値T1′/Km[A]を計算する。ここでKmはモータ定数[Nm/A]である。負荷の重心座標が(Xg、Yg)であり、負荷重量がWgである場合、推定負荷荷重トルクT1′は、以下の式(18)のように与えられる。
そして減算器23では、モータトルク電流値Tgyrと推定負荷荷重トルク電流値T1′/Kmとの偏差がとられ、この偏差がモータ電流I[A]としてモータ24に与えられる。モータ24はこのモータ電流Iによって回転することによりモータトルクTmを発生し、加算器25では、このモータトルクTmと負荷荷重トルクT1とが加算されてベース26に伝えられる。
このように、負荷荷重トルクT1を相殺するためのモータトルクTmをモータ24に加算することにより、停止時においては負荷変動に対してベース角度を一定に保つことができる。
以上の制御機構により姿勢安定制御を行うことができるが、この状態で走行するには、さらに走行制御のための制御機構が必要となる。そこで、上述の同軸二輪車1は、実際には姿勢安定制御のためのモータトルクと走行制御のためのモータトルクとを独立して求める二輪構造の制御機構を有している。
このような二輪構造の制御機構の物理モデルを図37に示す。なお、この図37においても、簡単のため、車輪3は1つであるものとして説明する。図37に示すように、ベース4にはジャイロセンサ13、加速度センサ14、圧力センサ15等の各種センサが内蔵されており、その下部にはモータステータ30、ロータリエンコーダ31、モータロータ32が存在し、モータロータ32の回転は減速器33及びジョイント34を介して車輪3に伝達される。
姿勢制御/調整器40は、姿勢指令であるベース角度指令θref、ジャイロセンサ13及び加速度センサ14によって検出した現在のベース角度θ0、及び圧力センサ15のセンサ信号PS1、PS2、PS3、PS4から、上述したモータトルクTgyr及び推定負荷荷重トルクT1′を計算する。また、モータ制御器41は、走行指令であるモータロータ32の回転位置指令Prefとロータリエンコーダ31によって検出したモータロータ32の現在の回転位置θrとから、走行のためのモータトルクを計算する。
そして、加算器42において、モータトルクTgyr及び推定負荷荷重トルクT1′と走行のためのモータトルクとが加算され、この加算値がモータロータ32に供給される。
ここで、上述したベース角度指令θrefとは、搭乗者が安定に乗ることができるように、X軸方向の加速度Axに応じて設定されるベース角度の目標値である。具体的には、X軸加速度Axがゼロのときベース4が水平になるように、X軸加速度Axが正のときベース4を前方に傾けるように、X軸加速度Axが負のときベース4を後方に傾けるように、それぞれ設定される。
そこで、例えばX軸加速度Axが正の場合、図38に示すように、慣性力と重力との合成ベクトルの方向にZMPが位置するようにベース4を傾けると、搭乗者は姿勢を安定に保つことができる。なお、このベース角度指令θrefは、X軸加速度Axに比例して変化する。
制御機構のブロック図を図39に示す。減算器50では、姿勢指令であるベース角度指令θrefとジャイロセンサ13(及び加速度センサ14)によって検出した現在のベース角度θ0との偏差がとられ、この偏差が姿勢制御器51に供給される。姿勢制御器51は、このベース角度指令θrefと現在のベース角度θ0とからモータトルクTgyrを計算し、このモータトルクTgyrを加算器54に供給する。
一方、減算器52では、走行指令であるモータロータ57の回転位置指令Prefとロータリエンコーダ58によって検出したモータロータ57の現在の回転位置θrとの偏差がとられ、この偏差がモータ制御器53に供給される。モータ制御器53は、この回転位置指令Prefと現在の回転位置θrとから、走行のためのモータトルクを計算し、このモータトルクを加算器54に供給する。
また、ベース4に負荷荷重トルクT1が加えられると、圧力センサ15のセンサ信号PS1、PS2、PS3、PS4が調整器55に供給され、調整器55は、このセンサ信号に基づいて上述した推定負荷荷重トルクT1′を計算する。
加算器54では、姿勢制御器51からのモータトルクTgyrとモータ制御器53からのモータトルクとが加算され、減算器56では、この加算値から推定負荷荷重トルクT1′が減算される。これが最終的なモータトルクTmとなり、モータロータ57に与えられる。加算器59では、このモータトルクTmの反作用力と負荷荷重トルクT1とが加算され、この加算値がモータステータ/ベース60に与えられる。
モータロータ57は、モータトルクTmに応じて回転制御される。このモータロータ57の回転位置θrは、減速比N:1の減速器61によって1/Nに変換され車輪3に伝達される。すなわち、車輪3の回転位置θwは、モータロータ57の回転位置θrの1/Nである。ロータリエンコーダ58は、このモータロータ57の回転位置θrを検出し、検出信号を減算器52に供給する。
一方、モータステータ/ベース60には、上述したように、モータトルクTmの反作用力と負荷荷重トルクT1との加算値が加わるが、それらが相互に打ち消されるため、モータステータ/ベース60の傾動は抑えられる。
図40は、図39に示したブロック図における処理を、ラプラス演算子を用いて数学モデルとして表現したものである。上述の如く、姿勢制御器51には、ベース角度指令θrefと現在のベース角度θ0との偏差が与えられ、モータ制御器53には、モータロータ57の回転位置指令Prefと現在の回転位置θrとの偏差が与えられる。この姿勢制御器51及びモータ制御器53では、例えばPID(比例・積分・微分)演算を行うフィードバック制御により各モータトルクが計算される。
すなわち、Kp0、Kp1が比例ゲインとなり、Ki0、Ki1が積分ゲインとなり、Kd0、Kd1が微分ゲインとなる。これらの制御ゲインによって、モータが姿勢指令θref及び走行指令Prefに対して応答する追従性が変化する。例えば、モータロータ57は、比例ゲインKp0,Kp1を小さくすると、ゆっくりとした追従遅れをもって動くようになり、比例ゲインKp0、Kp1を大きくすると、高速に追従するようになる。このように、制御ゲインを変化させることにより、姿勢指令θref、走行指令Prefと、実際の動きの誤差の大きさや応答時間とを調整することが可能となる。
また、モータロータ57には、姿勢制御器51からのモータトルクとモータ制御器53からのモータトルクとの加算値から推定負荷荷重トルクT1′が減算されたモータトルクTmが与えられ、回転角度θrだけ回転する。ここで、Jrはモータロータ57のイナーシャ(inertia)であり、Drはモータロータ57の粘性抵抗(ダンパ係数)である。
一方、モータステータ/ベース60には、上述の如くモータトルクTmの反作用力と負荷荷重トルクT1との加算値が加わるが、それらが相互に打ち消されるため傾動が抑えられる。ここで、Jはモータステータ/ベース60のイナーシャであり、Dはモータステータ/ベース60の粘性抵抗(ダンパ係数)である。
この図40に示した数学モデルは、より詳細には例えば図41に示すようになる。図41に示すように、姿勢制御器70は、ベース角度指令θrefと現在のベース角度θ0との偏差に対してPID制御を行うことで姿勢制御のためのモータトルクTgyrを生成し、モータ制御器71は、モータ10の回転位置指令Prefと現在の回転位置θrとの偏差に対してPID制御を行うことで走行制御のためのモータトルクを生成する。
また、調整器72は、圧力センサ15のセンサ信号から推定負荷荷重トルクT1′を生成する。加算器73ではこれらの各トルクが加算され、得られたモータトルクTmがモータ10に与えられる。モータ10は、このモータトルクTmにより回転駆動され、その回転が減速比16:1の減速器74によって1/16に変換され車輪3に伝達される。
以上、図37乃至図41では、簡単のため車輪3が1つであるものとして説明したが、左右2つの車輪3R,3Lを有する実際の同軸二輪車1では、例えば図39における姿勢制御器51が左右の車輪3R,3Lで共通に用いられる一方で、モータ制御器53が左右独立に設けられる。
この場合の制御機構のブロック図を図42に示す。ジャイロセンサ13からのセンサ値ωpは例えば通過帯域が0.1〜50Hzであるバンドパスフィルタ(BPF)80を介して角度算出器82に送られ、加速度センサ14からのセンサ値αpは例えば遮断周波数が0.1Hzのローパスフィルタ(LPF)81を介して角度算出器82に送られる。角度算出器82では、これらのセンサ値に基づいて現在のベース角度θ0が算出される。
また、減算器83では、姿勢指令であるベース角度指令θrefと現在のベース角度θ0との偏差がとられ、この偏差が姿勢制御器84に供給される。姿勢制御器84は、このベース角度指令θrefと現在のベース角度θ0とから、上述したモータトルクTgyrを計算する。
一方、減算器85Rでは、右車輪3R用の走行指令であるモータロータ92Rの回転位置指令Prefrとロータリエンコーダ93Rによって検出したモータロータ92Rの現在の回転位置θrとの偏差がとられ、この偏差が位置比例制御器86Rに供給される。位置比例制御器86Rは、この偏差に対して位置比例(P)制御を行い、比例制御結果を減算器87Rに供給する。
また、微分器88Rは、ロータリエンコーダ93Rから供給されたモータロータ92Rの回転位置θrを微分し、微分結果を減算器87Rに供給する。そして減算器87Rでは、位置比例制御器86Rからの比例制御結果と微分器88Rからの微分結果との偏差がとられ、この偏差が速度比例制御器89Rに供給される。速度比例制御器89Rは、この偏差に対して速度比例(P)制御を行い、比例制御結果を加算器90Rに供給する。
加算器90Rでは、この比例制御結果とモータトルクTgyrと調整器94において圧力センサ15のセンサ信号PS1、PS2、PS3、PS4から求めた推定負荷荷重トルクT1′とが加算され、加算値が電流制御アンプ91Rに供給される。電流制御アンプ91Rは、この加算値に基づいてモータ電流を生成し、モータロータ92Rを駆動する。このモータロータ92Rの回転位置は、減算器85Rと共に微分器88Rに供給される。左車輪3Lについても同様であるため、説明を省略する。
このように、上述の同軸二輪車1では、左右の車輪3R,3Lで共通な姿勢安定制御用の制御機構と、左右独立な走行制御用の制御機構とを有し、それらが独立した制御を行うため、姿勢安定制御と走行制御とを安定して両立することができる。
次に、上述の同軸二輪車1における速度制御について説明する。
上述したように、上述の同軸二輪車1では、ベース4の四隅に設けられた4つの圧力センサ151〜154のセンサ信号PS1、PS2、PS3、PS4からベース4上の負荷の重心座標(Xg,Yg)とその負荷重量Wgとを検出し、負荷荷重トルクT1を求めているが、さらに、この重心座標(Xg,Yg)を走行する方向、速度の制御指令として用いる。具体的には、負荷重量Wgが所定の値以上である場合に、重心位置のX座標Xgに基づき速度指令Vxを変化させる。
その様子を図43に示す。ここで図43において、X3からX1までの範囲は停止領域であり、この範囲内では指令走行速度をゼロとする。この停止領域は、車輪3の路面との接地面のX座標範囲とすることが好ましい。この場合、例えば負荷重量Wgが大きいときや車輪3のガス圧が低いときには車輪3の路面との接地面積が大きくなるため、停止領域の範囲も大きくなる。このように停止領域(不感帯)を設けることで、搭乗者の意図しない僅かな重心移動によって機体が前進・後退することを防止することができる。
X座標がX1以上になると、前進最大速度SfMAX に達するまで、X座標の大きさに応じて指令速度が増加する。また、X座標がX2以上になると強制的に減速停止し、再び停止領域内で姿勢を安定させるまで停止する。このように、強制的に減速停止する領域を設けることで、最大速度で走行している際の搭乗者の安全性を確保することができる。
同様に、X座標がX3以下になると、後退最大速度SbMAXに達するまで、X座標の大きさに応じて指令速度が増加する。なお、この後退最大速度SbMAXは、前進最大速度SfMAXよりも小さいことが好ましい。また、X座標がX4以下になると強制的に減速停止し、再び停止領域内で姿勢を安定させるまで停止する。
X座標がX1からX2まで、或いはX3からX4までの間では、そのX座標Xgに応じて、例えば以下の式(19)により、モータ10Rの回転位置指令Prefrとモータ10Lの回転位置指令Preflとが生成される。ここで、式(19)において、G0は正の一定ゲインであり、例えば負荷重量Wgに応じて可変にすることができる。
なお、時刻t=0での速度指令がVx0であり、時刻t=t1での速度指令がVx1である場合、加速度を連続的に変化させ、機構的な共振振動を生じさせないように走行することが好ましい。この場合、Vx1に到達するまでの時間をΔtとすると、時刻t(0≦t≦t1)での走行速度指令Vref(t)は、例えば以下の式(20)により算出することができる。
このとき、モータ10の回転位置指令Pref(t)は、式(20)の走行速度指令Vref(t)を積分した値となり、以下の式(21)に示すような5次関数で与えられる。ここで、式(21)において、Pref0は時刻t=0での回転位置指令である。
また、前進・後退させるのみでなく、負荷重量Wgが所定の値以上である場合、重心位置のY座標Ygに基づき、例えば図44に示すように旋回速度指令Vrを変化させることもできる。ここで図44において、−Y1からY1までの範囲は停止領域であり、この範囲内では指令旋回速度をゼロとする。
なお、この停止領域は、原点O近傍で任意に設定することができる。このように停止領域(不感帯)を設けることで、搭乗者の意図しない僅かな重心移動によって機体が旋回することを防止することができる。Y座標がY1以上になると、右回り最大速度CWMAXに達するまで、Y座標の大きさに応じて指令旋回速度が増加する。同様に、Y座標が−Y1以下になると、左回り最大速度CCWMAXに達するまで、Y座標の大きさに応じて指令旋回速度が増加する。
Y座標がY1以上又は−Y1以下では、そのY座標Ygに応じて、モータ10Rの回転位置指令Rrefrとモータ10Lの回転位置指令Rreflとが生成される。走行速度がゼロである場合、モータ10Rの回転位置指令Rrefrとモータ10Lの回転位置指令Rreflとは、例えば以下の式(22)に示すような逆位相指令となる。ここで、式(22)において、G1は正の一定ゲインであり、例えば負荷重量Wgに応じて可変にすることができる。
一方、走行速度がゼロでない場合、モータ10Rの回転位置指令Rrefrとモータ10Lの回転位置指令Rreflとは、例えば以下の式(23),(24)に示すような同位相指令となる。ここで、式(23),(24)において、G2は正の一定ゲインであり、例えば負荷重量Wgに応じて可変にすることができる。
ここで、不整地路面等の凹凸を有する路面や傾斜路面を走行する場合には、左右のモータ10R,10Lの回転位置指令で与えられる目標方向に走行することが困難になり、目標方向と実際の走行方向とにずれが生じる虞がある。また、左右の車輪3R,3Lのガス圧の違いにより車輪3の有効直径が異なる場合にも、同様に目標方向と実際の走行方向とにずれが生じる虞がある。
そこで、上述の同軸二輪車1では、ヨー軸回りの角速度ωyawを検出するジャイロセンサ13により実際の走行方向を検出し、左右のモータ10R,10Lの回転速度を独立に制御することで、目標方向と実際の走行方向とのずれを解消する。
一例として、図45のAに示すように右車輪3Rよりも左車輪3Lの方の有効直径が短く、図45のBに示すように、直進する際にヨー軸回りのジャイロセンサ信号としてωyaw1[rad/sec]が検出される場合について説明する。このような場合、回転速度指令Vrefr,Vreflの加算平均をVref0としたとき、以下の式(25)、(26)に示すように、左右のモータ10R、10Lに与える回転速度指令Vrefr,Vreflを補正することにより、機体を直進させることができる。ここで、式(25)、(26)において、K0は正の定数である。
また、図45のCに示すように目標方向としてDref[rad/sec]が与えられている場合には、以下の式(27)、(28)に示すように左右の車輪に回転速度指令Vrefr、Vreflを与える。
このようにして得られた回転速度指令Vrefr、Vreflは、それぞれ以下の式(29)、(30)により車輪の回転位置指令Prefr、Preflに変換される。ここで、式(29)、(30)において、kはサンプリング回数を表す整数であり、Pref(k)はkサンプリングでの回転位置指令を示す。
同様に、旋回する場合についても、左右の車輪3R、3Lのガス圧の違いや路面状況の違いなどから、旋回速度にずれが生じる虞がある。この場合にも、ヨー軸回りの角速度ωyawを検出するジャイロセンサ13により実際の旋回速度を検出し、左右のモータ10R、10Lの回転速度を独立に制御することで、目標となる旋回速度と実際の旋回速度とのずれを解消することができる。
一例として、右車輪3Rよりも左車輪3Lの方の有効直径が短く、旋回する際にヨー軸回りのジャイロセンサ信号としてωyaw2[rad/sec]が検出されている場合について説明する。右車輪3Rの回転位置指令Rrefr及び左車輪3Lの回転位置指令Rreflを微分した信号をそれぞれVrefr、Vreflとすると、旋回速度の誤差ωerrは以下の式(31)で表される。
この場合、以下の式(32)、(33)に示すように、左右のモータ10R、10Lに与える回転位置指令Rrefr、Rreflを補正することにより、機体を目標通りに旋回させることができる。ここで、式(32)、(33)において、G3は正の一定ゲインであり、例えば負荷重量Wgに応じて可変にすることができる。
このように、上述の同軸二輪車1では、ヨー軸回りの角速度ωyawを検出するジャイロセンサ13により実際の走行方向、旋回速度を検出し、左右のモータ10R、10Lの回転速度を独立に制御することで、目標方向(旋回速度)と走行方向(旋回速度)とのずれを解消することができる。
さらにこのような同軸二輪車1のソフトウェア構成を、図46を用いて説明する。図46に示すように、最下位層のハードウェア・レイヤ150から順に、カーネル・レイヤ151、オンボディ・レイヤ152、ネットワーク・レイヤ153、そして最上位層のアプリケーション・レイヤ154という階層構造で構成される。
ハードウェア・レイヤ150は、回路の階層であり、例えばモータ制御回路、中央制御回路、センサ回路の制御回路等が含まれる。カーネル・レイヤ151は、モータサーボ演算や姿勢制御演算、走行制御演算、或いはリアルタイム走行目標値演算等の各種演算を行う階層である。このハードウェア・レイヤ150及びカーネル・レイヤ151において、基本的な姿勢安定制御と走行制御とが実現される。オンボディ・レイヤ152は、走行目標値演算、障害物回避軌道の生成等を行う階層である。
これらの各階層は、それぞれ異なるサンプリングの制御周期で実行され、上位階層ほどその周期は長くなる。例えば最下位層のハードウェア・レイヤ150では、その制御周期が0.1msecと短い周期であるのに対して、カーネル・レイヤ151では1msec、オンボディ・レイヤ152では10msecと長い周期になっている。
続いて、同軸二輪車1における回路の全体構成について説明する。図47に示すように、センサ回路200には、圧力センサ151〜154からのセンサ信号PS1,PS2,PS3,PS4が供給される。センサ回路200は、このセンサ信号のほか、ピッチ軸回り及びヨー軸回りの角速度を検出するジャイロセンサ13からのセンサ信号ωp,ωyawと、X,Y,Z軸方向のリニア加速度及びピッチ軸,ロール軸,ヨー軸回りの角加速度を検出する加速度センサ14からのセンサ信号Ax,Ay,Az,αp,αr,αyawとを合わせて、制御装置16に供給する。
制御装置16は、これらのセンサ信号に基づいて、上述したようにモータトルクTgyrや、走行指令であるモータロータの回転位置指令Prefを生成し、これらを左右のモータドライバ203R,203Lに供給する。モータドライバ203R,203Lは、このモータトルクTgyr、モータロータの回転位置指令Pref等に基づいて、例えば200Wのモータ10R,10Lを駆動するための最適なモータ電流を算出し、モータ10R,10Lに供給する。このモータ10R,10Lの回転位置は、ロータエンコーダ11R,11Lによって求められ、モータドライバ203R,203Lにフィードバックされる。
サーボオン/パワースイッチ204は、制御装置16及び電源スイッチ205と接続されており、電源スイッチ205からの信号は電源管理回路206に供給される。この電源管理回路206は、バッテリー207と接続されており、制御装置16、音声処理回路201及び画像処理回路202に24Vの制御用電源を供給するほか、モータドライバ203R,203Lにモータ電源を供給する。電源管理回路206には、モータドライバ203R,203Lを介してモータ10R,10Lの回生電力が供給され、電源管理回路206は、この回生電力を用いてバッテリー207を充電する。
図47に示した全体構成の詳しい内部構成を、図48を用いて説明する。図48に示すように、センサ回路200には、圧力センサ151〜154からのセンサ信号PS1,PS2,PS3,PS4、ジャイロセンサ131,132からのセンサ信号ωp,ωyaw、加速度センサ14からのセンサ信号Ax,Ay,Az,αp,αr,αyawが供給される。センサ回路200は、圧力センサ15からのセンサ信号PS1,PS2,PS3,PS4を例えば10mv/Nの圧力ゲインでゲイン調整し、さらに図示しないアナログ−デジタル変換器を介してデジタル信号に変換した後、制御装置16の重心演算部210に供給する。
また、センサ回路200は、ジャイロセンサ131,132からのセンサ信号ωp,ωyawを例えば1.6V/(rad/sec)の姿勢ゲインでゲイン調整すると共に、加速度センサ14からのセンサ信号Ax,Ay,Az,αp,αr,αyawを例えば1.6V/(rad/sec2)の姿勢ゲインでゲイン調整し、さらに図示しないアナログ−デジタル変換器を介してデジタル信号に変換した後、信号前処理部211に供給する。この信号前処理部211は、入力された信号に対してデジタルフィルタを施したり、オフセット調整や姿勢位置すなわちベース角度θ0の算出をしたりする前処理を行う。
重心演算部210は、圧力センサ151〜154からのセンサ信号PS1,PS2,PS3,PS4に基づいて前述したようにベース4上の負荷の重心位置座標(Xg、Yg)とその負荷重量Wgとを計算し、この重心位置座標(Xg、Yg)及び負荷重量Wgの情報を走行指令算出器212に供給すると共に、重心位置のY座標Yg及び負荷重量Wgの情報を旋回指令発生器215に供給する。
走行指令算出器212は、例えば図43に示したような重心位置X座標−走行速度特性に基づき速度指令Vxを生成し、回転速度指令発生器213は、この速度指令Vxに基づいて前述した5次関数演算を行うことにより、回転速度指令Vref(t)を生成する。回転速度指令発生器213は、回転位置指令Pref(t)を回転位置指令発生器214、旋回指令発生器215、及び姿勢指令発生器216に供給する。
旋回指令発生器215は、重心演算部210から供給された重心位置のY座標Yg及び負荷重量Wg、信号前処理部211から供給されたヨー軸回りの回転角速度ωyaw、及び回転速度指令発生器213から供給された回転速度指令Vref(t)に基づいて旋回する際の位相指令、例えばYg*G1を生成し、この位相指令を回転位置指令発生器214に供給する。
回転位置指令発生器214は、回転速度指令発生器213から供給された回転速度指令Vref(t)を積分して回転位置指令Pref(t)を生成し、左右のモータドライバに回転位置指令Prefr(t),Prefl(t)を供給する。この際、回転位置指令発生器214は、旋回指令発生器215からの位相指令を考慮して回転位置指令Prefr(t),Prefl(t)を生成する。
姿勢指令発生器216は、回転速度指令発生器213から供給された回転速度指令Vref(t)に基づき、図38を用いて説明したように姿勢指令であるベース角度指令θrefを計算し、このベース角度指令θrefを減算器217に供給する。減算器217では、このベース角度指令θrefから信号前処理部211で求められた現在のベース角度θ0が減算され、偏差が姿勢制御器218に供給される。姿勢制御器218は、この偏差を元にしてPID制御を行い、モータトルクTgyrを求める。
なお、PID制御を行う際には、ベース4上の負荷重量Wgに応じてPIゲインを変更するようにしてもよい。具体的には、負荷重量Wgが大きくなると比例ゲインを大きくし、積分ゲインを小さくすることが好ましい。姿勢制御部218は、このモータトルクTgyrを左右のモータドライバ203R,203Lに供給する。
右車輪3R用のモータドライバ203Rにおいて、減算器230Rでは、モータ10R用の走行指令である回転位置指令Prefrとロータリエンコーダ11Rによって検出したモータ10Rの現在の回転位置θrとの偏差がとられ、この偏差が位置比例制御器231Rに供給される。位置比例制御器231Rは、この偏差に対して位置比例(P)制御を行い、比例制御結果を減算器232Rに供給する。また、微分器233Rは、ロータリエンコーダ11Rから供給されたモータ10Rの回転位置θrを微分し、微分結果を減算器232Rに供給する。
そして減算器232Rでは、位置比例制御器231Rからの比例制御結果と微分器233Rからの微分結果との偏差がとられ、この偏差が速度比例・積分制御器234Rに供給される。速度比例・積分制御器234Rは、この偏差に対して速度比例・積分(PI)制御を行い、比例・積分制御結果を加算器235Rに供給する。加算器235Rでは、この比例・積分制御結果とモータトルクTgyrとが加算され、加算値が電流制御アンプ236Rに供給される。
電流制御アンプ236Rは、この加算値に基づいてモータ電流を生成し、例えば200Wのモータ10Rを駆動する。このモータ10Rの回転位置は、減算器230Rと共に微分器233Rに供給される。左車輪3Lについても同様であるため、説明を省略する。
電源管理回路206は、例えば24Vのバッテリー207と接続されており、制御装置16に24V,1Aの制御用電源を供給するほか、モータドライバ203R,203Lにそれぞれ24V,30Aのモータ電源を供給する。電源管理回路206には、モータドライバ203R,203Lを介してモータ10R,10Lの回生電力が供給され、電源管理回路206は、この回生電力を用いてバッテリー207を充電する。
以上説明したように、本願発明者が先に提案した同軸二輪車1では、ジャイロセンサ13及び加速度センサ14を用いてベース4の角度制御を行うモータトルクTgyrと、圧力センサ15を用いて負荷荷重トルクを相殺するモータトルクT1'とを生成する、左右の車輪3R,3Lで共通な姿勢制御器と、圧力センサ15を用いて走行制御を行うモータトルクを生成する、左右独立なモータ制御器とを設け、それらが独立した制御を行うため、姿勢安定制御と走行制御とを安定して両立することができる。
また、本願発明者が先に提案した同軸二輪車1では、ベース4上の負荷の重心座標に応じて走行制御を行うが、車輪3の路面との接地面のX座標範囲、Y座標範囲に停止領域(不感帯)を設けているため、搭乗者の意図しない僅かな重心移動によって機体が前進・後退・旋回することを防止することができる。
さらに、本願発明者が先に提案した同軸二輪車1では、ヨー軸回りの角速度ωyawを検出するジャイロセンサ13により実際の走行方向、旋回速度を検出し、左右のモータ10R,10Lの回転速度を独立に制御することで、目標方向(旋回速度)と走行方向(旋回速度)とのずれを解消することができる。
このような同軸二輪車による走行装置を、本願出願人は先に提案した。
ところで、上述の走行装置のように搭乗者の姿勢により前進・後進する制御方法では、進行方向に障害物がある場合には、人が姿勢を変化させて障害物を回避することになる。しかしながら不意な事象の発生に対して、人の反応には応答に遅れが生じる恐れがある。このため不意なる障害物があった場合に、人の反応が応答しきれないことにより生じる問題を解決するために、前もって種々の手立てを講じる必要があった。
また、車両が走破不能な高さを有する上り段差若しくは下り段差に対して、車両上の搭乗者が進入を試みた場合には、車両が不安定となる恐れがある。あるいは、段差乗り上げ若しくは段差降りの衝撃による車体の破損等の恐れがある。さらには片方の車輪が段差から落下して脱輪することにより、車体の車輪部以外の部分が地面と接触して走行不能となる。
さらに路面の傾斜角度が大きい場合には、タイヤのスリップや駆動トルクの不足により車両が不安定となる恐れがある。また、路面上に存在する走破不能な障害物もしくは路面上を移動する障害物に対して車両が乗り上げ若しくは衝突することにより、同様に車両が不安定となる恐れがある。さらに衝撃による車体の破損や障害物の破損の恐れがある。
このため、従来は搭乗者が走行路面に存在する段差の高さや路面傾斜角度や障害物の大きさに応じて事前に回避の必要性や進入の可否を判断しながら走行する必要があったが、視認による判断には熟練が要求され、また上述のように人の反応速度などに問題があり、これらを解決するため前もって種々の手立てを講じる必要があった。
また、ある速度で走行している平行二輪の車両の車輪に減速トルクを印加して自動制御により車両を停止させようとした場合、慣性力の影響により車体が不安定となるという問題があった。また、自動制御により搭乗者の操作に対して外乱を与えることによって、車体の挙動が不安定となる問題があった。
本発明はこのような問題点に鑑みて成されたものであって、本発明の目的は、路面状況を感知して進入可能水準を超える高さを有する段差の手前で搭乗者に警告表示し、車両を旋回、減速若しくは停止させて脱輪や過大な衝撃を防ぐ。さらには感知した走破不能な障害物との接触や片輪の段差落下や急傾斜路面への進入を回避するために車体進行方向及び車体速度を変更するように車輪を制御する。あるいは、警告表示または自動制御により安全に車両を減速、若しくは停止させる機構及び制御手段を有する走行装置を提供する。
このため本発明の走行装置及びその制御方法においては、筐体の前方及び/または後方を看視する看視装置を装備し、看視装置からの画像信号を解析して、その解析結果に応じて複数の車輪をそれぞれ独立に駆動して筐体自身の姿勢角度の制御を行う制御手段を設けるようにしたものであって、これによれば、走行中の段差部への乗り入れや、障害物の回避に際して良好な制御を行うことができる。
請求項1の発明によれば、複数の車輪を独立に駆動する手段と、複数の車輪を連結する筐体とを有し、筐体には自身のピッチ角度を検出する手段が設けられて、検出されたピッチ角度の情報に従って複数の車輪の回転数をそれぞれ設定して走行を行う走行装置であって、筐体の前方及び/または後方を看視する看視装置を装備し、看視装置からの画像信号を解析して、その解析結果に応じて複数の車輪をそれぞれ独立に駆動して筐体自身のピッチ角度の制御を行いつつ減速を行う制御手段を設けることにより、走行時の制御を良好に行うことができるものである。
また、請求項2の発明によれば、制御手段は、走行しながら看視装置からの画像信号をリアルタイムに取り込み段差を認識して進入回避する制御を行うことによって、段差の予想される路面において安全な走行を行うことができるものである。
請求項3の発明によれば、制御手段は、走行しながら看視装置からの画像信号をリアルタイムに取り込み段差を認識して車体を減速および旋回させ段差の乗り降りによる衝撃を緩和する制御を行うことによって、段差のある走行路面での走行も良好に行うことができるものである。
請求項4の発明によれば、走行しながら看視装置からの画像信号をリアルタイムに取り込み障害物を認識して衝突回避し、衝突による衝撃を回避する制御を行うことによって、障害物の存在に対しても良好な走行を行うことができるものである。
請求項5の発明によれば筐体に、走行しながら看視装置からの画像信号をリアルタイムに取り込み路面傾斜角度を認識して進入回避する制御を行うことによって、特に傾斜面等でも良好な走行を行うことができるものである。
請求項6の発明によれば、平行二輪の車両を減速または停止させる際、補助車輪を路面に接地させる機構の制御を行うことによって、減速または停止時の車両の姿勢を安定に保つことができるものである。
請求項7の発明によれば、補助車輪を路面に押し付けた反力により平行二輪の車両を傾斜させ、車体を減速、停止させる機構の制御を行うことによって、車両の減速または停止を良好に行うことができるものである。
請求項8の発明によれば、制御手段は、平行二輪の車両に設置した可動ステップを車体に対して傾斜させることにより搭乗者の重心位置を移動させ、車体を減速、停止させる機構の制御を行うことによって、予め搭乗者の注意を喚起し、車両の減速または停止をより良好に行うことができるものである。
請求項9の発明によれば、予め設定された危険の察知される路面環境と車体との間の距離及び車体の速度から危険回避の緊急度を算出し、搭乗者への警告表示を行う制御を行うことによって、搭乗者の注意を喚起し、走行を良好に行うことができるものである。
請求項10の発明によれば、制御手段は、予め設定された危険の察知される路面環境と車体との間の距離及び車体の速度から危険回避の緊急度を算出し、緊急度が低い場合には搭乗者への警告表示を実行し、緊急度が高い場合には自動制御による停止、減速、旋回動作を実行する制御を行うことによって、予め搭乗者の注意を喚起し、車両の停止、減速、旋回動作をより良好に行うことができるものである。
さらに請求項11の発明によれば、複数の車輪を独立に駆動する手段と、複数の車輪を連結する筐体とを有し、筐体には自身のピッチ角度を検出する手段が設けられて、検出されたピッチ角度の情報に従って複数の車輪の回転数をそれぞれ設定して走行を行う走行装置の制御方法であって、筐体の前方及び/または後方を看視する看視装置を装備し、看視装置からの画像信号を解析して、その解析結果に応じて複数の車輪をそれぞれ独立に駆動して筐体自身のピッチ角度の制御を行いつつ減速を行うことにより、走行時の制御を良好に行うことができるものである。
これによって、本発明の走行装置及びその制御方法によれば、車体に設置したカメラを用いて事前に路面状況を感知して進入可能水準を超える高さを有する段差の手前で搭乗者に警告表示し、車両を旋回、減速もしくは停止させて転倒、脱輪および過大な衝撃を防ぐ。さらには事前に感知した走破不能な障害物との接触や片輪の段差落下や急傾斜路面への進入を回避するために車体進行方向および車体速度を変更するように車輪を制御する制御装置を提供する。また、警告表示または自動制御により安全に車両を減速、もしくは停止させる機構および制御装置を提供することができる。
こうして、本発明の走行装置及びその制御方法によれば、長時間の走行をしても衝突回避等の制御を人のスキルによらずに行うことにより、疲労せずに長時間の走行をすることができるものである。
以下、図面を参照して本発明の走行装置及びその制御方法を説明するに、図1には、本発明を適用した同軸二輪車の一実施形態の構成を示す。
すなわち図1において、本発明による走行装置は、ベース300に独立した車輪(車輪は2輪でも3輪以上でもよい)301、302が設けられると共に、ベース300にピッチ軸、ヨー軸、ロール軸の角速度を検出するジャイロセンサ、X軸、Y軸、Z軸方向の重力加速度を検出する3次元加速度センサ及びベースに掛る圧力(荷重)センサを組込んだセンサモジュール303が装備された車両本体を有している。
さらにセンサモジュール303の出力に応じてモータ304が制御され、車輪301、302が駆動されることによって、ベース300の姿勢が制御されて車両本体が走行される。また、ベース300には、搭乗者が握って操作を行うための操作レバー305と、車両本体を牽引するための牽引アーム306が設けられている。なお、操作レバー305と牽引アーム306は図示のように一体の構造でもよい。
そしてベース300には、路面検出器(監視装置)として、例えば2台の小型カメラ307、308を実装し、これらの小型カメラ307、308により路面の状況を測定し、その状況に応じて本体の姿勢を変化させ、搭乗者の姿勢を変えることで走行速度を落し、障害物との衝突を回避する。また、ベース300には補助車輪309と、そのアクチュエータ310が設けられ、減速若しくは停止時に駆動される。さらにベース300には、LED、ブザー等の表示装置311が設けられる。
あるいは本発明の走行装置において、図2、図3に示すような両手持ち形の操作レバー305を有している場合には、図示のように左右のレバー305L、305Rの基部に小型カメラ307、308を実装しても良い。そして本発明では、路面をこれらの小型カメラ307、308で撮像して危険な路面環境を検出し、警告して搭乗者に対して回避動作を喚起し、かつ危険な路面環境への乗り込みを防止するように車両を自動的に制御する。このようにハンドル部に小型カメラ307、308を実装することにより、カメラ位置の高さが高くなり、より遠方にある障害物や路面の認識が可能となる。
さらに図4には、補助車輪309と、そのアクチュエータ310及び表示装置311の具体的な実装の様子を示す。この図4において、補助車輪309とアクチュエータ310はアームによって連結されており、制御手段の指示によって必要に応じて図4のBに示すように補助車輪309が路面に接地されると共に、不要のときは図4のCに示すように補助車輪309は跳ね上げられて走行に支障のないようにされている。また、図4のAに示すように表示装置311がベース300の上面に設けられている。
次に、図5には制御装置400を含む全体の装置の構成を示す。図5において、小型カメラ307(308)からの映像信号が制御装置400を形成する画像処理装置401に供給され、画像信号の解析によって段差の高さH、段差角度θd、走行可能路面角度θeなどの値が求められる。また、センサモジュール303のジャイロセンサで検出されるピッチ角速度ωp、ヨー角速度ωy、ロール角速度ωr、加速度センサで検出されるX軸Gx、Y軸Gy、Z軸Gz、圧力センサで検出される右荷重W1、左荷重W2などの値が制御装置400を形成する姿勢制御装置402に供給される。
そして、画像処理装置401及び姿勢制御装置402で相互に情報が交換され、その結果得られる左右の車輪へのトルク制御信号がそれぞれサーボアンプ312、313を通じて左右のモータ304R、304Lに供給され、これらのモータ304R、304Lの回転が、それぞれ回転センサ314、315を通じて車輪301、302に伝達される。
これによって、車両本体を走行させる車輪301、302の駆動が小型カメラ307(308)で撮影された映像信号の解析によって制御される。なおモータ304R、304Lの駆動電力はバッテリー316からサーボアンプ312、313を通じて供給される。また、バッテリー316の残量データが姿勢制御装置402に供給されて、バッテリー残量の多少に応じた制御が行われる。さらに操作レバーに連動する可変抵抗器317からの信号が姿勢制御装置402に供給される。
また、回転センサ314、315で検出されたモータ304R、304Lの回転角度がサーボアンプ312、313に帰還されてフィードバック制御が行われると共に、この回転角度信号は姿勢制御装置402にも供給される。さらに、姿勢制御装置402からの出力信号がLED、ブザー等の表示装置311に供給されると共に、アクチュエータ310を構成するリレー319及びモータ320に供給され、アーム321を通じて補助車輪309の出し入れが行われる。このようにして、制御装置400を含む装置の全体が形成される。
さらに図6には、姿勢制御装置402を中心とした車両本体の機能ブロック図を示す。図6において、姿勢制御装置402には、走行指令発生器411と姿勢制御器412が設けられ、走行指令発生器411は画像処理回路401からの信号に従って旋回指令ωref、走行速度指令Vref、停止指令Stopなどの指令信号を姿勢制御器412に供給する。そして、姿勢制御器412からの左右の車輪へのトルク制御信号がそれぞれサーボアンプ312、313に供給される。
また、この図6において、小型カメラ307(308)及び画像処理回路401では、例えば図面の右側に示すように、走行可能路面角度θe、段差角度θd及び段差の高さHが検出される。そしてこれらの検出された値を用いて事前に路面状況を感知し、進入可能水準を超える高さを有する段差の手前で搭乗者に警告表示し、車両を旋回、減速もしくは停止させて転倒、脱輪および過大な衝撃を防ぐように車輪301、302の制御を行うことができる。
さらに以下には、本発明の走行装置及びその制御方法を実施する際の具体的な処理動作について、図7〜図13のフローチャートを用いて説明する。
まず、図7はメインルーチンであって、動作がスタートされると、ステップS1でイニシャライズが行われる。次にステップS2でサーボゲインが設定される。さらにステップS3でタイマ割り込み許可が行われる。そしてステップS4でインジケータ表示が行われて、以下このステップS4が繰り返される。
次に図8には、タイマ割り込みルーチンとして実行されるセンサモジュールのセンサ信号処理のフローチャートを示す。この図8においては、例えば1msec間隔でルーチンが起動される。そしてステップS11でジャイロセンサからの出力、及び加速度センサからの出力が検出され、これらの出力値から車両角度(ピッチ角度θp、ヨー角度θy、ロール角度θr)及び角速度(ピッチ角速度ωp、ヨー角速度ωy、ロール角速度ωr)が算出される。
またステップS12では、2つの圧力センサから、それぞれの荷重W1及びW2が検出される。そしてステップS13で、これらの検出及び算出されたセンサデータが、姿勢制御装置及び画像処理装置へ送信されて、メインルーチンの割り込みの行われたステップに戻される。このようにして、センサモジュールのセンサ信号処理が行われる。
図9には、同じくタイマ割り込みルーチンとして実行される段差への進入に対する画像認識走行運転のフローチャートを示す。この図9においては、例えば33msec間隔でルーチンが起動される。そしてステップS21でセンサモジュールからの車両角度(ピッチ角度θp、ヨー角度θy、ロール角度θr)及び角速度(ピッチ角速度ωp、ヨー角速度ωy、ロール角速度ωr)のセンサデータが受信される。
次に、ステップS22でサーボアンプから2つのモータのそれぞれの回転角θmt1及びθmt2のデータが受信される。さらに、ステップS23で小型カメラからの画像処理が行われ、段差高さH、段差角度θd、危険路面点数、走行可能路面角度θeなどの値が算出される。なお、段差高さHは上りの場合+、下りの場合−の値とされる。そしてステップS24で段差高さHの絶対値が、進入可能段差高さαより大きいか否か判断される。
このステップS24で、段差高さHの絶対値が進入可能段差高さαより大きくないとき(NO)は、ステップS25でモータ回転角θmt1及びθmt2から車体速度vを算出し、ステップS26で車体速度vと段差高さHから段差進入による衝撃Gを予測し、ステップS27で衝撃予測値Gが衝撃許容値γを超えているか否か判断される。そしてステップS27で衝撃予測値Gが衝撃許容値γを超えていないとき(NO)は、ステップS28で姿勢制御指令が実行され、補助車輪は格納される。
またステップS27で衝撃予測値Gが衝撃許容値γを超えていなるとき(YES)は、さらにステップS29で緊急度高の範囲内の危険点数が0か否か判断される。そして危険点数が0のとき(YES)は、ステップS30で減速表示指令が実行され、補助車輪は格納される。そしてステップS31で段差角度θd=0か否か判断され、段差角度θd=0のとき(YES)は、ステップS32で車体旋回2と警告表示指令が実行される。
さらにステップS29で緊急度高の範囲内の危険点数が0でないとき(NO)は、ステップS33で減速指令が実行され、補助車輪が繰り出される。そしてステップS34で段差角度θd=0か否か判断され、段差角度θd=0のとき(YES)は、ステップS35で車体旋回2が実行される。
そしてステップS28、S32、S35が実行されたときと、ステップS31、S34で段差角度θd=0でないとき(NO)は、ステップS36で姿勢制御装置への指令として姿勢制御、停止、減速、旋回1、2の指令、及び停止、減速、旋回1、2の警告表示指令が送信されて、メインルーチンの割り込みの行われたステップに戻される。
また、ステップS24で段差高さHの絶対値が進入可能段差高さαより大きいとき(YES)は、ステップS40で図10に示す危険回避制御が行われる。この図10の危険回避制御においては、まずステップS41で緊急度高の範囲内の危険点数が0か否か判断され、危険点数が0のとき(YES)は、さらにステップS42で走行可能路面角度θe=0か否か判断される。このステップS42で走行可能路面角度θeの値がないときは、ステップS43で停止警告表示指令が実行され、補助輪は格納される。
また、ステップS42で走行可能路面角度θe=0のときは、ステップS44で姿勢制御指令が実行され、補助輪は格納される。さらにステップS42で走行可能路面角度θe≠0のときは、ステップS45で車体旋回1警告表示指令が実行され、補助輪は格納される。すなわちこのステップS45では、走行可能路面角度θeの方向へ旋回するように警告表示が行われる。そしてステップS43〜S45が実行された後に図9のステップS36に進められる。
また、ステップS41で緊急度高の範囲内の危険点数が0でないとき(NO)は、さらにステップS46で走行可能路面角度θe=0か否か判断される。このステップS46で走行可能路面角度θeの値がないときは、ステップS47で停止指令が実行され、補助輪が繰り出される。また、ステップS46で走行可能路面角度θe=0のときは、ステップS48で姿勢制御指令が実行され、補助輪は格納される。
さらにステップS46で走行可能路面角度θe≠0のときは、ステップS49で車体旋回1指令が実行され、補助輪は格納される。すなわちこのステップS49では、走行可能路面角度θeを旋回目標角度として旋回が行われる。そしてステップS47〜S49が実行された後に図9のステップS36に進められる。このようにして、段差への進入に対する画像認識走行運転の処理が行われる。
図11、同じくタイマ割り込みルーチンとして実行される障害物の回避に対する画像認識走行運転のフローチャートを示す。この図11においては、例えば33msec間隔でルーチンが起動される。そしてステップS51でセンサモジュールからの車両角度(ピッチ角度θp、ヨー角度θy、ロール角度θr)及び角速度(ピッチ角速度ωp、ヨー角速度ωy、ロール角速度ωr)のセンサデータが受信される。
次に、ステップS52で小型カメラからの画像処理が行われ、障害物及び急傾斜用の画像処理として、危険路面点数、走行可能路面角度θeなどの値が算出される。そしてステップS60で図12に示す危険回避制御が行われる。この図12の危険回避制御においては、まずステップS61で緊急度高の範囲内の危険点数が0か否か判断され、危険点数が0のとき(YES)は、さらにステップS62で走行可能路面角度θe=0か否か判断される。
このステップS62で走行可能路面角度θeの値がないときは、ステップS63で停止警告表示指令が実行され、補助輪は格納される。また、ステップS62で走行可能路面角度θe=0のときは、ステップS64で姿勢制御指令が実行され、補助輪は格納される。さらにステップS62で走行可能路面角度θe≠0のときは、ステップS65で車体旋回1警告表示指令が実行され、補助輪は格納される。すなわちこのステップS65では、走行可能路面角度θeの方向へ旋回するように警告表示が行われる。
また、ステップS61で緊急度高の範囲内の危険点数が0でないとき(NO)は、さらにステップS66で走行可能路面角度θe=0か否か判断される。このステップS66で走行可能路面角度θeの値がないときは、ステップS67で停止指令が実行され、補助輪が繰り出される。また、ステップS66で走行可能路面角度θe=0のときは、ステップS68で姿勢制御指令が実行され、補助輪は格納される。
さらにステップS66で走行可能路面角度θe≠0のときは、ステップS69で車体旋回1指令が実行され、補助輪は格納される。すなわちこのステップS69では、走行可能路面角度θeを旋回目標角度として旋回が行われる。そしてステップS63〜S65及びステップS67〜S69が実行された後に、図11のステップS53に進められる。
さらに図11のステップS53では、姿勢制御装置への指令として姿勢制御、停止、旋回1の指令、及び停止、旋回1の警告表示指令が送信されて、メインルーチンの割り込みの行われたステップに戻される。このようにして障害物の回避に対する画像認識走行運転の処理が行われる。
また、図13には、同じくタイマ割り込みルーチンとして実行される姿勢制御のフローチャートを示す。この図13においては、例えば1msec間隔でルーチンが起動される。そしてステップS71でセンサモジュールからの車両角度(ピッチ角度θp、ヨー角度θy、ロール角度θr)及び角速度(ピッチ角速度ωp、ヨー角速度ωy、ロール角速度ωr)、荷重(W1及びW2)のセンサデータが受信される。
次に、ステップS72でサーボアンプから2つのモータのそれぞれの回転角θmt1及びθmt2のデータが受信される。さらに、ステップS73でサーボゲインの変更を行い、例えば荷重(W1及びW2)に比例して制御ゲイン(Kp1、2、3、4、5及びTtum)を変化させる。そしてステップS74で、上述のステップS36若しくはS53で送信された画像処理装置からの制御指令を受信する。
さらに、ステップS75で受信した制御指令の中で警告表示指令の有無が判断される。ここで警告表示指令がないとき(NO)は、さらにステップS76で停止指令の有無が判断され、停止指令があるとき(YES)はステップS77でモータ速度を0にする制御が行われる。すなわち、Tref1=−d(θmt1)/dt×K5、Tref2=−d(θmt2)/dt×K5とされると共に、補助輪繰り出しPIOが出力され、補助輪アームモータがオフされる。
また、ステップS76で停止指令がないとき(NO)は、さらにステップS78で減速指令の有無が判断され、減速指令があるとき(YES)はステップS79でモータブレーキ制御が行われる。ここではTref1=−d(θmt1)/dt×K4、Tref2=−d(θmt2)/dt×K4とされると共に、補助輪繰り出しPIOが出力され、補助輪アームモータがオフされる。さらにステップS80で旋回2指令の有無が判断され、旋回2指令があるとき(YES)はステップS81で旋回2制御が行われる。ここではTref1=Tref1+Ttum、Tref2=Tref2−Ttumとされる。
さらにステップS78で減速指令がないとき(NO)は、ステップS82で補助輪格納PIOが出力され、補助輪アームモータがオンされ、警告表示のオフ指令が出力される。また、ステップS83でモータトルクの演算が行われ、Tref=Kp1×ωp+Kp2×θpが演算される。そしてステップS84で旋回1指令の有無が判断され、旋回1指令があるとき(YES)はステップS85で旋回1制御が行われる。ここではTref1=Tref1+θe×Kp3、Tref2=Tref2−θe×Kp3とされる。
また、ステップS84で旋回1指令がないとき(NO)はステップS86で姿勢制御が行われる。すなわちこの場合には、Tref1=Kp1×ωp3+Kp2×θp、Tref2=Kp1×ωp3+Kp2×θpが演算される。そして、ステップS77、S81、S85、S86が実行されたときと、ステップS80で旋回2指令がないとき(NO)は、ステップS87でサーボアンプにトルク指令Tref1、Tref2が送信されて、メインルーチンの割り込みの行われたステップに戻される。
これに対して、ステップS75で受信した制御指令の中に警告表示指令があるとき(YES)は、ステップS88で補助輪格納PIOが出力され、補助輪アームモータがオンされる。さらにステップS89で停止警告表示指令の有無が判断され、停止警告表示指令があるとき(YES)はステップS90で停止警告表示がオン出力される。また、ステップS89で停止警告表示指令がないとき(NO)は、さらにステップS91で減速警告表示指令の有無が判断される。
そしてステップS91で減速警告表示指令があるとき(YES)はステップS92で減速警告表示がオン出力される。さらに、ステップS93で旋回2警告表示指令の有無が判断され、旋回2警告表示指令があるとき(YES)はステップS94で旋回2警告表示がオン出力される。また、ステップS91で減速警告表示指令がないとき(NO)は、さらにステップS94で旋回1警告表示指令の有無が判断され、旋回1警告表示指令があるとき(YES)はステップS96で旋回2警告表示がオン出力される。
さらに、ステップS90、S94、S96が実行されたときと、ステップS93、S95でそれぞれ旋回2指令、若しくは旋回1指令がないとき(NO)は、ステップS86で姿勢制御が行われ、Tref1=Kp1×ωp3+Kp2×θp、Tref2=Kp1×ωp3+Kp2×θpが演算されて、ステップS87でサーボアンプにトルク指令Tref1、Tref2が送信される。そしてメインルーチンの割り込みの行われたステップに戻される。このようにして姿勢制御の処理が行われる。
以上のようにして、本発明の走行装置及びその制御方法によれば、車体に設置したカメラを用いて事前に路面状況を感知して進入可能水準を超える高さを有する段差の手前で搭乗者に警告表示し、車両を旋回、減速もしくは停止させて転倒、脱輪および過大な衝撃を防ぐ。さらには事前に感知した走破不能な障害物との接触や片輪の段差落下や急傾斜路面への進入を回避するために車体進行方向および車体速度を変更するように車輪を制御する制御装置を提供する。また、警告表示または自動制御により安全に車両を減速、もしくは停止させる機構および制御装置を提供することができる。
さらに2個のカメラを用いることにより、図14〜図17に示すように平面検出器(特開2003−271975号公報参照)を用いた路面認識が可能となり、3次元空間における障害物との正確な位置関係を算出できる。さらには段差の検出や段差高さの算出、および傾斜路面の検出や傾斜角度の算出ができる。そこでこうして算出した危険な路面環境を、図18、図19に示すようにVector Field Histogramによって走行路面上にマッピングする。
この際、Vector Field Histogramの処理対象とする路面範囲を車体速度により変化させることにより、車体速度に応じた処理が実現される。ただし、速度が大きい場合には速度が小さい場合によりも危険路面に到達するまでの時間が短くなり、危険回避動作が間に合わない危険性があるため、処理範囲を広げる。また、速度ゼロの場合には処理範囲もゼロとする。
これにより、エレベータ内のような狭い環境において車体の制御を開始した瞬間に、画像処理においては視野全体に障害物が存在するものと判断し、危険回避のための自動制御が不適切に開始されるというような事態が生じる惧れを回避することができる。さらに、図20に示すように車体からの距離によって、処理する走行路面の範囲を二つに分割する。これにより、危険回避の緊急度が段階分けされ、警告表示による回避と車体の自動制御による回避の2パターンの処理を状況に応じて選択することが可能となる。
さらに、走行路面上に存在する段差の高さ、障害物の大きさ、傾斜路面の傾斜角度が危険水準を超えた場合、回避のための制御が行われる。Vector Field Histogramによって走行可能路面角度が算出された場合、つまり,車体の前方に危険を回避可能な走行路面が存在した場合には、この角度の方向に車体を旋回させるように制御が行われる。また、走行可能路面が算出されなかった場合、つまり、車体の前方に走行可能路面が存在しない場合には、車体を停止させるように制御が行われる。
また、段差、障害物、急傾斜路面等の危険な路面環境がVector Field Histogramの処理範囲の外側の範囲にのみ存在する場合、危険回避の緊急度が低いと判断され、旋回、もしくは停止の動作を搭乗者に促すような警告表示が行われる。これは、倒立振子制御による車両が前後方向に不安定な構造を有しているために、停止、減速動作を自動的に行った場合、搭乗者に加わる慣性力の作用で車両の挙動が不安定になる危険があるためである。このため、緊急度が低い場合には車体の自動制御を行わずに警告表示のみを行うことで、自然な回避動作を実現する。
さらに、搭乗者が警告表示を無視した場合、危険路面が車体に接近する。この場合のように、Vector Field Histogramの処理範囲の内側の範囲に危険な路面環境が存在する場合、自動制御により危険回避動作が実現される。なお、走行可能路面角度が算出された場合は旋回、算出されなかった場合は停止する。
また、画像処理装置により算出された上りもしくは下り段差の高さが基準以下であっても、段差の高さと車体の移動速度から算出される、発生が予想される段差の乗り降りによる衝撃の大きさが予め定められた危険水準を超える場合、減速させるような制御が行われる。または、車体進行方向と段差境界線が直行している場合には、左右の車輪に回転数差を与え車体と段差が平行とならないように車体を旋回させる制御が行われる。このような制御により、段差の乗り降りにより車体および搭乗者に生じる衝撃が緩和される。
なお、この場合も、危険回避の制御と同様、段差と車体との距離が基準よりも大きい場合には減速および旋回動作を喚起する警告表示が、基準より小さい場合には自動制御による減速制御および旋回制御がそれぞれ行われる。
さらに、搭乗者に危険回避のための警告を表示する方法として、まず、音による表示が考えられる。ブザーの種類や音声により、停止、旋回、減速の各動作を指示する。また、ハンドル部に振動発生器を組み込み、この振動により各動作を指示することができる。ハンドルが2本存在し、搭乗者がそれぞれのハンドルを把持している場合には、どちらのハンドルを振動させるかによって、旋回の方向を感覚的に指示することが可能である。その他、LEDの点灯等、光による指示が可能である。
こうして本発明の走行装置及びその制御方法によれば、平面検出器によりカメラ視界範囲内の平面が検出され、段差、傾斜路面、障害物等が認識される。そしてこの情報を用いて、車両が危険な路面環境を回避して走行するように、例えば図21のように各動作が実現される。
図21のAのような場合、車体前方に段差が検出された段階で、搭乗者に対して停止の警告が表示される。搭乗者がそのまま車体を進行させた場合には、段差手前で車体が自動的に停止する。また図21のBのような場合、同様に車体前方に段差が検出された段階で、搭乗者に対して旋回の警告が表示される。搭乗者がそのまま車体を進行させた場合には、車体が段差から遠ざかる方向に進行するように自動的に旋回制御を行われる。
また、図21のC、Dのような場合、まず障害物の警告表示が行われ、さらに接近した場合には自動で車体が旋回する。その後、搭乗者の操縦によってもとの経路に復帰する場合には、図21のCのような動作となる。また、自律走行時や、搭乗者の居眠り時のように搭乗者の操縦が行われない場合、車体は障害物回避後直線走行するが、壁を認識して自動で旋回し、図21のDのような動作となる。
さらに図21のEの場合のように、障害物の大きさが大きく旋回による回避が不可能である場合、まず停止の警告表示が行われ、警告を無視してさらに接近した場合、車体は自動で減速し障害物手前で停止する。車体進行方向に急傾斜路面が存在する場合にも、同様に旋回もしくは停止のための制御が行われる。
また、自動制御による減速、停止時における車体の安定化については以下のように説明される。ある速度で走行している車両に対して、自動制御によりモータトルクを与え、車体を減速もしくは停止させた場合、搭乗者および車体に生じる慣性力の影響により搭乗者および車体は進行方向に倒れこみ、場合によっては転倒する(図22参照)。
そこで、このような慣性力の作用による転倒を防止するための一つの方法として、上述の図4のような構造、及び図23のような方法が考えられる。この場合には、制御装置は減速指令もしくは停止指令とともに補助車輪を出し、地面に接地させることで3輪接地の状態とし、車体を安定させる。
それ以外の方法として、図24及び図25のような方法が考えられる。図24の場合、図23の場合のように補助車輪によって受動的に路面反力を発生させるのではなく、補助車輪を能動的に路面に押し付けることにより、路面反力によって車体を後方傾斜させる。よって、通常の姿勢制御時に搭乗者が重心を後方に移動させて車体を制動するのと同様の状態を補助車輪の押し付けによって実現することになる。このようにして、モータは通常の姿勢制御を行った状態のまま、車両を安全に停止させることができる。
図25の場合、搭乗者と車体にかかる重力と慣性力の合力ベクトルが補助車輪よりも前方を通るような場合、車体は前方に倒れこむため、減速の加速度の大きさは制限される。しかし、図24の方法を用いた場合、車体自体が傾斜していることにより重力が搭乗者の前方への倒れこみを防止するような方向に作用するため、結果として減速の加速度の許容最大値が大きくなり、急激な減速が可能となる。
図25は、車体の垂直軸上に回転関節を有する可動ステップおよび可動ステップ用アクチュエータからなる機構を用いる。この可動ステップを車体に対して変位させることにより搭乗者の重心位置を移動させ、それに伴い車体を傾斜させる。なお、可動ステップと一緒にハンドル角度を車体に対して変位させることも可能である。この場合、より確実に搭乗者の重心を移動させることができる。
このようにして、図25の場合も図24と同様に、通常の姿勢制御即に応じた減速トルクを発生させて車体を減速させる。また、これらの図においては、通常の姿勢制御を行っているため車体の角度に応じたトルクが発生しているが、可動ステップ部に回転角度センサを設置し、車体ピッチ角に代えてこの可動ステップ変位角度を用いることにより、車両の姿勢制御を行うことも可能である。
こうして上述の走行装置によれば、複数の車輪を独立に駆動する手段と、複数の車輪を連結する筐体とを有し、筐体には自身の姿勢角度を検出する手段が設けられて、検出された姿勢角度の情報に従って複数の車輪の回転数をそれぞれ設定して走行を行う走行装置であって、筐体の前方及び/または後方を看視する看視装置を装備し、看視装置からの画像信号を解析して、その解析結果に応じて複数の車輪をそれぞれ独立に駆動して筐体自身の姿勢角度の制御を行う制御手段を設けることにより、段差部への進入及び障害物の回避を良好に行うことができる。
また、上述の走行装置の制御方法によれば、複数の車輪を独立に駆動する手段と、複数の車輪を連結する筐体とを有し、筐体には自身の姿勢角度を検出する手段が設けられて、検出された姿勢角度の情報に従って複数の車輪の回転数をそれぞれ設定して走行を行う走行装置の制御方法であって、筐体の前方及び/または後方を看視する看視装置を装備し、看視装置からの画像信号を解析して、その解析結果に応じて複数の車輪をそれぞれ独立に駆動して筐体自身の姿勢角度の制御を行うことにより、段差部への進入及び障害物の回避を良好に行うことができる。
なお、本発明は、重力中心が車輪の軸以下にある自律走行する車両で、姿勢センサ信号をフィードバックする姿勢制御装置により機体を安定に自律する車両に人が搭乗して体重の重心を変化させて車両を前進、後進、旋回する装置、また二足自律ロボットの装置で、ブレーキやアクセルの機構を持たない移動車両、またはロボットにも適応される。さらに本発明は、上述の説明した実施形態に限定されるものではなく、本発明の精神を逸脱することなく種々の変形が可能とされるものである。
本発明による走行装置及びその制御方法を適用した同軸二輪車の一実施形態の構成図である。 その具体例の構成図である。 2輪で走行する搬送車の具体構造を示す構成図である。 本発明による走行装置の機構構成図である。 本発明による走行装置の制御システム構成図である。 一輪車の制御構造を示す構成図である。 メインルーチンのフローチャート図である。 センサモジュールの信号処理のフローチャート図である。 画像認識走行運転のフローチャート図である。 危険回避制御のフローチャート図である。 画像認識走行運転のフローチャート図である。 危険回避制御のフローチャート図である。 姿勢制御のフローチャート図である。 段差検出の説明のための線図である。 段差検出の説明のための線図である。 障害物検出の説明のための線図である。 障害物検出の説明のための線図である。 危険路面回避の説明のための線図である。 危険路面回避の説明のための線図である。 危険路面回避の説明のための線図である。 危険路面回避の説明のための線図である。 危険路面回避の説明のための線図である。 危険路面回避の説明のための線図である。 危険路面回避の説明のための線図である。 危険路面回避の説明のための線図である。 本願発明者が先に提案した同軸二輪車の実施形態を示す外観斜視図である。 同軸二輪車のベースを説明するための側断面図である。 同軸二輪車のべースに設けられた圧力センサを示す図であり、同図(A)は平面図を示し、同図(B)は側面図を示す。 同軸二輪車の重量中心と車輪軸との位置関係を示す図である。 負荷荷重トルクとモータトルクとのつり合いを説明する図である。 人間が搭乗した場合の姿勢制御を説明する図である。 ベース上で姿勢を保つための力学モデルを説明する図である。 ベース上で姿勢を保つための力学モデルを説明する図である。 ベース上で姿勢を保つための力学モデルを説明する図である。 同軸二輪車における力学モデルを説明する図である。 姿勢安定制御のための制御機構を示す図である。 車輪が1つである場合における姿勢安定制御及び走行制御のための制御機構を示す図である。 同軸二輪車における姿勢指令を説明する図である。 車輪が1つである場合における姿勢安定制御及び走行制御のための制御機構を示すブロック図である。 図39に示すブロック図を数学モデルとして示す図である。 図40に示す数学モデルの詳細な具体例を示す図である。 車輪が2つである場合における姿勢安定制御及び走行制御のための制御機構を示すブロック図である。 前進・後退する場合の走行速度制御を説明する図である。 旋回する場合の走行速度制御を説明する図である。 直進する際にヨー軸回りのジャイロセンサ信号が検出される場合の制御方法を説明する図である。 同軸二輪車のソフトウェア構成を説明する図である。 同軸二輪車1における各回路の全体構成を説明する図である。 図47に示す全体構成の詳しい内部構成を説明する図である。
符号の説明
300…ベース、301,302…車輪、303…センサモジュール、304…モータ、305…操作レバー、306…牽引アーム、307,308…小型カメラ、309…補助車輪、310…アクチュエータ、311…表示装置

Claims (11)

  1. 複数の車輪を独立に駆動する手段と、前記複数の車輪を連結する筐体とを有し、前記筐体には自身のピッチ角度を検出する手段が設けられて、前記検出されたピッチ角度の情報に従って前記複数の車輪の回転数をそれぞれ設定して走行を行う走行装置であって、
    前記筐体の前方及び/または後方を看視する看視装置を装備し、
    前記看視装置からの画像信号を解析して、その解析結果に応じて前記複数の車輪をそれぞれ独立に駆動して前記筐体自身のピッチ角度の制御を行いつつ減速を行う制御手段を設けることを特徴とする走行装置。
  2. 前記制御手段は、走行しながら前記看視装置からの画像信号をリアルタイムに取り込み段差を認識して進入回避する制御を行うことを特徴とする請求項1記載の走行装置。
  3. 前記制御手段は、走行しながら前記看視装置からの画像信号をリアルタイムに取り込み段差を認識して車体を減速および旋回させ段差の乗り降りによる衝撃を緩和する制御を行うことを特徴とする請求項1記載の走行装置。
  4. 前記制御手段は、走行しながら前記看視装置からの画像信号をリアルタイムに取り込み障害物を認識して衝突回避し、衝突による衝撃を回避する制御を行うことを特徴とする請求項1記載の走行装置。
  5. 前記制御手段は、走行しながら前記看視装置からの画像信号をリアルタイムに取り込み路面傾斜角度を認識して進入回避する制御を行うことを特徴とする請求項1記載の走行装置。
  6. 前記制御手段は、平行二輪の車両を減速または停止させる際、補助車輪を路面に接地させる機構の制御を行うことを特徴とする請求項1記載の走行装置。
  7. 前記制御手段は、前記補助車輪を路面に押し付けた反力により平行二輪の車両を傾斜させ、車体を減速、停止させる機構の制御を行うことを特徴とする請求項6記載の走行装置。
  8. 前記制御手段は、平行二輪の車両に設置した可動ステップを車体に対して傾斜させることにより搭乗者の重心位置を移動させ、車体を減速、停止させる機構の制御を行うことを特徴とする請求項1記載の走行装置。
  9. 前記制御手段は、予め設定された危険の察知される路面環境と車体との間の距離及び車体の速度から危険回避の緊急度を算出し、搭乗者への警告表示を行う制御を行うことを特徴とする請求項1記載の走行装置。
  10. 前記制御手段は、予め設定された危険の察知される路面環境と車体との間の距離及び車体の速度から危険回避の緊急度を算出し、緊急度が低い場合には搭乗者への警告表示を実行し、緊急度が高い場合には自動制御による停止、減速、旋回動作を実行する制御を行うことを特徴とする請求項1記載の走行装置。
  11. 複数の車輪を独立に駆動する手段と、前記複数の車輪を連結する筐体とを有し、前記筐体には自身のピッチ角度を検出する手段が設けられて、前記検出されたピッチ角度の情報に従って前記複数の車輪の回転数をそれぞれ設定して走行を行う走行装置の制御方法であって、
    前記筐体の前方及び/または後方を看視する看視装置を装備し、
    前記看視装置からの画像信号を解析して、その解析結果に応じて前記複数の車輪をそれぞれ独立に駆動して前記筐体自身のピッチ角度の制御を行いつつ減速を行うことを特徴とする走行装置の制御方法。
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