JP4296852B2 - 同軸二輪車 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、同一軸の両端に車輪を備えた同軸二輪車に関する。
【0002】
【従来の技術】
同一軸の両端に車輪を備えた同軸二輪車は、四輪車或いは三輪車はもとより、自転車のような個々の車輪の回転軸が異なる異軸二輪車と比較しても平面形状のコンパクト化の観点から有利であるため、従来から研究が進められているが、このような同軸二輪車では、姿勢の安定制御の問題が克服されない限り実用化は不可能である。
【0003】
このような理由から、姿勢を安定制御する手法として、例えば下記の特許文献1には、ロータリエンコーダ等により検出される車体の傾斜角度を短時間間隔でサンプリングし、サンプリング値に基づいて車輪駆動用モータの制御トルクを算出すると共に、この制御トルク相当の作動を車輪駆動用モータに指令することにより、車体が傾動した際に車輪をその傾動方向に直ちに移動し、車体の復元を行う技術が提案されている。
【0004】
また、下記の特許文献2には、複数のジャイロセンサにより車体の傾斜角度を検出し、このジャイロセンサ信号が水平になるようにモータの制御装置の状態をフィードバックすることにより、車体を水平に保ったまま走行する技術が提案されている。
【0005】
【特許文献1】
特開昭63−305082号公報
【特許文献2】
米国特許第5971091号明細書
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような特許文献1,2に記載の同軸二輪車では、人間が搭乗した場合、或いは重量差の大きい複数の人間が乗り換えた場合に、モータからみた慣性モーメントや負荷重量が大きく変化し、姿勢を安定化する制御系が不安定になるため、人間が乗り降りする際に異常な振動が発生したり、人間の重量の違いにより動作が変化したりする問題があった。
【0007】
本発明は、このような従来の実情に鑑みて提案されたものであり、負荷重量変化に対して安定であり、且つ、姿勢制御と走行制御とを安定して両立することが可能な同軸二輪車を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上述した目的を達成するために、本発明に係る同軸二輪車は、一対の車輪と、該一対の車輪間に架設された車輪軸と、該車輪軸上に傾動可能に支持されたベースと、該ベースに装着され、上記一対の車輪の各々を駆動するための一対の駆動用モータと、上記一対の駆動用モータに作動指令を送る制御装置とを備える同軸二輪車において、上記ベースには、該ベース上の負荷の位置及び重量を検出する負荷検出手段と、該ベースの上記車輪軸回りの角度を検出する角度検出手段とが設けられ、上記制御装置は、上記負荷によるトルクを相殺するための第1のトルクを生成すると共に上記ベースの上記車輪軸回りの角度に対応して該ベースを所定の角度に維持するための第2のトルクを生成する第1の制御機構と、上記負荷の位置に応じて走行させるための第3のトルクを生成する、上記第1の制御機構とは独立した第2の制御機構とからなり、上記第1乃至第3のトルク相当の作動を上記一対の駆動用モータの各々に指令するものである。
【0009】
このような同軸二輪車は、例えば複数の圧力センサからなる負荷検出手段によって検出されたベース上の負荷によるトルクを相殺するための第1のトルクと、例えばジャイロセンサ及び加速度センサからなる角度検出手段によって検出されたベースの車輪軸回りの角度に対応して該ベースを所定の角度に維持するための第2のトルクと、上記負荷の位置に応じて走行させるための第3のトルクとを生成し、この第1乃至第3のトルク相当の作動を一対の駆動用モータの各々に指令し、一対の車輪を駆動させる。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を適用した具体的な実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。この実施の形態は、本発明を、同一軸の両端に車輪を備えた同軸二輪車に適用したものである。
【0011】
先ず、本実施の形態における同軸二輪車の外観斜視図を図1に示す。図1に示す同軸二輪車1において、車輪軸2の両端には一対の車輪3(右車輪3R及び左車輪3L)が止着されている。この車輪3は、柔軟な特性を有するゴム材で形成されており、その内部には空気や窒素ガス等が充填される。このガス圧を調整して車輪3の柔軟性を調整することにより、機体の振動を吸収し、路面の凹凸による振動や段差による衝撃を低減することができる。また、図示しないが、車輪3の表面には凹凸形状の溝が形成されており、凹凸のある路面を走行する際や段差を乗り越える際に高い摩擦力を保持することができる。
【0012】
また、車輪軸2には、例えば人間が立ち姿勢で搭乗するための板状体の下に後述する制御装置等が格納される略直方体形状の筐体が接合されたベース4が、車輪軸2回りに傾動可能に支持されている。このベース4上には、例えば人間が搭乗した際に両手で把持するためのハンドル5が設けられる。
【0013】
以下、本明細書においては、両輪を結ぶ車輪軸2の中間点をX−Y−Z座標系の原点Oと仮定し、この原点Oを通りベース4の主面と平行で且つ車輪軸2に垂直な方向をX軸又はロール軸、原点Oを通る車輪軸方向をY軸又はピッチ軸、原点Oを通りベース4の主面と垂直な方向をZ軸又はヨー軸と定義する。また、同軸二輪車1の前方をX軸の正方向、左方をY軸の正方向、上方をZ軸の正方向とそれぞれ定義する。
【0014】
ベース4には、図2に示すように、正逆回転可能なモータ10(10R及び10L)が装着されており、モータ10に隣接して、モータ10の回転位置を検出するためのロータリエンコーダ11(11R及び11L)が設けられている。また、モータ10と車輪3との間には、歯車又はタイミングベルトによる減速器12(12R及び12L)が介在されており、モータ10の回転がこの減速器12及びジョイント(図示せず)を介して車輪3に伝達される。
【0015】
この減速器12は、バックラッシュ量が1分以下であり、車輪3側の出力軸から外力により回転トルクが加わるとモータ10側の入力軸にも回転トルクが伝達されて容易に回転する特性(バックドライバビレィティ性)を有する。このようなバックドライバビレィティ性を有する減速器12を使用することにより、例えば空中状態から着地する際に、路面の反作用力をモータ10が吸収して減衰し、安定に着地することができる。また、電源が遮断された場合であっても、機体に外力を加えてモータ10を回転させ、容易に移動させることができる。さらに、坂道を重力に従って下るような場合には、モータ10に回転トルクが伝達されて逆起電力が生じるが、この逆起電力を利用してバッテリ(図示せず)の充電を行い、バッテリ駆動時間を長くすることができる。なお、バッテリが完全に充電された場合には、回生抵抗により回生電力を熱として放出する制御を行う。また、下り坂に限らず、減速時に生じる回生電力もバッテリに充電するような電源管理回路(後述)が内蔵される。
【0016】
さらに、ベース4には、ベース4のピッチ軸,ヨー軸回りの角速度ωp,ωyawを検出するためのジャイロセンサ13のほか、X,Y,Z軸方向のリニア加速度Ax,Ay,Az及びピッチ軸,ロール軸,ヨー軸回りの角加速度αp,αr,αyawを検出するための加速度センサ14や、ベース4上の負荷重量を検出するための圧力センサ15等の各種センサが内蔵されている。
【0017】
このうち、圧力センサ15は、図3(A)の平面図及び同図(B)の側面図に示すようにベース4の板状体を構成する支持台4aと可動台4bとの間の四隅に設けられており、この4つの圧力センサ151〜154のセンサ信号からベース4上の負荷の重心座標(Xg、Yg)とその負荷重量Wgとを検出することができる。すなわち、圧力センサ151〜154のセンサ信号がそれぞれPS1,PS2,PS3,PS4であり、無荷重状態で圧力センサ151〜154にかかる自重がW0である場合、負荷重量Wgは、以下の式(1)のように求められる。
【0018】
【数1】
【0019】
また、圧力センサ151,154及び圧力センサ152,153のX座標がそれぞれXps,−Xps、圧力センサ151,152及び圧力センサ153,154のY座標がそれぞれYps,−Ypsである場合、重心座標(Xg、Yg)は、以下の式(2)のように求められる。ここで、式(2)において、W14は無荷重状態で圧力センサ151,154にかかる自重を示し、W23は無荷重状態で圧力センサ152,153にかかる自重を示し、W12は無荷重状態で圧力センサ151,152にかかる自重を示し、W34は無荷重状態で圧力センサ153,154にかかる自重を示す。
【0020】
【数2】
【0021】
この圧力センサ15によりベース4上の負荷による負荷荷重トルクT1が計算できるため、モータ10にその反作用のモーメントを与えることにより、ベース4上でバランスを保ち、姿勢を安定化することが可能となる。
【0022】
さらにまた、ベース4の下部筐体には、マイクロコンピュータからなる制御装置16が搭載されており、この制御装置16に各種センサ信号、検出信号が入力される。制御装置16は、これらの入力信号に基づいて、後述するようにベース4のピッチ軸角度、ヨー軸角度を適切な値に保ちながら、機体を前進・後退・旋回させるモータトルクを発生するように制御する。
【0023】
また、この同軸二輪車1は、図4に示すように、車輪軸2回りに傾動可能とされるベース4(及びハンドル5)の重量中心Mが車輪軸2よりも下方に位置するように構成されている。これにより、停止時にも機体の重心位置が最も安定な位置に保たれ、転倒しにくくなる。なお、この図4ではベース4の上面の高さが車輪軸2よりも高くなっているが、ベース4の上面が車輪軸2より低くなっていても構わない。
【0024】
ここで、ベース4上で姿勢を保つための制御概念について説明する。図5に示すように、ベース4上の負荷、例えば人間の体重による負荷荷重トルクT1に対して、同じモーメントを発生するようにモータトルクTmを制御すると、ベース4はシーソのように支点を中心にバランスを保つ。このバランスを保つ支点に相当する点、すなわち車輪軸2回りの回転モーメントがゼロとなる点をZMP(Zero Moment Point)と呼ぶ。このZMPが車輪3の路面との接地点に一致するとき、或いは路面との接地面内にあるとき、バランスが保たれてベース4上で姿勢を保つことができる。
【0025】
この同軸二輪車1に体重Whの人間が搭乗した場合、図6に示すように、人間の傾き角θに応じてベース4及びハンドル5の重量中心Mが車輪軸2を中心に傾く。このとき、車輪軸2がバランスをとるための車輪軸トルクT0は以下の式(3)で表され、姿勢を保つためのモータトルクTmは減速器12の減速比をN:1としてT0/Nで表される。
【0026】
【数3】
【0027】
本実施の形態における同軸二輪車1では、上述の如くベース4及びハンドル5の重量中心Mが車輪軸2よりも下方に位置するように構成されているため、式(3)のように、人間の体重Whによるモーメントとベース4及びハンドル5の重量Wmによるモーメントとの差分を車輪軸トルクT0として加えるのみでよく、比較的小さいモータトルクでバランスを保つことができる。
【0028】
ベース4上で姿勢を保つための力学モデルについて、図7に示すX−Z座標系を用いてさらに詳細に説明する。ここで図7では簡単のため、車輪3は1つであるものとして説明する。また、車輪3、ベース4、及びベース4上の人間をそれぞれリンクとみなし、その重心位置座標をそれぞれ(x0、z0),(x1、z1),(x2、z2)とする。さらに、各リンクの質量をそれぞれm0,m1,m2とし、慣性モーメントをI0,I1,I2とする。
【0029】
定義した点Ω(σ、φ)回りの第iリンク(i=0,1,2)の各運動量は、重心位置座標を(xi、zi)とすると、以下の式(4)で表される。ここで、式(4)においてx,zの上に付されている1つの点は、x,zの1階微分であることを示している。
【0030】
【数4】
【0031】
したがって、全リンクの慣性力によるモーメントは、以下の式(5)で表される。ここで、式(5)においてx,zの上に付されている2つの点は、x,zの2階微分であることを示している。また、全リンクの重力によるモーメントは、重力加速度をgとして以下の式(6)で表される。
【0032】
【数5】
【0033】
この慣性力によるモーメントと重力によるモーメントとの和により、式(7)に示すように、点Ω(σ、φ)回りのモーメントMΩが与えられる。
【0034】
【数6】
【0035】
質量m0である車輪3の重力によるモーメントを除けば、点Ω(σ、φ)を原点にとることで、上述のモーメントMΩは車輪軸2回りのモーメントMaとなる。この車輪軸2回りのモーメントMaは、以下の式(8)で表される。
【0036】
【数7】
【0037】
このモーメントMaを用いて上述のモーメントMΩを表せば、x0=0であるとき、すなわち車輪3の重心位置が車輪軸2上にあるとき、以下の式(9)で与えられる。
【0038】
【数8】
【0039】
ここで、ZMPはモーメントMΩが0である床面上の点と定義される。そこで、車輪軸2の高さをh、ZMPの座標を(σzmp、−h)として式(7)に代入すると、以下の式(10)のようになる。この式(10)をσzmpについて解くことで、ZMPをリンク位置、加速度及び質量により表すことができる。
【0040】
【数9】
【0041】
また、上述した式(9)にZMPの座標(σzmp、−h)を代入すると、以下の式(11)のようになる。なお、この式(11)は、車輪軸2回りのモーメントのつり合いの式を示す。
【0042】
【数10】
【0043】
ここで、ZMPに作用する力を図8に図示する。図8において、FNは床反力、FTは転がり摩擦力、FはFNとFTとの合成ベクトルを表す。なお、床反力FNは実際には車輪3の接地面全体に分布するが、図8ではZMPに集約するものとして表している。この図から車輪軸2回りのモーメントのつり合いの式を表すと、以下の式(12)のようになる。
【0044】
【数11】
【0045】
なお、この式(12)に以下の式(13)〜(15)を代入すると、上述した式(11)と同じものになる。
【0046】
【数12】
【0047】
ベース4上の姿勢が安定するには、式(12)においてσzmp=0となればよい。すなわち、車輪軸トルクT0=−FT*hが成立すれば姿勢を保つことができる。したがって、T0=FT=0を満たす以下の式(16)に示す状態変数を制御することにより、姿勢を安定させることができる。
【0048】
【数13】
【0049】
このとき、x0,x1は、機構構造により一意に定まるが、m2,I2,x2,z2は、人間であるため不定値である。このm2,I2,x2,z2によるベース4上でのモーメントMtは、以下の式(17)で与えられる。但し、ベースは、図9のように水平に保たれるものとする。
【0050】
【数14】
【0051】
ここで、負荷が人間である場合には角速度ω2が十分に小さいため、ω2≒0と近似すると、式(18)においてx2とその2階微分値をゼロにするときモーメントMtがゼロになる。x2とその2階微分値をゼロにすることは、ベース4上での負荷荷重トルクT1がゼロとなるようにx0及びx1を制御することと等価と考えてよい。また、この負荷荷重トルクT1によるモーメントMtは、力F2でベース4上の作用点(xf、L)に作用することと等価である。したがって、このxfをゼロにするx0,x1を与えることができればT1=0となり、姿勢を安定に保つ条件を満足することができる。
【0052】
図9に示すように、ベース4上のジャイロセンサ信号をフィードバック制御してモータトルクTmを与えることによりx0=x1を保つように制御されているとき、xf=x0となるようにモータトルクTmを制御することで姿勢を安定に保つことができる。
【0053】
具体的には、誤差Ef=xf−x0とするとき、Ef>0であればx0を正の方向に変位させるためにモータトルクTmを負として機体を前進させ、Ef<0であればx0を負の方向に変位させるためにモータトルクTmを正として機体を後退させることで、誤差Efをゼロに収束させることができる。すなわち、A0を正の定数として、Tm=−A0*EfとなるモータトルクTmを与えることでEfをゼロに収束させ、姿勢を安定に保つことができるようになる。
【0054】
実際には、例えば図10のようにベース4がピッチ軸回りに角度θ0だけ傾いた場合、体重Mの人間によりT1(=Mτ×L)の負荷荷重トルクが発生するため、その負荷荷重トルクT1と逆方向の車輪軸トルクT0を与えるようにモータトルクTmを制御することで、ZMPを車輪3の接地点と一致させ、姿勢を安定に保つことができるようになる。
【0055】
ここで、ベース4上に人間が搭乗した場合、個人差はあるものの通常1〜2秒の周期で姿勢を保つために足裏に作用させる力を変動させているため、人間の体重による負荷荷重トルクT1は不確定に変化する。したがって、リアルタイムにバランスがとれるようなトルクをモータ10に加算し、負荷変動に対してベース4の角度を一定に保つ必要がある。
【0056】
そこで、本実施の形態における同軸二輪車1は、このような負荷変動をリアルタイムに相殺するために、制御装置16内に図11に示すような制御機構を有している。図11において、減算器20では、姿勢指令であるベース角度指令θrefとジャイロセンサ13及び加速度センサ14によって検出した現在のベース角度θ0との偏差がとられ、この偏差が姿勢制御器21に供給される。姿勢制御器21は、このベース角度指令θrefと現在のベース角度θ0とからモータトルク電流値Tgyr[A]を計算する。また、調整器22では、圧力センサ15のセンサ信号PS1,PS2,PS3,PS4を用いて負荷荷重トルクT1を推定し、これを相殺するための推定負荷荷重トルク電流値T1'/Km[A]を計算する。ここでKmはモータ定数[Nm/A]である。負荷の重心座標が(Xg、Yg)であり、負荷重量がWgである場合、推定負荷荷重トルクT1'は、以下の式(18)のように与えられる。
【0057】
【数15】
【0058】
そして減算器23では、モータトルク電流値Tgyrと推定負荷荷重トルク電流値T1'/Kmとの偏差がとられ、この偏差がモータ電流I[A]としてモータ24に与えられる。モータ24はこのモータ電流Iによって回転することによりモータトルクTmを発生し、加算器25では、このモータトルクTmと負荷荷重トルクT1とが加算されてベース26に伝えられる。
【0059】
このように、負荷荷重トルクT1を相殺するためのモータトルクTmをモータ24に加算することにより、停止時においては負荷変動に対してベース角度を一定に保つことができる。
【0060】
以上の制御機構により姿勢安定制御を行うことができるが、この状態で走行するには、さらに走行制御のための制御機構が必要となる。そこで、本実施の形態における同軸二輪車1は、実際には姿勢安定制御のためのモータトルクと走行制御のためのモータトルクとを独立して求める二重構造の制御機構を有している。
【0061】
このような二重構造の制御機構の物理モデルを図12に示す。なお、この図12においても、簡単のため、車輪3は1つであるものとして説明する。図12に示すように、ベース4にはジャイロセンサ13、加速度センサ14、圧力センサ15等の各種センサが内蔵されており、その下部にはモータステータ30、ロータリエンコーダ31、モータロータ32が存在し、モータロータ32の回転は減速器33及びジョイント34を介して車輪3に伝達される。
【0062】
姿勢制御/調整器40は、姿勢指令であるベース角度指令θref、ジャイロセンサ13及び加速度センサ14によって検出した現在のベース角度θ0、及び圧力センサ15のセンサ信号PS1,PS2,PS3,PS4から、上述したモータトルクTgyr及び推定負荷荷重トルクT1'を計算する。また、モータ制御器41は、走行指令であるモータロータ32の回転位置指令Prefとロータリエンコーダ31によって検出したモータロータ32の現在の回転位置θrとから、走行のためのモータトルクを計算する。
【0063】
そして、加算器42において、モータトルクTgyr及び推定負荷荷重トルクT1'と走行のためのモータトルクとが加算され、この加算値がモータロータ32に供給される。
【0064】
ここで、上述したベース角度指令θrefとは、搭乗者が安定に乗ることができるように、X軸方向の加速度Axに応じて設定されるベース角度の目標値である。具体的には、X軸加速度Axがゼロのときベース4が水平になるように、X軸加速度Axが正のときベース4を前方に傾けるように、X軸加速度Axが負のときベース4を後方に傾けるように、それぞれ設定される。例えばX軸加速度Axが正の場合、図13に示すように、慣性力と重力との合成ベクトルの方向にZMPが位置するようにベース4を傾けると、搭乗者は姿勢を安定に保つことができる。なお、このベース角度指令θrefは、X軸加速度Axに比例して変化する。
【0065】
制御機構のブロック図を図14に示す。減算器50では、姿勢指令であるベース角度指令θrefとジャイロセンサ13(及び加速度センサ14)によって検出した現在のベース角度θ0との偏差がとられ、この偏差が姿勢制御器51に供給される。姿勢制御器51は、このベース角度指令θrefと現在のベース角度θ0とからモータトルクTgyrを計算し、このモータトルクTgyrを加算器54に供給する。
【0066】
一方、減算器52では、走行指令であるモータロータ57の回転位置指令Prefとロータリエンコーダ58によって検出したモータロータ57の現在の回転位置θrとの偏差がとられ、この偏差がモータ制御器53に供給される。モータ制御器53は、この回転位置指令Prefと現在の回転位置θrとから、走行のためのモータトルクを計算し、このモータトルクを加算器54に供給する。
【0067】
また、ベース4に負荷荷重トルクT1が加えられると、圧力センサ15のセンサ信号PS1,PS2,PS3,PS4が調整器55に供給され、調整器55は、このセンサ信号に基づいて上述した推定負荷荷重トルクT1'を計算する。
【0068】
加算器54では、姿勢制御器51からのモータトルクTgyrとモータ制御器53からのモータトルクとが加算され、減算器56では、この加算値から推定負荷荷重トルクT1'が減算される。これが最終的なモータトルクTmとなり、モータロータ57に与えられる。加算器59では、このモータトルクTmの反作用力と負荷荷重トルクT1とが加算され、この加算値がモータステータ/ベース60に与えられる。
【0069】
モータロータ57は、モータトルクTmに応じて回転制御される。このモータロータ57の回転位置θrは、減速比N:1の減速器61によって1/Nに変換され車輪3に伝達される。すなわち、車輪3の回転位置θwは、モータロータ57の回転位置θrの1/Nである。ロータリエンコーダ58は、このモータロータ57の回転位置θrを検出し、検出信号を減算器52に供給する。
【0070】
一方、モータステータ/ベース60には、上述したように、モータトルクTmの反作用力と負荷荷重トルクT1との加算値が加わるが、それらが相互に打ち消されるため、モータステータ/ベース60の傾動は抑えられる。
【0071】
図15は、図14に示したブロック図における処理をラプラス演算子を用いて数学モデルとして表現したものである。上述の如く、姿勢制御器51には、ベース角度指令θrefと現在のベース角度θ0との偏差が与えられ、モータ制御器53には、モータロータ57の回転位置指令Prefと現在の回転位置θrとの偏差が与えられる。この姿勢制御器51及びモータ制御器53では、例えばPID(比例・積分・微分)演算を行うフィードバック制御により各モータトルクが計算される。すなわち、Kp0,Kp1が比例ゲインとなり、Ki0,Ki1が積分ゲインとなり、Kd0,Kd1が微分ゲインとなる。これらの制御ゲインによって、モータが姿勢指令θref及び走行指令Prefに対して応答する追従性が変化する。例えば、モータロータ57は、比例ゲインKp0,Kp1を小さくすると、ゆっくりとした追従遅れをもって動くようになり、比例ゲインKp0,Kp1を大きくすると、高速に追従するようになる。このように、制御ゲインを変化させることにより、姿勢指令θref、走行指令Prefと、実際の動きの誤差の大きさや応答時間とを調整することが可能となる。
【0072】
また、モータロータ57には、姿勢制御器51からのモータトルクとモータ制御器53からのモータトルクとの加算値から推定負荷荷重トルクT1'が減算されたモータトルクTmが与えられ、回転角度θrだけ回転する。ここで、Jrはモータロータ57のイナーシャ(inertia)であり、Drはモータロータ57の粘性抵抗(ダンパ係数)である。
【0073】
一方、モータステータ/ベース60には、上述の如くモータトルクTmの反作用力と負荷荷重トルクT1との加算値が加わるが、それらが相互に打ち消されるため傾動が抑えられる。ここで、Jはモータステータ/ベース60のイナーシャであり、Dはモータステータ/ベース60の粘性抵抗(ダンパ係数)である。
【0074】
この図15に示した数学モデルは、より詳細には例えば図16に示すようになる。図16に示すように、姿勢制御器70は、ベース角度指令θrefと現在のベース角度θ0との偏差に対してPID制御を行うことで姿勢制御のためのモータトルクTgyrを生成し、モータ制御器71は、モータ10の回転位置指令Prefと現在の回転位置θrとの偏差に対してPID制御を行うことで走行制御のためのモータトルクを生成する。また、調整器72は、圧力センサ15のセンサ信号から推定負荷荷重トルクT1'を生成する。加算器73ではこれらの各トルクが加算され、得られたモータトルクTmがモータ10に与えられる。モータ10は、このモータトルクTmにより回転駆動され、その回転が減速比16:1の減速器74によって1/16に変換され車輪3に伝達される。
【0075】
以上、図12乃至図16では、簡単のため車輪3が1つであるものとして説明したが、左右2つの車輪3R,3Lを有する実際の同軸二輪車1では、例えば図14における姿勢制御器51が左右の車輪3R,3Lで共通に用いられる一方で、モータ制御器53が左右独立に設けられる。
【0076】
この場合の制御機構のブロック図を図17に示す。ジャイロセンサ13からのセンサ値ωpは例えば通過帯域が0.1〜50Hzであるバンドパスフィルタ(BPF)80を介して角度算出器82に送られ、加速度センサ14からのセンサ値αpは例えば遮断周波数が0.1Hzのローパスフィルタ(LPF)81を介して角度算出器82に送られる。角度算出器82では、これらのセンサ値に基づいて現在のベース角度θ0が算出される。また、減算器83では、姿勢指令であるベース角度指令θrefと現在のベース角度θ0との偏差がとられ、この偏差が姿勢制御器84に供給される。姿勢制御器84は、このベース角度指令θrefと現在のベース角度θ0とから、上述したモータトルクTgyrを計算する。
【0077】
一方、減算器85Rでは、右車輪3R用の走行指令であるモータロータ92Rの回転位置指令Prefrとロータリエンコーダ93Rによって検出したモータロータ92Rの現在の回転位置θrとの偏差がとられ、この偏差が位置比例制御器86Rに供給される。位置比例制御器86Rは、この偏差に対して位置比例(P)制御を行い、比例制御結果を減算器87Rに供給する。また、微分器88Rは、ロータリエンコーダ93Rから供給されたモータロータ92Rの回転位置θrを微分し、微分結果を減算器87Rに供給する。そして減算器87Rでは、位置比例制御器86Rからの比例制御結果と微分器88Rからの微分結果との偏差がとられ、この偏差が速度比例制御器89Rに供給される。速度比例制御器89Rは、この偏差に対して速度比例(P)制御を行い、比例制御結果を加算器90Rに供給する。加算器90Rでは、この比例制御結果とモータトルクTgyrと調整器94において圧力センサ15のセンサ信号PS1,PS2,PS3,PS4から求めた推定負荷荷重トルクT1'とが加算され、加算値が電流制御アンプ91Rに供給される。電流制御アンプ91Rは、この加算値に基づいてモータ電流を生成し、モータロータ92Rを駆動する。このモータロータ92Rの回転位置は、減算器85Rと共に微分器88Rに供給される。左車輪3Lについても同様であるため、説明を省略する。
【0078】
このように、本実施の形態における同軸二輪車1では、左右の車輪3R,3Lで共通な姿勢安定制御用の制御機構と、左右独立な走行制御用の制御機構とを有し、それらが独立した制御を行うため、姿勢安定制御と走行制御とを安定して両立することができる。
【0079】
次に、本実施の形態における同軸二輪車1の速度制御について説明する。
上述したように、本実施の形態における同軸二輪車1では、ベース4の四隅に設けられた4つの圧力センサ151〜154のセンサ信号PS1,PS2,PS3,PS4からベース4上の負荷の重心座標(Xg、Yg)とその負荷重量Wgとを検出し、負荷荷重トルクT1を求めているが、さらに、この重心座標(Xg、Yg)を走行する方向、速度の制御指令として用いる。
【0080】
具体的には、負荷重量Wgが所定の値以上である場合、重心位置のX座標Xgに基づき、例えば図18に示すように速度指令Vxを変化させる。ここで図18において、X3からX1までの範囲は停止領域であり、この範囲内では指令走行速度をゼロとする。この停止領域は、車輪3の路面との接地面のX座標範囲とすることが好ましい。この場合、例えば負荷重量Wgが大きいときや車輪3のガス圧が低いときには車輪3の路面との接地面積が大きくなるため、停止領域の範囲も大きくなる。このように停止領域(不感帯)を設けることで、搭乗者の意図しない僅かな重心移動によって機体が前進・後退することを防止することができる。
【0081】
X座標がX1以上になると、前進最大速度SfMAX に達するまで、X座標の大きさに応じて指令速度が増加する。また、X座標がX2以上になると強制的に減速停止し、再び停止領域内で姿勢を安定させるまで停止する。このように、強制的に減速停止する領域を設けることで、最大速度で走行している際の搭乗者の安全性を確保することができる。同様に、X座標がX3以下になると、後退最大速度SbMAXに達するまで、X座標の大きさに応じて指令速度が増加する。なお、この後退最大速度SbMAXは、前進最大速度SfMAXよりも小さいことが好ましい。また、X座標がX4以下になると強制的に減速停止し、再び停止領域内で姿勢を安定させるまで停止する。
【0082】
X座標がX1からX2まで、或いはX3からX4までの間では、そのX座標Xgに応じて、例えば以下の式(19)により、モータ10Rの回転位置指令Prefrとモータ10Lの回転位置指令Preflとが生成される。ここで、式(19)において、G0は正の一定ゲインであり、例えば負荷重量Wgに応じて可変にすることができる。
【0083】
【数16】
【0084】
なお、時刻t=0での速度指令がVx0であり、時刻t=t1での速度指令がVx1である場合、加速度を連続的に変化させ、機構的な共振振動を生じさせないように走行することが好ましい。この場合、Vx1に到達するまでの時間をΔtとすると、時刻t(0≦t≦t1)での走行速度指令Vref(t)は、例えば以下の式(20)により算出することができる。
【0085】
【数17】
【0086】
このとき、モータ10の回転位置指令Pref(t)は、式(20)の走行速度指令Vref(t)を積分した値となり、以下の式(21)に示すような5次関数で与えられる。ここで、式(21)において、Pref0は時刻t=0での回転位置指令である。
【0087】
【数18】
【0088】
また、前進・後退させるのみでなく、負荷重量Wgが所定の値以上である場合、重心位置のY座標Ygに基づき、例えば図19に示すように旋回速度指令Vrを変化させることもできる。ここで図19において、−Y1からY1までの範囲は停止領域であり、この範囲内では指令旋回速度をゼロとする。なお、この停止領域は、原点O近傍で任意に設定することができる。このように停止領域(不感帯)を設けることで、搭乗者の意図しない僅かな重心移動によって機体が旋回することを防止することができる。Y座標がY1以上になると、右回り最大速度CWMAXに達するまで、Y座標の大きさに応じて指令旋回速度が増加する。同様に、Y座標が−Y1以下になると、左回り最大速度CCWMAXに達するまで、Y座標の大きさに応じて指令旋回速度が増加する。
【0089】
Y座標がY1以上又は−Y1以下では、そのY座標Ygに応じて、モータ10Rの回転位置指令Rrefrとモータ10Lの回転位置指令Rreflとが生成される。走行速度がゼロである場合、モータ10Rの回転位置指令Rrefrとモータ10Lの回転位置指令Rreflとは、例えば以下の式(22)に示すような逆位相指令となる。ここで、式(22)において、G1は正の一定ゲインであり、例えば負荷重量Wgに応じて可変にすることができる。
【0090】
【数19】
【0091】
一方、走行速度がゼロでない場合、モータ10Rの回転位置指令Rrefrとモータ10Lの回転位置指令Rreflとは、例えば以下の式(23),(24)に示すような同位相指令となる。ここで、式(23),(24)において、G2は正の一定ゲインであり、例えば負荷重量Wgに応じて可変にすることができる。
【0092】
【数20】
【0093】
ここで、不整地路面等の凹凸を有する路面や傾斜路面を走行する場合には、左右のモータ10R,10Lの回転位置指令で与えられる目標方向に走行することが困難になり、目標方向と実際の走行方向とにずれが生じる虞がある。また、左右の車輪3R,3Lのガス圧の違いにより車輪3の有効直径が異なる場合にも、同様に目標方向と実際の走行方向とにずれが生じる虞がある。そこで、本実施の形態における同軸二輪車1では、ヨー軸回りの角速度ωyawを検出するジャイロセンサ13により実際の走行方向を検出し、左右のモータ10R,10Lの回転速度を独立に制御することで、目標方向と実際の走行方向とのずれを解消する。
【0094】
一例として、右車輪3Rよりも左車輪3Lの方が有効直径が短く、図20に示すように、直進する際にヨー軸回りのジャイロセンサ信号としてωyaw1[rad/sec]が検出される場合について説明する。このような場合、回転速度指令Vrefr,Vreflの加算平均をVref0としたとき、以下の式(25),(26)に示すように、左右のモータ10R,10Lに与える回転速度指令Vrefr,Vreflを補正することにより、機体を直進させることができる。ここで、式(25),(26)において、K0は正の定数である。
【0095】
【数21】
【0096】
また、目標方向としてDref[rad/sec]が与えられている場合には、以下の式(27),(28)に示すように左右の車輪に回転速度指令Vrefr、Vreflを与える。
【0097】
【数22】
【0098】
このようにして得られた回転速度指令Vrefr,Vreflは、それぞれ以下の式(29),(30)により車輪の回転位置指令Prefr,Preflに変換される。ここで、式(29),(30)において、kはサンプリング回数を表す整数であり、Pref(k)はkサンプリングでの回転位置指令を示す。
【0099】
【数23】
【0100】
同様に、旋回する場合についても、左右の車輪3R,3Lのガス圧の違いや路面状況の違いなどから、旋回速度にずれが生じる虞がある。この場合にも、ヨー軸回りの角速度ωyawを検出するジャイロセンサ13により実際の旋回速度を検出し、左右のモータ10R,10Lの回転速度を独立に制御することで、目標となる旋回速度と実際の旋回速度とのずれを解消することができる。
【0101】
一例として、右車輪3Rよりも左車輪3Lの方が有効直径が短く、旋回する際にヨー軸回りのジャイロセンサ信号としてωyaw2[rad/sec]が検出されている場合について説明する。右車輪3Rの回転位置指令Rrefr及び左車輪3Lの回転位置指令Rreflを微分した信号をそれぞれVrefr,Vreflとすると、旋回速度の誤差ωerrは以下の式(31)で表される。
【0102】
【数24】
【0103】
この場合、以下の式(32),(33)に示すように、左右のモータ10R,10Lに与える回転位置指令Rrefr,Rreflを補正することにより、機体を目標通りに旋回させることができる。ここで、式(32),(33)において、G3は正の一定ゲインであり、例えば負荷重量Wgに応じて可変にすることができる。
【0104】
【数25】
【0105】
このように、本実施の形態における同軸二輪車1では、ヨー軸回りの角速度ωyawを検出するジャイロセンサ13により実際の走行方向、旋回速度を検出し、左右のモータ10R,10Lの回転速度を独立に制御することで、目標方向(旋回速度)と走行方向(旋回速度)とのずれを解消することができる。
【0106】
また、段差のある路面を走行する場合には、車輪3が段差を乗り越えるときや段差を降りるときに機体に衝撃力が作用し、搭乗者が転倒してしまう虞がある。そこで、本実施の形態における同軸二輪車1では、Z軸方向のリニア加速度Azを検出する加速度センサ14を利用し、Z軸方向の加速度変化があった場合には指令走行速度を小さくすることで、機体への衝撃力を緩和する。
【0107】
一例として、図21(A)に示すような段差のある路面を走行する場合について説明する。図21(B)に示すように走行速度Vx0で走行中、時刻t1に段差を乗り越えるとZ軸方向の加速度Azが発生する。この加速度Azの絶対値|Az|が閾値A0以上になると減速を始める。すなわち、サンプリング回数を表す整数をkとし、kサンプリングでの走行速度をVx(k)としたとき、走行速度Vx(k)の絶対値|Vx(k)|に基づいて設定された最小値に達するまで、例えば以下の式(34)に従って減速する。ここで、式(34)において、Ka0は正の定数である。
【0108】
【数26】
【0109】
また、減速後に加速度Azの絶対値|Az|が閾値A0を下回ると、走行速度Vx(k)の絶対値|Vx(k)|に基づいて設定された最大値に達するまで、例えば以下の式(35)に従って加速する。ここで、式(35)において、Ka1は正の定数である。
【0110】
【数27】
【0111】
このように、本実施の形態における同軸二輪車1では、Z軸方向のリニア加速度Azを検出する加速度センサ14を利用し、Z軸方向の加速度変化があった場合、例えば段差に乗り上げた場合に走行速度Vxを小さくすることで、機体への衝撃力を緩和することができる。なお、加速度センサ14の代わりにジャイロセンサ13を用いるようにしても構わない。
【0112】
以上により、同軸二輪車1は、姿勢安定制御を行いながら走行することができるが、以下に説明するような画像認識手段及び音声認識手段を備えることで、さらに高次の機能を実現することができる。
【0113】
例えば、通常、搭乗者は視覚により走行方向を定めるが、走行速度が速くなると搭乗者の視点は遠くに向けられるため、足下の路面の状況が見えなくなり、路面の凹凸や段差により転倒する問題が発生する虞がある。また、同軸二輪車1を自律走行させる場合においても、路面の凹凸や路面上の障害物が検出できないと、障害物に衝突する問題や、機体が不安定になり転倒する問題が発生する虞がある。
【0114】
そこで、本実施の形態における同軸二輪車1では、図22(A)に示すように、路面に近いベース4に2つのCCDカメラ17(17R及び17L)を搭載しており、このCCDカメラ17R,17Lを用いて、図22(B)に示すように、左右の画像の差分から3角測量法により近接した路面環境、例えば障害物OBや路面の凹凸の大きさ及び位置を検出することができる。これにより、走行できない路面環境を回避したり、路面の障害物を非接触で回避したりすることが可能になる。
【0115】
また、画像認識により指定された対象物、例えば人間のような動く対象物を特定し、追従して走行させることも可能である。
【0116】
また、本実施の形態における同軸二輪車1では、図23(A)に示すように、路面に近いベース4に2つのマイクロホン18(18R及び18L)を搭載しており、この2つのマイクロホン18R,18Lを用いて、図23(B)に示すように、音源SDの方向及び距離を推定することができる。これにより、例えば音源に反応したり、車輪3を回転させて音源方向に向くことが可能になる。また、機体が音源に接近している場合には、走行を停止することで音源への衝突を防止することができる。さらに、音声信号を用いた話者認識を応用し、例えば予め使用者の声を登録しておき、その声が認識された場合にLEDを点灯させたり音声を発したりするようにすることで、盗難された場合の機体認識や、多数の同機種の機体が並べられたときに、使用者の音声による機体の選別が可能になる。
【0117】
なお、マイクロホン18には、人間の声以外にも車輪3の回転時の騒音等も入力されるため、正確な音源推定や話者認識が困難になる虞がある。そこで、本実施の形態における同軸二輪車1では、走行時に音声認識或いは話者認識を行う場合、騒音が重畳した音声信号から予めメモリに記憶された騒音信号の周波数成分を除去し、騒音の除去された音声信号に基づいて音源推定等を行う。これにより、走行時においても正確な音源推定、話者認識等が可能となる。
【0118】
具体的には、図24に示すように、左右のマイクロホン18R,18Lにより検出された音声信号は、アナログ/デジタル変換器(ADC)100R,100Lにおいてデジタル信号に変換され、減算器101R,101Lに供給される。一方、騒音信号データベース102には、予め種々の走行速度における騒音信号が記憶されており、この騒音信号データベース102に現在の走行速度信号が入力されると、走行速度に応じた騒音信号が読み出され、減算器101R,101Lに供給される。減算器101R,101Lでは、アナログ/デジタル変換器100R,100Lから供給された音声信号からこの騒音信号の周波数成分が除去される。
【0119】
音声認識部103は、騒音信号の周波数成分が除去された音声信号を用いて音源の位置座標(Xs、Ys、Zs)を求めるほか、話者データベース104を用いてその音声を発した話者を特定し、音源位置座標(Xs、Ys、Zs)や話者特定信号を目標座標変換部105に供給する。目標座標変換部105は、例えばX−Y座標系における音源位置(Xs、Ys)を目標位置(Xref、Yref)とし、この走行位置指令(Xref、Yref)と走行速度指令Vrefとを出力する。
【0120】
このような同軸二輪車1のソフトウェア構成を図25を用いて説明する。図25に示すように、最下位層のハードウェア・レイヤ150から順に、カーネル・レイヤ151、オンボディ・レイヤ152、ネットワーク・レイヤ153、そして最上位層のアプリケーション・レイヤ154という階層構造で構成される。
【0121】
ハードウェア・レイヤ150は、回路の階層であり、例えばモータ制御回路、中央制御回路、センサ回路の制御回路等が含まれる。カーネル・レイヤ151は、モータサーボ演算や姿勢制御演算、走行制御演算、或いはリアルタイム走行目標値演算等の各種演算を行う階層である。このハードウェア・レイヤ150及びカーネル・レイヤ151において、基本的な姿勢安定制御と走行制御とが実現される。
【0122】
オンボディ・レイヤ152は、音声認識や画像認識、走行目標値演算、障害物回避軌道の生成等を行う階層であり、図22及び図23で上述した障害物回避や対象物への追従、音源への走行などは、この階層で実行される。また、その上位のネットワーク・レイヤ153は、ネットワーク通信インターフェースや、走行制御情報、画像・音声情報のネットワーク通信、機体の走行計画管理、搭乗者とのマンマシンインターフェース、或いは3次元画像認識データベース管理等を含む。そして、最上位のアプリケーション・レイヤ154は、ネットワーク通信による遠隔走行制御や、搭乗者と機体との対話等を行う階層である。
【0123】
これらの各階層は、それぞれ異なるサンプリングの制御周期で実行され、上位階層ほどその周期は長くなる。例えば最下位層のハードウェア・レイヤ150では、その制御周期が0.1msecと短い周期であるのに対して、カーネル・レイヤ151では1msec、オンボディ・レイヤ152では10msec、ネットワーク・レイヤ153では100msec、そして最上位層のアプリケーション・レイヤ154では1sec〜100msecと長い周期になっている。
【0124】
続いて、同軸二輪車1における回路の全体構成について説明する。図26に示すように、センサ回路200には、圧力センサ151〜154からのセンサ信号PS1,PS2,PS3,PS4が供給される。センサ回路200は、このセンサ信号のほか、ピッチ軸回り及びヨー軸回りの角速度を検出するジャイロセンサからのセンサ信号ωp,ωyawと、X,Y,Z軸方向のリニア加速度及びピッチ軸,ロール軸,ヨー軸回りの角加速度を検出する加速度センサ14からのセンサ信号Ax,Ay,Az,αp,αr,αyawとを合わせて、制御装置16に供給する。また、音声処理回路201には、マイクロホン18R,18Lからの音声信号が供給され、画像処理回路202には、CCDカメラ17R,17Lからの画像信号が供給される。音声処理回路201及び画像処理回路202は、この音声信号及び画像信号を制御装置16に供給する。
【0125】
制御装置16は、これらのセンサ信号や音声・画像信号に基づいて、上述したようにモータトルクTgyrや、走行指令であるモータロータの回転位置指令Prefを生成し、これらを左右のモータドライバ203R,203Lに供給する。モータドライバ203R,203Lは、このモータトルクTgyr、モータロータの回転位置指令Pref等に基づいて、例えば200Wのモータ10R,10Lを駆動するための最適なモータ電流を算出し、モータ10R,10Lに供給する。このモータ10R,10Lの回転位置は、ロータエンコーダ11R,11Lによって求められ、モータドライバ203R,203Lにフィードバックされる。
【0126】
サーボオン/パワースイッチ204は、制御装置16及び電源スイッチ205と接続されており、電源スイッチ205からの信号は電源管理回路206に供給される。この電源管理回路206は、バッテリ207と接続されており、制御装置16、音声処理回路201及び画像処理回路202に24Vの制御用電源を供給するほか、モータドライバ203R,203Lにモータ電源を供給する。電源管理回路206には、モータドライバ203R,203Lを介してモータ10R,10Lの回生電力が供給され、電源管理回路206は、この回生電力を用いてバッテリ207を充電する。
【0127】
図26に示した全体構成の詳しい内部構成を図27を用いて説明する。図27に示すように、センサ回路200には、圧力センサ15からのセンサ信号PS1,PS2,PS3,PS4、ジャイロセンサ13からのセンサ信号ωp,ωyaw、加速度センサ14からのセンサ信号Ax,Ay,Az,αp,αr,αyawが供給される。センサ回路200は、圧力センサ15からのセンサ信号PS1,PS2,PS3,PS4を例えば10mv/Nの圧力ゲインでゲイン調整し、さらに図示しないアナログ−デジタル変換器を介してデジタル信号に変換した後、制御装置16の重心演算部210に供給する。また、センサ回路200は、ジャイロセンサ13からのセンサ信号ωp,ωyawを例えば1.6V/radsec−1の姿勢ゲインでゲイン調整すると共に、加速度センサ14からのセンサ信号Ax,Ay,Az,αp,αr,αyawを例えば1.6V/radsec−2の姿勢ゲインでゲイン調整し、さらに図示しないアナログ−デジタル変換器を介してデジタル信号に変換した後、信号前処理部211に供給する。この信号前処理部211は、入力された信号に対してデジタルフィルタを施したり、オフセット調整や姿勢位置すなわちベース角度θ0の算出をしたりする前処理を行う。
【0128】
重心演算部210は、圧力センサ15からのセンサ信号PS1,PS2,PS3,PS4に基づいて前述したようにベース4上の負荷の重心位置座標(Xg、Yg)とその負荷重量Wgとを計算し、この重心位置座標(Xg、Yg)及び負荷重量Wgの情報を走行指令算出器212に供給すると共に、重心位置のY座標Yg及び負荷重量Wgの情報を旋回指令発生器215に供給する。走行指令算出器212は、例えば図18に示したような重心位置X座標−走行速度特性に基づき速度指令Vxを生成し、回転速度指令発生器213は、この速度指令Vxに基づいて前述した5次関数演算を行うことにより、回転速度指令Vref(t)を生成する。回転速度指令発生器213は、回転位置指令Pref(t)を回転位置指令発生器214、旋回指令発生器215、及び姿勢指令発生器216に供給する。
【0129】
旋回指令発生器215は、重心演算部210から供給された重心位置のY座標Yg及び負荷重量Wg、信号前処理部211から供給されたヨー軸回りの回転角速度ωyaw、及び回転速度指令発生器213から供給された回転速度指令Vref(t)に基づいて旋回する際の位相指令、例えばYg*G1を生成し、この位相指令を回転位置指令発生器214に供給する。回転位置指令発生器214は、回転速度指令発生器213から供給された回転速度指令Vref(t)を積分して回転位置指令Pref(t)を生成し、左右のモータドライバに回転位置指令Prefr(t),Prefl(t)を供給する。この際、回転位置指令発生器214は、旋回指令発生器215からの位相指令を考慮して回転位置指令Prefr(t),Prefl(t)を生成する。
【0130】
ここで、音声処理回路201は、マイクロホン18からの音声信号を制御装置16の音声認識部219に供給する。音声認識部219は、この音声信号に基づいて例えば音源位置座標や話者を推定する処理を行い、その音源位置を走行目標とする走行位置指令を生成する。また、画像処理回路202は、CCDカメラ17からの画像信号を制御装置16の障害物回避部220に供給する。障害物回避部220は、この画像信号に基づいて路面の障害物を検出し、その障害物を回避するための走行位置指令を生成する。上述の回転位置指令発生器214は、この音声認識部219や障害物回避部220からの走行位置指令に基づいて回転位置指令Prefr(t),Prefl(t)を生成することもできる。
【0131】
姿勢指令発生器216は、回転速度指令発生器213から供給された回転速度指令Vref(t)に基づき、図13を用いて説明したように姿勢指令であるベース角度指令θrefを計算し、このベース角度指令θrefを減算器217に供給する。減算器217では、このベース角度指令θrefから信号前処理部211で求められた現在のベース角度θ0が減算され、偏差が姿勢制御器218に供給される。姿勢制御器218は、この偏差を元にしてPID制御を行い、モータトルクTgyrを求める。なお、PID制御を行う際には、ベース4上の負荷重量Wgに応じてPIゲインを変更するようにしてもよい。具体的には、負荷重量Wgが大きくなると比例ゲインを大きくし、積分ゲインを小さくすることが好ましい。姿勢制御部218は、このモータトルクTgyrを左右のモータドライバ203R,203Lに供給する。
【0132】
右車輪3R用のモータドライバ203Rにおいて、減算器230Rでは、モータ10R用の走行指令である回転位置指令Prefrとロータリエンコーダ11Rによって検出したモータ10Rの現在の回転位置θrとの偏差がとられ、この偏差が位置比例制御器231Rに供給される。位置比例制御器231Rは、この偏差に対して位置比例(P)制御を行い、比例制御結果を減算器232Rに供給する。また、微分器233Rは、ロータリエンコーダ11Rから供給されたモータ10Rの回転位置θrを微分し、微分結果を減算器232Rに供給する。そして減算器232Rでは、位置比例制御器231Rからの比例制御結果と微分器233Rからの微分結果との偏差がとられ、この偏差が速度比例・積分制御器234Rに供給される。速度比例・積分制御器234Rは、この偏差に対して速度比例・積分(PI)制御を行い、比例・積分制御結果を加算器235Rに供給する。加算器235Rでは、この比例・積分制御結果とモータトルクTgyrとが加算され、加算値が電流制御アンプ236Rに供給される。電流制御アンプ236Rは、この加算値に基づいてモータ電流を生成し、例えば200Wのモータ10Rを駆動する。このモータ10Rの回転位置は、減算器230Rと共に微分器233Rに供給される。左車輪3Lについても同様であるため、説明を省略する。
【0133】
電源管理回路206は、例えば24Vのバッテリ207と接続されており、制御装置16に24V,1Aの制御用電源を供給するほか、モータドライバ203R,203Lにそれぞれ24V,30Aのモータ電源を供給する。電源管理回路206には、モータドライバ203R,203Lを介してモータ10R,10Lの回生電力が供給され、電源管理回路206は、この回生電力を用いてバッテリ207を充電する。
【0134】
以上説明したように、本実施の形態における同軸二輪車1では、ジャイロセンサ13及び加速度センサ14を用いてベース4の角度制御を行うモータトルクTgyrと、圧力センサ15を用いて負荷荷重トルクを相殺するモータトルクT1'とを生成する、左右の車輪3R,3Lで共通な姿勢制御器と、圧力センサ15を用いて走行制御を行うモータトルクを生成する、左右独立なモータ制御器とを設け、それらが独立した制御を行うため、姿勢安定制御と走行制御とを安定して両立することができる。
【0135】
また、本実施の形態における同軸二輪車1では、ベース4上の負荷の重心座標に応じて走行制御を行うが、車輪3の路面との接地面のX座標範囲、Y座標範囲に停止領域(不感帯)を設けているため、搭乗者の意図しない僅かな重心移動によって機体が前進・後退・旋回することを防止することができる。
【0136】
さらに、本実施の形態における同軸二輪車1では、ヨー軸回りの角速度ωyawを検出するジャイロセンサ13により実際の走行方向、旋回速度を検出し、左右のモータ10R,10Lの回転速度を独立に制御することで、目標方向(旋回速度)と走行方向(旋回速度)とのずれを解消することができる。
【0137】
さらにまた、本実施の形態における同軸二輪車1では、Z軸方向のリニア加速度Azを検出する加速度センサ14を利用し、Z軸方向の加速度変化があった場合、例えば段差に乗り上げた場合に走行速度Vxを小さくすることで、機体への衝撃力を緩和することができる。
【0138】
なお、本発明は上述した実施の形態のみに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能であることは勿論である。
【0139】
例えば、上述の実施の形態では、ベース4上の重心位置のY座標Ygに基づき旋回速度指令Vrを変化させるものとして説明したが、これに限定されるものではなく、ハンドル5に操舵性を持たせるようにしても構わない。この場合、ベース4にポテンショメータを内蔵し、この回転角度PMを重心位置のY座標Ygの代わりに用いることができる。この場合にも、前述と同様に停止領域(不感帯)を設けておくことが好ましい。
【0140】
【発明の効果】
以上詳細に説明したように本発明に係る同軸二輪車は、一対の車輪と、該一対の車輪間に架設された車輪軸と、該車輪軸上に傾動可能に支持されたベースと、該ベースに装着され、上記一対の車輪の各々を駆動するための一対の駆動用モータと、上記一対の駆動用モータに作動指令を送る制御装置とを備える同軸二輪車において、上記ベースには、該ベース上の負荷の位置及び重量を検出する負荷検出手段と、該ベースの上記車輪軸回りの角度を検出する角度検出手段とが設けられ、上記制御装置は、上記負荷によるトルクを相殺するための第1のトルクを生成すると共に上記ベースの上記車輪軸回りの角度に対応して該ベースを所定の角度に維持するための第2のトルクを生成する第1の制御機構と、上記負荷の位置に応じて走行させるための第3のトルクを生成する、上記第1の制御機構とは独立した第2の制御機構とからなり、上記第1乃至第3のトルク相当の作動を上記一対の駆動用モータの各々に指令するものである。
【0141】
このような同軸二輪車によれば、例えば複数の圧力センサからなる負荷検出手段によって検出されたベース上の負荷によるトルクを相殺するための第1のトルクと、例えばジャイロセンサ及び加速度センサからなる角度検出手段によって検出されたベースの車輪軸回りの角度に対応して該ベースを所定の角度に維持するための第2のトルクと、上記負荷の位置に応じて走行させるための第3のトルクとを生成し、この第1乃至第3のトルク相当の作動を一対の駆動用モータの各々に指令し、一対の車輪を駆動させるため、負荷重量変化に対して安定であり、且つ、姿勢制御と走行制御とを安定して両立することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施の形態における同軸二輪車を示す外観斜視図である。
【図2】同軸二輪車のベースを説明するための側断面図である。
【図3】同軸二輪車のべースに設けられた圧力センサを示す図であり、同図(A)は平面図を示し、同図(B)は側面図を示す。
【図4】同軸二輪車の重量中心と車輪軸との位置関係を示す図である。
【図5】負荷荷重トルクとモータトルクとのつり合いを説明する図である。
【図6】人間が搭乗した場合の姿勢制御を説明する図である。
【図7】ベース上で姿勢を保つための力学モデルを説明する図である。
【図8】ベース上で姿勢を保つための力学モデルを説明する図である。
【図9】ベース上で姿勢を保つための力学モデルを説明する図である。
【図10】同軸二輪車における力学モデルを説明する図である。
【図11】姿勢安定制御のための制御機構を示す図である。
【図12】車輪が1つである場合における姿勢安定制御及び走行制御のための制御機構を示す図である。
【図13】同軸二輪車における姿勢指令を説明する図である。
【図14】車輪が1つである場合における姿勢安定制御及び走行制御のための制御機構を示すブロック図である。
【図15】図14に示すブロック図を数学モデルとして示す図である。
【図16】図15に示す数学モデルの詳細な具体例を示す図である。
【図17】車輪が2つである場合における姿勢安定制御及び走行制御のための制御機構を示すブロック図である。
【図18】前進・後退する場合の走行速度制御を説明する図である。
【図19】旋回する場合の走行速度制御を説明する図である。
【図20】直進する際にヨー軸回りのジャイロセンサ信号が検出される場合の制御方法を説明する図である。
【図21】Z軸方向の加速度信号が検出される場合の速度制御方法を説明する図であり、同図(A)は機体が段差を乗り越える様子を示す図であり、同図(B)は走行速度及びZ軸加速度の変化を示す図である。
【図22】同軸二輪車における画像認識処理を説明する図であり、同図(A)はベースに設けられるCCDカメラを示す図であり、同図(B)はこのCCDカメラによる障害物検出の様子を示す図である。
【図23】同軸二輪車における音声認識処理を説明する図であり、同図(A)はベースに設けられるマイクロホンを示す図であり、同図(B)はこのマイクロホンによる音源検出の様子を示す図である。
【図24】走行中の音源検出等を実現する制御機構を示すブロック図である。
【図25】同軸二輪車のソフトウェア構成を説明する図である。
【図26】同軸二輪車1における各回路の全体構成を説明する図である。
【図27】図26に示す全体構成の詳しい内部構成を説明する図である。
【符号の説明】
1 同軸二輪車、2 車輪軸、3 車輪、4 ベース、5 ハンドル、10 モータ、11 ロータリエンコーダ、12 減速器、13 ジャイロセンサ、14 加速度センサ、15 圧力センサ、16 制御装置、17 CCDカメラ、18 マイクロホン、21 姿勢制御器、22 調整器、30 モータステータ、31 ロータリエンコーダ、32 モータロータ、34 ジョイント、40 姿勢制御/調整器、41 モータ制御器、60 モータステータ/ベース、100R,100L アナログ/デジタル変換器、102 騒音信号データベース、103 音声認識部、104 話者データベース、105 目標座標変換部、150 ハードウェア・レイヤ、151 カーネル・レイヤ、152 オンボディ・レイヤ、153 ネットワーク・レイヤ、154 アプリケーション・レイヤ、200 センサ回路、201 音声処理回路、202 画像処理回路、203R,203L モータドライバ、204 サーボオン/パワースイッチ、205電源スイッチ、206 電源管理回路、207 バッテリ、210 重心演算部、211 信号前処理部、212 速度指令算出器、213 回転速度指令発生器、214 回転位置指令発生器、215 旋回指令発生器、216 姿勢指令発生器、218 姿勢制御器、219 音声認識部、220 障害物回避部
Claims (6)
- 一対の車輪と、該一対の車輪間に架設された車輪軸と、該車輪軸上に傾動可能に支持されたベースと、該ベースに装着され、上記一対の車輪の各々を駆動するための一対の駆動用モータと、上記一対の駆動用モータに作動指令を送る制御装置とを備える同軸二輪車において、
上記ベースには、該ベース上の負荷の位置及び重量を検出する負荷検出手段と、該ベースの上記車輪軸回りの角度を検出する角度検出手段とが設けられ、
上記制御装置は、上記負荷によるトルクを相殺するための第1のトルクを生成すると共に上記ベースの上記車輪軸回りの角度に対応して該ベースを所定の角度に維持するための第2のトルクを生成する第1の制御機構と、上記負荷の位置に応じて走行させるための第3のトルクを生成する、上記第1の制御機構とは独立した第2の制御機構とからなり、上記第1乃至第3のトルク相当の作動を上記一対の駆動用モータの各々に指令する
ことを特徴とする同軸二輪車。 - 上記負荷検出手段は、複数の圧力センサであることを特徴とする請求項1記載の同軸二輪車。
- 上記ベースは、支持台と可動台とから構成されており、
上記複数の圧力センサは、少なくとも上記支持台の四隅に設けられ、その上に上記可動台が載置されていることを特徴とする請求項2記載の同軸二輪車。 - 上記角度検出手段は、ジャイロセンサ及び加速度センサであることを特徴とする請求項1記載の同軸二輪車。
- 上記ベースには、垂直軸回りの角度を検出する旋回検出手段が設けられ、
上記制御装置は、上記負荷の位置及び上記垂直軸回りの角度に応じて上記第3のトルクを生成する
ことを特徴とする請求項1記載の同軸二輪車。 - 上記ベースの重量中心が上記車輪軸よりも下方に位置することを特徴とする請求項1記載の同軸二輪車。
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