JP4955165B2 - クレーン車のブームヘッド部構造 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、クレーン車のブームヘッド部構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
図5にクレーン車で通常行われるブームヘッドの両側板間に配置された複数のシーブと垂下された吊荷用フックの複数のシーブの間での吊荷用ワイヤの掛け回し方法を模式的に図示する。伸縮および起伏自在なブームの基端部近傍に配置した図示しないウインチ装置から繰出した吊荷用ワイヤ1を、ブームヘッドの両側板間に配置された複数のシーブ2のうちの1枚のシーブ2aに掛け回したのち、ブームヘッド下方に位置する吊荷用フックの複数のシーブ3のうちの1枚のシーブ3aに掛け回す。次に吊荷用ワイヤ1は前記ブームヘッド部シーブ2aに隣合うシーブ2bに掛け回される。さらに、同様に吊荷用フックのシーブ3b、ブームヘッド部のシーブ2c、吊荷用フックのシーブ3cに掛け回される。最後に、吊荷用ワイヤ1はその端部に索端4を固着し、ブームヘッドに設けられた索端取付用サポート5に係止される。
【0003】
以上の吊荷用ワイヤ1の掛け回しでは、ブームヘッド部シーブ2a、2b、2cと吊荷用フックのシーブ3a、3b、3cの間では吊荷用ワイヤ1が3回往復して掛け回されており、いわゆる6本掛けのワイヤ掛け回しとなっている。このような偶数での複数本掛けの場合は、必ず前記索端4はブームヘッド部に設けられた索端取付サポート5に係止されることとなる。また、索端取付サポート5は、必ずブームヘッド部シーブのうちのウインチから繰出され最初に掛け回したシーブ2aの反対側に位置するシーブ2c側のブームヘッド側板に設けられるようになる。
【0004】
図5に示したように、ブームヘッド部シーブ軸6と吊荷用フックのシーブ軸7は平行な状態で、前記吊荷用ワイヤ1が掛け回される。吊荷作業中においても、この平行状態は原則的に維持するようにされる。以上のワイヤ掛け回し方法をここでは通常吊りと呼ぶことにする。
【0005】
一方、図6に示した4本掛けの特殊なワイヤ掛け回し方法が使用される場合がある。これは、ブームヘッド部シーブ軸6と吊荷用フックのシーブ軸7が90度交差した状態となっている。そこで、これを90度交差吊りと呼ぶことにする。
【0006】
ウインチ装置から繰出した吊荷用ワイヤ1を、ブームヘッドの両側板間に配置された複数のシーブ2のうちの1枚のシーブ2aに掛け回したのち、ブームヘッド下方に位置する吊荷用フックの複数のシーブ3のうちの1枚のシーブ3aに掛け回す。この際、上述した通常吊りでは、吊荷用ワイヤ1が上方のブームヘッド部シーブ2aで曲げられたのと同一平面内で曲げられるのに対し、この90度交差吊りでは、90度交差した平面内で曲げられることとなる。次に吊荷用ワイヤ1はブームヘッド部シーブ2cに前記通常吊りとは逆方向から掛け回される。この際にも前記吊荷用フックのシーブ3aで曲げられた平面とは90度交差した平面内で曲げられることとなる。以下、同様に吊荷用フックのシーブ3cに掛け回された後、吊荷用ワイヤ1はその端部に索端4を固着し、ブームヘッドに設けられた索端取付用サポート5に係止される。
【0007】
上述した90度交差吊りは、吊荷用ワイヤ1の絡み付き防止に効果があると言われている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、上述した90度交差吊りにすると、索端取付サポート5は、必ずウインチから繰出され最初に掛け回したシーブ2a側のブームヘッド側板に設けなければならない。すなわち、前記通常吊りの場合とは必ず反対側のブームヘッド側板に索端4を取付ける必要があるのである。
【0009】
クレーン車は一般に通常吊りを行うことを予定して製作されており、索端取付サポート5はブームヘッドに1個しか取付けられておらず、上述した90度交差吊りを行おうとすると、そのための索端取付サポートをさらに追加して取付けなければならなかった。係る索端取付サポートの追加工事は作業現場等で行うこととなる場合も多く、そのための作業は非常に煩わしいものであった。
【0010】
そこで、本発明は、上述した通常吊りおよび90度交差吊りが自由に選択して行うことができるクレーン車のブームヘッド部構造を提供しようとするものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本願の請求項1に記載された発明は、伸縮および起伏自在なブームの基端部近傍に配置したウインチ装置から繰出した吊荷用ワイヤをブーム先端から垂下し、ブームヘッドの両側板間に配置された複数のシーブと吊荷用フックの複数のシーブの間で掛け回したのち、前記吊荷用ワイヤ端部に固着した索端を前記ブームヘッド部に係止するようにしたクレーン車のブームヘッド部構造であって、吊荷用フックの通常吊り又は90度交差吊りのいずれを選択した場合にも索端を前記両側板のうち何れか一方の側板に係止できるように、前記ブームヘッドの一方の側板に第1の索端取付用サポートを設け、前記ブームヘッドの他方の側板に第2の索端取付用サポートを設けたことを特徴とするクレーン車のブームヘッド部構造を備えている。
【0012】
この構成により、通常吊りから90度交差吊りへあるいは90度交差吊りから通常吊りへの吊荷用ワイヤの掛け回しを変更する場合にも、それぞれブームヘッド部シーブと吊荷用フックのシーブの間の吊荷用ワイヤの掛け回しを変更した後、上記第1の索端取付サポートあるいは第2の索端取付サポートに吊荷用ワイヤの先端に固着した索端を取付けるだけでよいのである。
【0013】
さらに、本願の請求項2に記載された発明は、前記第1の索端取付用サポート近傍のブームヘッド側板に過巻検出スイッチの第1の取付サポートを設け、前記第2の索端取付用サポート近傍のブームヘッド側板に過巻検出スイッチの第2の取付サポートを設けたことを特徴としている。
【0014】
この構成により、上記通常吊りから90度交差吊りへあるいは90度交差吊りから通常吊りへの吊荷用ワイヤの掛け回しを変更する場合に、索端が取付けられた側のブームヘッド側板に設けられた取付サポートに過巻検出スイッチを取付けるだけで、過巻検出をすることができるのである。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、図1から図4に基づき、本願発明の実施の形態をその吊荷用ワイヤ掛け回し方法に分けて説明する。
(通常吊り)
図1は通常吊りの状態を示すものであって、ブーム10のブームヘッド11から吊荷用フック14を吊下げた姿勢を側面から見たものである。また、図2は図1のA矢視図であって、前記ブームヘッド11をブーム10の前方から見たものである。
【0016】
ブーム10の基端部近傍に配置された図示しないウインチ装置から繰り出された吊荷用ワイヤ1はまずブームヘッド11の上部に配置されたガイドシーブ12に掛け回された後、ブームヘッド11の下部に配置された下側のシーブ13aに掛け回される。図2で判るようにガイドシーブ12はブーム10の前方に向かって左側に偏った位置に配置されている。これは、次に掛けまわすブームヘッド部シーブ13aとの関係でフリートアングルが所定の角度以下となるようにするためである。この下側のシーブ13aが従来の技術で説明したブームヘッド部シーブ2aに相当する。
【0017】
さらに、吊荷用フック14のシーブ15aに掛け回された吊荷用ワイヤ1は従来の技術において図5で説明したのと同様に、以降はブームヘッド11側のシーブ13b、13c、13d、13eと吊荷用フック14側のシーブ15b、15c、15d、15eにそれぞれ順番に掛け回される。
【0018】
吊荷用ワイヤ1の端部はロープソケット(索端4と同じもの)16内部に図示しないウエッジを巻込んで折り返されワイヤクリップ17で締め付けることによりロープソケット16と固着される。ロープソケット16はブームヘッド11の一方の側板11aに設けられた第1の索端取付サポート18にピン19により取付けられる。
【0019】
本実施の形態では前記ブームヘッド側シーブ13と吊荷用フックのシーブ15間で吊荷用ワイヤ1が5回往復しており、いわゆる10本掛けの掛け回しとなっている。また、上述した第1の索端取付サポート18は、ブーム10の前方に向かってブームヘッド11の右側となる一方の側板11aに取付けられている。
【0020】
20は過巻検出スイッチであって、前記第1の索端取付サポート18の近傍のブームヘッド側板11aに設けられた取付けサポート21に取付けられている。23は過巻検出ウエイトであって、前記ロープソケット16から下方に向かう部分の吊荷用ワイヤ1がその内部を通るようになっている。過巻検出ウエイト23と吊荷用ワイヤ1が擦れ合って摩耗するのは好ましくないので、一般に過巻検出ウエイト23はロープソケット16に一番近い部分に取付けられる。22は前記過巻検出スイッチ20と過巻検出ウエイト23を連絡する過巻ワイヤである。前記吊荷用フック14が巻上げられ、過巻検出スイッチ23を押し上げると過巻検出スイッチ20を作動させるようになっている。
(90度交差吊り)
図3は90度交差吊りの状態を示しているものであって、ブーム10のブームヘッド11から吊荷用フック14を吊下げた姿勢を図1とは反対の側面から見たものである。また、図4は図3のB矢視図であって、前記ブームヘッド11をブーム10の前方から見たものである。
【0021】
ブーム10基端部近傍に配置された図示しないウインチ装置から繰り出された吊荷用ワイヤ1はブームヘッド11の上部に配置されたガイドシーブ12に掛け回された後、ブームヘッド11の下部に配置された下側のシーブ13aに掛け回される。
【0022】
さらに、吊荷用フック14のシーブ15aに掛け回された吊荷用ワイヤ1は従来の技術において図6で説明したのと同様に、ブームヘッド部シーブ13eに掛け回され、吊荷用フック14のシーブ15eにそれぞれ順番に掛け回される。吊荷用ワイヤ1の端部はロープソケット16(索端4)と固着され、ロープソケット16はブームヘッド11の他方の側板11bに設けられた第2の索端取付サポート24にピン19により取付けられる。以上の吊荷用ワイヤ1の掛け回しでは、ブームヘッド部シーブ13と吊荷用フックのシーブ15との間で吊荷用ワイヤ1は2回往復するようになっており、いわゆる4本掛けとなっている。
【0023】
また、過巻検出スイッチ20は、前記第2の索端取付サポート24の近傍のブームヘッド側板11bに取付けられた取付けサポート25に取付けられている。過巻検出ウエイト23は、前記ロープソケット16から下方に向かう部分の吊荷用ワイヤ1がその内部を通るように取付けられ、前記過巻検出スイッチ20と過巻検出ウエイト23は過巻ワイヤ22で連絡されている。
【0024】
以上のような、通常吊りおよび90度交差吊りのブームヘッド部構造となっているので、通常吊りから90度交差吊りへあるいは90度交差吊りから通常吊りへの吊荷用ワイヤの掛け回しを変更する場合には、それぞれブームヘッド部シーブ13と吊荷用フックのシーブ15の間の吊荷用ワイヤ1の掛け回しを変更した後、上記第1の索端取付サポート18あるいは第2の索端取付サポート24に吊荷用ワイヤ1の先端に固着したロープソケット16(索端)を取付けるだけでよいのである。
【0025】
図7は、過巻検出スイッチ20の電気回路図である。ブームヘッドの一方の側板11aと他方の側板11bにはそれぞれメス型コネクタ26、26が配置されており、過巻検出スイッチ20と組み合わされたオス型コネクタ27または短絡ケーブル28と組み合わされたオス型コネクタ27が接続されるようになっている。上記メス型コネクタ26同士は1本のケーブル30で連絡されており、ブームヘッドの一方の側板11aのメス型コネクタ26は安全装置本体へとケーブル29で連絡されている。そして、ブームヘッドの他方の側板11bのメス型コネクタ26はケーブル31によりブームヘッド部に電気的にアースされている。
【0026】
このような電気回路としているので、過巻検出スイッチ20を取付けた側のメス型コネクタ26に過巻検出スイッチ20のオス型コネクタ27を接続し、もう一つのメス型コネクタ26に短絡ケーブル28のオス型コネクタ27を接続すれば過巻検出が可能となるのである。
【0027】
以上の上記ブームヘッド部構造により、通常吊りから90度交差吊りへあるいは90度交差吊りから通常吊りへの吊荷用ワイヤ1の掛け回しを変更する場合に、ロープソケット16(索端)が取付られた側のブームヘッド側板に設けられた取付サポート21または25に過巻検出スイッチ20を取付け、過巻検出ウエイト23をロープソケット16から下方に向かう部分の吊荷用ワイヤ1がその内部に通るようにするとともに、過巻検出スイッチ20と短絡ケーブル28をそれぞれつなぎ変えると過巻検出が可能となるのである。
【0028】
【発明の効果】
本願の請求項1に記載された発明では、前記ブームヘッドの一方の側板に第1の索端取付用サポートを設け、前記ブームヘッドの他方の側板に第2の索端取付用サポートを設けたブームヘッド部構造としているので、通常吊りから90度交差吊りへあるいは90度交差吊りから通常吊りへの吊荷用ワイヤの掛け回しを変更する場合には、それぞれブームヘッド部シーブと吊荷用フックのシーブの間の吊荷用ワイヤの掛け回しを変更した後、上記第1の索端取付サポートあるいは第2の索端取付サポートに吊荷用ワイヤの先端に固着した索端を取付けるだけでよいのである。
【0029】
したがって、上記吊荷用ワイヤの掛け回し変更を迅速に行うことができ、作業効率を向上させることができるのである。
【0030】
また、本願の請求項2に記載された発明では、前記第1の索端取付用サポート近傍のブームヘッド側板に過巻検出スイッチの第1の取付サポートを設け、前記第2の索端取付用サポート近傍のブームヘッド側板に過巻検出スイッチの第2の取付サポートを設けたブームヘッド部構造としているので、通常吊りから90度交差吊りへあるいは90度交差吊りから通常吊りへの吊荷用ワイヤの掛け回しを変更する場合に、索端が取付けられた側のブームヘッド側板に設けられた取付サポートに過巻検出スイッチを取付けるだけで、過巻検出を行うことができるのである。
【図面の簡単な説明】
【図1】通常吊りの実施の形態を示す図である。
【図2】図1のA矢視図である。
【図3】90度交差吊りの実施の形態を示す図である。
【図4】図3のB矢視図である。
【図5】通常吊りの模式図である。
【図6】90度交差吊りの模式図である。
【図7】過巻検出スイッチの電気回路図である。
【符号の説明】
1は吊荷用ワイヤ、2はブームヘッド部シーブ、3は吊荷用フックのシーブ、4は索端、5は索端取付サポート、6はブームヘッド部シーブ軸、7は吊荷用フックのシーブ軸、10はブーム、11はブームヘッド、12はガイドシーブ、13はブームヘッド部シーブ、14は吊荷用フック、15は吊荷用フックのシーブ、16はロープソケット、17はワイヤ用クリップ、18は第1の索端取付けサポート、19はピン、20は過巻検出スイッチ、21は第1の取付けサポート、22は過巻ワイヤ、23は過巻検出ウエイト、24は第2の索端取付けサポート、25は第2の取付けサポート、26はメス型コネクタ、27はオス型コネクタ、28は短絡ケーブル、29と30と31はケーブル

Claims (2)

  1. 伸縮および起伏自在なブームの基端部近傍に配置したウインチ装置から繰出した吊荷用ワイヤをブーム先端から垂下し、ブームヘッドの両側板間に配置された複数のシーブと吊荷用フックの複数のシーブの間で掛け回したのち、前記吊荷用ワイヤ端部に固着した索端を前記ブームヘッド部に係止するようにしたクレーン車のブームヘッド部構造であって、
    吊荷用フックの通常吊り又は90度交差吊りのいずれを選択した場合にも索端を前記両側板のうち何れか一方の側板に係止できるように、前記ブームヘッドの一方の側板に第1の索端取付用サポートを設け、前記ブームヘッドの他方の側板に第2の索端取付用サポートを設けたことを特徴とするクレーン車のブームヘッド部構造。
  2. 前記第1の索端取付用サポート近傍のブームヘッド側板に過巻検出スイッチの第1の取付サポートを設け、前記第2の索端取付用サポート近傍のブームヘッド側板に過巻検出スイッチの第2の取付サポートを設けたことを特徴とする請求項1記載のクレーン車のブームヘッド部構造。
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