JP3616740B2 - ブレードロープ - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ウィンチやクレーン等に使用され重量物を吊り上げるために用いられるブレードロープ(繊維ロープをいい、スリングとも称される)に関し、さらに詳細にはブレードロープの端部に形成された環状部ないしシンブル締結部の緩み(抜け)を検出するブレードロープの劣化検出手段に関する。
【0002】
【従来の技術】
高強度ナイロン繊維やポリプロピレン繊維等の素線を複数束ねて内層線を形成し、その外周をテトロン等の布状のシースで被覆して構成したブレードロープは、金属線を用いたワイヤーロープと比べて、軽量性、耐候性、衝撃緩衝性、柔軟性、復元性などの各点で優れた特性を有しており、これ等の特性を活かし産業界で幅広く用いられている。また、これらの合成繊維は電気絶縁性や一定の耐薬品性を有していることから、ワイヤーロープを使用することができない用途、例えば、電気配線工事や表面処理工場などにおいて使用する吊り上げ用ロープや、ウィンチやクレーン等の揚重装置に用いるウィンチロープとして必要不可欠な存在となっている。
【0003】
ここで、ブレードロープを吊り上げ用ロープとして用いる場合にはロープ両端部に環状の目玉部を設ける必要がある。また、ウィンチロープとして用いる場合にはロープ先端部に縣吊用のフックを設ける必要があり、ブレードロープに偏荷重や局所的な集中荷重が作用しないようにシンブルを設けるのが一般的である。シンブルは小径プーリ状の部材であり、ロープをシンブルの外径に巻き回したのち巻き回されたロープ先端部を基端側ロープの外層内に挿入して内層線どうしの重複部を設け、この重複部を合成繊維のヤーン(締め付け糸)で締め込むことによりシンブルを締め付けて固定する。縣吊用のフックはシンブルの中心部に設けられた穴にシャックル等を用いて係止する。環状の目玉部はシンブルがない状態と同じであり、上記同様の手法で重複部を締結し構成する。
【0004】
このような構成のブレードロープでは、目玉部の形状を保持し、シンブルの固定を維持するのは、内層線の重複部における摩擦力であり、これを高い状態で保持するのが締結部におけるヤーンの締め付け力である。このため、長期使用においてヤーンの締め付け力が低下したり、ロープの引っ張り方向に繰り返して衝撃荷重が加えられたような場合には、重複部における内層線相互の摩擦力がロープ張力に耐えきれず、徐々に折り返し端部が環状部方向に引き込まれる、いわゆる「抜け」が発生する。内層線の抜けは上記のようにヤーン締結力の低下や内層線重複部の接触長さの減少、すなわち締結部の緩みを現しており、この状態を放置したときには、荷の吊り上げ中に突然締結部が外れて吊荷が落下するなど重大な危険を引き起こすおそれがある。
【0005】
このため、ブレードロープを用いる揚重装置では日常の始業点検において上記締結部の緩みや抜けを目視点検することが義務付けられており、安全確保が図られている。なお、抜けの状態を定量的に把握することは一般的に難しいため、これを定量的に表示する「抜け検出インジケータ」を備えるブレードロープが考案されている。例えば、特願平10−121390号公報には、シンブルに巻き付けられて折り返され締結されたブレードロープ内層線のうち少なくとも一本の先端部を、締結部外層を覆う外層から所定長さ露出させて構成したブレードロープが開示されている。このブレードロープは、使用に伴って内層線の抜けが生じたときに、締結部の外層に露出する内層線の先端長さが変化する(短くなる)ことから、始業点検においてこの露出長さを計測することにより、抜けの状態を検知できるように構成したものである。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上記開示された構成のブレードロープによれば、露出する内層線の先端長さを測定することにより、内層線の抜け状態を定量的に検知して把握することができる。しかしながら、このような構成では、インジケータとなる内層線の端末が外層から突出した構成であるため破損しやすく、ちぎれて無くなってしまったときには判断できなくなる、という問題があった。また、突出する長さの度合いが締結部の緩み状態を表すため、日常点検においては逐次突出長さを計測する必要があり、目視上即座に判断することが難しい、という課題があった。これ等のことは安全を確保するうえで重要な解決すべき課題であった。
【0007】
本発明は、上記課題に鑑みて成されたものであり、過酷な使用状態においても破損することなく、また、一目で締結部の緩みを検知することができる安全機能を有したブレードロープを提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的達成のため、本発明は、複数の素線を束ねて形成される内層線に外層を被覆してなるロープ線を有し、このロープ線における少なくとも内層線の先端部を環状に折り返して重複部を設けるとともに、重複部における折り返された先端部を基端側ロープ線の外層内に挿入し、該重複部を締結することによりロープ線の端部に環状部を形成してなるブレードロープ(例えば実施形態におけるウィンチロープ70)において、上記素線は環状に折り返された部分において素線の長手方向位置に応じて異なる色彩または模様を有する表示線を有し、この表示線の折り返し部分における中間部を外層の外部に露出させてブレードロープを構成する。
【0009】
上記構成のブレードロープでは、素線には折り返された部分において素線の長手方向位置に応じて異なる色彩または模様を有する表示線を有しており、この表示線は折り返された部分の中間部が外層の外部に露出して配設される。締結部が緩んで内層(素線)に抜けが生じたときには表示線も同時に移動するため、この露出部分における表示線の色彩または模様の変化を目視確認することにより締結部の緩みを検知することができる。このように上記構成では、表示線の中間部を露出させており、露出部(以下「表示部」という)の両側において表示線は外層内に埋め込まれた構成となっているため、従来のように突出端部がちぎれて無くなったり、摩耗して突出長さが不明になったりするおそれがない。また、表示部には内層抜けの進行状況に応じた色彩または模様が表示されるため、作業者はその状況を一目で即座に検知することができる。例えば、表示部に現れる色彩が初期状態の青から赤に変化し、あるいは青から黄色を経て赤に変化するなどのように構成すれば、作業者は日常点検において直感的に劣化状態を把握することができる。
【0010】
なお、色彩は上記のような有彩色のほか、例えば白色が黒色に変化するなど無彩色でも良く、また金や銀など金属色であっても良い。また、模様は水玉模様におけるドットの大きさや密度変化、斜めに塗り分けた線図、ピクトグラフなどの図形の他、「注意」や「危険」などの文字を含むものであっても良い。
【0011】
また、上記環状に折り返された中心部に接続部材であるシンブルを設け、重複部を締結することによりロープ線の端部にシンブルを締め付け固定してブレードロープを構成することにより、ブレードロープの環状部に偏荷重や局所的な集中荷重を作用させず、締結部の緩みを発生させにくいウィンチロープ用などのブレードロープを提供することができる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の好ましい実施形態について説明する。まず、本発明に係るブレードロープをウィンチ装置のロープとして備える高所作業車を図9に示しており、この高所作業車の構成から説明する。高所作業車1は、運転キャビン2aを有して走行可能な車両の車体2に図示しない旋回モータの作動により車体に対して水平旋回自在に配設された旋回台3を備え、旋回台3には起伏シリンダ12により起伏動されるブーム4が枢着されている。ブーム4は入れ子式に構成された基端ブーム4a、中間ブーム4bおよび先端ブーム4cから構成され、このブーム4に内蔵される伸縮シリンダ13により伸縮動される。基端ブーム4aの基端部は旋回台3に枢結されている。
【0013】
先端ブーム4cの先端には図示しないレベリングシリンダにより常時垂直に保持される垂直ポスト6が枢結されており、この垂直ポスト6に首振りアーム7を介して作業台8が取り付けられている。作業台8は垂直ポスト6に内蔵された図示しない首振りモータの作動により垂直ポスト6廻りに水平旋回自在(首振り動自在)に構成されている。垂直ポスト6の上端部にはウィンチ装置40が設けられており、重量物の吊り上げを行うことができる。また、車体2の前後左右にはアウトリガジャッキ18が設けられており、高所作業時にはアウトリガジャッキ18を下方に伸長させることにより車体2を持ち上げて安定支持する。
【0014】
ウィンチ装置40は、図8に示すように垂直ポスト6の上端部に配設されて、垂直ポスト6に内蔵されたウィンチ旋回モータ61により水平旋回自在に取り付けられた旋回ベース41、この旋回ベース41上に枢結されウィンチ起伏シリンダ62により起伏動自在に取り付けられたウィンチボディ42、ウィンチボディ42に対して伸縮設定自在に取り付けられたウィンチアーム43、ウィンチアーム43先端部のシーブブラケット44に回転自在に取り付けられたシーブ45、ウィンチボディ42に取り付けられウィンチロープ70を巻き上げまたは繰り出し自在に構成されたウィンチ機構50などから構成されている。ウィンチロープ70は、端末がウィンチ機構50のウィンチドラム52に固定されてこのドラム52に巻取られるとともに、先端側がシーブ45を介して下方に垂下されており、先端部にはシャックル81を介して縣吊用のフック82が設けられている。
【0015】
作業台8にはブーム操作及びウィンチ操作が可能な上部操作装置20が設けられ、車体2の後部にはブーム操作が可能な下部操作装置21が設けられている。このため、作業台8に搭乗した作業者は上部操作装置20を操作して旋回台3の旋回作動、ブーム4の起伏並びに伸縮作動などのブーム作動操作を行うことができ、これにより作業台8を所望の高所に移動させることができる。また、上部操作装置20を操作してウィンチ旋回台41の旋回作動、ウィンチアーム43の起伏作動、ウィンチ機構50によるウィンチロープ70の巻き取り及び繰り出し作動などを行うことができ、これによりフック82に係止された重量物を地上から吊り上げたり地上に吊り下ろしたりすることができる。なお、地上の作業者は下部操作装置21を操作してブームの作動操作を行うことができる。
【0016】
ところで、上記のような高所作業車は、架空電線の保守、柱上トランスや開閉器の交換作業等のような電設系の工事にも多く用いられる。このような高所作業車では入り組んだ架空電線の近傍で作業を行う必要があり、作業者が誤って作業台8やウィンチアーム43、ウィンチロープ70等を活線に接触させた場合であっても、これにより搭乗する作業者が感電したり、作業者を破損させたりすることがないようにする必要がある。
【0017】
このため、電設系の高所作業車では作業台8や先端ブーム4c、ウィンチアーム43などが電気絶縁材料であるGFRPで形成されるとともに、作業台8側と車体側との間の通信には光ファイバーを用いた光通信が行われている。また、ウィンチロープ70は誤って活線に接触させた場合のみならず、無停電工法において電位を帯びた部材を吊り上げ可能なように電気絶縁性のある合成繊維を用いたブレードロープ(繊維ロープ)が用いられている。
【0018】
従って、作業者がブーム操作やウィンチ操作を誤って作業台8やウィンチアーム43等を活線に接触させてしまった場合や、ウィンチアーム43で架空電線を仮支持する場合、ウィンチロープ70で電位を帯びた部材を吊り上げる場合などであっても、作業台8に搭乗する作業者が感電したり、高所作業車1を破損させたりすることがない。
【0019】
ウィンチロープ70は、ウィンチドラム52に巻き取られるロープ部分70aと、このロープの一端部であってシンブル73を有し、シャックル81を介してフック82と接続されるウィンチロープ先端部70bとから構成される。ロープは高強度ナイロン等の電気絶縁性を有する合成樹脂繊維からなり表面にロジン処理などの滑り止め表面処理を施した素線を複数本束ねて形成される内層線71と、テトロン等の電気絶縁性を有する合成樹脂繊維からなり筒状に織り込まれて内層線71を外側から被覆し、内層線71を保護するメッシュ状の外層72とから構成されている。
【0020】
ウィンチロープ70の先端部70bは、その長手方向断面図を図1に示し、外観図を図2に示すように、接続部材であるシンブル73にロープ先端部が1周巻回されて折り返されており、基端側の内層線71aと折り返された内層線71bとが密接に重ねられた重複部分をヤーン75,77で緊密に締結してシンブル73を固定することにより構成されている。シンブル73は、例えばナイロン等の合成樹脂材料やステンレス等の金属材料を、公知の加工方法によりプーリ状に成形加工したものであり、円筒中心部にはシャックル81を接続するための接続孔73hが設けられている。
【0021】
このロープ先端部70bは図3(A)〜(D)に示すような方法で形成される。まず、図3(A)に示すように、ロープ先端部における所定寸法位置の外層72部にマーキング72h,72iを施し、72h位置の外層メッシュの網目を広げて内層線71を取り出す(B)。次いでマーキング72i位置のメッシュの網目を広げ、ここから内層線の先端71bを矢印で示すように外層内に挿入してロープ基端側に繰り入れてゆく(C)。これによりロープ基端側の外層72a内で基端側内層線71aと先端側内層線71bの重複部分が形成される。余剰となった外層端部72bは、図(C)に矢印で示すように内層線に覆い被せてゆき、その先端部を72hの開口部から基端側の外層内に挿入してゆく(D)。これにより、ロープ基端側の外層72a内に先端側外層72bが押しつぶされるようにして配設される。また、このようにして形成される環状部70cは内層線71が外層72に被覆され保護された状態となるため、環状部の強度を高く維持することができる。
【0022】
上記先端部の構成により、図1または図3におけるロープ下方側では内層線同士(71a,71b)が相互に接触する重複部を有し、図における上方では外層同士(72a,72b)が相互に接触する重複部を有して構成される。これら両層は環状部70cに引っ張り力が作用したときに互いに逆方向に移動しようとするため、抜けに対する抗力が高い(抜けを生じにくい)構成となっている。なお、ロープ先端に形成された環状部70cにはシンブル73が配置され、内層線先端部71bおよび外層先端部72bをさらに基端側に引き込むことによりシンブル73が締め付けられる。そして、この状態において重複部分をより強固に締結する内積巻き及び外積巻が施される。
【0023】
内積巻は、ロープの重複部を細径の合成樹脂製のヤーン(締め付け糸)75で串刺し(ヤーン刺しという)にして8の字状に縫い込み、重複部における内層線及び外層線の締結を強化するものである。このヤーン刺しは重複区間において直交する方向に複数箇所行われる。外積巻きは内積巻きの外周にさらに太径の合成樹脂製のヤーン77を巻回して縛り込むことにより行われ、かんぬき縛りといわれる手法が用いられる。この手法はヤーン77を1巻き毎に縛り込んで結ぶものであり、一部の結び目がほどけても締結力が急激に低下しないようになっている。外積巻きは複数ブロックに分けて行われ、各ブロックにおける結び目は、それぞれロープの周方向に90度ずつ回転させてずらした位置に配置される。このような外積巻きにより、内側の内積巻きが保護されるとともに、外積巻きの締め付けにより内積巻きの緩み止めがなされる。なお、図3ではこの結び目77nを模式的に黒く塗りつぶした丸印て示している。
【0024】
内積巻及び外積巻が施されて内外層の重複部が強固に締結されたウィンチロープ締結部よりも基端側には、締結部の緩みを表示する「抜け検出インジケータ」が構成される。これは、シンブル73に巻回され折り返された内層線72bの素線のうち、長手方向位置に応じて異なる色彩を施した素線の一本を、表示線として外層72aから部分的に露出させたものである。本実施例では内層線71bの中間部を青と赤の2色に塗り分けた素線を表示線710として用い、塗り分けられた表示線が外層から露出する表示部80の色彩変化で締結部の緩みを検出するように構成している。なお、表示線710を複数本とし円周方向に複数箇所の表示部80を設けるように構成しても良い。
【0025】
図4は、上記構成の抜け検出インジケータの作用を説明するため、図1におけるインジケータ部分を部分拡大図として示すとともに、ウィンチロープ70の使用初期から、締結部が緩んで抜けが進行し使用禁止に至るまでの表示の変化を時系列で図4(A)〜(C)として示したものである。なお、添付図面上では色彩表示ができないため、表示線710において青色に着色された部分710gを砂目模様(黒色ドットの集合)とし、赤色に着色された部分710rを黒色に塗りつぶして表示している。
【0026】
図4(A)に示す使用初期状態、すなわち未だ内層線71bの抜けが生じる前の状態では、表示線710は初期位置にあり、表示部80には安全を示す青色が表示されている。ウィンチロープ70の使用に伴い徐々にヤーンの締め付け力が低下し、この状態でロープの引っ張り方向に繰り返して衝撃荷重が加えられると、重複する内層線71a,71b間の摩擦力がロープ張力に耐えきれず、折り返し側の内層線71bが徐々にシンブル73方向(図4における右方)に引き込まれる。このため、表示線710は折り返し側内層線71bとともにに移動し、表示部80には図4(B)に示すように赤色部710rが部分的に表示されるようになる。この状態は使用注意を意味する。そしてさらに締結部の緩みが進行すると、表示線710は内層線71bとともにさらに図における右方に移動し、表示部80には図4(C)に示すように完全に赤色部分710rのみが表示されるようになる。この表示形態は使用禁止を意味する。
【0027】
従って、ウィンチロープを使用する作業者は、始業点検時のみならず通常使用時においても、表示部80に表示される表示線の色彩を目視確認することのみにより直ちに、かつ直感的にウィンチロープ70の劣化状態を検知することができる。また、このような構成の抜け検出インジケータによれば、表示線は素線の先端部ではなく中間部分が露出する構成であるため、ちぎれたり摩滅したりすることが無く、長期間にわたって信頼性の高い安全表示機能を提供することができる。
【0028】
なお、以上ではブレードロープをウィンチロープ70として用いる場合を例に採り、ロープ先端部にシンブル73を有する構成例について説明したが、本発明は係る実施形態のみに限定されるものではなく、例えば、先端部にシンブル73を設けずに環状部を有する構成(図3参照)とし、吊り上げ用や横引き用のロープとして用いることもできる。また、実施例では断面形状が円形のロープを例示したが、例えば断面形状が矩形のロープ(帯状のロープ、スリングとも称される)であってもよく、この場合にも同様の効果を得ることができる。
【0029】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明では、複数の素線を束ねて形成される内層線に外層を被覆してなるロープ線の先端部を環状に折り返して環状部を形成し、折り返された重複部を外層内に挿入するとともにこの部分を締結して構成されるブレードロープにおいて、折り返された素線の長手方向位置に応じて異なる色彩または模様を有する表示線を設け、この表示線の中間部を外層の外部に露出させて、露出する表示線の色彩または模様で締結部の緩みを検知できるようにブレードロープを構成する。上記構成では表示線の中間部を露出させ表示部の両側において表示線は外層内に埋め込まれた構成となっているため、突出端部がちぎれて無くなったり摩滅したりして表示内容が不明になるおそれがない。また、表示部には締結部の緩み状況に応じた色彩または模様が表示されるため、作業者は表示線の色彩を目視確認することにより直ちに、かつ直感的にウィンチロープ70の劣化を検知することができる。従って、長期間にわたって信頼性の高い安全表示機能を有したブレードロープを提供することができる。
【0030】
また、環状に折り返された中心部に接続部材であるシンブルを設けて重複部を締結することにより、ロープ端部にシンブルを締め付け固定してブレードロープを構成することにより、ブレードロープの環状部に偏荷重や局所的な集中荷重を作用させず、締結部の緩みを発生させにくいブレードロープを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るブレードロープの先端部の軸方向断面図である。
【図2】上記ブレードロープの先端部の外観図である。
【図3】上記ブレードロープ先端部の形成方法を時系列で説明する説明図である。
【図4】本発明に係るブレードロープにおける緩み検出インジケータの作用を説明する説明図である。
【図5】上記ブレードロープをウィンチロープとして用いた高所作業車の構成を示す斜視図である。
【図6】上記高所作業車のウィンチ装置を示す正面図である。
【符号の説明】
70ウィンチロープ(ブレードロープ)
70a ロープ(ロープ線)
70b ウィンチロープ先端部
70c 環状部
71 内層線(71a 基端側内層線、71b 折り返された内層線)
72 外層
73 シンブル
710 表示線

Claims (2)

  1. 複数の素線を束ねて形成される内層線に外層を被覆してなるロープ線を有し、前記ロープ線における少なくとも内層線の先端部を環状に折り返して重複部を設けるとともに、前記重複部における前記折り返された先端部を基端側ロープ線の外層内に挿入し、該重複部を締結することによりロープ線の端部に環状部を形成してなるブレードロープにおいて、
    前記素線は、前記環状に折り返された部分において素線の長手方向位置に応じて異なる色彩または模様を有する表示線を有し、
    前記表示線の折り返し部分における中間部を前記外層の外部に露出させたことを特徴とするブレードロープ。
  2. 前記環状に折り返された中心部に接続部材であるシンブルを設け、前記重複部を締結することによりロープ線の端部にシンブルを締め付け固定してなることを特徴とする請求項1に記載のブレードロープ
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