JP4953712B2 - メイラード反応生成物を用いる発泡アルコール飲料の製造方法及びその製造方法によって製造した発泡アルコール飲料 - Google Patents

メイラード反応生成物を用いる発泡アルコール飲料の製造方法及びその製造方法によって製造した発泡アルコール飲料 Download PDF

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Description

本発明は、メイラード反応を用いる発泡アルコール飲料の製造方法及びその製造方法により製造した発泡アルコール飲料に関する。
ビール、発泡酒などの発泡アルコール飲料において、ビール及び発泡酒ではカラメル麦芽を用いることによりビール、発泡酒特有の着色がなされている。
また、発泡アルコール飲料の中で大麦、小麦及び麦芽を一切使用しないビール様の発泡アルコール飲料も既に市場に存在する(例えば、特許文献1参照)。このタイプの発泡アルコール飲料では、炭素源を含有するシロップ、窒素源、ホップ及び水を主原料とし、必要に応じて起泡物質、泡持ち向上物質等を添加して発酵前液を作製し、酵母を用いて発酵させることにより発泡アルコール飲料を得る(例えば、特許文献2参照)。この場合、カラメル麦芽は使用できないため、ビール、発泡酒に近似する液色を得るためには、色素を用いている。例えば、カラメル色素、ベニバナ色素、くちなし色素、コウリャン色素、ブドウ色素等の天然色素が使用できる。しかしながら、これら色素の添加により発泡アルコール飲料本来の香味が変化してしまう可能性がある。更にこれら色素は酵母に沈着し、酵母の活性に影響を与えるため、更に香味を変化させてしまう。また、回収酵母へ色素が沈着することにより酵母の再利用時に活性が落ちたり、食品用途への利用に適さなくなる。
一方、従来から食品の着色料として、糖とアミノ酸とを加熱することによってメイラード反応を起こさせることにより得られるメイラード反応生成物がある(例えば、特許文献3参照)。
しかしながら、一般的にメイラード反応はアルカリ性の環境下で効率良く起こり、得られたメイラード反応生成物もアルカリ性である。このため、メイラード反応生成物を食品の着色料として使用する場合、アルカリ性の環境下で使用されており、製造工程中のpHが酸性のビール、発泡酒及び上述したようなビール様発泡アルコール飲料などの発泡アルコール飲料に対して用いるためにはpH調整しなければならず、しかも、このpH調整剤に適切なものがなく、製造後の発泡アルコール飲料の香味に悪影響を与えてしまうこともあって、メイラード反応生成物を発泡アルコール飲料に用いることは適していなかった。
特開2001−37462号公報 特開2004−81171号公報 特開昭63−276458号公報
したがって、本発明は上述に鑑みてなされたものであり、酸性条件下でもpH調整を必要とせずに発泡アルコール飲料の製造工程にメイラード反応生成物を添加する発泡アルコール飲料の製造方法及びその製造方法によって製造された発泡アルコール飲料を提供することを目的とする。
即ち、上記目的は、請求項1に記載されるが如く、発泡アルコール飲料の製造方法において、キシロースとアミノ酸またはペプチドとを加熱して得られたメイラード反応生成物を該発泡アルコール飲料の製造工程中にて添加することを特徴とする発泡アルコール飲料の製造方法によって達成される。
請求項1の発明によれば、発泡アルコール飲料の製造方法において、キシロースとアミノ酸またはペプチドとを加熱して得られたメイラード反応生成物を製造工程中のいずれかの時点に加えることによって、酸性条件下でもpH調整をすることなく、しかも、製造時の香味品質も維持された発泡アルコール飲料の製造方法を提供できる。
請求項2にかかる発明は、請求項1に記載の発明において、前記前記メイラード反応生成物を、仕込工程にて添加することを特徴とする。
請求項2に記載の発明によれば、キシロースとアミノ酸またはペプチドとを加熱して得られたメイラード反応生成物を仕込工程にて添加することによって、酸性条件下でもpH調整をすることなく、しかも、製造時の香味品質も維持された発泡アルコール飲料の製造方法を提供できる。
請求項3にかかる発明は、請求項1に記載の発明において、前記メイラード反応生成物を、発酵工程の後に添加することを特徴とする。
請求項3に記載の発明によれば、キシロースとアミノ酸またはペプチドとを加熱して得られたメイラード反応生成物を発酵工程の後に添加することによって、酸性条件下でもpH調整をすることなく、しかも、製造時の香味品質も維持された発泡アルコール飲料の製造方法を提供できる。
請求項4にかかる発明は、請求項1に記載の発明において、前記メイラード反応生成物を仕込工程の煮沸前に添加することを特徴とする。
請求項4に記載の発明によれば、キシロースとアミノ酸またはペプチドとを加熱して得られたメイラード反応生成物を仕込工程の煮沸前に添加することによって、酸性条件下でもpH調整をすることなく、しかも、製造時の香味品質も維持された発泡アルコール飲料の製造方法を提供できる。
請求項5にかかる発明は、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の発明において、前記発酵前液は、少なくとも炭素源を含有するシロップ、窒素源、ホップ及び水を原料として混合し、煮沸して得られたものであることを特徴とする。
請求項5に記載の発明によれば、大麦、小麦及び麦芽を使用しないビール様発泡アルコール飲料の発酵前液にキシロースとアミノ酸またはペプチドとを加熱して得られたメイラード反応生成物を添加することによって、pH調整をすることなく、製造工程にカラメル色素を用いないで、ビールに近似する色を呈することができると共にすっきり感を備えつつも、芳醇さ、濃厚さを有するビール様発泡アルコール飲料の製造方法を提供できる。
請求項6にかかる発明は、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の発明において、前記発酵前液は、麦芽を原料とした麦汁であることを特徴とする。
請求項6に記載の発明によれば、ビール及び発泡酒の麦汁にキシロースとアミノ酸またはペプチドとを加熱して得られたメイラード反応生成物を添加することによって、pH調整をすることなく、メイラード反応生成物を用いたビール、発泡酒の製造方法を提供できる。
請求項7にかかる発明は、請求項1乃至6のいずれか一項に記載の製造方法で製造した発泡アルコール飲料によって達成される。
請求項7に記載の発明によれば、pH調整をすることなく、発泡アルコール飲料の製造工程中にてキシロースとアミノ酸またはペプチドとを加熱して得られたメイラード反応生成物を添加することによって、ビール、発泡酒及びビール様アルコール飲料を提供でき、特に、ビール様発泡アルコール飲料は、製造工程にカラメル色素を用いないで、ビール様の明るく鮮やかな黄金色を呈することができると共にすっきり感を備えつつも、芳醇さ、濃厚さを有するビール様発泡アルコール飲料とすることができる。
本発明によると、pH調整を必要としないで、メイラード反応生成物を用いた発泡アルコール飲料を提供できる。例えば、ビール様発泡アルコール飲料にメイラード反応生成物を色素として用いることによって、カラメル色素などの従来の色素を用いた場合の香味に対する影響を避けることができ、すっきり感を備えつつも、芳醇さ、濃厚さを有する香味を劣化することなく、ビール様の色調を呈したビール様発泡アルコール飲料を提供できる。
本発明は、発泡アルコール飲料の製造工程中、すなわち仕込から発酵を経て濾過に至る製造工程においてキシロースとアミノ酸またはペプチドとを加熱して得られたメイラード反応生成物を任意の時点で適宜添加することを特徴とする。本発明において、メイラード反応生成物はpH調整を必要としないで、発泡アルコール飲料に添加することができ、香味に対する影響も与えることがなく用いることができる。
上記したように、メイラード反応生成物の添加時点は発泡アルコール飲料の製造工程中であれば特に限定されるものではないが、仕込工程あるいは発酵工程の後が好ましく、仕込工程の煮沸前に添加することはより好ましい。
発泡アルコール飲料の発酵前液は、少なくとも炭素源を含有するシロップ、窒素源、ホップ及び水を原料として混合し、煮沸して得られたものであるか、または麦芽を原料とした麦汁である。前者は、大麦、小麦及び麦芽を使用しないビール様発泡アルコール飲料(以下、ビール様発泡アルコール飲料という)の場合の発酵前液であり、後者はビール、発泡酒の場合の発酵前液である。
特に、ビール様発泡アルコール飲料にとって、pH調整を必要としないで、かつ、カラメル色素などの着色剤をも使用せずに、ビール色に近似する色調を呈すると共に、すっきり感を備えつつも、芳醇さ、濃厚さを有する香味を劣化することなく、香味の品質を維持することができる。
本発明において、メイラード反応生成物は、キシロースとアミノ酸またはペプチドとを加熱して得られた生成物であり、その原料としてのアミノ酸は、アミノ酸であれば、特に限定されないが、好ましくは、穀物を含む植物由来(タピオカ含む)のアミノ酸あるいは微生物を用いて合成されるアミノ酸が用いられ、例えば、大豆、トウモロコシ、米、エンドウ豆、大麦もしくは小麦または酵母エキスがある。
また、ペプチドも、アミノ酸が少なくとも2つ以上結合した化合物であり、メイラード反応に用いるための形態であれば、何ら制限されることはない。例えば、上記穀物を含む植物由来のタンパク質分解物、または微生物のタンパク質分解物が用いられ、一般的に、大豆タンパク質ペプチド、とうもろこしタンパク質ペプチド、エンドウ豆タンパク質ペプチド、小麦タンパク質ペプチド等と呼ばれるペプチドがある。
本発明の好ましい態様では、アミノ酸は、特に、酵母エキスが用いられ、ペプチドは上記の材料から得られるペプチドのうち、例えば、大豆から得られた大豆ペプチド、エンドウ豆から得られたエンドウタンパク分解物が好ましく用いられるが、本発明はこれらに制限されない。
通常、メイラード反応はアルカリ性で効率よく反応し、また、その生成物もアルカリ性であるため、ビール、発泡酒、ビール様発泡アルコール飲料などの発泡アルコール飲料の製造工程などの酸性条件下に適用する場合はpH調整が必須であるが、本発明ではそのような酸性下の発泡アルコール飲料の製造工程でもpH調整剤を必要としないで、キシロースと、上述したアミノ酸またはペプチドとを加熱して得られたメイラード反応生成物をそのまま添加できる。
また、メイラード反応させて得た生成物は酸化防止剤としての役割も果たすことから、例えば、発泡アルコール飲料に対するビールに近似する色の付与及び色調の調整だけでなく、香味の劣化を防ぎ、従来カラメル色素を用いた場合に生じた酵母に対する沈着がなく、発酵効率が改善されて、香味をさらに改善することもできる。
以下、本発明の好ましい実施形態として、キシロースと、上述したアミノ酸またはペプチドとを加熱して得られたメイラード反応生成物を用いたビール様発泡アルコール飲料の製造方法を説明する。
下記に本発明が適用されるビール様発泡アルコール飲料の一般的な製造方法を説明する。
まず、炭素源を含有するシロップ、麦又は麦芽以外のアミノ酸含有材料としての窒素源、ホップ、色素、及び起泡・泡品質を改善する原材料の原料は湯を加えて糖成分とアミノ酸を豊富に含む溶液とされ、このような液を一旦煮沸した後、ホップ粕などを除去し、冷却して発酵前液とされる。このようにして製造された発酵前液は、通常のビールの製造工程で行われるように、ビール酵母などの発酵酵母を使用して発酵させて、その後、貯酒する。これにより、麦芽や大麦、小麦などの澱粉質材料を使用することなく、ビール様発泡アルコール飲料を得ることができる。なお、一般的に、ビールらしさを付与する香料、機能性を付与するその他の添加物、又は香味に特徴を与えるハーブ類は発酵を終えた段階で必要に応じて添加してもよい。製造されたビール様発泡アルコール飲料は、ビールと同様の香味を持ち、且つ炭酸ガスの発泡性を有するビール様発泡アルコール飲料とすることができる。
以上は、ビール様発泡アルコール飲料の一般的な製造工程である。
本発明の一つの態様における仕込工程をより詳細に説明する。まず、炭素源を含有するシロップ、麦又は麦芽以外のアミノ酸含有材料としての窒素源、ホップ、上記メイラード反応生成物、必要に応じて、起泡・泡品質を改善する材料を加えた原材料に湯を加えて、糖成分とアミノ酸を豊富に含む原料溶液を得る。この原料溶液を一旦煮沸した後、ホップ粕などを除去し、冷却して発酵前液を得る。上記したように、この仕込工程において上記メイラード反応生成物を添加しても良い。
なお、メイラード反応生成物の添加時期については、上記したように、製造工程中の仕込工程もしくは発酵工程の後が好ましいが、一般的に、メイラード反応生成物に使用する原料であるキシロース及びアミノ酸は、メイラード反応に関与しない糖類やタンパク質のような不要物を含んでおり、これらはメイラード反応生成物中に残存し、これらを添加した発泡アルコール飲料では残存物により最終製品の香味に影響を及ぼす可能性がある。このため、発酵前液の発酵前にメイラード反応生成物を添加しておけば、発酵中にこれら残存物は酵母によって処理され、香味に対する影響が低減又は除去されることとなり、仕込工程における添加がより好ましい。さらに、仕込工程での添加の場合においても原料溶液の煮沸前の添加がより好ましい。これは、煮沸による加熱によって、メイラード反応生成物の色が更に濃くなることが確認され、メイラード反応生成物を少量使用するだけで、発泡アルコール飲料の色付けあるいは色の調整が可能になるためである。更に、仕込工程における発酵前液を製造する煮沸前にメイラード反応生成物を添加すると、不要なタンパク質は凝固して析出し、その後の濾過工程で不要なタンパク質を除去することができるためである。
次に、前述で製造した発酵前液に、ビール酵母を添加して、約6−12℃で5日間発酵させる。
その後、−1℃で貯酒を行う。発酵液は珪藻土を利用して濾過して酵母を取り除き、最終的なビール様発泡アルコール飲料を得る。
なお、メイラード反応生成物は、上記のように仕込工程において添加しても良いが、発酵工程及び発酵工程の後に添加しても良い。
また、下記の実施例で詳細に述べるが、本発明においては、メイラード反応生成物を生成するメイラード反応でのキシロースの含有量は全反応液の10%が好ましい。
よって、本発明によると、pH5以下のビール様発泡アルコール飲料の製造工程であっても、キシロースと、アミノ酸またはペプチドとを加熱して得られたメイラード反応生成物を好ましくは仕込工程の発酵前液製造時に添加して、他の発酵前液の原料と共に煮沸して発酵前液を製造することによって、pH調整剤を一切加えることなく、カラメル色素を添加した場合と比較して、遜色ないビールに近似する色の付与及び色調の調整を達成することができ、さらに香味が従来のビール様発泡アルコール飲料で用いたカラメル色素の場合と比べて劣化することなく、香味の品質を維持することができる。したがって、最終製品の香味品質の観点からもキシロースと、アミノ酸またはペプチドとを加熱して得られたメイラード反応生成物は、ビール様発泡アルコール飲料の原材料の一部としての適性が高い。
また、本発明の別の態様において、キシロースと、アミノ酸またはペプチドとを加熱して得られたメイラード反応生成物は、ビール、発泡酒の場合、仕込工程で麦芽を原料とした麦汁に添加することで用いることができ、発泡アルコール飲料において幅広く使用することができる。
より具体的には、ビール、発泡酒など麦芽を用いた発泡アルコール飲料の仕込工程の麦汁に対して、キシロースと、アミノ酸またはペプチドとを加熱して得られたメイラード反応生成物を添加して製造することである。ビール、発泡酒では、使用する麦芽全量を仕込槽に入れ、さらに温水を加えて混合し液温を50℃程度として約30分保ち、その後約10分かけて徐々に昇温して液温は約65℃とし、麦芽に含まれる糖化酵素が十分に機能する温度としたマイシェとする。マイシェをこの温度に約40分間保持し、その後10分程の時間をかけて約76℃に昇温させ、約5分間保持して酵素作用による糖化を行う。糖化工程終了後、濾過を行って透明な麦汁を得る。次いで、この麦汁を煮沸釜に移し、好ましくは、この時点で、キシロースと、アミノ酸またはペプチドとを加熱して得られたメイラード反応生成物を所定量添加し、ホップを加えて60〜90分煮沸後、麦汁を沈澱槽に移して、沈澱物を分離、除去する。その後、得られた麦汁を発酵温度まで冷却し、これを冷麦汁として用いる。その後、麦汁エキスにして、ビール酵母約3000万cells/mLを添加し、発酵温度約13.0℃で発酵し、熟成工程を経て、濾過を行い、最終的なビール、発泡酒を得る。
以下、実施例により本発明の製法にしたがって実施した具体例を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
ここでは、上述したようにキシロースと、アミノ酸またはペプチドとを加熱して得られたメイラード反応生成物をビール様発泡アルコール飲料の製造工程において、仕込工程の発酵前液製造時に添加して実施した試験醸造を説明する。
まず、メイラード反応のためのアミノ酸またはペプチドからなるアミノ酸源、糖源及びpHの3条件を、下記の表1の内容で組み合わせたサンプルを作成し、メイラード反応実施例1及び2として行なった。その際に、アミノ酸源としてのエンドウタンパク分解物と酵母エキス(リボネックスDP:サッポロビール社製、以下同じ)の添加量は、それぞれ90%、30%、3種類の糖源(キシロース:タマ生化学社製、以下同じ、果糖ブドウ糖液糖:日本コーンスターチ社製(商品名:ハイフラクトM 75C)、以下同じ、グルコース:和光純薬工業社製、以下同じ)の添加量はすべて10%、pHはそれぞれpH5、pH7及びpH9の条件を組み合わせてメイラード反応を行なった。なお、上記果糖ブドウ糖液糖とは果糖55%、ブドウ糖40%及びその他の糖5%の組成を有する液糖である。
その後、メイラード反応による生成物、つまり生成された色素の着色程度の差を評価した。
反応はすべて100℃30分間の加熱を行なった。反応後、EBC色度を測定した。各サンプルの色度は、欧州ビール醸造者団体が定めた、EBC(European Brewery Convention)標準法に基づき、430nmの吸光度(E430)を求めて、色度=E430×25の式から算出した。
Figure 0004953712
メイラード反応実施例1及び2から認識できるように、pHをpH5、pH7及びpH9の条件下で3種類の糖源を用いたメイラード反応は、エンドウタンパク分解物と酵母エキスのいずれのアミノ酸源であっても、キシロースが最も着色効果が高いことが確認された。また、アミノ酸源がエンドウタンパク分解物と酵母エキスのいずれにおいても、キシロースはpHが酸性状態となるにつれて着色効率が高くなることが分かった。このことから、糖源としてのキシロースと、アミノ酸源としてのエンドウタンパク分解物または酵母エキスとの組み合わせでメイラード反応を行う場合、pH値が酸性領域、例えば、pH5において良好な反応を示すことが認識できた。
したがって、これらの組合せでメイラード反応させて得た生成物は、ビールや発泡酒、あるいはビール様発泡アルコール飲料などの酸性条件下での発泡アルコール飲料の製造工程において、好ましく用いることができる。
また、本実施例において、上記以外のアミノ酸源として、大豆ペプチド(ハイニュートS:不二製油社製、以下同じ)、乳清たんぱくペプチド(ペプチドW800:森永乳業社製、以下同じ)を用いてキシロースと反応させた場合、pH5.5前後の酸性条件下で、EBC色度が良好な結果を得た。大豆ペプチド(ハイニュートS)の場合、メイラード反応生成物に凝固部分が多かったが、EBC色度の着色効率は高く、4841.6であった。また、乳清たんぱくペプチド(ペプチドW800)の場合、EBC色度は242.2を得た。
よって、これらの組合せにおけるメイラード反応で得た生成物も、発泡アルコール飲料の製造工程に用いられることが認識される。
次に、上述した条件下で生成したメイラード反応生成物をビール様発泡アルコール飲料の仕込工程で発酵前液の原材料と共に添加して発酵前液を製造する場合に適用したアルコール飲料の試験醸造を説明する。
具体的には、表1のメイラード反応実施例1−1−1、2−1−1で作成したメイラード反応生成物を、上述したビール様発泡アルコール飲料の製造工程において、それぞれ煮沸前に添加し、発酵前液の他の原料と合わせて発酵前液を製造し、次いで、製造された発酵前液は、通常のビールの製造工程で行われるように、ビール酵母などの発酵酵母を使用して発酵させて貯酒し、その後、発酵液は珪藻土を利用して濾過して酵母を取り除き、最終的なビール様発泡アルコール飲料を得る試験醸造を行った。なお、本実施例は、3.9Lスケールの醸造設備において試験的に実施したものである。
エンドウタンパク分解物及び酵母エキスの異なったアミノ酸源と、キシロースとのそれぞれの組み合わせで加熱して得たメイラード反応生成物(表1のメイラード反応実施例1−1−1、2−1−1)を使用したビール様発泡アルコール飲料(アルコール飲料製造実施例1、2)と、比較例として、カラメル色素を使用/使用しないビール様発泡アルコール飲料(アルコール飲料製造比較例1、2)とを4種類製造し、これらについてEBC色度を測定し、着色評価を行った。
アルコール飲料製造実施例1、2及びアルコール飲料製造比較例1、2は何れもメイラード反応生成物またはカラメル色素を添加する以外の工程条件は同じとした。
(ビール様発泡アルコール飲料製造の実施例)
本実施例は、炭素源を含有するシロップ、窒素源、ホップ、メイラード反応生成物及び水を原料として発酵前液を製造し、該発酵前液を酵母を使用して発酵させて発泡アルコール飲料を得、得られた発泡アルコール飲料を濾過することによりビール様発泡アルコール飲料を製造する方法に、メイラード反応生成物として、表1のメイラード反応実施例1−1−1、メイラード反応実施例2−1−1で得た生成物を使用することにより、以下の手順で実施した。また、比較例においては、メイラード反応生成物に代わって、カラメル色素を使用したものと、使用しないものとして行なった。
以下の原料を使用して発酵前液を調整した。
使用原料:ビール様発泡アルコール飲料を製造するために、上記2種類の表1のメイラード反応実施例1−1−1、メイラード反応実施例2−1−1で得た生成物を使用するアルコール飲料製造実施例1及び2、カラメルを使用するアルコール飲料製造比較例1、カラメルを使用しないアルコール飲料製造比較例2とした。各生成物の含有量は、表2に記載の色素添加濃度とした。そして何れの試験も原料のシロップは69gの米糖化液(特開2004−08131号公報)、残りは果糖55%、ぶどう糖40%のシロップを使い全原料量で690gになる様に調整した。何れのシロップも商業的に入手可能であり、固形分75%である。
以下のように、発明の実施の形態で述べた本発明のビール様発泡アルコール飲料の製造工程に従って製造した。
すなわち、エンドウタンパク20g(オルガノローディアフード社製:エンドウタンパク)、ホップペレット4gに3−3.5Lのお湯を加えて、更にシロップを加えて溶解させ、この発酵前液を調製する段階において、煮沸前に、表2に記載の色素添加濃度で、表1のメイラード反応実施例1−1−1、メイラード反応実施例2−1−1で得た生成物をそれぞれ添加した。次いで、発酵前液を製造するために、60−90分間煮沸した。なお、この工程において、比較例1の場合には、上述したビール様発泡アルコール飲料の製造工程と同様に、カラメル色素2.4g(池田糖化工業社製:コクヨカラメル)を表2に記載の色素添加濃度で添加し、比較例2の場合にはカラメル色素は添加しなかった。
その後、ワールプールと呼ばれる沈殿槽でホップ粕などを除去し、10℃までプレートクーラーで冷却し、発酵前液を得た。さらにビール酵母を3000万cells/mL添加して、6−12℃で5日間発酵させた。その後、−1℃で貯酒を行った。
発酵液は珪藻土を利用して濾過して酵母を取り除き、最終的なビール様発泡アルコール飲料を得た。
前述した様に、本実施例では、表1のメイラード反応実施例1−1−1、メイラード反応実施例2−1−1で得た生成物を使って、ビール様発泡アルコール飲料を製造して、アルコール飲料製造実施例1及び2とし、さらに、カラメル色素を使用/使用しないビール様発泡アルコール飲料を製造し、アルコール飲料製造比較例1及び2として、これらについてEBC色度を測定し、着色評価を行った。
Figure 0004953712
Figure 0004953712
表3から認識できるように、アルコール飲料製造実施例1とアルコール飲料製造実施例2は、カラメル色素を使用したアルコール飲料製造比較例1と比較して、ビールに近似する色を示すことが確認された。なお、通常ビールは、7EBC程度である。したがって、本発明によって、従来のカラメル色素を用いた場合と同等に、ビールに近似する着色ができることが確認された。
また、上記の各サンプルにおいて、発酵に用いた酵母を回収し、酵母の色彩を測定した。測定した酵母の色彩は、コニカミノルタ社製の分光測色計CM−3600αを用い、反射光によってL表色系で数値化した。L表色系では、L値で明度(白黒)を示し、L値が大きくなると明るい色を示し、L値が小さいほど暗い(黒い)、a値とb値で色相・彩度を表し、aは赤み、bは黄みを示す。a値が正の方向に大きくなると赤方向の色相、a値が負の方向に大きくなると緑方向の色相、b値が正の方向に大きくなると黄方向の色相、b値が負の方向に大きくなると青方向の色相であることを示す。
Figure 0004953712
表4から認識できるように、カラメル色素を使用した比較例1の場合、回収酵母に色素の沈着が起こり、明度の低下が起こったが、メイラード反応生成物を使用した実施例1及び2の場合は、カラメル色素を使用しない比較例2の場合と同等の明度であった。
さらにまた、煮沸中にメイラード反応がさらに進んだため、実施例1及び2は煮沸前よりも、発酵前液の発酵前の色度が高くなり、ビール様発泡アルコール飲料の製造工程でさらに着色されてビールに近似する色を呈することが認識できた。
また、本発明のビール様発泡アルコール飲料に対して、機能性を付与するその他の添加物、又は香味に特徴を与えるハーブ類などは発酵を終えた段階で必要に応じて適宜添加してもよい。
以上説明したように、上記の結果から、本発明の発泡アルコール飲料の製造方法において、キシロースと、アミノ酸またはペプチドとを加熱して得られたメイラード反応生成物は色素として、従来のカラメル色素に代わって、色の付与及び色調の調整の原材料として最適に使用できる。
よって、本発明によると、キシロースと、アミノ酸またはペプチドとを加熱して得たメイラード反応生成物を用いて発酵前液を製造することで、カラメル色素を用いた場合と遜色なく、色の付与及び色調の調整ができると共にビール様発泡アルコール飲料の特徴であるスッキリ感を備えつつも、芳醇さ、濃厚さを有して、さらに製造時の香味を維持することができ香味品質が保持される発泡アルコール飲料を提供することが可能となる。
また、本発明は、ビール、発泡酒にも同様に使用することが出来、液色の付与あるいは液色の調整を行うことが出来る。
以上本発明の好ましい実施例について詳述したが、本発明はかかる特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の趣旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。

Claims (3)

  1. 大麦、小麦及び麦芽を使用しない発泡アルコール飲料の製造方法であって、
    少なくとも炭素源を含有するシロップ、窒素源、ホップ及び水を原料として混合し、煮沸して発酵前液を得る仕込工程において、
    キシロースとアミノ酸またはペプチドとを加熱して得られたメイラード反応生成物を添加する
    ことを特徴とする発泡アルコール飲料の製造方法。
  2. 前記メイラード反応生成物を、前記仕込工程の前記煮沸前に添加する
    ことを特徴とする請求項1に記載の発泡アルコール飲料の製造方法。
  3. 請求項1又は2に記載の製造方法で製造した発泡アルコール飲料。
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