JP4557291B2 - 色度、風味に優れた発酵アルコール飲料 - Google Patents

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本発明は、ビール酵母を用いた発酵アルコール飲料の製造において、糖とタンパク分解物とのメイラード反応物を用いて発酵アルコール飲料の色度(液色)及び風味を調整することによって製造された、液色及び風味に優れた発酵アルコール飲料に関する。
発酵アルコール飲料である、ビールや発泡酒は、主原料として麦芽を、副原料として米、麦、コーン、スターチ等の澱粉質原料、及びこれにホップ、水を原料として製造されるが、日本の酒税法においては、ビールは、水を除く麦芽使用量が50重量%以上66.7重量%未満及び、25重量%以上50重量%未満及び、25重量%未満の3種類が規定されている。
発泡酒は、日本の酒税法上は、麦又は麦芽を原料の一部として用いた雑酒に属するものであるが、ビールも発泡酒も、いずれも麦芽の活性酵素や、カビ等由来の精製された酵素を用いて、麦芽や副原料である澱粉質を糖化させ、この糖化液を発酵させて、アルコールと炭酸ガスに分解して、アルコール飲料としているものである点で共通している。従って、ビールの作り方も、発泡酒の作り方も、その基本においては、大きく変わるものではない。
一方、発泡性を有する「雑酒」は、日本の酒税法上、麦又は麦芽を原料の一部とした上記「発泡酒」と発泡酒以外の「その他の雑酒」に分類される。ここで、「その他の雑酒」は、麦又は麦芽を使用せず、マメ類、穀類などの植物タンパク質等を酵素で分解して必要とする窒素源を得、糖化液を加えて発酵させるものである。従って、「その他の雑酒」の作り方についてもビール又は発泡酒の作り方と基本的に大きく変わるものではなく、ビール又は発泡酒の製造装置を使用してつくることが可能である。
近年、ビールや発泡酒及びその他の雑酒のような発酵アルコール飲料において、香味の多様化等の目的から、種々の原料、種々の添加物を用いて、多種の味覚及び風味を有する発酵アルコール飲料の製造方法が開示されている。麦芽以外の原料を用いるものとして、例えば、麦汁を、小麦、馬鈴薯、トウモロコシ、もろこし、大麦、米、又はタピオカから得たデンプンに基くグルコースシロップ及び可溶性タンパク質材料、水及びホップから調製し、これを発酵させてビールタイプ飲料を製造する方法(特開2001−37462号公報)、米、麦、ヒエ、アワなどの穀類を原料として、低アルコールの発酵飲料を製造する方法(特開2001−37463号公報)等が開示されている。
これらの発酵アルコール飲料の製造方法においては、いずれの場合も、原料を混合して発酵前溶液を調製し、該発酵前溶液を加熱・煮沸し、酵素の失活と色度の調整を行った後、ビール酵母を用いて発酵する方法が採られている。ビール酵母を用いて発酵する発酵アルコール飲料において、ビールの製造においては、主として麦芽の色素によって、色度(液色)の付与が行なわれ、必要により、色素の添加を行なって、発酵アルコール飲料の色度(液色)の調整が図られている。しかしながら、発泡酒やその他の雑酒の場合は、麦芽の使用比率が低いか、麦又は麦芽の使用率に制限があるため、これらの原料の使用制限に基く、最終製品の色度の値の低下が避けられず、カラメル色素のような色素の添加等で、発酵アルコール飲料の色度(液色)の調整が行なわれている。
例えば、特開2001−37462号公報には、麦芽を使用することなく、グルコースシロップと小麦タンパク等から調製された可溶性タンパク質性材料を用いて調製した麦汁を用いて、ビールタイプ飲料を製造する方法が開示されているが、その色度の付与のためにカラメルが用いられている。また、特開2004−24151号公報には、麦芽を原料として用いず、大麦、小麦のような麦デンプン原料を用いてビールテイスト飲料を製造することについて開示されているが、その色度の調整のために、カラメル、或いは該カラメル色素に加えて或いは該カラメル色素に代えてベニバナ色素が添加されている。
更に、WO 2004/000990 A1には、大麦、小麦、麦芽を一切使用することなしに、トウモロコシ、馬鈴薯、えんどう豆、大豆、又は米から得られた炭素源含有シロップと、トウモロコシ、馬鈴薯、えんどう豆、大豆、又は米から得られた窒素源を用いて、発泡性のビール様アルコール飲料を製造する方法が開示されているが、該アルコール飲料の色度の付与のために、色素が添加されており、該色素として、カラメル色素、ベニバナ色素、くちなし色素、こうりゃん色素、コチニール色素、ニンジン色素、パブリカ色素、赤キャベツ色素、ブドウ色素、紫トウモロコシ色素、エルダーベリー色素、ビート色素、ベニコウジ色素、ウコン色素などの天然色素、又は食用赤色102号、食用赤色104号、橙色201号などの合成色素が挙げられている。しかしながら、これらの色素を添加する方法では、ビールとは異なる不自然な色合いや風味のアルコール飲料となる傾向が依然として残っており、また、麦や麦芽原料の使用制限に伴って、ビールにある風味やボディ感に欠け、物足りなさを感じる傾向が強かった。
一方、食品等に含まれる糖と遊離アミノ酸との反応として、メイラード反応が知られている。メイラード反応は、食品等の調理や製造に際して、調理やロースト或いは焼成のように高温が加えられた場合に、食品等に含有される糖と遊離アミノ酸との間に起こる反応であり、該反応によって生成されるメイラード反応物は、食品等に色や芳香を付与する。メイラード反応物は、該反応物の特性を利用して、食品等にフレーバーを付与するために使用することが知られており(特表2004−511241号公報)、また、特殊な用途として、食品等に利用される抗酸化剤として用いることが知られている(特開昭56−166286号公報)。しかしながら、該反応物を発酵アルコール飲料の風味や色の積極的な付与のために直接的に用いることは知られていない。
特開昭56−166286号公報 特開2001−37462号公報。 特開2001−37463号公報。 特開2004−24151号公報。 特表2004−511241号公報。 WO 2004/000990 A1。
本発明の課題は、ビール酵母を用いた発酵アルコール飲料の製造において、ビール様の自然な色度や風味を付与した発酵アルコール飲料を提供すること、特に、制限された発酵原料の使用のために、発酵アルコール飲料の色度や風味の補強が必要な発泡酒やその他の雑酒において、ビール様の自然な色度や風味を付与した発酵アルコール飲料を提供することにある。
従来から、ビール酵母を用いた発酵アルコール飲料、特に、発泡酒やその他の雑酒のような発酵アルコール飲料においては、これらの発酵アルコール飲料の色度や風味の補強を行なうために、カラメルのような着色料の添加が行なわれている。しかし、これらの着色料(色素)をアルコール飲料に添加する方法では、ビールとは異なる不自然な色合いや風味のアルコール飲料となる傾向が依然として残っており、ビール様の自然な色度や風味を付与した発酵アルコール飲料を製造することが難しいという問題があった。
本発明者は、ビール酵母を用いた発酵アルコール飲料の製造における発酵アルコール飲料の色度や風味の調整において、特に、麦芽や麦類の使用等、制限された発酵原料の使用のために発酵アルコール飲料の色度や風味の補強が必要な発泡酒やその他の雑酒において、ビール様の自然な色度や風味を付与した発酵アルコール飲料を製造する方法について鋭意検討する中で、糖とタンパク分解物とのメイラード反応物及びその調製物を用いて発酵アルコール飲料の液色及び風味を調整することにより、従来用いられているカラメルのような着色料を用いることなく、ビール様の自然な色度や風味を付与した発酵アルコール飲料を製造できることを見い出し、本発明を完成するに至った。
本発明において、メイラード反応物調製に用いられる糖とタンパク分解物は、ビール酵母を用いた発酵アルコール飲料の製造において原料として用いられている澱粉類の分解物やタンパク質の分解物を用いることができる。また、本発明においては、メイラード反応物の添加によって付与される風味と原料として用いられるタンパクによって付与される発酵アルコール飲料の風味との調和を図る目的で、メイラード反応物調製に用いられるタンパク分解物として、その発酵アルコール飲料の製造において窒素源として用いられているタンパク質原料の分解物を、用いることができる。本発明において、メイラード反応物調製に用いられるタンパク分解物として、大豆タンパク分解物を特に好ましいタンパク分解物として挙げることができる。
本発明において、メイラード反応物は、糖とタンパク分解物とを反応温度105℃以上、121℃以下で反応させることにより、調製することができる。また、本発明においては、メイラード反応物は予め調製し、乾燥、粉末化等により製品化した調製物を用いることができる。本発明の発酵アルコール飲料の製造工程において、メイラード反応物は発酵アルコール飲料の製造工程の発酵工程前に添加されるが、該反応物を添加する代わりに、発酵アルコール飲料の製造工程の発酵工程前に、反応温度105℃以上、121℃以下を用いた原料中の糖とタンパク分解物とのメイラード反応物を生成する工程を挿入することによって行なうことができる。
すなわち具体的には本発明は、(1)糖とタンパク分解物とのメイラード反応物及びその調製物を用いて発酵アルコール飲料の液色及び風味を調整することによって製造され、麦又は麦芽を使用しない発酵アルコール飲料において、発酵アルコール飲料の色度が5〜15EBCであり、かつ、発酵アルコール飲料中のメチオナール成分が少なくとも1.0ppbであるか、及び/又は、フェニルアセトアルデヒド成分が少なくとも10ppbであることを特徴とする液色及び風味に優れた発酵アルコール飲料からなる。
また本発明は、ビール酵母を用い、麦又は麦芽を使用しない発酵アルコール飲料の製造方法において、糖とタンパク分解物とのメイラード反応物及びその調製物を用いて発酵アルコール飲料の液色及び風味を調整することによって、発酵アルコール飲料の色度が5〜15EBCであり、かつ、発酵アルコール飲料中のメチオナール成分が少なくとも1.0ppbであるか、及び/又は、フェニルアセトアルデヒド成分が少なくとも10ppbである液色及び風味に優れた発酵アルコール飲料を製造する方法に関する。
本発明におけるメイラード反応物を用いた発酵アルコール飲料の製造方法によれば、麦芽や麦類の使用等、制限された発酵原料の使用のために発酵アルコール飲料の色度や風味の補強が必要な発泡酒やその他の雑酒のような発酵アルコール飲料の製造においても、ビール様の自然な色度や風味を付与した発酵アルコール飲料を製造することができ、ビールにある風味やボディ感のある液色及び風味に優れた発酵アルコール飲料を提供することができる。
本発明は、ビール酵母を用いた発酵アルコール飲料の製造において、糖とタンパク分解物とのメイラード反応物及びその調製物を用いて発酵アルコール飲料の液色及び風味を調整することからなる。メイラード反応物はアミノ酸等のタンパク分解物と糖とを混合して加熱することによって得ることができる褐色の液体であり、アミノ酸等のタンパク分解物と糖との加熱反応によって付与される芳香を有する。
メイラード反応物に用いる原料のうち、糖は、結晶グルコースや水飴等の液糖、或いは麦芽や麦、米等植物澱粉の糖化液等、糖が含有されているものであれば限定はされないが、取り扱いや反応の効率化の観点からは、液糖が好ましい。また、メイラード反応に寄与するのは、糖の配糖体形成能を有する水酸基であることから、より好ましくは、単糖主体の液糖が用いられる。
また、メイラード反応させる原料のうち、タンパク分解物は、麦類、豆類、トウモロコシ、馬鈴薯、米等のタンパクをプロテアーゼやペプチダーゼで分解したものを用いてもよく、また、工業的に精製されたアミノ酸又はその混合物を用いることもできるが、費用や風味の観点からは、ビール酵母を用いた発酵アルコール飲料の製造原料として用いられている前者が好ましい。更に、前者の中で、大豆タンパク分解物は、より好ましいタンパク分解物として挙げることができる。また、本発明においては、メイラード反応物の添加によって付与される風味と原料として用いられるタンパクによって付与される発酵アルコール飲料の風味との調和を図る目的で、メイラード反応物調製に用いられるタンパク分解物として、その発酵アルコール飲料の製造において窒素源として用いられているタンパク質原料の分解物を用いることができる。本発明において、タンパク分解物の調製に用いるタンパク分解酵素としては、市販の酵素を用いることができる。例えば、プロテアーゼAアマノG、プロテアーゼPアマノG、ペプチダーゼR(天野エンザイム社製)などいずれの酵素を用いても良く、またこれらの酵素を組合わせることもできる。
本発明において、メイラード反応物調製に用いられる反応温度は、反応時間短縮の観点からは、高い温度が好ましいが、過度に高くすると糖そのものがカラメル化反応を起こし、目的の色調や風味は得られなくなる。したがって、好ましくは、105〜121℃の温度が採用される。本発明の発酵アルコール飲料の製造方法において、メイラード反応物の添加時期は、特に制限されないが、メイラード反応物中に残存している糖及びアミノ酸を酵母に消費させるためには、発酵前の段階での添加が好ましい。すなわち、本発明においては、メイラード反応物を予め調製し、発酵アルコール飲料の製造工程の発酵工程前に添加する。また、該反応物を添加する代わりに、発酵アルコール飲料の製造工程の発酵工程前に、反応温度105℃以上、121℃以下を用いた原料中の糖とタンパク分解物とのメイラード反応物生成工程を挿入することによって行なうことができる。
本発明の製造方法を用いて発酵アルコール飲料を製造するに際しては、メイラード反応物又はその調製物の色度、フルフラール成分、メチオナール成分又はフェニルアセトアルデヒド成分のうちのいずれか一以上を指標として、発酵アルコール飲料の液色及び風味を調整することができる。発酵アルコール飲料の液色及び風味の調整のための指標として、メイラード反応物又はその調製物の色度、フルフラール成分、メチオナール成分又はフェニルアセトアルデヒド成分のうちのいずれか一以上を用いて発酵アルコール飲料の液色及び風味を調整する場合には、前記色度、又は前記各成分濃度の数値が、前記色度で12EBC以上、前記フルフラール成分濃度で300bbp以上、前記メチオナール成分濃度で50bbp以上、又は前記フェニルアセトアルデヒド濃度で200bbp以上とすることが好ましい。
すなわち、発酵アルコール飲料の液色及び風味を効果的かつ効率的に調整できるメイラード反応物の色度やアルデヒド類濃度(フルフラール、メチオナール、フェニルアセトアルデヒド)は、保持温度100℃(常圧下)といった通常の反応物の場合と比べて、少なくとも2倍以上であればよい。具体的には、上記のとおり色度が12EBC以上、フルフラール成分濃度300bbp以上、メチオナール成分濃度50bbp以上、又はフェニルアセトアルデヒド濃度成分200bbp以上であれば良い。より好ましくは、通常の反応物の場合と比べて4倍以上、つまり、色度23EBC以上、フルフラール成分濃度600bbp以上、メチオナール成分濃度100bbp以上、又はフェニルアセトアルデヒド成分濃度400bbp以上であれば良い。更に、好ましくは、色度39EBC以上、フルフラール成分濃度900bbp以上、メチオナール成分濃度200bbp以上、又はフェニルアセトアルデヒド成分濃度700bbp以上であることが好ましい。
本発明において、メイラード反応物調製のための装置としては、加圧式の加熱装置を用いることができる。本発明の発酵アルコール飲料の製造方法は、通常のビール等の製造に用いられる製造装置を用いることができ、麦汁或いは発酵前溶液の調製、処理、及び発酵条件等の製造条件は、基本的に通常これらの発酵アルコール飲料の製造に用いられる条件を用いることができる。
以下、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明の技術的範囲はこれらの例示に限定されるものではない。
(メイラード反応物の製造方法)
大豆タンパク3gを45℃の湯100mlに懸濁し、市販のペプチダーゼを0.06g添加して、約3時間撹拌することによって、タンパク分解液を得た。タンパク分解酵素は、プロテアーゼPアマノG(天野エンザイム社製)を用いた。これに、市販のマルトース液糖(DE47、固形分75%)又はグルコース液糖(固形分75%)又はフルクトース液糖(固形分75%)を25g又は50g添加し、密閉容器で加熱し、100℃又は115℃又は120℃になった時点から30分又は60分保持した時点で取り出し、メイラード反応物を得た。
この実施例におけるメイラード反応の条件と、得られたメイラード反応物の分析、官能評価結果(社内パネル6名による)を表1に示す。ここで「カラメル感」とは、主として香りの特徴で、カラメル麦芽を用いたビールに強く感じられる、甘みをともなう焦げた風味を表わす。
なお、メイラード反応物又はその調整物中のアルデヒド類の分析、すなわち、メイラード反応物又はその調整物中のフルフラール成分、メチオナール成分及びフェニルアセトアルデヒド成分の各濃度については、AGRICULTURAL and FOOD CHEMISTRY 2003, 51 6941-6944に記載のGC−MSを用いた分析によって求めた。
この実施例の条件(タンパク分解液が同じ、120℃以下)では、メイラード反応による生成物とされているアルデヒド類(フルフラール、メチオナール、フェニルアセトアルデヒド)は、色度とほぼ相関していた。これらの分析値をメイラード反応強度の指標としてみた場合、メイラード反応強度には温度の与える影響が大きく、120℃に対して100℃では反応速度が極めて遅いことが分かった。二糖以上が主体のマルトース液糖に比較して、単糖が主体のグルコース及びフルクトース液糖を用いた方が、強いメイラード反応物が得られた。一方、メイラード反応によって得られる風味を、メイラード反応物に特異的に感じられる香りのひとつであるカラメル感を指標として官能評価した結果、色度やフルフラール、メチオナール、フェニルアセトアルデヒドといったアルデヒド類にほぼ比例した結果となった。したがって、今回の条件においては、メイラード反応物の強さは、色度又はこれらのアルデヒド類を指標に評価して差し支えないことが明らかとなった。
(発酵アルコール飲料の製造例)
この実施例では、麦及び麦芽を使用しない雑酒を製造する場合に適用して実施した試験例を示す。実施設備としては、2kLスケールの試験設備を使用した。
大豆タンパク10kgを330リットルの湯中に投入し、市販のペプチダーゼによりタンパク分解を実施した。タンパク分解酵素は、プロテアーゼPアマノG(天野エンザイム社製)を用いた。得られたタンパク分解液に、市販のマルトース液糖(DE47、固形分75%)を200kg加えて密閉容器で加熱し、120℃になった時点から、60分保持してメイラード反応液を得た。次に、200kgのマルトース液糖を含む湯の中に前記メイラード反応物を加えて糖度を約13°Pに調整し、ホップを加えて1時間程度煮沸した後、10℃程度に冷却し、酵母を添加して発酵させた。1週間程度の発酵と、数週間の熟成の後、アルコールを5.5%v/v%に調製し、発酵アルコール飲料を得た。一方で、同じタンパク分解液に、マルトース液糖を400kgとカラメル色素を1.6kg加え、約13°Pに調整し、ホップを加えて1時間程度煮沸し、以降は上記と同様に操作し、メイラード反応物を用いない対照品を得た。
得られた発酵アルコール飲料及び対照品の分析結果を表2に、及び、官能評価結果(社内パネル6名による)を表3に示す。本発明のメイラード反応物を効果的かつ効率的に用いることで、カラメルのような色素を用いた場合には実現できない、通常のビールや発泡酒と同等の液色や風味を実現できることがわかった。つまり、本発明による方法によって製造された発酵アルコール飲料は、その色度が5〜15EBCであって、かつ、フルフラール成分が13〜18ppb、メチオナール成分が1.0〜2.2ppb、フェニルアセトアルデヒド成分が10〜16ppbの範囲にそれぞれ調整できることがわかった。なお、表3中、「カラメル感」とは、主として香りの特徴で、カラメル麦芽を用いたビールに強く感じられる、甘みをともなう焦げた風味を表す。下記の表の結果からも分かるように、麦又は麦芽を用いずに醸造した発酵アルコール飲料はそのままでは風味やボディ感に欠け、薄っぺらいものになるが、メイラード反応物を用いることにより、カラメル感(カラメル麦芽を用いた風味)や甘味が増し、温和でボディ感のあるものを製造することができた。また、外観についても、カラメル色素で着色したものに比較して、輝きがあり、色調が良いという特徴があった。それらの特徴は、全原料の70%麦芽を使用したビールに方向性として近く、かつ、特異な臭味はなく、自然な特徴であった。

Claims (1)

  1. 糖とタンパク分解物とのメイラード反応物及びその調製物を用いて発酵アルコール飲料の液色及び風味を調整することによって製造され、かつ、麦又は麦芽を使用しない発酵アルコール飲料において、発酵アルコール飲料の色度が5〜15EBCであり、かつ、発酵アルコール飲料中のメチオナール成分が少なくとも1.0ppbであるか、及び/又は、フェニルアセトアルデヒド成分が少なくとも10ppbであることを特徴とする液色及び風味に優れた発酵アルコール飲料。
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