JP4953264B2 - 不可視隠し表示の識別方法 - Google Patents

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Description

【0001】
本発明は可視光線下では不可視の隠し表示を基材内部に有する基材に関し、より詳しくは、可視光線下では不可視の隠し表示が少なくとも1種のレーザー染料を含む複数の励起発光染料を用いて形成されており、それで隠し表示を判読する必要がある時に少なくともレーザー光線の照射、複数の励起光線の照射及び受光センサーを必要とする不可視隠し表示を基材内部に有する基材であって、隠し表示が耐光性となり且つ耐擦れ落性となるように配置されている基材を用いた不可視隠し表示の識別方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、商品の流通経路の追跡を行なったり、正規の製品等の確認を行なったりするために、可視光線下では不可視であるが紫外線を照射した時に蛍光発光して視認が可能となるロット番号等の数字、暗号、図形等の隠し表示を、蛍光染料含有印刷用インクを用いて商品等の表面に印刷し、商品等の出荷後に商品等の確認を行う必要がある時、場所でその隠し表示部分に紫外線を照射して蛍光発光させ、隠し表示を視認する方法が実用化されている(例えば、特公昭54−22336号公報、特公昭62−5079号公報等を参照のこと)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上記のような蛍光染料含有印刷用インクを用いて可視光線下では不可視の隠し表示を印刷した場合には、励起用光源として市販の安価で簡単な紫外線ランプを使用して蛍光発光させ、目視によって隠し表示の識別を行うことができるため、不特定多数の者がその隠し表示を容易に識別することができる。従って、その隠し表示を削除したり、正規でない製品にその隠し表示を付与したりすることが容易であり、不可視識別という目的には対応し難い。
【0004】
また、上記のような印刷用インクを用いて隠し表示を基材表面に印刷した場合には、印刷用インクが基材表面に存在することにより耐光性の不足する蛍光染料ではその機能を長期間保持させることは極めて困難であり、更に、表面にある隠し表示は擦れて落ちる危険性があるので商品等の保管、移送の際に充分に注意する必要がある。
【0005】
本発明は、不特定多数の者が可視光線下では不可視の隠し表示を容易には識別できないように、その隠し表示を判読する必要がある時に少なくともレーザー光線の照射、複数の励起光線の照射及び受光センサーを必要とする不可視隠し表示を基材内部に有する基材であって、隠し表示が耐光性となり且つ耐擦れ落性となるようにされている基材を用いた不可視隠し表示の識別方法を提供することを課題としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は上記の課題を達成するために鋭意検討を行った結果、可視光線下では不可視の隠し表示を少なくとも1種のレーザー染料を含む複数の励起発光染料を用いて基材内部に形成することにより上記の課題が達成できることを見いだし、本発明を完成した。即ち、本発明は
視光線下では不可視であり、少なくとも1種のレーザー染料を含む複数の励起発光染料であって各励起発光染料の発光スペクトルのピーク波長域が異なる複数の励起発光染料からなる隠し表示を基材内部に有する基材に、前記複数の励起発光染料のそれぞれを励起発光させる複数の励起光線を照射して複数の励起発光染料をそれぞれ発光させ、前記複数の励起発光染料のそれぞれの発光スペクトルのピーク波長域のみを透過させるバンドフィルター又はカットフィルターを具備する複数の受光センサーにより前記複数の励起発光染料のそれぞれのピーク波長を検出することを特徴とする不可視隠し表示の識別方法にある。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の実施の形態を具体的に説明する。
本発明の不可視隠し表示を基材内部に有する基材においては、可視光線下では不可視の隠し表示を形成するのに用いる励起発光染料として、少なくとも1種のレーザー染料を含む複数の励起発光染料を用いることが必須である。即ち、複数の励起発光染料としてレーザー染料のみを用いても、或いは複数の励起発光染料としてレーザー染料及び蛍光染料を併用してもよい。
【0008】
本発明の不可視隠し表示を基材内部に有する基材においては、得られる効果に程度の差はあるが種々のレーザー染料を用いることができる。それらのレーザー染料の例としては、3,3’−ジメチルオキサトリカルボシアニンイオダイド(通常DOTCIと略称)、1,3,3,1’,3’,3’−ヘキサメチルインドトリカルボシアニンイオダイド(通常HITCIと略称)、1,3,3,1’,3’,3’−ヘキサメチルインドカルボシアニンイオダイド(通常HIDCと略称)、5,5’−ジクロロ−11−ジフェニルアミノ−3,3−ジエチル−10,12−エチレン−チアトリカルボシアニンパークロレート(通常IR140という)等のシアニン色素;ローダミン6G、ローダミン101、ウラニン等のキサンチン色素;クレジオバイオレット、オキサジン1等のオキサジン色素;4−メチルウンペリフェロン、カルセインブルー、7−ジエチルアミノ−4−メチルクマリン(通常DAMCと略称)、7−アミノ−4−メチルクマリン(通常クマリン120という)等のクマリン誘導体;7−ジエチルアミノ−4−メチル−2−キノロン(通常カルボスチリル165という)等のキノロン誘導体;スチルベン1等のスチルベン誘導体;2−フェニル−5−(4−ビフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール(通常PBDと略称)、パラービス(5−フェニルオキサゾール−2−イル)ベンゼン(通常POPOPと略称)等のオキサゾール・オキサジアゾール;ポリフェニル1等のパラ−オリゴフェニレン類等を挙げることができる。
【0009】
本発明の不可視隠し表示を基材内部に有する基材においては、上記のレーザー染料の中で特に顕著な効果を達成することのできる1,3,3,1’,3’,3’−ヘキサメチルインドカルボシアニンイオダイド(HIDC)及び/又は5,5’−ジクロロ−11−ジフェニルアミノ−3,3−ジエチル−10,12−エチレン−チアトリカルボシアニンパークロレート(IR−140)を用いることが好ましい。
【0010】
本発明の不可視隠し表示を基材内部に有する基材においては、1種以上の上記のレーザー染料との組合せで蛍光染料を使用することもできる。それらの蛍光染料の例としては、テノイルトリフルオロアセトン、チオフェイン、クマリン等が挙げられる。蛍光染料を使用する場合には、これらの蛍光染料の1種又は2種以上をレーザー染料と併用して使用する。
【0011】
本発明の不可視隠し表示を基材内部に有する基材においては、基材の例として紙、布、フィルム、板、テープ等が挙げられる。不可視隠し表示を基材内部に有する基材が紙である場合の例としては、有価証券類、投票券、証明書等の原紙を挙げることができる。本発明の不可視隠し表示を基材内部に有する基材においては、その大小、形状等は特には制限されない。
【0012】
本発明の不可視隠し表示を基材内部に有する基材は、基材が紙である場合には、叩解処理したメカニカルパルプ、ケミカルパルプ、セミケミカルパルプ、古紙パルプ等のパルプ、サイズ剤、填料等を含む完成紙料に更に可視光線下では不可視であって少なくとも1種のレーザー染料を含む複数の励起発光染料を添加し、手漉きにより又は抄紙機により抄造することにより得ることができる。また、基材が樹脂フィルムである場合には、上記の複数の励起発光染料を含有する樹脂溶融物から樹脂フィルムを成形することにより得ることができる。
【0013】
これらの場合には、得られる紙、フィルム等の基材中の励起発光染料の量が0.001〜1質量%となるように完成紙料中又は樹脂中の励起発光染料の量を調整することが好ましい。紙、フィルム等の基材中の励起発光染料の量が0.001質量%未満の場合は、絶対濃度不足により、発光当量不足でセンサーの感度に到らなくなる傾向があるので好ましくない。逆に、励起発光染料が1質量%を越えると、濃度消光により、発光当量が極端に低下し、センサーの感度に到らなくなる傾向があるので好ましくない。
また、本発明の不可視隠し表示を基材内部に有する基材は、基材が紙、布等の吸液性の基材である場合には、可視光線下では不可視であって少なくとも1種のレーザー染料を含む複数の励起発光染料の溶液又は分散液を、励起発光染料を含有していない紙又は布の全部又は一部に含浸させ、乾燥させることによっても得ることができる。
【0015】
更に、本発明の不可視隠し表示を基材内部に有する基材は、種々の商品、紙、布、フィルム、板、テープ等の部材の表面に、可視光線下では不可視であって少なくとも1種のレーザー染料を含む複数の励起発光染料を含有する印刷用インク又は塗料で隠し表示を形成し、その隠し表示の上に紙、布、フィルム、テープ等を貼り合わせることにより、或いは紙、布、フィルム、テープ等の表面に上記のようにして隠し表示を形成し、その隠し表示を形成した面を種々の商品、紙、布、フィルム、板、テープ等の部材の表面に貼り合わせることにより得ることができる。
【0016】
本発明の不可視隠し表示を基材内部に有する基材を製造するのに用いる上記の印刷用インク又は塗料の組成は特には限定されず、それらのバインダー成分は通常の印刷用インク又は塗料において使用される樹脂であっても、又は反応により樹脂を形成するモノマー、オリゴマー等であってもよい。樹脂としては後記する有機系に溶解するか又は安定に分散するものであれば従来から印刷用インク又は塗料に使用されている各種樹脂が使用可能である。そのような樹脂の具体例としては、アクリル樹脂、スチレン−マレイン酸樹脂、マレイン酸樹脂、シェラック樹脂、シリコーンアクリル樹脂、p−トルエンスルホン酸アミド樹脂、p−ビニルピロリドン樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、又はこれらの樹脂の変性物等が代表的なものとして挙げられる。また、バインダー樹脂は、紫外線硬化型樹脂、熱硬化型樹脂、常温乾燥型樹脂のいずれであってもよい。また、反応により樹脂を形成するモノマー、オリゴマー等としては、反応により上記のような樹脂を形成するものを用いることができる。バインダー成分は印刷用インク又は塗料中に、それらの所望の粘度等に応じて5〜99質量%、好ましくは10〜99質量%の量で配合するのが適当である。
【0017】
本発明の不可視隠し表示を基材内部に有する基材を製造するのに用いる印刷用インク又は塗料においては必要に応じて有機系溶媒を用いる。即ち、硬化前のバインダー成分が液状又はペースト状であり、該バインダー成分と複数の励起発光染料との混合物が印刷用インク又は塗料として必要な粘度を有する場合には有機系溶媒を添加する必要がない。しかし、バインダー成分が固体であるか又は粘度が高い場合には、有機系溶媒を添加してバインダー成分を溶解させるか又は安定に分散させ、或いは粘度を調整する。
【0018】
本発明の不可視隠し表示を基材内部に有する基材を製造するのに用いる印刷用インク又は塗料において有機系溶媒を用いる場合には、少なくとも1種のレーザー染料を含む複数の励起発光染料に対する溶解性や印刷用インクの乾燥性等の観点から特にアルコールが好ましい。該アルコールとしては、炭素数が例えば1〜10、好ましくは1〜8、特に好ましくは1〜6の直鎖又は分岐のアルコール、具体的には、例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、 sec−ブタノール、tert−ブタノール、n−アミルアルコール、イソアミルアルコール等が挙げられる。
【0019】
本発明の不可視隠し表示を基材内部に有する基材を製造するのに用いる印刷用インク又は塗料に用いることのできるその他の有機系溶媒としてはメチルエチルケトン、アセトンなどのケトン類、エチレングリコールモノプロピルエーテル等のエーテル類、ジメチルスルホキシド等を挙げることができる。これらのその他の有機系溶媒は単独で用いることも、アルコールと併用することもできる。更に、これらの有機系溶媒は、バインダー成分や少なくとも1種のレーザー染料を含む複数の励起発光染料に対する溶解性や印刷用インクの乾燥性等に悪影響を及ぼさない範囲で水を含んでいてもよい。必要に応じて添加する有機系溶媒は印刷用インク又は塗料中に、後記する粘度となるように、通常0.1〜80質量%、好ましくは0.1〜50質量%の量で配合することが適当である。
【0020】
本発明の不可視隠し表示を基材内部に有する基材を製造するのに用いる印刷用インク又は塗料は、以上に説明した少なくとも1種のレーザー染料を含む複数の励起発光染料及びバインダー成分を含有し、必要に応じて有機系溶媒を含有し、更に、必要に応じて界面活性剤や、トリエチルアミン、トリエタノールアミン、アンモニア等の溶解助剤などの各種添加剤を含有することができる。
【0021】
本発明の不可視隠し表示を基材内部に有する基材を製造するのに用いる印刷用インクは均質であって、スクリーン印刷、グラビア印刷、凸版印刷等に適合するように、好ましくは、粘度が1mPa・s以上であることが適当である。なお、印刷用インクの粘度の上限については明確には規定されないが、上記の印刷を考慮すると粘度の上限は15,000〜80,000mPa・s程度である。
また、本発明の不可視隠し表示を基材内部に有する基材を製造するのに用いる塗料の粘度については塗布が可能であれば特に制限されることはない。
【0022】
上記の印刷インク又は塗料を用いて隠し表示を形成する場合には、印刷用インクを用いてスクリーン印刷、グラビア印刷、凸版印刷等の印刷方法によってロット番号等の数字、暗号、図形等の隠し表示を被印刷物表面に形成し、又は塗料を塗布してロット番号等の数字、暗号、図形等の隠し表示を形成し、必要により紫外線硬化させ、或いは自然乾燥、焼付乾燥等により乾燥、硬化させて隠し表示を形成する。その後、その隠し表示の上に紙、布、フィルム、テープ等を貼り合わせることにより、或いは紙、布、フィルム、テープ等の表面に上記のようにして隠し表示を形成し、その隠し表示を形成した面を種々の商品、紙、布、フィルム、板、テープ等の部材の表面に貼り合わせる。
【0023】
本発明の不可視隠し表示を基材内部に有する基材においては、隠し表示が基材内部にあるので、隠し表示が耐光性となり且つ耐擦れ落性となっている。
本発明の不可視隠し表示を基材内部に有する基材においては、隠し表示を判読する必要がある時に、隠し表示に、それぞれの励起発光染料に適した励起光線を照射して発光させ、それぞれの励起発光染料の発光光に対応する複数の受光センサーによりそれぞれのピーク波長を検出する。
【0024】
この検出方法について図面を参照して具体的に説明する。先ず、図1を参照して説明する。A、B及びCの3種類の励起発光染料を含有する溶液を基材1の一部に含浸させ、乾燥させて基材1の内部に可視光線下では不可視の隠し表示2を形成する。A染料用の励起光源3、B染料用の励起光源4、C染料用の励起光源5、A染料の励起で発生する発光スペクトルのピーク波長域のみを透過させる(即ち、A、B及びCの各染料を励起する励起光線の反射光並びにB及びCの各染料の励起で発生する発光光を透過させない)バンドフィルター6、バンドフィルター6を透過した光を受光し、透過エネルギー量を検出する受光センサー7、B染料励起で発生する発光スペクトルのピーク波長域のみを透過させる(即ち、A、B及びCの各染料を励起する励起光線の反射光並びにA及びCの各染料の励起で発生する発光光を透過させない)バンドフィルター8、バンドフィルター8を透過した光を受光し、透過エネルギー量を検出する受光センサー9、A、B及びCの各染料を励起する励起光線の反射光並びにA及びBの各染料の励起で発生する発光光を透過させないカットフィルター10、並びにカットフィルター10を透過した光を受光し、透過エネルギー量を検出する受光センサー11を、例えば図1に示すように配置する。
【0025】
A染料用の励起光源3、B染料用の励起光源4、及びC染料用の励起光源5からそれぞれ励起光線を照射し、隠し表示2中のA染料、B染料及びC染料をそれぞれ励起して発光させる。それぞれの励起光線はそれぞれの励起光源から同時に又は順次照射する。それぞれの発光光はそれぞれのバンドフィルター、カットフィルターを透過してそれぞれの受光センサーで同時に又は順次受光され、エネルギー量が検出される。ここでいう同時又は順次については、照射及び受光をA、B及びCの各染料用の励起光源に関して3者を同時に実施しても、3者を順次実施しても、任意の2者を同時に実施した後に残りの1者を実施しても、或いは任意の1者を実施した後に残りの2者を同時に実施しても良い。
【0026】
図1に示すように配置したA染料用の励起光源3、B染料用の励起光源4、及びC染料用の励起光源5から同時に励起光線を照射し、隠し表示2中のA染料、B染料及びC染料をそれぞれ励起して発光させると、その発光光の発光エネルギー比は図2中の実線12になる。実線12上のPA部分はA染料の励起で発生する発光スペクトルのピーク波長域であり、PB部分はB染料の励起で発生する発光スペクトルのピーク波長域であり、PC部分はC染料の励起で発生する発光スペクトルのピーク波長域である。図2中の二点鎖線13はバンドフィルター6を透過する波長範囲及び透過エネルギー比を示し、点線14はバンドフィルター8を透過する波長範囲及び透過エネルギー比を示し、一点鎖線15はカットフィルター10を透過する(見方を変えれば、カットフィルター10を透過することのできない)波長範囲及び透過エネルギー比を示している。
【0027】
図1に示すような配置で上記のように照射及び受光を実施することにより、受光センサー7ではA染料の励起で発生する発光スペクトルのピーク波長域の発光エネルギーをバンドフィルター6を透過する発光光の透過エネルギー比率で受光し、受光センサー9ではB染料の励起で発生する発光スペクトルのピーク波長域の発光エネルギーをバンドフィルター8を透過する発光光の透過エネルギー比率で受光し、受光センサー11ではC染料の励起で発生する発光スペクトルのピーク波長域の発光エネルギーをカットフィルター10を透過する発光光の透過エネルギー比率で受光することができるので、隠し表示2中のA染料、B染料及びC染料をそれぞれ識別することができ、従って、A染料、B染料及びC染料の混合物であるか否かを確認することができる。
【0028】
尚、上記した実施の態様においては、A染料の励起で発生する発光スペクトルのピーク波長域のみを透過させるためにバンドフィルターを用い、B染料の励起で発生する発光スペクトルのピーク波長域のみを透過させるためにバンドフィルターを用い、C染料の励起で発生する発光スペクトルのピーク波長域のみを透過させるためにカットフィルターを用いたが、それぞれ所定の発光スペクトルのピーク波長域のみを透過させることができるば、バンドフィルター及びカットフィルターをどのように組み合わせて用いてもよい。
【0029】
【実施例】
以下に、実施例、比較例に基づいて具体的に説明する。
実施例
メチルアルコール5.0質量部と、HIDC(励起発光光の波長685nm)0.01質量部と、IR−140(励起発光光の波長900nm)0.05質量部とからなる励起発光染料含有アルコール溶液を官製はがきに含浸させ、乾燥させた。この励起発光染料含有官製はがき中の励起発光染料の量は0.05質量%であり、また、この励起発光染料含有官製はがきは未処理の官製はがきと区別できなかった。即ち、可視光線下では不可視の隠し表示を内部に有する官製はがきを得た。
【0030】
上記のようにして得た励起発光染料含有官製はがきの不可視隠し表示の測定のために、図3に示すように、IR−140用の励起光源(波長830nmの励起光線を発生するレーザーダイオード)16、HIDC用の励起光源(波長654nmの励起光線を発生するHe−Neレーザー)17、IR−140の励起で発生する発光スペクトルのピーク波長域のみを透過させるバンドフィルター18、バンドフィルター18を透過した光を受光し、透過エネルギー量を検出する受光センサー19、HIDC用の励起光線の反射光を透過させないがHIDCの励起で発生する発光スペクトルのピーク波長域を透過させるカットフィルター20、並びにカットフィルター20を透過した光を受光し、透過エネルギー量を検出する受光センサー21を配置した。
【0031】
IR−140用の励起光源16から励起光線を照射し、隠し表示2中のIR−140を励起して発光させた。その発光光をバンドフィルター18を透過させて受光センサー19で受光させ、エネルギー量を検出した。次いで、HIDC用の励起光源17から励起光線を照射し、隠し表示2中のHIDCを励起して発光させた。その発光光をカットフィルター20を透過させて受光センサー21で受光させ、エネルギー量を検出した。
【0032】
隠し表示2中のIR−140及びHIDCをそれぞれ励起して得られたそれぞれの発光スペクトルのピーク波長域を同一チャート上に表示すると図4中の実線22の通りであった。図4中の二点鎖線23はバンドフィルター18を透過する波長範囲及び透過エネルギー比を示し、点線24はカットフィルター20を透過する(見方を変えれば、カットフィルター20を透過することのできない)波長範囲及び透過エネルギー比を示している。
【0033】
図3に示すような配置で上記のように照射及び受光を実施することにより、受光センサー19ではIR−140の励起で発生する発光スペクトルのピーク波長域の発光エネルギーをバンドフィルター18を透過する発光光の透過エネルギー比率で受光し、受光センサー21ではHIDCの励起で発生する発光スペクトルのピーク波長域の発光エネルギーをカットフィルター20を透過する発光光の透過エネルギー比率で受光することができるので、隠し表示2中のIR−140及びHIDCをそれぞれ識別することができ、従って、IR−140及びHIDCの混合物であるか否かを確認することができた。
【0034】
なお、上記の方法では、IR−140の励起発光及び検出を先に実施し、HIDCの励起発光及び検出を後で実施したが、HIDCの励起発光及び検出を先に実施し、IR−140の励起発光及び検出を後で実施した場合にも全く同様な結果が得られた。
【0035】
比較例1
2−エチルへキシルメタクリレート57.0質量部、重合開始剤(2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド)2.0質量部、アクリルウレタンオリゴマー41.0質量部、メチルエチルケトン5.0質量部、メチルアルコール5.0質量部、HIDC(励起発光光の波長685nm)0.01質量部及びIR−140(励起発光光の波長900nm)0.05質量部からなる印刷用インクを用いて官製はがきに直径2cmの黒丸を印刷し、UVランプで乾燥し、硬化させて、可視光線下では不可視の隠し表示を官製はがきの表面上に形成した。
【0036】
実施例
比較例1と同様にして、可視光線下では不可視の隠し表示を官製はがきの表面上に形成した。その後、この官製はがきの隠し表示側表面に薄葉紙(和紙)を貼り合わせて可視光線下では不可視の隠し表示を内部に有し、表面が和紙の官製はがきを得た。
【0037】
<耐光性試験>
実施例1及び2並びに比較例1で処理した官製はがきを、南側の窓ガラスに貼付し、毎月の応当日に励起発光強度を測定した。初期の発光強度の50%以上を維持している期間(初期の発光強度の50%未満になった月の前月迄の月数)は第1表に示す通りであった。
【0038】
Figure 0004953264
【0039】
【発明の効果】
本発明の不可視隠し表示を基材内部に有する基材においては、複数の励起発光染料の各々を正確に識別することができるので、不特定多数の者がその隠し表示を容易には識別できない。
【図面の簡単な説明】
【図1】 A、B及びCの3種類の励起発光染料を含有している印刷用インクを用いてメディアの表面上に形成した隠し表示を識別するための、3種の励起光源、2種のバンドフィルター、1種のカットフィルター、及び3種の受光センサーの配置関係を示す概略図である。
【図2】 図1に示す配置で同時に励起光線を照射し、隠し表示中のそれぞれの染料を励起し、発光させて得られる発光光の発光エネルギー比、各バンドフィルター、カットフィルターを透過する波長範囲及び透過エネルギー比を示す概略説明図である。
【図3】 実施例1で得た可視光線下では不可視の隠し表示を内部に有する官製はがきの隠し表示を識別するための、2種の励起光源、1種のバンドフィルター、1種のカットフィルター、及び2種の受光センサーの配置例を示す概略図である。
【図4】 実施例1で測定した発光光の発光エネルギー比、バンドフィルターを透過する波長範囲及び透過エネルギー比、カットフィルターを透過する波長範囲及び透過エネルギー比を示す概略説明図である。
【符号の説明】
1 基材(官製はがき)
2 隠し表示
3、4、5、16、17 励起用光源
6、8、18 バンドフィルター
10、20 カットフィルター
7、9、11、19、21 受光センサー

Claims (4)

  1. 視光線下では不可視であり、少なくとも1種のレーザー染料を含む複数の励起発光染料であって各励起発光染料の発光スペクトルのピーク波長域が異なる複数の励起発光染料からなる隠し表示を基材内部に有する基材に、前記複数の励起発光染料のそれぞれを励起発光させる複数の励起光線を照射して複数の励起発光染料をそれぞれ発光させ、前記複数の励起発光染料のそれぞれの発光スペクトルのピーク波長域のみを透過させるバンドフィルター又はカットフィルターを具備する複数の受光センサーにより前記複数の励起発光染料のそれぞれのピーク波長を検出することを特徴とする不可視隠し表示の識別方法。
  2. 複数の励起発光染料がレーザー染料のみからなる請求項1記載の不可視隠し表示の識別方法。
  3. 複数の励起発光染料がレーザー染料及び蛍光染料からなる請求項1記載の不可視隠し表示の識別方法。
  4. レーザー染料が1,3,3,1’,3’,3’−ヘキサメチルインドカルボシアニンイオダイド及び5,5’−ジクロロ−11−ジフェニルアミノ−3,3−ジエチル−10,12−エチレン−チアトリカルボシアニンパークロレートからなる群から選ばれる少なくとも1種のレーザー染料である請求項1、2又は3記載の不可視隠し表示の識別方法。
JP2000298717A 2000-09-29 2000-09-29 不可視隠し表示の識別方法 Expired - Lifetime JP4953264B2 (ja)

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