JP4952168B2 - ビニル・シス−ポリブタジエン組成物の製造方法 - Google Patents
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(1)マトリックス成分であるシス−ポリブタジエンとしては、下記の特性を有することが望ましい。
シス構造含有率が80%以上、好ましくは90%以上であり、実質的にゲル分を含有しないことが望ましい。ここで、実質的にゲル分を含有しないとは、トルエン不溶解分が0.5質量%以下であることを意味する。
ムーニー粘度(ML1+4 100℃、以下「ML」と略す)が10〜100、好ましくは10〜50、より好ましくは10〜40のものとする。
トルエン溶液粘度(センチポイズ/25℃、以下「T-cp」と略す)が10から300、好ましくは10〜150、より好ましくは10〜100である。
重量平均分子量が20万〜100万、好ましくは30万〜80万である。
[η](固有粘度)が1.0〜5.0、好ましくは1.0〜4.0である。
T-cp/MLが1〜10であることが好ましい。
また、平均の短繊維結晶の長軸長さが0.2μm以下、アスペクト比が10以下であり、好ましくは、8以下であり、且つ平均の短繊維結晶数が10以上、好ましくは、15以上であることが好ましい。
ポリイソプレン重合体のML粘度が上記の範囲であると、シス−ポリブタジエンマトリックス中へのシンジオタクチック−1,2−ポリブタジエン短繊維結晶の分散状態が良好になり、優れたダイ・スウェル特性や高弾性、引張強さの発現に好ましい。
ポリイソプレン重合体のシス構造含有率が90%以上であることが好ましい。
ポリイソプレン重合体のポリスチレン換算で求めた重量平均分子量が30万〜200万の範囲であることが好ましい。
上記範囲内であると、シス−ポリブタジエンゴム中のシンジオタクチック−1,2−ポリブタジエン短繊維結晶が大きくなりやすく、その分散性が悪くなることが抑制できる。また1質量%未満の少量の場合、短繊維結晶による補強性が低下するが、これも回避できる。したがって、特長となる弾性率・発熱性・押出加工性及び成形性等が発現し難いとか、また加工性が悪化するなどの問題が起こりにくいため好ましい。
上記範囲内であることは、上記(2)成分のシンジオタクチック−1,2−ポリブタジエン短繊維結晶の凝集による分散性の低下、それに伴うビニル・シス−ポリブタジエン組成物が引出す諸物性低下抑制などの点で好ましい。
-ブタジエンと炭化水素系有機溶剤を主成分としてなる混合物に、(a)遷移金属化合物のメタロセン型錯体、及び(b)非配位性アニオンとカチオンとのイオン性化合物及び/又はアルモキサンからなる触媒を用いた重合により製造され、シス-1,4構造が65〜95%、かつ、ビニル構造が40〜4%である高シス-高ビニルポリブタジエンであってもよい。
(1)1,2ポリブタジエン短繊維結晶含有量;2gのビニル・シス−ポリブタジエン組成物を200mlのn−ヘキサンにて4時間ソックスレー抽出器によって沸騰抽出した不溶分(抽出残部)を質量%で示した。該沸騰n-ヘキサン不溶分がシンジオタクチック-1,2-ポリブタジエン短繊維結晶である。
(2)1,2ポリブタジエン短繊維結晶の融点;沸騰n−ヘキサン抽出残部を示差走査熱量計(DSC)による吸熱曲線のピーク温度により決定した。
(3)1,2ポリブタジエン短繊維結晶のηsp/c;分子量の目安として、沸騰n−ヘキサン抽出残部の0.20g/dlのテトラリン溶液から135℃で還元粘度を測定した。
(4)短繊維結晶形態及び短繊維結晶数;ビニル・シス−ポリブタジエン組成物を一塩化硫黄と二硫化炭素で加硫し、加硫物を超薄切片で切り出して四塩化オスミウム蒸気でビニル・シスポリブタジエンのゴム分の二重結合を染色して、透過型電子顕微鏡で観察して求めた。短繊維結晶数は、透過型電子顕微鏡より求めた400μ2当りの長軸長さ0.2μ以下の数で表す。
(5)ビニル・シス−ポリブタジエン組成物中のゴム分(沸騰n−ヘキサン可溶分)のミクロ構造;赤外吸収スペクトル分析によって行った。シス740cm-1、トランス967cm-1、ビニル910cm-1の吸収強度比からミクロ構造を算出した。
(6)ビニル・シス−ポリブタジエン組成物中のゴム分のトルエン溶液粘度;25℃における5質量%トルエン溶液の粘度を測定してセンチポイズ(cp)で示した。
(7)ビニル・シス−ポリブタジエン組成物中のゴム分の分子量(Mw);沸騰n-ヘキサン可溶分のテトラヒドロフラン溶液にてゲル浸透クロマトグラフィー(GPC、トーソー社HLC-802A)により、40℃標準ポリスチレンを使用した検量線より重量平均分子量(Mw)を求めた。
(8)ビニル・シス−ポリブタジエン組成物中のゴム分の[η];沸騰n−ヘキサン可溶分を乾燥採取し、トルエン溶液にて30℃の温度で測定した。
(9)ムーニー粘度;JIS K6300に準じて100℃にて測定した値である。
(10)ポリイソプレンのグラフト率:沸騰n−ヘキサン不溶分中のシンジオタクチック-1,2-ポリブタジエン(SPB)含有量とポリイソプレン(IR)含有量の比を赤外吸収スペクトル分析(SPB及びIR、それぞれ906cm-1及び1375cm-1の吸光度)より算出し、グラフト率を求めた。
(11)引張り弾性率(M100);JIS K6301に従い、100%伸張時の弾性率を測定した。指数の大きい方が弾性率が高く、優れる。
(12)スウェル:加工性測定装置(モンサント社、MPT)を用いて配合物の押出加工性の目安として、100℃、100sec-1 のせん断速度で押出し時の配合物の径とダイオリフィス径(L/D=1.5mm/1.5mm)の比を測定して求めた。指数の小さい方が加工性に優れる。
(13)発熱特性:グッドリッチフレクソメーターを用い、ASTMD623に従い、歪0.175インチ、荷重5.5ポンド、100℃35分の条件で測定した。指数の小さい方が発熱が少なく、優れる。
窒素ガスで置換した内容30Lの攪拌機付ステンレス製反応槽中に、不飽和高分子物質であるポリイソプレン(IR:Mw=97.7×104、シス構造98
%)67gを加え、脱水シクロヘキサン/nーヘキサン(50/50)18kg、1.3−ブタジエン1.6kgを添加して1時間攪拌、溶解させた後、水48mmol、ジエチルアルミニウムクロライド84mmol、1.5−シクロオクタジエン70mmol及びコバルトオクトエート4mmolを添加、50℃で30分間攪拌し、シス重合を行った。シス重合後、重合液にトリエチルアルミニウム90mmol及びニ硫化炭素50mmol、更に1,1'−ジ−(Tert−ブチルペルオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン(IRに対して0.1質量%)を加え、50℃で更に60分間攪拌し、1,2重合を行った。重合終了後、重合生成液を4,6−ビス(オクチルチオメチル)−o−クレゾール1質量%を含むエタノール/シクロヘキサン混合溶液(ポリマー中に0.1質量%含まれる様に調整)を加えた後、60℃で真空乾燥した。この様にして得られたビニル・シスポリブタジエンゴムの収率は80%であった。その後、このビニル・シスポリブタジエンゴムの一部を沸騰nーヘキサンで処理、不溶分と可溶分を分離乾燥した。
得られた沸騰n−ヘキサン可溶分ポリマー(マリックスポリブタジエンゴム)のMLは31、Tcpは57でTcp/MLの関係は約1.8、ミクロ構造は1,2(ビニル)構造1.3%、トランス−1,4構造1.2%、シス−1,4構造97.5%であった。また、ポリスチレン換算質量平均分子量は40×104、[η]は1.7であった。一方、沸騰n−ヘキサン不溶分ポリマー(シンジオタクチック-1,2-ポリブタジエン)のηsp/c=1.5であり、IRのグラフト反応性を示すグラフト率は42%であった。また、ビニル・シスポリブタジエンゴムに含まれる短繊維結晶は均一性が高く分散し、長軸長さ0.2μm以下の短繊維結晶の数は100個以上で、アスペクト比は10以下、融点は202℃であった。
結果をまとめて表1及び表2に示した。
表1に示した条件以外は、実施例1と同様に行った。表2に結果を示す。
表3に示した条件以外は、実施例1と同様に行った。表4に結果を示す。
Claims (15)
- ポリブタジエンゴムのマトリックス中に、シンジオタクチック−1,2−ポリブタジエン重合体が微細化した短繊維結晶状態で分散しており、シンジオタクチック−1,2−ポリブタジエン重合体の短繊維結晶にグラフト反応によりポリイソプレン重合体が付加し、さらにペルオキシケタール類、過酸化ジアルキル類、過酸化ジアシル類、過酸エステル類、ヒドロ過酸化物類またはケトンペルオキシド類の有機過酸化物を添加することを特徴とするビニル・シス-ポリブタジエンの製造方法。
- シス−1,4重合する工程、引き続き、1,2重合する工程から請求項1に記載のビニル・シス-ポリブタジエンの製造方法において、シス−1,4重合する工程の後かつ1,2重合する工程の前にペルオキシケタール類、過酸化ジアルキル類、過酸化ジアシル類、過酸エステル類、ヒドロ過酸化物類またはケトンペルオキシド類の有機過酸化物を添加することを特徴とする請求項1に記載のビニル・シス-ポリブタジエンの製造方法。
- ポリイソプレン重合体をシス−1,4重合する工程の前または1,2重合する工程の前に添加することを特徴とする請求項1〜2のいずれかに記載のビニル・シス-ポリブタジエンの製造方法。
- 該有機過酸化物を、添加ポリイソプレン重合体に対して、0.001質量%〜5質量%の範囲で添加することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のビニル・シス-ポリブタジエンの製造方法。
- 該有機過酸化物の分子量が500以下の範囲であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のビニル・シス-ポリブタジエンの製造方法。
- 該ポリイソプレン重合体が合成ポリイソプレン、天然ゴム、官能基で主鎖及び/または側鎖が変性された変性ポリイソプレンであることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のビニル・シス-ポリブタジエンの製造方法。
- 該ポリイソプレン重合体のムーニー粘度ML(ML1+4,100℃)が10〜150の範囲であり、ポリイソプレン重合体の含有量が0.01質量%〜50質量%であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載のビニル・シス-ポリブタジエンの製造方法。
- 該ポリイソプレン重合体のシス構造体含有量が90%以上であることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載のビニル・シス-ポリブタジエンの製造方法。
- 該ポリイソプレン重合体のポリスチレン換算で求めた重量平均分子量が30万〜200万の範囲であることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載のビニル・シス-ポリブタジエンの製造方法。
- シンジオタクチック−1,2−ポリブタジエン重合体の含有量が1質量%〜25質量%であることを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載のビニル・シス-ポリブタジエンの製造方法。
- 該シンジオタクチック−1,2−ポリブタジエン重合体が融点170℃〜230℃の結晶性重合体であり、ηsp/cが1.0〜5.0であることを特徴とする請求項1〜10のいずれかに記載のビニル・シス-ポリブタジエンの製造方法。
- 該シンジオタクチック−1,2−ポリブタジエン重合体の平均の短繊維結晶の長軸長さが0.2μm以下に微細化した状態で該マトリックスポリブタジエンに分散していることを特徴とする請求項1〜11のいずれかに記載のビニル・シス-ポリブタジエンの製造方法。
- 該マトリックスポリブタジエンのシス構造体含有量が80%以上であることを特徴とする請求項1〜12のいずれかに記載のビニル・シス-ポリブタジエンの製造方法。
- 該マトリックスポリブタジエンのポリスチレン換算で求めた重量平均分子量が30万〜80万の範囲であり、固有粘度([η])が1.0〜5.0であることを特徴とする請求項1〜13のいずれかに記載のビニル・シス-ポリブタジエンの製造方法。
- 該マトリックスポリブタジエンのムーニー粘度ML(ML1+4,100℃)が10〜50であり、25℃における5質量%トルエン溶液の粘度であるT−cpが10〜150であり、更にT−cp/MLが1〜10であることを特徴とする請求項1〜14のいずれかに記載のビニル・シス-ポリブタジエンの製造方法。
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