JP4949888B2 - 摩擦式差動遊星動力伝達装置 - Google Patents

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本発明は、入力軸と出力軸とを同一軸線上に置き、減速段数が少なくて大きな減速比を得ることができる小型で低コストの摩擦式差動遊星動力伝達装置に関する。
入力軸と出力軸とを同一軸線上に置き、一段の減速で大きな減速比を得ることができる歯車式減速装置としては、調和式の歯車減速装置(商標:ハーモニックドライブ、以下ハーモニックドライブと言う。)が知られている。このハーモニックドライブは、楕円状の内輪と可撓の外輪を有し、転動体を介して互いに転動する軸受を用い、内輪を入力軸に固定し、外輪の外周に歯を設け、軸受の長径端の2点で外輪の外周側に固設された内歯車と噛合させたものであり、内輪が入力軸とともに1回転すると、外輪の長軸端部は外輪に設けた歯を内歯車の歯に噛合させながら回転して内歯車の元の位置に戻るが、外輪は楕円形をしていて内歯車より周長が短く、外輪の歯数は内歯車の歯数より少ないので、内歯車の元の位置に戻った長軸端部の歯は外輪の元の歯の位置を超えて不足分の歯数だけ先に進んだ歯となる。従って、内輪が1回転すると外輪は不足分の歯数分だけ逆方向に回転することになるので、この回転を出力軸に取出せば減速装置が得られる。このハーモニックドライブは、歯車を用いるので、歯車の特性に基づく種々の設計上の制約によって、減速比が制約されたり、バックラッシが大きくなる等の難点がある。この欠点を避けるために、歯車に代えてローラを用い、摩擦力によって力の伝達を行う摩擦式差動遊星動力伝達装置が提案されている。
この摩擦式差動遊星動力伝達装置の提案は種々あるが、一例として特許文献1に開陳されたものについて説明する。この動力伝達装置は、中心軸線が所定回転軸線cと一致するように配置される円筒状の外周面を有する太陽部材と、太陽部材の外周面に外接して摩擦により動力伝達する円筒状の外周面を各々有する複数個の遊星駆動部材と、複数個の遊星駆動部材を自転の回転軸線が回転軸線cと平行になるようにそれぞれ自転可能に支持するとともに、一緒に回転軸線c周りに公転可能に支持するキャリアと、中心軸線が回転軸線cと一致するように配置された複数個の遊星駆動部材の外周面に外接して摩擦により動力伝達する円筒状の内周面を有する剛性リングと、中心軸線が回転軸線cと一致するように配置される、剛性リングの内周面の周長よりも僅かに小さい周長の内周面を有し、その内周面が当該可撓性リングの部分的な弾性的拡径変形によって複数個の遊星駆動部材の外周面に外接して摩擦により動力伝達する可撓性リングとを具えているものである。
また、他の例として、特許文献2に開陳された減速装置について説明する。この減速装置は、入力軸と一体に形成されたフランジ状のキャリアの円周上に等間隔に固設された複数個の駆動ピンに回転自由に支持された駆動ローラと、この複数の駆動ローラの外周に内接するコップ状の薄肉円筒体と、この薄肉円筒体の外周に内接する断面がU字形の非回転円筒体で構成されており、このU字形の非回転円筒体はケーシングに固定されていて、ケーシングカバーでU字形の上部を横から押されると、U字形の底辺が曲がって下側に突出し、駆動ローラとの間で薄肉円筒体を挟んで押圧力を発生するようになっていて、減速の作用は前述の例と同様で、出力軸は薄肉円筒体のコップ状の底面に垂設されている。
特開2002−89641号公報 実開昭60−150354号公報
この種の摩擦式差動遊星動力伝達装置では、
(1)外側部材または薄肉円筒体の耐久性を考慮した構造および材質の選定。
(2)入力軸(太陽ローラ)、遊星ローラ(駆動ローラ)、出力軸(薄肉円筒体)相互の与圧方法。
(3)入力軸に遊星ローラの保持器であるキャリアが直結して高速で回転するので、回転に伴う摩擦損失が大きくなり、動力ロスが大きい。
に関する具体的な手段が重要な技術となる。
本発明は、入力軸と出力軸が同軸で、減速段数が少なく、減速比が極めて大きく、耐久
性が高く、構造が簡単で、組立が容易で、コストの低廉な小型の摩擦式差動遊星動力伝達
装置に関する具体的な手段の提供を目的とする。
(1)第1の手段の摩擦式差動遊星動力伝達装置は、ハウジング内に回転自在に支持された入力軸と一体の太陽ローラと、該太陽ローラに外接する複数の遊星ローラと、該複数の遊星ローラの互いの間隔を一定に保持するよう前記太陽ローラの外周部に設けられた保持器と、前記ハウジング内に固定された円筒状の外ローラと、該外ローラの内面と前記複数の遊星ローラの外面との間に夾装され、外周長が前記外ローラの内周長より小さい薄肉円筒体と、前記ハウジング内に回転自在に支持され前記薄肉円筒体に連結された出力軸とを備え、前記太陽ローラ、前記複数の遊星ローラ、前記薄肉円筒体および前記外ローラの間に押圧力による摩擦力により力を伝達する摩擦式差動遊星動力伝達装置であって、前記遊星ローラの外周面に勾配部が設けられ、前記遊星ローラと前記入力軸とが前記薄肉円筒体の内周部に軸線に沿って圧入され、前記薄肉円筒体には、外周側から内周側へ貫通する複数の孔が形成されていることを特徴とする。
(2)第2の手段の摩擦式差動遊星動力伝達装置は、ハウジング内に回転自在に支持された入力軸と一体の太陽ローラと、該太陽ローラに外接する複数の遊星ローラと、該複数の遊星ローラの互いの間隔を一定に保持するよう前記太陽ローラの外周部に設けられた保持器と、前記ハウジング内に固定された円筒状の外ローラと、該外ローラの内面と前記複数の遊星ローラの外面との間に夾装され、外周長が前記外ローラの内周長より小さい薄肉円筒体と、前記ハウジング内に回転自在に支持され前記薄肉円筒体に連結された出力軸とを備え、前記太陽ローラ、前記複数の遊星ローラ、前記薄肉円筒体および前記外ローラの間に押圧力による摩擦力により力を伝達する摩擦式差動遊星動力伝達装置であって、前記遊星ローラの外周面に勾配部が設けられ、前記遊星ローラと前記入力軸とが前記薄肉円筒体の内周部に軸線に沿って圧入された入出力子組立が前記外ローラに焼きばめされ、押圧力を発生させ、前記薄肉円筒体には、外周側から内周側へ貫通する複数の孔が形成されていることを特徴とする。
(3)第3の手段の摩擦式差動遊星動力伝達装置は、上記第1手段の摩擦式差動遊星動力伝達装置において、前記保持器は、押抜き型またはくり抜き型のケージ式保持器であることを特徴とする。
(4)第4の手段の摩擦式差動遊星動力伝達装置は、上記第2手段の摩擦式差動遊星動力伝達装置において、前記保持器は、遊星ローラの軸心を通るピンが設けられたことを特徴とする。
(5)第5の手段の摩擦式差動遊星動力伝達装置は、上記第1〜4手段のいずれかの摩擦式差動遊星動力伝達装置において、前記薄肉円筒体が前記複数の遊星ローラと前記外ローラとに圧接することを特徴とする。
(6)第6の手段の摩擦式差動遊星動力伝達装置は、上記第1〜5手段のいずれかの摩擦式差動遊星動力伝達装置において、前記薄肉円筒体は、弾性の大きい高力アルミ合金もしくはステンレス鋼で形成されていることを特徴とする。
(7)第7の手段の摩擦式差動遊星動力伝達装置は、上記第1〜6手段のいずれかの摩擦式差動遊星動力伝達装置において、前記薄肉円筒体の前記孔は、軸心方向成分を含む方向に長い長孔であることを特徴とする。
請求項1に係わる発明は、圧入による組立が容易となりコスト低減に寄与できる効果がある。
請求項1からに係わる発明は、組立時に行う圧入又は焼ばめによってローラ間の押圧力を得るようにしたので簡潔な構造となってコストの低減に寄与できる効果がある。また、入力軸に直結した太陽ローラにより駆動される遊星ローラ機構は、一段階減速した回転速度で回転するので、遊星ローラと保持器の回転速度はそれだけ遅くなり、回転に伴う摩擦損失を少なくできる効果がある。また、薄肉円筒体が複数の遊星ローラと外ローラとに圧接することにより、太陽ローラ、遊星ローラ、薄肉円筒体、外ローラの各間の摩擦力により動力を伝達し、太陽ローラ、遊星ローラ、薄肉円筒体による遊星減速比と、外ローラの内径長さと薄肉円筒体の外径の差と外ローラの内径長さの比による減速比との積を入出力の全減速比とすることができる。
(第1の実施の形態)
本発明の第1の実施の形態を図1〜図8によって説明する。図1は本発明の第1の実施の形態に係わる摩擦式差動遊星動力伝達装置の軸に沿った断面図、図2は図1のA−A断面図、図3は、自由状態にある出力軸側子組立と入力軸側子組立を示す断面図、図4〜図8は、各種の高応力軽減孔を備えた薄肉円筒体の断面図である。
図1において、1は入力軸、2は入力軸1と一体に形成された太陽ローラ、3は太陽ローラ2に外接する複数(図は3個の場合を示す)の円筒状の遊星ローラ、4は複数の遊星ローラ3の円周方向の位置を互いの間隔を一定となるよう保持する保持器で、ドーナツ形の板から遊星ローラが回転自在可能になるように、等角度にローラ形に抉り貫き、内径は太陽ローラ2に遊嵌可能な形状である。図1、図2はもみ抜き型の場合を示す。5は内周面を遊星ローラ3に外接する薄肉円筒体、6は薄肉円筒体5と一体に結合された出力軸、7は内周面を薄肉円筒体5に外接する外ローラ、8および9はそれぞれハウジングおよびハウジングカバーである。薄肉円筒体5は、弾性の大きいAl−Cu系合金またはAl−Mg−Si系合金等の高力アルミ合金若しくはステンレス鋼で形成され、一端はその内周部に遊星ローラが嵌装され、多端、すなわち反遊星ローラ側には厚肉部が設けられ、出力軸6に設けたフランジ6aに結合されている。
入力軸1は両端をハウジングカバー9と出力軸6のフランジ6aに夫々設けられたベアリング31,32を介して回転自在に支持されている。入力軸1と一体に形成された大径のフランジ1aとCリング33を介して位置決めされたワッシャ11を備えていて遊星ローラ3の軸方向の位置を拘束している。出力軸6は一端(図1の右側)にフランジ6aを備えていて、このフランジ6aに薄肉円筒体5の一端が結合されていて、他端(図1の左側)は入力軸1と同軸にハウジング8に2個のベアリング34,35を介して回転自在に支持されている。また、外ローラ7はハウジング8に嵌装され、ハウジングカバー9で横から挟まれて固定されている。
また、図3において、左側に図1から引出した自由状態にある薄肉円筒体5と出力軸6の結合した出力軸側子組立15と、右側に図1から引出された入力軸1、太陽ローラ2、遊星ローラ3、保持器4よりなる入力軸側子組立16を示しており、外ローラ7は組立て時の位置に参考に示してある。
薄肉円筒体5は組立前の自由状態では、外ローラ7の内周面より小さい直径と、適宜に薄い肉厚を持つ円筒体で、一端側(図の左側、すなわち出力軸側)は内向きで厚肉のフランジ5aとなって出力軸6の右端に設けられた大径のフランジ6aに圧入され、要すればスプリングピン36等で固定されている。このため、薄肉円筒体5は、出力軸6と異なる材料を自由に用いることができる。また、外ローラ7の内径と薄肉円筒体5の自由状態の外径の差は円周長の差を生じ、後述するように摩擦式差動遊星動力伝達装置の速度比iに直接係り、また、速度比iを小さくする(減速比1/iを大きくする)ために通常極めて小さくされる。この円周長の差はまた薄肉円筒体5の耐久性にも関係する。
図3に示すとおり、遊星ローラ3の外周部は、勾配部3a、屈曲部3c、円筒面3bを有している。勾配部3aは、円筒面3bから図中左側、すなわち出力軸側に向かって下る緩い傾斜面であり、軸線に平行な円筒面3bとの間の屈曲部3cはなだらかな曲線で繋がれている。入力軸側子組立16において、太陽ローラ2に外接した複数の遊星ローラ3により形成される外接円の直径に、自由状態での薄肉円筒体5の肉厚の2倍を加えた寸法は、外ローラ7の内径より僅かに大きく、また、勾配部3a部の出力軸側先端の外接円の直径は、自由状態の薄肉円筒体5の内径より僅かに小さくなっている。図3に示す状態で、入力軸側子組立16を出力軸側子組立15側にお互いの軸心を合わせながら移動させ、入力軸側子組立16の太陽ローラ2に外接した複数の遊星ローラ3を自由状態の出力軸側子組立15の薄肉円筒体5の内側に圧入させると、薄肉円筒体5が遊星ローラ3の勾配部3a部で押された部分は外周部に移動し、遊星ローラ3が当たらない部分は内周部に移動し図1および図2に示すように、薄肉円筒体5が外ローラの内面と複数の遊星ローラの外面との間に夾装された状態となる。このとき、遊星ローラ3の断面は僅かに楕円状に変形し、この変形による遊星ローラ3の直径方向の反力は、薄肉円筒体5の開口側先端部を三角おむすび状に変形させ、さらに太陽ローラ2、遊星ローラ3、薄肉円筒体5、外ローラ7の間に押圧力を与える。
また、入力軸側子組立16を自由状態の出力軸側子組立15の薄肉円筒体5の内側に圧入させると、薄肉円筒体5の図中右端開口面(入力軸側)が三角おむすび形に変形し、左側端面(出力軸側)が円形のままの錘状面に変形するが、この錘状面は線織面であって変形は比較的に容易である。さらに遊星ローラ3の挿入が進むと、この錘状面の先端部分は軸線に平行な柱面となり、錘状面との接続部は複曲面となり、変形が困難となってこの部分に高い応力が発生して耐久性が低下するという問題がある。図4〜図8は、摩擦式差動遊星動力伝達装置が稼働中の薄肉円筒体5を取出して示したもので、各図の上側が、薄肉円筒体5が遊星ローラ3と当接して強い変形を生じている状態、下側が、薄肉円筒体5は遊星ローラ3と当接しておらず変形が弱い状態を示しており、薄肉円筒体5の筒壁の各部は稼動中に上側に示す強い変形状態から順次下側に示す弱い変形状態に移行する変化を繰り返す。
図4に示すB、C、およびDは、薄肉円筒体5におけるそれぞれ複曲面部、錘状面部、および柱面部を示しており、前述したように、軸心方向中央部に位置する複曲面部Bには強い変形を生じるので、材料の疲れを生じて耐久性が低下するという問題がある。このため、遊星ローラ3の屈曲部3cに対応する複曲面部B近傍の剛性を下げて、変形し易くする、つまり弾性を向上させるために孔を設ける。
図4〜図8はこの剛性を下げる孔の種々の例を示す。
図4は、薄肉円筒体5の複曲面部Bの円周方向に、軸線に沿った多数の長孔5bを設けたものであり、この長孔5bは2点鎖線で示すように、ねじれ角αで軸線に斜交させた長孔5cとしてもよい。
図5は、図4の長孔5cのねじれ角αを大きくし(進み角を小さくし)、数を増やして細いスリット5dとしたものを示す。
図6は、図5のスリット5dのねじれ角αをさらに大きくして数を減らし、スパイラル状の長いスリット5eとしたものを示す。このスリット5eは薄肉円筒体5の肉厚が厚い場合に適用し、数は伝達トルクを下げないように複数とするのがよく、図は2本の場合を示している。図7は長孔やスリットに代えて、多数の円孔5fを例えばジグザグ状に開け、軸心方向にも複数の円孔5fを設けたものを示す。また、図8は上記円孔5fの径を小さくし数を増やして円孔5gとしたものを示す。
摩擦式差動遊星動力伝達装置では、遊星ローラ3によって薄肉円筒体5の外周面を外ローラ7の内周面に押圧しながら遊星ローラ3を外ローラ7の内周面に沿って1回転して元の位置に戻すと、遊星ローラ3は外ローラ7の元の位置に戻るが、薄肉円筒体5の外周長は外ローラ7の内周長より小さい(短い)ため、薄肉円筒体5に対しては元の位置を短い分(差分長)だけ超えた位置に来る。従って、薄肉円筒体5は外ローラ5の回転方向と逆方向に差分長だけ相対的に移動する。外ローラ7の内径をDf、薄肉円筒体5の自由状態の円筒の外径をDo、遊星ローラ3の中心の公転回転速度をωc、薄肉円筒体5の回転速度をωo、遊星ローラ3の中心の公転回転速度ωcに対する薄肉円筒体5の回転速度ωoの比をi2とすると
i2=ωo/ωc=(Do−Df)/Df
となり、回転方向は逆方向となる。
また、太陽ローラ2の直径および回転速度をそれぞれDsおよびωs、遊星ローラ3の直径および遊星ローラ3の中心の公転回転速度をそれぞれDpおよびωc、太陽ローラ2に対する遊星ローラ3の中心の公転回転速度比をi1とすると、近似的に、
i1=ωc/ωs=Ds/2(Ds+Dp)=1/2(Dp/Ds+1)
となり、回転方向は同方向となる。
従って、この構成の摩擦式差動遊星動力伝達装置の太陽ローラ2(入力軸1)に対する薄肉円筒体5(出力軸6)の総合した速度比iは近似的に、
i=i1xi2=(Do−Df)/(2Df(Dp/Ds+1))
となり、回転方向は逆方向となる。
なお、出力軸として薄肉円筒体5に連結された出力軸6を用いたが、出力軸6を固定して外ローラ7を出力軸とすることもできる。このときの速度比は若干大きくなり、回転方向は同方向となる。
(第2の実施の形態)
第1の実施の形態では、圧入による組立と寸法精度の管理を容易にするために、遊星ローラ3を円筒形として剛性を下げた構造のものを説明したが、本実施の形態は部品精度を十分管理したうえ、一部を圧入して最終的に焼きばめによって組立てを行い、同時に太陽ローラ2、遊星ローラ3、薄肉円筒体5、外ローラ7間に所定の押圧力を得るために、遊星ローラの剛性を高くした構造のものを説明する。
図9は本発明の第2の実施の形態の摩擦式差動遊星動力伝達装置の軸に沿った断面図、図10は図9のE−E断面図で、それぞれ第1の実施の形態の図1および図2に対応する図であり、入力軸側の遊星ローラと保持器の構造が異なっている。
これらの図において、23は遊星ローラ、24は遊星ローラ23の保持器、26は入力軸側子組立である。なお、両図では第1の実施の形態と同じ部材には同じ番号を付してある。
遊星ローラ23の外周部は、勾配部23a、円筒面23bを有しており、勾配部23aと円筒面23bとの間はなだらかな曲線で繋がれている。遊星ローラ23の本体部は剛性を強くするため中実の円柱とするが、保持器の型式によっては肉厚が十分厚い円筒として中心部に保持器用のピン孔を設けてもよい。保持器24は遊星ローラ23の巾より若干広い距離を隔てて対向する2つの環状の円板24aと、この鉛板24に一端を固設され他端をEリングで止められた小径のピン24bとで形成されている。この保持器24(ピン式保持器と呼ぶ)は、遊星ローラ23に用いられる保持器の一例として示したもので、保持器としては遊星ローラ24の中心の孔を廃し、外側を保持する押抜き型や、図1及び図2に示したもみ抜き型の保持器(ケージ型保持器と呼ぶ)を用いてもよいが、逆にピン式保持器24を遊星ローラ3に用いるときはピンの径が大きくなるので不向きである。
この第2の実施の形態の摩擦式差動遊星動力伝達装置は、各ローラ間の押圧力を焼ばめ工法によって得るところに特徴がある。まず、入力軸と一体とされた太陽ローラの外周部に、保持器により互いの間隔を一定に保持するよう複数の遊星ローラを外接し入力軸側子組立26とする。また、薄肉円筒体と出力軸とを連結し出力軸側子組立15とする。入力軸側子組立26の複数の遊星ローラを、出力軸側子組立15の薄肉円筒体5の内周部に圧入して一体の回転部子組立として組立てる。このときは、薄肉円筒体5の外側には外ローラ7がないので、圧入は比較的に容易である。ついで、外ローラ7を加熱して膨張させ、内径が大きくなった外ローラ7にこの回転部子組立を、外ローラの内周部に薄肉円筒体5が挿入されるよう、圧入焼きばめを行う。その後、冷却によって外ローラ7の内径が縮小されると、太陽ローラ2、遊星ローラ3、薄肉円筒体5、外ローラ7が圧接し、各間に押圧力が発生される。
この第2の実施の形態の摩擦式差動遊星動力伝達装置のその他の作用は第1の実施の形態と同様である。
本発明の第1の実施の形態に係わる摩擦式差動遊星動力伝達装置の軸線に沿った断面図である。 図1のA−A断面図である 自由状態にある出力軸側子組立と入力軸側子組立を示す断面図である。 図4〜図8は各種の高応力軽減手段を備えた薄肉円筒体の断面図であり、図4は軸線に沿った多数の長孔の場合を示す断面図である。 図4の長孔5cのねじれ角αを大きくし、数を増やして細いスリット5dとした場合を示す断面図である。 スリット5dのねじれ角αをさらに大きくして数を減らしたスパイラル状の長いスリット5eとした場合を示す断面図である。 多数の円孔5fをジグザグ状に開けた場合を示す断面図である。 円孔5fの径を小さくして数を増やした円孔5gとした場合を示す断面図である。 本発明の第2の実施の形態に係わる摩擦式差動遊星動力伝達装置の軸線に沿った断面図である。 図9のE−E断面図である
符号の説明
1 入力軸
2 太陽ローラ
3、23 遊星ローラ
3a、23a 勾配部
4、24 保持器
5 薄肉円筒体
5a フランジ
5b、5c 長孔
5d、5e スリット
5f、5g 円孔
6 出力軸
7 外ローラ
8 ハウジング
15 出力軸側子組立
16、26 入力軸側子組立
B 複曲面部
C 錘状面部
D 柱面部
1/i 減速比

Claims (7)

  1. ハウジング内に回転自在に支持された入力軸と一体の太陽ローラと、
    該太陽ローラに外接する複数の遊星ローラと、
    該複数の遊星ローラの互いの間隔を一定に保持するよう前記太陽ローラの外周部に設けられた保持器と、
    前記ハウジング内に固定された円筒状の外ローラと、
    該外ローラの内面と前記複数の遊星ローラの外面との間に夾装され、外周長が前記外ローラの内周長より小さい薄肉円筒体と、
    前記ハウジング内に回転自在に支持され前記薄肉円筒体に連結された出力軸とを備え、前記太陽ローラ、前記複数の遊星ローラ、前記薄肉円筒体および前記外ローラの間に押圧力による摩擦力により力を伝達する摩擦式差動遊星動力伝達装置であって、
    前記遊星ローラの外周面に勾配部が設けられ、
    前記遊星ローラと前記入力軸とが前記薄肉円筒体の内周部に軸線に沿って圧入され、
    前記薄肉円筒体には、外周側から内周側へ貫通する複数の孔が形成されている
    ことを特徴とする摩擦式差動遊星動力伝達装置。
  2. ハウジング内に回転自在に支持された入力軸と一体の太陽ローラと、
    該太陽ローラに外接する複数の遊星ローラと、
    該複数の遊星ローラの互いの間隔を一定に保持するよう前記太陽ローラの外周部に設けられた保持器と、
    前記ハウジング内に固定された円筒状の外ローラと、
    該外ローラの内面と前記複数の遊星ローラの外面との間に夾装され、外周長が前記外ローラの内周長より小さい薄肉円筒体と、
    前記ハウジング内に回転自在に支持され前記薄肉円筒体に連結された出力軸とを備え、前記太陽ローラ、前記複数の遊星ローラ、前記薄肉円筒体および前記外ローラの間に押圧力による摩擦力により力を伝達する摩擦式差動遊星動力伝達装置であって、
    前記遊星ローラの外周面に勾配部が設けられ、
    前記遊星ローラと前記入力軸とが前記薄肉円筒体の内周部に軸線に沿って圧入された入出力子組立が前記外ローラに焼きばめされ、押圧力を発生させ、
    前記薄肉円筒体には、外周側から内周側へ貫通する複数の孔が形成されている
    ことを特徴とする摩擦式差動遊星動力伝達装置。
  3. 請求項1に記載の摩擦式差動遊星動力伝達装置において、
    前記保持器は、押抜き型またはくり抜き型のケージ式保持器である
    ことを特徴とする摩擦式差動遊星動力伝達装置。
  4. 請求項2に記載の摩擦式差動遊星動力伝達装置において、
    前記保持器は、遊星ローラの軸心を通るピンが設けられた
    ことを特徴とする摩擦式差動遊星動力伝達装置。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載の摩擦式差動遊星動力伝達装置において、
    前記薄肉円筒体が前記複数の遊星ローラと前記外ローラとに圧接する
    ことを特徴とする摩擦式差動遊星動力伝達装置。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載の摩擦式差動遊星動力伝達装置において
    前記薄肉円筒体は、弾性の大きい高力アルミ合金もしくはステンレス鋼で形成されている
    ことを特徴とする摩擦式差動遊星動力伝達装置。
  7. 請求項1〜6のいずれかに記載の摩擦式差動遊星動力伝達装置において、
    前記薄肉円筒体の前記孔は、軸心方向成分を含む方向に長い長孔である
    ことを特徴とする摩擦式差動遊星動力伝達装置。
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