JP4949888B2 - 摩擦式差動遊星動力伝達装置 - Google Patents
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Description
(1)外側部材または薄肉円筒体の耐久性を考慮した構造および材質の選定。
(2)入力軸(太陽ローラ)、遊星ローラ(駆動ローラ)、出力軸(薄肉円筒体)相互の与圧方法。
(3)入力軸に遊星ローラの保持器であるキャリアが直結して高速で回転するので、回転に伴う摩擦損失が大きくなり、動力ロスが大きい。
に関する具体的な手段が重要な技術となる。
本発明は、入力軸と出力軸が同軸で、減速段数が少なく、減速比が極めて大きく、耐久
性が高く、構造が簡単で、組立が容易で、コストの低廉な小型の摩擦式差動遊星動力伝達
装置に関する具体的な手段の提供を目的とする。
(7)第7の手段の摩擦式差動遊星動力伝達装置は、上記第1〜6手段のいずれかの摩擦式差動遊星動力伝達装置において、前記薄肉円筒体の前記孔は、軸心方向成分を含む方向に長い長孔であることを特徴とする。
請求項1から7に係わる発明は、組立時に行う圧入又は焼ばめによってローラ間の押圧力を得るようにしたので簡潔な構造となってコストの低減に寄与できる効果がある。また、入力軸に直結した太陽ローラにより駆動される遊星ローラ機構は、一段階減速した回転速度で回転するので、遊星ローラと保持器の回転速度はそれだけ遅くなり、回転に伴う摩擦損失を少なくできる効果がある。また、薄肉円筒体が複数の遊星ローラと外ローラとに圧接することにより、太陽ローラ、遊星ローラ、薄肉円筒体、外ローラの各間の摩擦力により動力を伝達し、太陽ローラ、遊星ローラ、薄肉円筒体による遊星減速比と、外ローラの内径長さと薄肉円筒体の外径の差と外ローラの内径長さの比による減速比との積を入出力の全減速比とすることができる。
本発明の第1の実施の形態を図1〜図8によって説明する。図1は本発明の第1の実施の形態に係わる摩擦式差動遊星動力伝達装置の軸に沿った断面図、図2は図1のA−A断面図、図3は、自由状態にある出力軸側子組立と入力軸側子組立を示す断面図、図4〜図8は、各種の高応力軽減孔を備えた薄肉円筒体の断面図である。
図1において、1は入力軸、2は入力軸1と一体に形成された太陽ローラ、3は太陽ローラ2に外接する複数(図は3個の場合を示す)の円筒状の遊星ローラ、4は複数の遊星ローラ3の円周方向の位置を互いの間隔を一定となるよう保持する保持器で、ドーナツ形の板から遊星ローラが回転自在可能になるように、等角度にローラ形に抉り貫き、内径は太陽ローラ2に遊嵌可能な形状である。図1、図2はもみ抜き型の場合を示す。5は内周面を遊星ローラ3に外接する薄肉円筒体、6は薄肉円筒体5と一体に結合された出力軸、7は内周面を薄肉円筒体5に外接する外ローラ、8および9はそれぞれハウジングおよびハウジングカバーである。薄肉円筒体5は、弾性の大きいAl−Cu系合金またはAl−Mg−Si系合金等の高力アルミ合金若しくはステンレス鋼で形成され、一端はその内周部に遊星ローラが嵌装され、多端、すなわち反遊星ローラ側には厚肉部が設けられ、出力軸6に設けたフランジ6aに結合されている。
入力軸1は両端をハウジングカバー9と出力軸6のフランジ6aに夫々設けられたベアリング31,32を介して回転自在に支持されている。入力軸1と一体に形成された大径のフランジ1aとCリング33を介して位置決めされたワッシャ11を備えていて遊星ローラ3の軸方向の位置を拘束している。出力軸6は一端(図1の右側)にフランジ6aを備えていて、このフランジ6aに薄肉円筒体5の一端が結合されていて、他端(図1の左側)は入力軸1と同軸にハウジング8に2個のベアリング34,35を介して回転自在に支持されている。また、外ローラ7はハウジング8に嵌装され、ハウジングカバー9で横から挟まれて固定されている。
薄肉円筒体5は組立前の自由状態では、外ローラ7の内周面より小さい直径と、適宜に薄い肉厚を持つ円筒体で、一端側(図の左側、すなわち出力軸側)は内向きで厚肉のフランジ5aとなって出力軸6の右端に設けられた大径のフランジ6aに圧入され、要すればスプリングピン36等で固定されている。このため、薄肉円筒体5は、出力軸6と異なる材料を自由に用いることができる。また、外ローラ7の内径と薄肉円筒体5の自由状態の外径の差は円周長の差を生じ、後述するように摩擦式差動遊星動力伝達装置の速度比iに直接係り、また、速度比iを小さくする(減速比1/iを大きくする)ために通常極めて小さくされる。この円周長の差はまた薄肉円筒体5の耐久性にも関係する。
図4〜図8はこの剛性を下げる孔の種々の例を示す。
図4は、薄肉円筒体5の複曲面部Bの円周方向に、軸線に沿った多数の長孔5bを設けたものであり、この長孔5bは2点鎖線で示すように、ねじれ角αで軸線に斜交させた長孔5cとしてもよい。
図5は、図4の長孔5cのねじれ角αを大きくし(進み角を小さくし)、数を増やして細いスリット5dとしたものを示す。
図6は、図5のスリット5dのねじれ角αをさらに大きくして数を減らし、スパイラル状の長いスリット5eとしたものを示す。このスリット5eは薄肉円筒体5の肉厚が厚い場合に適用し、数は伝達トルクを下げないように複数とするのがよく、図は2本の場合を示している。図7は長孔やスリットに代えて、多数の円孔5fを例えばジグザグ状に開け、軸心方向にも複数の円孔5fを設けたものを示す。また、図8は上記円孔5fの径を小さくし数を増やして円孔5gとしたものを示す。
i2=ωo/ωc=(Do−Df)/Df
となり、回転方向は逆方向となる。
また、太陽ローラ2の直径および回転速度をそれぞれDsおよびωs、遊星ローラ3の直径および遊星ローラ3の中心の公転回転速度をそれぞれDpおよびωc、太陽ローラ2に対する遊星ローラ3の中心の公転回転速度比をi1とすると、近似的に、
i1=ωc/ωs=Ds/2(Ds+Dp)=1/2(Dp/Ds+1)
となり、回転方向は同方向となる。
従って、この構成の摩擦式差動遊星動力伝達装置の太陽ローラ2(入力軸1)に対する薄肉円筒体5(出力軸6)の総合した速度比iは近似的に、
i=i1xi2=(Do−Df)/(2Df(Dp/Ds+1))
となり、回転方向は逆方向となる。
なお、出力軸として薄肉円筒体5に連結された出力軸6を用いたが、出力軸6を固定して外ローラ7を出力軸とすることもできる。このときの速度比は若干大きくなり、回転方向は同方向となる。
(第2の実施の形態)
図9は本発明の第2の実施の形態の摩擦式差動遊星動力伝達装置の軸に沿った断面図、図10は図9のE−E断面図で、それぞれ第1の実施の形態の図1および図2に対応する図であり、入力軸側の遊星ローラと保持器の構造が異なっている。
これらの図において、23は遊星ローラ、24は遊星ローラ23の保持器、26は入力軸側子組立である。なお、両図では第1の実施の形態と同じ部材には同じ番号を付してある。
遊星ローラ23の外周部は、勾配部23a、円筒面23bを有しており、勾配部23aと円筒面23bとの間はなだらかな曲線で繋がれている。遊星ローラ23の本体部は剛性を強くするため中実の円柱とするが、保持器の型式によっては肉厚が十分厚い円筒として中心部に保持器用のピン孔を設けてもよい。保持器24は遊星ローラ23の巾より若干広い距離を隔てて対向する2つの環状の円板24aと、この鉛板24に一端を固設され他端をEリングで止められた小径のピン24bとで形成されている。この保持器24(ピン式保持器と呼ぶ)は、遊星ローラ23に用いられる保持器の一例として示したもので、保持器としては遊星ローラ24の中心の孔を廃し、外側を保持する押抜き型や、図1及び図2に示したもみ抜き型の保持器(ケージ型保持器と呼ぶ)を用いてもよいが、逆にピン式保持器24を遊星ローラ3に用いるときはピンの径が大きくなるので不向きである。
この第2の実施の形態の摩擦式差動遊星動力伝達装置のその他の作用は第1の実施の形態と同様である。
2 太陽ローラ
3、23 遊星ローラ
3a、23a 勾配部
4、24 保持器
5 薄肉円筒体
5a フランジ
5b、5c 長孔
5d、5e スリット
5f、5g 円孔
6 出力軸
7 外ローラ
8 ハウジング
15 出力軸側子組立
16、26 入力軸側子組立
B 複曲面部
C 錘状面部
D 柱面部
1/i 減速比
Claims (7)
- ハウジング内に回転自在に支持された入力軸と一体の太陽ローラと、
該太陽ローラに外接する複数の遊星ローラと、
該複数の遊星ローラの互いの間隔を一定に保持するよう前記太陽ローラの外周部に設けられた保持器と、
前記ハウジング内に固定された円筒状の外ローラと、
該外ローラの内面と前記複数の遊星ローラの外面との間に夾装され、外周長が前記外ローラの内周長より小さい薄肉円筒体と、
前記ハウジング内に回転自在に支持され前記薄肉円筒体に連結された出力軸とを備え、前記太陽ローラ、前記複数の遊星ローラ、前記薄肉円筒体および前記外ローラの間に押圧力による摩擦力により力を伝達する摩擦式差動遊星動力伝達装置であって、
前記遊星ローラの外周面に勾配部が設けられ、
前記遊星ローラと前記入力軸とが前記薄肉円筒体の内周部に軸線に沿って圧入され、
前記薄肉円筒体には、外周側から内周側へ貫通する複数の孔が形成されている
ことを特徴とする摩擦式差動遊星動力伝達装置。 - ハウジング内に回転自在に支持された入力軸と一体の太陽ローラと、
該太陽ローラに外接する複数の遊星ローラと、
該複数の遊星ローラの互いの間隔を一定に保持するよう前記太陽ローラの外周部に設けられた保持器と、
前記ハウジング内に固定された円筒状の外ローラと、
該外ローラの内面と前記複数の遊星ローラの外面との間に夾装され、外周長が前記外ローラの内周長より小さい薄肉円筒体と、
前記ハウジング内に回転自在に支持され前記薄肉円筒体に連結された出力軸とを備え、前記太陽ローラ、前記複数の遊星ローラ、前記薄肉円筒体および前記外ローラの間に押圧力による摩擦力により力を伝達する摩擦式差動遊星動力伝達装置であって、
前記遊星ローラの外周面に勾配部が設けられ、
前記遊星ローラと前記入力軸とが前記薄肉円筒体の内周部に軸線に沿って圧入された入出力子組立が前記外ローラに焼きばめされて、押圧力を発生させ、
前記薄肉円筒体には、外周側から内周側へ貫通する複数の孔が形成されている
ことを特徴とする摩擦式差動遊星動力伝達装置。 - 請求項1に記載の摩擦式差動遊星動力伝達装置において、
前記保持器は、押抜き型またはくり抜き型のケージ式保持器である
ことを特徴とする摩擦式差動遊星動力伝達装置。 - 請求項2に記載の摩擦式差動遊星動力伝達装置において、
前記保持器は、遊星ローラの軸心を通るピンが設けられた
ことを特徴とする摩擦式差動遊星動力伝達装置。 - 請求項1〜4のいずれかに記載の摩擦式差動遊星動力伝達装置において、
前記薄肉円筒体が前記複数の遊星ローラと前記外ローラとに圧接する
ことを特徴とする摩擦式差動遊星動力伝達装置。 - 請求項1〜5のいずれかに記載の摩擦式差動遊星動力伝達装置において
前記薄肉円筒体は、弾性の大きい高力アルミ合金もしくはステンレス鋼で形成されている
ことを特徴とする摩擦式差動遊星動力伝達装置。 - 請求項1〜6のいずれかに記載の摩擦式差動遊星動力伝達装置において、
前記薄肉円筒体の前記孔は、軸心方向成分を含む方向に長い長孔である
ことを特徴とする摩擦式差動遊星動力伝達装置。
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